MIME-Version: 1.0 Content-Location: file:///C:/85899B37/87.htm Content-Transfer-Encoding: quoted-printable Content-Type: text/html; charset="us-ascii"
満身創痍=
398;二人の少年は、崩れ=
;落ちる寸前で踏み堪=
12360;ていた。
肉体に蓄積=
373;れた疲労は最高潮に=
;達し、全身の骨格は=
12462;シギシと軋む。
筋組織は引=
365;裂くような激痛に苛=
;まれ、立っているの=
12364;精一杯の状態。
それでも二=
154;の闘争心は失われず=
;、闘いを止めようと=
12418;しなかった。
「うずまき…ナルトッA=
281;!」
鉛のように%=
325;い身体を引き摺り、=
;我愛羅は徐々に間合=
12356;を詰める。
そして右拳=
434;握り締めると、ナル=
;トの顔面に思いっ切=
12426;叩き込んだ。
だがナルト=
399;木ノ葉の額当てで受=
;け止め、勢いを弾き=
36820;す。
【グッ…うッ!】
必死の形相=
391;歯を喰い縛りながら=
;、鈍速の右回し蹴り=
12434;放つ。
普段からは=
819;像もできないような=
;遅さだが、我愛羅の=
24038;即頭部に直撃。
その衝撃が=
847;識を奪い、膝から崩=
;れ落ちそうなる我愛=
32645;。
「ぬッ…があッ!!」
何とか踏み=
570;え、右腕を伸ばして=
;ナルトの顔面を鷲掴=
12416;。
そのまま渾$=
523;の力を右手に送り、=
;頭蓋骨を握り潰そう=
12392;する。
ミシミシと =
819;障りな音が聞こえ、=
;ナルトの表情は苦痛=
12395;歪んだ。
(まだこん=
394;に力が……ッᦀ=
1;)
ナルトは起=
515;回生の一撃を、無防=
;備となっている脇腹=
12395;叩き込む。
拳の先に骨=
364;砕ける感触が広がり=
;、更に減り込ませよ=
12358;と押し進める。
「ぐふうッA=
281;!」
思わぬ反撃=
434;受けた我愛羅は苦痛=
;の呻きと共に右手を=
38626;してしまう。
2歩、3歩=
460;ろによろめき、砕か=
;れた肋骨の部分を手=
12391;押さえる我愛羅。
鋭い刃物で=
309;度も貫かれるような=
;激痛が襲い、濁った=
39854;血を地面に吐き出{=
77;。
真っ赤と言=
358;よりもドス黒く、そ=
;の事から臓器が損傷=
12375;ているのは明確。
しかし我愛 =
645;は口元から血を流し=
;ながら、歪んだ微笑=
12434;浮かべていた。
「クックク=
463;……最ਰ=
9;、苦痛でさえ心地良&=
#12356;」
崩れ落ちそ=
358;になるのを堪え、手=
;の甲で口元の血を拭=
12358;。
中忍選抜試'=
443;を受ける前まで、我=
;愛羅は常に無傷を誇=
12387;て来た。
リーやサス=
465;によって多少の傷は=
;負ったが、今回のよ=
12358;な状況は初めて。
我愛羅は満$=
523;創痍になりながらも=
;、全力を出せる喜び=
12434;噛み締めていた。
「ぐふッ! だが、肉体の方は=
12393;うやら限界寸前の|=
24;うだな」
気管に詰ま=
387;た血を吐き出し、我=
;愛羅は掠れた声を紡=
12366;出す。
対するナル=
488;も同じような状態、=
;やはり『九尾・口寄=
12379;』の負担は重かっ{=
83;。
【だったら=
909;い加減、正真正銘=
……最=
0;の一撃にするか?】<=
/span>
「…=
230;良いだろうッ!!=
12301;
咆哮する我=
859;羅は右腕を前方に突=
;き出し、大量のチャ=
12463;ラを収束させる。
残り僅かな=
983;命力を燃焼させ、己=
;のチャクラへと還元=
12375;て……
すると地面=
398;砂が躍動を始め、我=
;愛羅の右腕を徐々に=
35206;い始めた。
【ならば俺=
418;………ッᦀ=
1;?】
己が持つ最=
823;の奥義を放つ為、右=
;手にチャクラを集中=
12373;せた。
しかしその=
636;間、神経を引き千切=
;られたかのような激=
30171;が襲う。
(チッ……経絡系の損傷が思=
12387;た以上に酷い)
全身に張り=
033;らされた経絡系はチ=
;ャクラの通り道。
これでは印=
399;結べても正常にチャ=
;クラを練る事すら叶=
12431;ない。
(だが、四=
398;伍を言ってる余裕は=
;ないッ!)
