「陛下…」
微睡みの中でそう呼ばれるのを聞いた。そっと髪に触れる手の感触が布ごしであることに眉を寄せると布擦れの音がする。次に降ってきたのは柔らかな指先。思わず微笑みを浮かべると困ったようなため息が聞こえた。
「そんな表情されると困るのですが…」
「…なに…が…?」
ぼんやりとした視界に見慣れた色彩…茶色の髪と…緑の…瞳…触れる手の感触はきっとこの相手のもの…その広い肩の向こうに天井が見えた。
天井?…そんなはずない。今俺は机に座って書類を…
うにうにと目を擦ってなんとか起きようと努めているようだが、とろりと溶けた瞳にはなんら変化は見られない。眠いなら我慢せずに寝てたらいいのに。
…とはいえ、椅子の上はダメだ。この部屋に入ってきた瞬間、あまりの光景に一瞬固まってしまったんだから。
何せ…執務中の彼が今にも椅子ごと横に転がりそうだったんだ。そのくせ、羽ペンはしっかり握られている。…授業中もこうだったのかな?
とりあえず、抱え上げてソファーに移動するも一向に起きる気配はない。そっと指を開かせて羽ペンを抜き取ってもやはり起きない。全く…今が大変な時季だってことは分かってるけどさ。無茶はしないでほしい。そうでなくとも体力ないんだから。そんなわけで、ソファーに横になって健やかに寝息を立てる…僕の陛下は…起きてる時とは相反して今とても幼い表情をしている。ついつい頭を撫でると手袋の肌触りが嫌なのか眉間に皺が寄った。仕方ないので手袋を引き抜いてから撫でたら今度は嬉しそうな笑みを浮かべられてしまう。思わず言葉を漏らしてしまった。
「そんな表情されると困るのですが…」
「…なに…が…?」
まさか返されるとは思わなかったからかなり驚いた。何とか起きだそうとする彼を目の前にして固まること少々。
そして、今に至る。
本当に…ホンっトに…
どうしてくれようか?この生き物をッ!
この頃執務漬けで、ほとんど睡眠を取ってないことは知ってる。さらにその執務の内容で僕が手伝ってあげれる部分なんて微々たる事だってのも分かっている。
それに、彼、ルルーシュは弱みを見せるのが大嫌いだ。昔からちっとも変わらない。だからこそ、こうして睡眠を貪れる時には存分に貪ってほしいわけで。なのに…困ったことに僕の息子さんは彼を求め止まない。更にそれを知ってか知らずか(間違いなく後者だ)目の前の獲物は無防備この上ない。
まずいなぁ…この服、パイロットスーツを兼ねてるからぴったりジャストフィットなんだよねぇ…マントで誤魔化せるとはいえ…キツイ…
髪撫でるだけってのも…限度があるわけで…
キスくらいなら…許されるかな?
ソファーに運んだご褒美とか…少しだけ…
「…ん…」
あぁ、そんなうっとりした表情しないで?もっと欲しくなる。
「陛下…起きてください。」
なんとか理性を総動員させて騎士の仮面を被る。声も出来るだけ固く、冷たく…
「…やだ…」
−ッルルーシュぅぅぅッ!!
そんなぽやん…とした表情で破壊力抜群な甘い声出さないでよ!
「…もっと…」
そっと細く白い指が伸び、僕の唇を撫でてくる。…寝呆けてるな、ルルーシュ。
「それは…ご命令ですか?」
「ん。…もっとしろ…」
「…仰せのままに…」
言葉のままに顔を寄せると反射的にだろうか。顎を少し上げて瞳を閉じた。唇が触れ合うと首に腕が回され自然と深くなる。背もたれに腕を付き、己の身体を支えると僕の口の中に舌が差し込まれた。…うわぁ…初めてじゃないかな?ルルーシュからって…
熱を追い求めているのか、口の中を這い回る彼の舌は微睡んでいるからかいつもより温かい。僕の舌を探り当てると擦り寄ってくるように撫でてくる。動きは慣れないせいもあってかとても拙いけれども、相手をしてほしいと懸命に訴えてきた。首に回された腕にも少し力が入る様に小さく笑みを零すと、伸ばしてきている舌に歯を立てる。途端に跳ねる肩と朱を差す頬に指を滑らせ彼の細首を僅かに持ち上げた。
「ん…んっ…」
より深めた口付けで彼の口内を存分に楽しみ、名残惜しげに解放してやると恍惚とした表情で見上げてくる。
うっ…まずいな…理性が持たない…
「陛下…ご満足頂けましたか?」
しっとりと濡れそぼった唇を指先で撫でながら呟けばこくり、と頷いてくれた。
けれども…
「…もっと…」
「それは……ッ!」
うっとりと微笑む表情に釘付けになっていると、するりと足が腰に絡んできた。
こっ…これはッ!
「…陛下…」
「慰めて…」
おねだりキターッ!!
メロメロにした時しか聞いたことないよ?!こんなセリフ!
「執務室…ですよ?」
「ん…主の命令が聞けないのか…?」
「そんな…ことは…」
言葉を濁すとアメジストの瞳がじっと見つめてくる。それはどこか拗ねているような瞳であり、期待しています、と言わんばかりの瞳でもあった。
…あぁ…そうだね。口で君に勝ったことなんてないよ。
「しばしお待ちを。」
そう言って額に唇を落とすと扉へと歩いていく。扉の表札を外出中に替えて中から鍵を閉めた。せっかくなんだから邪魔されたくないしね。マントを外しながら振り返るとソファーの上でロングブーツを脱ごうと悪戦苦闘しているルルーシュがいる。意識がまだ朧気なんだろう、上手く脱げないらしい。苦笑しつつその高く上げた足を持つとするりと抜き去る。もう片方も同じように抜き去った。すると彼の笑い声が聞こえる。
「陛下?」
「褒めてつかわす」
「…ありがたきお言葉…」
ブーツをわきに避けて改めてルルーシュの上体に乗り掛かった。そうしたら彼の腕がするりと首へと回された。こつりと額を合わせると妖艶な笑みが返される。
どうしてルルーシュはこうも僕を煽るのが上手いかな?
「っん…」
首筋に唇を寄せて腰から脇へ上がり、そこから太ももへのラインを確かめるようにぴくりと小さく震える。腰のベルトを取り去り床へと落として上着を開くと、インナーの裾から中へと手を忍ばせた。ジリジリと這い上がらせるとつんと尖った実が指先に触れる。指の腹で捏ね回すと鼻にかかった甘い声が溢れた。
「ん…くぁ…っふ…」
「気持ちいいですか?陛下」
「んっ…いぃ…」
耳へと息を吹き掛けるように囁けばぴくっと躯が跳ねた。なんだかいつもより敏感?こりこりと捏ねたり押し潰したり弾いたりとする度にルルーシュの腰が跳ねる。いつもなら舌を這わせるまで震える程度なのに…余程興奮してるのかな?
「ひゃうッ…」
捲り上がった裾から覗くヘソをぺろりと舐めると背筋が反り返った。ついでに僕の肩を掴む手に力が籠もる。つぅっと腹の上を舌で舐め上げると堪らないのか首を打ち振るった。
胸の頂きに達する前に顔を上げると、切なそうな瞳にかち合う。
「…な…」
「陛下の乳首を…舐めてもよろしいですか?」
「ぁ…す、好きにしろ…」
「御意」
「んあッ!」
ちろりと舌先でくすぐった程度でこの反応。口に含んで転がせば身を捩って嬌声を上げる。
んー?薬は使ってないし…焦らすようなことは何もしてないと思うんだけど…ぐっと腰を密着させればルルーシュのがズボンの中で脈打ってる感触が伝わる。
結構ぱんぱんかな。
「すざ…く…ッ…」
「はい?」
「あ…その…」
「なんでしょう?」
下が苦しくなったのかな?胸から顔を上げてルルーシュの顔を覗き込むと目元がうっすらと朱に染まっている。訴えるようなアメジストの瞳を見つめていると、眉間に皺がよった。
「?…どうなさいました?」
「それッ…」
「どれですか?」
「だからッ…敬語ッ…使うな…!」
あぁ…そういえば…執務中って意識してたから無意識に使ってたや…さっきからおかしかったのはこのせいか。
っていうことは…
「…すざく?」
潤んだ瞳のルルーシュが上目遣いに見上げてくる。少し舌っ足らずなのは快感に浮かされているからだ。うん、やっぱり。
ふわりと笑みを向けるて不思議そうな表情をした。
「ですが、執務中ですので。」
「っな!」
にっこり笑ってそう告げればルルーシュの顔が面白いくらいに真っ赤に染まった。
「…言葉…ね?」
「スザク!」
「ルルーシュ陛下?こちらが窮屈そうですが…」
「ひぁッ!」
するりとズボンの股上を撫でると切羽詰まった声が上がった。そのまま押し上げるように撫でると爪先がぴんっと伸びる。太ももが無意識に閉じようとするのを片足を担ぎ上げる事で阻止して脈打つ彼の性器を布越しに掴んだ。
「はぁッ!」
「如何致しますか?」
「あ…ぁ…」
さっきまでは揉み擦っていた手を掴んだままにして何食わぬ顔で伺いを立てた。だって僕は彼の騎士だからね?彼の望まない事はしちゃいけないでしょう?
「陛下?」
「…脱が…せ…」
「何をですか?」
「ぅ…ズボン…」
「ズボンだけでよろしいですか?」
「〜ッ…ぱ…パンツも…」
真っ赤にした涙目で訴えるルルーシュはとても可愛い。だからついついいじめたくなっちゃう。
でも頑張って言葉に出せたんだからちゃんと脱がせてあげないとね?了解の意を告げてボタンに指を掛けると彼が口元に手を添えた。ついでに視線もどこかしら泳がせては僕の方をちらっと盗み見る。これはいつもの照れ隠しだ。恥ずかしくてどこを見ていいか、どんな顔をしていいか分からないらしい。
そんな彼を上目遣いに見つめながらするりと下を脱がせていく。上着の裏地が黒だから彼の白くほっそりとした足が更に強調されていて思わず喉を鳴らしてしまった。爪先からつぅ…っとなぞり上げると肌がふるりと震える。付け根まで辿ると先走りでしっとりと濡れるルルーシュの男根に辿り着く。僕のより一回りほど細く小さいそれは未だに初々しい肌色をして、熱に浮かされてかうっすら桃色に染まっていた。もうぱんぱんに張り詰めてるなぁ…一度出さないとキツイか…
「口で奉仕させて頂きます」
「え…あぁッ!あぁぁあぁぁぁんッ!」
一言断りを入れてからソレを口に含むと躯がびくんっと仰け反る。それだけでも今にイきそうな気配だった。手で扱き上げ、口の中にすっぽりと含んだソレを強く吸い上げると呆気なく達してしまう。高い嬌声と共に躯が痙攣を起こし、少し経つとふぅっと力が抜けた。吐き出された蜜を全て飲み込み、竿も綺麗に舐めてから漸く口を離すと奥に息づく蕾が見える。ルルーシュの呼吸に連動してひくひくと動くソコはとても厭らしい…ふっと息を吹きかけると途端に躯に力が入った。
「やぁ!」
「陛下のココ…ひくついてらっしゃいますが…」
「あ…ん…」
「どうしてほしいですか?」
「…いじって…」
「舌で、ですか?」
「ん…ゆび…も…」
「…欲張りですね」
「あぁ!」
小さく笑いを漏らしてぐっと両足を持ち上げ胸に付くくらい折り曲げる。そうすれば先走りで濡れた蕾が目の前に晒された。ちなみにこの体勢ならルルーシュにも今からすることが見える。辛い体勢ではあるけど羞恥を煽るにはもってこい…予想通りルルーシュの頬が赤味を増した。見たくないけど目を反らせない葛藤の中にいる彼の視線を受けながらソコへねっとりと舌を這わせる。途端にぴんと伸びた爪先を横目で確認してつぷっと指を突きたてた。
「ひぁ…ッん」
「気持ちいいですか?陛下」
「ぁん…い…ぃ…」
「そのようですね。私の指にきