午前9時。

第三新東京市全域に退避勧告がアナウンスされた。

使徒出現の気配すらない状況での、奇妙なアナウンスであった。

 

 

 

僕は僕で僕

(123)

 

 

 


 

<ネルフ内、病院施設>

 

アスカは口を開かなかった。

意識が回復しても、医師の診察があっても、知人の見舞いがあっても。

頑なに沈黙を守っていた。

 

午前10時。

アスカの病室。

ミサトは病室の壁にもたれかかった姿勢で、ちょうど向かい側でカルテに目を通すリツコに訊ねる。

「この状況で精神汚染の兆候が無いって言うの?」

「無い。自らの意思で口を閉ざしているとしか診断出来ない。それが医師の診断」

窓からの日差しを背に浴びながら、リツコは事務的に答えた。

精神汚染ではなく自己閉塞。

アスカ自ら、殻の内に閉じこもっていることを。

その説明が理解出来ないのか、ミサトが怪訝な表情を見せながら訊ねる。

「現実を拒絶する心?」

「現実逃避、自己逃避。本当にそうだったら救いようが無いわね」

ミサトの問いに曖昧に答えながら、リツコは背後の窓にカーテンを引いた。

窓からの光が消えた病室。

若干暗くなった室内で、ミサトは照明器具を見上げながら呟く。

「逃避か…」

 

逃避?

そんなものはとっくに通り過ぎていた。

母が死んだとき、加持に裏切られたとき、マユミに助けられたとき。

何度も壁にぶち当たったが、その度に這い上がり、人間的に成長してきた。

気づけばアスカという少女は、どのチルドレンよりも精神的に強靭になっていた。

(…判ってきた。)

唯、深く思考していただけであった。

髪をたらし、虚ろな瞳を見せながら、アスカは深く思考を巡らせていただけだった。

ナイフを頭部に突き立てた瞬間、意識が遠のく瞬間、脳裏に響いた声に対して。

懐かしく、忌わしい声。

『あなたは殺さないわ』

 

母の声だった。

 

 

<中央作戦司令部>

 

慌しい雰囲気の司令部。

戦後、急ピッチで進められている、ある一つの作業。

使徒の襲来でもなく、機器の点検作業でもなく、ある一つの計測作業の為、職員達は駆り出されていた。

忙しげにキーを叩く音が響く中、ナオコの檄が飛ぶ。

「計測数値、誤差修正、1浄分の1のミスも許されないわよ」

凄まじい単位を比較対照に出し、尚且つ迅速さと正確さを求める作業。

作業に勤しむ職員達の表情は、使徒戦さながらであった。

緊張感ただよう室内、尋常でない速度でキーを叩きながら、コダマは隣でキーを叩くマヤに話しかける。

「浄って単位、ネルフに入って初めて聞きました」

「私も」

「絲、忽、微、繊、沙、塵、挨、渺、莫、模糊、逡巡、須臾、瞬息、弾指、刹那、六徳、空虚、清浄。豆知識がここで活きるとは思わなかったです」

「確かにね」

そんな会話と共にマヤが苦笑いを浮かべた途端、ナオコの檄が飛ぶ。

「そこ。無駄口叩く暇があったら手を動かす」

「す、すみません」

いつにないナオコの剣幕に、マヤは肩をすぼめながら答えた。

そして、再び入力作業に集中を始めた。

羅列する数値。

入力。

尋常でない桁の数値。

入力。

普段使わない数値記号。

入力。

延々と続くかと思われる入力作業の中、マヤはある一つのことに気づいた。

先程から繰り返し打っている入力数値、数学記号、この計算式は大学で習ったものと一緒ではないか?

