「は…っ…、う…っ…、はな…せ…っ…!」 広い格納庫の一画から、切迫した声が漏れてくる。 ケルディムガンダムの脚部の冷たい装甲に、ティエリアは後ろから ライルに体を押し付けられていた。 「まあ、そう言うなよ…。気持ちよくしてやるから…、さ…」 「やめ…ろ…っ…!!」 抵抗もむなしく、ティエリアは立ったままでわずかに足を開かされ、 尻だけを突き出す卑猥なポーズを取らされてしまった。 そのパイスーは既にライルに剥ぎ取られ、全裸を彼の目前に晒してしまっている。 ティエリアの首根っこを抑えるライルの腕が、期待感で震えているのが分かる。 『全く、いつになったらまともに狙撃できるようになるんだ』 ティエリアはいつもの教習通りに、本日のライルのカリキュラムの出来について 淡々と事実を述べたに過ぎなかったのに、なぜか今日のライルは色めき立ち、 そしてこういう事態に陥ってしまったのだった。 「き、貴様…!こんな事をして…」 何とか抵抗しようとしても、新ロックオンことライルの力の前では、まるで無駄な試みだった。 「諦めな、可愛い教官殿…?」 「う…、うるさ…い…!」 ティエリアの腰をぐっと持ち上げて角度を付けると、ライルは訳知り顔で笑いながら、 その臀部の真下に座った。そしてゆっくりとティエリアの秘部に舌を伸ばしていく。 「あ…ん…っ!」 ライルの熱い舌がそこに触れた時、ティエリアの体は激しく震え、驚くほど淫らな声が響き渡った。 ライルが満足げに声をあげて軽く笑った。 「ほら、懐かしい感覚だろ、教官どの…?…兄さんを、思い出すだろ…?」 「う…っ、あ…っ…、やめ…、ああ…っ…!」 ライルが舌を秘所のスジに沿わして、べろりと舐め上げた。 途端に快感がそこに走り、ティエリアの顔が快楽に歪む。 バックから責めているライルには見えはしなかったが、あっという間に溢れ出してきた 愛液の量と熱さが、彼にティエリアの快感をリアルに教えた。 ティエリアの双丘を両手で開き更に陰部を露呈させると、ライルはずぶずぶと ティエリアの蜜壷へと舌を埋め込んでいった。 「ふあ…っ…、あぁぁぁっっ…!」 ぬめった熱い舌が膣内の壁を擦りながら侵入していき、一気に欲情と快感が高まる。 ティエリアは冷え切ったケルディムの装甲を抱き締めて、 思わず腰を振りたてたくなるほどの衝動に耐えた。 涙混じりにうっすらと開けた目に、ケルディムの濃緑が飛び込んでくる。 その色合いに懐かしい「彼」の姿が脳裏をよぎった。 ライルの舌が膣内を激しく往復し始める。 舌を硬直させて棒のように尖らせ、ゆっくり抜いてはまた勢いよく突き入れる。 「ああ…んん…っっ…!」 混ざった愛液と唾液が、くちゃくちゃと卑猥な音を響かせた。 秘部を徹底的に責められて、ティエリアは体に力が入らず、満足に抵抗も出来ない状態に陥った。 「ん…っ…、ああ…っ…、や…、あん…っ」 我慢に我慢を重ねるティエリアの体はすぐに限界的に疼き、やがては震え出した。 唇を噛んで堪えてもなお、ライルの舌が膣内を這い回る度に卑猥な声が漏れてしまう。 漏れ出した愛液が太ももを伝って落ちていく。 ティエリアの体は、4年前の、あの時の快感をしっかりと思い出していた。 こういう風に体が火照る感触も、熱く疼く膣内の感触も、そして涙を堪えながら 唇を噛み締めて声を我慢する、感情のうねりさえもあの時と同じなのに…。 後ろから責めてくるこのロックオンは、あの時の彼の4年間後の姿に他ならないほどに瓜二つなのに…。 舌の突き入れ方が違う。そこを責める舌の強弱も、タイミングも違う。 「すげえ濡れてるぜ…?ティエリア…」 声質は同じなのに、わずかな抑揚が違う。 それだけではない。視線も、表情も、歩き方も、やはり微妙に違っているのだ。 (この男は、ロックオン・ストラトス…、ニールじゃない…) 日を重ねるごとにニールとライルの微妙な違いは浮き彫りになっていき、ティエリアの心を苦しめた。 (いっその事、違う顔なら良かったのに…。いやそれよりも、いくら双子の弟とはいえ、   初心者のライルをわざわざスカウトする必要などあったのか…?) ニールの面影を色濃く残すライルの姿に、ティエリアの心は始終揺さぶられていた。 「比べるなよ」 ライルが舌を抜いて、眉をひそめた。 こんな行為の最中だからこそ、ライルにはティエリアの心の機微がよく分かる。 「…兄さんと比べるな」 そう言って、ライルは深い溜息を吐き、乱暴にティエリアの体を返した。 ティエリアの肩を両手で掴んで、その背中をケルディムに押し付け、 正面からまじまじと彼女の火照った顔を見つめる。 