プトレマイオスの深夜、ティエリア・アーデの寝室――。 灯りを消した部屋はほとんど真っ暗で、 ドア下の隙間から漏れ入ってくる廊下の僅かな光だけが光彩を放っていた。 部屋の壁際に据えられたベッドが、 上に乗った2人の微細な動きにあわせてぎしぎしと軋んでいる。 「はあっ…、んっ…、んっ……、ミ、ミレイ…ナっ……」 暗闇の中で、この部屋の主、ティエリアの嬌声だけが淫らに響いていた。 アンダーシャツさえ身につけていないティエリアの剥き出しの白い上半身は、 自ら光を放つかのように暗闇に幻想的に浮かび上がっている。 乳首から形のいいヘソ辺りにまで、カタツムリが這ったような しっとりとした水気の跡が、一本の線として繋がっていた。 下半身だけを覆った毛布が、大きく開いたその足の左右の膝の形にあわせて盛り上がり、 その股の間と思しき部分で、 人の頭らしきものが中から毛布を盛り上げて、静かに揺れていた。 毛布の隙間から、柔らかそうな茶髪のツインテールが時折チラチラと覗く。 今夜もまたミレイナは、いつものように指と舌を丹念に使い、 ズボンの上からティエリアの秘芯と勃起を責めていた。 そのまま5分も秘所を弄られると、 早くもティエリアのそこは湿り気を強めて快楽に火照った。 ミレイナの唾液とティエリア自身の淫液が染み込んだ制服のズボンはしっとりと湿り、 毛布の中で蒸れたような感触を伝えていた。 ズボンの上から膣口の亀裂を指先で擦るシュッシュッという渇いた音と、 舌でペニスを押し込みながら上下に舐る、ヌチャヌチャという音が混じり合って 毛布の隙間から漏れ出している。 「あうっ…、やっ…、ミレイ…ナ…、も…う…、だ…め……、早…く…っ」 ティエリアの頬は毛布の温かさだけではないものによって薄桃色に上気し、 軽く開いた口からはすすり泣く様な喘ぎが漏れ続けていた。 しかし、このまま服の上からいくら責められた所で、体が到底満足しない事は、 他の誰でもないティエリア自身が一番知り尽くしている。 「は…う…っ、ミ…レイナ…、ちゃんと…して…くれ…っ…」 懇願したその瞬間、不意にミレイナの頭がぐっと下方に沈み、 ペニスへの刺激が急に強まった。 「ひああんっっ…!!」 思わず甲高い嬌声が迸ってティエリアの腰が跳ね上がり、大きくベッドが上下に軋む。 ついさっきまで前菜程度の舌責めを受けていた小ぶりな乳首は、 もう何の愛撫を受けていないにも関わらず、 ピンと尖った様に暗闇に勃ち上がっていた。 欲望を持て余して自ら乳首を軽く擦って慰めると、ぐんと下半身の快感が強まる。 「あうぅんっ…、気持ちい…っ…、な、なん…で…こんな…に…っ、ふ…ぅぅ…っ」 ハアハアという苦しげな吐息が、闇をも重く湿らせていくようだった。 まさかこれほどまでにミレイナに悦楽を操られてしまうとは、 つい数ヶ月前まではティエリア自身が思いもしなかった事だった。 体の抑えがどうにもきかない。 最早ズボンの上からでは全く物足りないと、体の奥底から淫欲の本能が声高に叫ぶ。 「ミレイ…ナ…、たの…む…っ…、直…接…、直接……」 消え消えに声を絞り出しながら、ティエリアは毛布の上から、 自らの股間に顔を埋めるミレイナの小さな頭を両手で軽く掴んで懇願した。 「直接…ですぅ?う〜ん…。まだ全然早いですけどぉ、まあ、いいですぅ」 毛布の中に潜り込んでからはじめて、ミレイナが口を開いた。 その少女らしい可愛らしい響きが鼓膜に到達した途端に、 ティエリアの股間は期待でひくひくと蠢いてしまう。 カチャカチャとベルトを外す音が鳴ったかと思うと、 すぐにシュッと外されたベルトが毛布の中から床へと放り投げられる。 続いてティエリアの制服のズボン、下着が手際よく放り出されていった。 ようやく下半身が剥き出しになった瞬間、布で抑えられていたティエリアの男性器が 遮りをなくして自由に隆起し、毛布を持ち上げた。 「はう…っ…」 毛布のざらざらとした粗い毛束が勃起の先端にチクチクと当たり、 少し腰を揺らしただけで剥き出しの亀頭に鋭い快感が走る。 その根元を、ミレイナの指がしなやかに包み込んだ。 「あんっ!!」 突き刺すような電流が体を走り抜け、ビクンと腰が跳ね上がる。 「じゃ、いくですぅ。アーデさん、今日は声、我慢しないでいいですからぁ、  いっぱい気持ちよくなってくださいですぅ♪」 ミレイナの言葉が終わる前に、その指が勃起をきつく締め付けながら上下に動き始める。 「ああっ、あんっ、ああっ!!」 ミレイナの指の中でそれは一層硬くなり、 すぐさま先端からは悦びの証しの透明な汁が滲み出て、 毛布をますますぴったりと貼り付けた。 ズボンの上からの抑制された快感とは大違いのダイレクトな刺激に、 ティエリアはシーツをぎゅっと握り締めて悶えた。 「あ、ああっ、ああっ、い…、いい…っ…、ミレイナ…っ、もっと…、もっと…っ…!」 この前の格納庫での一件とは違い、暗闇がティエリアから羞恥心を奪っていた。 あられもない声に応じるようにミレイナの舌が女性器の秘裂をなぞり、 粘膜を蕩かすようにれろれろと舐め上げる。 「ひあ…っ、舌…っ、や…だっ……!あぁぁっ…!!」 急速に溢れ出した大量の愛液がミレイナの唾液と混じり合って、 とろとろと肌を伝い落ちていく。 それだけでも充分な快感だというのに、どこかもどかしい。 女性器の閉じられた襞を掻き分けて、ぐりぐりと内部を擦り上げて欲しくて堪らなかった。 しかし、そんな欲望を口にするのはあまりに卑しく思えて、 ティエリアは親指の節を噛み締める事で何とか欲望を堪えた。 だが、いくらティエリアが欲情を隠そうと努力をしても、 もう何度もこの体を堪能してきたミレイナの前では、無駄な抵抗でしかなかった。 「アーデさん、この中も寂しいんですよねぇ?」 毛布の中から意地悪い声が聞こえたと思ったら、 舌の代わりに指先が濡れた秘裂をすーっと擦った。 「あ…んっ…、んうぅっ…、ふぅぅっ…!」 ティエリアの膝が、指の侵入を待ち侘びるかのようにガクガクと揺れる。 ミレイナは期待通りの反応にほくそ笑みながら、 中指をぬぷぬぷと膣内へと挿し入れていった。 