【PART.1】の>>105よりロード
シンジ「うん。マリさんが理解者なんだって思ったら、なんかちょっと安心したよ」
マリ「理解者、ねぇ……(それどころか先駆者なんだけどにゃー)」
シンジ「僕は、ちょっと頭冷やしてからアスカと向き合うよ」スタスタスタ
マリ(わんこ君は本当に良い子だなぁ)
マリ(姫がうらやましいニャー)トボトボ
※セーブポイント
マリ「わんこ君っ!!」
シンジ「なに? マリさん」
マリ「休むんなら私とイイことしないかニャー?」
シンジ「えー……」
マリ「……露骨に怪訝そうな顔されるとちょっとへこむよ?」
シンジ「いや、だって、このタイミングで言われると変なことしか想像つかない」
マリ「変なことはイヤかにゃ?」
シンジ「……よくわからないよ」
マリ「なんだったらその答えを見つけるためにも、私が手伝ってあげるよん?」
シンジ「……」
マリ「姫がどうしてああなっちゃったのかも、話してあげるし」
シンジ「……それは、知りたい、かも」
マリ「それだけ?」
シンジ「それだけだよ」
マリ「『変なこと』には期待してくれないのかにゃぁ?」
シンジ「ま、マリさんっ!」
マリ「あははっ! じゃ、私は堂々とサボるから、
わんこ君は早くセンセーに言ってきなよ。
ついでに姫も帰れるように適当に理由こねくり回してさ」
シンジ「それもそうだね。あと、できればマリさんからメールしてよ、アスカに」
マリ「それが妥当かもねー。わんこ君ってば本当に姫の扱い手馴れてるね」
シンジ「一緒に住んでればイヤでもこうなっちゃうよ」
マリ(そうは言ってもイヤそうには見えないニャー)
数分後 体育館裏
マリ「体育館裏で待ち合わせ、っと」カコカコ
マリ「送信」ピッ パタコン
マリ「……スマホ欲しいなぁ」
マリ(つっても、わんこ君とサボタージュしてもどこ行こうかなぁ)
マリ(ゲーセンとか喫茶店とかー、適当に定番は回るとしてー)
マリ(……やっぱ最後は『変なこと』しかないよねぇ?)
マリ(……よしっ、パンツ脱ぐかっ!)
スルスルッ
シンジ「マリさーん ここかな?」
スッ!
マリ(セーッフ……脱ぐ前で良かった)
シンジ「あ、いたいた」トテトテトテ
マリ「……はは、君は、アレだね。ちょっとだけ間が悪い」
シンジ「ご、ごめん。遅かったかな」
マリ「べっつにー? そういうわけじゃないよっ。さて、どこ行こうか」
シンジ「え、ていうか、アスカのこと教えてくれるんじゃ……」
マリ「はぁ、わんこ君ねぇ。学校サボって二人で出かけてする事は一つでしょ?」
シンジ「えっと、それって」
マリ「デート中に他の女の子のこと考えるなんてマナー違反だよ」
シンジ「デートだなんて、そんな」テレテレ
マリ「ありゃ、意外。姫と出かけたりとかは?」
シンジ「あるけど、アレはデートじゃないし」
マリ(あ、こりゃ姫には聞かせられないにゃぁ。いろんな意味で)
マリ「ま、いっか。じゃあわんこ君、今日一日で私を満足させる事ができたら、
姫について私が知っている限りのことを教えてあげよう」
シンジ「満足させればいいの?」
マリ「そうだよぉー? 女の子を満足させる事ができるかなぁ?」
シンジ「ん、自信、ないけど。僕が一番できるのって、まぁ、アレかなぁ」
マリ「んじゃ、とりあえずエスコートしてもらおっかニャー」
シンジ「じゃあ、家に行こうか」
マリ「へ?」
シンジ「え?」
マリ「……あ、いや、意外と、直球だなって思って……」//////
シンジ「……何を想像してるのかわからないけど、僕は料理をしようと思って……」
マリ「……それで、姫は満足できると思う?」
シンジ「わからないよ。でも、僕ががんばって作った料理は嬉しそうに食べてくれるから……
あれ?そういうことじゃないの?」
マリ「あの姫が満面の笑みで食べる料理には興味はあるけど、違うんだニャー」
シンジ「えー……」
マリ「わかりやすく言おう。私の『女』を満足させるのが君の仕事さ」
シンジ「えー……えーっ!?」//////
マリ「今君が想像したことも含め、恋人っぽいデートとか、
お互いの親睦とか、あわよくばちょっとドキドキなこと……」
マリ(そこまで行ったら姫に悪いかにゃ? まぁ間違いが起こっても何とかなるでしょ。うん)
シンジ「?」
マリ「ま、わんこ君にそこまで求めるのは酷だろうから、
基本的に君は私の言うこと聞いててくれればそれでいいよ」
シンジ「いいなり……?」
マリ「いやかにゃ?」
シンジ「別に、もう慣れっこだよ」
マリ「お世話係は大変ですニャー♪」
シンジ「あはは、まぁね」
マリ「んじゃ、とりあえずわんこ君の行きたいところ連れて行きなさい」
シンジ「行きたいところって言ってもなぁ。僕の行きたいところじゃつまんないと思うよ?」
マリ「つまんないかどうかは私が決める。やさしいおねだりだと思うけどにゃー?」
シンジ「なら……」
数分後 本屋
マリ「本屋さん」アッケラカン
シンジ「マリさんって、本とか読む?」
マリ「読めるけど読まない」
シンジ「あはは、僕も最近まで活字ばっかりの本とか読まなかったんだけどね」
マリ「誰かに影響されて読むようになった?」
シンジ「……よく見てるね」
マリ「んー、でも多分誰でも思うよ? 君ら仲良いし」
シンジ「仲、良いのかなぁ? 僕は綾波ともっと仲良くなりたいけど、
綾波もそう思ってくれてるかどうか」
マリ「ありゃ。もしかして私入り込む余地なし?」
シンジ「? マリさんも友達だと思ってるよ?」
マリ「……わんこ君には、こういう本をお勧めします」
実用書?『異性との向き合い方』
シンジ「……書物で女の子の気持ちが量れるとは思えないよ」
マリ「ドライでクール気取っててもモテないぜー?」
シンジ「ムッ まぁ、モテたいわけではないけど、ドライでクール気取ってるわけでもないよ」
マリ「あれ? それともわんこ君ってソッチ系? おホモだち? シンカヲ?」
シンジ「マリさんにはこういう本をお勧めします」
小説『慎ましく』
マリ「? 貸してー」
数分後
シンジ「……」
マリ「……」
シンジ(本当に読み始めるとは思わなかった)
数分後
マリ「~♪」
シンジ「小説は読んだの初めて?」
マリ「そうだよ? いやー、日本語って面白いって今まで思ってたけどさ、
小説における文体ってばやっぱり美しいんだねぇ」
シンジ「そうっ!そうなんだよ。その人が書く文章が好きでさ。今度綾波にも……
じゃなかった。うん、いつかその人の本を集めてみたいんだよ」
マリ「ギリギリ名前出した時点でアウトだけど、
この本をプレゼントしてくれたことだし差し引きしてしんぜよう」
シンジ「あはは、ごめん」
マリ「そうだ、次はさぁ。ゲーセン行こうよゲーセン」
マリ「よっ……っ……っと!」タッ タタッ タッタッタ
excellent!!
