『ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンっ!!』
初号機はうずくまって使徒を睨んで不気味に目を細め、そのままムシャムシャと第14使徒『ゼルエル』にかじりついて食べ始めた。
「使徒を・・・。食っている・・・・・。」
背筋に冷たい汗を流してミサトが唖然と呟き、初号機の気色悪い咀嚼音だけが辺りに響く。
ブシュッ!!ブシュッ!!!ブシュッ!!!
しばらくすると満腹になったのか、初号機がのそりと立ち上がった直後、体全体が膨張し始め、内側からの圧力に各部の装甲が次々と吹き飛ぶ。
「拘束具がっ!?今、自らの力で解かれていく・・・。 私達には、もう・・・。エヴァを止める事は出来ないわ・・・・・・。」
険しい表情で説明するリツコだが、その視線は初号機に固定されたまま動かせなかった。


『ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンっ!!』
歯を剥いて咆哮を上げる初号機の雄叫びがジオフロントに木霊する。
「初号機の覚醒と解放・・・。こいつはゼーレが黙っちゃいませんな」
スイカ畑に如雨露を傾けながら、初号機を見上げて加持は面白そうにニヤリと笑い、期待に満ちた視線をネルフ本部の司令室がある方向に向けた。


何処かの暗闇・・・。
「エヴァシリーズに生まれいずるはずのないS2機関・・・。」
「まさか・・・。かの様な手段で自ら取り込むとはな」
「我らゼーレのシナリオとは大きく違った出来事だよ」
「・・・この修正。容易では無いぞ」
闇に円卓を描いて居並ぶは、キールを含めた人類補完委員会のメンバー。
「碇ゲンドウ。あの男にネルフを与えたのが、そもそもの間違いではないかね?」
「だが、あの男でなければ全ての計画の遂行は出来なかった」
最初に発言した者が更なる追求を伸ばそうとしたが、半ば強引な声でキールが遮ってかき消す。
「・・・・・・碇。何を考えている?」
しかし、キール自身もゲンドウの心の内を測りかねていた。


「・・・始まったな。」
司令公務室の窓辺に立つ冬月は万感の思いを込め、横に立つ長年のパートナーへ問う。
「ああ・・・。全てはこれからだ。」
それに応えてゲンドウはジオフロントを見下ろしながら、喜びの咆哮をあげ続ける初号機と同じく己の内なる心と魂の躍動を感じていた。


そう、始まったのだ・・・。この時、この瞬間から人類の新しい未来が・・・・・・。
未来・・・。それは未だ来ぬ時の事・・・・・・。
その未来の予測が出来るのなら、なんと素晴らしい事か・・・・・・。
我々、人間は長年の経験で、将棋の対戦相手の打ち筋を読む様に未来を読む事は出来る・・・・・・。
しかし、これはあくまで読むだけであり、未来を見る事は決して出来ない・・・・・・。
この読むと見るは同じ様にも感じられるが、例えるなら99.89%の差異がある人間と使徒くらいの大きな隔たりがある・・・・・・。
だからこそ、我々は未だ来ぬ時を恐れ、あらゆる可能性を読んでシナリオを作ってきた・・・・・・。
だが、やはり読む事と見る事は根本的に違うのだ・・・・・・。
そして、始まった・・・。この時、この瞬間から人類の新しい未来が・・・・・・





新 世 紀

エヴァンゲリオン

第弐拾話 心のかたち、人のかたち
 



<あと30日>

「エヴァ各機の損傷はヘイフリックの限界を超えています」
「時間がかかるわね。・・・全てが戻るには」
マヤが言う様にエヴァ各機は第14使徒戦のダメージで半壊であり、リツコが見渡す発令所もモニターや壁が打ち破れ半壊状態。
それどころか、ネルフ本部自体が半壊状態で、密かに現時点で使徒に攻め込まれたらひとたまりもない。
「幸い、MAGIシステムは移植が可能です。明日にも作業を開始します」
「でも、ここはダメね」
オペレーター階の下にあるMAGI階のMAGIにリツコは視線を移す。
「破棄決定は・・・。最早、時間の問題です」
青葉も発令所を見渡し、自分の推論を述べる。
「そうね。・・・取りあえず、予備の第二発令所を使用するしかないわね」
「MAGIはなくとも、ですか?」
「そうよ。ほこりを払って、午後には仕事を始めるわよ」
リツコの指示に、ちょっとだけ嫌な顔をするマヤ。
「椅子はきついし、センサーは硬いし、やりづらいんですよね。・・・あそこ」
「見慣れた第一発令所と造りは同じなんですが」
「違和感、ありますよね」
文句を言いながらもマヤは自分の座席に付けているピンクの座布団を取り、そんなマヤを宥めながら青葉は必要な書類をダンボールに入れ始める。
「使えるだけマシよ。使えるかどうかわからないのは初号機ね」
第14使徒戦で初号機が突き破った先の元初号機ケイジと呼ばれた場所を見ながら、リツコが呟いた。