目が合った瞬間、ティエリアが潤んだ瞳を更に泣き出しそうに歪めた。 「そんなに似てるか…?兄さんと…。もう、何年も会ってないんだがな」 例え双生児とはいえ、長く離れていたら自然に生活習慣や雰囲気に違いが出てくると言うもの。 だがその問いにティエリアは答えようとはせず、 切なげに瞳を揺らしてライルを見上げた後、顔を反らして視線を外してしまう。 返答の代わりには十分だった。 「そっか…」 ─ここにいる連中はみんなそうだ。 ライルは溜息を吐いた。 日を追うごとに、戦闘を重ねるごとに、彼らは無意識にライルをニールと重ね合わせている。 未経験なんだから多少のミスは仕方ないよ、と言いながらも、 無言の圧力でライルの狙撃手としての未熟さを責めるのだ。 本人たちは自覚もしていないだろうが、少なくともライルにはそれはプレッシャーに他ならなかった。 だからこそ毎日毎夜、トレーニングに勤しんで頑張ってきたのだ。 だが皮肉にも腕が上がるほどに、余計にクルーはライルをニールと同一視していく気がした。 例え血の繋がった双子の兄であっても、その亡霊のような存在感に嫉妬せずにいられない。 「あ〜あ…。こんなとこ、来るんじゃなかったな…」 ライルはライルで目的があって参加したはずなのに、ティエリアの涙顔を見ていると つい愚痴も出てきてしまう。 クルー達の中でも特に、ティエリアがライルを見る目は、常日頃厳しいものだった。 どう考えてもティエリアの視線には、マイスターの資質うんぬんだけの理由ではない、 私怨のような感情が漂っていた。 深く聞きたくもないが、おそらくニールと何かしら特別な関係にあった事は ライルにも容易に推測できた。 ぞのティエリアの顔を、もう一度じっくりと観察してみる。 「まあ、確かに可愛いよなぁ、お嬢さん?それに、体の方もいい感じだし」 いつもの癖で自嘲気味に茶化して言うと、ティエリアの張り手が飛んできた。 格納庫にバシンといい音が響き渡る。 「………」 伊達に年を取ってきたわけじゃない。 ライルは大人の余裕を漂わせながら、ティエリアをもう一度見下ろした。 その余裕っぷりがティエリアを刺激したのか、彼女は更に怒りに顔を引きつらせて 拳を振り上げてくる。 今度は拳を硬く握って、真剣に殴り飛ばす気らしい。 「おっと…!可愛い顔して、その辺りはさすがにマイスターさんだな」 ライルは鉄拳が顔面にめり込む前に、ティエリアの細い手首を取って捻りあげた。 「ぐ…っ…、はな…せ…っ!君はマイスター…にふさわし…くな…い…!」 ティエリアがほとんど負け惜しみで言ったその言葉が、 むしろ彼女に昔を鮮やかに思い出させてしまった。 堰を切ったかのように、ティエリアから涙が零れ出す。 「君は…彼じゃない…!彼じゃ…」 ティエリアが無防備にしゃくりあげる。 その子供のような涙が、思いがけずライルの良心を刺激した。 トレミーに合流して以来、事あるごとにニールと比べられてきて、 しかもそれが無意識であるからこそタチが悪くて、 ここ数日ライルの鬱憤は爆発しそうになっていた。 だからこそ、今日の教習ではいつも通りのティエリアの嫌味を聞き流す事が出来ず、 彼女のパイスーを剥ぎ取って無理やり犯すような真似をしてしまったのだ。 ティエリアの嗚咽で、ライルはようやく、いつも通りの冷静な自分に戻った。 不意に罪悪感が湧き起こってくる。 と同時に、目の前の彼女こそがニールの想った人なのかと改めて思いを馳せ、 嫉妬に混じって愛しささえ湧き起こってきそうになった。 (何考えてんだ、俺は…。兄弟で一人の女を共有するなんて馬鹿みたいじゃねえか…。  そんな事したら、尚更比べられるだけだ…) 理性が感情にブレーキをかけようと必死で頑張ったが、 心の片隅に出現したその感情がどんどん増幅していく。 ティエリアが体をよじって、ライルの腕を振り解こうともがいた。 その瞬間、髪の毛が揺れるいい香りに混じって、愛液の女の香りがほのかに立ち上った。 ライルの欲情が簡単に刺激される。 ティエリアの輝かんばかりの白い肌には、いつの間にか赤いあざが出来ている。 装甲に押し付けた時に出来たのか、いつの間にか作ってしまったキスマークなのかは 定かではなかったが、その薄い赤は、ライルの劣情を煽り立てるには十分だった。 …そうだ。あのフェルトとかいう女の子にも、キスをしてやったではないか。 自分とニールの違いをはっきりと分からせる為に─。 それなら、このティエリアとだって…。 