YOU ARE NO1!!!!
NAME ___
シンジ「音ゲー好きなんだ?」
マリ「うん!」
シンジ「あとさ、格闘ゲームとかガンシューティングとか好きでしょ?」
マリ「にゃ? よく知ってるねぇ!」
シンジ「イメージ通りだった」クスクス
マリ「っ……にゃはは、あんまり女の子らしくないかにゃ?」
シンジ「マリさんらしいって思うよ。」
マリ「……!」
シンジ「逆に僕はぜんぜんダメなんだけどね」
マリ「今度は私がわんこ君の得意ジャンルを当ててあげようか」
シンジ「え?」
マリ「……クレーンゲーム」ドギャアアァァァン
シンジ「凄い!何でわかったの?」
マリ「わんこ君。腰につけてるストラップが動かぬ証拠だよ」ビシィッ
シンジ「あ」
マリ「あはははは! 入った瞬間から気づいちゃったよ」
マリ「でも、実際イメージ通りだったかにゃ。ああいうのわんこ君好きそう」
シンジ「うん、なんか、狙いどころがわかると結構面白いんだ」
マリ「私取れたことなーい! わんこ君アレとって!」
シンジ「アレって。あ、あぁ、アレはどうやっても取れないよ」
マリ「えー?」
シンジ「ほら、裏側から見てみたらわかるよ。あの滑り止めがあるから簡単には取れないんだ」
マリ「そんにゃー……」シュン
シンジ「うっ」
マリ「でっかいねむねこ……」ジーッ
シンジ「ま、まぁ、試してみるよ」
マリ「にひひっ♪ ありがとっ!」
シンジ「はいはい」
100円「あばよ」
シンジ「……目標をセンターに入れて、スイッチ」
マリ(確かにモノは欲しいけど、こうやって真剣なわんこ君を横から見るのもいいなぁ)
マリ(ねむねこ取れなくてもこれだけで収穫かも♪)
マリ「なんか、普通にデートしてる。よね?これ……」
シンジ「そ、そういえばそう、だね」
マリ(本当は、つまみ食いのつもりだったんだけどニャー)
100円「パターンパープル」
マリ「お、もう一回がんばってくれるの?」
シンジ「うん、もうちょっとがんばってみるよ」
マリ(わんこ君の性格からして、あんまりここで散財するようなことはないだろうし)
マリ(これやるの見てから、適当にからかって次行こうかな)
100円「このゲームで何かが起こるわ」
マリ「いいの?わんこ君」
シンジ「見ててよ」ニッ
マリ(……!)
滑り止め「今度こそ君だけは幸せにしてみせるよ」
シンジ「やった♪ 取れたよマリさん」パァァァ
マリ「うわ、すっごい! わんこ君ってばマジで取っちゃった!」
シンジ「良かったよ。ここで取れなかったら流石にかっこ悪いもんね」
マリ「ぜんぜんそんなことないよ。趣味のためか私のためなのか、
真剣な顔してるわんこ君は……凄くかっこよかったよ」モフモフ
シンジ「ま、またそんなこといって……でも、よかったね、取れて」ニコッ
マリ「っ」モフモフ
マリ(やばい。凄い。嬉しい。なにこれ、ちょっと。顔、みせらんない)モフモフ
シンジ「マリさん?」
マリ「わんこ君は、ずるい」モフモフ
シンジ「え、えっと……」
マリ「ちょ、ちょっと、連れてってほしい。プリクラ、プリクラ取ろうぜ!」モフモフ
シンジ「連れてって欲しいって、え?」
マリ「お願い、手ぇ引っ張ってぇ……」モフモフ
シンジ「? わかったよ」
プリクラ撮影部屋
マリ「……」プルプル
シンジ「どうしちゃったの?」
マリ「私は大丈夫……大丈夫だけど、大丈夫じゃないみたいだよ」モフモフ
シンジ「え、えー……? どういうこと?」
マリ「わんこ君は可愛いけど、さっきちょっとカッコいいなとか思ったら、
今度はスンゲー可愛い顔見せてくれるし」モフモフ
シンジ「う、それあんまり嬉しくないよ」
マリ(つまみ食いどころの話じゃないよ。これ)
マリ(ダメジャン私……わんこ君は姫のものなんだよ?)
マリ「……」チラ
シンジ「え? マリさん、顔真っ赤」
マリ「そーだよ。わんこ君のせいだかんね?」
シンジ「え? えっと、熱いの?」
マリ「アッツアツだよ!もう!」ペチペチ
シンジ「わ、何だよやめてよっ」ヘラヘラ
マリ「はぁ、ビークール、落ち着くのよマリ。私はつまみ食いしに来ただけ」ブツブツ
シンジ「え、なんか言っ」
マリ「わぁんこ君! プリクラとろう!」チャリン
シンジ「これ? これって、写真取る機械だよね? 写真ならデジカメでも」
マリ「わかってないなぁわんこ君。プリクラと写真は別物なんだよ」チャリン
シンジ「そういうものなんだ」
マリ「ついでに言うとデートの定番でもある。覚えといて姫と一緒に来るといいにゃん」チャリン
シンジ「ん、アスカと?」
マリ「まぁ、今は私のわんこ君だから、ここは私とプリクラとるわけだけどねー」チャリン
100円「私は多分五人目だから」チャリン
マリ「ほい、ポーズとって!」
シンジ「ぽ、ポーズ!? え、えーっと、ピース!」
シャッター音「パシャッ!」
マリ「はい、次は勝利のポーズ! 使途に勝ったときを思い出して!」
シンジ「え、えーっと、こうかな?」
シャッター音「パシャッ!」
マリ「わんこ君センスあるよ! 次は背中合わせでいってみようか!」
シンジ「い、忙しいんだね、これ」
シャッター音「パシャッ!」
マリ「最後は、っ……」グイッ
シンジ「え、なにすっ」モタモタ
シャッター音「……」
マリ「いいからっ!」
チュッ
シャッター音「……パシャッ!」
シンジ「……っ」
マリ「……」
シンジ「……」
マリ「……」
プリクラ「落書き部屋に移動してね! 時間内に素敵な落書きをしよう!」
シンジ「……」ギュゥッ
マリ「っ……!……」トロン
シンジ「……」
マリ「……」
プリクラ「落書き部屋に移動してね!! 時間内に素敵な落書きをしよう!!」
シンジ「……」パッ
マリ「…………」トロン
シンジ「……え、えっと」
マリ「……う、うん」
プリクラ「落書き部屋に移動してね!!!!!!!!!!!!」
帰り道
マリ「えっとね、今日はごめんね。わんこ君」
シンジ「い、いや、そんなことないよ。僕も凄く楽しかったし」
マリ「んー、まぁ。そういうことじゃなくてさ」
シンジ「あ、えっと、そのことなら……もう」
マリ「気にするよ!」
マリ「だって見てよこれ! 後から見たらほら!