「ケイジに拘束・・・。大丈夫でしょうね」
暴走した初号機は吠えるだけ吠えると活動を停止し、回収班により新初号機ケイジに拘束されていた。
「内部に熱、電子、電磁波、化学エネルギー反応はなし。S2機関は完全に停止しています」
装甲が剥がれた箇所に包帯をグルグル巻きにされた初号機を、ブリッチから見上げるミサトと日向。
「・・・にも関わらず、この初号機は3度も動いたわ。」
1度目はシンジが初号機に初搭乗した前後、2度目は第12使徒のディラックの海から帰還する時、そして3度目は先の第14使徒戦。
「黙視出来る状況だけでは、うかつに触れないわよ」
ミサトは初号機の胸の位置にある赤い球を睨む。
「うかつに手を出すと何をされるかわからない。葛城さんと同じですね」
重苦しい雰囲気を和らげ様と日向が冗談で茶化す。
「・・・すいません。」
しかし、ミサトは初号機を見つめたままでツッコミが貰えず、気まずい冷え冷えとした雰囲気に日向が謝った。


「だが、事態がエヴァ初号機の問題だけではない」
暗闇では未だ会議はまだ続いていた。
「さよう、エヴァ各機の大破。本部施設の半壊。セントラルドグマの露呈。被害は甚大だよ」
「我々がどの程度の時と金を失ったのか、見当もつかん」
「これも碇の首に鈴をつけておかなかったからだ」
「鈴はついている。ただ鳴らなかっただけだ」
鈴とは猫の首につける鈴を意味し、この場合はゲンドウが猫であり、鈴とは猫の動きを知らせる音を意味するスパイの事。
ちなみに、何でも主人の命令を忠実に応える犬ではなく、主人の機嫌をうかがうがプライドを持つ猫とゲンドウを例えているのがポイント。
「鳴らない鈴に意味はない。・・・今度は鈴に動いてもらおう」
キールが締め、鈴への指令が出された。


「いやはや、この展開は予想外ですな。委員会・・・。いえ、ゼーレにはどう言い訳をつけるつもりですか?」
司令公務室の机の上に腰かけ、加持は顔だけをゲンドウポーズをとるゲンドウと脇に立つ冬月に向ける。
「初号機は我々の制御下ではなかった。これは不慮の事故だよ」
「よって初号機は凍結。・・・委員会の別命あるまではだ」
まるで表情を変えない冬月とゲンドウ。
しかも、加持が委員会をゼーレと言い換えているのに、あえてゲンドウは委員会と言い直している。
「適切な処置です。が、しかし・・・・・・。ご子息を取り込まれたままですか?」
さすがに屈しないかと思いつつ、面白そうに加持は今後の展開について男臭い笑みを浮かべた。


プーー、プーー、プーー、プーー・・・。
「やはりダメです。エントリープラグ排出信号、受け付けません」
マヤが何度も初号機にエントリープラグ排出命令を出すが、モニターには『REFUSED』の文字が点滅し、発令所に警告音が鳴り響いている。
「予備と疑似信号は?」
「拒絶されています。直結回路も繋がりません」
リツコの指示を受け、マヤのキーボードを叩く指が焦り気味に動くが、やはり初号機からの反応はない。
「プラグの映像回路、繋がりました。主モニターに回します」
「何よ・・・。これっ!?」
日向がモニターにプラグ内映像に切り換えた瞬間、発令所にどよめきがわき、やっとの思いでミサトが声を振り絞る。
「・・・これがシンクロ率400%の正体」
「そんな・・・。シンジ君はいったいどうなったのよっ!?」
リツコが説明するが、エントリープラグには青いプラグスーツと白いヘッドセットだけが漂い、ミサトが言う様にシンジの姿は何処にもなかった。
「エヴァ初号機に取り込まれてしまったわ」
「なによそれっ!? エヴァってなんなのよっ!?」
「人の造り出した、人に近い形をした物体としか言い様がないわね」
苛立つミサトだが、リツコの表情はいつにも増して冷たくクール。
「人が造り出した?・・・あの時、南極で拾ったモノをただコピーしただけじゃない。オリジナルが聞いて呆れるわ」
「ただのコピーとは違うわ。人の意志が込められているもの」
「これも誰かの意志だって言うのっ!?」
淡々と冷静に言うリツコに、ミサトの感情がドンドンと高ぶる。
「・・・あるいは、エヴァの」
パァンッ!!
リツコの言葉を続けようとした瞬間、遂にミサトが激昂してリツコの頬を叩く。
「なんとかなさいよっ!!あんたが造ったんでしょっ!!!最後まで責任取りなさいよっ!!!!」
赤く腫れた頬も押さえず、リツコはミサトから視線を逸らし、2人の言い争いに日向と青葉とマヤは目を伏せた。


