リツコ「随分と開き直ったものね」
シンジ「・・・・・・」
リツコ「ならこれも教えておくわね。私は、あなたのお父さんの愛人なの。生前は私の母もそうだった」
シンジ「あいじ・・・えええっ!?」
リツコ「こっちの話のほうが驚くのね・・・。もっとも、あの人は結局、ユイさんしか愛していない。
私も母も、愛人という縛りで体よく使い捨ての道具に仕立てられただけよ」
シンジ「リツコさん・・・」
リツコ「ユイさんどころか、ユイさんに縁を持つ綾波レイにすら勝てなかったわ」
シンジ「・・・・・・」
リツコ「それが、さっきのあなたの疑問への答えよ」
リツコ「女を道具として使う男が、同じ女であるレイには信頼を置いている。
裏切られるかも知れないなんて思ってもいないのよ」
シンジ「だから、僕を・・・?」
リツコ「ええそうよ。シンジ君のその槍を見て思ったの。これがあれば、レイをあの人から引き離せる」
シンジ「・・・・・・」
リツコ「女を虜にする力を得た実の息子に、あの人・・・ゲンドウさんの悲願は潰される。そういう復讐よ」
シンジ「・・・・・・」
リツコ「怒ったかしら? 私は私で、あなたを道具に仕立てたの」
シンジ「・・・・・・怒るなんて。さっきも言ったけど、皆とえっちなことしてきたのは僕の意思ですから」
シンジ「それよりリツコさん! それじゃ、父さんの補完計画はもう失敗してるってことですか?」
リツコ「実質、そうなるわね。あの人は気づいていないでしょうけど」
シンジ「良かった・・・・・・」
リツコ「・・・・・・」
シンジ「あ、けど、綾波の話だと、本当の補完計画はまだ別にあるって」
リツコ「ええ。ネルフの背後にあるゼーレという組織は、生命をリリスの卵へと還元して―――」
シンジ「???」
リツコ「その様子だと・・・・・・あまり詳しいことは知らないようね」
シンジ「え、ええ。だから、できるならリツコさんにも協力して欲しいんです」
リツコ「さて、どうしようかしら。私は復讐さえ成してしまえば、あとはどうなっても構わないわ」
シンジ「リツコさん・・・」
リツコ「そうねぇ。例えば・・・・・・あなた達の仲間になることで『特典』はある?」
シンジ「・・・・・・! あっ、あります」
リツコ「ならばその『特典』次第ね。あくまで例え話だけど、いくら愛情がなくとも、
強面の男が自分の女に息子とのセックスを比較されて完敗するなんて、愉快な話だと思わない?」
シンジ「あの・・・・・・。実は、さっきからちょっと思ってたんです」
リツコ「なにを?」
シンジ「女の人の顔で、復讐の話とかするリツコさんって、魅力的だなぁ・・・って」
リツコ「・・・・・・呆れた中学生ね。ミサトが心配するはずだわ」
シンジ「それじゃ・・・始めますね」
しばし後日 NERV〜
青葉「これは・・・・・・!?」
冬月「どうした?」
青葉「戦自の編隊です。かなりの数が、おそらくネルフ本部へと進路を取っています」
冬月「なんだと」
日向「地上からも来ます! 強羅方面に特火大隊、及び御殿場方面から2個大隊!」
冬月(なぜ、このタイミングで・・・)
冬月「碇」
ゲンドウ「戦略自衛隊本部に回線を繋げ。私が直接話をする」
青葉「はいっ!」
フッ
青葉「えっ」
日向「て、停電・・・?」
ゲンドウ「・・・・・・」ガタッ