この写真だとまるで私が無理やり襲ってるようにしか見えないんだよ!」
マリ「わんこ君ってば超カワイー!!! アハハハハハ!!!」
シンジ「気にしないようにしてたのにぃっ!」
マリ「あはははは! こりゃどっちが女の子だかわかんないニャー!」
シンジ「酷いや、マリさん……プフッ」
マリ「あーもう、笑うしかないよこれ」
シンジ「確かに、みっともないなぁ、僕」
マリ「……みっともなくなんかないよ」
シンジ「……そう、かな? いや、でもこれは」
マリ「わんこ君は世界一優しくてかっこいい男の子だよ。自信もって良いよ」
シンジ「さっきまで可愛いって言ってたくせに」
マリ「ま、それも真実。っと、ここが私んち」
シンジ「へぇ、意外と、普通の佇まいだね」
マリ「ほーん? どんなの想像してたのかにゃ?」
シンジ「えっと、なんか猫がいっぱい居る感じ」
マリ「はぁ、やっぱり君たちは通じ合ってるのかニャー」モフモフ
シンジ「どういうこと?」
マリ「さーてねぇ。とりあえず私から言えることは、
今日のわんこ君のエスコートは及第点をあげられませんってことだね!」
シンジ「え、あ、そ、そんなぁ!」
マリ「わんこ君。本命はなんだったか覚えてる? 姫の秘密を知りたかったんでしょ?」
シンジ「それも、そうだけど」
マリ「それなのに私を本気で惚れさせようとするなんて、何、君、何なの!?」
シンジ「惚れさせようとしてたわけじゃ……って、え?」
マリ「……ま、そういうことだにゃん」
シンジ「え、でも、さっきのは」
マリ「……照れ隠し。私も姫のこといえないなぁ」モフモフ
シンジ「……あ、えっと」
マリ「あ、ちょっと待った。わんこ君」ガバッ
シンジ「!?」
マリ「私ね、正直今日はつまみ食いするつもりだったんだ。
姫より先にデートして、姫をからかうつもりだったんだ」
シンジ「まぁ、なんとなく別の意図があるんだろうなっては思ってたよ」
マリ「あくまでわんこ君は姫のもの。割り切って遊んでたつもり」
シンジ「……僕はアスカのものじゃないよ」
マリ「近いうちに意味がわかるよ」
マリ「だけどね、今日わんこ君のせいで、つまみ食いじゃ済まなくなっちゃいそうになっちゃったんだ」
シンジ「……マリさん」
マリ「……姫に、悪いから……今日はもう、やめとこうかなって……」
シンジ「……?」
マリ「……ただし! 私はあきらめたわけじゃないからね!」グイッ
シンジ「!?」
チュッ
マリ「……プハッ」
シンジ「!?//////」
マリ「明日から、私のことマリって呼んでよ」
シンジ「え?」
マリ「はい、呼んでみ?」
シンジ「え、えっと、マリ……?」
マリ「……いいね、ゾクゾクしちゃう」
シンジ「……?」
マリ「あ、言っとくけど。私まだ『好き』っては言ってないから!」
シンジ「は、はぁ」
マリ「だからね。シンジから『好き』って言ってもらえるまで待つよ」
シンジ「僕が、言うの?」
マリ「いつか言わせて見せる!」キリッ
シンジ「……えっと、その」
マリ「……」
シンジ「……」
マリ「……言ってから恥ずかしくなってきたにゃ」//////
シンジ「言われたほうも、結構……」//////
マリ「あああああっ! 回れ右!」
シンジ「え、こ、こう?」クルッ
マリ「……今日は! ありがとね! また明日!」
ガチャバタン
シンジ「……あ、うん! また明日!」
シンジ「……で、良いんだよね?」
野良猫「知らんがな」
翌日 マリの家
目覚まし時計「pipipipipipipipi」
マリ「おはようねむねこ」
マリ「おーい、むくちだぞー」
マリ「……なんか言わないと、寝ぼけたマリさんが鞄と間違えて持って行っちゃうぞー?」
マリ「なんつってね、流石のマリさんでも学校にぬいぐるみもって行きませんよ」
マリ「ふぁーぁあ、準備してはやくいこー」モゾモゾ
学校
マリ「と、そんなくだりをやったのが一時間前でして」
先生「で、鞄と一緒にぬいぐるみを持ってきちゃったと」
マリ「……ぁい」
先生「まぁ、えっと、鞄の中にしまっておいてちょうだいね」
マリ「すいません」ペコリ
教室
女生徒A「マリさん。寝ぼけてぬいぐるみもって来ちゃったんだって?」
マリ「あちゃー、やっぱりもう噂になっちゃったか」
アスカ「エヴァのパイロットがそんな奇行に走ってたら当たり前でしょ!」
ヒカリ「アレってねむねこでしょ?」
マリ「ヒカにゃん知ってるの?」
ヒカリ「えぇ。ちょっとマイナーだけど、私結構好きよ」
マリ「いいでしょー」モフモフ
ヒカリ「いいなぁー」モフモフ
アスカ「……」モフ
マリ「……モフっても いいんにゃよ?」
アスカ「べ、別に……ま、まぁ」モフモフ
レイ「……」ソワソワ
マリ「……いいんにゃよ?」
レイ「ありがとう……」モフモフ
トウジ「なんや、あそこ……女子四人してぬいぐるみが弄ばれとうぞ」
ケンスケ「うらやましい。あのぬいぐるみ……」
シンジ(……なるべく視線合わせないようにしておこう)(汗)
ヒカリ「ねぇ、この子名前なんていうの?」
マリ「『ねむねこ』じゃないの?」
ヒカリ「それは商品名でしょ。ほら、えっと、この子の名前」
アスカ「……ヒカリ、アンタってぬいぐるみに名前付けてるの?」
ヒカリ「え!? そういうものじゃないの?」
レイ「……ぬいぐるみに、名前?」
アスカ「ヒカリってばお子ちゃまなんだからっ」ニヤニヤ
ヒカリ「うっ……」
マリ「んー、そうだにゃー。こいつには結構思い入れがあるし、せっかくだから名前をつけちゃおう」
ヒカリ「私に合わせてくれなくても良いよ……」
マリ「いや、いい名前を思いついてしまったからねぇ」チラチラ
シンジ「あの雲、ミズヒキガニみたい」ボソッ
トウジ「な、なんやて? ホンマや きっしょくわるっ……」
ケンスケ「いやぁんなかんz……うっわ、本当だ気持ち悪い」
マリ「こいつは今日から『にゃんこ君』だ」ドギャアアァァァン
ザワッ
アスカ「……」
レイ「……」
ヒカリ「え? 碇君?」
マリ「んふーん? さてねぇ?」
トウジ「どういうことか説明しぃや、センセよぉ?」
シンジ「逃げなきゃだめだ……逃げなきゃだめだ……」スタスタ
昼休み
トウジ「おう、にゃんこセンセ 飯の時間やで」
シンジ「う、うん」
ケンスケ「トウジ、あんまり呼ぶとにゃんこ先生で定着しちゃうよ?」
トウジ「かまへんやろ? なぁ?」
シンジ「もうどうでも良いよ……」
アスカ「ちょっと、コネ眼鏡」
マリ「何かにゃー?」
アスカ「はなしがあるから、ちょっと来なさいよ」