「う゛、う゛~~~ん・・・。」
眉間に皺を刻み、しきりに先ほどからベット寝返りを打っているシンジ。
「う゛、う゛~~~ん・・・。」
まるで『へ』の字の様に堅く閉ざされた唇が、何か言葉をモゴモゴと口の中で反芻させていると思った次の瞬間。
「(動けっ!!動けっ!!!動けっ!!!動けっ!!!!)動けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!!!」
突如、いきなりシンジは目をクワッと見開くと同時に、勢い良く上半身をガバッと起き上がらせながら絶叫をあげた。
「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~~~~~~~~・・・・・・。はぁ・・・。はぁ・・・。はぁ・・・。はぁ・・・。はぁ・・・。はぁ・・・。」
シンジの絶叫は声がかすれるまで続き、肺活量を全て使い果たした後、シンジは荒い息をついて呼吸を整える。
「はぁ・・・。はぁ・・・。」
              「はぁ・・・。はぁ・・・。」
「はぁ・・・。はぁ・・・。」
              「はぁ・・・。はぁ・・・。」
「はぁ・・・。はぁ・・・。」
              「はぁ・・・。はぁ・・・。」
辺りにはシンジの息づかいだけが聞こえ、相当の悪夢でも見たのか、息づかいに呼応するかの様にシンジの全身に汗が勢い良く噴き出す。
「はぁ・・・。はぁ・・・。」
              「はぁ・・・。はぁ・・・。」
「はぁ・・・。はぁ・・・。」
              「はぁ・・・。はぁ・・・。」
「はぁ・・・。はぁ・・・。」
              「はぁ・・・。はぁ・・・。」
軽く1分が経過した頃、呼吸も心も落ち着き始め、シンジは辺りを見渡してビックリ仰天。
「・・・ど、何処だ?こ、ここ・・・・・・。」
そこはレイとミサトは論外として、シンジが見た事があるアスカやマナの部屋よりも女の子女の子したフリルがたくさんある少女っぽい部屋。
「まあ、良いや。それより、使徒は・・・。」
その疑問も誰かに聞けば解るだろうと思い、シンジはベットから降りようとして2度ビックリ仰天。
「・・・って、何だよ。これぇぇ~~~っ!!」
なんとシンジが着用していたのは、ピンクのネグリジェと明らかに女性用と思われる下着、白と水色のストライプ模様のショーツだった。
「こ、これじゃあ、外に出れないじゃないか・・・。ど、どうしたら・・・・・・。」
慌ててシンジは布団を手繰り寄せて全身を隠し、再び辺りをキョロキョロと見渡すが、自分が最後に着ていたはずの制服は何処にもない。
カチカチ・・・。
        カチカチ・・・。
カチカチ・・・。
        カチカチ・・・。
カチカチ・・・。
        カチカチ・・・。
この状況を必死に打破しようとシンジは考え込み、静まり返った部屋に時が刻む音が聞こえてくる。
カチカチ・・・。
        カチカチ・・・。
カチカチ・・・。
        カチカチ・・・。
カチカチ・・・。
        カチカチ・・・。
何秒経ったのか、シンジが途方に暮れると同時に、初めて着る女性用の衣類から妙な倒錯感を感じて興奮し始めたその時。
ガチャ・・・。
「っ!?」
この部屋唯一の出入口である扉のドアノブが回される音が聞こえ、シンジが体をビクッと震わせて体を強ばらせ、目をギュッと瞑る。
ガチャンッ!!
「シンちゃんっ!?」
更に入ってきたと思われる人物が何かを落とした音に体をビクッと震わし、その人物がシンジを呼んだ途端、シンジは驚きに目を見開いた。
「・・・・・・あ、綾波?」
何故なら、シンジが知る限り『シンちゃん』と呼ぶ人物はミサトだけなのだが、ミサトとは似ても似つかぬ水色のワンピースを着た若い女性。
しかも、レイに良く似た容姿を持った少し茶色抜けているシャギーガットの女性であり、シンジの脳は混乱大パニック。
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
シンジは茫然と女性を見たまま、女性は胸の前で手を組んでシンジを潤む瞳で見つめたまま、2人は微動だにしない。
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
女性の足下のカーペットには水が徐々に染み込んでゆき、近くには女性が落としてひっくり返った風呂桶が落ちている。
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
どれほどの時間が経ったのか解らないほどの時が流れ、不意にシンジの脳裏に懐かしい光景が走り、思い出と共にシンジは思いのまま言葉を紡ぐ。
「・・・か、母さん?」
「シンちゃぁぁ~~~んっ!!」
その途端、動きを止めていた女性、シンジの母『ユイ』は潤む瞳をより一層に潤ませ、瞳をキラキラと輝かせてシンジの胸に飛び込んできた。


