「目標は肉体構成の再生を91%まで終了しています。想定行動時間まで、後17分」

 日向の報告に、ミサトは不敵な笑みを浮かべた。

 「へぇ? やっぱり再生速度は比例して上がってくのね」

 「構成材料が再生してるからよ・・・・・・その分再生速度も上がるみたいね。まぁ、それだけ進化している可
  能性もあるけど・・・・・・」

 と、リツコが後を続ける。

 「もっとも、余計な部分を排除するだけかもしれないけどね」

 「ついでと言っちゃなんだけど、弾切れしててほしいわよね〜〜」

 あの透明な槍の連射攻撃を思い出しているミサト。

 ガギエルの牽制攻撃でレイが出遅れたからそう思うのも仕方が無い。

 「それはないわね。絶対に弾切れにはならないわ」

 「どうして?」

 「あの“槍”の構成成分は海水よ」

 「はぁ?!」

 「正確に言うとポリウォーター・・・・・・ポリマーウォーターと言った方が解り易いかしら?」

 「ポリマー・・・・・・重化合の水ってワケ?」

 流石に大学を出ているのでそれくらいは解る。

 ポリウォーター・・・・・・水(H2O)に高圧をかけながら加熱と冷却を繰り返す事によって作り出されると
いう水の重化合物質である。

 統制された配列の分子であるからしてその硬度は凄まじく、また当然ながら槍の先端は分子一個分ほどし
かないので、とてつもなく鋭い。

 そんなものを海水から作り出して撃ち出していたのだ。

 「あの近海の塩分濃度が異常に上がってたしね。採集した破片を解析したけど間違いないわ」

 解説を聞いて溜息しきりのミサト。

 「ヤレヤレ・・・・・・そんなもん一瞬で作らないでほしいわよね〜〜・・・・・・苦労してる技術者が泣いちゃ
  うわよ」


 つまり、海水の不必要なミネラル等だけを捨て、水分子だけ使用しているのである。

 ミサトの脳裏に、獲物を海水ごと吸い込んで海水だけ漉し出す鯨の姿が浮かんだ。


 ──まぁ、鯨みたいに大きいしね・・・・・・頭無いけど・・・・・・。


 「第七使徒、行動を開始しました!!」

 「パターン“青”認証しました。迎撃システム起動! 戦闘列車配置完了! 電源車両、退避準備!」

 日向と青葉の報告を耳にし、ミサトはインカムをつけてシンジ達を呼び出した。

 「観客が待ちきれなかったみたいよ? 準備は良い?」

 モニターに映るシンジ達は三人ともが瞳を閉じ、リズムに身を委ねている。


 何度も何度も練習を繰り返し、更にはリズムのアレンジまでして今日に望んだこの作戦。

 失敗する気が全くしない。


 ミサトがインカムをつけて指示をしているのは、余計な音を彼らに送らないようにする為だ。


 その三人の手が同時に動き、了解の意思を伝えた。

 三人の生理モニターをしているマヤも感心している。

 心拍数まで同調していたからだ。


 発令所の面々は妙に落ち着いていた。


 なぜだか解らなかったが、負ける気が全くしなかったからである。


 ケンスケ、エクセレン、リシュウ。

 三人の教官もそれを感じ取っている。

 実戦で培っている“勘”が、漂ってくる勝利の匂いを察知しているのだ。


 EVAの背中に接続している外部電源をパージする。

 内部電源も改造され、実働時間は8分に上がっていた。

 しかし、その時間は多すぎる気がしている。


 三人はリズムを乱すことなく同時に眼を開けた。


 たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、た、たたん、
 たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、た、たたん、


 変化しないリズムが、心と身体に響いてくる


 “観客”は先に分離し、こちらへと進軍を開始していた。



 舞台の、幕が上がった・・・・・・・・・。



───────────────────────────────────────────────────────────── 
  
    For “EVA” Shinji 
  
        フェード:壱拾六
  
─────────────────────────────────────────────────────────────




 NERVと第七使徒との再戦──シンジ達にとっては四度目──の始まり。


 ユニゾンの人数が違う。

 音楽も違う。

 リズムも違う。

 尚且つ敵まで違う。

 既にレールから外れているのか違う事だらけだ。


 それでもシンジに不安はない。

 二人の美少女達もだ。



 完全起動させて立ち上がり、使徒と対峙する三機。




 先に攻撃を開始したのはガギエル部分。

 水の槍を乱射しながら左右に移動する。

 その攻撃を三人が防御する間にイスラフェル二体が突撃を開始した。

 やはり攻撃方法が進化している。


 だが、こちらも前の三人ではない。


 たんっ


 イスラフェルが突撃を開始したと同時に、シンジがスタート。


 いつもの三歩を一歩で済ませる。


 二体の間をすり抜け、一瞬でガギエル部分に詰め寄った。

 イスラフェル二体による同調フィールドも間に合わない。

 “甲”“乙”が驚いて(?)反応するも少し遅かった。


 弐号機と零号機が二体に詰め寄ったのだ。


 零号機は装着するタイプの盾・・・・・・所謂バックラーと呼ばれている小型の盾を装着しており、当然ながら
ATフィールドを展開してATSにしている。

 弐号機はソニックグレイブの柄を短くしたブロードソードのようなもの(言うなれば斬馬刀?)を握っ
ている。


 イスラフェルに接敵する直前、零号機のATSが形を変え、フィールドが剣の形に固着する。

 所謂“シールドソード”である。


 そして、ガギエル部分にX−03を抜いたシンジが斬りかかると同時に、二体のEVAも攻撃を開始した。


  たん!  たん!  たん!
 (斬る) (斬る) (斬る)


 同時に攻撃が入る。

 呼吸も変わらない。


 生理状態をモニターしているマヤの頭が、いつの間にかリズムを取っていた。

 その足元で、こっそりとシンジ達のサポートをしているアルファの尻尾も、たしたしとリズムを取っている。

 こんな状況でなければリツコが見とれているであろう。




 前回より余裕が無いガギエル部分は、焦ったのか零距離で槍を乱射しようとする。

 が、下から初号機に蹴り上げられ、ほぼ真上に発射してしまう。

 同時にイスラフェルを蹴り上げる零号機と弐号機。


 真上に打ち上げられた槍が、物理法則にしたがって降ってくる。


  たん!   たん!   たん!
 (蹴る)  (掴む) (持ち上げる)


 降り注ぐ槍。

 だが、持ち上げられた三体の使徒の身体に全て突き刺さる。

 EVA三機は使徒の身体を傘にし、更にフィールドを張って無事。

 自分の武器で苦しむ三体。

 再生しようにも刺さったままでそれも間々ならない。



   たん!   たん!   たん!
  (落とす) (打つ)  (斬る)



 投げ落とされ、コアの部分にパンチが入り、ひるんだ隙に又斬られる。


 それを見ているミサトも、いつの間にかリズムをとっていた。


 イスラフェル“甲”“乙”の眼が光り、不可視の攻撃が入る。

 前回には無かった攻撃だから進化したのであろう。


 弐号機は避け、零号機は受ける。

 だが、やはりペースの変化は無い。


 二人のパイロットが攻撃の気配を同時に感じ、同時に反応したからだ。


 実質、射撃兵器ではなく、衝撃に近いものらしく避けても後方に被害は無い。

 しかし、不可視だというのにも関わらず零号機は盾で受けている。

 物質である盾を中心にして大きく広がっているATS。

 完全にATフィールドを使いこなしている。


 そのまま二機は左右に展開し、反対側に回り込んだ。

 二機の速度と位置関係は鏡で移したように見事に同調していた。

 右か左かだけの差である。


 同時に海上でも初号機がガギエル部分の反対側に回りこむ。

 海上の為に動きが鈍い初号機であるが、避けながら、或いは受けながら移動している零号機と弐号機の移
動速度が重なっている。

 結果、見事にEVA達が三体の使徒の外側の位置に立っていた。


 もちろんコレだけで終わるほど使徒は甘くない。


 突然、“甲”“乙”の両手に透明な剣のようなものが生えてきた。

 ガギエル部分の背中にもだ。

 ガギエル部分が体内で作ったポリウォーターの剣を、イスラフェルが体内に隠し持っていたのである。



 たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、た、たたん、



 しかし、ややペースが上がったものの三人のリズムの波形に変化は無い。


 イスラフェル二体が側転しながら二機を襲う。

 ガギエル部分は前転(?)する。

 使徒のブレードが回転ノコのようにEVAに迫る。



  た、たたん!  たん!  
   (避ける)    (蹴る)



