【PART.3】の続き
レイ「碇君は……露出してるところを見て、どう思うの?」
シンジ「綾波?」
レイ「……お昼、皆がよく言ってる。『男子はエッチな事が好きって』」
シンジ「あー、うん。アスカとマリが居るとそういう話になりそうだね」
レイ「……ヒカリさんも」
シンジ(ちょっとショックかも)
レイ「露出って、エッチなことなんでしょ?」
シンジ「……まぁ、それは、そうだけど」
レイ「……私だけ、よくわかってないの。なんだか、もやもやする……」
シンジ「……」
レイ「……の」
シンジ「……」キョロキョロ
シンジ「綾波、教えてもいいけど……約束してほしいんだ」
レイ「?」
シンジ「僕が教えたって言う事実は 誰にも喋らないでほしい」
レイ「……」コクン
シンジ「そう、か。じゃあ、教えるけど……」
シンジ「僕に背を向けて?」
レイ「……こう?」クルッ
シンジ「……そしたら、スカートの前のほうを持ち上げて」
レイ「……見えちゃう」
シンジ「見せるんだよ」
レイ「え」
シンジ「誰も居ないから大丈夫」
レイ「……」
レイ「……」スッ
シンジ「……持ち上げてる?」
レイ「……ええ」
シンジ「あっ、誰か来た」
レイ「!?」パッ
シンジ「……」
レイ「……ウソツキ」
シンジ「こっち向いていいよ」
レイ「……」クルッ
シンジ「びっくりした?」
レイ「……えぇ」
シンジ「そっか、でも、皆が言ってる露出って言うのは、これで気持ちよくなっちゃうことなんだ」
レイ「きもち、いい?」
シンジ「えっと、多分。そう」
レイ「……」
レイ「……」ペタン
シンジ「あ、綾波!? どうしたの?」
レイ「な、なんでもないっ……」
シンジ「……」ゾワゾワッ
レイ「……碇君……?」
シンジ「……綾波、家まで、送っていくよ」
レイ「……」
シンジ「……」
レイ「……」
シンジ「……立てる?」サッ
レイ「えぇ……」キュッ
シンジ「行こう」
レイ「……えぇ」
ギュッ
レイの家
レイ「……」
シンジ「綾波が急に座り込んじゃって、心配したよ」
レイ「ごめんなさい。でも、なんともないから」
シンジ「なんともないことないだろ?」
レイ「……」
シンジ「ねぇ、綾波」
レイ「なに?」
シンジ「正直に答えてよ」
レイ「……」
シンジ「どうして、座り込んじゃったの?」
レイ「……」
シンジ「風邪? だったらリツコさんに連絡して早く診てもらわないと」カチャ
レイ「っ!」
シンジ「あ、もしもし、リツコさんですか?」
レイ「……ぃやっ」ガバッ
シンジ「わっ」ドサッ
レイ「やめて、電話、しないで」パッ
シンジ「……」
レイ「もしもし、赤木博士……?」
携帯電話「明日の天気は、晴れ ときどき 曇り」
レイ「……っ」
シンジ「……」
レイ「―――っ」
シンジ「……ねぇ、綾波」
レイ「……ウソツキは、嫌い……」
シンジ「僕を押し倒して、携帯を奪ってまで、何を隠したいの?」
レイ「……」
シンジ「ねぇ? 気付いてる? 綾波が僕のおなかの上に跨ってるよね?」
レイ「……」
シンジ「……伝わってくるんだよ、綾波の体温」
シンジ「でもね、どう考えても、濡れてるのはおかしいと思うんだ」
レイ「……っ」
シンジ「綾波?」
レイ「見ないで……」
シンジ「どうして?」
レイ「今、碇君に見られてると……ぽかぽかしない」
シンジ「……どうなっちゃうの?」
レイ「っ……ドキドキ、する……」
レイ「……体の芯が熱くて、お腹の下の辺りが、締め付けられる感じ……」
レイ「……苦しい……」
シンジ「……さっき座り込んだときも、そんな感じだったんだ?」
レイ「そう……なの」
シンジ「綾波」ムクッ
レイ「っ……動かないで!……擦れて、変な感じに……なるの」
シンジ「どんな感じ?」
レイ「……体の……芯の……熱が……」ハァ ハァ