20世紀で一番高名な物理学者の提唱した論。

相対性理論。

小さく驚きの瞳を見せながらマヤは思考する。

(この計算数値って、相対性理論を応用した時空移動?…まさかね。)

 

マヤが作業内容に感づいた頃、この作業の総監督でもある赤木ナオコは思考の中にいた。

瞳では作業の進行状況を追っているものの、脳裏に浮かぶのは差し迫った時間。

碇シンジに残された時間的余裕。

それに対処するべき時間。

どれもこれも足りないものばかりの状況に、ナオコは口元に指を当てながら呟く。

「参ったわね」

「何か言いましたか?」

傍らで作業していた職員に話しかけられたナオコは、苦笑混じりに答える。

「娘にボヤいてたのよ。『過労死させるきか』ってね。…作業を進めて頂戴。一分一秒が貴重だわ」

職員が再び作業に集中を始めたのを確認した後、ゆっくりと瞼を閉じながら呟く。

「まったくもう…」

 

数日前。

ナオコはネルフ内の廊下でリツコに会っていた。

ゲンドウからシンジの今後の処置を聞いた後、必ずリツコが関与しているものと踏んだからであった。

そして、その読みは当たっていた。

「跳ばす気?彼を」

「…私の発案じゃないわ。司令よ」

開口一番、投げかけた問いに素直なまでに返ってきた言葉は、ナオコを納得させるには十分なものであった。

こんなくだらないこと、こんな理想に近いことを考えることが出来る人間は、ゲンドウ以外存在し得ないと判断していたからであった。

(彼ありにして、彼女ありってわけ。)

一人ごち納得したナオコは、両のポケットに手を突っ込んだままの姿勢で訊ねる。

ゲンドウの立案した計画の可能性を。

「生きて還れる保証は?」

「第12使徒の虚数空間構築能力。そして、そこからの帰還。それだけの保証しかないわ」

「賭けね」

正直な感想だった。

これまでの戦いからしても、特殊空間からの帰還はあっても、空間の構築はATフィールドに留まっている。

物理的に不可能に近い立案。

だが、ゲンドウはこの計画を推し進めるつもりでいる。

(…これしかなかった。)

この計画を選択するしかなかったゲンドウの苦悩を考慮したナオコは、寂しげな微笑を見せた。

絶望から希望を。だが、その希望も賭けに近い。

妻を失い、子を失う。…憐れ、だと思った。

そんな悲観的な想いを抱きかけた矢先、リツコの声が耳に届く。

「このまま死に至るより、遥かに救いがある。私もそう信じてる」

この娘は諦めていないのか。

我が子ながら諦めの悪い子。そんな感嘆の想いを押し殺しながら、ナオコは真摯な眼差しで答える。

「悔しいけど確率は高い」

「だったら」

嬉々とした表情を浮かべるリツコに、ナオコは親しげな微笑を浮かべて答える。

「手伝えって言うんでしょ。やってあげる。計算、どこまで終わってるの?」

「概算は終わってる。後は確実な数値計測と入力作業」

「面倒臭いのばっかり残して。好き嫌いは駄目だって教えたでしょ」

親らしいこと何一つ出来なかったくせに説教。

自分自身の言葉に皮肉を感じながらも、ナオコは更に訊ねる。

「で、どのくらい時間を経過させるの?」

「100年」

リツコの言葉に、ナオコは耳たぶに軽く触れながら呟く。

「…新世紀エヴァンゲリオン」

 

再び、現在。

ゆっくりと瞼を開けたナオコは、作業の進行状況が映し出されたモニターを見据えて呟く。

「面倒臭いのは後回し。それもいいわね」

 

 

<司令室>

 

「この時期に増員ですか?」

赤木リツコは司令室で一つの報告を受けていた。

精神崩壊を起こした四号機操縦者。その欠員を埋めるべく委員会が派遣してきた新たな操縦者の報告を。

正直、きな臭い匂いを禁じえない。

時期的にも、状況的にも、お膳立てが整いすぎている。

(委員会のシナリオ通りに事が進んでいる。恐らく、名前からして新たな四号機操縦者は)

リツコは思考を続けようとしたが、冬月の言葉に遮られる。

「マルドゥック機関からの報告書だ。…建前に過ぎんがな」

「敢えて受け入れるおつもりですね」

「仕方あるまい。拒否すれば口実を与えることになる」

「拒否せずとも、彼らは手を出すと思いますが」

「今は時間が必要なのだよ。私達にはな」

時間。

確かに時間は欲しい。

この状況で監査や査察を受け入れていては、事態が手の及ばない範囲にまで進んでしまう。

そのことを熟知しているだけに、冬月の言葉にも納得がいった。

だが、四号機操縦者を受け入れてしまえば、更に状況は悪化するのではないか?