<あと29日>

「シンちゃんっ!!逢いたかったっ!!!シンちゃんにずっと逢いたかったっ!!!!」
まるでシンジをベットに押し倒すかの様に、ユイはシンジに飛び抱きつき、シンジの薄い胸板の上で涙をポロポロと流して頬ずりを始める。
「・・・か、母さん。・・・ほ、本当に母さんなの?」
「そうよっ!!母さんよっ!!!シンちゃんのお母さんよっ!!!!」
己の放った言葉とユイの言葉が信じられず、シンジは震える声で問うと、ユイはシンジの胸から泣き顔を上げてニッコリと微笑んだ。
「母さんっ!!逢いたかったっ!!!母さんにずっとずっと逢いたかったっ!!!!」
「あらあら、シンちゃんったら、相変わらず甘えん坊さんね♪こんなに大きくなったのに♪♪」
その途端、今度はシンジの方がユイをギュッと抱きしめてユイの頬へ頬ずりを始め、ユイはシンジの甘えぶりに涙を指で拭って頬を緩める。
「・・・・・・あら?」
だが、ふとユイは股間辺りに妙な感触を感じ、不思議そうに腰を左右にモゾモゾと動かした。
「えっ!?・・・わぁぁぁぁぁ~~~~~~っ!!」
一瞬だけ何の事だが解らなかったシンジだが、自分の体の変化に気づき、慌ててユイの両肩を両手で押して突き放す。
実は先ほどの倒錯感が未だ持続中であり、更にユイとの抱擁により、シンジの体の一部はシンジの心とは別に全くの謎の現象が起きていた。
「ほ、本当に大きく成長したのね・・・。と、父さんより・・・・・・。」
しかし、代えって突き放したのが原因でシンジの謎の現象は、ユイが視線を下に向けた事であっさりと見破られてしまう。
何故ならば、ユイを突き放した事によってユイとシンジの間に空間が出来てしまい、更にシンジが女性用の下着を履いていたのも原因である。
「わぁぁぁぁぁ~~~~~~っ!!ご、ごめんなさいっ!!!ぼ、僕っ!!!!」
慌ててシンジは再び抱き寄せて視線を塞ぐが、これが代えって母とは言えユイの女性の体を意識してしまい、シンジの心は咆哮をあげて暴れ狂う。
「シ、シンちゃん・・・。」
ゴクッ・・・。
一方、抱き寄せられたユイは十数年ぶりに男性を感じて茫然としつつ、ユイの中で眠っていた女が目覚め始め、生唾を音を立てて飲み込む。
「ご、ごめんなさい・・・。わ、わざとじゃないんだ・・・。こ、これは・・・。そ、その・・・。あ、あの・・・・・・。」
「い、良いのよ・・・。お、男の子なら当たり前よ・・・・・・。」
シンジは弱々しい声で呟き、ユイはシンジの髪を撫でながら、2人は胸を合わせて鼓動をドキドキと高鳴らす。
「ほ、本当にごめんなさい・・・。か、母さん・・・・・・。」
儚げな声を出して耳元で必死に許しを請うシンジを落ち着かせようと、ユイは黙って静かにシンジの髪を撫で続ける。
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
2人の間に気まずい雰囲気が流れ、シンジの心は収まるどころか全く収まらずに櫓太鼓でドンドンと乱れ打ち。
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
一方、ユイはシンジの髪を撫でれば撫でるほど、シンジの体臭がユイの鼻腔をくすぐり、脳は脳内麻薬を分泌しまくりで麻痺状態。
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「母さん・・・。ごめ・・・。」
長い長い沈黙の後、シンジが再びユイの両肩を両手でゆっくりと押そうとしたその時。
ゴクッ・・・。
「シンちゃぁぁぁぁぁ~~~~~~んっ!!」
生唾を飲む込むと同時に理性の防波堤が遂に決壊したユイが、太古から脈々と流れる野生の血の赴くままにシンジの唇に自分の唇を重ねてきた。
「うわっ!!母さんっ!!!何す・・・。んんんっ!!!!ん~~~~~っ!!!!!」
しかも、なんとユイはそれだけでは飽きたらず、抵抗するシンジの口内へ制圧兵を派遣した上、腰を忙しなく左右にモゾモゾ動かして縦断爆撃。
「んんんっ!!」
        ジタバタッ!!
「んんんっ!!」
        ジタバタッ!!
「んんんっ!!」
        ジタバタッ!!
シンジは必死に抵抗するも、ユイにマウントポジションを取られては難しく、ただ虚しく体をジタバタさせるだけ。
「んん~~っ!!」
         ジタバタジタバタッ!!
「んんんっ・・。」
         ジタ、バタ、ジタ、バタ。
「んんっ・・・。」
         ジタ・・・。バタ・・・。
その抵抗も次第に弱まり、更にユイはシンジの右手を自分の胸に導いて動かし、シンジへの精神行撃も加え始めた。
「んっ・・・・。」
         「・・・んっ・。」
「んんっ・・・。」
         「・んっんっ・。」
「・・・んんんっ」
         「んん・・んんっ」
遂にはシンジの抵抗は完全に止み、重なり合わさった2人の唇の間から2人の熱い吐息が漏れてくる。
「んっ・・・んっ」
         「・んんっ・・。」
「んんんんっ・。」
         「・・・んんんっ」
「・・・んっ・。」
         「んんっ・・・。」
ユイが唇を離した時には、すっかりシンジは瞳をトロ~ンと潤ませて白旗を上げ、降伏の証にユイの唇と自分の唇に銀色の橋を掛けていた。
「シンちゃん・・・。ごめんなさい・・・。でも、母さんは母の前に女でいたいの・・・・・・。」
シンジの上に馬乗りになったまま、ユイは背中に手を回して背筋にあるワンピースのボタンをもどかし気に外してゆく。
「さあ、始めましょう・・・。ほら、これを脱がなきゃね。シンちゃん、万歳して?」
何を始めるのかは全くの謎だが、下着姿になったユイが促すと、シンジはユイのなすがまま万歳をしてピンクのネグリジェを脱がされた。