マリ「ん、いいよ。ヒカにゃん、ファーストちゃん。ごめんね、姫かりてくよー!」
屋上
アスカ「……どういう事よ」
マリ「何が?」
アスカ「バカシンジと、昨日何してたのよ!?」
マリ「デート」
アスカ「は、はぁ!? あんた、趣味わっるいわね! あんなのとデートだなんて」
アスカ「さぞかし楽しかったでしょうね。本屋とゲーセンしか行くところないような男とのデートは」
マリ「あはは、やっぱり姫はわんこ君のことよくわかってるにゃー」
アスカ「……! あんた……」
マリ「姫の言うとおり、本屋とゲーセンに行ったわけよ」
アスカ「つっまんない男ね。やめた方がいいわよあんなガキ!」
アスカ「好きでもないのに、バカシンジを思い上がらせないほうが良いわ!」
マリ「好きだよ」
アスカ「っ……」
マリ「昨日のデートでわかったんだ。私、シンジの優しいところとか、真剣な横顔とか、超好き」
マリ「あんまり可愛いからおちょくって遊ぼうと思ったのに、逆に惚れさせられちった」
アスカ「……なんでよ……」
マリ「なんでって……」
アスカ「……アンタこないだまで……バカシンジのこと好きとかそういうの、全然無かったじゃないの」
マリ「横取りされた気分?」
アスカ「っ……! そうよ、バカシンジは私の下僕なんだから、欲しいときは許可取りなさいよね!」
マリ「許可取ったところで、私はわんこ君をもらえるのかにゃー?」
アスカ「お断りよ! あのグズには誰かの彼氏なんて荷が重過ぎるっての」
マリ「グズでも何でも良いよ。わんこ君ちょうだい」
アスカ「……イヤよ」
マリ「……姫、意地悪しないで欲しいにゃー」
アスカ「意地悪なんて……」
マリ「意地悪だよ。すっごく」
マリ「私は素直に言っているのに、姫は全然素直じゃないよ」
アスカ「私はいつでも素直よ!」
マリ「お願い、姫」
アスカ「……」ピクッ
マリ「私ね。姫のこと大好きだよ」
アスカ「な、何よいきなり」
マリ「ヒカにゃんも、ファーストちゃんも最近話してくれるようになったし、皆大好きなんだ」
マリ「だから、なんとか腹割って話し合いたいんだ」
アスカ「……」
マリ「今、姫が素直になってくれなくて、
シンジのことなんかどうでも良いってことになっても、
私はシンジにアプローチ続けるよ?」
マリ「正直、私はシンジを落とす自信はある」
アスカ「自意識過剰なんじゃないの?」イライラ
マリ「だけど、そのまま私とシンジがくっついたら、
姫はすっごく悲しくなっちゃうと思うんだ」
マリ「それを紛らわすために素直になれない姫は、
きっとシンジにつらく当たると思う。
そして、私とも口を利いてくれなくなる」
アスカ「……」イライラ
マリ「そう思うんだけど?」
アスカ「……っ」
ッパァン
マリ「いたっ……!」
アスカ「あっ……ごめ……」
マリ「……」シュン
アスカ「何よ……何なのよ! そんなにバカシンジが欲しいならくれてやるわよ!」
クルッ
マリ「ちが、姫! 待ってよ!」
アスカ「うるさい!」
マリ「待てっつってんだろ!」ガシィッ
アスカ「……っ!」
マリ「……お願いだよぉ姫……ちゃんと話し合おうよ」ギュゥッ
アスカ「ちょ、ちょっと、苦しいわよ……離れなさいよ」ウルウル
マリ「いやだ。姫がちゃんと話し合いしてくれるまで離さない」
アスカ「くっ……この分からず屋」
マリ「分からず屋は姫のほうでしょ」
アスカ「……何よ」
マリ「……」
アスカ「何なのよ、もう……」ポロポロ
ミサト宅
マリ「おっじゃまっしまーす!」
アスカ「……スリッパ」
マリ「どもども、いやぁ二日連続でサボっちゃったにゃー」
アスカ「……今、氷用意するから」
マリ「いやぁ、良いよ。もうほとんど腫れ引いてきてるし」
アスカ「ほんと?」
マリ「ほんとほんと、それよりも姫は腹割って話す準備できたのかにゃ?」
アスカ「……なんとか、多分」
マリ「ならOK」
→アスカ部屋
マリ「わぁ、間取り的にこれは、わんこ君の部屋と壁一枚、ってやつ?」
アスカ「そうよ。たいていの物音はまる聴こえ」
マリ「え、それって、アノ時とかは……?」ニヤニヤ
アスカ「……それも腹割って話すこと?」
マリ「聞ーきたーいにゃー?」
アスカ「……一回だけ、聴こえた」
マリ「わぉ、なにそれ羨ましい」
アスカ「ば、ばっかじゃないの!? すっごい複雑よ!」
アスカ「だって、隣の部屋でその……好きなやつが……オナニーしてるなんて……」
マリ「……えひひ♪」
アスカ「―――っ」カアァァァッ//////
マリ「姫とちゃんと話し合えてる。……私すっごく嬉しいよ」
アスカ「もう、アンタには隠し事もあほらしくなっただけよ」
マリ「えー、でもさっき『叩いてごめんね。何でもするから嫌いにならないで』って」
アスカ「あーーー!わーーーー!キキタクナイー!」ジタバタ
マリ「さておき、ようやくこれで腹割って話せることになったわけですが」
アスカ「面倒、かけたわね……」
マリ「いいよ。最悪の事態は避けられたし」
アスカ「最悪?」
マリ「姫と和解できないってことだよ。最後しがみついたのはある意味賭けだったけどねー」
アスカ「……あんた、はたから聞いてると私の事が好きなのか
バカシンジの事が好きなのか、よく分からなくなってるわよ」
マリ「それはどっちも正解。姫のことも大事だし、シンジのことも諦めたくない」
マリ「それだったらせめて腹割って話して喧嘩したほうが、
シンジがどっちを選んだとしても
いつか和解できるチャンスがあると思ったんだ」
アスカ「……アンタってさ、ノリは軽いカンジなのに、結構深く考えてるのね」
マリ「計算どおり キリッ なんちゃって」
アスカ「参った、参ったわよ。で? 話し合いたいんでしょ?」
マリ「そうだったそうだった……」
マリ「というわけで、わんこ君取り合い合戦のルール説明をします」
アスカ「……ルール?」
マリ「ちゃんと話し合えるんだから、
お互い不公平の無いようにわんこ君を奪い合おうと思ってね。
まぁちょっと聞いてみてよ」
アスカ「ふーん、まぁ、聞いてから判断するわ」
マリ「ではまず、私たちに共通することは……そう、変態である」
アスカ「ずばり言うわね」
マリ「お互い性癖さらしちゃってるしにゃー、今更恥らうこともあるまい」
アスカ「恥らいなさいよ、乙女なら……!」
マリ「まぁ、そういうわけでお互い変態乙女、男の誘い方なんてそんな知らないわけだ」
アスカ(乙女って認めるってことはマリも経験ないのかな?)