そんな危惧のような想いが脳裏を巡るの中、ゲンドウが静かに口を開く。

「冬月、席を外してくれ。二人きりで話がしたい」

 

二人きりになった部屋。

ゲンドウは口元に両手を当てた姿勢で話しかける。

「午後にでも数値計測は終わる。…その後、勧告を出すつもりだ」

リツコには言葉の先が予測できた。

午前に出された市民への退避勧告。その次に続く勧告。

「職員への退避」

「ああ、君も退避してもらうと助かる」

逃げろ。

このネルフ施設から逃げろ、そうゲンドウは言っているのだ。

後の戦いは残った者で遂行する気のか?

不可能。無理。

絶対的に勝算の無い状況で戦うつもりのなのか、この男は。

ある種の自殺志願者。

そんな思いを描きながらゲンドウを見つめていると、一通のファイルを差し出された。

「これは?」

怪訝な思いを抱きつつファイルに目を通すと、そこには繊細なまでにまとめられたレポートが記されていた。

カルテから導き出された病状、進行速度、処置方法の導き方。

シンジの病に関する見解がそこに記されていた。

奇跡の分子を利用した、魔法の弾丸。

簡単なようで導き出せない奇跡の分子、それを導き出すためのある一つの分子分野への研究固定。

その研究結果から魔法の弾丸への導き方。

シンジを救う手立てとしては最善なものであった。

(これだけの内容を一体いつ、どうやって…。)

正直、リツコは驚きを隠せなかった。

シンジの病気が発覚して、そんなに時間は経っていない筈だ。

それなのに、ゲンドウはこれだけのレポートを作成してきた。

才能、執念、一言では片付けられない凄まじいものを、リツコは垣間見た気がした。

そんな驚きの瞳を見せるリツコに、ゲンドウは静かに話しかける。

「簡単だが、私の研究結果だ。…戦後、必要であれば使ってくれ」

「だから逃げろ、と」

「憎まれ役は少ないほうがいい」

なんて人。

絶対に理解されることの無い人。

目的の為なら、自ら進んで犠牲になる人。

(…可哀想な人。)

辿り着いたゲンドウへの結論に、リツコは顔を伏せた。

愛されることを拒絶しているのだ、この人は。

そう想ったからであった。

「綾波レイの許可は取ってある。彼女の素体が、シンジ達を救う手立てとなる筈だ」

耳に届いたゲンドウの声に、リツコは一片の望みを込めて訊ねる。

「ここまで終えているのなら」

「無理だ。…彼らは私の死を確認するまで安心しない。そういう連中だ」

一緒に逃げませんか?

喉まで出かかった言葉。

その言葉すら遮られ、完璧な返答だけが返ってきた。

恨めしい。

リツコは自分の恋心が恨めしいと思わずにはいられなかった。

とんだ男を好きになってしまったものだと、もっと臆病な男を好きになればよかったと、そう恨まずにはいられなかった。

「生まれてくる子供のこと。宜しく頼む」

不意に聞こえたゲンドウの言葉。

その言葉に、リツコは顔を上げ、不思議そうな瞳を見せた。

「?」

凝視するリツコの瞳に照れたのか、ゲンドウは鼻の頭を掻きながら野暮ったそうに答える。

「わ、私との子供のことだ」

こそばゆい。

どーしようもなく、くすぐったい人。

まだ子供のことを誤解したままでいる、可愛い人。

そんな思いを感じると、リツコはゲンドウの頬に顔を寄せ、耳元で囁きかける。

「司令、髭にゴミが」

ありもしないゴミを取ったフリをした途端、頬に触れる唇。

接吻。

驚きのあまり硬直するゲンドウを尻目に、リツコは衣を糺しながら距離を置くと、愛嬌のある敬礼を見せる。

人差し指と中指での敬礼と共に放たれる言葉。

「碇司令。私、退避致しませんので、今後とも宜しくお願い致します」

言うだけ言った後、踵を返したリツコは思考する。

(こんなに可愛い人、他に居ないわ。)

