朝。

「私は私、私は惣流・アスカ・ラングレー…。よし!行くわよアスカ!」

そう言った後、アスカは学校へと向かった。

 

 

 

僕は僕で僕

(15)

 

 

 


 

<シンジの通学路>

 

シンジは学校への道を歩いている。

トウジとケンスケも一緒に。

 

「シンジ、どないしたんや?浮かん顔してからに」

「え、いや別に」

シンジは考えていた。

女の子のことを。

 

(彼女は…たぶんセカンドチルドレンだろうな……。)

 

「おはよう、サードチルドレン」

後ろから声を掛けられるシンジ。

振り向く三人。

 

「何よ、人が挨拶してやってんのよ」

アスカだった。

「あ、おはようさん、転校生」

「おはよう」

トウジとケンスケは気づいたようにアスカに笑顔で答えた。

「違う!私が挨拶したのはサードチルドレンよ」

そう言って、アスカはシンジの顔を見る。

シンジは戸惑いながらも答える。

「お、おはよう、惣流さん」

シンジの挨拶を見たアスカは、三人の側を通り過ぎる。

そして、シンジの近くを通るときに囁く。

「サードチルドレン、あんた私には必要無いわ」

 

「!」

驚くシンジ。

 

アスカが通りすぎた後、シンジに詰め寄る二人。

「なんて言われたんや、シンジ?」

「やっぱりあの子もエヴァのパイロットなのか?」

しかし、シンジの耳には友人の声は届いていなかった。

 

シンジは思考の中にいた。

(僕をいらないって言ってた……)

 

 

<学校の校庭>

 

レイが校庭のベンチに座り本を読んでいる。

 

「おはよう、レイ。ファーストチルドレンでしょ?あんた」

アスカは、気軽にレイに声を掛けると、レイの隣に座った。

誰かと顔を見るレイ。

「あなた……誰?」

レイはファーストチルドレンという自分の存在を知っているアスカを見る。

「セカンドチルドレンの惣流・アスカ・ラングレーよ。これからもヨロシク」

そう言って手を差し出すアスカ。

「……そう」

レイはアスカと握手をした。

昨日したことを繰り返すように。

 

満足げにアスカはレイの手を離すと訊ねる。

「戦自のパイロット…。マナもいるんでしょ?」

「彼女は、いつも時間ギリギリに来るわ……」

アスカに答えながら本を読むレイ。

「ふ~ん、そうなんだ」

そう言って、アスカは青空を見た。

 

アスカの見た青空は、とても青く透きとおっていた。

 

 

<ネルフ本部>

 

リツコが研究室で書き物をしている。

 

「あっ…」

リツコは後ろから不意に抱きつかれた。

「久し振り」

加持だった。

「加持君?…久し振りね」

「三年振りかな?」

「どう、三年で何か変わった?」

リツコは目を閉じつつ微笑みながら訊ねる。

「リッちゃんの笑顔が綺麗になった」

加持はリツコに頬を寄せる。

「相変わらずね。でも、怖~いお姉さんが見てるわよ」

そう言ったリツコの指差す先に、ミサトの憤怒の顔があった。

 

「最低ッ!」

ミサトは壁を蹴飛ばしその場を後にした。

 

「あらら、葛城の奴行っちまった」

そう言ってリツコを抱きしめる腕をとく加持。

「それよりも加持君、なぜココにいるの?」

リツコが訊ねる。

「出向の辞令が下りてね。また昔みたいに三人でつるめるな」 

加持が言い終わった瞬間に非常警報が鳴る。

 

「使徒?!」

リツコは急ぎ、その場から去る。

リツコの後をゆっくりと追いながら加持は思う。

 

(……シナリオってやつか?)

 

 

<ネルフ作戦本部>

 

慌しく動き回るネルフ職員たち。

しかし、使徒と対峙するのは初めてではない。

これまで三度、使徒と対峙している。

三度の経験を生かし、それなりの落ち着きと対処の迅速さが随所に見え隠れしている。

 

「総員戦闘準備!抜かりなくな!」

碇、不在の穴を埋める冬月の声も、今は落ち着きを払う為ではなく。

細心の注意を払う為のものとなりつつあった。

 

「遅くなりました副司令」

ミサトが作戦本部に顔を見せる。

ミサトの言葉に頷いた冬月は言葉をかける。

「葛城一尉、今作戦も君に一任する」

「了解しました!」

ミサトは答えると同時にモニターを見た。

 

モニターには、第七使徒。

ミサトは第七使徒を見て思う。

(使徒…天使の名を司る人類の敵…でも、今はいい。今は…)

 

そして胸のロザリオを軽く握り、険しい表情で呟く。

「……神に会えば神をも殺す」

 

 

ミサトの作戦指示が行き渡る間に、作戦本部にリツコと加持が到着した。

 