ミーン、ミンミン、ミーン・・・。
夕陽が射し込む窓の向こうから蝉の鳴き声が聞こえる病室。
ミーン、ミンミン、ミーン・・・。
                ミーン、ミンミン、ミーン・・・。
ミーン、ミンミン、ミーン・・・。
                ミーン、ミンミン、ミーン・・・。
ミーン、ミンミン、ミーン・・・。
                ミーン、ミンミン、ミーン・・・。
部屋の主は第14使徒戦後に運び込まれて以来、微動だにせず静かに目を瞑っていた。
ミーン、ミンミン、ミーン・・・。
                ミーン、ミンミン、ミーン・・・。
ミーン、ミンミン、ミーン・・・。
                ミーン、ミンミン、ミーン・・・。
ミーン、ミンミン、ミーン・・・。
                ミーン、ミンミン、ミーン・・・。
頭には左目を隠して包帯が巻かれ、更に両腕は指先から肩までが完全に包帯で覆われ、その姿は見る者が目を細めてしまうほど痛々しい。
「・・・・・・まだ生きている」
ゆっくりと目を開き、レイはぼんやりと天井を眺めながらポツリと呟いた。


「あの女が無事だって言うのは解ったわよっ!!」
夕飯過ぎの時間、この家の家主も、主夫もいない葛城邸へ本日は唯一帰宅した少女の怒号が響き渡った。
「ミサトもいちいちそんな事で、あたしに電話しないでよっ!!もうっ!!!」
ガチャンッ!!
正しく受話器を叩きつける様に電話を切り、アスカは苛立ちあらわに自分の部屋へ向かう。
その途中、ダイニングキッチンのテーブルの上には、アスカがさほど手を付けずに食べ残したコンビニ弁当がそのままの状態で置かれていた。
「何にもっ!!!」
ガラッ!!
アスカが襖を勢い良く開けると、雑誌や化粧品や何やらが散乱したアスカの心そのままの状態の部屋が目の前に現れる。
雑誌はページが破られ、クッションは縫い目が裂けて綿が溢れ、壁に投げつけられたアスカのお気に入りのテーカップは粉々に割れていた。
「何にも出来なかったなんてっ!!」
ガラッ!!バンッ!!!
今度は勢い良く襖を閉め、襖が縁にぶつかった衝撃の反動で数センチほど戻って隙間を開ける。
「あのバカシンジに負けたなんてっ!!」
ボフッ!!
そんな事はお構いなしのアスカは、まるでベットに倒れ込む様に倒れ、ベットのスプリングが勢い良く軋む。
「・・・く、悔しい」
しばらくしてベットの揺れが収まると、アスカは震える声と肩で枕に顔を埋めて抱き、1粒の涙を枕に染み込ませた。


