<緑のファーストコンタクト・2>
とりあえず、邪魔になるマントと堅苦しい上着を脱いでソファーへ座る。目隠しのまま立つのは意外と難しいものだと考えたゼロの配慮だ。もしうっかり揺らいで倒れてきてもルルーシュの力では支えることは不可能に近いということもあるだろう。
「なんか…ぷちエスエム?」
「なんだ?その気の趣味の持ち主なのか?」
「いやいや、別に持ち合わせてるわけじゃなくて…相手が相手ならそういう風にとれるなぁ、と。」
「私にその趣味はない。」
どこか笑い混じりの会話を続ける間にスカーフで目隠しをさせる。そのままふと離れると脱ぎ散らかした上着から携帯を取り出した。
「先に言っておく。もし不穏な動きを見せたら即刻にメンバーを呼ぶ。あと目隠しは勝手に外すな。」
「イエス、マイロード。」
携帯を開きスイッチを入れる音が聞こえて、ジノは素直に誓いを立てる。ついで両手を軽く挙げ、それだけは降参、という意思も伝えた。その態度に満足したのか、ゼロが再び近寄ってくれる。
―ちょっと詰めが甘い…かな?
実を言うと、目隠しされてはいるが、布地が薄い上に白地である為、シルエットがうっすらと見えるのだ。分かりやすく表現すれば、風呂場なんかに使われている、白い曇りガラス。曖昧ではあるが体のラインも、幾分白っぽくはなるが、肌の色も分かるほど。だが、そのことは言わないでおく。せっかくのおいしい状況を自ら返上するなど、そんな勿体ないことは出来ない。テーブルの横までくると仮面を外し、転がらないように注意しながら置いた。かたん、と硬質な音を聞き取ったジノが手を差し伸べる。その手を一瞬怪訝そうに見たあと、そっと自らの手を重ねると誘導されるように優しく引き寄せられた。
「レディを立たせたままにするのは気が引けるので。膝の上にどうぞ」
「…」
気遣いはありがたいが、女扱い、というのが全くもって慣れない。いや、正直苦手なルルーシュは眉間に皺を寄せた。騎士である彼には当然のこととして教育されているだろう。その自然な振る舞いに多少の抵抗はあるが、突っぱねるほどではない。渋々ではあるが、おとなしく従っておくことにした。
「ん〜…軽いなぁ」
姫抱っこをして横向きにさせると両膝に座らせてそのまま腰に腕を回した。
「悪かったな、ひょろひょろで」
ムッとして言い返せば笑いを誘ったらしく、肩が揺れている。
「いや、アーニャよりは十分重いですよ?」
「身長が違う」
言い募れば余計に気に入ったようで頭に頬を寄せてきた。
「確かに。でも俺に言わせれば心地好い女性の重みですがね?」
「女性に対して体重絡みの話は失礼に値する。」
「肝に命じますよ」
白くくすんだ視界の中でゼロ、彼女はそっぽ向いてしまった。なんだか、高級な、気位の高い猫を相手している気分で笑みがますます深くなる。
ナイトオブラウンズである、というのも要因かもしれないが、これまでに出会ったことのある女性は何かにつけては言い寄って来て、なんとしてでも取り入ろうとするような、そんな輩ばかりだった。だからか、ゼロのような、こうして捕まえておかないとどこかへふらりと行ってしまいそうな相手は新鮮で、自身の性格的にも追われるより追う方が好みかもしれない、と分析した。近寄っていかなければそこにいるのに、少しでも詰め寄ると一定距離を保って離れていってしまう。手に入りそうで入らない。この微妙な距離は結構楽しい。そして…
―どこまでが限界か、試したくなる…
口で手袋の指先を食み、するりと脱ぎ捨てる。
―せっかく仮面を脱いでくれたんだから、直に触らないとね?
腰に回した手をあげ、頬をなぞると肩が小さく跳ねた。
―お、いい反応。
そっと顎に指を添えてこちらを向くように誘導すれば素直に振り向いてくれた。両手で頬を包み指で唇をなぞれば、目を閉じたらしい。僅かに見えていた瞳の色が肌色になる。柔らかく艶のある髪をゆったり梳くとその心地好い感触に頬が緩んだ。
ゆっくり、ゆっくりと動いていた手が不意に止まって何事かと瞳を開く。すると、目の前が真っ白だった。
「!?」
何があったのかと理解するよりも先に唇に柔らかな感触があった。さらに何故か息苦しい。
「ぅんッ??」
声を出そうとしてもくぐもるばかりで音が発せない。だが、身に覚えのあるその感触は脳裏にスザクを思い描いた。
―これは…キス??