ライルは自分に都合のいい言い訳だけを繰り返した。 ティエリアの腕を離してやる。ティエリアがライルの体をすり抜けて、逃げ出そうとする。 ライルはティエリアの顔を両手で挟んでそれを留め、乱暴に唇を押し付けた。 「んぐ…っ…」 唇をティエリアの唇に強く押し付けながら、彼女の歯をこじ開けて強引に舌を捻じ込んでいく。 舌と舌が触れ合った瞬間、ティエリアが強くライルの舌を噛んだ。 激しい痛みが走ったが、ライルの欲情がそんな事で収まるはずもなかった。 地上にいた時も、そして今も、ライルの人生には常に痛みが付きまとってきたのだ。 肉体的な痛みなど、精神的なそれに比べれば取るに足りない事だった。 ティエリアの細い体をきつく抱き締めて、一ミリたりとも逃げ場を与えてやらずに 強引に舌を絡み付かせて行く。 ティエリアの舌の全てを巻き取ってねっとりと絡め合わせると、 途端にティエリアから力が抜けた。 5分も舌を絡めていると、唾液が溢れて二人の唇から滴り落ちていった。 ライルに急かされて、ティエリアの息がどんどんと乱れていく。 ティエリアはディープキスの息継ぎにも慣れていないかのように苦しげに鼻から息を吐き、 時折唾液を飲み込んでは咽た。 ライルの舌の熱さに抵抗の意思をほぐされ切ったかのように脱力しきって、 ティエリアはライルに身を預け、きつく閉じていた瞳をゆっくりと開いた。 官能的なキスが、どうしてもライルをニールに見せてしまう。 目を閉じたまま、ティエリアとのキスを存分に味わっているライルの、 やや紅潮した顔を見ていると、堪えきれずに涙が零れ落ちていった。 キスに涙の味が混ざって、ライルがそっと目を開け、ティエリアの涙に濡れた顔を見た。 一瞬困ったような表情になった後で唇をようやく離して、ライルがふっと苦笑した。 ティエリアの唾液の跡も零れ続ける涙も、ライルは優しく拭ってやった。 「だから、比べんなって…」 呆れたように言い、ティエリアを優しく抱き締めて、ライルが耳元に囁きかけた。 「どう頑張っても、俺は兄さんにはなれないんだぜ…」 自分に言い聞かすようにライルは呟き、それを証明するかのように 指をティエリアの下半身へと伸ばしていった。 ティエリアの愛液を指に掬い、慣れた仕草でクリトリスを擦り始める。 「は…っ…、あ…っ…、ああ…っ…」 瞬間的にティエリアのそこは気持ちよくなった。 愛液でぬるぬるに湿らせた指の腹をクリトリスに優しく押し付けて、 ライルはゆっくりと前後にクリトリスを擦っていく。 充血して勃ちあがった、敏感なそこに決して痛みを与えず、 かつ一気に絶頂に追い込むでもないその絶妙の手付きで、ティエリアの官能はゆっくりと増幅していく。 激しくないからこそ、余計にその快感が全身のすみずみまで染み渡っていくようだった。 「んん…っ、ああ…ん…っ…、ロッ…ク…オ…」 ライルのパイスーの肩を掴み、思わずその名前を呼んだが、 その愛撫が決してニールのものでない事は、ティエリアの体自身が一番良く分かっていた。 「俺はあの人じゃない…。ティエリア、悪いな…」 「な…っ、なんで…そん…な…事…っ、んっ…、あ…あ…っ」 愛液の滑りが悪くなると一旦責めを中断して、ライルは再び指にそれを掬って潤し、 クリトリスの責めを再開させる。 そのたびにティエリアのそこはリミットを高くして感度を上げていった。 ライルの濡れた指の腹が快感の芯を擦るたびに、泣き出したいほど気持ち良くて堪らない。 「あ…っ…、ライ…ル…、や…っ…、や…だ…っ…、あ…ん…っ」 「…兄さんも、こんな風にしてたのか?こんな風に指を動かして…」 ライルの指がクリトリスをぎゅっと押し潰した。 強烈な快感が走ったが、やはりニールの愛撫とは似ても似つかない。 「あぁ…んっ…、ちが…っ…う…っ、ぜ…んぜん…っ、ああっ…!」 「そっか…。兄さんのようにしてやりたいが、無理みたいだな…。悪いね、教官どの…」 鋭敏な神経の塊であるクリトリスをまるで違う指遣いで責められながら、そんな風に耳元で囁かれ、 ティエリアはようやくライルからニールの影を振り切る事が出来たように感じた。 ライルとニールが別人なのだと、今こそ完全に納得できた。 「ん…っ…、あ…ん…っ、も…う…、いい…、いいん…だ…、ん…ん…っ…」 喘ぎながらライルの肩口に頭を預け、必死でそう呟く。 「ありがとよ…」 懐かしいロックオンの言葉が、どこか遠い所から聞こえたような気がした。 次の瞬間、ライルが急に力を強めてクリトリスを素早く擦った。 「ひゃあっ…!!」 