トリニティ3兄妹との初接触から2週間。 ティエリアは、毎日毎夜、疼く体を抑えるのに必死だった。 思えばトリニティとの交合以来、まるで異次元に飛ばされたかのように、 ティエリアを取り巻く景色はがらっと変わってしまった。 大事な作戦会議の最中でも、頭はまるで違う事を考えてしまう。 スメラギ、クリス、そしてまだ幼いと言っていい、フェルト。 女性陣は、あの快楽を知っているのだろうか…。 ぼんやり眺める彼女達の体は、自分よりも遥かに肉感的で、 比べて「貧相」と称された自分の未発達ぶりが、あまりに情けない。 そして、何と言っても目に入るのは男性陣の体つきだ。 ロックオン、アレルヤ、刹那…。 目を盗んでしげしげと観察すると、マイスターに加え、ブリッジクルー達までもが 意外に逞しい体つきだった事に気付かずにはいられなかった。 2週間前に初めて見た、トリニティ兄弟の裸─ 筋肉に覆われた両腕に、逞しい胸板、きれいに割れた腹筋、そして彼らの中心で 激しい熱を昂ぶらせていた、いきり立つペニス─ 頭の中で、クルーがどんどん裸にされていく。 ふとした瞬間に、クルーに押し倒されて激しく攻められる自分の姿が浮かんで来てしまう。 その度に、じゅくっと漏れ出した愛液が下着に染み入るのが、はっきりと感じられた。 セックスというものを知ったばかりのティエリアの体は、再度の刺激を求めて、夜毎疼くばかりだった。 ─深夜。 ベッドに入ったティエリアは、仰向けに寝そべる、その感覚でトリニティ兄妹との 行為を思い出した。 リンクされ、完全に屈服させられたあの時の記憶は惨めなものに他ならないのに、 体の方は激しく突き上げられた、あの快感を即座に思い出していた。 (考えるな…!忘れろ…!) 自分に言い聞かし、明日の介入行動のプランに思考を持っていこうと努力するが、 合間に浮かぶのは、後ろからミハエルに突かれる自分、そして惨めなほど足を折り曲げられ、ヨハンに突きまくられる自分の姿だった。 忘れたいはずなのに、ふっと気持ちが緩む瞬間、あの時のことを素直に思い出せば、 快感を知ったばかりの股間が疼いてしまう。 ─触りたい─ 思わず手が伸びそうになる。 (ダメだ…!ああいうのは、してはいけない事だ。わかってるはずだ、ティエリア・アーデ…!) 劣情を抑え込むべく、両手を握り締めて唇を噛み、思わずすり合わせてしまう太ももを、 力を入れて固定する。 <人間とやっちゃダメよ?サビちゃうからね…> ネーナの言葉が頭から離れない。 そもそもティエリアが本当は女型にも関わらず、男のふりをしているのには、二つの理由があった。 一つはマイスターとしての責務を果たすため、決して自分に甘えを許さないため。 そして、もう一つは、万が一にも人間の男と恋愛関係に陥った挙句の体液混入という自体を防止するため、それに他ならない。 ティエリアはヴェーダ、そしてガンダムとリンクできるように、人間の相似形でありながらも、 内部は機械的な仕様で作られている。 人間の体液が混入する事によって、内部の精密な電子機器が動作不全に陥る事は、想像に難くない。 当然男型でも、女性との恋愛の危険はあるが、少なくとも性行為に限っては 男主体で進められ、行為そのものを防止する事は、女型のそれより遥かに簡単な事だ。 消去法で決めた性別詐称だったが、この前トリニティに強引にやられてしまった件を 見る限り、正しかったと言わざるを得ない。 …しかし人間とは、してはいけない。 いや、それ以前に戦況が逼迫している現時点で、そのような事を考える事さえ許される事ではない。 ふっと、ネーナにもらった大人のおもちゃが頭の隅に浮かぶのを、必死で追い払う。 いずれにせよ、ティエリアは唇を噛んで、まぐわいたいという、欲望に耐えるしかなかった。 翌日、あれだけ戦術を練って挑んだにも関わらず、介入行動は思うように行かなかった。 敵軍は新たなMSを開発し、擬似太陽炉まで搭載してガンダムを迎撃する。 戦力差が縮んだ上、数で勝る敵軍MSが容赦なく4機のガンダムに襲い掛かった。 「ティエリア!後ろから来るぞ…!回避しろ!!」 ロックオンの声が響き渡り、即刻回避行動にうつったヴァーチェだったが、 機動力に劣るためにあっけなく銃弾をあられのように浴びてしまった。 「GNフィールド…、ぐあっ!」 なんと、敵MSの銃弾がGNフィールドを貫通した。 そのまま、容赦ない砲撃がヴァーチェに降り注ぐ。 「まずい…!」 ティエリアがGNバズーカを強引に発射し、何とか目の前の数機のみを殲滅した。 しかし、周囲にはまだ何機もの敵新型MS群。 その中の一機が、ミサイルランチャーを構える。 「回避…!」 レバーを操作したその瞬間、ランチャーが放たれ、必死の回避行動もむなしく ティエリアは砲弾をモロに浴びてしまった。 「あぁ…ん…っ!」 激しい衝撃で揺れるヴァーチェ。 装甲の一部が吹き飛んだ。最大のピンチ。 ─なのに体に響く衝撃が伝えたものは、何と快感だった。 どんっどんっ!バアンバアンッ! 砲撃の激しい音が鳴り止まず、その度にシートが、欲求不満が募っていた下半身に直接、 激しい振動を伝える。 子宮を揺さぶられるような、激しい振動が全身に快感を運んでいった。 「あ…っ!ん…ッ!くぅ…っ!」 何度も揺さぶられて、思わず淫らな声が漏れてしまう。 「ティエリア!やられたのか!?」 慌てふためくロックオンの声。 「んんっ…!だ…いじょうぶだ…!やん…っ!」 