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天使に逢いたい


第6話:お兄ちゃん




ぶわんっ!



風切り音を残して軽くしゃがんだシンジの頭すれすれのところを太いものが横切る。ついで今度はそのしゃがんだシンジの顔面めがけてものすごい速さの拳が襲い掛かる!




そしてそれをシンジは軽くバックステップをする事で躱す!




「ちょっとシンジ君!少しは手を出してきなさいよ!」




あまりに簡単にすべての攻撃を躱されたミサトは苛立ち、声を荒げる。




今シンジはネルフ本部内、トレーニングルームにいる。彼は部活終了後、父親に会いに来たのだが、ミサトの「ちょーっちつきあってくんない?」の一言でここに連れてこられ、今から5分前いきなりミサトとの格闘が始まった次第である。先ほどの太いものとはつまり、ミサトの足であった。




「ミサトなんかずたぼろにしちゃっていいわよ、シンジ君。」



「うっさいわね!」




先ほどから何やら怪しげな機材でデータをとっている赤木リツコがシンジに言った。おかげでミサトはますます腹が立つ。




シンジは苦笑すると、一言。




「いやまあ、さすがにミサトさんには手出しできませんよ。後で加持さんに思いっきり怒られちゃいますからね。」




この言葉にリツコは思わず吹き出した。ミサトはかなりあせった。




「ちょっとシンジ君!私と加持は…」



「何でもない、なんてもう言えませんよね。」



「あう…」




ミサトがシンジに簡単にやり込められているのを見て、非常に珍しい事だがリツコは大笑い。ミサトは酸欠の金魚となっている。形勢が超不利とやっと悟ったミサトは話題を変えた。




「ほ、ほら、さっさと続けるわよ!」



「ふふ…そうね…フフフ…」



「ちょっとリツコ!いつまで笑ってんのよ!」




ミサトの叱咤にリツコはしれっと答える。




「ミサト。面白いもの見せてもらったわ。」



「…うー。」



「シンジ君。ミサトの言う通り少しはシンジ君もオフェンスに回ってくれないとデータが取れないから。」



「わかりました。じゃあ、少しだけ。」



そういうとシンジはミサトにむけて左肩を少し突き出すように立った。そしてミサトの目を見据える。




端から見ればシンジは自然体でミサトを見ているだけのようにしか見えない。実際、リツコはそう思っていた。




だが、ミサトは違った。シンジの全身から発せられたどうしようもないプレッシャーに襲われて、まるで自分の周りの重力が一気に数倍に増したように感じていた。




葛城ミサトは、軍事学校のすべての科目でほぼトップの成績を収めている。特に戦略と白兵戦においては、男も含め並ぶものがいないほどの優れた成績で、首席で卒業をしているほどだ。



その葛城ミサトでさえ一歩も動けない。いや、ゆえに一歩も動けなかったのであろうか。




時間にして10秒というところだろう。ミサトにとっては1時間とも思えたそのとき、ついに耐え切れずミサトはシンジめがけて飛び込んでいった。



それでも正規の軍事訓練を積んだだけの事はある。シンジと一気に間合いを詰めると、鎖骨に向かい正確無比な渾身の拳を最短距離で突き出す!あたれば確実に鎖骨は砕けるし、下手によけたらそのままつかまれてしまい、どちらにしろミサトのペースへと運ばれてしまう。つまり、ミサトは本気だった。




そしてこの時ミサトは間違いなく当たると思い、勝利を確信した。




しかし現実はミサトの思いどうりには進まなかった。



あたったと思われたその寸前、シンジのからだが揺れるように動き、そして消えた。ミサトはそう思った。そして気づいたころには突き出した右腕をシンジの右手で掴まれ、なおかつそのミサトの右腕の下に潜り込んだシンジが急所である脇の下に右ひじを打ち込もうとしてぎりぎりのところでとまっているシンジの姿があった。肘がまともに入れば間違いなく戦闘不能、運が悪ければ死んでいるだろう。一流であるミサトを簡単に、赤子同然にあしらわれた。その世界では超一流とされる加持リョウジでも正面からあたればまずかなわないだろう。



