トリニティ3兄妹が、散々毒を吐いた後、トレミーを立ち去っていった。 トレミークルーに残ったのは、組織への疑心。 本当に彼らのような連中に、組織から正当にガンダムが与えられているのか。 なぜ彼らの存在がスメラギはじめマイスターにどころか、ヴェーダにさえインプット されていないのか。 混沌とした気持ちの中で、クルー達は押しつぶされそうになっていた。 その中で、一際苛立ちを募らせている人物がいた。 ─ティエリア・アーデ。 ティエリアが、刹那だけを冷たいほどの怒りの形相で睨みつけている。 すさまじい負のオーラに、さすがのスメラギたちも居心地悪く視線を交わした。 目は、口ほどにものを言う。即座に全員の意見が一致したのが分かった。 触らぬ神にたたりなし。 「じゃ、あたしたちはあっちで今後の予定を検討するから、そのぉ… ま、とにかく行くわね?」 言葉を濁して、戦戦況況としながらも連れ立って部屋を出て行った。 部屋に二人、残されたティエリアと刹那。 「………文句あるならさっさと言え」 しばらく続いた微妙な沈黙を破ったのは、刹那だった。 「…別に?」 しらばっくれているが、顔を見れば、ティエリアの不満がどれほどのものか位は分かる。 ティエリアの怒りの矛先が、ヴェーダにもインプットされていないトリニティ兄妹の 存在よりもむしろ、さっきのネーナの行動にあること…。 ティエリアの目と鼻の先で、刹那はネーナにキスされてしまったのだ。 その瞬間、ティエリアの顔に浮かんだ驚愕の色がまざまざと思い出せる。 今だって嫉妬丸出しの態度の癖に、決して言葉にしないティエリアの強情さに、 申し訳なさを感じながらも、思わず吹き出してしまう。 不謹慎な態度に、さすがにティエリアがムッとして口を開いた。 「何がおかしい?大体君はいつもいつも…」 抑えていた感情をぶちまけてやろうと、刹那の表情を真正面から見つめた瞬間、 不意に刹那が真顔になって見返してきた。 その視線の真剣さに撃ち抜かれ、苛立ち紛れの言葉が引っ込んでしまう。 「…悪かった。」 予想外の謝罪の言葉。ティエリアが思わず目を反らして俯いた。 「まさかあの女があんな態度に出てくるとは全く思わなかったんだ。 回避も出来なかった。すまなかった」 刹那が朴訥とした口調で、精一杯の気持ちを伝えてくるのが分かる。 ネーナとのキスは決して刹那が悪いわけではない。 本当は良く分かっているが、どうしても心が波打つのを抑えられない、 自分の情けなさに腹が立ち、ティエリアは自憤で真っ赤になって唇を噛んだ。 「…血が出てるぞ」 刹那が心配そうに覗き込んだ。強く噛み締めた唇に、血が滲んでいる。 最近、堰を切ったようにティエリアは感情を露わにするようになった。 …刹那への思いを含めて。 凍りつかせていた感情を一気に発露したティエリアは、どうやらまだ上手く 感情をコントロールできないらしい。 その不器用さが、刹那の気持ちを簡単に捉えてしまう。 急に、愛しさが募った。 ネーナにされたよりも遥かに強引に、血を舐めとるように荒々しく口付けた。 ティエリアが一瞬戸惑ったのが体で分かったが、すぐに舌を絡まし、お互いの気持ちを高めていく。 「ん…」 ティエリアがキスを受けながら、静かに震えているのが分かる。 ティエリアの、自分への気持ちを初めて聞いてから、今まで、こういう事をするのは数えるほどでしかない。 初めて刹那への恋愛感情を認めたあの時、ティエリアはかわいそうなほど混乱し、 子供用に震えていた。 刹那が応えて、そういう関係になった今でもまだ、肉体と精神のバランスで戸惑い、 喜びとすべてを晒す事への恐れとの狭間で揺れ動いているのだろう。 ──ティエリアを人間にするのは、この俺だ。他の誰でもない。 ティエリアの熱くなる体温を、絡む舌で感じながら、刹那は強く思った。 そのまましっかりとティエリアの細い体を抱き締めた。 ティエリアの鼓動が早鐘を打っているのがはっきりと分かる。 もっと深く、ゆっくりとしたキスを繰り返した。 ティエリアの吐息に自然と甘いものが混じる。 