「お、おいティエリ…」 「え…援護…ぁっ…!援護して…んっ!」 「りょ、了解!アレルヤ、援護射撃を頼む!」 「了解!」 コックピットに響く二人の声を聞きながら、まだ反応してしまう体に 心底情けなさが募って涙が滲んできた。 ロックオンとアレルヤが遠方から援護狙撃を開始する。 「ティエリア!何とかそこから退却して。距離を取ってバズーカかキャノンで対抗するんだ! まだこの戦闘を放棄するわけにはいかない!」 「わか…っている!う…」 まさか自分がアレルヤごときに戦術指南を受けるハメになるとは…。 悔しさで胸が張り裂けそうになる。 でも…。 今のこの体の状態では、例えこの事態を回避できたとしても、とても戦闘に集中できるとは思えない。 「く…」もはや選択の余地はなかった。 通信回線を遮断した後、パイスーの前開きジッパーを下ろして、迷いなく右手を股間に差し入れた。 時間がない。焦るティエリアはいきなり下着の中に手を入れて、クリトリスを刺激した。 「あぁ…っ!」 待ち焦がれていた快感で、思わず大きな声をあげてしまう。 2週間前の、初めてのそこへの愛撫を思い出す。 膣口に指を伸ばすと、そこには早くもぬるりとした愛液が溢れ出ている。 (我慢…してたから…だ…。ぼ…僕は悪くない…んっ…!!) 敵の砲弾がヴァーチェを捉え、大きく機体が振動した。 その衝撃で、指が膣内に一瞬めり込んで、たまらずのけぞってしまう。 うっすら目を開けると、敵の砲撃をかわしながら射撃し、縦横無尽に飛行する キュリオスの機影が見えた。 (アレルヤ…。アレルヤ…!) 再び目を瞑って、随分昔、罰則で営倉入りしていた時の、アレルヤの寂しげな様子を思い出す。 あの時、僕がアレルヤを抱き締めたら、どうなっていたんだろう…。 アレルヤは驚くだろう…。 でもその後、無機質な部屋に長時間閉じ込められていた鬱憤が弾けて、 アレルヤは僕を抱き締め返し、床に押し倒す。 カーディガンもズボンも、ボタンごと引きちぎるように剥ぎ取られ、大きく足を開かされる…。 アレルヤが、僕のあそこに顔を埋めて、ぺろぺろと舐めてくれるんだ。 「アレルヤ…舐めて…」 指で膣口をほぐすように触ると、熱い愛液がどんどん漏れ出してくる。 「はぁん…すご…い濡れて…る…」 息が荒くなり、ヘルメットが白く曇っていった。 ぬくもった息が逆反射して自分の顔に降りかかり、ティエリアが僅かに理性を取り戻した。 しかし、一度得た快感を手放す事はどうしても出来ず、指は膣口をじっくりと這いまわる。 「こ…んな所で…こんな事しちゃう…なんて…んんっ…でも、我慢できな…」 ティエリアの妄想が続く。 アレルヤのアレが入ってくる…。 アレルヤが筋肉質な腕で僕の体を抱え上げる。 繋がったまま、僕は壁に押し付けられる。 子供のように、膝を下から抱え上げられて、何度も突き上げられるんだ…。 「んはあ…っ!」 アレルヤに立ったまま犯される自分の痴態を想像しながら、ティエリアは 指を膣に突き入れた。 シートから腰を浮かし、挿入角度を保ち、そのまま上下に抜き差しを繰り返す。 中を往復する指が、鈍い快感を呼び覚ました。 「あぁん、あぁん、んん…!アレルヤ、アレルヤぁ!もっと、もっと突いて…!」 じゅぶじゅぶと愛液が音を立て、後から後から溢れ出してくるのが分かる。 妄想の中のアレルヤの突き上げが一段と激しさを増し、同調するかのように ティエリアの指の動きが速くなっていった。 段々と中の感覚が研ぎ澄まさされていく。 指が、一瞬更に気持ちいい所に当たった。 「んくぅ!あ…んんっ!アレルヤ…、そこ、そこいいよぉ…っ!あんっ!」 があんっ!!激しい衝撃音と、振動。 敵の砲撃が再びヴァーチェに命中したのだ。 挿入したままの指が、角度を変えて更に奥までめり込んだ。 「ああんっ!アレルヤ、深い…っ!きもちい…いっ!」 自慰に夢中のティエリアは、砲撃に全く気付かない。 「ティエリア!!」 「──!!」 男の声が響いて、心音が跳ね上がった。 指を止めて、息を殺して次報を待つ。 急に入ってきた通信は、刹那からのものだった。 「俺もロックオンとフォーメーションを使って援護する。 ヴァーチェの損傷が酷い…。退路を確保したら、すぐに撤退しろ」 それだけを言って、通信が切れた。 目の前でエクシアとデュナメスが、フォーメーションを使って攻撃しているのが確認できた。 乱れ飛ぶビームに、破壊音、そして爆発による閃光─。 戦場真っ只中で、しかもまぎれもなく自分が敵の攻撃の目標に晒されたままなのに、 モニターに映るその光景は映画を見ているような、他人事のような、どこか遠いものでしかなかった。 ティエリアが再び目を閉じ、指の動きを再開する。 妄想の相手がアレルヤから刹那とロックオンに代わった。 ロックオンの、大きそう…。 ロックオンの勃起したペニスをリアルに想像するティエリア。 最近何度も目を盗んでは観察しておいたおかげで、大体の大きさは把握できていた。 僕は先端から滴る先走りを舐めるように、限界まで伸ばした舌を這わせてやる…。 僕の舌が、ロックオンの太いアレを下から上まで舐め上げる。 ロックオンが気持ちよさそうな声を出して、ぼくの髪を掴む。 想像しただけで、ティエリアの膣内がきゅきゅっと蠢いた。 ティエリアが太ももを締めて、自分で指を締め付ける。 「んあ…っ…ん…ん…、ロックオ…ン…、すごい締まって…るよ…! ロックオン、気持ちいい?