しかし今はまだイカせてやるつもりはなく、 ミレイナはペニスへの刺激をぐんと柔らかなものに変えて、 ゆっくりとした抜き差しを始めた。 「はうんっっ…!ああっ…!!」 それでも震えるような快感が、その場所からティエリアの全身に広がっていく。 亀頭に張り付いた毛布は敏感な神経を容赦なく擦り上げ、 ほとんど3本の手で弄ばれているかのような錯覚をティエリアに抱かせた。 「ふあぁっ、あぁぁっ、ぁぁっ、あぁっ…!」 ベッドに仰け反るようにして体重を預け、 頭を左右に振りながらその刺激に集中すると、 自分がとてつもなく淫らなものになってしまったように思える。 しかし、以前は行為の途中でも強く感じていた快楽への罪悪感は、 今のティエリアからはほとんど薄れかけていた。 「ああっ、ミレイナ…っ…、ミレイナ…っ!」 絶対にこの快楽を手放したくない。手放せない。 ティエリアは必死にミレイナの名を呼びながら、 震える手で彼女の頭を掴んで、愛しむように撫でた。 ミレイナの息が秘所にペニスにふうふうと当たり、 緩やかだった指の動きがどんどん激しさを増していく。 ミレイナは素早く膣内を指で抜き差しながら、 角度を絶妙につけてティエリアの最も弱い部分を責め、 同時に勃起のカリ首だけを握って小刻みに揺さぶった。 「ああんっ!そ、それ、やめ…っっ!」 急激に絶頂感が押し寄せてきて、堪らずティエリアは激しく仰け反って腰を揺らした。 「ふあぁぁっ…!!もうっ…、イ…キそ…っ…!」 しかしティエリアの限界寸前の叫びを聞いた時、 ミレイナの両方の指が計ったようにぴたりと止った。 まるでこの前の一件を思わせるような出来事で、ティエリアに不安がよぎる。 「ミ、ミレイナ…、今日は…っ…」 この前のように、気が狂うほどに焦らされたのでは堪らない。 ティエリアは思わず毛布を捲って、大きく開いた自らの足の間に居座る ツインテールの頭を見下ろした。 いつの間にか目は暗闇に慣れていたらしく、 ミレイナが顔を上げる様子まではっきりと見て取れる。 ティエリアの薄桃色に染まった肌と同じように頬を上気させて、 ミレイナが上目遣いで見上げてくる。 その手にしっかりと握られた、自分の勃起したペニスをも はっきりと見てしまい、ティエリアは途端に羞恥心が募って視線を外した。 言いかけた言葉を飲み込んで、ミレイナの言葉を待つしかなくなってしまう。 「……アーデさん」 しばらくしてミレイナが口を開いたが、 その口調にはやけに真剣な響きが込められていた。 動きを止めていてもペニスを包む指が ミレイナの鼓動にあわせてかすかに震え続けている。 それだけで疼くような快感がペニスに走って、 思わず腰を振り立てたくなるのをティエリアは必死に堪えた。 濡れた膣内にも指がしっかりと挿入されたままの今の状況にはまるで相応しくなかったが、 何とか冷静な口調を装って応じる事が出来た。 「……なんだ」 「実はミレイナは、アーデさんに言わなきゃいけないことがあるですぅ……」 落ち込んでいるような、何かを隠しているような、 それでいて妙に決意のこもったような不思議な口調で話しながら、 ミレイナはティエリアの表情をチラチラと窺ってくる。 あまりに分かりやすい態度だった。 ティエリアでなくても、ミレイナが相当言いにくい秘密を抱えている事は すぐに察しが付くというものだろう。 しかも、わざわざ絶頂間際で寸止めした状態で告白するのだから、 何としてもその秘密を許してもらわなければいけないという意図まで窺い知れる。 年以上に優秀だとは言っても、そこはまだ14歳の少女。 年相応のその幼さに、ティエリアは呆れ半分でふうと溜息を吐いた。 「……何か隠している事があるのなら、さっさと言えばいい」 「でもぉ…、ちょっと、言いにくいですぅ……。アーデさん、絶対怒るですぅ……」 「だったらまずは、この状態をなんとかしてくれないか?」 平静を取り繕ってはいても、ミレイナに触れられる部分が熱くて堪らない。 しかも時間を追うごとに疼きが強まってくる。 しかしそれが分かっているからこそ、このタイミングを選んだはずだろうに、 なかなかミレイナは口を割ろうとはしないのだった。 余程言いにくい事なのだろうと慮る心配りは、 欲求不満の苛々に掻き消されようとしていた。 「ミレイナ、いい加減にしろ。早く言わないと二度と触らせてやらないぞ」 長い沈黙を腹に据えかねて、ついにティエリアがミレイナから離れようと 体を揺らしたその時、ようやく意を決したようにミレイナが放った言葉は、 ティエリアの予測の域を超えていた。 「アーデさんっ、動かないで下さいですぅ…!!  ミレイナは、ミレイナは、男の子になっちゃったんですぅ!!」 「なん…だと…?」 「ふああっ…!ごめんなさいですぅ…!でも、本当になっちゃったんですぅ…!」 その意味をなかなか理解できないでいるティエリアを尻目に、 ようやく重い告白を終えて安堵したように、 ミレイナは涙を浮かべてティエリアの顔をじっと見つめてくる。 その細い肩、揺れるツインテール、可愛らしい顔立ち。 ティエリアの目の前にいる少女は、どう見ても男には見えはしない。 だが男、という単語とペニスという物体が脳内で結びついた時、 急にティエリアを頭痛が襲った。 こめかみを押さえ、堪らずミレイナの指を引き抜いて身を起こす。 「アーデさぁん……」 「くっ…、黙っていろ…っ」 ミレイナの、許しを請うような目を見つめながら毛布をはだけ、 枕もとのリモコンで室内灯を点ける。 ぱっと部屋が明るくなってティエリアの目に飛び込んで来たのは、 まだ萎えないでいる自身の勃起と、 ミレイナのスカートをむっくりと持ち上げている、同じような何かだった。 どうやら欲が収まりきらない為に、ミレイナは下着を脱いでいたらしい。 どうして今まで気が付かなかったんだろうと不思議に思うほど、 それは隆々と鎌首をもたげてスカートの裾から不気味に顔を覗かせているのだった。 その正体を探るように目を細めてじっと見つめると、ずんと頭痛が強くなる。 出た答えは一つしかなかった。 