 其々のEVAは使徒の外側に避け、回転するノコの中心を蹴りつける。

 当然ながら回転物の中心は停止状態といっていい。

 見事に吹っ飛び、囲むEVA達の中心地点で三体は激突する。

 各々の刃と刺さったままの槍で、各々が切り裂かれ、もがく。



 「あ〜ゆ〜のも、“ヤマアラシのジレンマ”かしら?」

 関係ない事を呟くミサト。

 「バカね。意味と使用が違うわよ」

 そう嗜めるリツコの指がリズムをとっている。


 一段上から戦況を見つめる冬月の頭もリズムに合わせていた。



 たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、た、たたん、
 たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、た、たたん、



 三人のリズムは変わらない。

 互いの心音とペースがそのまま自分のものとして重なっている。

 何においてもそうなのだが、同調させるという事は難しいが完全に合わさると快感なのだ。


 彼らは一つの波の中、同じ位置で全てを見ている。



 反して使徒の方は調子が合わない。


 第七使徒イスラフェル───

 本来ならば“甲”と“乙”に分離し、二体一体の区別無い存在として攻撃を加えるはずであった。

 だが、“生存する”という行動理念に支配されたガギエルの同化によってそのバランスは崩されてしまう。


 ──いや、“同化”等ではない。


 “寄生”と“共生”である。

 生きる為に、コバンザメ・・・・・・いや、宿木のように・・・・・・が正しいか。

 宿木の様にイスラフェルに食らい付き、宿主の意思を酌まず、そのままコアに住み着いたのである。

 そのせいでリズムが合わないのだ。


 イスラフェルは自分勝手に動くガギエルを守らねばならないが、全く意思の統一がないのでままならない。

 そんなガギエルは、“昔”のアスカの様だ。


 その事に気付いたアスカは微かに自傷気味に唇の端を歪ませる。

 だけどリズムの調子は変わらない。


 今は皆を信頼しているから・・・・・・・・・。




 仕方なく使徒は状況を打開すべく合体する。

 度重なる打撃によってコアが傷ついているからだ。


 傷つき、ボロボロになって、意思の統一がなされていないというのに一つになろうとする。

 まるで、あのサードインパクト時の人間達の様。


 そんな事を考えて、レイの眼に哀れみの色が浮かぶ。

 だけどリズム調子は変わらない。


 今はあの世界を求めていないから・・・・・・・・・。




 たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、た、たたん、
 たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、た、たたん、




 合体を終え、灰色のケープ・・・・・・いや、マントを頭から被ったようなイスラフェルに変貌する。

 またリズムのペースが上がる。

 ほとんどタップダンス。

 だけど心は同調したまま。



 たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、た、たたん、
 たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、た、たたん、



 先に零号機が動く。



 たん、たん、たん、



 第七使徒を掴み、身体を捻って体勢を崩させて体重移動、

 旋回速度をつけて使徒ごと回転する。



 た、たたんっ



 ぎゅんっ!!!!!!!!



 やや強いリズムで水平にぶん投げた。



 たん、たん、たん、



 到達地点には弐号機、



 た、たたんっ



 ずどむっ!!!


 回転モーメントをつけながら身体を沈ませ、使徒に低位置からのソバット気味の回し蹴り。

 更に吹っ飛ぶ使徒。

 そしてその先には・・・・・・・・・。



 たんっ!!!



 ATフィールドを纏った左手の拳でイスラフェルを殴り止める初号機。



 たんっ!!



 零号機がソード状になったシールドを構えて走る。



 たんっ!!



 弐号機がソニックソードを構えて走る。




 初号機の右手のX−03が光る。



 た、たたんっ!!! たんっ!!!!



 三機其々の剣先が、三つのブロックに分かれているコアの其々を貫いていた。


 突き刺すのも、引き抜くのも同時だ。



 ──グ、グォオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!



 断末魔のうねりが辺りに響く。


 それはイスラフェルかガギエルか。


 或いは“二体”の使徒からか。


 お互いの意思の統一もないまま、足を引っ張り合った結果への無念の声か。


 いずれにしても、その命の火は尽きようとしていた。




 気配を察知し、三機は同時に動いく。



  たんっ!  たんっ!  たんっ!
 (掴むっ!)(捻るっ!)(投げる!)



 空高く舞い上がる使徒。


 そして、天空で轟音と共に光の十字架が現れる。



 ズドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!




  た、たたん、たんっ!!!!!!!!
 (フィールド、全開っ!!!!!!!!)