ちゃんと舐めてあ…げるか…ら…」 ロックオンのアレをしゃぶってたら、後ろから刹那が近づいてくる…。 刹那が僕の腰を掴んで、一気に挿れてくれるんだ。 ティエリアが右手の指を中に入れたまま、左手をクリトリスに伸ばした。 「あふうっ!!」 2箇所の快感で腰が跳ね上がる。 一番気持ちいい所を刺激するように、素早く指を出し入れしながら、 クリトリスを小刻みに擦った。 すぐに体が達しそうになってしまう。 早くイキたいような、まだまだ楽しみ続けたいような、背反した感情がせめぎあう。 刹那たちの援護攻撃のおかげで、敵軍のヴァーチェへの攻撃がやや分散した。 それでもたまにフィールドを貫通してくる砲弾が、ヴァーチェの機体を 不定期に揺さぶり続け、ティエリアを熱くし続ける。 頭の中で、四つん這いの自分がロックオンのペ二スを口に含みながら、 刹那に後ろから激しく突かれている光景が、はっきりと映像化された。 自分より15センチも小さい刹那に、がくがくと揺さぶられる図が、 マゾにも似た劣情を高めていく。 「あぁぁんっ!いいっ!刹那ぁ、突いて…!そこ突いてぇ…! んはっ、はぁんっ、もっと、もっとぉ!!刹那、ロックオン…!ああんっ!!」 腕の動きがますます速くなり、腰がいやらしく蠢く。 限界まで大股を開くと、右手の指はもっと奥まで届き、 左手は剥き出しになったクリトリスを直接責めあげた。 「あぁぁんっっ!あっ、あぁぁんっ!気持ちいい…! 刹那ぁ、ロックオン、もっと、し…てぇ!アレルヤぁ…!!」 一時退場していたアレルヤが、唐突に再登場した。 この前、ミハエルに顔射された時の事が、頭のどこかに残っていたのだろう。 ティエリアの妄想は、どんどん自虐的な色を強めていった。 僕が貫かれる姿を見ながら、アレルヤが脇で自慰をしている。 アレルヤがすごく興奮している…。 「見ないで、見ないでアレルヤ、恥ずかしい…。 ぼくは、こんないやらしい子じゃない…!あん…んっ!」 なのに、それを嘲笑うかのように、刹那とロックオンの突きこみが激しくなる…。 「やだやだっ…!ああんっ!ああんっ!みんなも…うやめてぇ! も、ダメ…!イク…、イッちゃうよぉ!」 アレルヤがペニスを扱くスピードがすごく速くなった。 もうイキそうに痙攣してる…。僕を見ながら…! ティエリアも大きく足を開き、自分で追い詰めた体が限界に近づいていた。 どんどん上半身がのけぞっていく。 「アレ…ルヤっ!見て、僕を見てぇ!!あんっ! も…ダメ…、ほんとにダメ…あっ!来る、来るぅ…! せつ、な…、ロックオン、ア…レルヤぁ!!かけて、みんな、一杯かけてぇぇぇ!!!」 妄想の中の3人が一気に放出した。 ロックオンは口に、刹那は膣内に、そしてアレルヤはしなやかに沿った、自分の背中に。 「あぁぁぁ!!!」 精液まみれになった自分の姿を完璧に映像化して、ティエリアがようやく達した。 まだパイスーの下半身に両腕を突っ込んだまま、ぐったりと脱力してしまう。 「やってしまった…」 満足した体とは裏腹に、心に満ちる罪悪感…。 ぼんやり目を開けて、それでも何とかモニターを確認する。 敵軍が、ばらけている─?今なら、退却できる! 欲求不満を解消したティエリアは、深い集中を取り戻して、即座に退避行動に移った。 長い攻撃に晒されていたせいで、ヴァーチェの機動性は思いのほか悪くなってしまっている。 悔悟の念を払いのけて、ティエリアはマイスター達の指示通り、プトレマイオス目指し 急ぎ進路を取った。 「危なかったな、ティエリア」 戦闘を終え、全機無事着艦を果たした格納庫で、ロックオンが声を掛けてきた。 コックピット内での淫らな行為が頭をよぎり、ティエリアは思わず視線を反らしてしまう。 面倒見の良いロックオンが、勘違いして苦笑した。 「気にするな。今回の戦闘は、明らかにあっちの作戦勝ちだ。 ヴァーチェも再起不能って程じゃないんだし、な?」 遅れてコックピットから降り立った刹那とアレルヤが、話に加わった。 「でも、驚いたね…。敵軍が太陽炉を搭載しているなんて…」 「…。ガンダムは…俺達だけだ…」 「そうなんだけど…。これからは、もっと厳しい戦闘になるだろうね…」 「ああ。今後はもっと、連携を強化しなきゃどうにもならないみたいだな」 マイスターの反省会が続く。 真面目に頷くふりをしながらも、ティエリアの脳は別のことを考えていた。 論議する3人の男に目をやる。 戦闘直後でやや息が上がり、汗ばんだ肌が目に入る。 興奮冷めやらぬ彼らの声音が耳についた。 僕の状態も、3人には同じように映っているんだろう…。 でも、僕がやっていたのは、…戦闘なんかじゃなかった…。 罪悪感にさいなまれながらも、どうしても、彼らの股間に目がいってしまう。 体にフィットする形状のパイスー越しに、その盛り上がりがはっきりと確認できた。 「く…」 また下半身に熱いものが蘇って、ティエリアは慌てて目を反らした。 「…エリア、ティエリア!?」 アレルヤの訝るような問い掛けに、はっと意識を取り戻す。 「お、俺はもう部屋に戻らせてもらう。き、今日の戦闘の詳細はヴェーダで確認する」 「お、おいティエリ…」 ロックオンが心配そうに呼び止めるのを振り切って、急いで自室に戻った。 「…眠れない」 真夜中、深夜勤務の一部を除き、クルー全員が深い眠りに落ちていたが、 ティエリアだけは、昼間の興奮を引きずったまま、眠れないでいた。 