シンジ「……ゆっくりでいいよ、聞かせて」
レイ「……溶けるように……気持ちよくて……」
シンジ「気持ちよかったんだ?」
レイ「……」コクン
シンジ「気持ちいいのは、好き?」
レイ「……わからない。怖い」
シンジ「……そう、か」
レイ「でも……気持ちいい」
シンジ「そう、か」ムクッ
レイ「っ……碇君……っ……ぃぅッ……!」
シンジ「綾波、声を我慢しなくても良いんだよ?」
レイ「……でも、それは、いや」
シンジ「どうして?」
レイ「恥ずかしい……」
シンジ「そうだね。艶っぽい声を出すのは、恥ずかしいね」
レイ「……」
シンジ「でも、恥ずかしいのが気持ち良いのかもしれないよ?」
レイ「……え」
シンジ「さっき、パンツ見られたかもって思って、腰が抜けちゃったんだよね?」
レイ「……」コクン
シンジ「……そのときも、溶けるような熱を感じた?」
レイ「……」コクン
シンジ「……」
レイ「……わかったわ……碇君」
シンジ「どうしたの?」
レイ「……思い出したの。碇君たちが盗み聞きしていた日のこと」
シンジ「……」
レイ「弐号機の眼鏡の人、弐号機の人……
二人とも、貴方にスカートの中を見せつけようとしていた」
レイ「それを見て、それがどういう行為なのか、そのときはわからなかったけど
今ならわかる」
シンジ「うん」
レイ「……私も……露出が気持ち良い……」
シンジ「……うん」
レイ「……それも、碇君に気持ち良くしてもらうと、嬉しい……」
シンジ「……うん」
レイ「…………碇君」
シンジ「……」
レイ「……もっと、エッチなこと、教えて……」
シンジ「……」
*****
マリ「んー、半分本気なんだけどにゃー」
アスカ「私だって、半分くらい……………………………………………………」
アスカ「…………………………………………………………………………本気、だもん」
*****
シンジ「……」
レイ「……碇君?」
*****
アスカ「変態で、悪かったわね……」
マリ「『変なこと』には期待してくれないのかにゃぁ?」
*****
シンジ「……綾波……」
レイ「え?」
シンジ「ごめん、今綾波の要求に、応えることはできない」
シンジ「少し、考えさせてほしいんだ」
レイ「……わかったわ。碇君の答えを、待ってる」
シンジ「ありがとう。綾波。今日はコレで帰るよ」
レイ「そう……じゃあ……また、学校で……っ」
シンジ「うん、またね」
帰り道
シンジ「……」トボトボ
シンジ「……」カチャッ
prrrrr
シンジ「……あ、夜分遅くにすみません。リツコさん、ですか?」
翌日 ネルフ シンクロテスト
アスカ「何でいきなり招集かけられて、いきなりシンクロテストなわけ?」
ミサト「事情が変わったのよ。大人の面倒くさい事情」
マリ「それは大変だにゃー」
アスカ「納得いかないっ」
ミサト「じゃあ、納得行くまで聞いてみる? 私の目元のクマさんに」
アスカ「……本気で言ってるわけじゃないわよ! ごめん、ミサト!」
レイ「……」
シンジ「……」
各種モニター前
リツコ「……マヤ、データを」
マヤ「は、はい……でも、このデータって……」
リツコ「あなたには抵抗があるでしょうけど、ちゃんとデータ収集して頂戴」
マヤ「……は、はい!」//////
リツコ「……」
数分後 シンクロテスト
ミサト「おっけー、女の子たちはあがって良いわよ」
アスカ「え」
マリ「にゃ」
レイ「……」
ミサト「シンジ君、ちょーっち今日は調子悪すぎなんじゃないかな?」
シンジ「す、すみません」
ミサト「特別訓練、受けておく?」
シンジ「えっと、はい。お願いします」
マリ「え、じゃあわんこ君一緒に帰れないの?」
アスカ「何よ、バカシンジ……この大事なときに……」
レイ「碇君……」