マリ(乙女を強調したってことは姫もハヂメテなのかにゃ?)
アスカ マリ((……まぁ、ここは腹割らなくてもいい場所だよね?))
マリ「まぁ、そういうわけで私たちは直球勝負でわんこ君を落としてみよう、という話」
アスカ「直球勝負、って、まさか……」
マリ「そう、男子が当たり前に興味があって、且つ私たちもかなり興味があること」
アスカ「……露出?」//////
マリ「ピンポーン」
アスカ「見せるって事?」
マリ「ピンポンピンポーン」
アスカ「……バカシンジに?」
マリ「正解、ハナマルあげちゃおう」
アスカ「無理ぃ……じゃない?」ゴクリ
マリ「……このルールの肝はねぇ。姫の露出に対する興味、なんだよねぇ」
マリ「姫、昨日私が屋上から居なくなった後、わんこ君にパンツ見せたでしょ」
アスカ「え、あっ//////」
マリ「で、気持ちよかったんだ?」
アスカ「うぇ? あ、う……まぁ、多少は」
マリ(『多少』って顔じゃないにゃー)ニヤニヤ
アスカ(パンツどころか全部見られたなんて流石に言えない)ドギマギ
マリ「積極的じゃん?」
アスカ「……バカシンジに見られるって思うと……」
マリ「わんこ君に素直になれない姫が、露出が絡むと理性のタガが外れる」
マリ「なら、露出で勝負すると姫も積極的に争ってくれるかなーって、思って」
アスカ「……」
マリ「にゃ?」
アスカ「言いたいことはいっぱいあるんだけど」
マリ「ど?」
アスカ「……その勝負、とりあえずは受けて立つわ」
マリ「……よっし、どっちを選んでも恨みっこなし、とは行かないだろうけど」
アスカ「……」
マリ「もしそうなったら、いつか仲直りしようね」サッ
アスカ「……うん」キュッ
マリ「あとねー、姫」
アスカ「何よ、もうそろそろ素直ゲージも限界なんだけど……」
マリ「もしわんこ君が別な人を選んだりしたらしょうがないけどさ」
マリ「もしも、二人とも選んだらどうする?」
アスカ「そんな甲斐性あいつにある?」
マリ「才能はあると思うよー? 実際この家では三人分の家事こなしてるし」
アスカ「……確かに、主婦としてはアイツ完璧よね」
マリ「その言葉を一度でもわんこ君に聞かせてあげたいよ……」
アスカ「言えるわけないでしょ!」
アスカ「ちょっと褒めただけでヘラヘラしちゃってさ」
アスカ「こっちはその笑顔見てるだけでドキドキするってぇのに!」
マリ「ま、この反応は、知ってたし置いておくとして……」
マリ「実際どう? わんこ君がさ『決められないよ……二人とも、大切だし』とかほざいたら」
マリ「もしくは、結局二人に手を出しちゃった場合」
アスカ「!////// そうよね、この勝負の決着って、そういうことなのよね//////」
マリ アスカ「……」
マリ「私は、三人で暮らすのも、まんざらでもない。かにゃ」
アスカ「なによそれ。そんなの、変よ」
マリ「変かにゃー? だって、姫も好きだし、シンジも好きだし」スッ
アスカ「……ん、ちょっとまってよ、顔近いわよ」
マリ「こないだの姫はとっても可愛かったにゃーなんて思うとさ」ギュッ
アスカ「やっ! ぁ……また、耳元で……」
マリ「姫のことも、虐めたくなっちゃうよねぇ?」コショコショ
アスカ「あ、あんたねぇ……まさか、ソッチの気も……」ハァハァ
マリ「姫ってば人のこといえる?」
マリ「私に、耳元で、優しく虐められて、姫はどうなっちゃったかにゃー?」
アスカ「や、やだぁ……思い出させないで……」ゾクゾク
マリ「昨日から悶々してるんでしょ? 気持ちよーくしてあげるよ」ゾクゾク
アスカ「やめ、て……あっ! だめ、今触らないで!」
マリ「可愛いよ、変態なお姫様」クリクリッ
アスカ「あっ―――」
夕方 ミサト宅
シンジ「ただいまぁーっ」
アスカ「お帰り、バカシンジ」
シンジ「あれ? アスカ、てっきりマリさんの家に行ったかと」
マリ「お邪魔してますにゃーよん♪」
シンジ「うぇぇっ!? い、居たんだ、マリ」
マリ「そう、学校をサボってまでやらなくちゃいけない特別会議があったんだにゃー」
シンジ「まぁ、僕がとやかく言うのもアレだけど、勉強も大事だと思うよ?」
アスカ「あんな勉強よりも大事な事があったのよ」
シンジ「分かったよ。これ以上はとやかく言わない。
で、マリはどうするの? もう日もだいぶ傾いてるけど」
マリ「んーっとね。さっき姫に電話があってさ」
アスカ「ミサト、今日は帰ってこないんですって」
シンジ「そうなんだ。あ、じゃあマリも晩御飯食べていく?」
マリ「話が早いね! というわけで、今日はお泊りさせてもらいますにゃー!」
シンジ「お泊り? うん、分かったよ。ゆっくりしてね」
マリ(ゆっくりしてる暇があるかにゃー?)