それが戦闘の余韻ではなく、慰めてもなお疼き続ける体を持て余しての事だという事は、 明らかだった。 「…どうしよう……」 何度寝返りを打っても、頭を真っ白にしようと努力してみても、下腹部がじゅんじゅんと 火照る感じがおさまらない。 眠れない時間が、思わぬ速さで過ぎていく。 今日、いや、昨日の介入行動が不完全だった以上、今日にもまた出撃命令が出るかもしれない。 睡眠は体調管理の基本的事項だというのに…。 そう言えば、最近ろくに眠れていない。これもみんな、この体がむずむずするせいだ。 「…何を悩んでいるんだ、僕は…」 安静にしなければ眠れない事は分かっているのに、怒りがふつふつと込み上げてくる。 そうだ。悪いのは自分じゃない。 こんな風にしたトリニティ、いやそれ以前にあんな行為に反応してしまう様に設計した、造物主のせいだ…! 子供じみた責任転嫁で、ティエリアの心が軽くなった。 同時に、昼間の自慰で得た満足感を思い出す。 「任務に支障が出る忍耐なんか、必要ない。そういう事…かな、ヴェーダ…」 ─そうだ、あいつらは、こんな事は誰でもやっていると言った。 他のマイスター達だってきっと…。いや、むしろ我慢している時もあるんだろう。 だから、ああいうふざけた行いに至ってしまう…。 刹那のコックピット開放事件、アレルヤの人助け事件を明白に思い出し、妙に納得した。 ─いいさ。それなら、僕も任務のためにやってやる…! 暴走気味の脳が、強引な結論に導いてしまった。 指を下半身に伸ばす。今はさっきと違い、時間はとりあえず、たっぷりある。 十分、楽しんでやる…。 下着の上から、指を性器全体に這わした。 もうクリトリスの位置は、探さなくても一瞬で分かる。 爪を立てて、数回指を往復させた。鋭い快感が走る。 「んん…っ!」 暗い寝室に、衣擦れの音とティエリアの乱れた息遣いだけが響く。 静かにパジャマのボタンを外し、そっと左手を胸に伸ばす。 女性というには余りに申し訳程度の、僅かな膨らみを優しく揉みあげた。 ネーナやスメラギ達の、豊満な乳房が脳裏をよぎる。 もっと、大きくなればいいのに…。 むなしい願いに唇を噛みながら、左右の乳房を交互にじっくりと触った。 指を口に含んで、ねっとりと唾液で湿らせる。 乳首の先端に指を当て、円を描くように刺激すると、あっという間に こりこりと硬くなっていくのが分かった。 ほとんど無意識で、右手を下着の中に入れて、膣口に指を這わした。 「あん…っ」 乳首との同時刺激が思いのほか、快感を呼び覚ましているらしい。 腰を跳ね上げて、大きな声が出てしまった。 (気持ちいい…。なんでこんなにいいんだ…。 この体、だからか?それとも、みんなこうなのか…) 指を動かしながらぼんやりと考え、自分の体で実験をするかのように 快感を高めていく。 溢れ出す愛液に誘われるように、右手の中指をずぶずぶと挿入した。 「は…っ、く…っ」 ゆっくりと馴染ますように、指を抜き差す。 何となく気持ちいいが、まだその上があるような確信に囚われる。 「もう…1本…ん…っ…」 中指に沿わして、膣壁を押し広げながら人差し指も差し入れた。 指を動かすと、さっきよりも確かに大きい快感が走った。 「あぁ…んん!い…い…!も…っと…!」 乳首の左手を、今度はクリトリスに伸ばす。 ネーナにされたように、愛液で湿らせて、そこを擦りあげた。 急激に、激しい快感が満ちた。 「ああんっ!これ、だぁ…っ!んくっ…!やぁんっ!」 よじる体が、ベッドを浮き沈みする。 「もっと、もっと…!あぁんっ、もっと動いて…!」 指の動きが激しくなり、どんどんと脚が開いていくが、 パジャマのズボンが期待とは裏腹に、手の甲を圧迫して邪魔をする。 指をもっと激しく突き入れたいのに、ズボンの股間部分が遮ってしまうのだ。 とりあえず、今のこの場では、欲望に忠実になる事に決めたティエリアは 即座に打開策に移行した。 急いでズボンと下着を脱ぎ捨てる。 冷たい空気が濡れた股間部分に当たった。 ぶるっと身震いして、再びベッドに横たわろうと視線を揺らしたその時、 ふと備え付けの姿鏡が目に入った。 (そう言えば、見た事ない…。どうなっているんだろう… ぼくの、あそこ…。でも…) しばらく逡巡したが、動物的な興味が、理性を覆い尽くした。 ライトだけを持って鏡に近づき、静かに腰を下ろす。 ゆっくりと、ヤンキー座りの要領で、鏡の前で脚を開いていく。 ライトで、そこを照らしてみた。 (げ……) 愕然とした感情で、頭が一瞬真っ白になった。 「なに、これ…」 ─グロい。 それが素直な感想だった。 はじめて見る自分の性器は、溢れる愛液でてらてらと妖しく濡れ輝きながらも、 なんとも言えないグロテスクさを醸し出していた。 (こんなのを見て、あいつらは大喜びしてたのか─?) トリニティ兄弟が、自分の股間を覗きこんでますます勃起を大きくしていた状況を 思い出す。 こんな気持ち悪いものが、男を興奮させる…のか? 僕のだけがこんな形状なのか、それともみんな、こんななのか? もう一度、じっくりと鏡を覗き込み、更によく見えるように股を開いて、 鏡に近づける。 観察するように、しげしげと眺めてみると、今度は確かに、そこから目が離せない。 この不思議な求心力が、男を吸い寄せるのか…。 そう言えば…。 先日地上に全員で降りたった時の事を思い出す。 あの時は夕食で、経済特区・日本で老舗の寿司屋に行ったのだが、 たしかあそこで出されたあわびがコレそっくりだった。 あわびの姿焼きと称して、大将が目の前で網焼きにしてくれた。 加熱されると、真っ黒い貝身がぷっくりと盛り上がり、 やがて真ん中がパックリと割れた。 その瞬間、男どもが意味ありげに視線を交わしてほくそ笑んだのを、 ティエリアは見逃さなかった。 (なるほど、これか。形状といい、パックリ開いた真ん中といい、 確かに、似ている) 今目の前で観察する女性器と、件の記憶が重なって、ティエリアは納得して頷いた。 (しかし、これが、指…とか…もっと大きい…ものを受け入れる…のか…) ごくっと生唾を飲み込む。 その情景を、見てみたい…。 足を開いたまま、そっと中指を突き立てて膣口にあてがった。 (ほんとに、入る…のか…な…) 今までに少なくとも数回、挿入してきた癖に、穴というよりはほとんど線に近い そこが本当にそんな機能を有しているのか、不思議になってしまう。 疑うようにたどたどしい手つきで指を進めると、何の迷いもなく、 そこがずぶずぶ受け入れていった。 「すごい…本当に入っていく…」 指が体内に埋め込まれていく光景は、卑猥以外の何者でもないのに、 一瞬たりとも視線を外す事が出来ない。 「なるほど…。こういうのを魅了、というのか…。 こんなに気持ち悪い部分なのに、どうしても見るものを惹きつけて離さない。 その上…」 冷静に分析しながらも、本能的に指がいやらしく動き始めた。 「んっ…!こんなに、細胞レベルにまで浸…透するかのよう…な 快楽を与えて…くれ…る…。や…ぁっ…!」 目の前で、指が何度も膣内に抜き差しされ、鏡の中のティエリアの顔が快楽に歪んでいく。 空いた手でクリトリスをいじると、数倍の快感でたまらずしりもちをついてしまった。 「ああんっ!」 そのまま足を大きく広げ、腹筋に力を入れて不自然な体勢で、鏡の中の自分の 痴態を覗き込んだ。 「く…っ!すごい…。指が、入るたびに、気持ちい…い…! これ…が、あんっ、人間…か…あぅ…っ」 機械の部品を持ちながらも、限りなく人間の女性に似せて造られた己の体を通じて、 人間への造詣を深くしていくティエリア。 食事も睡眠も、あらゆる精神的・肉体的活動さえも無機質なものでしかなかった過去が、 遠い昔の事のように思えた。 膣内を掻きまわす指をもう1本増やす。 「くはあっ!!」 大きくのけぞって、そのまま後ろに倒れこんでしまった。 指を突っ込んだまま、仰向けで荒い息を吐き、しばし体を休める。 もう一度鏡に向かおうと力を入れたが、長く酷使していた腹筋が、 予想以上に疲れていたらしく、体が重くて仕方ない。 「く…っ!も…っと見たい…のに…!」 これほど真剣に自慰に集中する姿は、傍から見れば滑稽以外の何者でもないだろう。 しかし今のティエリアは、自分の体が一体どのように作られているのか、 そしてどんな風に高まっていくのかを知りたいと、真剣に願っていた。 とりあえず指を抜いて、後ろ手に体を支えて起き上がった。 見回した部屋内、ベッド下に意識がふっと飛んだ。 (仕方ない…。アレ…使うか…) 四つん這いで這って行き、ベッドの下奥深くに手を伸ばす。 隠すように袋に詰められたそれを、静かに取り出した。 ─ネーナからもらった、大人のおもちゃ─ その中から、現時点で最も有用だと思われる一品を選び、鏡の前でスタンバイする。 勃起したペニスを象った、真っ黒なバイブ。 ティエリアのか細い指に余るほどの太さを誇るその中腹には、 クリトリス刺激用の棒状の付属物が付いている。 (こんな大きなの、ちゃんと入るのかな…) 不安になりながら、ヨハンとミハエルの勃起を思い出す。 あれを受け入れられたのだ。問題ない、はず…。 言い聞かせながらも、とても人間のものに合わせて作られたとは思えないような、 重量感溢れるバイブを握り締め、その形状を再び観察する。 2週間前に、冷静になった頭でそれを確認した時は、嫌悪で身震いしたものだった。 それが今では快楽を得たいがために、あんな女からもらったこんな卑猥な物体を 握り締めているとは…。 悔しさで涙が出そうになるが、ティエリアは己の欲望に素直に従った。 鏡の前に座り、再び大きく脚を開いていく。 膣から流れ出た愛液がライトに照らされ、卑猥に光り、ぱっくりと開いた 中のピンクの秘肉が物欲しげにヒクついている。 床についた左腕一本で体重を支えて腰を浮かし、不完全なブリッジのような体勢で、 秘部にバイブをあてがった。 (いよいよ…!) 不安と期待が入り混じった。 ぐぐぐ…。右手で押し込むように、極太バイブを膣内に挿入していく。 (つ…っ…、冷たい…!それに、痛…い…、けど、我慢…出来る…) 指とは比べ物にならない圧迫感。 膣壁が限界まで押し広げられていくのが、はっきりと分かった。 それでも、十分濡れそぼったそこが、ゆっくりとではあったが、 しっかりと奥まで受け入れていった。 鏡の中のティエリアが、顔を引きつらせながらも真っ黒いバイブをずぶずぶと 挿入していく。 (くぅ…っ!太…い…!) やがて、握る部分のみを残して、バイブが全て体内に埋め込まれた。 (入った…) ほっと一息吐いて、鏡を確認してみる。 自分の中心に、卑猥な黒バイブがしっかりと突き刺さっていた。 それだけで、息が乱れそうになってしまう。 右手でしっかりと根元を握り、トリニティの動きを思い出しながら、ゆっくりと 出し入れを開始した。 