シンジ「ご、ごめん。でも、いざというときにちゃんと戦えるようにしたいし、
今日は、残って訓練するよ」
アスカ「……ま、いいけどっ」
マリ「にゃーん……」
レイ「……」
十数分後 研究室
リツコ「いらっしゃい、シンジ君」
シンジ「どうも、昨日は遅くに電話して済みませんでした」
リツコ「いいえ。迅速な対応には迅速な報告が不可欠。あなたの行動は賞賛に値するわ」
シンジ「それなら、良かったです」
リツコ「一応教えておくけど、貴方のシンクロ率、
いつもよりちょっと低いだけで全然以上なしだったわ」
シンジ「そうですか、それはちょっと安心しました」
ミサト「口実とは言え、ああ言われたら心配だったでしょ?」
シンジ「あはは、少し」
リツコ「でも、安心していられないかもしれないわ」
リツコ「……あなたの相談を受けて調べてみたんだけど、興味深くも恐ろしい答えが出たのよ」
シンジ「……本当、ですか?」
ミサト「ええ、残念ながら」
リツコ「エヴァのパイロット三名が、似たような異常性癖
いわゆるマゾヒズムに目覚めてしまったこと
コレは年齢や、性経験がまったく無いことからしても、特別異常なこと」
ミサト「……気分を悪くしないでね、シンジ君。
コレも、大切なことだから」
シンジ「いえ、わかってます」
リツコ「興味がある、という程度ではなく、
マリ、アスカ両名は明確な露出癖を持ち……
レイにもその兆候が見られた。
貴方の証言を信用するとこの通り」
シンジ「ええ、間違いないと思います」
リツコ「極め付けに、貴方が自覚しつつあるサディズム
コレは極稀に性経験が無くても起こりうることだけど、
この線も含めて総合して検査してみたところ、」
シンジ「……」ゴクリ
リツコ「エヴァ搭乗者のみにおける、
性的感覚のディストーションが見られる事がわかったわ」
シンジ「……!」
ミサト「……」
リツコ「……何か、言いたそうね」
ミサト シンジ「……日本語で、お願いします」
リツコ「……要するに、エヴァ搭乗者の性的感覚が歪みやすいということよ」
リツコ「各種データ、プライバシーの端に至るまで調査したけれど、
彼女たちのその性癖は極最近のもの
そして、マリにおいてはエヴァ搭乗期から発症の節が見えている」
ミサト「……エヴァに原因があるかもしれないという仮説に至るのは、当然ね」
リツコ「その仮説を元にデータを取った資料がコレ」パサァ
シンジ「……見方が、わかりません。すみません……」
リツコ「そう、そうよね。ごめんなさい。私も、少し気が動転しているの」
ミサト「……いえ、無理しなくてもいいわ。今はまだ、時間があるんだし」
リツコ「大丈夫、話せるわ。シンジ君、このグラフを見て頂戴」
リツコ「シンクロテストや搭乗時、貴方たちの精神状態はこの穏やかな波の状態にある」
シンジ「はい、コレはなんとなくわかります」
リツコ「そして、少し乱れるとこのようにジグザグになったりするのよ」
シンジ「コレは」
ミサト「私がシンジ君に、シンクロ率悪いわよって声かけたときね」
シンジ「あはは……」
リツコ「そしてコレが、恐怖や激昂で感情が制御できなくなったときのグラフ」ペラッ
シンジ「触れ幅が大きすぎて、ぐちゃぐちゃになってますね」
リツコ「このとき、グラフ上でもありえない事が起こっているの」
シンジ「……どういうことですか?」
リツコ「グラフが、巻き戻っている箇所があるのよ
今まで私たちはそれを『歪み=ディストーション』と呼んでいたわ」
リツコ「でもそれが何かに影響しているということは、今まで掴めなかった。
そう、今まで着目しなかったところにこそ、影響していたのよ」
シンジ「それが、『性癖』だった?」
リツコ「そう。今回のシンクロテスト、
ちょっと強引な形で何度かディストーションを引き起こしてみたけど