「……ナノマシンか」 「はい…ですぅ……」 ティエリアの低い声に怯えるように、ミレイナは涙で濡れた瞳を子犬のように瞬かせて 上目遣いでじっと見てくる。 いつもは明るい場所でティエリアの乱れる姿を眺めるのを好む彼女には珍しく、 部屋の電気を完全に消していたのも、きっとこの事態の露見を恐れてのことに違いない。 しかし、それにしてもナノマシンで男性器を製造するなど、あまりに浅はかに過ぎる。 一気に不機嫌になったティエリアを見て、ミレイナはあたふたと弁明をはじめた。 「だって、仕方なかったんですぅ…!ミレイナは、自分で志願したんですぅ。  組織がずっとナノマシンの研究してて、  最近無限増殖を食い止めるのに成功したらしいのですぅ。  特許取得並の快挙なのですぅ」 ミレイナの必死の言い訳を聞いても、心底呆れて言葉も出ない。 ナノマシンというものは万能の物質ではないのだ。 一体どれだけの副作用や後遺症があるか分かったものではない。 少なくとも、生身の人間にとっては。 「だから?」 怒りのこもった目で睨みつけてくるティエリアに、 ミレイナは再び言い訳の総攻撃を浴びせ掛けた。 「あ…、こ、これがあればバストアップとかも余裕で出来るようになるし、  アーデさんも潜入の時に今よりもっと女の子っぽくなれて絶対疑われないですぅ。  だから、ミレイナは実験台になるって志願したですぅ。  大丈夫ですぅ、最初に男性女性の雛型を登録しておいて、  ある一定の水準以上は増殖もしないし、ある一定の時間が過ぎれば  汗や排泄物なんかで強制排泄されるですぅ。  しかも、あくまで副作用が出ないごくごく微量での実験なのですぅ。  だから今のミレイナは、あそこだけ男の子なだけなのですぅ」 ミレイナの一見筋道だった理屈を、ティエリアは鼻で笑い飛ばした。 まだ体から消えない欲望のかすかな疼きと頭痛の不快感に、 ミレイナと組織の浅はかさへの怒りが入り混じる。 「アーデさん、怒ってるですぅ…?」 涙ぐんだ上目遣いで許しを乞うてくるミレイナは、 この実験とやらに彼女なりの不安と決意をもって望んだに違いない。 しかしその裏に透けて見えるミレイナの下心に気付かないほど、 ティエリアは鈍感ではなかった。 いつもなら人間のよく使う些細な方便の一つだと見て見ぬふりをする所だが、 なぜか今は無性に苛立ち、思いがけず冷たい言葉が飛び出した。 「嘘だな」 「え…?」 「それならそうでも構わないが、もし目的がそれだけならわざわざ僕の部屋に来て  こんな事をする必要はないだろう。はっきり言ったらどうだ?  男になって、僕を抱いてみたかったんだと」 「…そんなこと……」 ミレイナの顔がほとんど青ざめたのにも構わず、ティエリアは悪意の言葉を続けた。 「分かっているさ。君だって人間だ。  僕を弄ぶだけでは飽き足らず、自分も慰めてもらいたいとずっと思っていたんだろう?          だが、残念ながら僕は君を見ても何の興奮も感じない。  少なくとも、普通の男のようには」 そうだ。 元々はトレミーの女性達がクリスマスに酔った勢いで、 ほとんど遊びのような感覚ではじめた行為なのだ。 別に、ティエリア自身が望んでいたわけではない。 ミレイナの妨害があるのかないのか定かではないが、 他の女性達はあれから一度もティエリアに触れようとはしない。 それどころか一言もあの夜の事を口にせず、 むしろなかった事にしたがっているようだった。 だからこそ、ティエリアもあえて何も言わずに来たのだ。 しかし、嫌がるのを強姦まがいに襲われたというあの夜の恥辱と、 その後も快楽に負けるが故に、ミレイナにだけは体を許してきた自分への怒りが 今になってふつふつと湧き上がってきた。 イノベイターの身体が、繁殖の対象として 人間に性欲を掻き立てられる事などありえないのだ。 だとすると、ミレイナの愛撫に反応してしまうのは、ただの肉体的な反射にすぎない。 常日頃から考えまいとしてきた事だったが、 人間のように人間を愛せるわけではないのに、 ただ快楽だけを貪欲に求めるこの身体の浅ましさを改めて思った時、 ティエリアの自己嫌悪は最高潮に達した。 「ち、違うですぅ…、アーデさん…。  ミレイナは、ただアーデさんの事が好きなだけなのですぅ……」 嘘をつけ。ただ僕を玩具のように弄んで愉しんでいるだけじゃないのか。 自己嫌悪が、ミレイナへの苛立ちにすりかわる。 おろおろと顔色を窺ってくるミレイナに、残酷な言葉を投げずにいられなかった。 「ミレイナ。僕は男でも女でもない。  君の事を好きだと思った事は一度もないし、君に魅力を感じた事も一度もない。  君が女だからといって僕が君をどうこうする事はありえないし、  君が男になった所で僕の体を与える必要もない。  そうとも。こんな不適切な関係は、すぐにでも絶つべきだ。他の人間と同じように」 辛辣な言葉の羅列に、ミレイナの表情が目を覆わんばかりに悲痛に凍りついていく。 しかし正論を言っているはずなのに、ミレイナのその顔を見ていると、 ティエリアの心は何故だか知らずに激しく軋み出した。 違う。こんな事を言いたかったわけじゃない。 相反した思いが押し寄せてきて、どうしても心がざわめいて仕方ない。 表情を強張らせ、肩だけでしゃくりあげるミレイナが、儚い蜃気楼のように見えた。 ミレイナの瞳からいつもの無邪気さが消え去り、諦めたようにふっと閉じられる。 その濡れた瞼を見た時、ミレイナの心が自分から離れてしまったように思えて、 急にティエリアの胸を後悔が締め付けた。 瞬間的に湧き上がったミレイナを失いたくないという思いが、 以前ではありえなかったほど素直に、ティエリアから謝罪の言葉を引き出した。 「すまない……。言い過ぎた……」 「いいんですぅ…。ミレイナも、分かってたですぅ…。  アーデさんが、本当はこんなことしたくないんだろうなって事も…、  ミレイナの事、全然好きじゃないんだろうなって事も……」 「ミレイナ、僕は……」 「この前、一度だけアーデさんがミレイナの裸を見た時、  アーデさんはすごく嫌そうな顔をして目を反らしたですぅ…。  