「ううう・・・。ひ、酷いや・・・。か、母さん・・・。ぼ、僕、初めてだったのに・・・。しかも、親子でなんて・・・・・・。」
2人の間に何があったのかは全くの謎だが、シンジはベットへ横に寝そべり、隣にいるユイとは反対の壁側を向き、涙をルルルーと流している。
良く見れば、シンジの体のあちこちには、謎の内出血後が幾つも刻まれていた。
「シ、シンちゃん、大丈夫よ・・・。こ、ここは初号機の中だから・・・。い、いわゆるヴァーチャル体験と変わらないから・・・。ねっ!?」
さすがのユイも激情に駆られたとは言え、せっかくの親子の信頼を崩してはと思い、上半身を起こしてシンジの震える肩を揺すって必死に宥める。
「えっ!?初号機の中ってっ!!?・・・あっ!!!?」
ユイの言葉の中に理解不能な単語があり、シンジは勢い良く上半身を起き上がらせるが、自分も裸ならユイも裸と気づき、慌てて布団に逆戻り。
「そうよ。ここは初号機の中・・・。どうやら、シンちゃんも母さんと一緒で取り込まれちゃった様ね」
「・・・取り込まれた?」
ユイはシンジが耳まで真っ赤に染めているのを見てクスリと笑い、更にシンジは意味が解らずオウム返しに聞き返す。
「シンちゃん、使徒と戦っている時に体が解けてゆく様な感じを味あわなかった?それと何か呼びかけられる様な感覚も・・・。」
「・・・そう言えば、そんな感じがする」
ユイの言葉を聞きながら、シンジは第14使徒戦で聞こえた初号機の鼓動音を思い出した。
「そして、シンちゃんはここへ・・・。初号機の中へやってきたのよ?母さんと同じ様にね」
「・・・そうなんだ」
「そう、ここは初号機の中であり、ここは全て母さんが作ったイメージの世界」
「・・・イメージの世界?」
もう何が何だか解らず、シンジはユイの話を聞きながら混乱し、ユイの言葉を相づちを打つだけ。
「そうね。何て言ったら良いかしら?例えば・・・。ほら、さっきまでシンちゃんが履いていた下着は母さんのなんだけど・・・。」
「えっ!?母さんのっ!!?」
「ええ、そうよ♪親子なんだから良いじゃない♪♪」
「・・・う、うん」
だが、先ほどまで履いていた下着の話題になった途端、シンジは驚いて再び勢い良く上半身を起き上がらせ、またもや慌てて布団に逆戻り。
「・・・でね?シンちゃんはこの家の前に裸で倒れていたんだけど、母さんは男の人の下着のイメージが上手く出来なくて・・・。
 それでシンちゃんに母さんのを履かせたの。裸でいるより良いでしょ?・・・あっ!?ついでに、この部屋も家も母さんのイメージなのよ?」
「・・・そ、そうなんだ(治れっ!!治れっ!!!治れっ!!!!治れっ!!!!!治れぇぇ~~~っ!!!!!)」
そして、ユイの話を聞き流しながら、シンジは胸をドキドキと高鳴らせ、何が『治れ』なのかは全くの謎だが、お得意の呪文詠唱を始めた。
「だから、シンちゃんも大丈夫♪イメージの世界だからヴァーチャル体験で夢と変わらないわ♪♪」
するとユイはクスクスと笑いながらシンジの背中に抱きつきた。
「で、でも、母さん・・・。ゆ、夢にしては凄くリアルな堅実感があるだけど・・・って、んんっ!?何するのぉぉ~~~っ!!?」
シンジは背中に当たるユイの胸の柔らかさにドギマギさせていると、ユイはシンジの耳たぶに熱い吐息を吹きかけ、シンジの体がビクッと跳ねる。
「平気、平気♪ヴァーチャル体験、ヴァーチャル体験♪♪」
「嘘だぁぁ~~~っ!!絶対に嘘だぁぁぁ~~~~っ!!!・・・あんっ!!!!」
「あらあら、シンちゃんったら♪女の子みたいな声を出しちゃって可愛い♪♪」
ユイが何をやっているのかは全く謎だが、その謎は既に8回も繰り返されていた。


<あと28日>

「シンジ君のサルベージ計画っ!?」
初号機ケイジで初号機を見上げながら、技術部から作戦部へ今後について説明を聞き、ミサトは驚き声をあげた。
ミサト、リツコ、マヤの目の前には初号機の胸の赤い球があり、装甲が破られた初号機の顔は包帯の様な布でグルグル巻きにさせられている。
「そうよ。シンジ君の生命というべきものはまだ存在しているわ」
「・・・今度は人命尊重?」
「今はシンジ君を失う訳にはいかないの」
鼻で笑ってミサトは白い視線を向けるが、リツコはまるで堪える事も屈する事もなくクールに返す。
「どぉぉ~~~うだか?ネルフが欲しいのは彼の命ではなく、道具としての初号機でしょ?」
「否定はしないわ」
ならばとミサトは妙に間延びした声を出し、嫌味をたっぷりと効かせた言葉を贈るも、これまたリツコは顔色1つ変えずに素直に受け取った。
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
ミサトはリツコに白い視線を向けたまま、リツコは初号機を見上げたまま、2人は無言になって辺りは重苦しい雰囲気が漂う。
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
         「・・・・・・。」
おかげで、マヤは自分の事の様に焦ってしまい、必死に何か喋ろうと言葉を探す。
「シ、シンジ君の肉体は自我境界線を失って・・・。りょ、量子状態のままエントリープラグ内を漂っていると推測されます」
「つまり、シンジ君は私達の目では確認できない状態に変化していると?」
「そうです。プラグの中のLCLの成分が化学変化を起こし、現在は原始地球の海水に酷似しています」
検索結果の末、マヤの説明にミサトが乗り、霧散された雰囲気にマヤは胸をホッと撫で下ろした。
「生命のスープか・・・。」
「シンジ君を構成していた物質は全てプラグ内に保存されているし、魂というべきものもそこに存在している。
 現に彼の自我イメージがプラグスーツを擬似的に実体化させているわ」
「つまりサルベージとは、彼の肉体を再構成して精神を定着させる作業です」
しかし、いまいち話を付いていけず唸るミサトに、リツコが解説してマヤが補足説明した途端。
「・・・そんな事が出来るの?」
サルベージ計画が突拍子もない作業と解ったミサトが、再び疑わしげな白い視線をリツコに向けた。
「MAGIのサポートがあれば・・・。」
「理論上は・・・。でしょ?何事もやってみないと解らないわ」
だがやはり、リツコは初号機を見上げたままクールに返し、再びミサトの口を出た嫌味に重苦しい雰囲気がまたもや漂い始める。
(か、葛城さんも・・・。せ、先輩も・・・。あ、煽らないで下さいよ・・・・・・。)
そんな2人に挟まれ、1人マヤは汗をダラダラと流して焦り、次にかける言葉を必死に検索し始めた。