トリニティ兄弟のペニスに比べれば、機械的に冷たく、硬質なままのそれだったが、 それでもティエリアの体温で、ほっこりと温められ、開ききった膣に馴染んでいった。 「んく…っ、すご…い…。あいつらなん…かより、ず…っと」 膣が卑猥に黒棒を咥え込んでいく様を凝視しながら、人外と言ってもいいかのような 極太バイブを何度も出し入れすると、段々と快楽が強まってくる。 クリトリス刺激用の突起が、適度に秘芽に当たり、うっとりとしてしまう。 バイブの出し入れに連動して、否応なしに細腰がくいくいと卑猥に動いた。 「あ…ん、んあ…っ、はあ…っ、きも…ちいい…!」 じゅぶじゅぶと響く粘音を聴きながら、ティエリアは無我夢中で抜き差しを繰り返した。 左手1本のみにかかる体重で、関節が悲鳴を上げはじめていたが、その苦痛さえも 快楽の一部のように思えて、愚直な動きを続ける。 「あぁんっ、大き…い…!んっ、んっ、あぁんっっ!」 段々と抑えていた声が大きくなり、抜き差す腕の動きがますます速く、大ぶりなものになっていった。 激しく突き込んだ一瞬、指が滑った。 かちっという音と、ブウウンンという機械音が即座に響く。 「ひゃああああっ!!!」 すさまじい快感で、思わず腰が跳ね上がった。 挿入部を意識して凝視していた目はたまらず閉じてしまい、痺れていた左腕が、 がっくりと折れて体が床に着地した。 知らずにバイブのスイッチを起動してしまったのだ。 モーター音が響く。 中をローリングするかのようなバイブの振動に加え、突起が的確にクリトリスを震わした。 「あぁっ、あぁっ、あぁっ、あぁっ!!」 脊髄を震わすような、甲高い喘ぎがほとばしるのをティエリアは抑えられなかった。 女体を研究し尽くして作られたバイブが、機械ゆえの、容赦ない規則的な刺激を与え続ける。 じっくり悦楽を愉しんでいたはずの体が、あっという間に絶頂寸前にまで追い詰められていった。 もう、鏡で研究する余裕など無かった。 だらしなく床に寝転がり、ややもすると膣圧で抜け出しそうになるバイブを、 両手でしっかりと握り締める。 目を閉じたまま、体を貫く激しい快感に集中した。 ぐっと奥まで抉り込ませると、子宮全体を揺さぶるかのような振動が、体にダイレクトに響いてきた。 「あぁんっ!あぁんっ!震えて…るぅ…!あああんんっ!!」 脚を空中に投げ出すように浮かせると、棒状の突起がますますクリトリスにぴったりと くっ付いた。 「あはあっ!も…ダメ、ダメぇ…っ!イク、イクぅっ!!!」 体が僅かに痙攣し、閉じた瞳からは涙が溢れる。 「ああああんんっっ!!!」 大きくのけぞって、ティエリアが達した。 すぐに体の緊張が抜け、脱力してバイブから手を離すと、まだいやらしい 音を響かせながら、すぽんと膣から抜け出てしまった。 ガガガと床を這いまわるバイブの耳障りな音を、余韻の中でしばし聞いたあと、 ティエリアが重い体を起こした。 バイブが自身の振動で、床を円を描くように回っている。 まるでブリキのおもちゃのようだ。 ふと顔を上げると、パジャマの前を開け、下半身のみ裸で、 だらしなく床に座り込んでいる自分の姿が、鏡に認められた。 その顔ははっきりと紅潮し、目には涙さえ浮かんでいる。 はあはあと息を吐きながら鏡をぼんやり見つめていると、 何故かおかしさが募って、ぷっと吹きだしてしまった。 体はすっかり満足しきったようで、昼間のような、自慰の後の罪悪感はまるで感じない。 ひとしきり一人で笑った後、ようやくティエリアはバイブのスイッチを切って、 その後始末にかかった。 自分の出した愛液が早くも乾きあがり、白い跡を残している。 洗面所で丁寧に洗い流しながら、さすがにむなしさが募った。 <それ使って、ちゃ〜んと開発しといてね?> ネーナの声がどこからともなく聞えてきた。 このバイブ…、どう見ても男のアレそのものだ。 はっきり言って、今回のこれの方が、あいつらのあれよりも遥かに気持ち良かった。 これは生身の男の代用品でしかないだろうに、あれほどの感度を得るのは 問題なんじゃないか…? 開発…。普通は何度も同じ行為を重ねて、実用化に至らす言葉だろうに、 こんな短期間で、あんな状態、ありえない…。 生身の男よりも、機械に感じてしまうとは…。 いや、むしろ同じ機械だからこそ、か…? そういう意味では初めてにも関わらず、トリニティ兄弟のあれが良かったのも納得は出来る…。 でも、僕は…。やっぱり僕は、そんないやらしい人間じゃない…! 認められないそんな事は。 ひょっとして僕は…、壊れ…てしまったんじゃないだろうか…。 人間の男…ならどうだろう…。 人間とすれば錆びてしまうけど、それでも、試してみたい。 人間とさえも、ああいう風になってしまうなら、僕は…。 自分の体の変化に付いていけず、考え込みながら寂寞感さえ覚えてしまうティエリア。 「あ」 洗面台の鏡で、寂しげな自分の顔を覗き込んだ時、不意に一人の男の姿が浮かんだ。 ─リヒテンダール・ツエーリ。 彼は過去に激しい損傷を受けて、確か体の半分近くが人工臓器だったはずだ。 もしかすると、彼なら僕に合うかもしれない。 急いでズボンを履いて、データルームに向かい、早速照合した。 <リヒテンダール・ツエーリ、ティエリア・アーデとの適応率、87パーセント> 他のクルーの中で一番高いアレルヤでさえ、37%なのを考慮すると、 これはもう、ほとんど深刻な拒否反応もなしの適応率と言ってもいい数字だ。 