その度に貴方達の性的思考が歪んでいくのがわかったわ」
リツコ「感情の制御ができなくなって精神が歪む前に、
別なところで歪みを矯正する
おそらく、ディストーションは
エヴァ搭乗者のみが持つ自己防衛機能のようなものなのよ」
シンジ「……精神が壊れないように、性癖が歪むってことですか?」
リツコ「そう。そして、その傾向としては……
生殖行為において受身である女性はマゾヒズムに目覚めやすく
攻める立場である男は、サディズムに目覚めやすい
どちらも、歪みの方向性は定まっているようなの」
シンジ「……なんで、よりによって、性癖なんですか?」
リツコ「……貴方、オナニーはしている?」
シンジ「……」
ミサト「……リツコ、あんたねぇ」
リツコ「気持ちはわかるけど、正直に言いなさい。
それとも、先にミサトのオナニー事情が気になるのかしら」
ミサト「りつこぉ!!」
シンジ(気にならないといえばウソになるけど……)
シンジ「えっと、たまに……一週間に一回くらい」
リツコ「……少ないわね。それとも性欲が弱いのかしら?」
シンジ「我慢してるんですよ」
リツコ「そう。じゃあ、さぞかし出した後はスッキリするでしょうね」
シンジ「コレも、意味がある質問なんですよね?」
リツコ「ええ」
シンジ「……気持ちいいと思います」
リツコ「そう。手っ取り早く気持ちよくなれるのは、
やっぱり性欲を満たしたときなのよ」
リツコ「フロイトの精神分析学は、
『性欲』がキーワードであるといっても良いほどよく出てくる
私はそれをあながち間違いではないと思うわ
人間、理性で抑えてはいるけど結局性欲で動く節がある」
ミサト「……」
リツコ「『よりによって』ではないのよ。
コレは、『必然的に』性欲が歪んでしまっているの」
シンジ「……」
リツコ「……ごめんなさい。難しい年頃なのにね」
シンジ「えっと、でも、なんとなく、わかりました」
シンジ「エヴァに乗っている間だけ、こうなるんですよね?
じゃあ、いつかエヴァに乗らなくなったら、皆元通りに……」
ミサト「ならない、のよ」
シンジ「え……」
ミサト「……この歪みは、一時的なものではないの」
シンジ「ど、どうして……って、聞くのも、変ですよね」
リツコ「そうね。どうしてといわれても、そうなってしまったのだから、としか」
シンジ「……」
リツコ「この歪みを更に矯正するのは、人格矯正でしかなし得ないこと
もちろん、生活に影響が出るようになったら
人格矯正プログラムにしたがってもらうけど、
極力パイロットに精神的負担をかけたくないの」
シンジ「そうですね。それに、このことを伝えるのも、良くないと思います」
リツコ「……あなた、こんなに聞き分けのいい子だったかしら?」
シンジ「え?」
リツコ「話が早くて助かるって意味よ。
この話はほかのパイロットには伝えません。
コレは、私とミサトで相談してそう決めたわ」
シンジ「……父さんには、報告しなかったんですか?」
ミサト「報告だけはしたわ」
リツコ「司令は『エヴァの操縦に支障が出ないように対処しろ』と」
シンジ「……そうですか」
ミサト「私たちの考える最善は、なるべく自覚させないようにすること」
リツコ「それともう一つ、
欲求不満で生活や戦闘に支障が出る前に、
ある程度の性的欲求を満たすよう仕向けること」
シンジ「まさか……」
ミサト「……適任は、貴方ってことになるわね」
リツコ「三人とも可愛いじゃないの。良かったわね、ハーレムは目の前よ」
シンジ「ハーレムって……でも、そんなのオカシイですよ!」
リツコ「オカシイなんてことはないわ 一夫多妻を認める国家は存在する」
シンジ「えー……」
リツコ「それに貴方は世界を守るエヴァのパイロット。
当然、将来は約束されたも同然
