地上でのミッションを無事終えて、ティエリアはトレミーへの帰投ルートに入った。 眼下に青々と輝く海原を見下ろしながら、セラヴィーを駆り、急ぎ飛び去っていく。 ふと洋上にぽつんと浮かぶ小島を視界に捕らえた瞬間、ティエリアを刺すような頭痛が襲った。 「く…っ」 島に近づくごとに不快感が強まる。 頭の中を小虫が隅々まで這い回り、細胞の一つ一つを掻き回すような感触。 メット越しに頭を抑えながらも、その一方で、誰かが脳内に直接語りかけているような、 呼ばれているような感じも強い。 何者かが頭痛の不快感に紛れ、強烈にティエリアを誘わんとしていた。 間違いなく、誰かが自分を呼んでいる。あの小島へ降りて来いと。 そう本能的に確信したティエリアは、誘われるまま、 半ば放心状態で島の木立へとセラヴィーを降下させていった。 頭痛でフラつく体で懸命にバランスを取りながら地面に降り立ったティエリアの目の前に、 おあつらえ向きのボロ小屋が現れた。 風雨に晒され、完全に朽ちて、少しの衝撃で今にも崩れ落ちそうな木造の小屋だ。 そのドアが、早く中に入って来いとばかりに僅かに開いている。 隙間から覗く室内の暗い影が、何故だか無性にティエリアを惹きつけた。 脳がずきずきと痛むが、それ以上の逆らいがたい好奇心が満ちてくる。 ――誰かが、自分をあの中で待っているのだ。 ごくりと生唾を飲み込み、他に選択の余地などないかのような焦燥感に囚われながら、 ティエリアはよろよろと足を進めた。 ギシリ――。 湿った戸を引くと、想像以上に不穏げに扉が軋んで、胸騒ぎが急に強まる。 それでも、歩を止める気には到底なれない。 マイスターの直感がこれ以上深入りするなと確かに警告しているにも関わらず、 もっと深い本質的な何かがティエリアを奥へ奥へと引き寄せていた。 踏みしめる度に、腐りふやけた床がギシギシと軋む。 部屋は薄暗く、外の明るさに慣れた目ではろくに視認も出来ない。 目を細めるようにしてようやく部屋の中央にたどり着いた時、 部屋の隅から誰かがゆらりと一歩、歩み出た。 「だ、誰だ…!」 ティエリアが声を張って威嚇した瞬間、かび臭い部屋にくすくすと不快な笑い声が響く。 「久しぶりだね、ティエリア」 どこかで聞いた声。 ふと思考を巡らした次の瞬間には、ティエリアは声の主の正体に思い当たっていた。 忘れる事は決して出来ない、峻烈な記憶が脳裏を駆け巡る。 「リ、リジェネ・レジェッタ…!!?」 強まる頭痛を堪えながら、銃を取ろうと慌てて腰に手を伸ばす。 しかしその瞬間を狙いすましたかのように、暗闇の中でリジェネの瞳が金色に輝いた。 まばゆいばかりに輝きを増す黄金色の瞳を確認した途端に、 ティエリアの頭痛が耐え切れないほどに強烈になった。 「ぐ、ぐあああ…っ!」 頭の中を縦横無尽に電流のような鋭いものが駆け巡って暴れ回る。 堪らず体が屑折れる。割れそうに痛む頭を両手で庇うように抑えながら、 ティエリアはすえた臭いのきつい床へと突っ伏した。 湿った床に積もった埃が、糸の様に固まって頬から唇へとべっとりと付着する。 気持ち悪い。 だが、立ち上がろうにも四肢を強靭な男たちにでも固定されたかのように、満足に体が動かない。 湿っぽい臭いと埃から何とか逃れようと、顔だけを横に向けたティエリアの視界に、 リジェネのヒラヒラしたズボンの裾が飛び込んできた。 悔しさに唇を噛みしめながら視線だけを上に動かしてリジェネの顔を睨みつけると、 にやりと優越感に浸りきった嫌味な笑いが返って来る。 「ど、どうい…うつもり…だ…っ」 情けない事に、声まで掠れる。 急激に不安が募り、ティエリアの鼓動は早鐘を打った。 リジェネが何も答えず、満足げにふっと笑ってティエリアから視線を反らす。 その目がもう一方の部屋の隅へと注がれた瞬間、新たな人物の落ち着いた声が柔らかく響いた。 「随分怯えていますね、ティエリア」 薄紫の髪が暗い部屋でやけに目立つ。 しかしそれ以上に、リジェネと同じように煌々と輝く金色の瞳が印象的だった。 部屋の隅からゆっくりとティエリアに歩み寄るその人の顔にも、やはりティエリアは見覚えがあった。 「リ、リヴァイヴ・リバイバル……」 悔しさを噛み殺して、記憶に残るその名前を口にすると、リヴァイヴは嬉しそうにくすりと笑った。 「おや。覚えていてくれたんですか。アニューの件で、一度会っただけだと言うのに。さすがですね」 慇懃無礼なほどのリヴァイヴの口調で、ティエリアに後悔と自責の念がにわかに強まった。 リジェネとリヴァイヴ、イノベイター二人の思惑通りに呼び寄せられ、 呆れるほどあっけなく罠に嵌まってしまったのだ。 自分の浅はかさへの怒りに身を震わせながら床に付いた拳を握り締め、 ティエリアは血が滲むほどに唇を噛み締めた。 リジェネとリヴァイヴが視線を交わして示し合わせながら、ティエリアのすぐ傍へと立つ。 二人はそのまま座り込むと、ティエリアの怒りと屈辱に震える青白い顔を 至近距離でまじまじと覗き込んだ。 息がかかる距離にいながら、ティエリアは彼らに報復する事が出来そうにもなかった。 二人分の脳量子波で完全に脳の神経回路を抑え込まれ、身動き一つ出来ないのだ。 そんなティエリアを、興味深々と言った感じで4つの瞳が ギラギラと妖しく輝きながらぶしつけに見つめてくる。 頭の中身まで解体されるかのようなそのおぞましい目付きで、ティエリアはふと、 例のパーティーで初めて会ったイノベイター達の創造主、リボンズ・アルマークの事を思い出した。 