急激に快感が強まって、ティエリアは立っていられないほどに膝が震え、座り込んでしまった。 達したのかどうかも定かではないほどの強い刺激だったが、 クリトリスにはまだ強い快感がじんじんと残っている。 「はぁ…はぁ……」 ティエリアは目を閉じて荒く息を吐きながら、 ケルディムに背中を預けて体を落ち着かせようとした。 しかしすぐに、床に投げ出していた両足をがばっと大きく左右に開かれ、 ティエリアは驚いて目を開けた。 すぐ目の前でライルが真剣な表情でティエリアの顔を見つめ、次いでその秘部に目を遣った。 急激に恥ずかしさが募る。 今となっては何故あれほどニールに見えていたのかも分からない程、 ライルはティエリアの目に、初めて見る男のように映った。 「や…、やめ…、見るなっ…」 腕を伸ばしてライルの髪を掴み、その頭をどけようとするティエリアを ライルは真剣な瞳のままで見上げてくる。 ティエリアの心臓がきゅんっと痛くなり、腰の奥が熱くなった。 恥ずかしいほどに紅潮しているに違いない己の表情を思い浮かべて、 ますますティエリアの体が熱くなる。 そんなティエリアの気持ちを読み取ったかのように、ライルはかすかに笑みを浮かべたが、 やはり真剣な目のままでティエリアの股間へと身を屈めていった。 「あ…っ、やめ…っ」 抵抗したいのに、ライルの真剣な顔付きがそれを阻止してしまう。 ライルの息がふうっと秘所に当たって、 ティエリアは完全に抵抗のタイミングを失くしてしまった。 ライルの舌が、クリトリスを軽く舐めた。 「はう…っ!」 それだけで達しそうになり、ティエリアはケルディムにもたれてがくがくと腰を揺らした。 ライルの舌が素早く、しかし丁寧にティエリアのクリトリスを舐め上げ始める。 「ああ…っ、や…だ…っ…、あぁっ…、んん…っ!」 さっき後ろから膣内を責めていた時よりも、ライルはじっくりと時間をかけて舐めあげていく、 ティエリアは堪らず、天を仰いで喘いだ。 クリトリスにライルの唾液が絡みつき、否応なしにそこを火照らせた。 後から後から溢れ出す愛液は床に滴るほどの量で、 いつの間にかティエリアは自分で大きく足を開き、その甘い快感に酔っていた。 初めての男に体を開く恥ずかしさも吹き飛ばすほどの快感が、押し寄せてくる。 ライルの柔らかい茶髪が、ティエリアの腹に何度も当たる。 それがまた下半身の悦楽を増長させていった。 「あ…ん…っ、も…、…キそう…だ…、ラ、ライ…」 悦楽の渦の中で、ティエリアがうっとりと呟く。 掠れた声でも、確かにライル…、と名前を呼ばれて、彼の心は湧き立った。 指でティエリアの秘唇を開き、クリトリスを覆う丘までも開いて赤い真珠の粒のような クリトリスの珠を完全に露出させ、その頂点に舌を押し付けて前後に揺すった。 「ふあ…っ、あああんんっっ…!!」 ティエリアの剥き出しのクリトリスに、激しすぎるほどの快感が訪れた。 その瞬間、ティエリアは叫ぶような嬌声を上げ、一気に達した。 思わず腰を跳ね上げて、ライルの舌にそこを押し付けたままで絶頂の波を受け止める。 「う…、ふう…う…」 しばらく経ってもなお、ティエリアの体は火照って疼き、 太ももをすり合わせると溢れる愛液がチュクチュクと音を出した。 ライルがティエリアを困ったように見てくる。 まだパイスーを身に付けたままの彼の股間が、明らかに分厚い布を持ち上げている。 この先に進んでいいのかどうか、ライルは明らかに迷っているらしかった。 ティエリアも同じく少し迷いはしたが、結局自分の方からライルへと近寄っていった。 「お、おい…」 今更戸惑いの声を上げるライルを愚かしく思いながら、ティエリアは彼のパイスーの ジッパーをゆっくりと下ろしていった。 ライルは大きく肩で息をしながら、ティエリアの指が自分のパイスーを脱がしていく様をじっと見つめた。 新しい女を抱くのだという高揚感と、ニールに対する罪悪感が混同していく。 今更ながら、ティエリアが自分をどう思っているのか、ライルは気になって仕方なくなった。 「な、なあ、ティ…、いや、教官どの…。俺は、兄さんとは…」 「そんな事はよく分かっている。黙っていろ」 まるで厳しい女教師のように有無を言わさぬ口調で言われて、ライルは黙り込んでしまった。 やがてライルのパイスーは全て脱がされ、二人は全裸で床に座って見合った。 気まずい空気を破ったのは、やはりティエリアの方だった。 顔をうっすらと染め、恥ずかしそうに目を反らせながらも、ライルの股間へと顔を寄せていく。 