自分より体格のいい6人に取り囲まれ引きずり倒されても、そのきつい瞳は揺らがない。 「本当にいいんですか?」  男の1人が虚空に問いかける。 「ああ。この子は太くて固くて熱いものが大好きなのさ。今回はよく頑張ったからご褒美だ。たっぷり可愛がってあげてくれないか」  感情の乗らない声が答えた。  男たちはそれを聞いて無言のまま頷き合う。身長の割りに華奢な体を組み敷いた1人以外が、いっせいにベルトをゆるめファスナーを下ろし、己の分身を引きずり出す。 「可愛いなあ、見ろよこのすべすべの頬」  ひとりがぐいと彼の顎をつかみ、薄い唇を親指の先で撫でた、が。 「ってえ!こいつ噛みつきやがった」 「おいおい、とんだ仔猫ちゃんだなあ。そんなで俺たち相手できんの?」  ストイックな印象を与える短い上衣の下、顎下まできっちり上げられたファスナーが下ろされる。 「何枚着てんだ、ガード固いなぁ」  薄くぴったりと貼り付いたインナーのうえから無遠慮に撫で回され、彼はきり、と歯がみする。 「でもこれ見ろよ、ほら。薄いから乳首勃ってんのまるわかりだ」  1人が軽薄な口笛を吹き、手の空いている者に押さえさせてブーツを引き抜き、スラックスのほうを脱がせにかかる。 「……やめろ」 「あ?何か言ったか?聞こえないぞ?」 「やめろといっている!」  鋭い声だったが、その場の誰1人として怯むことはなかった。何故なら。 「可愛い声だけど素直じゃないなあ」 「こっちは正直なのにな」  インナーと同じく薄手の素材で作られた下着ごしに、濡れながら主張をはじめているもの。 「可愛い可愛い」  ぴん、と下着越しに指で弾かれて、彼はひ……とかすかな声を漏らした。 「お望みどおりにしてあげようね、淫乱な仔猫ちゃーん」  下卑た笑いとともに、下着ごと乱暴に揉みしだかれる。彼の真っ白な肌は羞恥か欲情かで赤く染まり、暗い色の着衣と奇妙なコントラストを為している。 「あれ?」 「なんだよ」 「こいつ……」  下着に手をかけた男が、にやりと笑った。 「俺もはじめて見るけど。ふたなり、じゃね?」 「な……やめろっ!!」  こんどこそ彼は絶叫し、もがき、腕をふりほどこうと身をくねらせたが。 「無駄無駄。ご開帳だぜ?」  くるりと体をひっくり返され、柔らかい生地が引っ張られ引きずり下ろされる。……幼い印象の淡い色、だがしっかり自己主張している男性器、ほとんど無毛のその下には暗赤色の濡れたクレバスと引き締まった後門が見える。 「おー、すげえ」 「ひくひくしてる……」  それは神秘的なのにいやらしい眺めだった。むっちりと張った太股はキズもしみもないが、下着を下ろされたはずみで溢れた粘液がひとすじ跡をひいている。男のひとりががっちりと足を抱え、その濡れたところをべろりと舐めた。 「や……だぁ」  だれも触れていないのにくちゅ、と音がした。 「おい、挿れさせろ」 「えっ、待てよ俺が」  いちばん体格のごつい男があとの連中を睨んで引かせ、もがく彼の背後に回ると、すでに昂ぶっている自分のものを強引に割れ目にねじこんだ。 「う……ぁあああああっ」 「お、いい感じだ」  華奢な上体が反り返る。男はそのまま床に胡座をかき、あとのものが力なく崩れるその体を支えた。 「手と口が開いてるだろ」  左右から男が近づき、MS乗りとは思えない華奢な指をそれぞれ己の怒張に添えさせる。 「やだ……こんなのは……いや、だ……」 「はいはい、歯を立てたらおあずけにするぞ」  そむけた顔にも雄臭いものがこすりつけられ、鼻をつままれたまらず口をひらいたところにねじ込まれる。 「おい、大丈夫か」 「お……ノリノリみたいだ……こいつ、上手い」  紅い瞳からは透明な滴がいくつもこぼれるが、既に抵抗の気配はなかった。左右の手は男を昂ぶらせるためのピストン運動を繰り返し、腰はさらなる刺激を求めてゆっくり動き始める。ぐじゅぐじゅと粘ついた音がその場の全員の聴覚を灼いた。さらに手の空いた二人は自分で自分のものを片手で掴み、空いた手でさらに獲物をいたぶりにかかった。  いちばん我慢がきかなかったのが、口を穢した男だった。さらさらの深紫の髪を掌いっぱいにつかみ、大きく前後に揺する。白く濁った劣情の証は、口元から首筋、腕に引っかかったままのシャツやインナーにまで溢れ、汚した。 「あ、はっ……むぐ」 「よし、次は俺だ」  順番が来るのをいまかいまかと待っていた1人が、続けて強引にねじこみ、同じように数回前後に揺すって射精した。こんどは口から離れる瞬間に跳ね、髪から頬から容赦なく汚す。掌の中のものも相次いで爆ぜ、びちゃびちゃと音をたてた。 「あ、ああっ」  彼も達したようだ。男たちのそれより小ぶりなそれは、己の腹につきそうなくらい張りつめた後、ビクビク震えながら蜜を吐く。その彼の、本来あるはずのない秘密を暴いた男もようやく満足したようだった。体を離すと、ぐじゅ、と粘った水音を立てて太股を粘液が滴った。 「おっさん長ぇよ」  まだ恩恵に与ってない男が性急に近寄る。……そして、いいことを思いついた、とでも言うように、鼻で笑った。 「せっかくだから俺は後ろをもらうぜ」  ぐっしょり濡れた後ろの狭い口を指でぐりぐりと抉り、綻ぶのを待ちきれないように怒張を押し込む。 「……っ!!」  声も出なかったのは、既に口を再び犯されていたからだ。 「お前、上手いことやったな。じゃあ俺に前をよこせよ」 「あ……やぁ……もう」  口が解放されたと思う間もなく、先の白濁がまだこぼれ落ちる割れ目が強引にこじ開けられる。男たちは目配せをしながら体を進め、華奢な体を両側から挟むようにして犯した。 「あああ!」  嬌声。男と自分の腹とで挟まれこすられて、彼は再び射精した。さらに両側から手を引かれ、また男を高めるよう動かされる。正面から生臭いキス。相変らずぼろぼろと涙をこぼしてはいたが、絡める舌に積極的に応えるその瞳からは理性が消えていた。いつもストイックなまでに任務を遂行する、ティエリア・アーデ。その瞳が曇り、光が消え、そして………金色に、輝いた。 「……ふぅ」  そこはCBの隠し基地にある、彼専用のデータリンクルーム。かつてはヴェーダとの通信に使われていたものだが、いまはただの小規模システム程度しか扱えない。 「ヴェーダとリンクしていたときはもっと……いや、違うな」  着ている制服にもふわりとなびく髪にも、毛筋ほどの汚れもない。 「雌雄同体設定も飽きたし……」  ただ、覚えてしまったいけない遊びを、ヒトがビデオでも見るように繰り返すだけ。偽物の体験にすぎない。 「……まさか」  ふと浮かんだ思いを、頭をふってティエリアは追い払った。  彼が恋しい、だなんて。まさか。冗談じゃない。自分を置いていった彼を。  ティエリアは無意識に胸元に手をやり、着衣が乱れていないかどうか確かめた。彼には、ほかにやらねばならないことがまだまだたくさんあるのだった。