腰砕けのような、不思議な感覚に包まれて、ようやく感情と体が一体になり、 ティエリアは最高に幸せな気分でそっと刹那の背中に腕を回した。 刹那が静かに唇を離し、正面からティエリアの目を見た。 甘いキスで、感情と体を芯からほぐされたその目は潤み、さらなる触れ合いを求めていた。 無言のまま、刹那がティエリアの首筋に口づける。 「──!」ティエリアが体を強張らせたが、決してその愛撫を拒もうとはしなかった。 静かに舌を這わせ、邪魔なパイスーをどんどん脱がしていく。 隠すもののまるでない、照明の真下で露わになる白い肌がうっすらと赤く染まる。 刹那の赤い舌が、感触を味わうように、首筋から鎖骨のラインをねっとりと這い、 てらてらとした唾液の跡をつけていった。 刹那の舌が下へ下へと這い、上半身のあらゆる所を舐め回していく。 ティエリアが声を押し殺してきつく目を閉じ、背中を壁に付けて体を支えた。 高まっていく欲望を何とか抑えこもうとしたが、刹那の舌が肌を擦る度に 体が熱くなっていくのを全く止められない。 痙攣かと間違うほど、ティエリアの体は震えていた。 「…大丈夫か?」 遂に心配になった刹那が伺うように、尋ねた。 「……大…丈夫…だ…。」 荒い息を吐きながら、ティエリアが絞り出すように言う。 「続けるぞ?」 一応宣言して、刹那が再び首筋に顔を埋める。 指で早くも硬くなった乳首を刺激してやると、堪らずティエリアが屑折れた。 「あっ…あっ…」 指が往復する度に、ティエリアが甘い息を吐き、小刻みに硬直を繰り返した。 反応を楽しみながら、体重を預けて押し倒すように、ティエリアを冷たい床に横たえる。 ふっと空気が一瞬止まり、視線が交錯した。 ティエリアがどうしようもないほど切なげな視線で、見つめてくる。 ─ティエリアに優しく愛情を与えて、安らぎを与えてやりたい。 ─ティエリアを激しく蹂躪して、何も考えられないほどの快感で埋め尽くしてやりたい。 相反するかのような複雑な感情が、絡み合うように湧きあがる。 何も考えられなくなったのは、刹那の方だった。 男の本能に忠実に従い、行為にだけ集中するかのごとく、ティエリアに覆い被さった。 もう片方の乳首に吸い付き、勃起した乳首をしつこく転がすと、ティエリアが簡単に反応を見せた。 耐えるようにきつく閉じた目と、ぱくぱくと開く唇。 そしてそこから漏れる小さな喘ぎに、艶かしくうねる細い体躯。 何もかもが刹那の五感を刺激し、淫欲を高めていった。 ようやく上半身から離れ、下へ移動する。 ティエリアが放心したかのようにうっすらと目を開け、抵抗のそぶりも見せずに天井を眺め続けていた。 腰まで下ろしたパイスーの上から、既に大きく盛り上がったそこに唇ごと、舌を這わす。 「あうっ…!!」 性感の中心を攻められて、堪らずティエリアの腰が跳ね上がる。 気にする事無く、どんどん膨らんでいくそこに、形を確かめるように愛撫を加え続ける。 「んっ…んっ…!せつ…なぁ…!」 ティエリアが激しく首を振りながら、まるで快感から逃げ出すように、身をよじった。 体の悦びを拒否するように、膝を曲伸ばしして抵抗を見せる。 「…駄目だ。逃がさない」 刹那が断固とした口調で、ティエリアの太ももをしっかりと両手で押さえつけ、 更に股間への刺激を強くした。 パイスーがどんどん形を変えていく。 布の圧力で抑えられたペニスが完全に勃起しきっている事は疑いようもなかった。 「せ…つな…!も…だめ…だ…脱ぎた・・」 「駄目だ」 無情にも懇願を却下して、顔全体を擦りつけるような激しい愛撫を与え続ける。 ティエリアのペニスがパイスー越しにも激しい熱を持ち、どくどくと漲る血流まで 感じられるかのようだった。 「あんっ、あうっ、や…っ…!脱ぎたい…!おねが…」 「駄目だ」 必死に首を振るティエリアが、限界を我慢しているのはちゃんと分かっていたが、 刹那はまだ、残酷にも攻め続けた。 執拗な股間責めが続き、ティエリアの勃起したそこが、僅かな刺激で簡単に 達しそうな状態にまで追い詰められ、遂に、ティエリアが我慢しきれなくなった。 「もう駄目だ!!イク…!!!」 