だから、ミレイナはもう裸にはならないって決めたですぅ……」 「………」 そう言えば、その一件以来、今までの情事でミレイナが服を脱いだ記憶がない。 「ごめんなさい…。アーデさんの言った事はほんとなのですぅ…。  アーデさんがミレイナに触りたくないんなら、  ミレイナが男の子になればいいんだって…。アーデさんは優しいから、  多分許してくれるはずだって、ずるい事考えちゃってたですぅ……」 しょぼんと俯いて、悲しそうに話すミレイナの寂しげな姿に同情と自噴が相まっていく。 ほぼ無意識状態で条件反射的にやってしまった、見たくないものから目を反らすという 単純な行為がいかにこの少女を傷つけたのか、今のティエリアに分からないはずがない。 対する自分が今この瞬間も、ミレイナの前に全裸で座っている事を思えば、 我が身の自分勝手な理屈を恥じないではいられなくなった。 「…悪かったよ。あれは、わざとやったわけじゃない。  それに、君だけに対してああいう態度に出るわけじゃない」 「…でもぉ……」 「本当の事だ」 薄いブルーのスカートの裾からチラチラと覗く、 少女にはまるで似つかわしくない男根が嫌でも目に入ってくる。 人間の裸体、それも、よりグロテスクな局部への不快感は今も消えはしない。 しかし他の誰かのペニスを想像した時の、鳥肌の立つようなおぞましさに比べれば、 ミレイナのそれは随分可愛らしいものにも思える。 今までのミレイナとの時間の積み重ねが、思いのほかティエリアを身軽にしていたらしい。 今しか、こんな度胸試しは出来ない気がした。 「見せてみろ」 「え?ひゃっ…」 迷いを振り切り、強引にミレイナのスカートを捲って、 下着も身に付けていないそこから生えた剥き出しの肉の塊をまじまじと見つめてみる。 少女の柔肌がそのまま折り積み重なって伸びただけのような肉の茎は、 とても男の荒々しさを感じさせるものではなかった。 先入観を取り払って純粋な視線で観察してみると、 むしろそれは百合のような瑞々しさを思わせた。 勃起した男根に他ならないのに、 見れば見るほどミレイナそのものに思えてくるのが不思議だった。 「み、見ないでくださいですぅぅ〜〜」 ミレイナが恥ずかしそうに顔を真っ赤に染め、両手で顔を覆って悲痛な声を上げる。 なぜか嗜虐心が募る自分に、ティエリアは少なからず驚いていた。 以前は感じなかった感情が、時間を重ねるごとにどこからともなく湧き出てくるのは、 ミレイナの影響なのだろうか。 とにかく、真っ赤になってふるふると震えるミレイナを虐めてやりたくて仕方なくなった。 「今更何を言ってる。見られたいとずっと思ってたんだろう?そう言ったじゃないか」 「――っ!そんな事、言ってないですぅ…!アーデさんの意地悪ぅ……」 くすりと微笑みながらあえてなじるように言うと、 ミレイナはますます赤くなって眉根を寄せて恥じ入っている。 ――可愛いな。そう思った瞬間、面白いほどに男根への嫌悪感が消えた。 いつもミレイナが自分にやったように、今度はティエリアが ミレイナの茎をそっと掴んで握り締めた。 「ひゃうっ…!!な、何するですぅっ…!!?」 「心配するな。君がいつもやっている事をやるだけだ」 「ええっ?で、でもぉ、ふああっ?」 ミレイナの弾ける声とともに、熱いそれが手の平でどくんと脈打ち、 硬度を増していくのが予想以上に愉しく感じられる。 どうやら感度は持ち合わせているようだ。 繊細さと豪胆さを兼ね備えたようなその触感を手の平で確かめながら ゆっくりと上下に扱き上げてやると、 ミレイナはヒクヒクと肩を震わせながら軽く吐息を漏らした。 ミレイナが何故ああも嬉しそうに自分を責め続けてきたのか、 ティエリアは今こそ手に取る様に分かった。 ミレイナの耳元に唇を寄せて、いつも彼女にやられていたように、低く甘い声で囁いてやる。 「気持ちいいのか…?ミレイナ……」 「はうっ…、んんっ…、そんな…事…、ないですぅっ…」 いつもティエリアが彼女に返していた通りの答えが返って来る。 明らかに嘘だと分かる、快感の篭る喘ぎ混じりの吐息での否定。 切なげに閉じられた瞼が、ティエリアの扱くタイミングに併せて ピクピクと痙攣する様を見ていると、もっともっとミレイナを乱してやりたくなった。 全く違和感もなくごく自然に体が動き、 気が付くとティエリアはミレイナの勃起に唇を落としていた。 「うそぉっ…!アーデさ…っ…、やあ…ぁっっ!!」 初めて聞くミレイナの嬌声が耳に心地いい。 決して傷つけないように指で優しく茎を扱きながら、 ピンクに張れた先端の膨らみを口に含んで唾液で湿らせる。 「アーデさ…、やっ…、ひゃめてくだ…さいぃっ…!」 「やめない」 もごもごとくぐもった声で言って、 ティエリアはほとんど迷いも感じずに、少女の茎を口腔深くに咥え込んで行った。 嫌悪感を感じるどころか、むしろそそり勃った茎が ぬぷぬぷと口腔内に吸い込まれていく様に興奮さえ覚える。 僅かに舌に広がった動物的な苦味を自分の唾液で中和しながら 舌を絡ませて根元を舐めてやると、ミレイナは腰を跳ね上げて可愛い声を上げた。 脈打つ勃起の鼓動を舌根に感じながら今度は先端まで抜き去り、 顕れた亀頭の薄皮を舌先でくるくると舐め回す。 「ひゃあ…んっ…!ビリビリくる…ですぅ…っ!!」 「そうか。……それは良かった」 ミレイナにされて自分が一番気持ちよかった事を思い出しながら、 ぬちゃぬちゃといやらしい音が響くのも気にせずに、 ティエリアはミレイナの快感を探るように舌を遣い続けた。 自らの唾液とミレイナの先端から滲み出た粘液で ティエリアの唇はほどよく湿って、ミレイナを優しく包み込む。 「あ…、ふああ…っ、ア、アーデさぁん…っ、  ミレイナ…は…おか…しくなっちゃうです…ぅっ!だめですぅっ…っ!!」 ミレイナの声を聞きながら唇で茎を締め付け、 そのまま唇をすぼめて再び根元まで勢いよく咥えると、 そのわずか1回のストロークでミレイナは限界的な快感を感じて悲鳴を上げた。 「きゃぁぁっ…!!?やだっ…、ですぅ!!」 初めての強すぎる快感に喜びよりも恐怖が勝り、 ミレイナは乱暴に腰を引いてティエリアから自身を取り戻した。 