「ぼ、ぼくを…どうする…つもりだ…。まさか、あの男…の下に連れ…て行くつもり…じゃ」 「フッ。まさか」 考えうる可能性の一つを口にしたが、 リジェネとリヴァイヴは眉目秀麗な顔を意地悪く歪めて一笑に付した。 「僕たちはただ、不完全なイノベイターの身体というものを観察しに来ただけですよ」 リヴァイヴが体を一歩分動かしてティエリアに更に近づくと、ぎしりと床が湿った音を立てる。 「それともまさか、素直にリボンズの下に戻るというのですか?」 ぐっとティエリアの顎を掴み、強引に顔を上げさせながら、 リヴァイヴがティエリアの耳元に囁くように語りかけた。 中性的な美貌が急に残酷な色を増したように見えて、ティエリアの背中に思わず悪寒が走る。 「そ、そんなわけがあるか…っ!」 ぶんぶんと顔を振り指を振り払おうとするが、 リヴァイヴは見た目の優美さとは裏腹の強い力でティエリアの抵抗を振りほどいた。 その脇でリジェネがくすっと噴き出し、ちゃちゃを入れるように言葉を挟む。 「随分綺麗な言い訳を用意するんだね、リヴァイヴ。 僕達に犯されたティエリアが、それでもまだ人間に入れ込むのか知りたい。 そういう事だろ?そんなにアニューを取り込まれたのが悔しかったとはね」 そんな事を思う事自体が愚かな事なのにと言わんばかりの、 見下すような響きがリジェネの言葉には混じっていた。 聞き咎め、リヴァイヴがきっとリジェネを睨み付ける。おおっと、とリジェネが肩を竦めた。 「仕方ないじゃないか。同類なんだから、それ位分かってしまうよ。 そんな事より、あまり長居をしているとリボンズに叱られてしまうよ?」 「む……」 リジェネの余裕ぶった態度にどこか釈然としないものを感じつつも、本題を思い出し、 リヴァイヴはひとまず気を取り直してティエリアへと向き直った。 この作戦に、リボンズが正式な許可を出したわけではない。 片割れのアニューを失ったリヴァイヴの苛立ちを汲み取り、リボンズは数時間の遠足を許しただけなのだ。 しかし、リボンズがあえてリジェネを同行させたのは、 ティエリアを呼び寄せやすくする為なのは間違いない。 「そうですね……」 独り言のように呟きながらリボンズの偉大さを再認識し、リヴァイヴは落ち着きを取り戻した。 まずは仕事始めだと言わんばかりに、ティエリアの紫のメットを脱がす。 ティエリアの濃紫の髪がさらさらと肩に落ちる光景に目を細め、 リヴァイヴは背中のプロテクターの継ぎ目へと指を掛けた。 「よ、よせっ…!何をする…っ!」 丁寧にプロテクターを外していくと、 ティエリアが動かない頭をそれでも懸命に左右に振って必死の抵抗を見せて来る。 「別に大した事はしませんよ。銃殺する気ならとっくにしている。そう思いませんか?」 完全に優位に立った快感を全身で感じながら、 リヴァイヴはほくそ笑んでプロテクターを剥ぎ取り、ゆっくりと床に置いた。 ごとりという重い音がティエリアの耳にも届く。 「う…、うう……」 急激に強まってくる屈辱感に苛まれながら、ティエリアが悔しさを込めて唸った。 心なしかその背中が震えている。 快く眺めながら、リヴァイヴは躊躇いもなくパイスーの背中のジッパーへと指を掛けた。 息を潜めてジッパーをゆっくり下ろしていくと、ジーッという音までもが蠱惑的に聞こえる。 リヴァイヴの優越感は最高調に達しようとしていた。 同時にその身には、冷えた炎のような嗜虐欲がぞくぞくと湧き上がってくる。 リヴァイヴは、開いたパイスーの背中から覗く汗ばんだアンダーシャツを食い入るように見つめた。 隣で手持ち無沙汰に座り込み、ティエリアと自分とを交互に見やる リジェネのどこか冷めた視線が余計に興奮を煽る。 「ふふっ。悪くありませんね」 リヴァイヴは興奮の滾るままに勢いよく手袋を外し、 埃で汚れるのも気にせずに床へとそれを放り投げた。 そして露わになった生の指で完全にティエリアのジッパーを尻まで下ろし切り、ぐいと背中を割り開く。 剥き出しになった黒いアンダーシャツの背中に手を這わせ、 背骨のラインに沿わしてゆっくりと上下に撫でさすると、 ティエリアはあからさまに反応してびくびくと背筋を震わした。 「ん…、んぁぁっっ!や、いやだ…っ!!」 必死に声を絞り出しながら、ティエリアが頭を嫌々と左右に振って拒絶した。 その度に黒紫の美しい髪が揺れ、毛先がさらさらと床に落ちては汚らしい埃を巻き取っていく。 「随分じっとりと湿っていますね、ティエリア…?冷や汗ですか? しかし、その割には体が燃える様に熱い……」 言葉通りに湿ったシャツと、その奥に潜む肌の熱さを掌にはっきりと感じながら、 リヴァイヴはティエリアの背中に馬乗りになるように跨った。 ずしりと体重がかかり、ティエリアが苦悶する。 苦しげにうめくその背中に上半身を屈め、リヴァイヴは耳元へと低く囁きかけた。 「では、こういうのはどうですか…?君たち「人間」が常日頃夢中になっている行為ですよ」 人間、という単語を嫌がらせのように殊更に強調して、 リヴァイヴはアンダーシャツを肩甲骨まで巻上げていく。 ティエリアの素肌が白日の下に晒された。 露わになったその肌はイノベイターらしく白く艶やかだったが、滲み出る冷や汗は隠しようもない。 ティエリアは怯えているのだ。 そう思うと、リヴァイヴの興奮は際限がないかのように昂ぶっていく。 優越種を自負するイノベイターには相応しくないほどに瞳をギラつかせながら、 リヴァイヴはゆっくりと手の平を素肌に這わした。 