三人を養いつつ、遊んで暮らせるだけの金と名誉がある」
リツコ「マリのことはわからないけど、
少なくともアスカとレイは少なからず貴方に好意を抱いている」
シンジ「……」
リツコ「……深く考えることはないわ。
貴方にしてほしいのは、真心こめてあの子達をイジめてあげること」
シンジ「真心こめて、イジめる……」
リツコ「そのためにはハーレムが一番良いのだけど、
そこまで貴方に求めるのは酷だと思うし、
もちろん倫理的にNOという意見もないわけではない」
ミサト「……」
リツコ「せめて一人でも、シンジ君の寵愛を与えてくれれば、
こちらの負担は激減するわ
何度も言うけど、もちろんハーレム完成が一番望ましいのは事実よ」
シンジ「眩暈、してきました」
ミサト「……学生にハーレムとSMプレイを強要するなんてね。
正直、要求する側としてもかなり胃をいためる決断だったわ」
シンジ「まぁ、そうですよね。滅茶苦茶だ」ハハ……
ミサト「無理にとは言わないし、シンジ君がイヤだと思ったら、
この話は忘れて、いつもどおりの生活をして頂戴……
私から言えるのはそれだけよ」
シンジ(滅茶苦茶だけど……)
リツコ「……」
ゲンドウ「コレもまた、補完か……」
冬月「アホなことを言うな。碇。彼らは肉欲を抑えられないだけに過ぎんよ」
ゲンドウ「たとえ肉欲であっても人の心。穴埋めをするのは補完と言えますよ」
冬月「……お前の息子が、彼女ら三人の神となる、とでも言うのかね?」
ゲンドウ「もしも奴が三人を自らの手で癒そうとするなら、
求められた分与えるだけの条件は揃っている。
三人にとっては神に等しい存在になれるのではないか?」
冬月「人が神になる、か。 お前の目的が、コレだったとしたら……
私は気が狂うところだったよ」
ゲンドウ「戯れを……
計画は揺るぎませんよ」
研究室前
シンジ「はぁ……」
レイ「碇君」
シンジ「……え」
レイ「……」モジモジ
シンジ「……聞いてたの?」
レイ「いいえ。私だけ仮説は聞かされていた」
シンジ「そんな、リツコさんが……?」
レイ「弐号機の人たちには知らせていない。
赤木博士が欲しかったのは、無意識のデータと協力的なデータだった
だから私は知らされていたの」
シンジ「それじゃあ、綾波は知ってしまったんだろ?
でぃ、でぃっしょ、でぃ」
レイ「ディストーションによる性癖の歪み」
シンジ「そうそう、それ」
レイ「知ってる。そして、おそらく私はまだ軽症」
シンジ「でも綾波は、僕よりずっと前からエヴァに乗って……」
レイ「ごめんなさい。話せば長くなるから、私の用件を言ってもいいかしら?」
シンジ「え?」
レイ「こっち」グイッ
シンジ「わっ、ちょっと……」
ネルフ所内 空き部屋
レイ「……」
ガチャ PI---
レイ「……鍵、閉めた、から」
シンジ「えっと、どうしたの? 綾波」
レイ「……ここ、誰も来ない、から……」
シンジ「……」
レイ「だから……」
シンジ「……あ」
レイ「……碇君の答え、教えて……」
シンジ「……っ」ゾクゾクゾクゾク
シンジ「……教えてって、言っても、綾波はもうやる気満々なんじゃないの?」
レイ「……」
シンジ「ねぇ?」グイッ
レイ「っ……」
シンジ「…ねぇ、アレ見てよ 綾波はこの部屋を選んで僕を連れてきたんだよね?」
レイ「……えぇ」
シンジ「この空き部屋にベッドがあるなんて知らなかったよ」
レイ「……」
シンジ「答えを聞きたい、じゃないでしょ?」
レイ「……なんて、言えばいいの?」
シンジ「僕の口からはいえないよ。だって、綾波の意思が聞きたいんだもの」
レイ「私の……意思」
シンジ「どうしたいの? 綾波」スッ
レイ「私は、碇君と、気持ち良くなりたい」
レイ「昨日、眠れなくなるほど……碇君のことを思ってた……」
シンジ「……」
レイ「エッチなこと……知りたい」
シンジ「……」
レイ「……碇君、触って」
シンジ「綾波……よく言えたね」
レイ「//////」
シンジ「綾波のそんな顔、初めて見たよ」
レイ「……いじわる……」
シンジ「可愛いよ綾波」ナデナデ
レイ「あ……」
シンジ「ほら、ベッドに座って……」ゴソゴソ
レイ「……」ドキドキ
シンジ「……期待してる目だね。なんとなく、わかるよ」
シンジ「でもダメだよ」
レイ「え……」
シンジ「知りたいだけなら本でも学習できるでしょ?」
レイ「そんな、こと……」
シンジ「ねぇ綾波」トンッ
レイ「きゃっ!」トサッ
シンジ「……この部屋、何の部屋かわかってた?」
レイ「え? え?」
シンジ「エッチなことで頭いっぱいだったの? それとも、狙ってここに入ったの?」
シンジ「この部屋はね、昔の取調室みたいだよ?」
シンジ「それも、超法規ネルフの特別な部屋だったみたいだ」
レイ「……碇君? ……怖い……」ヒクッ
シンジ「綾波……」ゾクゾク
シンジ「…………でも、イヤじゃなさそうだね」
レイ「怖い……怖いのは、いや……」
シンジ「そう? でも、こういうのも期待してたんじゃないの?」 ガチャッ
レイ「冷たい……何、これ……」モゾモゾ
シンジ「手錠、だよ。ベッドの下に転がってたんだ」
レイ「……手錠? なん、で……どうして?」
シンジ「身動きが取れないでしょ?」
レイ「……えぇ」
シンジ「抵抗できないのに、これから僕に何もかも良いようにされちゃうんだよ?」
レイ「……エッチな、こと?」ゴクリ
シンジ「そう、エッチなこと」ズイッ
シンジ「綾波、この異常な状況で僕にどうしてほしいの?
本当に触ってほしいだけ?」
レイ「……触って、性感を高めて……セックスする……
エッチなことって、そういうことじゃ、ないの?」
シンジ「それも確かにそうだね」
シンジ「でもさ……」
クチュ
レイ「! っあ……」
シンジ「今、指で触ってみたよ。綾波のアソコ。気持ちよかったかい?」
レイ「……わから、ない」
シンジ「……」
レイ「……」モジモジ
シンジ「そのおねだりの仕方はずるいなぁ。でも、僕がほしい反応は違うけどね」
シンジ「じゃあ、綾波……こういうのはどう?」
レイ(碇君が近づいてくる……)
シンジ「舌は、何のための器官だと思う?」
レイ「……食べることや、喋るための、器官」
シンジ「そうだね」
レイ(碇君の反応が悪い……気がする。答えは多分コレじゃない)
レイ「……舐める、こともできる」
シンジ「……いいね、綾波。なんとなくわかってきたみたいだね」ナデナデ
レイ「……」プイッ
シンジ「綾波? 撫でられるのイヤだった?」
レイ「違う、けど……なんだか、恥ずかしかった……」
シンジ「クスッ そう」
シンジ「じゃあ、舐めることのできるこの舌を使ってさ」
レイ「っ! 碇君、そ、そこは……」
レイ(碇君の頭が、脚の間に……)
シンジ「舐めるよ?」
レイ「や、いや……そんなところ、舐める場所じゃないわ……」
シンジ「舐めてはいけないと決めたのは誰?」
レイ「決めているわけではない、けど。でも、そこは……汚い……」
シンジ「汚くなんてないよ。下着に染みはできてるけど……」
レイ「や、いやぁ……」ジタバタ
シンジ「っ 綾波!」ガシッ
レイ「……っ」
シンジ「……あんまり、暴れないで」
レイ「……?」
シンジ「その、手錠って、あんまり暴れると跡が残っちゃうから……」
レイ「……」ホッ
レイ(いつもの、碇君……)
シンジ「一旦、手錠外すね?」
レイ(でもどうして? なんだか……残念)
ガチャガチャ
シンジ「取れたよ、綾波」
レイ「……っ」
ギュウウウゥゥゥゥ
シンジ「い、いたたたた! やめ、やめて、綾波、内腿はヤバイ!!!」