 

 

<ネルフ内、廊下>

 

「猫、猫、子猫♪こにゃにゃちわ〜♪」

陽気な歌を口ずさむ少女がダンボールを両手に抱え、廊下を闊歩(かっぽ)していた。

ダンボールには、チクワ、ツクネ、ガンモ、スージー。

おでん、ではなく、赤木家の猫一家であった。

無論、ダンボールを抱えた少女は霧島マナ。市全域の退避勧告を耳にし、家族をネルフに緊急避難させたのであった。

リツコの許可は得ていないが、結果オーライ。無碍にはしないっしょっ。

等という楽観論が多々含まれいることは、あえて追求しないほうが無難である。

(連れては来たものの、どこに住ませようかなぁ。やっぱりリツコさんの研究室…かな?)

そんなことを考えていると、背後から声が響く。

「霧島ぁ」

誰かと振り返った先には、ジャージ姿のトウジが駆け寄っていた。

「家に帰っとんたんか」

「まぁね。この子達、置いとく訳にはいかないし」

そういうと、マナはダンボールを少し傾け、中に居る猫達を見せてあげた。

猫を覗き見ながらトウジは感慨深げに呟く。

「…皆逃げてしもうたな」

トウジの言葉通りだった。

市の民間人は一部の人間を除き、全て逃げ去ってしまった。

あと残っている人間といえば、ネルフに関係する人間、何らかの形のでネルフに関わりを持っている人間だけであった。

少し寂しそうなトウジの様子に、マナは優しげな顔を見せて訊ねる。

「鈴原君、家族は?」

「会うて来た。なんや気持ち悪かったわ。葬式みたいに辛気臭うなりよって。ワシゃ死なへんっちゅうねんッ!」

「南無南無」

「拝むなやッ!」

マナのボケに、トウジのツッコミ、なんだかんだで笑いあう二人。

退避した人達に寂しいとは思うものの、決して落ち込んではいなかった。

否、落ち込んではいけないのだ。

まだ戦いは終わっていない。そのことを熟知しているからだった。

笑いあった後、二人で廊下を歩き出すと、マナは午前中の退避勧告についてトウジに訊ねる。

「今度の敵って、やばいのかな?第三新東京市からの退避勧告って初めてじゃない?」

「警報出てからの避難やったら遅いからと違うか?」

「今更?」

「結構怪我人出とったみたいやし、国から喧(やかま)し言われたんとちゃうか」

「…だったらいいんだけど」

マナは一抹の不安を拭えなかった。

使徒の警戒すら出てない中での退避勧告。ある種の異常事態のような勧告。

何か嫌な感じだった。

 

 

<喫茶室>

 

偶然廊下で顔を合わせ、取りとめも無い会話をしながら喫茶室へ。

何の感動も無い再会だった。

綾波レイと青葉シゲルの再会は。

向かい合わせの席。テーブルには紅茶が二つ。

静寂の室内で、青葉は紅茶に砂糖を加えながら訊ねる。

「何か、家から持ってくるものあるかい?」

「別に」

予想通りの答えだった。

若干人間らしくなったときもあったが、綾波レイは未だに不完全。

人の心を形成するには絶対的に時間が足りない。

愛情。

親の愛情というものが、まだまだ欠けているのだ。

(数年はかかる。…数ヶ月じゃな。)

自分と過ごした時間に少しだけ想いを馳せた後、青葉は意を決したような顔を見せた。

そして、最近知った事実、コダマが解読した情報を含め、レイに訊ねる。

「綾波レイ。使徒の遺伝子を持つ生物。人類補完計画の要。補完への鍵。それが委員会の君に対する評価」

言った後、少しだけ後悔した。

この言葉が、今までの関係を壊してしまうのではないか?拒絶されてしまうのではないか?

