怖かった。
段々と魂を狩っていくうちに、それを実感していった。70、80、90と食べていく。
ある日、俺はふと思った。
"100個、全て食べ終わったとき、どうなるのだろう?"
このままかもしれない、でも…もしかしたらマカと離れざるを得ないかもしれない。逆に、彼女に捨てられるかもしれない…。
考えるうちに、アンニュイな方向に想像してしまって、思わず首を振った。マカがそんな酷い女の子じゃないことは、分かってる、いや分かってない。
…分からない。本当は…。
だけど、別に俺たちはそんな関係じゃないし…ん?そんな関係って何だ。なんだろう。
分からない。
分からない事がいくつもある。自分の事も、マカの事だって、何も…。
両腕の中に顔を埋め込んで、何か考えようとした。だけど…頭のなかに浮かんでくるビジョンはマイナスな結末ばかりだった。そんな自分が、俺は嫌になる。
「う〜ん…」
重いため息が漏れた。今悩んでいたって、本当は意味なんか無いのに-。
「どうしたの?」
急に空から声がして、ちょっとだけ飛び上がった。
「な…、マカ?」
顔を上げると、目の前に俺のパートナー、マカがいた。片手にはいつもの本を持ってい…なんで?
「もう、なかなか部屋から戻って来ないから何してんのかと思ったら…こんな真っ暗な部屋で」何やってたの?と彼女は苦笑した。
「え…」
言いたくはなかった、彼女の中で結論が決まっていたときが怖いから。
離れたくないから。ひとりに、独りになるのが、嫌だから。
「別に、何でも」…なくない。そう、言えなかった。
だから、この問題は心の奥底に-
「見え透いた嘘つかないで」
訴えるような声が耳に入ってきた。「そんな顔で言わないで。何が、不満なの」
怒ってた。静かに、自分の気持ちを抑えるように。眉をひそめ、口を尖らせ、目を細めてた。
…嗚呼。その眼でじっと睨まれたら。言うしか選択肢が無くなっちゃうだろ!
俺は立ち上がって、マカに聞いた。
「…なぁ、100個魂集まったら、どうなるの?」
「…。また変なこと聞くね?ソウルがデスサイズになるんだよ」彼女は一瞬戸惑ったあと、笑って答えた。
それは、分かってる。知ってる。
「そのあと…。それから、どうなる?」
「うーん、レベルが上がって…、借りれる本が増えたり、いろいろできる事が多くなったり…。あとは、そのままじゃないの?」
そのまま-?
「戦い続けることに変わりはないし、ブラック☆スターたちとかキッドたちと離れる訳でもないでしょ?それに」
マカは笑い直して
「ソウルがデスサイズになっても、あんたはあたしのパートナーだよ」
と言った。
その満面の笑みに、偽りはなかった。
「…あ!ご飯できたから呼びにきたのに。早く行かないと本当に冷めるよ、行こう?」
彼女は空いた方の手を俺の目の前に伸ばした。
「…うん」その手を、ゆっくりと握った。
-彼女の真意は分からない。けれど…。俺はこの温もりを失いたくないから、彼女と、このままの関係で…。
enど。