じっとりと湿った肌を、ピアノの鍵盤でもたたくかのように指先で不規則なリズムを取りながら撫であげると、 ティエリアは呼応するようにぴくぴくと柔肌を痙攣させ、逃げるように背筋を仰け反らす。 「そんなに感じるのですか?さすがに人間は違いますね」 リヴァイヴはあえて感心したように大仰にティエリアを褒めた。 しかし、侮蔑と嫌味の響きを到底隠し切れるものでもない。 「あぅ…っ、…るさ…い…っ、うく…っ」 ティエリアが顔を真っ赤にして小刻みに唇を震わしながら、掠れる声で抵抗の言葉を吐いた。 背中に馬乗りになったリヴァイヴにも、その扇情的な表情が正確に予測できる。 ふふふと低く笑いながら、ティエリアの最も反応するポイントを探り、くすぐるように刺激し続けた。 一方、ティエリアのすぐ脇に座っているリジェネには、彼女の屈辱に歪む表情は丸見えだった。 だが、同型が貶められる光景を目の当たりにしても、リジェネの心が乱れる様子は全くない。 むしろティエリアの痴態を愉しむようにふふんと鼻で笑い、 泣き出しそうに紅潮して歪むその表情をしげしげと覗き込む。 「ほら、リジェネが見ていますよ?興奮するでしょう?」 にやりと唇の端を釣り上げて、リヴァイヴが床とティエリアの体の隙間に指を捻じ込む。 乳首を探り当てた途端に、いきなり尖りを摘んでくりくりと捏ね回してやった。 「ぁ…、ぁうっ…!」 快感と痛みの混ざった電流のような鋭いものが乳首に走って、ティエリアの体がびくっと波打つ。 続いてリヴァイヴの指がしゅっしゅっと先端を弾くように摩擦すると、 明らかにそこには初めての快感が湧き起こる。 ティエリアの息遣いがにわかに乱れ始めた。 「はう…っ、んう…っ!や、やめ…っ」 「さすがに女の乳首は違いますね」 捏ねる度に指を押し返さんばかりにコリコリと硬くなっていく、あまりに卑猥な感触。 中性の身体に造られ、性欲などないはずのリヴァイヴでさえ夢中にならずにいられない。 性への本質的な嫌悪や侮蔑を、加虐心が覆い隠す。 リヴァイヴの欲望を敏感に嗅ぎ取ったリジェネが、背中を押すように横から口を出した。 「好きにすればいいじゃないか。君だって少しは興味あるんだろう?女の体というものにさ。 だって、一歩間違えば君がアニューの体を与えられていたのかもしれないんだからね。 ほら、もっと弄ってあげなよ」 リヴァイヴが何か応える前に、リジェネはティエリアの両肩を掴んでぐっと体を持ち上げ、 四つん這いの姿勢を取らせた。 そのままパイスーの上半身を腰まで脱がすと、 首までたくし上げた黒いアンダーシャツの裾から陶器のような小振りの乳房が現れる。 その先端で揺れる乳首が、苺のように赤く色付いて尖っているのがなんとも悩ましい。 背中から降りたリヴァイヴが、今度はティエリアの横に移動して屹立を凝視した。 「んうっ、み、見るな…っ」 ティエリアの屈辱に歪む表情と淫らな乳首を交互に見やりながら、 リヴァイヴはもう一度、剥き出しになった乳房へと手を伸ばした。 下から持ち上げるように胸全体を包み込むと、重力に従い、 柔らかい乳房が手の平にずしりとした重みを与えてのしかかってくる。 どう見ても普通の女性の平均より小さい胸だが、その弾力性と温もりを伴った柔らかさは、 リヴァイヴの秘めた欲望に火を点けるには十分だった。 「そうですね……」 もう迷いはない。 リヴァイヴは欲望の赴くままに、ティエリアの乳房をゆっくりと揉みしだいでいった。 手の中で揉むほどに形を変え、その柔らかさと対照的にツンと尖った乳首の硬さが淫猥で仕方ない。 「や…っ、ん、やめ…ろ…っ」 「お断りしますよ。こんなに乳首を勃たせているくせに、何を言っているんですか?」 性欲とは無縁のイノベの体と脳みそのはずなのに、リヴァイヴの呼吸もいつしか乱れはじめていた。 自然乱暴になっていく手の動きを何とか優しいものに縛りつけ、 リヴァイヴは完全に満足するまで、ティエリアの胸と乳首を弄び続けた。 いつの間にか、リジェネが後ろに回り、ティエリアからパイスーを完全に脱がせきっていた。 四つん這いで突き出された、形のいい尻の形状を確かめるように、 リジェネが下着の上から双丘を撫でさする。 「は…、んっ…!!」 瞬間的にティエリアが高い声を上げて、びくびくと体をよじった。 満足に動かない体でも、刺激にはどうしても反射してしまうものらしい。 二人のイノベイターが嬉しそうにくすくすと嘲笑う。 それが余計に惨めさを煽り立て、ティエリアは四つん這いの屈辱的な格好のまま、 頭を垂れて血が滲むほどに唇を噛み締めた。 「さて……」 リジェネが気分転換を図るように呟き、ティエリアの下着に指を掛ける。 脱がされる……! 「や、やだ…っ、やめろ…っ、触るな…っ」 本能的に危機感と恥辱が募り、ティエリアは精一杯に体を震わせて抵抗した。 しかしティエリアがどれだけ力を振り絞っても、やはり体は四つん這いのままで硬直したままで、 抵抗としてはほとんど何の意味もなさないのだった。 「ん?嫌なのかい?そうか。だったら…」 リジェネがフンと笑い、下着を脱がそうとしていた指を止めた。 ティエリアが安心したのも束の間、次の瞬間にはその指が下着を中央に寄せ、 ぐいっと強引に上部へと引き上げる。 布地の全てが1本の細い紐のようになって双丘の谷間に集り、白い尻肉が惜しげもなく晒された。 「ほら、どうだい?」 「あ、あぁっ…!!」 リジェネが掴んだ布をぐりぐりと揺らしながら絞り上げ、ティエリアの股間に食い込ませる。 