レイ「……怖かった」パッ
シンジ「はぁ、はぁ……」
レイ「碇君が、怖かった……」
シンジ「……で、どうだった?」
レイ「……ゾクゾク、した……」
シンジ「気持ちよかったんだ?」
レイ「わからない」
シンジ「そうか、でもね、綾波。手錠を外す直前、
至近距離で綾波のアソコを見ていたわけだけど」
レイ「……」
シンジ「触ってもいないのに、どんどん染みが広がっていっていたよ?」
レイ「……」
シンジ「それは、気持ち良くなっている証拠だと思うんだけど……」
レイ「……でも、そんなの、おかしいわ……」
シンジ「触ってもいないのに性的興奮が高まるなんておかしいって?」
レイ「そう、そうよ……」
シンジ「性感を高めるのは何も、接触だけじゃないんだよ」
レイ「……」
シンジ「言葉だったり
視線だったり
雰囲気だったり
快感はいろんなところからやってくる」
レイ「碇君の言葉……視線……雰囲気」
シンジ「さっきの意地悪な言葉と、イヤらしい視線と、高圧的な雰囲気。
それらを受けて、綾波はどう感じた?」
レイ「……ゾクゾクした」
シンジ「ゾクゾクしてどうなった?」
レイ「…………濡れた……」
シンジ「ただ指先で触られるのと、どちらが興奮した?」
レイ「興奮……」
レイ「……碇君、私……」
レイ「私……軽症なんかじゃなかった……」
レイ「弐号機の人たちと同じ……」
レイ「私も……同じ…………変態だった」
夜 レイの家 前
シンジ「大丈夫? 綾波?」
レイ「少し、眩暈がする。 自分が変態だったなんて、思いもしなかったから」
シンジ「……ショックだったんだね」
レイ「割と……」
シンジ「本当に、大丈夫? 寝れそう?」
レイ「それは、心配ないわ……だって、さっきので、少し満たされた気がするもの」
シンジ「えっ……」
レイ「多分……絶頂、したと、おもう……」
シンジ「……」//////
レイ「……碇君こそ……ムラムラ、してない?」
シンジ「あ、いや、まぁ、僕は大丈夫だよ」
レイ「嘘」
シンジ「あはは……でも、僕のほうは今綾波に甘えるわけにはいかないから」
レイ「そう、なの?」
シンジ「うん。ま、まぁ!だから!僕のことは良いからさ、とりあえず綾波は休みなよ」
レイ「……私、碇君の助けになりたい……」
シンジ「え?」
レイ「碇君、苦しそうだもの」スッ
シンジ「あ、」
レイ「ねぇ、碇君」ギュッ
シンジ「……」
レイ「私じゃ、だめ?」
夜 カヲル宅
カヲル「で、もう色々大変で、ここに来てしまった、と」
シンジ「夜遅くに、ごめんね」
カヲル「別に良いよ。僕も起きていたしね」
シンジ「ああ、一応言っていくけど、もう下半身のほうは落ち着いているから」
カヲル「それなんのための前提なんだい?」
シンジ「カヲル君、時々変な雰囲気で近づいてくるときがあるから……」
カヲル「物事は、直球に」
シンジ「……カヲル君ゲイっぽいから」
カヲル「そんなんじゃないよ。僕はただ君に興味があるだけさ」
シンジ「その発言が……って、もういいや。そのことは」
カヲル「ふふ、クラスも違うから、最近会えてなかったけど……君は本当に面白いよ」
シンジ「そうかな」
カヲル「そうだよ。普通の人間は
『SMハーレム作れって言われたどうしよう』
なんて悩みは持たないよ」
カヲル「二重の意味でね」
シンジ「二重の?」
カヲル「そうさ。まず、ありえないからそんな悩みは持たない
次に、SMはさておき、ハーレム作れって言われて
しかもお膳立てまでされていると来たら、普通の男は二つ返事で
ハーレム完成さ」
シンジ「……カヲル君もそう思うの?」
カヲル「僕が普通の男だと思う?」
シンジ「全然」
カヲル「クスッ、僕は異常さ。だから、君もなんとなく僕に惹かれるんだろう?」
シンジ「そう、かもしれない。