ナルトは左=
163;を右手首に添え、無=
;理矢理チャクラを集=
20013;させた。
想像を絶す=
427;激痛を捻じ伏せ、全=
;神経を注いで凝縮さ=
12379;て行く。
その余波に =
784;え切れなくなったの=
;か、右腕に無数の裂=
20663;が刻まれる。
そして、双=
041;は微かに笑みを浮か=
;べると地面を強く蹴=
12426;上げた。
互いに見据=
360;ているのは己自身、=
;鏡に映った半身に近=
12356;存在。
体内に『妖'=
764;』と呼ばれる異形の=
;存在を宿し、憎悪や=
27578;意を受けて来た。
二人の少年=
398;間には既に言葉は不=
;必要、似た者同士の=
20849;感とでも言えば良{=
56;のか。
化け物と指=
434;差されても護るべき=
;人達が居る。
『九尾』を=
487;す少年は里の為、己=
;を認めてくれた人の=
28858;……
『守鶴』を=
487;す少年は血で繋がれ=
;た絆を持つ肉親の為=
12395;……
『奥義 螺=
059;丸ッ!!』
『呪怨砂塵=
539;裂破ァ!!』
高密度に凝 =
302;されたチャクラの弾=
;丸が唸りを上げる。=
span>
我愛羅の右!=
109;に形成された守鶴の=
;腕から鋭い爪が姿を=
29694;す。
己の全てを$=
077;けた一撃が激突し、=
;チャクラの奔流が周=
22258;を刻んだ。
凄まじい威=
147;の余波で地面は抉れ=
;、木々は無残にも薙=
12366;倒される。
【うおおお=
362;おおぉぉッ!!】=
「があああ=
354;ああぁぁッ!!」=
双方のチャ=
463;ラが咆哮と同時に膨=
;れ上がり、徐々に均=
34913;状態が崩れ始めたz=
90;
砂で覆われ=
383;我愛羅の右腕に亀裂=
;が、そして網の目の=
12424;うに広がって行くz=
90;
それに伴っ=
390;ナルトの『螺旋丸』=
;も縮小を始め、威力=
12364;目に見えて減退す|=
27;。
「うずまき=
490;ルトッ!
これで終わりだァ=
65281;!」
我愛羅は右!=
109;を突き上げ、ナルト=
;を押し潰そうと圧力=
12434;掛ける。
踏み締めて=
427;両足が地面を砕き、=
;小柄な身体が埋もれ=
12390;行った。
勝利を確信=
375;た我愛羅が更に圧力=
;を加えようとした瞬=
38291;……
【…=
230;…九尾、最後の我侭=
12384;】
ナルトは静=
363;に双眸を閉じ、体内=
;に潜む妖魔に語り掛=
12369;る。
【もう一度……チӣ=
5;クラを貸しやがれッ&=
#65281;!】
双眸の碧眼=
364;深紅に染まり、獣を=
;連想させるように裂=
12369;た。
両頬に刻ま=
428;た古傷が深みを増し=
;、犬歯が伸びて牙と=
21270;す。
そして右手=
398;爪が鋭さを帯び、手=
;の平に紅蓮のチャク=
12521;を凝縮させる。
『奥義 紅"=
030;・螺旋丸ッ!!』=
威力を増し=
383;チャクラの弾丸は、=
;守鶴の腕を粉々に砕=
12365;始めた。
「馬鹿なッA=
281;?」
我愛羅は驚=
853;の表情を浮かべ、思=
;わずそう叫ぶ。
先程まで優=
218;だったにも関わらず=
;、今では完全に劣勢=
12395;強いられている。
互いは既に&=
480;界寸前の筈、それな=
;のに何故このような=
12481;ャクラが……
そう思って=
356;るのも束の間、砂で=
;形成した守鶴の腕が=
23436;全に破壊された。
途端に無防=
633;となった我愛羅の腹=
;部に、ナルトは最後=
12398;一撃を見舞う。
「ぐうッ…ああああ=
354;ぁぁぁッ!!」
我愛羅の全$=
523;がチャクラの奔流に=
;呑み込まれ、螺旋を=
25551;いて吹き飛んだ。
幾本もの木=
293;を薙ぎ倒し、十数メ=
;ートル程も離れた地=
38754;に叩き付けられるz=
90;
【ハァ…ハァ…ハァ……
突き出した=
414;まの右腕から鮮血が=
;雫となって流れ落ち=
12383;。
右腕はズタ=
474;タに引き裂かれ、生=
;爪が全て剥がれてい=
12427;状態。
既に立って=
356;る気力さえ残ってい=
;ないのか、ゆっくり=
12392;膝から崩れ落ちたz=
90;
そしてナル=
488;の意識は徐々に薄れ=
;て行き、遂には完全=
12395;途絶えてしまう。
背中には堅=
356;地面の感触、視界に=
;は木々の間から見え=
12427;青い空。
柔らかな木=
431;れ日が降り注ぎ、傷=
;付いた我愛羅の身体=
12434;包み込む。
聞こえてく=
427;のは鳥の囀りと森の=
;中を駆け抜ける一陣=
12398;風の音色。
先程まで互=
356;の存在を賭して戦っ=
;ていたのがまるで嘘=
12398;ようである。