「う、うう…。今の…、何ですぅ……?」 ミレイナの茎全体にティエリアの残した唾液がてらてらと纏わりついて卑猥に輝き、 充血した先端は刺激を失っても未だ快感に震えていた。 「ア、アーデさぁん……」 戸惑いがちにティエリアに視線をやると、 ティエリアは唇を濡らす唾液の跡を拭おうともせずに、嫣然と笑いかけてくるのだった。 「……それが君が僕に与えていた快感の、ごく一部だ」 「ふうう……」 ぞっとするほどの色気に満ちたティエリアの白い肌は透き通るように美しくて、 ミレイナの背筋がぞくぞくと戦慄く。 自分が優位に立っていたときには気が付かなかった、ティエリアの新たな表情――。 思わず見惚れるほどに綺麗で、どこか残酷で、脆弱な心身を見下しているようで。 しかし、だからこそミレイナはこれを犯して破壊してやりたくなってしまう。 肉体の一部が変化しただけで、決して精神まで男になったわけではない。 それでもミレイナの雄性は激しく奮い立ち、勃起はティエリアを求めて激しく疼いた。 「どうした?」 ティエリアに試すような視線で見つめられた時、ドクンと心臓が飛び跳ねて、 ミレイナはどうにも衝動を堪えきれなくなってしまった。 「アーデさんっ!!  ミレイナは、やっぱりされるよりしてあげる方が好きみたいですぅ!!」 ティエリアにがばっと飛び掛り、全身をすり付けて乱暴にベッドに押し倒す。 硬めのスプリングが激しく揺れて、ティエリアの苦しげなうめきが下から聞こえてきた。 「ミレイナ、…っ…、どういう…、つもりだ…っ…?」 覆い被さったミレイナを見上げるティエリアの視線には、 今度は戸惑ったような、怯えたような色合いが強まっていた。 ミレイナの勃起の感触を肌に直接感じ、 その威圧感と熱さに本能的な恐れを抱いてしまったらしく、 いつの間にかティエリアの方の雄は萎え切っている。 「アーデさぁん…。やっぱり、ミレイナじゃダメなんですか?  ミレイナを舐めても、触っても、全然興奮しないんですかぁ?」 「そ、そういうわけでは……」 ミレイナの言葉にはもう悲しみの色はない。 ティエリアの言い訳を最後まで聞かなくても、今のミレイナは平気だった。 常にされるがままで、時には嫌悪の表情さえ浮かべていたあのティエリアが、 さっきは自分からミレイナの一部を愛してくれたのだ。 しかも厭々というわけではなく、ごく自然な愛情を持って。 それがミレイナに、自信を取り戻させていた。 ミレイナにいつも通りの天真爛漫な陽気さが戻る。 「それでも、別にいいですぅ♪ミレイナが触ってあげるですぅ♪」 「な、ミ、ミレ……!!?」 ミレイナは明るく言うと、押しのけようともがくティエリアの腕を強引に振りほどき、 すっかり興奮の色を潜めた桃色の乳首へとしゃぶりつく。 「あぁ…っ…!」 蕾の周囲を舌先でくるくるとなぞり、その範囲を急速に縮めて直接乳首を転がすと、 ティエリアは敏感に反応して身をくねらせた。 一瞬で攻守の関係が逆転した。 「ミ、ミレイナ…っ、ぼ…くがしていたのに…っ、ん…んっ!」 「だって、アーデさんはされる方がお似合いですぅ♪  ほら、こうやって舐めてあげると、アーデさんのここ、すぐ硬くなっちゃうですぅ……」 ミレイナはその言葉通り、あっという間に尖るほどに硬くなったそこを 上下左右に動く器用な舌先で強弱を付けて舐めあげては、 時折唇でついばんできゅうっと吸い上げた。 「ふああっ…、やめ…、やめ…っ……」 「舐められる方が好きなんですよねぇ?アーデさんのここ…。  ミレイナも知ってるですけどぉ、それじゃあもうかたっぽが可哀想ですぅ♪」 「な…っ。…ん…なこ…と…、あ…ぁっ!」 ミレイナはもう片方の突起へと指を伸ばして、くるくると尖った先端を刺激していく。 「やっ…、やっ…!ああっ…!あぁんっ!」 乳首の快感は露骨に下半身にも響き、ティエリアの秘所からは新しい蜜が滲み出て、 萎えていたはずのペニスも反応してどんどん膨張していった。 悶えながらティエリアはミレイナの髪を掴み、 突き離したいのかもっと舐めて擦って欲しいのか、 どちらとも判別のつかない手付きで髪の毛を掻き乱すのだった。 「アーデさん、そんなに気持ちいいですぅ?でも、まだまだですぅ♪」 乱れる髪を気にも掛けず、ミレイナは乳首攻めを続けながら、 空いた右手をティエリアの下半身へと伸ばした。 ティエリアの太ももを強引に押し開き、いきなり秘所へと指を伸ばす。 ミレイナの指が軽く入り口を掠めただけで、熱くぬめった蜜液がたっぷりと付着した。 「すごい濡れてるですぅ…。中はぁ、どうなってるですぅ?」 わざわざ入り口を掻き分けるまでもなく、 秘穴は指を誘い込むように、自分の方からぱっくりと開いた。 「じゃあ、指、入れるから腰上げてくださいですぅ……」 「ちょっ…、やめっっ…!あんっ…、ああっ…!!」 ミレイナが指を2本重ねて入り口に挿し入れると、 肉壁はすんなりと異物を受け入れ、簡単にその侵入を許した。 ティエリアの腰が本能的に僅かに浮き上がって、奥までするすると入っていく。 「アーデさん、指2本位じゃもう我慢できないんじゃないんですかぁ?」 「んんっ…、そんな…わけない…だろうっ…!」 「でもぉ、こんなにするする入っちゃうんですよぉ?  最初は一本でも痛がってたくせに、ですぅ…」 全て入りきった途端に、指をきゅうっと締め付けてくる膣壁の圧迫感が、 先ほどティエリアに昂ぶらされた茎の快感にオーバーラップする。 今のミレイナは一応男なのだ。 せっかく生えた怒張をココに挿し込んだらどんなに気持ちいいだろうという 好奇心が否が応にも高まった。 その甘い快楽を夢見ながらミレイナは、 ティエリアの中をぬちゃぬちゃと抜き挿しながら責めはじめた。 「やぁぁっ、ああっ、やだ…っ…!ミレ…イナぁっ…、やめ…、んああっっ!!」 「ダメですぅ♪」 ミレイナは刺激に敏感になったティエリアの乳首の先端を 舌先でチロチロと小刻みに突付き、同時に膣内を掻き回す速度を速めた。 ティエリアはミレイナの髪を強く握り締めたまま、 もう片方の手でシーツをぎゅっと握って快楽に身悶える。 