ほぼ勃ちあがったライルの男根を、初めて至近距離で見た。 その色合いや形状、そして匂いまでもがニールのそれとそっくりで、 ティエリアに昔を懐かしく思い出させた。 そっと指を伸ばし、ゆっくりと握ってみる。 「う…っ…」 その刺激でライルが低くうめき、ティエリアの指の中で勃起がどくんと脈打った。 ティエリアの手の平に、その熱さが染み渡ってくる。 まるで熱情を体現するかのようなその温度が好きだった事を、ティエリアは思い出した。 ぎゅっと指で握り締め、ゆっくりと上下に扱いていく。 「あ…、ああ…っ…」 ライルの低い喘ぎが頭上から降ってくる。 ティエリアが上下に指を動かす度に彼の勃起はますます硬く、そして膨張していくようだった。 ずっずっとペニスを擦る音と、ライルの荒い息遣いだけが格納庫に響き続ける。 ライルのそれはティエリアの手の中でいまや完全にそそり立ち、 卑猥に先走りまで垂らし始めた。 (だが、やはり違う…) ここまで硬く勃起し尽くしてもなお、微妙な手触りがニールのそれとは確実に違っている。 (指が覚えているというやつか…) 自分の体に刻まれた、ニールの消えない記憶を思い知り、 ティエリアに熱いものがこみ上げてくる。 だがニールはもういない。夢でもいいから逢いたいと思っていた。 ようやく現れた同じ顔をした男は、ニールではない、ライルなのだ。 色々な感情が交錯して、ティエリアは涙を振り切るかのように勢いよく体を屈めると、 ライルのいきり立ったペニスを一気に口に含んだ。 途端に苦い味が口一杯に広がる。 顔をしかめながらも、ティエリアはそれを根元まで咥えこんで行った。 舌をゆっくりと絡ませてしばらく舐めあげていると、ようやくティエリアにも欲情が戻ってきた。 再び秘裂が欲に疼き、漏れ出す熱い吐息はライルの素肌に何度も当たった。 勃起した男根を咥え込んで舐め上げる、いつものティエリアからは考えられないほどの 艶かしい表情と息遣いに、ライルのペニスが爆発寸前に震え出す。 それを更に煽るように、ティエリアは根元を指で軽く扱きながら、 舌を勃起全体にねっとりと絡ませていった。 堪らずライルがティエリアの髪を掴んだ。 震える手で頭をぐりぐりと掻きむしられて、余計にティエリアの舌遣いは激しくなっていった。 昔、ニールを喜ばせた通りに、浮き出した血管に沿わして舌を這わせながら 唇でペニスを締め付け、咥え切れずに余った竿の根元部分を小刻みに扱きあげていく。 それは、まだ少女と言ってもおかしくないほどのティエリアの容貌には不釣合いなほどの、 卓越した技術だった。 「…っ…、ずい…ぶ…ん…、うまいじゃねえか…っ…、まだ若い癖に…」 ライルが快感を堪えるように苦しげな呼吸をしながら、ほとんどうわ言のように呟いた。 その瞬間にティエリアの舌が、唾液でたっぷり湿らせたライルの亀頭を舐めあげる。 「ぐ…っ…!」 一瞬大きく空気を飲み込んで、ライルが激しい快感に打ち震えた。 ティエリアの髪を掴む手に、一際力が強まった。 ティエリアは構わず、今度は竿全体を緩く扱きながら亀頭部分を唇で包み、 そして最も敏感な先端をちろちろと舐めてやる。 射精感が強まっていくが、弱い扱きあげのせいでライルの絶頂はまだ遠い。 明らかに男を焦らせて、激しい快感だけを与えるその完璧な口技に、 もう何年も会っていない兄の、大人の男としての姿がチラついた。 「く…っ…、悪い男だったんだな…、兄さんは…っ…。  あんた…に…、こんないや…らしい…技を…、教え…込…むなんて…な…っ…」 悶絶しながら、ライルが苦しげに呟いた。 感嘆か蔑みかも分からない口調だったが、ティエリアはあえて余計な事は考えず、 ひたすらにライルの欲を高めてやる事だけに集中した。 ライルの腰が我慢ならないという感じで、ゆらゆらと上下に揺れ続けている。 床に置いて体重を支えていた彼の拳まで、ぶるぶると震え出していた。 一刻も早く射精に向けて追い立てて欲しいのだろうとティエリアは分かっていたが、 もっとライルの悦楽に歪む表情と声を聞いていたくて仕方がない。 亀頭に舌を這わせたまま、指の上下運動は最小限に留めて ライルの欲を堰き止めるかのような、残酷な責めを続けた。 「な…、なあ…、教官どの…、頼む…よ…」 ライルがついに暴発寸前の体に耐えかねて、ティエリアに懇願してきた。 ティエリアは咥え込んだままで、目だけを上げてライルの顔を見上げた。 その口の中ではライル自身のペニスが舐め尽くされているのだ。 あまりに淫らなその光景に、ライルの僅かしか残っていない理性も プライドも吹っ飛んでいく。 「…入れ…させてく…れよ…、なあ…、ティエ…リ…ア…」 その言葉を聞いた途端に、ティエリアが眉をひそめて突然ペニスを抜き去り、目を反らした。 どうした、と問い掛けようとしたライルの先手を打って、 「ロックオンは、そんな直接的な言い方はしなかった…」 ティエリアが悲しげに俯いて言った。 今のライルなら、その言葉に反発してこないだろうという密かな自信がティエリアにはあった。 「あ…、悪かったよ…」 思った通りにライルはティエリアの様子を窺い、困ったように頭を掻いた。 ライルが登場して以来、ティエリアとて、あまりにニールを思い出させる彼の存在自体に、 ずっとやるせないほどの鬱憤を募らせていたのだ。 ライルを困らせてやった事で、ようやく行き場のなかった憤懣をぶつけられた気がした。 ささやかな逆襲だったが、ティエリアの波打っていた心もようやく凪いでいく。 ティエリアが軽く微笑んだその瞬間を見逃さず、ライルが傍にやってくる。 おずおずと抱き締められたが、ティエリアは特に抵抗もせずに彼の胸に頭を預けた。 ゆりかごに抱かれているような優しい抱擁で、ティエリアの感情が癒されていく。 「…で?兄さんはどんな風にしてたんだ?」 今更戸惑いがちにそんな事を聞いてくるライルに、苦笑いが思わず込み上げた。 「君は君だろう。君らしく好きなようにすればいい」 そう答えると、ライルが強くティエリアを抱き締めてくる。 そのままティエリアは、冷たい床にゆっくりと倒されていった。 上からライルがじっとティエリアの目を見つめてくる。 「ライル…」 思わずティエリアがぽつりと呟くと、ライルはついばむ様な軽いキスを落とした。 その唇がティエリアの顎から首筋を這って行く。 「あ…、ん…っ…」 湿った唇で首筋をくすぐるように愛撫されて、ティエリアの体はあっけなく震え出した。 全身にライルの熱い素肌が密着してくる。 軽く乳首を擦られて、ティエリアは床に仰け反り、ぞくぞくするような快感に喘いだ。 「ティエリア…」 低く何度も名前を呼ばれて、ますます腰の奥がじゅんと熱くなっていく。 ライルがティエリアの滑らかな肌を味わいながら、そっとその脚を開かせていったが、 もうティエリアは抵抗のかけらも持ち合わせてはいなかった。 ライルの勃起が膣口に当たった。 「ん…っ…」 いつの間にか冷え切っていたそこに、灼熱のような熱気が当たる。 くにゃりと蕩けるように歪んだティエリアの表情を眺めながら、 ライルはペニスで膣口を軽く開いた。 「ふ…あ…っ…」 待ちきれずにティエリアのそこが震えたが、一方で急激に恥ずかしさが高まり、 ティエリアの顔は真っ赤に染まった。 「行くぜ…?大丈夫か?教官どの…?」 恥ずかしさと切なさで一杯一杯のティエリアとは裏腹に、ライルは余裕の表情で またしても茶化すように言ってくる。 「だま……っ」 最後まで言い切らないうちに、ライルがティエリアに勢いよく口付け、 そのまま舌を挿し入れてきた。 舌が絡まる柔らかい感触でティエリアの体から力が抜ける。 その隙を見計らったかのように、ライルのペニスがずぶずぶと侵入してきた。 「ん…っ…、んん〜っ…!」 膣壁を押し広げながら、勃起が奥まで埋め込まれていく。 口の中はライルの舌で存分にほぐされ、下半身にはライルの熱気が埋め込まれ、 ティエリアは全身全てでライルの事しか考えられなくなった。 ぴちゃぴちゃと舌をたっぷりと絡め合わせたままで、ライルが腰を大きく引き、 一気にペニスを突き入れた。 「んっ…!んん〜っ!!!」 さっきティエリアが焦らしまくって暴発寸前だった荒ぶる肉棒が、 今度はお返しだと言わんばかりに膣壁を激しく抉って突き入れられる。 強烈な快感が、そこから全身へと広がった。 ライルが唇を離し、にっこりと微笑んでティエリアの悦楽の表情を満足げに見た。 「さあて…。教官殿は、ゆっくり、ゆっくり…が好きなんだろ?」 ライルはそのまま焦らすように、ゆっくりとしたペースで ペニスをごく僅かだけ揺すって抜き差しはじめた。 もっと強く、がんがんと突き上げて欲しい衝動にティエリアは駆られたが、 ライルは一向にそのペースを速めようとしない。 ティエリアはほとんど不満だらけで、劣情だけが膨らんでいった。 「ん…っ…、あ…っ…、あ…っ…ん…っ…」 それでも緩すぎる抜き差しに浮かされて、声だけはどんどん淫らになっていく。 「どうした?教官どの…?