(…=
230;そうか。オレは
極度の疲労=
863;から身体は鉛のよう=
;に重く感じ、虚ろな=
30643;をしている我愛羅z=
90;
身体的・精=
070;的にも全て枯渇し、=
;四肢の自由が全く利=
12363;ない状態であったz=
90;
指一本動か=
377;事さえ―いや、双=
520;を閉じて開く事すら=
;億劫。
何とか意識=
434;保とうとした時、何=
;かの崩れ落ちる音が=
32819;に入って来た。
視線を向け=
427;と、そこには先程ま=
;で死闘を演じていた=
37329;糸の少年の姿が視Ĭ=
28;に入る。
(オレと同=
376;『妖魔』を宿す存在=
;。オレと同じ里から=
24524;み嫌われる存在……)
我愛羅は双=
520;を閉じて内心で呟き=
;、戦闘中での会話を=
24605;い出していた。
「何故だ。=
309;故、お前はそこまで=
;戦える…」
【決まって=
356;る…木ノ葉隠=
428;の里を守る為だ】=
「オレと同=
376;化け物を体内に宿す=
;貴様が…里に受け=
837;れられていると言う=
;のか?」
【言った筈=
384;。お前に教える義理=
;はない…と】
今なら理解=
391;きる―やはり『=
358;ずまきナルト』は自=
;分と同じだった事に=
12290;
違和感を覚=
360;たのは中忍選抜試験=
;の本戦、日向ネジと=
25126;った後の事だ。
ナルトの勝=
033;に歓声を上げる客も=
;居れば、不穏な視線=
12434;向ける者も居た。
自分も砂隠=
428;の里で感じた憎悪や=
;殺意―そして畏=
598;の視線を。
(里の人間=
363;ら存在を否定され、=
;拒絶した自分……)
仰向けにな=
387;ている我愛羅は立ち=
;上がろうと地面に手=
12434;突く。
(里の人間=
363;ら存在を否定されな=
;がらも、里の為に戦=
12358;アイツ……)
上半身を持=
385;上げようとするが、=
;我愛羅は再び地面に=
23849;れ落ちた。
無理に身体=
434;動かした事によって=
;全身に激痛が走り、=
33510;痛に顔を歪める。
(だからア=
452;ツは……)
指先から徐=
293;に感覚が失って行き=
;、それに伴って我愛=
32645;の意識も薄れて行{=
67;。
まるで底無=
375;の沼に沈んで行く喪=
;失感、そして閉じら=
12428;る我愛羅の双眸。
意識が完全=
395;途絶える寸前に、何=
;故か幼い頃の自分の=
23039;が脳裏に浮かんだz=
90;
今から数十=
180;前、『木ノ葉隠れの=
;里』と『砂隠れの里=
12303;の間で同盟条約がŀ=
80;ばれた。
想像を絶す=
427;程の膨大な時間と多=
;大な犠牲を代償とし=
12390;………
しかし、そ=
398;同盟条約は『砂隠れ=
;の里』の存在自体を=
33029;かす事になってし|=
14;う。
何故なら、'=
080;の国の大名がその条=
;約を機に里の軍備縮=
23567;を強引に推し進め{=
83;からだ。
自国に存在=
377;る隠れ里の軍備縮小=
;―その政策=
434;進めるに当たって次=
;の理由が述べられる=
12290;
同盟を契機=
395;信じ切った大名が殆=
;どの依頼を『木ノ葉=
38560;れの里』にするよ{=
58;になった事。
理由は単純=
363;つ明快―自国の経$=
027;を削る為、より費用=
;の少ない方に依頼を=
22987;めた。
その結果、=
302;砂隠れの里』は戦力=
;を維持する為に個人=
12398;質を上げるしかな{=
63;ったのだ。
そこで『砂&=
560;れの里』を統べる風=
;影は、とある一つの=
35336;画を実行に移したz=
90;
残虐非道の&=
480;りを尽くした砂隠れ=
;の老僧・守鶴の生霊=
12434;我が子に憑依させ{=
83;のだ。
風影の血筋=
434;受け継ぐ忍の器、そ=
;して妖魔に数えられ=
12427;存在の戦闘力を掛{=
69;合わせる為に。
やがて産ま=
428;て来た赤子は、母親=
;の生命を糧に砂の化=
36523;を纏ってこの世にŢ=
77;生。
貴重な実験=
307;として丁重に扱われ=
;、砂隠れの里の郊外=
12395;隔離される生活をŰ=
65;る事となった。
里の人間と=
399;殆ど会う事もなく、=
;特に目ぼしい物が在=
12427;訳でもない。
しかし、そ=
428;でも幸せだった。=
母親の弟で=
354;る夜叉丸と同居を許=
;され、更には姉と兄=
12392;遊ぶ事を許された{=
98;だから。
だが、そん=
394;幸せな日々も唐突に=
;終わりを告げる。
クマの人形=
434;片手に抱いた子供が=
;何やら奇妙な行動を=
21462;っていた。
愛用のイス=
395;座りながら自分の指=
