「ハロ、カタロンの情報を調べたい。データ転送を頼む」 「リョーカイ!リョーカイ!」 ティエリアの言葉に、ハロがピョコピョコ飛び跳ねながら頷いた。 ティエリアは自室のソファーの背もたれ側を向いて座り、そろそろとズボンを脱いでいく。 制服の下半身だけを全て脱ぎ去ると、背もたれをしっかり両腕で掴み、 膝立ちになって腰を上げた。 ヴェーダと接触が出来ない今、ハロから情報を取るのが最も有効な方法で、 その為に必要な行為に、この体勢が一番楽な事をティエリアは知っていた。 「ティエリア!ジュンビデキタ?デキタ?」 「ああ。ハロ、来てくれ…」 ハロがティエリアの後ろに回った。ティエリアの承諾の言葉の尻が思わず乱れる。 「イキマス!イキマス!」 ハロの口から、平べったい紫がかったコードがまるで舌のようににょきりと伸びて、 ティエリアの下半身を目指していく。 ハロの舌がそこに近づいてくるのがはっきり分かる。 ティエリアは思わず背もたれを握る手に力を込めた。 生体ベースでありながらも、機械的な要素を持つティエリアは完全な人間ではない。 その体には生物の有する性の概念は存在せず、ただ優秀な戦士たるべく、 ヴェーダと直接リンクできるように造られている。 以前は、その接続端子の役割を担っていたのは金色に輝く瞳だった。 しかし、ヴェーダを失った今、その機能は既に使えない。 ティエリアは人間達と同じように自分の目と耳で、 本やテレビから情報を得るしかなくなっていた。 そんな折、偶然的にティエリアは、自分の体に備えられた未知の機能を発見したのだった。 おそらくティエリアを造った誰かがこんな事─ヴェーダ喪失─もあろうかと、 その体に装備させたに違いない、オプション的機能─。 まさにUSB接続の如く、ティエリアの体の最も目立たず、かつ安全な場所に、 その接続部分は取り付けられていたのだった。 突き出した尻の中心、人間なら肛門に当たる場所にあるその接続部に、 ハロの舌がチュプリと音を立ててめり込んだ。 「ひゃう…っ…!」 何度接続を重ねても、冷たいその感触には慣れそうにもない。 思わず体が飛び跳ね、か細い悲鳴が迸る。 「ソウニュウシマス、ソウニュウシマス」 ハロはそんなティエリアには目もくれず、ただ機械的に口から出したコードを埋め込んでいく。 ずるずると湿ったコードが這い回る感触は、まさに人間の舌を思わせた。 粘着質なそれがティエリアの体にしっかりと挿入され、 ずぶずぶと内部を這って奥まで進んでいく。 「はうぅ…っ、うう…っ…」 内部を擦られる気持ち悪さに、ティエリアは身悶えた。 悪寒のような感覚を感じながらも、体は熱を持ち、うっすらとその肌を染め上げていく。 「ソウニュウ、カンリョウ!カンリョウ!」 ようやく舌を完全に埋め込んで、ハロがチカチカと目を点滅させた。 この次に来る衝撃的感覚を、ティエリアの体は完璧に予測した。 全身に自動的に力が入る。ティエリアの内部の壁が、無意識にハロの舌を締め付ける。 「カタロンジョウホウ、ティエリア・アーデニテンソウシマス!!」 遂にハロがデータを転送し始めた。 その瞬間、膨大な情報数値と共に激しい電流がティエリアへと流し込まれていく。 「あああ〜っっ!!」 予測どおりの感触に、ティエリアは背もたれにほとんどうつぶせるように身を預け、 熱い息を漏らしながら湿った声を吐き出した。 その感覚の正体が何なのかも、既にハロからの情報で得ている。 そう、それはまさに人間の、それも女性の感じるオーガズムに酷似した快感だと鑑定されていた。 情報が送り込まれる度に、常にティエリアには絶頂的な快感が訪れる。 (に、人間は…っ…、恥知らずだ…っ…!こんな…こんなの…) マイスターやクルー達の顔が、脳裏を横切っていく。 「んんん〜〜!!!」 僅か数秒でティエリアの顔面は真っ赤に火照り、だらしなく開けた口からは涎さえ 垂れ落ち、瞳からは涙が零れ落ちる。 毎回の事ながら、この激しい感覚に、ティエリアの体はやはり慣れてはくれそうにもなかった。 人工物の側面が強いティエリアは、外部からの痛みには強い。 皮膚の触感さえ鈍いほどだ。 