「・・・でも、良かった」
シンジはベットに壁側を向いて横に寝そべり、背後でベットから降りてブラジャーを付けているユイに話しかけた。
「そう?母さんも良かったわよ♪シンちゃん、初めてにしては凄く素敵だったわ♪♪」
「ち、違うよっ!!そ、その良かったじゃないよっ!!!」
ユイはニッコリと笑ってシンジの頬にチュッとキスするが、シンジは顔を真っ赤っかに染めて勢い良く起き上がって否定を叫ぶ。
「あら?・・・違うの?」
「違うよっ!!僕が言いたいのは・・・。えっと・・・。その・・・。あの・・・・・・。」
「・・・シンちゃんが言いたいのは?」
やけに言い辛そうに口ごもるシンジに、ユイはキョトンと不思議顔で聞き返す。
「母さんは父さんみたいに僕を捨てたんじゃないって事が解ったから・・・。初号機の中で僕をずっと見ていてくれたんだね・・・・・・。」
「馬鹿ね♪当たり前でしょ♪♪母さんがシンちゃんを捨てる訳・・・って、シンちゃん?もう1度、今の言葉を言ってくれる?」
そして、ようやくシンジが告げた言葉に、ユイはクスリと笑い、再びシンジの頬にキスをしようとするが、直前でピタッと動きを止める。
「えっ!?・・・初号機の中で僕をずっと見ていてくれたんだね?」
「その前・・・。」
「・・・母さんは父さんみたいに僕を捨てたんじゃないって事が解ったから?」
今度はシンジがキョトンと不思議顔なり、ユイの要求通りに同じ言葉を繰り返した。
「父さんが・・・。ゲンドウさんがシンちゃんを捨てた?・・・どういう事なの?それ・・・。母さんに詳しく聞かせてくれない?」
「う、うん。い、良いけど・・・・・・。あ、あれは僕が4歳の頃・・・。」
すると突然、どんな間でも笑顔を絶やさなかったユイの笑顔が凍りつき、シンジは得体の知れぬ恐怖を感じ、不思議な寒気を覚えながら語り出す。
「あっ!?待ってっ!!!その前に♪」
だが突然、ユイは自分が尋ねたのに、シンジの言葉を遮って止めた。