;を凝視し、縫い針を=
21050;そうとしている。
しかし、何=
230;も何度も刺そうとし=
;ても『砂』が邪魔を=
12375;て遮られてしまうz=
90;
「やっぱり=
480;メだ。砂が邪魔をす=
;る…」
結果は何度=
420;っても同じ事、する=
;と子供はヤケになっ=
12390;連続で突き始めるz=
90;
その度に『=
722;』も必死で針の先端=
;を防ぎ、子供の行動=
12399;徒労に終わった。
「…=
230;我愛羅様、何をや=
12387;ているんです?」
不意にエプ=
525;ンをしている柔和な=
;表情の青年が声を掛=
12369;た。
青年の名は=
302;夜叉丸』と言い、子=
;供―我愛羅の=
362;目付け役である。=
「あ、夜叉=
024;」
我愛羅は咄=
983;に縫い針を隠すが、=
;その前に夜叉丸の視=
30028;に入った。
「いったい=
393;うしたんです?
指に縫い針を刺そ=
12358;としてた見たいで{=
77;けど…?」
「うん、あ=
398;ね。テマリお姉ちゃ=
;んが裁縫を始めたっ=
12390;言って……」
身振り手振=
426;を交えながらも、我=
;愛羅は一生懸命に理=
30001;を言い始める。
事の始まり=
399;2歳年上である姉が=
;裁縫を始めたのだが=
12289;慣れないせいか失ă=
43;ばかり。
両手の指先=
395;複数の絆創膏を貼っ=
;て在ったらしく、か=
12394;り痛々しかったと{=
98;事。
テマリは苦=
505;いを浮かべながら『=
;痛い』と口にしたけ=
12393;、我愛羅には理解{=
91;きなかった。
何故ならば=
289;砂の化身である『守=
;鶴』が物理的なダメ=
12540;ジを全て防いでし|=
14;うからだ。
「だからと#=
328;って、私の前でそん=
;な真似は止めて下さ=
12356;」
夜叉丸は深=
356;溜め息を吐き、困惑=
;したような微笑を浮=
12363;べた。
「幾ら縫い%=
341;でも、万が一と言う=
;事が在りますから。=
12392;は言っても砂が護{=
87;てくれるでしょうが=
……」
この青年は=
307;療班の出身で、実父=
;である風影の命令で=
20307;調管理を仰せ付か{=
87;ている。
「ねえ、夜=
449;丸。ちょっと聞いて=
;も良い?」
「…=
230;何です?」=
「『痛い』=
387;て何なの?
どんな感じがする=
12398;?」
我愛羅は少=
375;見上げながら尋ねた=
;。
何も知らな=
356;第3者が聞けば、何=
;を言っているのかと=
24605;うだろう。
しかし、我=
859;羅が尋ねた質問は真=
;剣その物。
「ボク…一度も傷できた事=
12394;いから。どんな感{=
76;か分かんなくて……」
夜叉丸は顎=
395;手を添え、言葉の意=
;味を良く吟味する。=
span>
感覚で言う=
394;らば簡単なのだが、=
;その感覚を知らない=
32773;に説明するのは難{=
75;い。
「う~ん、=
393;う言ったら良いのか=
;な。辛い…いや、苦=
375;いと言えば良いのか=
;…」
「…=
230;苦しいの?」
「例えば打=
383;れたり、切られたり=
;。我慢できない普通=
12391;居られない感覚のÉ=
07;ですね」
自分でも上=
163;く纏められなかった=
;のか、夜叉丸は苦笑=
12356;を浮かべていた。
そして、更=
395;もう一言付け加える=
;。
「とても…そうとて=
418;苦しくて辛い感覚で=
;す」
そう呟いた=
812;叉丸の表情は、酷く=
;重苦しかった。
「ありがと=
289;夜叉丸。『痛い』っ=
;て言うのが…何となく=
998;かった気がする」=
「…=
230;そうですか」
「じゃあ、=
508;クも怪我をしてるの=
;かな…」
我愛羅はそ=
358;言うと、自分の胸に=
;ソッと手を添えた。=
span>
「時々痛む=
435;だ。血は出ないけど=
;…ここんと=
371;が凄く痛いんだ」=
その感覚に=
671;付いたのは、里の人=
;間達の視線に気付い=
12383;時。
自分に対す=
427;視線の中に『恐怖』=
;・『嫌悪』・『疎外=
12303;等の負を司る感情z=
90;
何も悪い事=
434;した覚えはない筈、=
;だが向けられるのは=
20941;て付くような視線|=
00;かり。
「身体の傷=
399;確かに血が流れて、=
;痛そうに見えるかも=
30693;れません」
夜叉丸はし=
419;がみ込み、我愛羅と=
;視線を同じ高さに合=
12431;せた。
「でも、時=
364;経てば痛みは消え=
…薬を使え=
400;更に治りは早い」=
「…=
230;うん」
「ですが、=
380;介なのは『心の傷』=
;です。治り難い事こ=