 完全同調したATフィールドが衝撃を遮断し、辺りに静寂が戻る。









 モニターを回復させ、センサー類を確認した一瞬後、

 「使徒、殉滅を確認っっっ!!!!!!!」

 日向の声と共に歓声が上がる。



 時間にして88.25秒。


 敵と行動が一つ分増えたからこんなもの。

 シンジ達にとってはNEWレコード成らずだが、発令所の面々にとっては奇跡の圧勝だ。 


 キョウスケとエクセレンも互いの腕を打ち合わせて喜びを分かち合う。

 リシュウも黙って頷いているが、顔は満足そうな微笑を浮かべていた。

 マヤは思わず青葉に抱きつき、青葉は珍しく真っ赤になっている。

 日向も調子に乗ってミサトに飛びつくも拳をめり込まされる。

 リツコは、ちゃっかり見つけたアルファを抱きしめていた。

 アルファは苦しそう。





 そんな勝利の歓声の中でもEVAの三人は変わらない。

 内臓電源も落ち、引き上げてもらわなければならないのであるが、心臓と心に響くビートに全てをゆだね、
眠るように瞼を閉じている。


 けれども音だけで気持ちを分かち合えていた。


 三人は心を共有している喜びの余韻に浸り続けている・・・・・・・・・。









 ・・・・・・・・・ずっと・・・・・・・・・・・・・・・・・・。







 たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、た、たたん、



 たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、たん、



 たん、たん、たん、た、たたん、たん、たん、



 たん、たん、たん、た、たたん、たん、



 たん、たん、たん、た、たたん、



 たん、たん、たん、



 た、たたん、



 たん・・・


 ・・・










                 *   *   *   *   *   *   *   *   *




 『第七の使徒を殉滅できたようだな・・・・・・』

 「ええ・・・・・・」

 『セカンドもサードもやってくれるではないか・・・・・・・・・』

 「・・・・・・」

 『これで計画の進行が妨げられる事はあるまい』

 『うむ・・・・・・想定したより経費もかかっておらんのでな・・・・・・』

 「・・・・・・」


 姿を見せぬ男達の嘲笑にも似た会話の中、そのサングラスの男は無言で立っていた。


 『・・・・・・して、お前がここに呼ばれている理由は解るか?』

 「・・・・・・いえ」

 『ネズミが出おってな・・・・・・』

 「・・・」

 『そやつは“アダム”を持ち出しおった』

 サングラスの男の表情が初めて動く。

 『・・・・・・無論、始末はつけたがな』

 「・・・・・・それで?」

 『心当たりはあるか?』

 「・・・・・・私がですか?」

 『・・・・・・・・・関係者の心当たりだと思ってくれていい。お前の事とは言っていない』

 「私には解りかねますな。こちらには情報が無かったのですから・・・・・・」

 『ふむ・・・・・・』

 『知らんと言うのだな?』

 『本当であろうな?』

 「お疑いでしたらお調べになったらどうです? 私は一向に構いませんが・・・・・・・・・?」

 『こやつ・・・・・・!!』

 『言わせておけば・・・・・・・・・』

 『まぁ、待て・・・・・・』

 威厳のある声が全員を諭す。

 明らかに異質。

 他の誰よりも感情を殺した老人の声。

 『碇が知らぬと言うのならそれでも良い・・・・・・・・・この話はここまでだ・・・・・・・・・。
  だが、計画の遅れは認めぬぞ?』

 「分かっております・・・・・・。計画は2%の遅れも確認されておりません」

 『・・・・・・・・・お前の息子・・・・・・・・・与えられた玩具を上手く使いこなしておるようだな・・・・・・』

 「・・・・・・・・・」

 『だが、道具は道具だ。いらぬ感情は・・・・・・』

 「その事は十分に理解しております」

 珍しく男が相手の言葉を遮った。

 かつて無い事である。

 『・・・・・・ふむ・・・・・・・・・まぁ良いだろう・・・・・・これからも期待しておるぞ・・・・・・下がれ・・・・・・』



 男が退出する。


 後に残るのはモノリスの老人達。

 『・・・・・・しかし・・・・・・どういう事だ? 裏死海文書の記述と違うぞ?』

 『ガギエルの再襲来。それもイスラフェルと同化して・・・だ・・・』

 『このまま計画とズレが生じては・・・・・・・・・』

 沈黙が辺りに漂う。

 重苦しい空気は拭えない。

 だが、

 『今ここで論じていても仕方あるまい・・・・・・・・・』