<あと27日>

「ふんふんふんふんふんふんふ~ん♪」
お風呂場にご機嫌なハミングは響かせ、自慢の玉の肌をゴシゴシと洗うユイ。
「あら?シンちゃん、お風呂に浸かっているだけじゃダメよ♪いっぱい汗をかいたんだから洗わなくっちゃね♪♪」
「う、うん・・・。」
その横では湯舟に浸かるシンジが紅く染めた顔を俯かせ、鼻までお湯に潜らせてお湯からブクブクと泡を上らせていた。
「あらあら、何を恥ずかしがっているの♪もう恥ずかしがる様な仲じゃないでしょ♪♪」
「そ、そうだけどさ・・・。(ぼ、僕達の仲って、何?・・・や、やっぱり、もう親子じゃないのかな?)」
体の泡を風呂桶にすくったお湯で流し、暢気にニコニコと笑うユイに、シンジは顔を引きつらせ、心ではユイと反対に涙をルルルーと流す。
変な例えかも知れないが、中国の故事に『男児、三日会わざらば、刮目して見よ』と言う諺がある。
この意味は、男は3日もすれば変わっているので目を凝らして見ろと言う意味であり、3日でこうなのだから10年だとしたらこうも言える。
即ち、シンジとユイは10年も会っていなければ他人と等しく、2人に何があったかは全くの謎だが、他人なのだから何があっても全く問題なし。
「ほら、背中を洗ってあげるから上がりなさい♪」
「えっ!?で、でも・・・。」
ユイは座っていた風呂椅子を譲り、代わりに風呂桶を逆さまに置いて座るが、シンジは湯舟から上がろうとしない。
「ほら、ほら♪ここ、ここ♪♪」
「う、うん・・・。わ、解った」
「もう隠さないでも良いのに♪シンちゃんの照れ屋さん♪♪」
その抵抗も虚しく、ユイに風呂椅子の座る位置をパンパンと叩かれ、シンジは仕方なしに股間を両手で隠しながら湯舟から上がる。
「か、母さんっ!!へ、変な事をしないでよねっ!!!」
「はいはい♪」
照れまくるシンジに、ユイはクスクスと笑いながらボディーシャンプーをスポンジに染み込ませ、シンジの背中にスポンジをあてがった。
「ふんふんふん♪」
         「ふんふんふん♪」
「ふんふんふん♪」
         「ふんふんふん♪」
「ふんふんふん♪」
         「ふんふんふん♪」
再びお風呂場にご機嫌なハミングを響かせ、ユイはシンジの男の子にしては小さい背中をゴシゴシと洗う。
「ふんふんふん♪」
         「ふんふんふん♪」
「ふんふんふん♪」
         「ふんふんふん♪」
「ふんふんふん♪」
         「ふんふんふん♪」
一方、シンジは戦々恐々と体を強ばらせ、必死に背後へ意識を集中させていると、不意にユイのハミングと共に背中のスポンジの動きが止まった。
「・・・・・・ねえ、シンちゃん。お父さんを恨まないでやってね」
一拍の間を置き、ユイがポツリと呟いた瞬間、シンジは体をビクッと震わせ、何か文句の1つでも言おうと口を開けた瞬間。
「あの人は寂しがり屋さんなんだから・・・。」
「さ、寂しがり屋ぁぁ~~~っ!?と、父さんがぁぁぁ~~~~っ!!?」
ユイの口から信じられない言葉が飛び出し、シンジは言おうとした言葉をキャンセルし、お風呂場に叫び声を響かせる。
「シンちゃん、知らなかったの♪あの人は寂しがり屋さんで可愛い人なのよ♪♪」
「か、可愛いぃぃ~~~っ!?う、嘘だっ!!?ぜ、絶対に嘘だよっ!!!?あ、あの父さんの何処が可愛いのさぁぁぁ~~~~っ!!!!?」
しかし、ユイは全く堪えずにニコニコと微笑み、更にシンジは叫びを通り越して絶叫をあげた。
「あら、本当よ♪じゃあ、シンちゃんには後でゲンドウさんの可愛いところを教えてあげる♪♪」
それでもやはりユイは堪えないどころか微笑みを増し、シンジはもう開いた口が塞がらずに固まる。
「はい♪シンちゃん、こっちに前を向けて♪♪」
「・・・えっ!?」
そこへユイから新たな衝撃が加えられ、シンジはたちまち解凍して一瞬だけ意味が解らず間抜け顔。
「背中は洗ったから前も洗わないとね♪」
「わぁっ!?」
そんな事はお構いなしにユイがシンジの右肩を押すと、シンジは風呂椅子へ流れた泡で滑って左回りにクルリと回ってユイとご対面。
「あら?手を退けないと綺麗にちゃんと洗えないわよ♪」
「ダ、ダメだよっ!!ダ。ダメっ!!!か、母さん、ダメだったばぁぁ~~~っ!!!!」
するとユイは首を傾げた後、シンジが未だ必死に抑えている股間部の両手を退けようと試み、シンジは必死に股間を押さえて抵抗する。
「ダメよ♪ここは1番綺麗にしなくちゃダメなんだから♪♪」
「い、良いよっ!!じ、自分で洗うからぁぁ~~~っ!!!」
だが、これまた股間へ流れ落ちた泡で滑ってしまい、あっさりとシンジの抵抗虚しく、ユイに両手を掴まれて万歳状態にさせられた。
「あらあら・・・。まあまあ・・・。こんなになっちゃって・・・。」
「ううっ・・・。ひ、酷いや・・・。か、母さん・・・・・・。」
2人は万歳状態のまま、ユイはうっすらと頬を紅く染めてシンジの股間を凝視し、シンジは最後の砦の陥落に涙をルルルーと流す。
ゴクッ・・・。
「シンちゃぁぁぁぁぁ~~~~~~んっ!!」
「やっぱり、こうなるんだぁぁぁぁぁ~~~~~~っ!!」
お風呂場にユイの生唾を飲み込む音が響き、何がこうなったのかは全くの謎だが、2人の謎は新たに1つ加えられて9回目に突入していた。



感想はこちらAnneまで、、、。

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