判断出来た時にはもうすでに遅く、突っぱねようとしても後頭部と腰回りをがっちり固定されてしまっている。
「むぅうーッ」
抗議の声もすべて口の中へ吸収されていった。なんとか逃れようともがき始めると、唇が僅かに離れる。
「ぅんッ…」
離れたと思ったらぺろりと舐めてさらに重ね合わせられる。くすぐったさに思わず開いた唇の隙間から熱く濡れたものが割り込んできた。
「っく…ふぅ…」
縮こまる舌を撫でられぎゅっと瞳を閉じると、上顎や歯列をなぞらえ背筋が震えた。
「…ぁふ…んぅ…」
濡れた音を立て何度も角度を変えつつ貪ると突っぱねていた腕の力が縋るように弱々しくなる。強ばっていた体からも力が抜け落ち、完全に委ねられていた。唇をそのままに体を抱き抱えると、体勢を入れ替えてソファーに寝かしつける。その事に体がぴくっと跳ねた。再び押し返そうと必死になる腕をやんわりと拘束し、頭の横に縫い止めるとようやく唇を解放した。
「…ふ…あ…」
酸素を求めて喘ぐ様が肌で感じる。視界が利かない分、想像力が発達するのだろうか?ジノの脳内は僅かな手掛かりを元に造り上げられた『ゼロ』が表情も艶めかしく喘いでいる。
吊り気味の瞳はとろんと潤み、白い肌が桜色に上気していた。紅くルージュを引いたような唇が艶々と光っている。
一つ、本物と決定的に違うのは瞳の色くらいだ。彼の脳内では黄昏時を思わせるラピスラズリのような蒼になっている。
「…声が思った以上に甘いかな…」
「ッな!触るだけだと言っただろう!」
「えぇ、『唇で』触ったんですよ?」
「っく!」
確かにどこを使って触る、とは指定していない。つまり唇であろうと触るという条件下なら『有り』になるのだ。悔しいが反論の言葉が見つからず、睨み付ける。不意に顔が近づいてきたのでふいっと反らせば、微かに笑いが漏れて首筋に柔らかく口付けられた。そのまま肌を舐めるようにトップスの上を唇が滑っていく。
「あれ?…ノーブラ?」
胸元に辿り着くなり不思議そうに訪ねられた。寝かされている状態では重力に従い卵を寝かせたような形になっている胸に手を添え、確かめるように撫でられる。いや、それ以前に、胸の頂きがつんと立ち上がっていた。
「…プロテクターで押さえるのにブラなんか着けるわけないだろう」
「…それもそうか。」
女の子の体事情に詳しくはないが、潰すのに形を整えるブラを着ける必要は確かにないように思えて素直に引き下がった。頬で胸の感触を確かめるとふわふわとした感触と張りのある肌の感触が伝わってくる。トップスの裾から手を忍び込ませて背中をなで上げるとびくりと体が跳ねた。
「っひゃ…」
「あ…背中弱い?」
「…だま…れ…っ…」
黙れ、とは言うが、指先で背中を撫でれば四肢がぴくぴくと痙攣を起こしている。
−ふぅん…かなり敏感なんだなぁ…
背中に回した手を前に持ってきて、トップスを捲り上げながら体を撫で上げる。ぷるんと黒いトップスから顔を出した胸がふるふると揺れる様は視線を釘付けにした。掬い上げるように揉みしだけばたぷんと音を立てて踊る。
−これで視界がクリアなら大満足なんだけどなぁ…
揉み上げては押しつぶし、摺り合わせて、と繰り返しているとゼロの呼吸が次第に速くなるのに気付いた。どうやら興奮しているのは自分だけではないらしい。その事に機嫌を良くしたジノは不意に乳首へ口付けた。
「ッあ!」
突然の事に声が裏返る。更に舌で転がされますます硬くしこるのが分かった。頭を剥がそうにも力の抜けつつある手では髪に指を絡める程度にしかならない。拒むことが出来ないでいるのをいいことの様に、ジノがもう片方の乳首を指でくにくにと摘み上げる。痛みを伴わず、感触を楽しむような触り方はむずむずしてじれったさを生み出し、体の性感を緩やかに刺激した。じわじわと上がる体温にくちゅくちゅと厭らしい音が耳に付いて余計に熱が上がるようだ。
−…スザクと…違う…
スザクの時は貪る様に、噛み付くように少し痛みを伴う愛撫が多かった。本人に余裕がなかった、というのが理由ではあるだろうが…
−こんな…抱かれ方は…知らない…
「ひぁッ!?」
突然きりっとした痛みが走り悲鳴とも嬌声ともつかない声が上がった。息を詰めて視線を下ろせばジノの口元が意地悪な笑みを象っていた。
「こんな時に考え事なんて余裕じゃん」
「あ…違…」
くっと乳首を摘み上げ乳房を揺さぶられると体がびくりと跳ねる。先ほどの痛みはこれだったか、と頭のどこかで冷静に考えてしまった。ぱっと離されると、痛めつけた場所を慰めるようにして舐められる。途端にぞくりとした感覚が背筋を走り、思わず熱い吐息を洩らしてしまう。
−…これがこの男の抱き方…
「気持ちい?」
「…きくな…」
ついジノの顔を見入ってしまっていたらしく、僅かに顔を上げて聞かれた言葉に羞恥を覚える。目隠しで見えないのは分かっているがつい顔を腕で覆い隠してしまう。きっと今真っ赤に染まっているだろうから。
なおも胸の頂を舐め回され、じんじんと疼き始める頃ジノの手が下に滑っていく。
「…おい」
どこまでする気だ?と思わず声をかけてしまう。
「こっちを確認する方が確実デショ?」
悪びれもせずに応える声に眉間に皺を寄せた。
「それに…」
「ッ!」
指がつぅ…とズボンの合わせ目を撫で下ろした。
「ココ、スゴイことなってそうですけど?」
「〜〜〜ッ」
−言われなくても分かっている!!!
撫でられた下にある秘華がずくりと疼くのが自分でも分かる。胸を散々に弄られ不覚にも感じてしまっていたからだ。正直に言ってしまえばトロトロの蜜でぐっしょりと濡れているだろう。ズボンのジッパーに指をかけたジノが声をかけてくる。
「触っても?」
「そこまでしておいて何を今更…」
一度火を灯された躯から自然に熱が逃げるのにかなり時間を要するのはスザクとの行為で熟知していた。ならば、かなり不本意ではあるが目の前の男に委ねて開放してもらった方が効率がいいに決まっている。それにそろそろホールに戻らなければカレン辺りが探し回るかもしれない。手段など選んでいられない、とは言うが、実際この男に抱かれるのも悪くはない、それが本音かもしれない。
「それでは失礼します」
−いちいち言うな…
腕で再度顔を覆い隠し、予想外に大きく響くジッパーを開く音の羞恥に耐える。腰を少し浮かすとズボンがするりと下げられていった。
「お、黒ビキニ」
「!貴様見えているのか?!」
−あ、しまった。
思わず口にしてしまってから己の失態に気付いてももう遅かった。
「答えろ!」
服を脱がせるだけなら手の感触でなんとでもなるが、着けているものの色とデザインまで口走ってしまってはもう言い訳が立たない。
「見えてるっていっても…曖昧だけど色が判断できるってのと辛うじて体の輪郭が分かるって程度だけどね?」
「つまり?」
「モザイク状態」
「…顔は見えてない?」
「イエス、マイロード」
そっと指が頬を撫でてから唇が降りてくる。つまり距離感覚が分かりにくいほどのモザイク状態ということ。それなら大丈夫か…とつい甘い考えを浮かべてしまう。だが、顔を片腕で覆っておくことにした。単なる気休めにしかならないが。
「ならいい。続けろ」
「…お言葉に甘えまして」
中断させられるかと危惧していたが、続行のお許しが出た。
−優しい?それとも疼いて我慢出来ないか…
どちらにせよ続けてもいいというのなら先に進むまで。
するりと割れ目をなぞれば濡れた感触が指に広がる。どうやらかなり感じてくれていたようだ。そのことに喜びを感じながら指を擦りつける。途端に切羽詰った呼吸が上がった。くにくにと擦っていると音に粘着質な響きが混ざってくる。
「感じてくれてるんだ?」
「…っは…そう…ぁ…いうお前こそ…」
「っわ!」
何時の間に忍ばせたのか、ゼロの手がジノの下半身にまで届いている。指先でするりと撫でられ思わず背中に旋律を走らせた。
「ずいぶんと溜まっているのではないか?」
くすり…と小さく笑いを交えて囁かれ、顔が熱くなるのが分かった。あぁ、きっと今とんでもなく妖艶な笑みを浮かべているに違いない。
「では…ソレのお相手とか願えますか?」
「…そうだな…口でいいなら」
「…え?」
「なんだ?不満なのか?」
「あ…いや…ちっとも…」
−むしろしてもらえるとは思ってもみなかった。
終わった後に自分で処理しなくてはな、と考えていたのだが、思ってもみなかった展開。あのゼロがしてくれるとは…言ってみるものだな…と思わず感動してみる。
「…っふ…」
体勢を入れ替え、ジノの上に乗り上げると腰を掴まれ引き寄せられる。何事かとうろたえれば薄い布越しに秘部へ口付けされた。
−あぁ…そういう事。
乗り上げる際に頭を跨いでいいと言っていた意味を今正確に理解をした。要は69がしたいらしい。双方共に弄れるのだから特に問題はない、むしろ好都合な体勢と言える。
−…そういえばスザクもこの体位が好きだったな
「ぁはッ…」
つい思考を別の場所へと飛ばしているとクリトリスを舐められた。次いでキツク吸われると腰が揺らめく。挑発的なその行為にルルーシュも止まっていた手の動きを再開させた。ズボンから取り出したソレはがちがちに硬く、反り返っている。先からはすでにとろりと汁が溢れより一層グロテスクな色になっていた。
「…は…むぅ…」
両手で支えて躊躇することなく口の中へと迎え入れるとびくりと脈打った。その反応に思わず笑みを洩らす。丁寧に舌で愛撫しては吸い付き溢れる汁を舐め取っていった。竿の部分に唇を這わせ、舌を滑らせて両手で扱き上げる。
−なんか…意外と慣れてらっしゃる??
「ぁ…ふぅ…」
くまなく舌を滑らせ懸命に扱き上げる感触に射精感が高まってきた。
−ヘタしたら先にイかされちまいそうだな
ゼロの意外な一面に素直驚かされ、その一面に出くわせた事に喜びを噛み締めた。
黒ビキニに指を引っ掛けて横にずらすとあらわになる秘華に唇を寄せる。途端に跳ねる腰と上ずった嬌声に笑みが零れた。溢れる蜜を舌で掬い取り、襞の中へと指を潜り込ませる。
「あぁッ!」
きゅきゅっと絞まる感触を楽しみつつ更に奥へと潜り込ませるとじりっと腰が揺れ動いた。小刻みに指を出し入れすれば嬌声がさらに上がる。
−指一本でこのキツさ…けど痛みを訴えなかったし何よりフェラできるってことは…
「最近ご無沙汰…ってやつ?」
「ぁんッ…うるッさ…っい…ぃ…」
柔らかな乳房を腹に押し付け背中を反らせつつ鳴く様は劣情を容赦なく刺激する。指を増やせばびくりと仰け反り、更に舌を加えて掻き回すと嬌声が高く甘く響く。中からトロリと溢れる蜜が量を増し、内股が痙攣しているのに気付いた。
−そろそろイくかな…つっても…
「こっちも限界…」
「あッ…や…あぁッ…んッく…ふぁッ…」
掻き混ぜる速度を速め、クリトリスに舌を這わせると彼女も負けじと深く咥え込む。震える舌を懸命に絡め、キツク吸い上げた。
「ッく…あぁ!」
「んっ…ぐ…ぅ…」
あまりの甘い刺激に目の前が真っ白に染まる。次いでぶるりと体を振るわせ自らの欲を解放すると彼女の口が全て受け止め、苦しそうにしながらもゆっくりと嚥下してしまった。全て飲み干してしまった後にようやく口が離される。
「ッ!…ひぃあぁぁぁ!!」
離されるのを待って仕返しとばかりにクリトリスを甘噛みし、指を中でバラバラに動かせば嬌声と共に仰け反った体が痙攣を繰り返した。きゅうっと狭くなる内壁を容赦なく擦り上げすっかり硬くなってしまったクリトリスに吸い付くと上体がくたりと落ちてくる。
「…イった?」
「…は…ん…ぅ…」
ちゅぷん…と濡れた音を立て指を引き抜くととろりとした蜜が絡まっていた。完全に脱力しきった体の下からゆっくりと抜け出してソファに仰向けで寝かしつける。汗で張り付いてしまっているらしい前髪を掻き上げてキスを落とすとくすぐったそうに身をよじった。
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