12398;上在りません」
「…=
230;『心の傷』?」
我愛羅は不=
847;に視線を落とし、口=
;を堅く結んだ。
「でも一つ=
384;け『心の傷』を治せ=
;る物が在ります」
「ただ、こ=
428;は厄介な薬で他人か=
;らしか貰えません」=
span>
「何なの? どんな薬なの夜叉=
20024;?」
必死の表情=
391;聞き出そうとする我=
;愛羅、その様子を一=
30629;した夜叉丸は口をž=
81;じた。
そして双眸=
434;静かに閉じて何かを=
;考え、ゆっくりと息=
12434;吐き出すように……
「…=
230;愛情か。夜叉丸が=
30906;かそんな事を言っ{=
90;た」
我愛羅は先=
243;の言葉を思い出しな=
;がら、一人で綺麗な=
28288;月を眺めていた。
里の郊外に&=
548;離されている為、周=
;辺は完全な暗闇に包=
12414;れて静寂が支配し{=
90;いる。
我愛羅は生&=
666;である『守鶴』に憑=
;依されているが故に=
23433;息の眠りに就く事{=
64;出来ない。
だからこそ=
289;少しでも気を紛らわ=
;そうとしているのだ=
12364;―もう一つ=
702;由がある。
人の手では=
770;して模造する事の叶=
;わぬ自然の美しさ、=
12381;して地上を優しくĢ=
31;らす月光。
それがまる=
391;母親のように感じら=
;れ、我愛羅は飽きる=
20107;なくずっと眺め続{=
69;ていた。
『愛情は自=
998;の身近に居る大切な=
;人に尽くして上げた=
12356;と慈しみ、見守るõ=
15;』
『姉さんは=
105;愛羅様を凄く愛して=
;いたのだと思います=
12303;
『砂の守鶴=
399;本来、攻撃の為の生=
;霊…でも、砂=
364;自動的に護ろうとす=
;るのは母親としての=
24859;情……』
『あの砂の=
013;には母親の意思が込=
;められているんだと=
31169;は思うのです』
夜叉丸の言!=
865;を思い出す度に、我=
;愛羅は胸の奥が温か=
12367;なって行くのを感{=
76;た。
誰かに言わ=
428;なくても分かる、こ=
;の温かい感じが先程=
25945;えられた『愛情』{=
94;のだろう。
「もし、夜=
449;丸の言葉が本当なら=
;……嬉ӕ=
5;いな」
我愛羅は無=
847;識の内に微笑を浮か=
;べ、周囲の静寂を邪=
39764;しないように小さ{=
67;呟いた。
穏やかな"=
920;情で月を眺めている=
;子供に対し、殺意の=
36796;められた視線が一{=
88;。
まるで極限=
414;で研ぎ澄まされた抜=
;き身の刃を思わせる=
37613;さと冷たさ。
視線の元を$=
799;って行くと、そこに=
;は暗部装束に身を包=
12435;だ忍の姿が在ったz=
90;
スラリとし=
383;長身で均整の取れた=
;身体、顔は薄布で隠=
12373;れている為か確認{=
99;出来ない。
しかし、子=
379;―我愛羅に=
521;けられている殺意と=
;憎悪の視線は尋常で=
12399;ないと理解できるz=
90;
「…=
230;……」
暗闇にその$=
523;を紛れ込ませ、完全=
;に気配を断った暗部=
12399;ホルスターからク|=
90;イを抜き取った。<=
span
lang=3DEN-US>
クナイの数=
399;全部で約10本、そ=
;の何れにも柄には細=
38263;いワイヤーのよう{=
94;物で繋がられている=
。
暗部が両手=
391;印を結び始めると、=
;クナイ達は自らの意=
24605;を示すように空中|=
34;浮遊し始めた。
そして完全=
395;無防備となっている=
;我愛羅の背中に向け=
12289;全てのクナイを連Ł=
54;で放つ。
余りにも見=
107;な奇襲に誰もが子供=
;の『死』を予想する=
12384;ろう。
だがクナイ=
364;我愛羅に直撃する寸=
;前、大量の砂が防御=
22721;となって遮った。
「だ、誰な=
398;ッ!?」
砂達が反応=
377;る時は限って、己自=
;身に危険が迫った場=
21512;である。
我愛羅は驚=
365;の声を上げながら、=
;暗闇に紛れている暗=
37096;の姿を視界に捉え{=
83;。
「…=
230;……」
暗部は黙し=
383;まま、我愛羅の問い=
;に答えずにクナイに=
32331;げたワイヤーを引{=
65;寄せる。
そして更に=
481;ャクラを送り込むと=
;、上下左右の全方位=
12363;らクナイを操作し{=
90;投擲。
我愛羅は恐=
598;の余り自分の身体を=
;抱き締め、ガタガタ=
12392;震えていた。
しかし、砂$=
948;は次々と襲い来るク=
;ナイを叩き落して行=
12367;。
(な、何で=
508;クを襲うの?