さっきはあんなに俺を焦らせてくれたくせに…」 ライルがごくごく弱い抜き差しでティエリアをいたぶるように突きながら、 耳元で囁き、舌を耳たぶから耳穴にまで這わせていく。 ティエリアは体を強張らせてその刺激に耐えた。 「ひ…あ…っ!よ…せ…っ…!」 「でも、耳は随分弱いみたいだな。いつも髪で隠れてるから分からなかったが…。  綺麗な耳だな…?教官どの…」 「ん…っ、やめ…、舐め…るな…っ…」 ライルはお構いなしにティエリアの耳たぶを唇で挟んで震わせ、 鼓膜に届かんばかりに舌を穴へと突き入れて攻めた。 「やだね…。絶対にやめませんよ、教官どの…?  いつもちゃんとやれって、あなたが言ってるんじゃないですか…」 まるで軍隊ごっこを楽しむ子供のように変な所で敬語が混じって、 それが余計にティエリアの官能を煽っていく。 「ほら、中が随分熱くなってる…。俺がいるのが分かりますか…?教官どの…」 ライルの低い囁き声と熱い吐息が、ティエリアの体の芯にまで響いてくる。 存在を誇示するように、ゆっくりと膣内をペニスが大きく掻き回した。 「あう…っ…!も…、もう…」 堪らずティエリアは涙ぐんで唇を噛み締めた。 「もう…。何だよ、ティエリア…?」 今度は上から押し付けるように言われて、ティエリアの感情は混乱した。 下半身が更なる快感を求めて、じんじんと火照って仕方ない。 「分かってるくせに…。君は…、君は……」 ティエリアの言葉は最後まで続かなかった。 きつくまぶたを閉じた瞬間に、そこから一筋、涙が零れ落ちた。 「ああ、そうだな。分かってるさ」 ライルがようやく動き出す。 一度勃起を先端まで抜いた後、力一杯に腰を打ち付けて奥まで激しく突き入れる。 「ああんっ!!!」 待ち侘びた快感が一気に下半身に広がり、ティエリアが淫らな声で叫んだ。 そのままライルは勢いをつけて、激しいストロークを繰り返していった。 ティエリアの細い体をしっかり抱き締めて、深くまでペニスを突き入れていく。 「ああんっ、ああんっ、やあ…っ、ああっっ!!」 ずんずんと激しい突き上げに晒されて、ティエリアは遮るもののない激しい快感で喘ぎ続けた。 あっという間に汗ばんだ肌が、床との摩擦でキュウキュウと耳障りな音を出す。 激しく上下に揺さぶられて、ティエリアの小ぶりの乳房も揺れ、ライルの肌と擦れあった。 その硬くなった乳首を、ライルが片手できゅっと摘んで転がす。 下半身だけだった快感が、上半身にまで広がった。 「ひあっ…!ああっ、ああっ…!!ま、待…て…っ、ライ…ル…ッ…!!」 「だから、待たねえって…!!」 「や、待…て…っ、ああっ、あぁぁっ、あああっっ…!!」 ライルは更に勢いよくティエリアを突き上げ始めた。 がんがんと内臓から脳天にまで響くような激しいピストンで ティエリアは乱暴に揺さぶられ、乱れた美しい髪が床にぱさぱさと落ちていく。 濡れきった膣壁は奥まで簡単にペニスを受け入れ、そして快感を強めていった。 ライルがティエリアの片足をぐいっと持ち上げ、胸まで折り曲げる。 「んああっっ…!!」 締め付けが強まってティエリアの敏感な所に勃起が当たる。 涙が出そうなほどの悦楽がティエリアに訪れた。 「ああんっ、ああっ、彼…じゃないの…に…っ、何で…っ…こんなに…っ」 「知らねえよ、そんな事は…!自分の体にでも聞いとけ…!遺伝子が同じだからだろ!?」 「遺…伝…子…?あ…んっ、ああんっ、ああんっ…!!」 ライルは欲望や不満を全て発散するかのように、速度を速めて突き込んだ。 激しく全身を揺さぶられながら何度も深くまで突かれ、ティエリアのそこに絶頂が近づいてきた。 膣内は焼けそうなほどに熱くなり、ぬるぬるの壁は絶頂寸前で収縮しはじめた。 「あぁんっ、ああっ…!も…だ…め…、ああんっ!!」 ティエリアが床に爪を立てて快楽をこらえる。 ティエリアの限界を肌で感じとったライルが、にわかに動きを止めた。 快感を中断されて、ティエリアがうっすらと目を開ける。 「な、何で…?」 ライルが物憂げに瞳を揺らした後、決意したかのようにはっきりと言った。 「…自分で動けよ、ティエリア。それで俺が兄さんじゃないって、ちゃんと自覚しろ」 「な…っ…!」 予想外のライルの言葉に困惑するティエリアだったが、考える余地も与えずに、 ライルはティエリアの体を抱えるように抱き上げて座位の体位になった。 「ライ…ル…。君があの人と違うと言う事は、もうよく分かって…、あんっ…!!」 最後まで言わせてもらえずに、ライルがぐんっと腰を跳ね上げた。 「ライル…。その呼び方はもうやめろ。