シンジ「じゃあ、僕は夕飯の用意するから」
シンジ→シンジ部屋
アスカ「意外と、平然としてるわね」
マリ「一見、ね。でも意識はしてもらえてるみたいだよ?」
アスカ「それもそうね。ねちっこくてエロイ視線が、今日は外れ気味だったわね」
マリ「それはそれで残念。せっかく姫のホットパンツ借りてまで露出してるのに」
シンジ(なんだなんだなんだなんだ?)
シンジ(マリはどういうつもりなんだ? まさか、アスカの前で僕に揺さぶりを?)
シンジ(そんなことされても、僕は一体どうすればいいんだよ)
シンジ(冷静になれ、シンジ。慌てることは無い)
シンジ(一昨日まではマリは友達だったんだ。そのときの気持ちで、今は接しよう)
シンジ(……でも、マリの脚……綺麗だったなぁ)
シンジ(……! 最低だ……僕って……いや、考えるくらい良いだろ、うん)
シンジ(でもそう考えるとアスカの普段着も、結構、キワどいよなぁ……)
ガラッ
シンジ→キッチン
マリ「ありゃ」
アスカ「いぃぃっ!?」
シンジ「……っ」
シンジ→シンジ部屋
シンジ「な、なんで二人とも、そ、そんな格好なんだよっ!」
アスカ「だ、だってペンペンが! お風呂からそのままくっついてきたから……」
ペンペン「クワック」
マリ「にゃはは、わんこ君に下着姿見られちったー」
シンジ「着替えるとか隠れるとかしてよ、もう……」
マリ「んーでもにゃー」チラッチラッ
アスカ「……着る服が、無いのよ」
シンジ「え? で、でも、昨日洗濯したのは?」
アスカ「色々あって、全部私が洗濯しちゃったのよ!」
シンジ「え、えぇぇぇぇ!? じゃ、じゃあせめて僕の服を貸すから」
アスカ「何必死になってるのよ。普段の格好とあんまり変わんないじゃない」
シンジ「自覚あるなら直してよ!」
マリ「でもぉ、悪い気はしないんじゃない?」
シンジ「気疲れしちゃうよ」
アスカ「……ふん、意気地なし! まぁいいわ、それならアンタの服貸してよ」
シンジ「あ、うん。えっと、Tシャツ、よりはワイシャツのほうが良いかな」
マリ「別にどっちでも良いけどにゃー」
シンジ「んー、でも、Tシャツは肌に着てるものだし」
マリ「むしろソッチのほうが……ハァハァ」
アスカ「こ ね め が ね」
マリ「はいはぁーい」
アスカ「ワイシャツ、貸しなさいよ」
数分後 キッチン
シンジ「なんか、最近の二人は変だなぁ」
シンジ「アスカは昨日一日心ここに非ずって感じだし」
シンジ「マリさんも昨日から変な感じ……」
シンジ「あれ? でもさっきは二人とも元気になってたな」
シンジ「……気のせいかな?」トテトテトテ
シンジ「アスカー! マリー! 今日何が食べたい?」
アスカ『やるの?』ゴニョゴニョ
マリ『やるったらやるっ♪』ゴニョゴニョ
アスカ「なにー? 聴こえなーい」
シンジ「っもう! ゲームやってるから聴こえないんでしょ?」
アスカ「勝手に開けて良いからこっち来て話してよー」
シンジ「……大丈夫なの?」
アスカ「何が?」
シンジ「いや、うん、開けるよー?」
ガラッ
マリ「……ちょ、あ」
ガラッ
シンジ「……アスカ? 自分が良くても、
同室に着替え中の子が居るときは、
男子に扉を開けさせちゃダメだと思うんだ」
マリ「あ、いいよいいよ。気にしないで」
アスカ「えー? アンタまだ着替え中だったの?」
マリ「わんこ君ってば、遠慮せず見てもいいのにぃ」
シンジ「そんなこと、できるわけ無いだろっ!」//////
マリ「なんだったらオカズにしてくれても」
シンジ「晩御飯のオカズは何が良いですか!?」
マリ アスカ「ハンバーグ!」
シンジ「えー、まぁ、いいか。時間かかるから先にお風呂入っちゃいなよ」
マリ アスカ「はーい」
シンジ(二人して僕のことバカにしてるんだな?)
シンジ(しかし、料理中の僕のスルースキルを甘く見るなよ)
シンジ(それにハンバーグは最初の生地が一番肝心なんだ)
シンジ(何度も叩きつけるようにして空気を抜いて……)
ペッタンペッタン
マリ「姫ぇ、一緒にお風呂入ろうよー」
アスカ「えぇー、狭くなるじゃない」
マリ「髪洗ってあげるからさ。洗いっこしようよ」
アスカ「アンタのその脂肪の塊と並びたくないって言ってるのよ」
マリ「なんのことかにゃー?」タユン
ペッタンペッタン
マリ「わんこ君は、何のことかわかる?」
シンジ「さぁー、アスカの言うことはいちいち棘があるからなぁー」
アスカ「言いながら揺らしてんじゃないわよ! あんた痴女!?」
マリ「姫に言われたくはないかなぁ」
ペッタンペッタンペッタンペッタン
アスカ「ちょっ……」
マリ「あ、そうか」
アスカ「違うわよ、シンジ。私、別に見せたくて見せてるわけじゃ……」
シンジ「大丈夫だよ。誰にも言わないから」
ペッタンペッタンペッタン
アスカ「……あの、コネ眼鏡。今は邪魔しないであげて」
マリ「シンジの真面目な横顔、素敵だにゃー。濡れてきちゃう……」
アスカ「ほら、風呂入るわよ。その格好じゃ風邪引いちゃうでしょ」
ペッタンペッタン
シンジ「そうだ。ソースも二種類作ろう。あとこの間料理番組でやってた……」
風呂
アスカ「……あんまり深追いしないほうがいい気がする」チャプン
マリ「どしたの? 怖気づいちゃった?」
アスカ「あんたねぇ。さっきのもだいぶギリギリだと思うわよ」
アスカ「泊まりに来た女子がバスタオル一枚でうろつくなんて、ドン引きされるレベルよ」
マリ「あー、そうか、そうかもにゃー……でも、やってみたいという欲望に負けた」
アスカ「……まぁ、ドン引きなんて今更かしらね」
マリ「わんこ君、気にはしてるけど姫のこと嫌ってはないみたいじゃん?」
アスカ「表面上はね」チャプッ
マリ「重く考えないほうがいいにゃー」
アスカ「……」プクプク
マリ「今は、キモチイイコトだけ考えてていいんじゃないかにゃ」
アスカ「……そうかな」チャプ
数十分後 キッチン
シンジ「よし、生地は完成した、っと」
アスカ『バカシンジー!』
シンジ「なぁにー?」
アスカ『着替え持ってきてー!』
シンジ「はぁ!?」
アスカ『準備するの忘れたのよー! 手が空いたらでいいから持ってきなさい!』
シンジ「っで、でもだって、着替えって!?」
アスカ『へ、部屋に、準備してあるから、入れば分かるわよ! なるべく早くね』
シンジ「氷用意しなくちゃいけないのに……」
シンジ(いやいや、そういう問題じゃない。着替えってことは、えっと)
シンジ→アスカ部屋
シンジ(下着もワイシャツも、準備したのにしっかり忘れて行ったんだな)
シンジ(アスカのこのパンツ、この間の……)
シンジ(アスカ、もしかしてこの間も履いてなかったのかな?)