脳裏に浮かぶ不安。

だが、不安はあっても青葉は信じていた。

レイと過ごした時間、空間、会話。

他愛も無い時間、他愛も無い空間、他愛も無い会話。

その中で培われた絆のようなものを。

青葉は軽く息を飲み込むと、レイを見据えながら訊ねる。

「違う?」

レイはゆっくりと首を横に振った。

肯定。

レイ自ら使徒と認めた事実。

心が締め付けられるような感覚の中、青葉は切実の願いを込めて訊ねる。

「今も、自分をそう認識している?」

長い沈黙。

青葉の問いに答えが返ってくるまでには、長い時間が必要だった。

沈黙、静寂、紅茶の湯気が消える頃、レイは俯き加減にしながら口を開く。

「わからない。…でも、一つだけ分かる」

変化。

微妙だが、レイの心は変化している。

そのことを認識した青葉は、紅茶を飲みながらレイの次の言葉を待った。

青葉の喉もとを紅茶が過ぎた途端、言葉が放たれる。

レイが頬を染めながら、震える唇で言葉を口にする。

「碇君と補完したい」

「ぼッ!」

あまりに驚きな内容にむせ返る青葉であった。

 

 

<アスカの病室>

 

S2機関。
Super Solenoid Engin.
DNAエンジンってこと。動力は無限だって、ミサトかリツコが言ってた気がする。
四号機と初号機に搭載されてるって話だけど…。

A10神経。
ドーパミン。脳神経の一つ。
エヴァとの接続には必要な神経の一つ。

使徒。
天使の名をした人類の敵。
色んな形状、形態、厄介な敵。こんなの相手にミサトは良くやってる。無論、私も。

ネルフ。
国連直属の使徒殲滅組織。
使徒が出て来てなかったら、国連の超お荷物組織。使徒が出て来て救われた。

ATフィールド。
Absolute Terror Field.
絶対恐怖空間?一種の多次元を発生させてるって聞くけど、詳しいことは知らない。
…違う。知らされてない。

シンクロ。
同調。訓練でシンクロするものだと思ってた。
けど、シンジやレイがそれを覆した。…きっと、感覚的なもの。

エヴァンゲリオン。
福音の名を冠した人類の最終人型決戦兵器。人造人間。生きてる。
零号機、初号機、弐号機、参号機、四号機まで建造。五号機からってのは聞いてない。
なぜか私と同い年しか乗れない。子供の頃は私だけしか乗れないと思ってた。…子供?

静寂の室内で、エヴァに関することを考え抜いていたアスカは気づいた。

同じことを何度も繰り返し思考し、考え抜いた挙句に辿り着いた結論。

母の声への回答を。

(そう。…そういうこと。)

ここに居た。

ずっと居たんだ。

ずっと、ずっと見ててくれていたんだ。

回答を見つけたアスカは、充足感からか満たされたような笑顔を見せて顔を上げた。

顔を上げた先に少年が座っていることも知らずに。

少年。

黒髪の少年。

少年は座っていた。

ベットの足元の折りたたみ椅子に腰掛け、不安げな面持ちを見せながら。

その少年はアスカが顔を上げると、喜びいっぱいの笑顔を見せて話しかける。

「アスカ」

幸せだと思った。

深い考察から戻って、最初に会う人物がこの少年で良かったと、心からそう思った。

アスカは一点の曇りもない澄んだ青い瞳を見せながら、少年に告白する。

今まで素直に言えなかった言葉。

心の奥に大事に秘めていた、大切な言葉を。

「シンジ、愛してる」 

 

 

 

つづく


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あとがき
では、また来年。

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