クリトリス、膣、アナル。 ティエリアの敏感な部分が、布によって乱暴に擦り上げられた。 が、痛みが走ったのは最初の一瞬だけだった。 密着した下着の柔らかい布生地が絶妙に蠢き、どんどんとそこ一帯をほぐしていく。 「ん、んんっ…!」 ティエリアは、必死に漏れそうになる快感の声を飲み込んだ。 その横から、乳首に飽きたリヴァイヴの手が尻へと伸びる。 双丘のカーブを数回撫で上げて、玉のような艶やかなティエリアの肌を堪能する。 肌の感触を手の平で味わっていると、もっと残酷な興味が湧き起こってくる。 ぺろりと舌で唇を潤し、リヴァイヴはティエリアの剥き出しの双丘を 味見でもするかのようにゆっくりと舐め上げた。汗の塩みがなくなると、ほのかに甘い香りが漂った。 「ひゃうぅぅっ…!!」 粘着質な舌が緊張で固まった神経を思いのほか過敏に刺激して、堪らずティエリアが声をあげ体を震わせる。 全身に確かに悪寒が走るのに、それは勝手に秘所に息づく快感に相乗してしまった。 リジェネがくいくいと下着を動かす度に、ティエリアの下半身全体が燃えるように疼く。 引きつけのようにんくっ、んくっ、と声が漏れてしまうのをどうしても止められない。 いつしか染み出した愛液が、下着の中心をしっとりと湿らせていた。 「リジェネ、そろそろ……」 リヴァイヴが頃合と見てリジェネに囁いた。 素直に頷いたリジェネが遂に下着を脱がせ始めたが、 今のティエリアに抵抗を見せる気力は残ってはいない。 ただ目の前で自分の吐く息で埃が踊る光景をぼんやりと見つめながら、脱がされるままになる。 『苦しかったら肘を付いていいよ』 リジェネの声が頭に直接響いたのと同時に、それが許可にでもなったかのように ティエリアの腕ががくっと屑折れた。 肘を突いた事で、より尻が高く突き出されるいやらしい格好になってしまった事を 当のティエリアが知る事がなかったのは、幸福というものだろう。 やがて下着が足から取り外され、ティエリアの視界のすぐ横にぽいっと投げられた。 明らかにその中心が湿っている事を認めて、さすがに恥辱が強まったが、 それよりも二人分の視線に秘所が晒されている事の方が余程惨めで恥ずかしい。 何も言う事が出来ず、ティエリアは抵抗の言葉を飲み込んでただ辱めに耐えた。 「これが女の体か。あまりに生物的で汚らしいような、いやらしいような、それでいて美しいような」 リヴァイヴの解説のような呟きが背後から響き、ティエリアの耳に痛く届いた。 しかし覗き込まれている秘所が、体の熱が全てそこに集ったかのように熱くて堪らない。 実際、乳首責めと股間責めを長く受けた結果、秘裂は愛液で濡れそぼり、 広がったそれは脚の付け根までも厭らしく濡らしていた。 「ほら、分かりますか、リジェネ?ヒクヒクと動き、見られているだけで濡れ輝いている」 「それ位、言われなくても見てたら分かるよ」 「そうですか」 言葉遊びに興じるように二人のやり取りが続いたが、 その声音にはあさましく欲望を滾らせるティエリアへの侮蔑が濃く混じっていた。 「ひぐ…っ、うぅ………」 堪らずティエリアの瞳から1本の涙がつつーっと零れ落ちる。 ティエリアの痛々しい心情が脳量子波を介して伝わっているはずなのに、 リヴァイヴもリジェネも全く気にする事もなく、むしろ更に興味を抱いたかのように忍び笑った。 リヴァイヴが双丘に手を掛けてぐいっと左右に押し開くと、 くぱあと開いた膣肉の中身までが丸見えになる。 蠱惑的に誘うような真っ赤な肉の艶やかさに、無意識的にリヴァイヴは生唾を飲み込んだ。 男の性欲とはまた別の次元で、純粋な加虐心だけが満ちてくるようだった。 関心の赴くままに膣口の裂け目に指を押し当て、ゆっくりと上下になぞる。 「は…、う……っ」 ティエリアがぴくんと下半身を強張らせ、膣口はもどかしさに震えた。 数回往復させただけで、リヴァイヴの指は愛液でべとべとになった。 生温かく粘っこい感触が、嫌悪よりも興奮を昂ぶらせる。 もはや抑え切れなくなり、リヴァイヴは指をずぶずぶと膣穴へと捻じ込んでいった。 突き入れた瞬間に指に絡み付いてくる微細な膣壁が、 それ自体が生き物であるかのようにどくどくと息づいている。 「熱い…、ですね」 独り言のように呟いて、リヴァイヴは内部の形状を味わうかのような ゆっくりとした抜き差しをはじめた。 ちゅくちゅく、といやらしい音を響かせながら、ぬるぬるした壁を何度も何度も摩擦し続ける。 指を最奥まで突き入れれば熱い壁が触手のように絡みつき、 逆に指を抜き去れば、空気と触れ合った愛液が蒸気のように火照る。 グロテスクな程の触感を感じながらも、リヴァイヴは時折指先を折り曲げながら、 指で内部をじっくりと責め続けた。 時折感触が違うと思う所があれば、そこを狙って集中的に摩擦してやる。 「あぁ、ああっ、ああっ、んっ、あぁっ…!」 その焦らすような指遣いで、いつしかティエリアのそこは快感に打ち震え、 欲を体現するかのように愛液を滴らせるまでになった。 段々と、リヴァイヴの指の抜き差しが速度を増していく。 「んぁあっ…!やっ、それ、やめ…っ、あぁっ…!」 往復する指に壁を擦られる度に快感が高まり、ティエリアの声が淫らさを強めていく。 もはや嬌声をどう抑えようと頑張っても、無理だった。 しかし、責めがこれだけで終わるわけではない事を、ティエリアはまだ知らずにいた。 「手伝うよ、リヴァイヴ」 リジェネの冷静な声が響いたかと思うと、冷たい指がティエリアのクリトリスに押し付けられ、 規則的な律動を開始する。 「あ、あああっ!!」 途端に快感が加速度的に強まり、ティエリアが激しい嬌声を上げた。 勝手に腰が揺れ出し、動かないはずの脚が意志とは裏腹に受け入れやすいように段々と開き、 尻までがより高く突き出されていく。 膣内をぬぷぬぷと抜き挿して責められ、クリトリスまで捏ね回されて、女性器が悦ばないわけがない。 男の興奮しきった荒々しさにはない、イノベ二人のやけに優しい手付きがなお悦楽を昂ぶらせていった。 「やっ、ああっ、あんっ、や、あぁっ!も…う、それ以上…さ…れると…、んんっ、あぁんっ…!」 あっという間に絶頂の予感が押し寄せてきて、ティエリアは昂ぶる一方の体とは裏腹に、 潤んだ瞳で必死に抵抗を繰り返した。 イノベの二人にいい様に弄ばれる恥辱と同時に、純粋に絶頂を迎える事が恐ろしくて堪らない。 背後の二人が同じイノベイターでありながら、自分とは根本的に体の仕組みが異なっている事を、 この僅かな行為の中でティエリアは敏感に察知していた。 人間のように果てる自分を二人がどれほど罵るか。 そしてそれ以上に、自分自身が自分の体に絶望し、忌み嫌うのではないかという 本能的な恐怖が立ち昇ってくる。 「それ以上されると?なんだい?言ってごらんよ、ティエリア」 ティエリアの怯えが分かっているからこそ、リジェネが冷たく問い掛ける。 女に造られた同型を憐れむ気持ちは、リジェネにはおかしいほどに沸いては来ない。 むしろ近親憎悪の感情を噛み締めながら、リジェネはこれが最後とばかりにクリトリスを押しつぶし、 素早く上下に擦り上げた。 敏感になったクリトリスが絶頂を瞬間的に近くする。 「あんっ!ああっ!や…っ、やだっ!イ、イキたくな…、ふあああっっっ!!」 どれだけ堪えようと努力しても、昂ぶった淫欲に蓋をする事は出来なかった。 拒絶の言葉を口にしながら、リヴァイヴの指を奥深くに咥え込んだままで、ティエリアは絶頂に達した。 じゅんじゅんと膣に快楽の波が広がる。 「あぅぅ…、や…だ…って言った…のに……」 絶頂の強烈な悦楽に浮かされた放心状態の中で、ティエリアが言い訳のように呟く。 ティエリアの方が先に稼動したにも関わらず、そのあどけない程の姿が自分たちよりも遥かに幼く見えて、 リジェネとリヴァイヴは思わず顔を見合わせてほくそ笑んだ。 この瞬間、アニューの仇討ちの名目が、リヴァイヴにとってもはやどうでもいい事に成り下がる。 既に今の時点で十分敵は討ったのだという充足感を、リヴァイヴは確かに感じていた。 「だったら、ここからは純粋に僕の楽しみというわけか……」 自問自答するように呟くリヴァイヴを、リジェネが薄く笑って見つめた。 「いいんじゃない?どうせティエリアは僕たちの側には戻ってこない。そうだろう?ティエリア」 ティエリアの力なくうつ伏せた背中を一瞥し、リジェネはにやりと意地悪い笑みを浮かべると、 イノベ服のポケットから棒状の物体を2本取り出した。 リヴァイヴに一本を渡し、説明するように話し出す。 「バイブレーターという。人間がセックスの一環で使う、淫らな道具だ。  これを挿れてやったら、ティエリアはもっと悦ぶと思うよ」 「………」 真からこの行為を愉しもうとしているらしいリジェネの姿に、リヴァイヴは穏やかでないものを感じた。 同タイプでありながら、ティエリアを貶める事に何の躊躇いも感じていないかのような リジェネがどこか空恐ろしくもあり、理解不能でもある。 リジェネがリヴァイヴの感情を察知して、挑むように微笑みかけた。 「バイブ…。君の名前に似てるよね。 君を知る人間達は、これを見るたびに君を思い出して失笑してるんじゃないかな。 だって人間は、そういう思考の持ち主だから」 その一言で、リヴァイヴの頭にかっと血が上った。 今ここでリジェネをどうこうする事は、リヴァイヴには出来ない。 どれだけ勝手な振る舞いが目立とうとも、その許可をリボンズが下した事がない以上、仕方なかった。 代わりに不快感を、同じ容姿を持つティエリアにぶつける事で解消する事にする。 ティエリアの体を引っ繰り返して仰向けにして、 リヴァイヴは力ない太ももに手を掛けると、乱暴にぐぐっと大きく左右に押し開いた。 それだけではまだ怒りが収まらず、M字に開かせたティエリアの膝を更に胸にまで押し付ける。 子供のように脚を折り曲げられて完全に股間を開かされ、 秘所を丸出しにするみっともないティエリアの体勢を見て、ようやくリヴァイヴの怒りは凪いでいった。 ティエリアの脚の間に陣取り、バイブを突き入れるべき挿入部を凝視する。 リヴァイヴとリジェネの手に握られたそれが男性器を模した淫具である事は、 一目見ただけでティエリアにもはっきりと分かった。 「んぐ…」 人間のモノ以上に太く硬いそれが膣に乱暴に捻じ込まれる感覚をリアルに予想して、 ティエリアの表情が恐怖で凍り付く。 胸も秘所も二人のイノベイターの前に完全に剥き出しに晒されているが、 そんな恥辱を覆い隠すほどの恐怖で、思わず全身がかたかたと震え出した。 「おや。怖いんですか?いつもはガンダムで勇ましく戦っているというのに。これだから、女は……」 リヴァイヴが嘲るように言って、指ですうっとティエリアの亀裂をなぞる。 まだ絶頂の余韻の残る濡れたそこに一瞬電流が走って、びくっとティエリアの腰が揺れた。 リヴァイヴの微笑が悪意を強める。 「さあ、自分で脚を持っていてください。僕が何をしたいのか、分かるでしょう?」 リヴァイヴはその微笑のままで淫猥に舌を伸ばし、 バイブの側面をつつうと舐め上げてティエリアに見せ付けた。 「く…ぅ…っ」 馬鹿丁寧な敬語のせいで、卑猥な仕草がより卑猥に見えてしまう。 しかし屈辱感に苛まれつつも、脳を支配されたティエリアが、下された命令に逆らう事は不可能だった。 意志とは無関係に勝手にティエリアの腕が動き出し、自分で膝小僧を掴んで更に大きく開き切る。 その瞬間、膣からとろりと愛液が溢れ出た。 リジェネが心からの侮蔑を込めた目でティエリアを見下し、くすっと音を出して笑った。 凄まじい恥辱と劣等感がティエリアに押し寄せてくる。 「んぅ…っ、ひう…っ」 ティエリアが顔を屈辱に歪めてしゃくりあげながら涙を零すが、そんな姿でさえ、 リヴァイヴとリジェネには哀れを誘うものではないのだった。 「心配しなくても、そのうち歓喜で泣き喚く事になりますよ。だって、そういう体なのでしょう?」 リヴァイヴは悠然とバイブを掴み直すと、ティエリアの股間へと近づけていった。 少しずつバイブの亀頭が膣口と距離を詰める度に、ティエリアの表情は強張りを強め、 顔面が蒼白になっていく。 どう見ても凶器にしか見えない機械の棒に、人間らしい思いやりを見出す事など出来はしない。 「あ…、や…だ…、やめ…て…、お…願…い…」 仮にもマイスターとは思えない程にがくがくと震えながらティエリアは必死で懇願したが、 聞き入れられるはずもなかった。 「やめませんよ。仕方ないじゃないですか。 僕たちには人間の性器なんて不気味なものは付いていないんだから」 「で、でも…っ、そんなの…や…っ、あう…っ!」 リヴァイヴが無機質なほどの笑みを湛えながら、遂に先端をティエリアの膣口へと押し付けた。 そのまま先端を細かく動かして穴の侵入部を探ると、まだ残っていた愛液が攪拌されて ぐちょぐちょと粘った音を出す。 「ほら、君のここはこんなにこれを待ち侘びて疼いている。自分が一番分かっているでしょう?」 リヴァイヴが声を落として囁いた。 しつこく入り口を先端部で捏ね回し続けると、刺激に反応した膣口は充血し、 自分から愛液を溢れさせた。 バイブの先端の滑りが明らかに良くなり、リヴァイヴはティエリアの体が準備を完了させた事を知った。 ティエリア自身は屈辱に唇を噛み、恥辱の涙を流し続けていたが、 肉体の示す淫らな反応の前ではむしろ嘘臭く思われる。 「挿れますよ」 「やっ…!そんな…の入ら…ない…っ!は…うっ…!」 リヴァイヴがバイブを一押しすると、膣肉が一瞬だけ先端の侵入を拒んだ。 だが、更にぐいと押し込みその抵抗を突破した後は、するするとスムーズに内部へと進んでいく。 初めて受け入れる凶暴な塊のはずなのに、ティエリアは不思議なほどに痛みを感じなかった。 たっぷりと濡れて滑りの良くなった膣壁が、何の抵抗も見せずにバイブを受け入れていく。 「あ……ぁ……、あ……」 ティエリアは掠れ声を発しながら、太い棒で膣が拡張されていく圧迫感に耐えた。 「さあ、全部入りますよ」 くすりと悪戯っぽく笑って、リヴァイヴが最後、ずんっとバイブを子宮口にまで突き入れる。 「はううっっっ!!」 その途端内臓を突かれるような衝撃でティエリアの腰がびくっと跳ね上がり、涙が弾け飛んだ。 バイブが完全に膣内に埋め込まれ、呼吸する度に、その異物感が際立つ。 「や…っ、抜い…て、抜いてぇ…っ!」 ティエリアが壊れたレコーダーのように同じ言葉を繰り返すが、 体内奥深くまで咥え込んだバイブは抜けるどころか、 彼女の内部で更にその存在感を増していった。 「気持ち悪いですか?なら、気持ちよくしてあげますよ」 リヴァイヴがバイブの根元を握り締め、肉の締め付けを押し除けながら抜き差しはじめる。 先端まで抜き去って、膣を再び割り開きながらゆっくりと奥まで突き入れる。 内部を開発するような緩やかな抽迭を繰り返すと、膣壁は段々と快感を強めて疼き始めていった。 「ふ…、ん…っ、こ、こんなの…っ、うそ…だ…っ、あ…っ、あ…ぁ……」 ティエリアは強まる快感で漏れる喘ぎを必死に我慢したが、 我慢すればする程に裏腹に秘所の快感は強まっていく。 膝を掴む手がぶるぶると震え始めた。 「どうです?気持ちいいでしょう?」 「んっ、んっ…!」 リヴァイヴの囁きにふるふると首を振って否定したが、確かに体は熱くなっていくばかり。 後から後から溢れ出す愛液が、指の時以上にバイブに絡み、 ぬちゃぬちゃといやらしい音を出し続けていた。 「ものすごくぬるぬるになっているのが分かるでしょう?ティエリア」 「違…っ、そんなの…知らな…っ、あんっ、あぁっ…!」 だが抽挿を重ねる度に、バイブの抜き差しがますますスムーズになっていく。 それだけでも耐え切れない程の刺激だというのに、 リジェネがもう一本のバイブの先端をクリトリスに押し当ててぐりぐりと刺激し始めると、 もうティエリアに我慢は利かなくなった。 「あぁっ!ああっ!!あぁっ!」 勝手に淫らな声が飛び出す。 快感から逃げるように反射的にくねる腰が腐った床を軋ませたが、 その萎びた感触がよりティエリアを昂ぶらせてしまう。 既にティエリアの顔に怯えの色はなく、紅潮した頬には明らかに淫欲を貪る卑猥さだけが漂っていた。 リヴァイヴがティエリアの快感の昂ぶりに併せ、徐々に抜き差しのペースを上げていった。 じゅぼじゅぼと激しい水音を上げながら、バイブが奥まで突き入れられては抜き去られていく。 その度に膣壁が擦り上げられ、クリトリスの刺激と相まって身震いするほどの快感がティエリアを襲った。 頭が真っ白になって、陵辱されているという事実さえ忘れそうになってしまう。 「あぁんっ!んんっ、ああっ!だめっ…!ゆっくり…してぇ…っっ!あぁっ!」 「ゆっくり?速い方が感じるくせに……。よく言いますね」 「あううっ!ち、ちが…っ!ああっっ!!」 何とか理性を取り戻して叫んだティエリアを咎めるように、 リヴァイヴは更にバイブを激しく抜き挿して責め続けた。 ずちゃっ、ずちゃっ、ずちゃっ。 淫らに音を立てながら凄まじい勢いでバイブで膣内を擦り上げられ、子宮口をつんつんと突付かれ、 クリトリスまで円を描きながら捏ね回されて、ティエリアに一気に限界が訪れた。 「ああっ!だめぇっっ!あぁぁっっっ!!」 背筋を反らせ、膝をぐっと胸に押し付けて絶頂を受け止める。 バイブの栓の脇からもどっと溢れ出した愛液が飛び散り、膣肉が激しく痙攣する。 膣の深い所で得た絶頂感が、ティエリアの全身に最上級の悦楽を行き渡らせた。 まだバイブを咥え込んだままで、ティエリアがくたあと脱力する。 「気持ちよかったかい?ティエリア。羨ましいなぁ。そんなに感じられるなんて」 リジェネの甘い囁きに虚ろな視線だけをぼんやりと返し、 ティエリアは未だ消える事のない絶頂の余韻に酔いしれていた。 それでもまだまだ責め足りないとでも言うように、再びリヴァイヴがバイブの抽迭を再開する。 達したばかりの膣壁を容赦なく抉られて、ティエリアは快感よりもその衝撃の不快さに身悶えた。 「や…っ、もうイッたからぁ…っ。もう…いいだろう……っ」 声を絞り出すようにして懇願すると、リジェネがはははと面白そうに笑った。 「ダメだよ、ティエリア。これって、こんなアナログな使い方をするものじゃないんだから」 訝しげに見つめ返すティエリアの目の前で、リジェネはバイブのスイッチを入れた。 ウイイイインンンッッ バイブがローリングをはじめたと同時に、規則的な機械の振動音が響く。 うねうねとくねる亀頭、激しく奮える竿部。 その動きから性的なものをはっきりと感じ取り、ティエリアが顔色をなくした。 「さあ、行くよ?クリトリス、気持ちいいといいね」 「やっ、やめ…っ」 リジェネが陰湿な笑みを浮かべながら、クリトリスへとバイブを強引に押し付けた。 表面を撫でるのではなく、思い切り押し付けて粒の全てを震動させる。 「ふあっふああああっっっ!!」 瞬間的に激しい快感がそこに宿り、ティエリアが激しい嬌声を上げて悶えた。 細かい機械振動の刺激が、即座に快感に変化してティエリアを責め立てる。 小刻みで規則正しい刺激による悦楽。 さっきまでと段違いの快感の強さに、今度こそ何も考える事が出来ない。 「ああっあああっ!!イク…、またイクぅぅっっ!!やめてぇぇっっ!!」 いまや拒絶ではなく快感に頭を振って激しく乱れながらあられもなく叫ぶと、 リジェネが咎めるように先端の角度を変えて、また違う刺激を与えた。 「あぁぁっ!ああっ!あぁぁっ!!」 「やめるの?違うだろ、ティエリア?気持ちいいんだろ?」 恥ずかしい問い掛けにも、快感に浮かされた頭では素直に頷くしか出来ず、 ティエリアはリジェネの思惑通りに乱れ続けた。 「あうっ、あふぅっ!んっ、んんっ、気持ち…、い…い…っ!ああっ!」 「いい子だね」 「じゃあ、僕もそろそろ真面目にやるとしますか」 リヴァイヴが嫣然と笑ってぐっとバイブを根元まで突き入れ、 最奥まで埋め込んだ所でスイッチを入れた。 ブブブブブブブ!! 膣内でバイブがいきなりのトップスピードで激しい振動をはじめる。 「ああああっっっ!!!」 激しく膣壁を震わされ、敏感になった子宮口を容赦なくローリングされて、 それだけで既に絶頂間際だったティエリアの快楽がばちんと弾けた。 今日最も深く、強い快感が膣から全身まで強烈に駆け巡っていく。 全身が痙攣するほどの強い悦楽を、ティエリアはその人生で初めて知った。 その相手が機械であるバイブなのだと言う事は、もはや大した問題ではない。 「ふぁぁぁ…っ」 びくんびくんと全身をのたうたせる様は、一見しただけでは苦痛と見分けがつかない。 だが、真っ赤に紅潮した顔でだらしなく口を半開きにし、淫欲の漂う呆けた瞳が、 リヴァイヴとリジェネにその悦楽の激しさを脳量子波で感じ取るよりも正確に伝えた。 「もう少し、ですね。まだ時間は残っています」 リヴァイヴがチラと外の様子を伺い、まだ日が落ちそうにもない事を確認して リジェネに言うと、リジェネも同意して「そうだね。そうしよう」と頷いた。 絶頂時の膣壁の収縮で半分ほど体外に押し出されていたバイブを、 リヴァイヴがもう一度ぐぐっと膣内に押し込む。 振動し続ける棒で再び膣壁が震わされ、子宮口をもぐりぐりと抉られて、 瞬間的にティエリアに快感が復活した。 「ああっ、あああっああっあぁぁっっ!!」 振動に併せて喉を開くと、途切れる事なく淫らな声が飛び出し続ける。 ティエリア自身、一体自分の体のどこにこんな快感が眠っていたのだろうと不思議に思うほどの 絶え間ない快楽に身を包まれて、恥辱とは違った涙がぽろぽろと溢れ出た。 その上、クリトリスまでもしつこく震わされると、もはや抗う事は出来ない。 「どうです?もっと、でしょう?」 「あぁんっっ!はあんっ!ああっ!きもちい…!きもちいいっっ!!  んんっ!やだっ、でも…っ、でもォ…っ!あぁっっ!も、もっと…っ、もっとォっっ!!」 初めて知った性交の快感に溺れ、憎むべき同類に痴態を余す事無く晒す。 喘ぎながらティエリアの脳裏に時折浮かぶ顔はトレミーの面々ではなく、リボンズの高慢な笑顔だった。 だが悔しくて堪らないのに、それでも悦楽が途切れる事はない。 2本のバイブの振動に併せてティエリアの胸が頼りなく揺れるが、 その先端の乳首は明らかに快楽に反応し、つんと勃起している。 薄暗く汚らしい小屋の中で見る屹立した乳首は無性にいやらしく、背徳的にさえ見えた。 リジェネが誘われるように乳首を摘み、きゅきゅっと捻り上げて指先で扱き上げる。 「ひゃっ!はうううっっ!!だめえええっっっ!!!」 途端にティエリアの体が大仰なほどに脈打ち、咥え込んだバイブをきゅうきゅうと締め付けて、 もう何度目か分からない絶頂を極めた。 それでもバイブの振動は終わらない。すぐに膣にもクリトリスにも快感が復活しては悦びを与え続ける。 「ほら、どうだい?バイブが震えてるの、そんなに気持ちいい?我慢できない?」 「あぁんっ!ああっあぁあっ!んくぅ…っ!き…もちいい…っっ!我慢…できないぃっっ!」 全身が性感帯になったかと勘違いしてしまうほどに、ティエリアは敏感になっていた。 噴き出た汗が肌を滴る感触さえも、快感を増幅させる。 リジェネがクリトリスからバイブを離し、嬌声を封じ込めるようにティエリアの口へと押し込む。 「んんっ!んんんっ!んんっ!!」 クリトリスの刺激をなくしても、ティエリアの全身に満ちる快感が消える事はなかった。 代わりに舌根を震わされ、脳髄ごと揺さぶられる感覚に陥る。 「ほら、ちゃんとしゃぶってごらんよ。人間の男にしてあげるようにさ」 リジェネがティエリアの舌にバイブをぐりぐりと押し付けた。 「うぐ…っ」 抵抗して口を閉じようとすると、歯に振動が響き脳が不快に揺れる。 仕方なくティエリアは大口を開けたまま、命令されるままにバイブに舌を絡まして舐め上げた。 これが男のモノそのものなのかは分からない。見た事がないのだから仕方ない。 それでも歯を立てないようにして丁寧に舐め上げると、何故だか下半身の快感が一段と強まってしまう。 振動音にぴちゃぴちゃという舌遣いが強まって被さる。 「う、ん、んんんんっっっ!!」 再びティエリアは全身を脈打たせながら激しい絶頂に達した。 リジェネとリヴァイヴが満足げにティエリアの痴態を眺め、顔を見合わせて愉しげに笑った。 気が付くと、ティエリアは相変わらず朽ちた床の上で大きく脚を開き、 はあはあと乱れた息だけを吐き続けていた。 膣内にはまだバイブが深々と埋め込まれてはいたが、それは既に振動を停止しておとなしくなっている。 顔の真横の床には、明らかに口から勝手にこぼれ落ちたという風情で、バイブが1本落ちていた。 外が薄暗く、入ってくる冷気が冷たい。どうやらあのまま失神し、随分時間が経ったらしい。 呆然と辺りを見回したが、部屋のどこにもリジェネとリヴァイブの姿はなかった。 夕方の冷気以上に室内はしんと冷え切っていて、どうやら二人が随分前に立ち去ったらしい事が分かる。 「う……」 体を起こそうとすると、一瞬頭痛がしたと同時に、今更ながら膣がしくしくと痛む。 何とか上半身を起こし、膣内に突き挿さったままのバイブを引き抜こうとすると、 渇ききったバイブが膣壁と擦れて鋭い痛みを生じさせた。 さっきまでの悦楽とは裏腹の痛覚で不意に現実に戻り、 ティエリアは虚しさと屈辱の両方に嫌というほど苛まれた。 ようやくずるりとバイブを抜き出すと、そこには白くこびり付いた愛液の残滓と共に 赤いものがうっすらと付いている。 忌み嫌っていた相手にレイプされたばかりか、バイブで処女を失ってしまったのだ。 人間の女の体になど執着していないと常日頃思っていたはずなのに、急激に喪失感が強まった。 「う、うぅ……、ぼ、ぼく…は……」 がくりと腕を垂らし、脱力してうなだれる脳内に干渉してくる者がいた。 その正体は考えなくても分かるが、疲労と空虚感で抵抗する気にもならない。 『君が悪いんだよ、ティエリア……。人間になんか入れ込んで心を奪われるから…。 アニューのように命まで奪われなかった事、感謝して欲しいくらいだよ……。 今度生まれ変わったなら、僕たちみたいに完璧な体を与えられるといいね、ティエリア………』 リジェネの無機質な声が脳内に冷たく響く。 堪えていた涙がほろりと零れ落ちた時、その熱さが骨身に染みた。 やがて空が真っ暗になった頃、ようやくティエリアは疲れた体にパイスーを纏い、 体を引き摺るようにして小屋を後にした。 セラヴィーに乗り込み夜空に飛翔すると、その黒基調の機体は闇の保護色に混じり合い ほとんど見えなくなった。 ぼろぼろに崩れ落ちそうなプライドを懸命に保ち、トレミーへのルートを再設定する。 飛び去ろうとしたその時、闇夜にも関わらず、眼下の古ぼけた小屋が色彩を強めて目に入ってきた。 そのみすぼらしく汚らしい姿が先ほど自分が受けた汚辱そのものに思えて、心が乱れて仕方ない。 頭がおかしくなりそうな程に混乱し、胸が苦しくなる。 それを打ち消す為に、ティエリアはバズーカを構えた。 アロウズや軍に見つかり、攻撃を受けるかもしれないという危惧などもはやどうでもいい。 全ての恥辱と恨みを晴らすかのように、バズーカ砲を発射する。 激しい轟音と共に砲撃が小屋を木っ端微塵に粉砕した。 夜空に赤い爆炎が立ち昇り、海原が振動する。 こだまする爆音を背中に聞きながら、込み上げて来る涙をぐっと堪え、 ティエリアはようやくトレミーへの帰路についた。