すべては一瞬の出来事。そしてその一瞬でミサトの完全敗北が決定した。




ミサトは、それを見ていただけだがミサトの実力をよく知っているリツコも、全身から噴き出す冷たい汗を止める事はできなかった。







シンジは一人歩く。その顔には先ほどのミサトとの模擬格闘にもみられなかった厳しい表情がある。シンジのカードのセキュリティレベルは、ない。ヘブンズドアすら自由に入ることができる。




そして、おそらくネルフ内で最も意味もなく重厚なものであろう扉の前に立つと、一つ息を吐きノックを2回する。




「入れ。」




中から声がした。そしてシンジは扉をあけ、無意味に広い部屋の中央へ向かい歩いていく。




「なんだ、シンジ。」




碇シンジの父親、ゲンドウの声が重苦しく響く。親子の会話とは思えない。




「父さん、僕をエヴァに乗せてください。まずは弐号機から。」



「…なぜだ。」



「やり残したことがあります。それは多分僕にしかできない。」




ゲンドウは頭の中で考え始めた。やり残したこと。ゲンドウの中に一つの事柄が浮かんだ。




「わかった。できるだけ早く手配する。」



「ありがとう、父さん。これが大まかな計画書です。」




シンジは50枚ぐらいのレポートらしきものをゲンドウに差し出した。そしてその表紙に書かれた題名を見て、決して表情には出さないが深く感動した。そして自分の推測が正しかった事を知る。



中を大まかに見る。そして今度は感嘆する。




「シンジ、これをひとりでやったのか?」



「ええ。現状把握はだいたいできていましたし、基礎理論は元々あったしね。あとは被験者でもあった僕から見て修正個所と新しい理論をいくつか構築してそこのところの誤差修正をするだけでしたから。実行段階にするにはリツコさんともう一度練る必要があると思いますけど。細かなところや他の新たな問題が生じそうなところはもうすぐまとめてだせると思います。あと、これが成功するとエヴァ弐号機はたぶんもう二度と使えませんね。初号機はまあ大丈夫かもしれませんが。でも初号機はまだプランすら立ててないので後回しですね。しばらくはリツコさんのところに入り浸りになりますね。」



「……そうか。ではこの計画の全指揮権を与える。あとシンジにはもう一つの階級を与えよう。司令補佐だ。このことは第1級極秘事項とする。」




表向き(といってもこれも極秘事項だが)は2尉であるシンジにさらに司令補佐、ということはネルフのほぼ全権を自由に扱える最高階級であるとともに父さんのサポートをすることになる。秘密をほぼすべて知っているシンジにはお誂え向きかもしれない。




「……わかりました。でも僕はそんなに長くネルフにいるつもりはありませんよ。わかっていると思いますが。じゃ、もういきますね。」



「……シンジ。」



「今更言うのもへんかもしれん。だが、あえていわせてくれ。シンジ、頼む。これは必ず成功させてくれ。私にはそんなことすら言う権利はないのかもしれないがな。」




ゲンドウはほとんどはじめてといってもいいだろう、他人に、シンジに対して熱を持った口調で懇願した。ただし最後は自嘲気味であったが。




「……わかってるつもりだよ、父さん。これが父さんがしようとしていたこと。今では僕でしかできない事。父さんや、アスカに綾波、そして自分のためにも、絶対にやってみせるよ。そして父さん。僕は父さんの事はもう許しているよ。全部知ってしまったから。」




シンジの言葉はゲンドウにというより、自分に言い聞かせるようだった。




そしてシンジはゆっくりと出ていった。






これは、親子として交わされた、久しぶりの会話であった。








朝九時。今日は土曜日。シンジは『RIGHT』の第18ブロック入り口の前に立っていた。シャッターが開く。『RIGHT』開店の時間だ。




「シンジ。」



「あ、おはよ…」




シンジは待ち人、アスカの呼びかけで振り向いた。




「うん、ところでファーストは?」



「え?いないけど。」



「え!(じゃ、これってデート!?)」




昨日レイにも同じように地図を書いて渡したものだから、てっきりレイも一緒だと思っていた。が、それは嬉しい裏切りだった。




「あれ、アスカ、どうしたの?」



「なんでもない。で、どこ行くの?」




すでにシンジとデートだと思い込み上機嫌なアスカ。よく考えればシンジがそんな凝った誘い方をできるはずがないという事ぐらいわかりそうなものだが、今のアスカは浮かれていて気がつかなかった。




「ああ、バイクショップ。」



「はあ?」




バイクショップ。どう考えてもデートで行くようなところではない。アスカは聞き間違いかと思った。




「簡単に言うと…僕がバイクに乗ってる事は…あ、そうか。言ってなかったっけ。」




ここでアスカは思い出す。




(そう言えばユミはバイクに乗ったシンジに助けられた、って言ってたような…)




「まあいいや。で、新しくバイクを買おうと思ったんだけど、どうせならアスカに選んでもらおうかなーって思ってね。アスカはセンスいいからさ。」



「あんた、そんなことでわざわざこのアタシをよびだしたわけ!?」




シンジがデートという気分で誘ったんではないという事にシンジの言い方から気づく。そしてこの鈍感バカに対して苛立ちを言葉に吐き出す。




「・・・迷惑だった?あとでおごるからさ。それで勘弁してよ。」




本気で申し訳なさそうに言うシンジ。アスカは毒気を少々抜かれてしまった。




「…まあいいわ。じゃ、さっさと行きましょ。」




シンジと並んで歩き出す。かつて必ずシンジの2歩前を歩いていたことからみれば、成長しているのかもしれない。




ここでアスカは考える。




(バイク…アタシがシンジの後ろにタンデムで乗って、夕暮れ時の海岸通りをゆっくりと流す…かなりいいかもしんない……で、そのあとは……)




「アスカ?」




隣で歩く思い人に声をかけられ、かなり怪しいところまで進んでいった妄想から一気に引き戻される。すでにもう目的の場所についていた。慌てるアスカ。




「な、なによシンジ!ほらさっさと入るわよ!」




真っ赤になったアスカはさっさと入っていく。シンジはいぶかしげに思いながらも後に続いていった。








「あー、つまんない!どっかに私好みの美形のオトコでもおっこってないかなーっ!」




ロングヘアの髪を後ろで軽く縛ったなかなかの美女、推定20歳ぐらいだろう、が暇そうに声を上げた。ここは『RIGHT』の巨大な敷地の中にある、超大型バイク専門店。昼過ぎになるとにぎわう店内も、開店直後となると客一人いない。




「ほら、リオナちゃん、お客だよ。」




ひげ面で40過ぎの店長と思しき人物が声をかける。




「はあい。」




とりあえず返事をして今入ってきた客のほうを見たが、より一層気乗りがしなくなった。入ってきたのは女の子。高校生ぐらいだろうか。茜色の髪をしていて、同性の私から見てもアイドル顔負けの美少女だという事がわかる。が、あんな若い女の子が何か買うとは到底思えない。たぶん暇つぶしに入ってきたのだろう。




「ほらシンジ!さっさと入ってきなさいよ!」




連れがいるのだろうか。そんなことをぼんやり考えていると男の子が一人はいってきた。そしてその人物の顔を見たとき…憂鬱が一気にすべて吹き飛んだ。




(私好みの美少年みーっけ!…あれ?どっかでみたよーな…ま、いっか。)




そんなことはともかく、少女のほうがひとりで奥に消えていくのを見計らってから声をかけた。




「何かお探しでしょうか!?」




元気よく声をかける。そのときの彼の少し驚いた顔…もっ、サイコー!




「バイクをもう一台買おうと思ってきたんですけど…」



「えっ、君いくつ?」




私は驚いた。さっきの娘と同い年ぐらいのこの美少年がバイクを"もう"一台とは。




「15ですけど、ちゃんとライセンスは持ってますよ。」




そういうと彼は私に免許証を見せた。で、また驚く。確かに大型二輪の免許だが、もう一つ…国際B級ライセンスだ。国内ライセンスならともかく、国際ライセンスぅ!?




「うそ!あなたレーサーなの!?」



「元、ですけどね、今では。」



「ん、どうした、リオナちゃん。」




私の声を聞きつけた店長がこちらへ来た。私がひとしきり説明すると、店長はさらに驚く事を言った。




「君、もしかしてあのS・ジェファーソンかい?」



「え!知ってるんですか、僕の事。」




あまりメジャーとは言えない最近のバイクレース界だが、S・ジェファーソンといえばアメリカで行われた草レース、国際Aマッチレースを問わず、125GPとSB(スーパーバイク)クラスにおいて数々のレースの優勝をさらっていき、忽然と現れたデビューから4ヶ月たったときこれもまた突然消えた年齢、顔、経歴など一切不明の天才ライダー。メットのクリアスクリーン越しの顔以外、彼の顔は一切公表されていない。うわさでは年齢は16歳から18歳の間と言われている。私も彼のファンの一人。部屋にでかいポスターが張ってあるぐらいだ。目の前の繊細そうな美少年が…?