だからこそ体の深部で直接的に快感を与えられるこの事態は、 ティエリアを狂わさんばかりに追い立てていく。 膝立ちの膝ががくがく震え、垂れ落ちた涙と涎が革張りのソファーをてらてらと汚した。 だが、まだこれで終わりではない。まだまだ先があることもちゃんと知っている。 「ああ…ん…っ…!ああ…っ、ハロ、まだ…か…っ…!?」 「マダデス…。アト、3プン…3プン…!ティエリア、ガンバッテ」 「ん…ああっ…!!さ、3…分…っ…!?や…っ、我慢できな…っ、あああっっ!!」 いつもよりも時間がかかっている。 切ないほどの喘ぎ声を上げながら、ティエリアはその快感に必死で耐えた。 カタロンの情報を獲るのは、今回が初めてなのだ。 全く基礎部もない故に大量の情報量が送り込まれ、 それがティエリアに凄まじい快感を与えていく。 やがて、ようやく情報転送が終了して絶頂感が一気に消え去り、 ティエリアは背もたれに屑折れて深く深呼吸をした。 体に力が入らず、とても立っていられないほどに足が震えてたまらない。 しかし、まだこれで終わりではないのだ。 暗号化された情報数値を、ティエリアの脳内に解凍する作業が残っている。 ティエリアが再び体を緊張させた途端、ハロの舌が今度はじゅるじゅると伸び縮みして 内部を擦り始めた。 「カイトウファイル、テンソウ…」 データ解凍を促す、新しいデータ情報が送り込まれていく。 一瞬で沸騰するかのように、全身に快感が蘇った。 「あああっっっ!!!」 ティエリアの体が大きく仰け反った。 じゅるるる、じゅるるると内部で卑猥な音を立てながら、ハロのコードが蠢き続ける。 絶頂的快感に内部を擦る振動まで加わったこここそが、毎回ティエリアの泣き所だった。 全身を耐え切れない程の快感が駆け抜けていく。 解析済みデータが脳内に到達する、その波の度に体が絶頂的快感でびくびく痙攣した。 「やあんっ、ああっ、ああっ、ああっ、ハロ…っ…!!」 その小ぶりの唇は常に開きっぱなしで、淫らな声と荒い息が漏れ続けるのみだ。 いつしかティエリアの腰は人間のその時と同じように高く持ち上げられ、 もはや揺らす事も出来ずに、ただ硬直してその快感を放出していく。 こんな姿をきっと人は「イキっぱなし」と表現するに違いない。 「ああんっ!ああんっ!ああんっ!ハ…ロ…ッ、早く…っ!!あ、ああ…っっ!!!」 こんなのもう耐えられない…。 ヴェーダとリンクしていた金目時代が懐かしい…。 ティエリアは涙が自動的に零れ落ちていくほどの激しすぎる悦楽の中で、 毎度毎度そればかりを考えるのだった。 「ティエリア、キモチイイ!キモチイイクセニ!ティエリアノバカ!」 そしてハロがぷんぷんと怒って、まるでお仕置きをするように ティエリアに微電流を流し込むのも、毎度の事だった。 「やあああんんっっっ!!」 刺激を受けてティエリアの体が一際激しく震える。 まるで限界がないかのような快感が体中を駆け巡る。 そのまま数分、ハロの焦らすような解凍作業に付き合わされてひたすら喘ぎ続け、 ようやくコードが抜かれた時にはティエリアの体は、 涙やどこからか漏れ出した体液でべとべとになっていた。 「ふう…、ふう…」 ティエリアはソファーに横たわって体を落ち着けたが、 まだぱっくりと口を開けた接続穴が疼いて仕方ない。 「ゼンサギョウカンリョウ!カンリョウ!」 誇らしげに成功を伝えてくるハロを、ぼんやりと見つめた。 この方法はヴェーダよりはるかに劣るスピードだが、それでも、見る、読むの 原始的方法で知識を得るよりは確実に効率的なのだ。 接続中はもう二度と嫌だと思うのに、終わった瞬間に、まあ悪くはなかった、と毎回 脳内麻薬が働く。そしてまた次回もハロを使おうという気持ちになるのだ。 どうやら、ティエリアはそういう風に造られているらしい。 となれば、この方法に自然に依存しがちになるのも仕方がないのだった。 「ありがとう、ハロ」 「ドウイタシマシテ!ドウイタシマシテ!」 微笑してハロに礼を言うと、ハロが嬉しそうに飛び跳ねた。 さて、それでは…。 ティエリアはようやく立ち上がってズボンを身に付けると、 脳細胞に直接送り込まれたカタロン情報を解析し始めた。                      了