でも、なんだかトウジやケンスケに相談できないことも
カヲル君にならなんだか話せる気がするんだ」
カヲル「やめてくれよ。勘違いしちゃいそうだ」
シンジ「残念だったね。僕はやっぱり女の子の方が好きみたいだ」
カヲル「フフフッ、それを聞いて当然だと思ったってことは、僕はやっぱりゲイじゃないみたいだ」
カヲル「安心してくれて良いよ。僕は君の尻には興味がないと今わかった」
シンジ「途端に下世話なこと言うね」
カヲル「男子の会話が下世話じゃなくてどうするのさ。誰も聞いてないのに」
シンジ「うわぁ、この会話、クラスの女子には聞かせられないよ」
一時間後
カヲル「ほんと、君と話していると退屈しないよ。いつまでも一緒にいたいくらいだ」
シンジ「そう言ってくれると嬉しいけど、
あんまり言い過ぎるとちょっと困るかな」
カヲル「どうしてだい?」
シンジ「どうしてって、僕たち一部ではホモ疑惑立てられてるんだよ?」
カヲル「ホモ、それは良くないね」
シンジ(この目はくだらないこと考えてる目だな)
カヲル「差別用語で表すのは感心しないね。ゲイ疑惑って訂正して回ろうか」
シンジ「やっぱりくだらないこと考えてたね」
カヲル「はははっ、ところで、夜も遅いけど本当に帰るのかい? 泊まって行ってもいいんだよ?」
シンジ「ああ、大丈夫だよ。ほら、エヴァのパイロットってある程度、ね」
カヲル「……ああ、なるほど。僕はパイロットじゃないけど、その辺の事情はなんとなく察したよ」
シンジ「おかげで夜道が全然怖くなくなっちゃったよ」
カヲル「確かに。ネルフの後ろ盾があったら夜道なんてね」
シンジ「使途の方がよっぽど怖いさ」
カヲル「……ねぇ、碇君」
シンジ「うん?」
カヲル「君がどういう選択をしても、きっと誰かは君を否定するよ」
シンジ「……」
カヲル「でもね、君の思うように生きることを、
誰かが否定する権利なんてないと思うんだ
人間は、自由なんだ。
選択をするのも、命のあり方を決めるのも」
シンジ「……」
カヲル「君がどんな選択をしようと、僕はそれを全力で祝福するよ
間違っていたとしても、僕はそれを否定はしない
間違いに気付いて君が後悔しても、それらすべてを受け入れる」
シンジ「……」
カヲル「君に今委ねられたものは、希望も絶望も内包している
でも、恐れないで掴み取ってほしい」
カヲル「君だけの、未来を」
朝 ミサト宅
pipipipipipipipi
シンジ(朝、だ)
シンジ「……はぁ」
シンジ(今日は、休みだから……ちょっと、寝よう……)
ミサト宅
ピンポーン
マリ「にゃ? はいはーい」
ガチャ
レイ「ごめんください」
マリ「ファーストちゃん? いらっしゃぁい」
レイ「……おはよう……マリ」
マリ「!?」キョトン
レイ「……名前で呼ぶの、だめ?」
マリ「だ、ダメじゃないよー。ドキッとしちゃったにゃーもー♪
さっさーあがってあがって」
レイ「良かった」
マリ「誰の入れ知恵ー? もしかしてわんこ君?」
レイ「えぇ、碇君」
マリ「……の割には、碇君って呼ぶんだね」
レイ「……」クスッ
マリ「っ!」
レイ「これでいいの」
マリ「な、なんだよもう……今日のファーストちゃん、なんか変だよ」ドキドキ
マリ(笑うと、可愛いなぁ。いや、笑わなくても可愛いけど)
レイ「マリ」
マリ「なぁに?」
レイ「アスカ、居る?」
マリ(わぁ、姫のことも名前呼びだぁ)「居るよー」トテトテ
アスカ部屋
マリ「ひっめっ!」ガラッ
アスカ「なーによー……」
マリ「ファーストちゃんが、『アスカ、居る?』だって」
アスカ「だからアンタそれ似てないって……ファーストが、私を?」
マリ「ん、そう。いまリビングに居るからー」
アスカ「……?」
※セーブポイント
【PART.5】 へ続く