ボクが何か悪い事=
12434;したの?)
両手で頭を=
276;さえ、我愛羅は声に=
;出さずに叫ぶ。
その思いを=
935;感に察知したのか、=
;防戦一方だった砂達=
12364;今までと違う躍動|=
34;見せた。
危害を加え=
424;うとする暗部に対し=
;、まるで全てを飲み=
36796;まんと襲い掛かっ{=
83;のだ。
縦横無尽に=
205;き回るに砂を相手に=
;、暗部はクナイから=
25163;を離して回避に専õ=
65;。
最早、反撃=
377;る暇さえ与えられな=
;い為に暗部は撤退を=
35430;みる。
「ッ!?」
姿勢を低く=
083;え、跳躍した瞬間を=
;狙って砂がその足首=
12395;喰らい付いた。
暗部の動き=
434;封じた砂達は、我先=
;にと暗部の全身を覆=
12356;始める。
何とか脱出=
375;ようと足掻くが、砂=
;達はキリキリと万力=
12398;如く締め付けるば{=
63;り。
瞬く間に攻=
432;が逆転した我愛羅は=
;、恐る恐る近付いて=
26263;部の顔を隠してい|=
27;布を掴む。
ゴクリと生=
822;を飲み込んで、ゆっ=
;くりと引き剥がして=
34892;くと……
「…=
230;や、夜叉丸?」
暗部の正体=
399;我愛羅の叔父であり=
;、お目付け役を買っ=
12390;出た同居人。
先程まで自=
998;の身を心配してくれ=
;て、愛情の意味まで=
25945;えてくれた。
「ウソ…ウソだよね。何で=
22812;叉丸が…ボ、ボク=
434;殺そうなんて……」
双眸から一=
563;の涙が流れ落ち、震=
;える声色で必死に言=
33865;を紡いだ。
夜叉丸は我=
859;羅にとって、心の底=
;から信頼できる数少=
12394;い人物の一人。
そんな彼が!=
258;分を殺そうと画策す=
;る刺客とは、悪夢以=
22806;の何物でもない。
しかし、夜=
449;丸は我愛羅の懇願に=
;否定的な言葉を返さ=
12394;かった。
「…=
230;命令です。貴方を=
27578;すよう依頼された{=
98;です」
夜叉丸がそ=
358;口にした途端、我愛=
;羅は急激な吐き気を=
35226;えた。
「貴方の父#=
242;である風影様に……」
「な、何で=
238;様が……」
双眸から涙=
364;溢れるように流れ落=
;ち、幼い頬を濡らし=
12390;行く。
「砂の『守(=
372;』を取り憑かせて、=
;生まれた我愛羅様は=
span>……」
砂に締め付=
369;られて苦しいのか、=
;夜叉丸は途切れ途切=
12428;に話し始めた。
「実験体と=
375;て今まで見守られて=
;いたのです」
「…=
230;やめて」
「しかし、=
302;守鶴』をコントロー=
;ル出来ていない我愛=
32645;様は里にとって危Ɓ=
22;な存在」
「…=
230;やめてよ」=
「だからそ=
358;なる前に……」
「やめてっ=
390;ばッ!!」
我愛羅の感=
773;に呼応して、砂達は=
;夜叉丸の身体を強く=
32224;め付けた。
「ウソだと#=
328;ってよッ!