狙い通りの結果に、ティエリアが奮い立った。 (これで、最後だ。どうせ今日はこの体をとことん試すつもりでいたのだから─!) 悲壮な決意を胸に、リヒテンの寝室に足早に向かう。 時刻は深夜3時。 息を殺して、リヒテンの寝室のドアを開け、枕もとに忍び寄る。 思った通り、リヒテンは熟睡中だった。 ティエリアの登場で、寝室の空気が変わった事にさえ気付かず、高いびきの真っ最中だ。 出来るだけ音を立てないように、そっとリヒテンのベッドに上った。 体重がかかった拍子に、ぎしっと鈍い音を出してベッドが軋み、 はっと体を硬くしたが、リヒテンは一向に目覚める気配さえない。 いい夢でも見ているのだろうか、よだれを垂らしそうにぽかんと口を開けて、 間抜けな微笑まで浮かべている。 (すまないな…、リヒテンダール・ツエーリ…) 穏やかな寝顔に一瞬罪悪感がよぎったが、ティエリアはそろそろと彼のズボンを下ろしていった。 細心の注意を払って、下着を剥ぎ取る。 油断しきって興奮の兆候など皆無の、リヒテンのペニスをしばし観察した後、 意を決して顔を近づけていった。 「ん…」 ティエリアの熱い息が至近距離でペニスに当たって、リヒテンが寝苦しそうに 体を僅かに動かした。 (まずい…) ここで目覚められては、元も子もない。 ティエリアはすかさず荒業に出た。 昼間のロックオンへの想像通り、リヒテンの萎えたままのペニスを下から上まで一気に舐め上げる。 「んっ!」 リヒテンの腰がぴくぴく動き、あっという間にペニスが形を変えていった。 どんどん大きく、硬くなっていく肉棒を、丁寧に舐め上る事、数分。 ペニスがようやくバイブと相似形状にまで勃起しつくしたが、まだリヒテンは目覚めようとしない。 (起きるな…) 心の中で祈りながら、ティエリアが静かに下半身を露わにした。 そっと自分の中心に指を持っていってみると、受け入れ態勢万全でしっかりと濡れている。 わずかな興奮と緊張が入り混じり、冷や汗が出る様な心持ちで、ティエリアはリヒテンの 体を跨ぎ、ペニスを股間に押し当てた。 膣口にあてがった瞬間、熱い先端がぴくんと動き、声が出そうになるのを必死で我慢する。 (行くぞ…) ティエリアが、一気に腰を落とした。 「くうう…!」 熱いペニスが膣内に埋め込まれていくごとに、敏感になったままの内部に快感が走る。 バイブとは全く違う熱と、微妙に蠢く生身の男のペニスが、埋め込んだだけで また違った満足感を与えてくれる。 全棒埋め込んで、リヒテンに体重を預け一息入れたが、期待感で膣壁がきゅきゅっと ペニスを締め上げた。 「…あっ!」 リヒテンが違和感に気付き、ついに寝ぼけまなこで目を擦った。 (しまった!) 焦ったが、この場での言い訳など、もはや出来るはずもない。 仕方なく、せめて早く終わらせようと、ティエリアは強引に腰を動かした。 リヒテンの胸に手を付いて、大きく腰を上下に振り下ろす。 自重でペニスが奥深くまで食い込む。 無意識に自分の好きなスピードに、腰遣いが調整されていった。 「はぁっ、んっ、んっ、あんっ!」 徐々に快感が高まり、抑えきれない喘ぎが飛び出す。 自分の上で跳ね馬のように腰を振るティエリアを、呆然とした様子で リヒテンが見上げた。 「み、見るな…!あん…っ!あん…っ!」 表情を悦楽に歪めながらも、脅迫じみた視線でリヒテンを睨みつけて威嚇する。 「え…?ティ、ティエリ…ア?ど、どういう事?ううっ!」 リヒテンは理解不能でおろおろするばかりだ。 それでも、ペニスには結合の快感が押し寄せてきて、堪らずリヒテンがティエリアの 腰を掴んだ。 「邪魔する…な!あんっっ!」 リヒテンが、立ち上がろうと、腰に力を入れたらしい。 ペニスが僅かに角度を変えて中を抉り、新たな刺激でティエリアが高く喘いだ。 気を抜くと、本能に従って自分から腰を振り立てたくなってしまうのを必死で我慢して、 リヒテンがティエリアに尋ねた。 「はあっ、はあっ、ティ、ティエリア…?まさか、女の子…? どう…いう事?くうっ!ゆ、夢…なの…?」 まだ夢うつつで混乱極まるリヒテンの言葉に、ティエリアは乗っかる事にした。 「そ…うだ…!これは夢…だ。だから、んっ…、黙って…いろ…!」 激しく腰を打ちつけながら、抑えこむようにリヒテンの胸に置いた両腕に力を込めた。 「は…ぁっ!そ、そうだ…よね…。こんな事、あるわけない…。 うん、夢…、夢…だ。」 リヒテンが、力を抜いてティエリアにされるがままになった。 再びペニスが角度を変えて、膣内を責め上げる。 「ああうっ!!」 それが契機になって、ティエリアの体が反応し始めた。 一番いい所に当たる様に角度を調整し、好きなペースで腰を振るティエリア。 「あんっ!あんっ!あんっ!」 ピストンに合わせて、我慢できずに歓喜の声を上げる。 「…んっ、んっ、ティエリア…、夢…でも、すごく気持ちいい…よ! クリスさんには悪いけど、君って…最高だ…!」 リヒテンが完全に勘違いして、うっとりとティエリアを見上げた。 「でもさすがに、夢…だなぁ。女の子のティエリアとできるなんて…。 僕、うれしいよ」 リヒテンが、ティエリアの腰を掴む腕に力を込めた。 「こういうの、僕初めてだけど、夢でもやっぱり気持ちいい…。 すごく熱いよ、ティエリア…。」 「ひゃあんんっ!!!」 リヒテンがいきなり、腰をぐんっと跳ね上げてティエリアを大きく 上方に揺さぶった。 「すごい、気持ちいい…よ、ティエリア…! 