「ミサト、張り切ってるわね」

慌しく動き回るミサトを見て、リツコが到着早々口を開く。

「まったくだ」

ミサトを見つめる加持。

「惚れ直した?」

リツコが訊ねる。

「いや、もともと惚れてる」

そう言って加持はミサトを見つめたまま微笑んだ。

 

そんな加持を見てリツコは微笑み話す。

「加持君らしいわね」

 

 

<パイロット女子更衣室>

 

レイ、マナ、アスカがプラグスーツに着替えている。

 

「日本に来て、早速使徒とはラッキーね」

アスカはプラグスーツに着替えながら話す。

「楽しそうね。アスカさん」

マナは真剣な表情でブラウスのボタンを外している。

「あったりまえじゃない!私の実力を知らしめるチャンスよ!」

強気なアスカの発言。

「アスカさん、強いね…」

そう言って、ボタンを外す手を止めアスカ見つめるマナ。

マナの視線に気づき、アスカはマナに近寄り話す。

「マナ、さっきも言ったけどアスカさんはヤメテ。アスカでいいわ」

 

「!」

マナはアスカの言葉にミサトの言葉を思い出す。

 

「まだ14歳でしょ、ミサトでいいわ、ミサトで」

 

そして、アスカの顔を見ながら微笑むマナ。

「なに笑ってんのよ、人の顔見て!」

アスカは顔を赤くし照れながら問う。

「うん、アスカって、ミサトさんに似てるな~って思ってね♪」

そう言って微笑むマナ。

「だ、誰がミサトに似てんのよ!」

顔を赤くしながら怒るアスカ。

アスカとしては、ズボラなミサトと比べられたくないのだろう。

 

「…先行くから」

レイは二人を無視して、更衣室から出ていった。

 

「速いわね、レイ…って私も着替えないと」

レイに負けじと着替えを急ぐアスカ。

マナも着替え始める。

 

先に着替え終わったアスカは、出ていこうとするが出入口で足を止める。

そして、マナに声をかける。

 

「心配しなくてもいいわ。使徒は私が倒すから」

そう言い残し微笑みながらアスカは更衣室を後にした。

 

アスカの言葉にマナは驚き思う。

(アスカ………似てる)

 

 

<第七使徒とエヴァ三機の戦闘>

 

第七使徒と対峙するエヴァ三機。

アスカの最初の一撃で第七使徒を真っ二つにしたまでは良かった。

しかし、問題はそこからだった。

真っ二つにした使徒が細胞の再生と同時に、ニ体に変化してしまっていたからだった。

 

「どうすれば…勝てる?」

マナはモニターで使徒を確認しつつ話す。

「落ち着いてマナ。まだ、数の上では私達の方が有利よ」

そう言って、モニターから第七使徒(甲)、(乙)を見るアスカ。

「!………来るわ」

レイが使徒の動きに気がついた。

 

 

<ネルフ作戦本部>

 

「敵の出方を伺いつつ、遠距離攻撃。状況によっては近接戦闘を許可します」

そう言いつつも思考をめぐらすミサト。

(まいったわね…まさか分裂するなんて予想してなかったわ。……どうすれば……)

ミサトの思考は限界に近づきつつあった。

 

その様子を見ている加持とリツコ。

 

「リッちゃんならどうする?」

加持が、この状況下でのリツコの判断を訊ねた。

「科学者としては、もう少し様子を見たいわね。」

冷静に答えるリツコ。

「なるほどね~。じゃあ、リッちゃんが作戦部長だったら?」

「なにそれ?」

リツコは加持の冗談混じりの質問に微笑みながらも答える。

「即時撤退かしら?」

「妥当な線だ」

加持はリツコの答えに頷きながら微笑んだ。

そして、言葉をつなぐ加持。

「だが、葛城は違う。葛城は使徒を倒すことに、こだわりすぎてる」

そして、ミサトを真剣な表情で見る加持。

 

そんな加持を見ながらリツコは思う。

(加持君…日本政府…。ま、今はまだいいわ。今はまだ…。)

 

 

<第七使徒とエヴァ三機>

 

攻撃を開始する第七使徒(甲)(乙)。

二号機には(甲)。

零号機とJAには(乙)が向かってきた。

 

「来る!来る!来た!」

アスカが不敵な笑顔で迎撃体制を取る。

「綾波さん!」

「……わかってる」

零号機とJAも迎撃の準備に抜かりは無かった。

 

そしてアスカが叫ぶ。

 

「アタシが倒す!蹴散らす!ぶっ潰す!」

 

 

 

つづく


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あとがき

あれれ?シンジは何処にいるんだろう。ま、今回は内緒ということで。(^^;
こっからが考え所ですね。どうしようかな?まあ、ボチボチ書きながら考えます。しかし、緊張感の無いあとがきだな。(笑)

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