その瞬間、刹那の攻めが急に止まった。 絶頂寸前で刺激を失い、射精感がにわかに停止した。 「…?」 呆然として刹那を見上げるティエリア。刹那の表情には普段とは明らかに違う、 欲情が色濃く浮かんではいたが、なぜ愛撫を止めたのか、その真意を測ることは出来なかった。 刹那が何か思案するかのような面持ちで、ティエリアを見つめている。 「せ…つな…、どうし…て?」 仕方なく、おずおずと聞いてみた。 「……。」 相変わらず何も答えない刹那だったが、意を決したように頷くと、 一気にティエリアの下半身のパイスーを剥ぎ取った。 ティエリアの射精直前の勃起が、二人の目の前に惜しげもなく晒された。 「な…!!」 先走りどころの量でないほどの粘着液が、先端から滲み出し、その淫猥さと唐突な行動に驚き、ティエリアが抗議の視線を刹那にぶつける。 「一緒にイキたくなった…。」 照れ隠しのように一瞬視線を外したのち、刹那がティエリアの太ももを持ち上げ、大きく 足を開かせる。 「やっ…!」 恥ずかしい所が遮るものなく、刹那に晒されてしまった。 刹那がじっくりと丸出しになった後ろと勃起を観察しているのを感じ、 羞恥でティエリアが目を閉じてしまう。 「ひゃうっ…!!」 思いがけない濡れた刺激で、ティエリアが大きくのけぞった。 目を開けると、股の間に顔を埋めた刹那が、後ろに舌を這わし、ぺろぺろと 丁寧に舌を遣っている。 「やめ…っ…!あんんっっ!!」 拒絶を排除するかのようなタイミングで、刹那の舌が中にめり込んできた。 ぴちゃぴちゃ…。 決して女性器ではないそこを潤すように、唾液がたっぷりと塗りこめられていく。 「は…あ…あ…う…ぅ…んん…っ!」 ペニスに与えられる快感とはまた異質の、抗えないほどの甘美な悦楽が体中に広がっていった。 今となっては自分で大きく足を広げ、刹那の舌遣いを一瞬たりとも逃さないかのように、 その快感を思う存分味わう。 (あう…。き…もち…いい…。なんでこんなに…刹那…助けてくれ…) 淫らな喘ぎが、水音に混じって自分の耳にも届く。 耐えられなくなって、ティエリアが自らのペニスに手を伸ばした。 「あ…あぁんっ!」 2,3度擦りあげただけで、達してしまいそうなほど、敏感になってしまっていた。 気付いた刹那が顔を上げて、その手を掴んで動きを止める。 またしても射精をストップさせられ、混乱したティエリアが涙を滲ませた。 「なんで…なんでこんな事…。くぅ…。俺は、もう…。刹那…頼む」 言いながら体の限界で感情が混乱し、涙が溢れ出てしゃくりあげてしまう。 「…俺は一緒にイキたいと言った。先にはイカせない。…我慢しろ」 「うう…」 ティエリアが顔を背けて泣き出すのを、さすがに申し訳なく思い、刹那が挿入体制を取った。 「…。泣くな。ちゃんとしてやるから…。手を離せ」 「う…」 ティエリアが素直に指示に従い、自らのペニスから手を離す。 勃起はいまだ収まらず、相変わらず僅かな刺激で限界を迎える事は明らかな状態だった。 「…よし。いくぞ」 「あうっ!!!」 じっくりほぐした後ろに、刹那が一気に押し入った。 急激に太い肉棒で抉られて、強烈な痛みと違和感がティエリアを襲う。 乾ききらない涙が、今度は痛みで弾け飛んだ。 「少し我慢してくれ…。出来るだけ優しくするから…」 刹那が一応気を使い、根元まで埋め込んだペニスでティエリアの締め付けと熱さを しっかりと味わいながら、静かに抜き挿しはじめる。 ペニスが中を往復する度に、ぐいぐいと締め付ける内壁が強い快感を与えてくれる。 ティエリアの顔は苦痛そのものだったが、それでも刹那はその表情で、欲情を高めていった。 目の前にしっかりと意思表示している、ティエリアの明らかな男の象徴でさえ、 刹那を萎えさせる事なく、むしろ激しい淫欲を呼び起こした。 ゆっくりとしたピストンで、ティエリアの中を探るように数分、突いた。 ティエリアの様子が変わって来た。もはや、涙は流していない。 きつく閉じていた目をそっと開けて、真上で自分を貫く少年の姿を、 焼き付けるように見上げている。 「ティエリア…。