 又も件の老人が口を開いた。

 『多少のズレは起こる事もある・・・・・・所詮は記述の解釈の仕方なのでな・・・・・・』

 『ふむ・・・・・・』

 『では・・・・・・?』

 『とりあえずは様子見を続ける。それよりもだ・・・・・・』

 『うむ・・・』

 『碇は本当に知らぬのか?』

 『間違いないな。ポリグラフにも出ておる。奴の言葉はポジティブだ・・・・・・』

 『ならば・・・・・・』

 『・・・・・・』


 『何者が“アダム”を持ち去ったと言うのだ?』







 無人の廊下を歩くサングラスの男。


 彼が“ここ”に呼び出された理由は未だ理解していない。

 彼が受け止めている事実は、老人のやる事だ・・・・・・と、それだけ。

 別段、怒っている訳でもない。

 留守の間は副司令が上手くやってくれるだろう。


 先ほどの会話の中・・・・・・・・・。


 男は初めて“委員会”の言葉を遮った。

 自分の息子の事が話に出たからだ。

 息子が可愛いからではない。

 思い出したくなかったからだ。


 あの強い輝きの“眼”。

 如何なる状況にもけっして挫けない強い精神力。

 そして、万物を包み込むようなあの笑顔・・・・・・。

 自分にとっての全てである“ユイ”と同じ笑顔・・・・・・・・。


 彼にとって息子“シンジ”は恐怖の対象だ。

 自分に無い全てを持っているからだ。


 だが、現状では追い出す事もできない。

 シンジをNERVから追放し、弐号機と零号機だけでミッションを行った場合の計画の遅れをMAGIに
算出させてみたところ、なんと計画実行率がゼロになった。

 もはやシンジ抜きでは己の“A”計画を進める事ができなくなっているのだ。


 後戻りはできない。

 だが、シンジの眼で自分を見られることは恐ろしい。

 この世でもっとも欲している存在と同じ眼で自分を見る息子の眼が・・・・・・・・・。


 男・・・・・・碇ゲンドウは狂おしいジレンマと共に重い足を引き摺りつつ帰途に着いた。


 自分と血の繋がった“恐怖”の存在の待つ街へ・・・・・・・・・。






今回の戦闘
   湾岸被害・・・・・・・・・・・・・・中度
   零号機・・・・・・・・・・・・・・・・軽微
   零号機パイロット・・・・・・無傷
              陶酔
   初号機・・・・・・・・・・・・・・・・軽微
   初号機パイロット・・・・・・無傷
              陶酔
   弐号機・・・・・・・・・・・・・・・・軽微
   弐号機パイロット・・・・・・無傷
              陶酔

   作戦部長・・・・・・・・・・・・・・祝杯にて泥酔
              放置
              チルドレン達からの白い目
   技術部主任・・・・・・・・・・・・食べ過ぎによる胃もたれ&飲み過ぎ
              自力回復
   オペレーターズ・・・・・・・・泥酔&食べ過ぎ
              二日酔い

   マンションのリビング・・酒宴にて壊滅状態
              セカンドチルドレン激怒
              ファースト,サードチルドレン清掃任務





 ──あ(と)がき──

 ハイ。ユニゾンアタック終了です。

 短かった? スミマセン!!!!

 だ、だって、元々が一分ちょいの戦いだったでしょ? これを三人でやったってそんなに長くならないっ
スよ(;;)。

 だから許してください(TдT)。たのんますm(_ _)m


 それと、トリプルユニゾンは人数的にリズムが良いと思ったからリズム“だけ”にしました。

 反対意見もあるでしょうけどね・・・・・・。

 だって文体がメタメタになるんだもん・・・・・・。

 文章にリズムつけるんじゃなくて、リズムを文章に割り込ませるのって難し〜〜〜〜(;;)。

 ま、やったモンはしょうがないか・・・・・・。


 前述しておりますリズムのアレンジですが、アレンジを行ったのはミサトです。

 赤木博士ではちょっとねぇ・・・・・・。

 
 前回にそのアレンジの話を入れ忘れてる自分に乾杯です・・・・・・・・・。




 “ねるぷ”さん、“Isu人”さん、

 シンジ君の弱点は次になります。

 メールでお送りしたように、彼は弱点だらけです。

 次をお待ちください。


 では、話と言い訳が長くなりましたからこの辺で・・・・・・・・・。





 〜〜シンジ君の心に幸いあれ〜〜


作者"片山 十三"様へのメール/小説の感想はこちら。
boh3@mwc.biglobe.ne.jp

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