美紀 1
no name
その日も、私は着替えもしないでベッドの上で眠れない夜を過ごしていた…
窓を閉め切っていた私の部屋は、酷く蒸し暑い。クーラーもあるんだけど、使う気にはなれなかった。
だって、私の身体は、クーラーなんかじゃ足りないくらい熱くなってきちゃうから。
今日も、熱にうなされたようにぼんやりする頭の中で、なにか形にならない思いが首をかしげる。
それが何なのか、私も一生懸命考えたけど、何度考えても判らなかったから、今はもう考えるのをやめちゃった。
それが私の意識をゆっくりと覆い尽くすのをじっと待っていると、今度は胸が締め付けられるように切なくなってくるの…
「うっ…く、くぅぅ」
嗚咽か吐息か判らないその声は、くちびるを噛んでも溢れて来ちゃう…そして、私の両手は、自然に胸の上にやってくる。
じんわりと汗ばんだ両手で胸を柔らかく押さえると、苦しかった胸が少し楽になる。
そのまま、ドクドクとスゴイ速さで脈打つ鼓動を感じていると、ぐるぐると渦巻いていた胸の中の何かが、ゆっくりと回転をやめて行くのがわかるの。
でも、それは、消えて無くなっていくわけじゃないの。激しさは無くなった代わりに、確実に私の身体の隅々まで拡がっていって…
「…っ、あ、っく」
声にならない吐息が、また唇から漏れる。胸が苦しいのは薄れたけど、今度は全身が燃えるように熱い。
どうしたらいいかなんて、考えたって判らない。私に判るのは、ただ本能のささやくままにしていないと、この熱さが収まらないってことだけ…
胸に置かれた両手が、ブラウスの上をそろそろと彷徨い始める。柔らかなふくらみの上を、頂を、谷間を、なだらかな稜線を、すこしずつ、なぞっていくの。
指先の、ほんの少しの摩擦熱が、塵のように積もっていくみたいな気がした。私の身体が、ちょっとずつ熱くなっていく…
「は…ぁぁぁ…熱いよぉ…」
柔らかな愛撫を繰り返すうちに、ブラウスの内側から、ムッとする熱気を感じる。
その熱さと、汗のにおいにたまらなくなった私は、引きちぎる様な勢いでボタンを外していく。
あらわになった肌はいつもよりも赤みを増していて、玉のような汗がいくつも浮かんでいたわ。その上を両手が滑るたび、ぬるぬるとした感触が広がっていくの。
汗をたっぷり吸ったブラの中で、充血した乳首が存在を主張しているのが見える。右手で乳房を柔らかく揉みしだきながら、中の頂が布地とこすれるのを楽しむ…
「ふぅ、ふぅうっ」
だんだん刺激と、気持ちいいのが強くなってきて、私はブラウスの襟をきつく噛みながら、声が漏れないように頑張るの。
布越しじゃ物足りなくなって、私はブラをめくりあげた。敏感な突起が空気に触れて、それだけで気持ちいいような感じがじんわりと乳房に満ちていく気がして…
こんどは両手をつかって、下からすくい上げるように乳房を揉んでみる。
痛くないように、最初は手のひらでゆっくりと、小さな波を起こすみたいに…
「はぁ、はぁ、ぁぁ…」
気持ちよさが大きくなって来ると、すこし強くしても平気になるの。
乳房を包み込むようにゆっくりと揉みながら、乳首を人差し指と中指の間に挟んだり、親指で押し込むようにしてみたり…
汗でぬれた肌と、手のひらがぴったりと吸い付く感触が気持ちいい。その柔らかな感覚の中から、もっと強烈な快感が私を打って、耐えきれないあえぎが漏れ始める。
細く泣くような声を漏らしながら、今度は左手を下の方に伸ばしていく。
身体をくねらせながらスカートを脱いで、パンティに触れる。汗をいっぱい吸って、肌に張り付いた布地の中で、ひときわ熱くなっているところを、そっと撫でてみる。布地の上からでも、強い快感が沸き上がってきた。
はっきりと他のところより濡れているのを自覚して、恥ずかしくなっちゃうけど、それも気持ちいいのを増すだけのスパイスみたいなモノなの…
「はぁ、うぁぁ、ここ、ヌルヌルしちゃってる…わたし、いやらしいよぅ…」
そんな事を口にすると、もっともっと気持ちよくなるの。
布地ごしに溢れる恥ずかしいお汁が、指先に絡みつく。汗よりもねばねばして、もっと熱い。
トロトロになった指先をじっと見つめると、恥ずかしくて、また胸がドキドキしちゃうの。
『もっと欲しい…』
パンティの上から、一生懸命、恥ずかしいところをこする。直接じゃなくても、気持ちいい…けど…
早くなっていく鼓動が、どこまでも私の身体を熱くさせていく。
初めてこんなことをしちゃった日は、これでイけたけど…
でも、今はもっと強くなきゃダメ…だってもう、満足できないんだもん…
本当は怖いから、普段はやらないんだけど、今日はパンティの中に指を入れて、直にきもちいいところに触ってみる。
「ふぁっ!う、あぁ…!」
はっきりと、あえぎ声が部屋に響いたの。でも、私はもうそんなことを気にする余裕も無くなってきた。
さっきよりもいっぱい、ヌルヌルが絡みついてくる。熱い割れ目の入り口を、一生懸命こすって、いっぱい、いっぱい、ヌルヌルなの…
前は、ココを弄るのは怖かったり、ちょっとイヤだったりしたけど、もうそんなのは判らなくなって、気持ちいいのだけが、どんどん湧いてくる…
内側を弄るのだけは、まだ怖かったからしないけど、今はこれだけでもすごく気持ちいい。
中指と人差し指を使って、割れ目をこすってるうちに、だんだん目の前がぼやけてくる。
「や、あん、これ、きもちいい、きもちいぃっ…!」
空いている親指を使って、固くなったお豆を弄る。気持ちよすぎて、ぎゅっと目を瞑っちゃう私…
皮に包まれたちっちゃい真珠の周りをマッサージするみたいに弄ったり、ちょっと強めに押しつぶしてみたりするたびに、ビリビリと気持ちいいのが背中を突き抜ける。
いくつもの波が次々と押し寄せてくる。それに揉まれて浮かんで、沈んで…そのたびに、わたし、何度も小さな絶頂に弄ばれる…
「ひぁっ、やん!あっ、いやぁぁ!!」
真っ暗な部屋なのに、時折真っ白な光が見える…どこからか、甲高い、快楽に溺れた声が聞こえる…
夢中で動かしている指先から、グチャグチャっていやらしい水音が響いてる…
だんだん、わけがわからなくなって来て……もう、全部、全部がきもちいいの…
もう自分がやっていることも意識しなくなった私の指先が、お豆の皮を偶然剥くように動いて、爪が、引っかくみたいに刺激を加えていった…
もうちょっとで、あふれちゃう…そんな風に昂ぶっていた私に、それが最後の一押しになったの。
「あっ、あっ、あっ、あぁぁぁ、くひゃぁぁぁ、あ!ああ!いぁぁぁ!い、いくううぅっっ!!」
おなかから、背中をビリビリと駆け抜けて、頭のてっぺんまで、キモチイイ電気が私を貫いた。
涙と、涎と、汗と、はずかしい汁と声をまき散らして、私の意識は放り投げられる…
宙を舞うような感覚…それを最後に、わたしは、もうなにも感じなくなった…
【おわり】
2005/05/23