ロックオンって呼べよ」 「だ、だって…、あっ…、やぁんんっ…!」 冷たく言って、ライルは再び腰を突き上げた。 絶頂寸前だったティエリアの体に再び激しい快感が走り、 堪らずティエリアは自分で腰を動かしていった。 ライルの腰に脚を巻きつけ、肩にしがみついて腰を上下に振り、結合を深めていく。 「ああっ、ああっ、ああっ…!!」 ティエリアの腰はその淫らな体の求めるままに、自動的に上下に激しく動き続けた。 勃起が深くまでめり込んで、全身を気持ちよくしていく。 「なあ、ロックオンて呼べよ…!」 「やああっっ…!!!」 ティエリアの腰がペニスを咥え込むその瞬間を狙って、ライルが腰を大きく突き上げて 更に勃起をめり込ませた。 ティエリアの目から快感の涙が迸る。 「や…っ、ああ…ん…っ!!ラ、ライ……!!」 「違うだろ?このコードネームはもう、俺のものだって認めろ…!!」 自分で動けと言ったくせに、ライルは勢い任せに下からティエリアを突き上げ続けた。 ティエリアは激しい渦に飲み込まれて、必死でライルに抱き付いて快感に咽ぶばかりになった。 「ティエリア…!!俺はあの人じゃない…!俺は俺だ。他の誰でもない…!  新しいロックオン・ストラトスだ!」 「ああっ!ん…っ、わ、わかって…る…っ、分かって…るか…ら…、ああっ…、ああんっ!」 ライルの肩にティエリアの吐息が、髪がさらさらとかかる。 その手はしっかりとライルの背中を抱き締め、脚は一ミリも結合を緩めたくないかのように ライルの腰に巻き付いていた。 上下に揺さぶられる度に、ティエリアからは初めて聞くほどの淫らな声が迸る。 濡れそぼった秘所から漏れ出した愛液がライルの太ももを濡らし、 膣壁はしっとりとペニスを包み込んだ。 (どうだ、ティエリア…!?兄さんがこれほどまでにお前を感じさせてやれたか…!?  どうなんだ…!!?) ライルは心の中だけで叫びながら、ティエリアの中心を何度も何度も突き上げた。 その答えを言葉で聞きたくはなかった。 代わりに触れ合う熱い肌と濡れきった秘所の感触、 そしてティエリアの淫らな喘ぎによって自尊心を慰めていく。 やがてライルが何を言っても、ティエリアは返答せずにピストンに翻弄されるまま、 喘ぐだけになった。ティエリアの絶頂が近いのは明らかだった。 「ティエリア…」 ライルはティエリアをきつく抱き締めて突き上げ続けながら、 最後にもう一度、彼女の耳元に囁きかけた。 「あん…っ…」 吐息があたってティエリアの体がびくっと震える。 「ロックオンって呼んでくれ…。ティエリア…」 懇願するように呟く。ティエリアの爪が背中に食い込んできた。 「ロ、ロッ…オ……、ああ…っ…!!」 ティエリアがか細く唇を動かした。掠れた声がライルの耳に届く。 「もっとはっきり言えよ、ティエリア…!」 ライルが叫び、自分の存在意義をこの一突きに込めるかのように荒々しく腰を振り上げた。 ティエリアの奥の奥までペニスが突き入れられ、激しく膣壁を擦りあげた。 「ああっ、イ…ク…っ…、やあっ…、あああんんっっ!!」 ティエリアが大きく背中を反らせ、数秒硬直して絶頂に達した。 同時にライルもいつもよりも鋭い射精の快感に震え、ティエリアの中へと精を放った。 ティエリアはそのままライルの体に体重を預け、彼の広い肩に顔をうずめて 余韻が消えるのを待った。 熱くなったその体をいたわるように、ライルはぽんぽんとティエリアの背中を優しく叩いてやった。 ようやく息が整ってきて、ティエリアが静かに呟いた。 「君は君だよ、ライル・ディランディ…。彼じゃない…」 「………」 ティエリアがゆっくりと顔を上げ、正面からライルの目を見据えた。 「同じ顔をして同じ体をしていても、君は彼じゃない…。  違う事を考え、違う人生を送ってきた…。  そして、これからも違う人生を送っていくんだろう…。それでいいさ…」 まるで自分に言い聞かすように訥々と話すティエリアのその言葉で、 ライルに涙が込み上げてくるような、切なくも熱い感情が湧き起こってきた。 もう一度、ティエリアの体をきつく抱き締める。 「ロックオン…。早くガンダムをマスターしろ…」 ティエリアの言葉に頷きながら、ライルはようやく自分の居場所を得た気がした。 同時にどこか遠い存在だった兄・ニールの、生きた証しを見つけられた気になった。 「兄さんの事、忘れるんじゃないぞ…。ティエリア…」 「そんな事、君に言われるまでもないさ。彼との思い出は死ぬまで消えはしない…」 この時初めて、ライルはトレミーに来れた事に感謝したのだった。