一度は冷め切っていたティエリアの体は、あっという間に高みに持っていかれそうになり、 後から後から溢れ出る蜜液がシーツにまで垂れ落ちた。 ティエリアのペニスもいつしか復活し、その興奮の昂ぶりをミレイナに教えた。 「アーデさん、随分気持ちよくなってるですぅ?じゃあ、こうすると、どうですぅ?」 「ふああっ、やっ、やぁっ…!!」 快楽に蕩けたティエリアの顔を視線を上げて見つめながら、 ミレイナは唾液にまみれた卑猥な突起を軽く噛んで、ティエリアを悶絶させた。 ティエリアの乳首も秘所もそれぞれいやらしく体液にまみれ、 軽く擦っただけでぬちゃぬちゃと卑猥な音を立て続ける。 「んんっ…、やぁっ、あぁっ、ミレイナ…っ、もう…もう…っ…」 ティエリアの膣内は随分熱くなり、 完全に潤みきった壁はぬぷぬぷと指を吸い込んでは吐き出した。 「アーデさん、イキそうですかぁ?」 「んんんっ……!!」 ここぞとばかりにミレイナは訊いてやった。 苦しげに首を振るティエリアからは思った通りに答えは返ってこなかったが、 代わりに膣壁が言葉に反応して、指をぎゅっと締め付けて限界を訴えてくる。 その魅惑的な感触に、あの考えがどうしても消えない。 「アーデさん、お願いがあるですぅ……」 ティエリアの絶頂寸前での依願は、先ほどナノマシンの事を告白した時と 全く同じタイミングだった。 快感が理性の動きを鈍らせる事は、ミレイナにももう分かっている。 今度こそミレイナは手加減するつもりはなかった。 冷たくあしらわれるのはこりごりだ。 責め続ける事で、ティエリアから抵抗の意思を奪う事にする。 「あぁんっ、んぅっ…、な、なん…だ…っ…?」 予想通りに、ティエリアは喘ぎながらも返事を返してきた。 ミレイナは長い責めで限界まで膨らんだ乳首を未だ解放せずに責め続けながら、 膣内に突き入れた2本の指をぐっと開いて壁を押し広げた。 その感触もまた、ティエリアに新たな悦楽を与えてしまう。 「ああっ…!」 ティエリアの顔が快楽にぐにゃりと蕩けた。 そのタイミングを逃さず、ミレイナはそっと耳元に囁きかけた。 「ココ…、にミレイナのを挿れてみたいんですぅ……。  いいですよねぇ?アーデさん……?」 「んくっ…ぅっ……、な、何言って…、ふああっっ!!!」 言葉の意味を咀嚼する為に瞳を開きかけたティエリアを諌めるように、 ミレイナは再びずんっと指を深く突き入れてティエリアを喘がせる。 「アーデさん、きっともっと気持ちよくなれるですぅ…。  指と大した違いはないはずですぅ。いいです…よね?」 「うく…うっ…、ずるい…ぞ…っ、ミレイナっ…!」 涙が滲み、涎さえ垂れ落ちそうなほどの快楽の只中で、 いくらティエリアとてまともな思考回路を辿れるはずがなかった。 もう随分昔から、ミレイナは今回の為の策を練っていたのかもしれない。 そんな考えがふっと浮かんだが、その瞬間それを読んだかのように ミレイナに秘所の敏感なポイントを絶妙に外して押し込まれて、 「―――ッ!!」 達したくても達せない生殺しの状態に陥れられ、ティエリアは声も出せずに仰け反った。 悔しいが、完全に隷属させられた身体のせいで、 少なくとも今の時点ではミレイナの提案に逆らう事は出来そうにもない。 「アーデさん…?」 「あぁぁっ、…くぅ…ぅっ…、す…、好き…にしろ…っ」 「んん?いいって事ですかぁ?」 小悪魔のような意地悪な、かつ妖しげな表情を浮かべながら、 ミレイナが確認するように乳首の周囲を円を描くようにくるりと舐めた。 「はううっっ!!いい…っ…、いいからっ…、はや…く…ぅっ…!!」 ほとんど自棄自棄になったかのようにティエリアが叫ぶ。 その瞬間、膣から指が勢いよく引き抜かれ、垂れた透明な液体がシーツに飛び散った。 乳首に長らく吸い付いていたミレイナの舌も指も即座に離れて快感が弱まった次の瞬間、 がばっと大きく足を開かされる。 ミレイナはティエリアの膝を折り曲げ、更に胸にまで付きそうなほどぐいっと押し上げた。 ミレイナのすぐ目の前に、勃起し尽くて先端から大量の先走りを垂らすティエリアの男性器と、 充血しきって絶頂を待ち侘びる卑猥な女性器が露わになった。 期待と興奮が入り混じる。 「うう……」 ミレイナの視線が恥ずかしい場所に集中するのを感じ、 ティエリアは羞恥で唇を噛み締めたが、 裏腹にペニスはビクビクと先端を震わせ、膣からも蜜液がとろりと一筋溢れ出て、 指でも何でもいいから早く貫いてほしくて堪らなくなってしまう。 「アーデさん、すごく震えてるですぅ…。可愛いですぅ…」 ミレイナは高鳴る鼓動を押さえきれずに、侵入箇所をじっくりと見極め続けた。 もう何度も見てきたその場所が、今は全く違う花園に見えて仕方ない。 沈黙に耐え切れずにティエリアが腰や肩をびくびくと震わせる、 そんな仕草が堪らなく扇情的で、ずっとこの美しい体を見ていたくなる。 「は、早く…して……くれ……」 遂にティエリアが、聞き取れないほどに掠れた声で懇願してきた。 「んん?何ですぅ?聞こえないですぅ」 「……ッ。分かってる…くせに…っ…」 「ん〜、ですねぇ?」 瞳を潤ませたティエリアの美しい顔と、ほのかに赤く染まったなめらかな肌を うっとりと見つめながら、お望み通りにミレイナは対照的に淫らにヒクつく 卑猥な女性器の入り口に先端を押し当てた。 「あうっ…!!」 熱い先端が触れた瞬間、びくんとティエリアが体全体を震わせた。 茎を誘惑するように蠢く熱い粘液と膣肉は、ミレイナにとって紛れもなく禁断の世界だ。 本来なら少女の彼女にはありえないモノを、ありえない場所に挿入しようとしている。 それでも僅かに感じていた戸惑いの感情は、ティエリアの切なげな表情のせいで、 あっという間に背徳的な誘惑に押し流されてしまった。 ぐいっと先端をめり込ませながら入り口を押し開くと、 そのまま中に引き込まれそうな感覚に陥った。 愛液のぬめりが茎を優しく受け止めてくれる。 「アーデさん、行くですぅ…!!力、抜いてくださいですぅ!」 「………っ!!」 ミレイナはティエリアの膝をより胸元へと押し付けると、 体重を掛けつつ、自身をゆっくりと挿入していった。 熱い膣内へとぬぷぬぷと勃起が進む度に、 ティエリアが低くうめきながら瞼を何度もきつく閉じる。 思ったよりも茎は簡単に奥へと吸い込まれ、ほどなくしてその影を完全に消した。 「はうう……。入っ…たの…か…?」 指とは比べ物にならない圧迫感と人肌の熱さを体内深くにまで感じ、 ティエリアの体も頭も、ミレイナで埋め尽くされた。 完全に繋がった下半身にスカートの裾が掛かり、 時折揺れてはティエリアの下腹部をくすぐった。 まだミレイナが微動だにしていないにも関わらず、下半身が微少な快感で疼き出す。 「すごいですぅ…。アーデさんの中、柔らかくて、熱くて、ねっとりしてて、  ミレイナを全部受け止めてくれてるみたいですぅ…」 ミレイナの心底感動したかのような恍惚とした呟きが耳に入ったが、 それを嬉しく思う余裕も、逆に恥ずかしく感じる余裕も ティエリアには残されてはいなかった。 秘穴深くまでがっちりと栓をした熱く太いそれに、 一刻も早くガンガンと突き上げて欲しくて堪らない。 ついこの前まではこんな風ではなかったのに、 こんなにも快楽を貪欲に欲しがるまでになってしまった自分が、 自分でありながら別人のようにも思えた。 ミレイナの熱を体内にしっかりと感じながら、 ティエリアはしばらく経っても目を開けることが出来ないでいた。 大きく足を開かされたこんなにも恥ずかしい格好で、結合部を露わに曝け出している。 ミレイナのスカートの丈は非常に短い。 少し視点を変えれば、繋がった場所がはっきりと見えてしまうに違いない。 そして、男根を挿入されても最早一向に怯える気配もない勃起した男性器――。 屈辱的なほどに恥ずかしくて堪らないはずなのに、 それをミレイナが見ていると思うと どうしようもなく興奮してしまう自分がいる事に気付き、 せめてそれを悟られないようにと願った。 怒りにも似た感情が爆発する。こんな状態は耐えられない。 「ミレイナ…!早く…っ…、動け…っ!!」 「は、はいですぅ…っ!」 ティエリアの怒気に衝き動かされたかのように、 ミレイナは慌てて埋め込んだ勃起をおずおずと抜き去り、再びおずおずと突き入れた。 「あ…っ…」 性器が擦れて確かに快感が走ったが、まだまだ期待通りのものではない。 指や舌なんかよりも、もっと深く激しい快楽の世界があるはずなのだ。 それを得なければ、こんな倒錯した行為をしている意味は全くない。 しかし、苦しげに表情を歪めるティエリアに気を遣ってか、 ミレイナの動きは指で責める時の半分に満たない勢いでしかなかった。 慣れていないぎこちない腰遣いも相まって、 ティエリアには暴発しそうな不満だけが強まっていく。 「も、もっと…っ…」 プライドも羞恥心も捨て去って恥ずかしい一言を何とか搾り出すと、 何故か急に気が楽になった。 「もっと奥まで…、激しく……っ……!」 「は、はいですぅ!!」 その瞬間、硬いものが膣肉を引き裂いて乱暴にずんっと突き入れられ、 激しい摩擦でようやく望んだとおりの快感がティエリアに訪れた。 「あぁぁっっっ!!…そ…れ…っ!もっ…と…ぉ…!!」 びくんと仰け反って嬌声を上げたティエリアの膣壁が、 ミレイナを食いちぎらんばかりにぎゅっと蠢いては締め付けてくる。 根元までしっかりと埋め込んで蓋をし、行き止まりのこりこりとした感触を 先端に感じながら、ミレイナは何か熱いものが飛び出そうになるのを必死で押さえ付けた。 こんな機会はもう2度とないかもしれない。 ティエリアに覆い被さって体重を掛け、密着させた腰を押し出して 勃起を最奥にまで激しく打ち付けていく。 「あっ、ああっ、ミレイナっ…、もっと…、ゆっくり…っ…!」 「んんっ…、そんなの、無理ですぅっ!」 ティエリアから漏れ出した愛液でたっぷりと湿り気を帯びた肉茎が、 何度も何度も膣内を往復し、密着感を強めながら激しい出し入れを繰り返した。 感度を強めていた最奥は、どれだけぐりぐりと激しく突き上げられても 痛みではなく極上の快感だけをティエリアに与え続ける。 「ああっ、あぁっ、あぁぁっ、ああんっ!!」 「アーデさんっ、イイですかぁっ…!?」 「んああっ…!!あぁんっ!い、いい…っ…!あぁぁっ!!」 ミレイナに秘所全てを蹂躙され、軋むベッドの上で上下に激しく体を揺さぶられながら ティエリアは真っ白になっていく自分を感じていた。 今となってはミレイナの浅はかな行為に感謝の念さえ抱いてしまう。 ミレイナが勃起を引き抜く度に結合部からは新しい愛液が溢れ落ち、 ペニスは淫液をダラダラと垂らしただけでは飽きたらず、 腹に付かんばかりに反り返っていた。 体が密着している故に、ミレイナの洋服が裏筋ごとペニスをぐいぐいと激しく擦り上げる。 「あぁぁっ、ああんっ、擦るなぁっっ!!体、離して…っ…、あんんっっ!」 膣に収まっているはずの肉棒の圧迫感はいつの間にか消え、 内部を擦られているのかどうかさえわからないほどの、連続した快感が下半身全体を襲った。 体のあちこちを汗と体液が混じり合った物が汚していく。 間違いなく、今までの行為の中で最高の快楽をティエリアは味わっていた。 「アーデさ…っ…、ミレイナ…、気持ちいい…ですぅっ…!すごく…いいですぅっ…!!」 「んっ、んんっ、ああっ、ふああんっ!」 ミレイナの柔らかな栗色の髪がティエリアの火照った肌にサラサラと落ち、 体が揺れる度に表皮を掠めて、上半身までを敏感にしていく。 ミレイナの熱と呼吸を息の届く距離で感じながら、深く繋がって快楽を共有する。 閉じる事さえ出来なくなった唇から水滴のように涎が滴ったが、 それを拭う理性はもはやティエリアに残ってはいない。 繋がった箇所から全身に広がっていくのは気を失いそうなほどの快楽のみで、 プトレマイオスを取り巻くどんな雑事も霧散していった。 淫具を受け入れた事はあっても、生身の茎を受け入れたのはこれが初めてにも関わらず、 ティエリアの体は限界がないかのようにどこまでも昂ぶっていく。 「んんんっ!!んっ、ああんっ!!やああっ!!」 無意識にティエリアはミレイナの腰に足を巻き付け、 背中に手を回してきつく引き寄せていた。 指と舌での開発の下地があるとは言え、ティエリアの余りの感度の良さと、 吸い付いて離さんばかりの膣壁の貪欲さにミレイナは驚きながらも、 精一杯に腰を引いては激しく突き続けた。 「アーデさんっ…、これが初めて…ですよねっ…!?  なのに、なのに、こんなになっちゃうなんてぇっ」 「ふああっ、あぁぁっ、んんっ、こんなになったのは…っ、君のせいだっ…!!  ぼくは…っ、あああっ!!」 ティエリアはせめてもの抵抗を見せたが、再びずんっと深くまで貫かれて言葉が続かない。 「ミレイナのせいじゃないですぅ!アーデさんの体がいやらしいんですぅっ!!」 抵抗の言葉さえ戯言のように受け止めて、 ミレイナは快楽に喘ぐティエリアの顔をしっかりと目に焼き付けながら、 乱暴にその頼りなげな体を揺さぶり続ける。 ふと視線を下げると、ティエリアの乳首が勃起してふっくりと肥大し、 放置されている事を恨むようにふるふると揺れていた。 「こっちも気持ちよくしてあげるですぅ!」 ミレイナはその先端に指をあてがい、きゅっと摘んで転がしてから、 硬くなったそれをぴんと弾いた。 「んっ、ふあっ、んああああっっ!!!」 その瞬間、ティエリアの体は激しく震え、弓なりに仰け反って絶頂に達した。 下半身も上半身も激しい絶頂を受け止めて痙攣し、仰け反った喉元が嬌声とともに震える。 ティエリアのペニスから勢いよく放出された夥しい量の精液が ミレイナの服に染み込んだだけでは足りずに、 ティエリアの鎖骨にまで飛び散った。 ティエリアが一際強く足を絡みつけたせいで下半身ががっちりと深く繋がり、 ミレイナはティエリアの最も深い所で、その絶頂の瞬間を勃起に感じていた。 一瞬空洞が出来たように緩まった膣壁が、 嬌声の迸りとともに一転して収縮しながら締め付けてくる。 「ふあんっ!だめですうぅっ…!?ミレイナも…、イッちゃう…ですぅっ!!」 何が出るのかは定かではなかったが、 ミレイナのそこにも熱いものが急激に押し寄せてきた。 勢いよく茎を駆け上がってくるそれは、 ティエリアの中に決して出してはいけないものに違いない。 直感的に危機感を感じて、快楽の波が過ぎ去ってようやく足の巻き付けを緩めた ティエリアの秘所からペニスを乱暴に引き抜く。 結合が解かれる時に名残惜しそうに膣壁が先端に絡み付き、 「んんっっ!!で、出ちゃうですぅぅっ!!!」 ずちゅっと剥き出しの先端が擦られて、 抑えがきかなくなった勃起からビシュッと水滴の塊が飛び散った。 ティエリアの腹の上に撃ち付けられた半透明のそれは、 強い粘性を持ってまるで生きているかのように一塊になり、ぐにぐにと蠢いている。 ティエリアのぼんやりと開かれた瞳がそれを捉えた瞬間、 再びキリキリと脳全体を締め付けるような頭痛が襲った。 「うぐっ…、ナノマシン……!?」 反射的にティエリアはシーツの端でそれを拭うと、 体の下から乱雑に抜き取って遠くへと投げ捨てた。 「ア、アーデさぁん……」 しばらくおろおろと様子を窺っていたミレイナは、 ようやく頭痛が沈静化して落ち着きはじめたティエリアを心配そうな顔で見つめた。 「っ…!……ミレイナ。もう2度とあんなものを使うな。いいな?」 あれだけ激しい交わりだったにも関わらず、 ただならぬティエリアの様子で、とても甘い雰囲気が漂うどころではない。 まだ頭の芯から完全には去らない鈍痛に顔をしかめるティエリアを見て、 ミレイナは怯えた表情でこくんと頷いた。 *** しばらくベッドに横たわって休息していると、 隣からはミレイナの安らかな寝息が聞こえてきた。 ティエリアに寄り添い、ぴったりと全身を密着させて ミレイナは疲れた果てたように眠りこけている。 ミレイナの下半身に手を伸ばして確認すると、そこは既にあるべき姿に戻っていた。 一安心したのも束の間、二人をつつむ毛布の中から漏れる 独特の性臭が鼻をつき、ティエリアは眉根を寄せた。 シャワーに向かおうと、体に巻きつくミレイナの腕をそっと除けようとすると、 ミレイナがううんとうめいて、より強くしがみ付いてくる。 「アーデさぁん…。行っちゃらめれすぅ……」 ミレイナの舌足らずな寝言に、ティエリアの口元が自然に綻ぶ。 無邪気な寝顔に温かい体温。 その全てがティエリアにとって居心地が良かった。 体を繋げた事で、ミレイナに今まで以上の親近感を覚えずにいられない。 一刻も早く汚れた体を清めたくて堪らないのに、 ミレイナの傍から離れる気になれないのだ。 ただ傀儡のように与えられる快楽を貪るだけの関係だったはずなのに、 いつの間にかミレイナの温もりを必要としている自分に気付き、 ティエリアは深く溜息を吐いた。 ナノマシンとイノベイター、その2つの単語がティエリアを陰鬱な気持ちにさせた。 計画の名の下に無意識の悪意を振りまくリボンズ達イノベイターの存在。 同じように人為的に生み出された、老いない体を持つティエリアが 彼らの一人である事は、どうやっても拭えない事実なのだ。 悲劇の主人公になるつもりはなくても、 何も知らずに自分と一緒にいるミレイナが哀れに思えて仕方なくなる。 「アーデさぁん……ここにいてくださいですぅ……」 ミレイナの甘えた声に、そっと囁き返す。 「大丈夫、僕はどこにも行かないよ。でも……」 ミレイナを優しく抱き締めて、続く言葉を飲み込んだ。 (……でも、君と僕には未来はない。  君が大人になる前に、僕は君を解放しなければならない。  君は命を落としてはいけない。   いつか大人になった君は、人間の相応しい男と出会って結ばれるべきだ。  それが僕の死によって叶えられるなら、それはそれで仕方ない。  でも、もしこの戦いを生き残ったら……) どう考えを巡らしても、堂々巡りの思考は一つの結論に導かれてしまう。 生き残ったとしても、やはり人間とともに暮らすなど無理な事なのだろう。 ましてやそれが無限の可能性のある少女だったなら尚更――。 「ミレイナ、すまない……」 押し潰されそうな思いを抱えながら、 ティエリアは少女の穏やかな寝顔を見つめる事しか出来なかった。