まだ痛いか?」 神聖なような、この上なく淫靡なような、両極端を体現するかのような、 たまらなく美しい、ティエリアの体と表情に眩暈がする思いがしたが、 なんとか体に気を配って聞いてやる。 「…痛くない」 ようやく違和感に慣れたティエリアが、素直に状態を告げた。 ティエリアもまた、刹那の存在を一つになったそこを介して、体全体で感じていた。 ほっとした刹那が、動きを速めていく。 ティエリアが突き上げごとに揺さぶられ、髪がさらさらと揺れた。 刹那が角度を僅かに変えた。 「あんっ!」 一瞬だったが、確かに快感が走った。 見逃さない刹那が、その角度のまま突き上げる。 数回の摩擦で、ティエリアが確かに感じ始め、熱い吐息を洩らし始めた。 「ここか?ティエリア…」 中を蹂躙しながら、刹那が問い掛ける。 「あ…んっ、わ…から…ない…」 「わからない?気持ちいいかどうか、聞いている。はっきり言え」 「やああっっっ!!!」 刹那が狙いを定めて大きく突き上げた。 電流のような強烈な快感が、激しい揺さぶりとともにティエリアの体を突き抜ける。 その反応で、確実にその場所を突き止めた刹那が、その場所を抉るように擦りあげる。 ティエリアが再び涙を流し、大きく口を開けて我慢しきれずに喘ぎ始めた。 「ああんっ、ああんっ、だ…め…!せつな…せつなぁぁっ!!」 「はっきり言え。分からないだろう」 「あうう…っ!あんんっ!き…もちいい…!だから…」 刹那がペースを速めて腰を打ちつける。 中がぐいぐいと締め付けを強め、包み込むように刹那を追い立てていく。 「く…っ!だか…ら?」 射精感が強まるのを我慢して、突き上げながら、意地悪く聞いてやる。 目の前で揺れるティエリアのペニスが充血しきり、先端からほとばしるガウバーが 突き上げの度にいやらしくティエリアの腹に飛び散った。 「も…っと、もっと…!刹那…好きだ…好きだ…!」 心で感じる愛情と、肉体に与えられる、快感。 その二つが混ざり合って爆発し、ティエリアが恥も外聞もなく泣きながら 感情を吐露した。 「俺もだ…!ティエリア…!」 刹那が腰をしっかりと掴んで、奥まで深く突き上げた。 「あああんんっ!イク…もう…!や…あぁんんっ…!」 ティエリアのペニスが激しく脈打ち、先端からせき止められた精液が 噴出しそうにぴゅぴゅっとのぞいた。 「まだだ…!もう少し…!」 刹那が突きながら、ティエリアの根元をしっかりと握り、射精を押し留める。 真っ赤になったペニスが限界の上を行く限界に耐えているのが分かる。 ティエリアの腰が、早く出したいとばかりに、上下に大きく跳ね上がった。 「あんんっ!!イカせ…て!刹那…もうだめ…ぁ…ああん!!」 後ろに与えられる強い快感と、前での抑圧で、ティエリアは何も考えられずに 泣き叫んだ。 ただ感じるのは体を貫く、刹那の熱いペニス、そして自らを握り締める刹那の熱い指だった。 「ティエリア!俺も、もうイクから…!!一緒にイクぞ…!!」 刹那がラストスパートに入る。 更に速く抜き差し、大きく突き上げ、自身を追い込んでいった。 ──イク!! 熱い体液が駆け上ってくるのを感じたその瞬間、握り締めていたティエリアのペニスを 解放し、素早く上下に擦りあげた。 「ああああああっっっ!!!」 ティエリアの抑圧され続けた欲望が、一気に弾け飛んだ。 堰を切った精液が、すさまじい勢いで先端から噴出し、高く空中に舞いあがった。 同時に、刹那がティエリアの奥深くに埋め込んだまま、欲を放った。 どくどくと体内に滲出する刹那の体液の感触と、長い我慢の後に訪れた解放による、 激しい快感の両方を、ティエリアは恍惚とした意識で感じ、そのまま失神してしまった。 目が覚めた時、刹那は既にいなかった。 自室のベッドに寝かされていたティエリアは、疲れた体に鞭打って、すぐに刹那を探しに向かった。 「あ〜…。刹那、また勝手な行動を…」 スメラギの言葉を最後まで聞かず、ティエリアもまた素早くヴァーチェに乗り、出撃した。 ─トリニティの存在を消すために。そして、刹那との未来のために。 <終わり>