シンジ(てことは、あの時僕が握ったのは……)
風呂
アスカ「バカシンジ遅いわねぇ」
マリ「……お料理中か、もしくは……」
アスカ「もしくは……っ!? まさか、あのエロガキっ!」
マリ「だってさ、アレだけ見せ付けておいて、その上姫との思い出のパンツだよ?」
アスカ「いやぁっ! なんか微妙っ!」
マリ「姫で欲情してるかもしれないよ?」
アスカ「でも、でもパンツ相手にそんなことしてたとしたら、なんか、凄く……」
マリ「わんこ君の理性に注目だにゃー」
シンジ『持ってきたよー』
アスカ「おっそいわね! 何してたのよ!」
シンジ『晩御飯作ってたに決まってるだろ? 開けていい?』
マリ「またチラ見せしようかにゃー」ゴニョゴニョ
アスカ「こ、今度は私の番よ」ドキドキ
シンジ『……床に、置いとくから』
マリ アスカ「あれ?」
十数分後 キッチン
マリ「さっぱりしたにゃー♪」
アスカ「どれどれ? ハンバーグの出来はいかがかしらー?」
シンジ「人工肉の限界に挑戦してみました」
マリ「あ、その台詞……」
シンジ「えっ//////」
マリ「にゃるほどねー? わんこ君ってば本当に研究熱心だなぁ」
アスカ「なんのこと?」
マリ「言葉よりも味を見るといいにゃー。わんこ君! いただきます」
シンジ「あ、うん、どうぞ。召し上がれ」
アスカ「? いっただきまーす」
ぱくっ
アスカ マリ「「……ふわぁ」」
シンジ「どう、かな?」モジモジ
アスカ マリ((もう色々たまんない))
アスカ「ば、バカシンジ!!」
シンジ「え!?」
アスカ「っ……凄く、美味しい。何よこれ、お店でもこんなの出てこないわよ」
シンジ「ほ、ほんと!?」
マリ「確かにコリャ凄い美味しいよ! 見た目もあのテレビのより数倍美味しそうだし!」
アスカ「てれびぃ?」
シンジ「あはは、実は、料理番組でやってたのの真似をしたんだ」
マリ「焼くときに氷を差し込むってやつでしょー? 私も見たよん」
シンジ「美味しそうだったよねぇ、アレ」
アスカ「テレビでまで勉強するなんて、勤勉と言うかクソ真面目というか……」
シンジ「ん、アスカやミサトさんに、もっと美味しいご飯食べてもらいたくて」ヘラヘラ
マリ「……」
アスカ「……っ、むっかつくぅ!」
シンジ「えぇぇぇ……」
アスカ「バカシンジに出来て私に出来ないわけないわ。今度私にも教えなさいよ」
マリ「あ、それ私も」
シンジ「な、なんだよ、なんでむかついたの?」
アスカ「あんたのそのにやけ面がよ」
マリ「わんこ君。姫は料理も出来て可愛い君に嫉妬しちゃってるんだよ」
シンジ「可愛いは余計だと思うけど」
アスカ「うっさい、コネ眼鏡」
マリ「いやぁ、もう、ホント。わんこ君お嫁に来てくれないかにゃー?」
シンジ「なに言ってるんだよ。 マリは冗談ばっかり」クスクス
アスカ「そ、そーよ!なに言ってるのよ!」
マリ「んー、半分本気なんだけどにゃー」
シンジ「っ……」ドキッ
アスカ「……! ば、バカシンジは、私のなんだから……」
アスカ「私だって、半分くらい……………………………………………………」
アスカ「…………………………………………………………………………本気、だもん」
シンジ「……え……」
アスカ「////// し、知らない!」
マリ「おアツいうちにいただきまーす」
シンジ「そ、そうだね、冷めないうちに食べちゃってよ!」
夜
シンジ「ちょっと、コンビにまで行ってくるよ。留守番よろしくね」
マリ アスカ「いってらっしゃい」
ガチャ、バタン
アスカ「……っはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
マリ「姫、言っちゃいましたにゃー」
アスカ「あんただって、ああいう風に言うの、ずるいわよ」
マリ「でも本当に、シンジのお嫁さんになりたいにゃー」クネクネ
アスカ「ていうか、ほんと、バカよね、アイツ」
マリ「えー? いい子じゃない?」
アスカ「バカよ……だって私にあんだけバカバカ言われてるのに―――」
アスカ「もっと美味しいご飯食べてもらいたくて、なんて……」ニヘラァ
マリ(! 姫のレア顔!)
アスカ「あ。み、見るな!!!」
マリ「えぇぇ!? 見たいにゃー! 今のもっと欲しいにゃー!」
アスカ「うっさいうっさいうっさいうっさい!」
アスカ部屋
『ガチャ バタン』
アスカ「あー!もう! 余計疲れた!」
マリ「私は幸せです」ニヤニヤ
アスカ「あーはいはい。早くそこ閉めて」
マリ「はいはい」
『ガラッ』
アスカ「それにしても、今日一日、結構アプローチしたけど」
マリ「けど?」
アスカ「……バカシンジのやつ、大丈夫かしら」
マリ「……性欲的な意味で?」
アスカ「ま、まぁ、そういうことよ。男ってアレでしょ?
ムラムラしたら収まりがきかないんでしょ?」
マリ(そうは聞くけど)アスカ(実際は)マリ アスカ(どうなんだろう?)