夜叉丸はボクを
「ふッふふ=
405;……我=
9;羅様、私が本当にそ&=
#12358;思っているとでもA=
311;」
「どういう……事ӗ=
4;の?」
「何で私が=
823;好きだった姉を殺し=
;た貴方を……大࠳=
9;だなんて思うんです&=
#65311;」
今まで柔和=
391;穏やかだった夜叉丸=
;の表情が、憎悪と殺=
24847;に醜く歪む。
「私はね、=
105;愛羅様。心の奥底で=
;貴方をずっと恨み続=
12369;て来た。大切な姉|=
34;奪った貴方を……
姉の忘れ=
418;見…そう思い=
289;私は貴方を愛そうと=
;必死でした…でも、私=
395;は出来ませんでした=
;。
姉は貴方=
434;望んでいない。姉の=
;里の犠牲になり、こ=
12398;里を呪いながら死|=
35;で行ったのです」<=
span
lang=3DEN-US>
夜叉丸は自=
998;の最期を悟っている=
;のだろうか、思いの=
19976;を隠す事なく言葉{=
95;表す。
一方の我愛 =
645;は心臓の部分を手で=
;押さえ、肺に酸素を=
36865;り込もうと必死に{=
94;っていた。
余りにも凄=
808;な事実を知ったショ=
;ックで、肉体と精神=
12395;狂いが生じ始めた{=
98;である。
「その時か=
425;、私は一生治らない=
;傷を心に負ったので=
12375;ょう」
「もう……止めて。お願いだ=
12363;らもう止めてよ」
「我愛羅様=
289;最期に貴方の名前の=
;由来を教えて差し上=
12370;ますよ」
砂に締め付=
369;られ、呼吸が苦しい=
;のだろう。
夜叉丸は荒=
356;呼吸を繰り返しなが=
;ら、だがゆっくりと=
35441;を続けて行く。
「貴方の名=
399;姉さんが付けたもの=
;です。この子の名は=
25105;愛羅…我を愛す=
427;修羅。
自分だけ=
434;愛しなさい、自分だ=
;けの為に戦いなさい=
12289;そうすれば貴方はé=
84;在し続ける。
しかし我=
859;羅様、姉さんは貴方=
;を案じ、愛してこの=
21517;を付けたんじゃな{=
56;」
一旦言葉を=
999;ると、夜叉丸は自嘲=
;気味に笑う。
「貴方が存=
312;し続けるようにと、=
;その名を付けたのは=
span>……ふӘ=
5;ッ。
この世を=
680;んで呪いながら死ん=
;だ姉さんの怨念を残=
12375;、知らしめ…あぐッ!A=
311;」
夜叉丸が言!=
865;を紡ぐ度、砂達は我=
;愛羅の心情に呼応し=
12390;キツク締め上げるz=
90;
全身の骨が=
754;鳴を上げて軋み、体=
;内の臓器に凄まじい=
22311;力を加えて苦痛をÇ=
82;えた。
「ふっふふ…我愛羅様=
289;貴方は愛されてなん=
;かいなかったッ!」=
span>
まるで闇夜=
434;裂かんばかりに叫び=
;、辛辣な言葉を我愛=
32645;に浴びせる。
「里の人間=
399;貴方を恐れ、畏怖し=
;……風ঋ=
3;様は戦闘の道具とし&=
#12390;見ていないッ!」
我愛羅は必=
515;で耳を塞ぎ、涙を流=
;しながら地面に俯い=
12390;いた。
「テマリ様=
420;カンクロウ様も、き=
;っと貴方を恨んでい=
12427;。それも深く……」
「…=
230;え?」
大好きな姉=
392;兄の名前が出た瞬間=
;、我愛羅は反射的に=
38996;を上げていた。
殆ど砂の里=
363;ら隔離されたと同然=
;の生活を送りながら=
12418;、寂しさや悲しさ{=
99;余り感じていない。=
それは血の =
331;がった家族であるテ=
;マリとカンクロウが=
33258;分を大切にしてく|=
28;たから。
砂の里の人&=
291;がどれだけ冷たい視=
;線を向けても、我愛=
32645;は二人が居てくれ|=
28;ば良かった。
「お忘れで=
377;か、我愛羅様?