僕も、動くから…、ティエリアも動い…て!」 リヒテンが下から規則正しいピストンを始める。 「あぁんっ、あぁんっ、やめ…てぇ…!あぁんっ!!」 自らの意思とは無関係に突き上げられ、想定外の快感で、思わず体を強張らせて ペニスを受け入れるままになってしまった。 「なんで?したかったのはティエリアでしょ? わざわざ女の子に化けて夢に出てきてくれたんだ…。 一緒に気持ちよくなろうよ。ほら、動いて…!」 リヒテンが自分の突き上げに合わせて、ティエリアの腰を強引に上下に揺り動かした。 「やぁんっ!だめぇっ!!深い…っ!!自分…で動く…からっ、リヒテンダ…ひゃううっ!」 体の自由を奪われてもなお、悦楽は激しくなっていくばかりだった。 (やっぱり、僕は…誰としても、こんな風になる…のか…?僕は、うう…) ティエリアは激しい突き上げに晒されながらも、頭の片隅でぼんやりと自分のいやらしさを自覚した。 「自分で動く?そんながくがくになってるのに?無理でしょ、ティエリア」 日頃の鬱憤を晴らすかのように、リヒテンが意地悪い笑みを浮かべて乱暴な突き上げに移行した。 時折思い出したように、腰が浮き上がるほど激しくティエリアを突き上げる。 「やああっ!!!」 その度に、体を跳ね上げてティエリアが大きな悦楽の声を上げた。 「ふふっ。いつもの君からは想像も出来ないね。こういうの、本当は好きだったんだね? 知らなかったなあ…。」 不意に、リヒテンが動きを止めて静止した。 荒い呼吸で息を整えるティエリアに、僅かの休憩も与えないかの如く、 一気に体を起こして座位の体位を取る。 「うん。この方がやっぱり動きやすいみたいだ。行くよ?ティエリア」 リヒテンがティエリアをぎゅっと抱き締め、その体を支えにするようにして、 腰を打ちつけた。 「あああっ!!」 リヒテンの首に手を回して、ティエリアが激しい突き上げに耐える。 騎乗位の時よりも体重が各部に分散して、リヒテンのペニスが更に速く、 ティエリアに食い込んだ。 ぴったりくっ付いたパジャマ越しに、リヒテンの体温と脈拍がはっきりと伝わってくる。 「ああっ!んはあっ!ああっ!」 リヒテンの肩に頭を預けて、何度も揺さぶられ続けた。 大きく開いてリヒテンの腰に回した脚が、ピストンに比例してひょこひょこと動く。 体をしっかりと抱き締められているせいで密着度が強まり、逃げ場さえ用意されてはいなかった。 「あぁんっ、あぁんっ、リヒテ…ンっ、んんっ!!」 ティエリアの喘ぎを耳元に受けながら、リヒテンはトップスピードで腰を振り続けた。 長年女性に恵まれなかった境遇が、一気にほとばしったかのように、 ティエリアの中を思う存分むさぼる。 「ティエリア…!!いいよっ!すごく…!僕もう、イキそうだ…!! 満足してる…!?ティエリア…!?」 相手を破壊するかのようなピストンとは裏腹に、普段穏やかなリヒテンらしい、細やかな気遣い。 しかしそれに応える余裕は、既にティエリアにもなかった。 「んああっ!!何…でもいいから…っ!早く、終わ…れ…!!」 「良くない…の?ティエリア…!?なら、もっと突いてあげる…!」 リヒテンがティエリアを押し倒し、床に両手を付いて激しく突き上げる。 体がせりあがるかのような、激しい突き上げに加え、ペニスがこれ以上ない位の速さで膣壁を擦り上げた。 「気持ちよくないの…!?ティエリア…!僕、こんなに頑張ってるの…に…!」 「あああっ!!ちが…う!!ああんっ!いい…、いい…から…っ!」 「なに…!?はっきり言ってよ…!」 「もう、イキそ…!ああっ、ああんっ!」 リヒテンの動きに、更に力が込められた。 「いい…よ?イって、いい…!ティ…エリア…!僕、も…もう、イク…!」 「中、中はだめ…っ!!外に出し…て!あぁぁんんっっ!!!」 強くリヒテンに抱きついて、ティエリアが達した。 初めて女体の絶頂をペニスに感じて、同時にリヒテンが歓喜の瞬間を迎えた。 「くううっ!!すご…ティエ…!ああっ!!」 ティエリアの頼みに応じて、何とかペニスを引き抜いた瞬間、制止の余裕もなく 一気に出し切った。 勢いよく飛び出した精液が、ティエリアの上半身を飛び越えて、その整った顔にまで 飛び散った。 リヒテンがティエリアの上から去り、ベッドに大の字になった。 「ふふ…。幸せだなあ、僕は…。夢でもこんな気持ちいいなんて…。 ありがとう、ティエリア…。でも、今度はクリスさんとしたいなあ…」 リヒテンの乱れた呼吸が寝息に変わるまで、時間はそれほどかからなかった。 「……」 リヒテンの寝顔をしばし見つめた後、ティエリアは一人、自室に戻った。 顔にこびり付いた精液を、丁寧に洗い流す。 火照ったままの顔を鏡に映して、溜息を吐いた。 「…。やっぱり、僕は…。ああいう事が大好きな体みたいだ。 リヒテンダール・ツエーリとでさえ、あんなに感じてしまった…。 情けない…。でも…」 一晩かけてじっくり快感を得、欲を発散した体が、今度は眠気をもたらしてきた。 ベッドに入り、布団に包まって瞳を閉じる。 (やっぱり、僕は悪くない。こんな体に造ったのは僕じゃない。 それに、トリニティも、リヒテンダールもみんな、僕で十分楽しんでいた…。 きっと誰だってこうなんだ。もう、無理な禁欲はやめ…よう…) おぼろげに考えながら、ティエリアはようやく訪れた、深い眠りに落ちて行った。                              <終わり>