マリ「……我慢できなくなったら、隣で、オナニー始めるんじゃないかにゃ?」
アスカ「え、えぇぇ、どうしよう」
マリ「そりゃ、寧ろ、誘惑しに行く?」
アスカ「い、行くワケないで……」
アスカ(なにその状況、倒錯的過ぎて、なんか眩暈してきた。興奮しちゃう……)
マリ(やっばいなぁ、自分で言っておきながら。そのプレイやってみたくて仕方ない……)
アスカ「と、とにかく、明日また、色々仕掛けていこうかしら……」
マリ「やる気満々だにゃー。私も、明日もがんばろうっと」
アスカ「そうだ、明日バカシンジと三人で屋上行かない?」
マリ「他意は?」
アスカ「大有りよ。バカシンジのことだから風が吹くたびにチラチラチラチラ見てくるわよ」
マリ「ニュフフ、姫も本と積極的になってきましたにゃー」
アスカ「負けてらんないもの」フフン
アスカ「それに、シンジに見てもらうの、気持ち良いし」
マリ「……まぁねぇ。分かる」
アスカ「エリートの手にかかればあんなガキ、一発で悩殺よ!」
マリ「そのエリートも私の手練手管にかかれば、子猫のように鳴いてしまうわけだけどね」
アスカ「わーー!あーーーー!思い出したくない!」
『カチャ、パタン』
マリ「はーいはい。その元気は明日発散しましょー!」
アスカ「分かったけど、へ、へんなことしないでよね?」
マリ「合意の上じゃなきゃヤらないにゃー」
家を出た直後のシンジ
シンジ「あ、財布忘れちゃった」
シンジ(……二人の邪魔してもイヤだし、こっそり入って出て行こうっと)
『ガチャ、バタン』
アスカ「あー!もう! 余計疲れた!」
マリ「私は幸せです」ニヤニヤ
シンジ(部屋に入っていく、二人とも気づいてないみたいだし、今のうちに)
『ガラッ』
シンジ(えーっと、財布ー)
アスカ『それにしても、今日一日、結構アプローチしたけど』
シンジ(アプローチ? 嫌がらせの間違いじゃないの?)
シンジ(やたら見せ付けてきて、こっちはもう色々と大変だよ……)
アスカ『ま、まぁ、そういうことよ。男ってアレでしょ?
ムラムラしたら収まりがきかないんでしょ?』
シンジ(そうだよ。だからこれ以上僕に際どい格好を見せるのはやめてくれよ)
マリ『……我慢できなくなったら、隣で、オナニー始めるんじゃないかにゃ?』
シンジ(するか! バカぁ!!)
アスカ『え、えぇぇ、どうしよう』
マリ『そりゃ、寧ろ、誘惑しに行く?』
アスカ『い、行くワケないで……』
……
シンジ「否定しろよ!!!」
……
シンジ(はっ! 危ない危ない。思わず口に出すところだった)
アスカ『そうだ、明日バカシンジと三人で屋上行かない?』
シンジ(三人で? 委員長や綾波は?)
マリ『他意は?』
シンジ(あ、財布あった)
アスカ『大有りよ。バカシンジのことだから風が吹くたびにチラチラチラチラ見てくるわよ』
シンジ(……やっぱり二人して僕をからかって遊んでるんだな?)
シンジ(明日は絶対誘われてもついていくものか!)
シンジ(……でもそれだと後が怖いから、早起きして良いお弁当作っておこう)
マリ『ニュフフ、姫も本と積極的になってきましたにゃー』
アスカ『負けてらんないもの』フフン
シンジ(競ってるの? まぁ、どうせどっちがより僕を欲情させられたか、
とかなんだろうな はしたない……)
アスカ『それに、シンジに見てもらうの、気持ち良いし』
マリ『……まぁねぇ。分かる』
シンジ「……」
『カチャ、パタン』
ゴソゴソ
スッ
スッ
prrrrrrr
シンジ「あ、綾波? うん、僕だよ、シンジ」
コンビニ
レイ「……碇君?」
シンジ「綾波……来てくれてありがとう」
レイ「用って?」
シンジ「うん、ここじゃ、ちょっと……飲み物買って公園行こうか」
レイ「わかったわ」
数分後 近くの公園
シンジ「この間のことなんだけどさ」
レイ「盗み聞き?」
シンジ「あ、うん。えっと、とりあえずその件はごめん。僕だけうやむやになっちゃった」
レイ「構わないわ」
シンジ「怒ってないの?」
レイ「聴かれて困る話題ではなかったって、ヒカリさんが言ってた」
シンジ「綾波自身は?」
レイ「特に、なんとも思わなかったわ」
シンジ「ん、そう、か」
レイ「……私たちの会話、興味、あるの?」
シンジ「ん……」
レイ「……?」
シンジ「本当は、こういうの良くないと思うんだけど。でも、なんか、変なんだ」
レイ「変?」
シンジ「うん、マリと、アスカが、最近様子がおかしいんだよ」
レイ「おかしい……いつもと違う?」
シンジ「そうなんだ。綾波は、何か知らないかな?」
レイ「……」
シンジ「綾波?」
レイ「ごめんなさい。考え事」
レイ「その話に関係あるか分からないけれど、私、この間碇君に話しそびれた事があるの」
シンジ「え? あ! そうだったね! ごめん。あの時はすっかり……」
レイ「いいの。碇君、忙しそうだったから」
シンジ「ごめんね。えっと、僕の話は後でもいいから、綾波の話を聞かせてよ」
レイ「分かったわ。話す」
レイ「一昨日の昼休みに聞いた話なんだけど」
レイ「『露出』って、何?」
シンジ「……誰が、言ったの?」
レイ「弐号機の眼鏡の人」
シンジ「昼休みに?」
レイ「ヒカリさんと弐号機の人も、『露出』の意味が分かっていたみたい」
シンジ「……綾波。そのときの会話、思い出せるかい?」
レイ「言葉だけなら覚えてる。確か」
*****
ヒカリ『え、えっと、でもちょっと興味あるかも』//////
アスカ『な、なんなのよ、聞かせなさいよ』
マリ『実は最近、露出ってのに目覚めちゃってにゃー』
ヒカリ『ろ、露出って、あの?』
マリ『まぁ、大体想像通りだと思うけどにゃー』
アスカ『ふ、不潔よ!』//////
レイ『?』
*****
シンジ「……」
レイ「露出とは、現われ出ること、の意味」
シンジ「……」
レイ「露出に嵌るって、どういうこと?」
シンジ「……」
レイ「碇君?」
シンジ「綾波……ああ、うん、マリたちが言ってる露出って言うのはね……」
シンジ「その通り、肌を露出させて、人に見せることを言うんだよ」
レイ「……楽しいの?」
シンジ「楽しい、のかなぁ? 僕には分からないよ」
レイ「……ぽかぽか、する?」
シンジ「人によると思うよ」
レイ「……」モソモソ
シンジ「はぁ……でもそんな会話してただなんて……」
レイ「……碇君」
シンジ「え? なにやってるの? 綾波」
レイ「……ぽかぽか、しない」
シンジ「おなか出してると風邪引くよ。ちゃんと服を着ないと」
レイ「露出に、嵌る……?」
シンジ「え、あ、そういうつもりだったの?」
レイ「……」コクン
シンジ「……あの、ね……」//////
※セーブポイント
【PART.3】 へ続く