貴方が姉さんを
僅か6歳の=
376;供に改めて突き付け=
;られる現実は酷く重=
12367;て痛々しかった。
母親が死ん=
384;原因が自分だと言う=
;事を、我愛羅は誰よ=
12426;も良く知っているz=
90;
外道な憑依"=
899;の後遺症が凄まじく=
;、母体の身体が耐え=
12425;れなかった事も。
それでもテ=
510;リとカンクロウは態=
;度を変えず、今まで=
12378;っと遊んでくれたz=
90;
戦闘の道具=
420;『化け物』としてで=
;はなく、血の繋がっ=
12383;兄弟として……
だが夜叉丸=
399;違うと否定し、我愛=
;羅に辛い現実を突き=
20184;ける。
「う=
8230;あぁ……
薄い隈で覆=
431;せれた双眸をカッと=
;見開き、我愛羅は胃=
12398;中の物を全て嘔吐{=
75;た。
常に柔和で=
311;やかな表情を絶やさ=
;ず、惜しみない愛情=
12434;注いでくれた夜叉È=
24;。
自分が信頼=
391;きる数少ない人間の=
;一人も、見えない場=
25152;で憎悪と殺意を隠{=
75;ている。
(もしかし=
383;ら……おࣺ=
5;ちゃんとお兄ちゃん&=
#12418;……ボӞ=
3;を……)
姉であるテ=
510;リ、兄のカンクロウ=
;も自分に対して憎悪=
12392;殺意を抱いている{=
98;かも知れない。
精神的に錯=
081;している我愛羅はそ=
;う意識してしまい、=
26356;に酷い嘔吐感が込|=
15;上げて来た。
「うわああ=
354;あああああああああ=
;あッ!!」
頭の中をグ=
481;ャグチャに掻き回さ=
;れているような激痛=
12364;走り、両手で必死{=
95;押さえ込む。
今まで信じ=
390;いたもの全てが突如=
;として崩され、我愛=
32645;の精神は無残にもî=
49;壊の一路を辿る。<=
span
lang=3DEN-US>
「ふッふふ=
405;……こӚ=
8;でようやく復讐が果&=
#12383;せた」
地面にうず=
367;まっている我愛羅を=
;見下ろし、夜叉丸は=
28288;足そうな笑みを浮{=
63;べた。
「貴方には=
289;理的な攻撃は効かな=
;い。だけど私は貴方=
12398;『心』に大きな傷|=
34;負わせる事が出来た=
」
全身で荒い=
628;吸を繰り返しながら=
;も、夜叉丸は未だ言=
33865;を紡ぐ事を止めな{=
56;。
「それも一=
983;消えない傷を……はӗ=
9;はッ、姉さん……仇ӗ=
9;取ったよッ!!」夜叉丸はそ=
358;叫ぶと、まるで狂っ=
;たかのように嗤い続=
12369;た。
「…=
230;……うるさい」=
不意に何の=
863;情も含まれていない=
;声色が闇夜に響いた=
12290;
夜叉丸が視 =
218;を向けると、そこに=
;は虚ろな瞳で無表情=
12394;我愛羅の姿。
その姿はさ=
394;がら幽鬼の如く、全=
;身から禍々しいチャ=
12463;ラを放っている。
「…=
230;ようやく分かった=
12290;ボクは最初から一É=
54;だったんだ」
我愛羅は静=
363;に立ち上がると、何=
;かを悟ったかのよう=
12395;呟いた。
「ふふ……そうだ。ボクは一=
20154;だ……もӓ=
8;誰も信じない」
呪詛のよう=
395;何度も繰り返し呟き=
;、不意に虚ろな瞳を=
22812;叉丸に向ける。
奈落の底を=
605;わせる漆黒の瞳に射=
;抜かれ、夜叉丸は不=
27671;味な戦慄を覚えたz=
90;
「みんなが=
508;クを傷付ける……みӛ=
5;ながボクを殺そうと&=
#12377;る」
我愛羅は片=
163;を前に突き出し、軽=
;く開かれた手を徐々=
12395;握り締めて行く。
すると我愛 =
645;の意志に呼応して、=
;夜叉丸の全身を更に=
24375;く締め上げた。
「ああ…あ……ああッ!!」
首から下は=
082;に砂で覆われ、満足=
;に呼吸すら出来ない=
29366;態。
それでも尚=
398;事締め上げ、臓器を=
;保護している肋骨を=
30741;いた。
「ぐッ……があッ!!」
更なる外部=
363;らの圧力で、砕かれ=
;た肋骨が体内の臓器=
12434;損傷させる。
そして、夜=
449;丸の口から苦痛の叫=
;びと共に大量の血を=
30427;大に噴き出させたz=
90;
「ボクの存=
312;を認めないのなら=
……ボӞ=
3;は認めない奴等の存&=
#22312;を認めないッ!」
我愛羅は双=
520;を不気味に血走らせ=
;、凄まじい咆哮と同=
26178;に拳を握り締めるz=
90;
徐々に締め=
978;げていた砂達は、待=
;ってましたと言わん=
12400;かりに圧力を加え{=
83;。
夜叉丸の身=
307;は瞬時にして押し潰=
;され、残った頭部す=
12425;も砂達は盛大に飲|=
15;込む。
骨格が粉々=
395;砕け散る破壊音が響=
;き、血肉は磨り潰さ=
12428;て大量の砂と混じ|=
26;合う。
「まだだ……まӖ=
4;終わらない。ボクの&=
#23384;在を認めない『砂=
303;の奴等を殺さなきゃ=
;……」
薄っすらを=
505;みを浮かべると、砂=
;達が一斉に我愛羅の=
20840;身を覆い始めた。
忙しなく躍=
205;しながら、砂達はや=
;がて球体状になって=
21205;きを止める。
静寂が周辺=
434;支配して数分後、砂=
;の化身が姿を現して=
28288;月に向けて吼えたz=
90;