「もしかしてと思ったがそうか、それなら話は早い!で、どんなバイクを探してるんだい?」



「あ、そうですね。アスカ!」




少年は先ほどの美少女、アスカを呼んだ。




「シンジ、これなんかどう?」




アスカが選んだのはドゥカティ社の最新型モデルM900S。元来あったMシリーズに様々な装備がつまれた限定モデルだ。彼女がこれを選ぶさい、第一に後ろに乗ってつらくなさそうで、第二にかっこいいもの、という性能などてんで気にしていない基準があったことはシンジには知る良しもない。彼が理解できたのは、カラーリングに対してぐらいなものだ。その色は、アスカのイメージカラーと呼べる真紅だった。



「うん、いいと思うよ。店長さん、出力特性とか教えてもらえますか?」




そして店長とシンジ君(もうすでに私の中ではこう呼んでいる)は話し込む。




ここで私はアスカと呼ばれた女の子に興味を持った。




「ねえ、アスカちゃん、だっけ?かっこいい彼氏じゃない!」



「え、あ、まだ彼氏ってわけじゃ……」




先ほどまでの少し生意気な態度から一気にしおらしくなり赤くなった。わかりやすいコだなー。




「ふふっ、まだ、ってことは私にもチャンスがあるわね。私も彼のファンの一人だし。」



「え!」




アスカは驚く。




(ファンって…シンジがエヴァのパイロットであったことはアタシの名前も知らなかったみたいだからはずしていいわね。でもそれ以外なにがあるの?)




何やら理解できていないようなので私が説明してあげようとするとシンジ君の呼び声により失敗に終わった。




「アスカ、帰ろう。」



「あ、そうね。もう終わったの?」



「うん。じゃ、今言ったパーツ、つけておいてください。よろしくお願いします。」




「いやなに、君ならうちは大歓迎だよ!支払いは受け渡しのときにね。」



「はい、じゃまた来ます。」



そしてシンジ君とアスカちゃんは帰っていった。




これでも私は一級整備士。シンジ君のためなら腕は惜しまないわ!さーて、今入った仕事、やるとしますか!







「ふー。」




やっと一息つけた。




時間は2時少し前。ここは加持さんの店『Adam&Eve』店内。アスカと別れて速攻で家に戻ってからバイクで駆けつけ、バイトとして11時30分からここで働いているのだけれど、昼時はさすがにお客があふれんばかりにくる。しかも大半がなぜか若い女性。店内にそれほど客席がないのは救いだ。ウェイターや調理を加持さんと2人でこなしたものの、さすがにちょっと疲れた。




「加持さん、昨日もこんなに混んだんですか?」




カウンターの奥でコーヒーを飲んでいる加持さんに聞いてみる。




「いや、昨日はさすがにこんなには混まなかったよ。今日は土曜日ってこともあるだろうけど。」




加持はシンジの姿を見て入ってきた客が大勢いた事を知っているが、彼の問題でもあるし、何より売上がシンジがいるいないでは随分違うと言う事を悟ったため口にしなかった。




(さしずめ『看板娘』といったところだな。彼を雇ったのは大成功だったな。)




シンジはここで時間を気にし始めた。




(もうそろそろ…来た。)




入り口のガラス張りのドアを開け、綾波レイが入ってきた。昨日彼女に渡した地図はここのものだ。彼女とは一度きちんと2人で話をしようと思っていた。




「いらっしゃいませ。」




僕はそう声をかけた。綾波はちょっと驚いたみたいだ。




「加持さん、少し休憩もらいますね。」




加持さんはカウンターから少し僕らを見ると、




「ああ。ちょうど客もひいたしな。」




と、すべて見透かしたように言ってくれた。




綾波をカウンターに座るように言うと、僕はカウンターの中に入っていった。




紅茶をいれる。僕のはダージリンティー、綾波には僕のスペシャルティー。アップルティーにミントティーを少し混ぜ、ドライミントと小さく銀杏切りにしたリンゴを浮かべる。これをおいしく作るには微妙なブレンドの配合と正確な抽出時間が要る。




そして綾波に出すと僕はその隣に座った。




しばらく紅茶の味と香りを楽しむ。




「どう、それ?」




僕は綾波の紅茶を指していう。




「……おいしい。」



「よかった。今度この店でメニューに加えようかと思ってたんだけど、やっぱり他人の意見も欲しいからね。加持さんはいいって言ってくれたんだけど。」




ここのメニューはあたりまえだがほとんど加持さんが決めている。そして加持さんも料理がうまい。聞いてみたところ、




「前は俺も葛城と住んでたんだ。俺にとっては死活問題だからな。」




との事だった。




紅茶関係はすべて僕に任されてはいる。しかしコーヒーに関しては加持さんがいれたものは絶品で、彼流のこだわりがあるらしい。




「あ、そうだ。綾波、これプレゼント。」




僕は黒い包装紙に包まれたものを差し出す。




綾波は開けてみる。中に入っていたものはハイネックで長袖の滑らかな生地でできているワンピース。色は漆黒で丈はかなり長く、床につきそうだ。多分綾波がこれを着ると、神秘的な彼女の魅力が一層際立つ事だろう。




「ありがとう、碇君。」




極上の笑みで返してくる。




「でも、何で私にくれるの?」



「綾波に似合うんじゃないかな、って思って。」




率直な意見で返す。でも綾波は翳りを全面に出した口調で言った。




「そうじゃなくて。私なんかにどうして買ってくれるの?……私の秘密を知っているのに。」




そう、それだ。僕は綾波のその部分、自分は人と違うんだ、という認識を変えてあげようとしている。




「綾波、自分を卑下するのはもう止めろよ。少なくとも僕と綾波には絆がある。切っても切れない『兄妹』って絆がね。」



「碇君…」



「もう綾波は僕にとっては本当の家族なんだよ。僕にとっては『綾波レイ』という名の一人の大事な人なんだよ。」



「あなたは私を『人』だと言ってくれるの?」



「当たり前じゃないか!・・・それにもう綾波は一人じゃないんだよ。」



「……」



「もう少なくとも兄である僕がいるじゃないか。」




僕は優しく、諭すように呟く。




綾波は無言で僕に寄りかかるとすすり泣いた。





5分ぐらいたっただろうか。そのまま彼女は一言呟いた。




「……ありがとう、お兄ちゃん。」




レイは兄妹愛という愛情を知った。そして自分の愛する兄がどれだけ自分の事を気にかけ、私を愛してくれているのかを。




今は兄妹でいい。私の愛する人のそばにいられるのなら。







冷めかかった紅茶が妙においしかった。





続く
ver.-1.00 ご意見・ご感想・苦情・その他はy-tom@mx2.nisiq.netまで!!

作者の弁

第6話、いかがでしたでしょうか?

今回はなんと!たった二日でメールが6通となってしまったので急いで書き上げました。まあ休みだからそんなに時間作りには苦労しなかったのでまあいいか。

それと、はぁ。また5話において途中が飛びましたね。申し訳ございません。

ついでに言っておきますと、次話はまだ手をつけておりません。今回張った伏線でも使いますかね。でも、いつも通りに5通きたら必死になって書き上げてみせましょう。


 TAIKIさんの『』第6話、公開です。
 

 最近ふと思ったこと・・
 「どこかで【登場人物完璧君大会】なるものが開かれているのでは??」
 (^^;
 

 めぞんに投稿されてくる作品、そういうのかなり有りますよね。

 シンジがそうであったり(^^)
 オリキャラがそうであったり(^^;

   

 後者は置いておくとして、

  ラブラブアスカxシンジ = LAS

    に対して

  シンジ スーパー 格好いい = SSK

    なんてものが出来たりして・・野球用品みたいだ(^^;

 
 
 

 プロのミサトを一蹴し、
 バイクでは国際ライセンス、
 さらに
 レイを補完。

 ここのシンジくんも底が見えないですね(^^)

 1年間、どういうスケジュールで鍛えていたんでしょう。
 

 さあ、訪問者の皆さん。
 順調にメールを受けているTAIKIさんに新規の感想を!


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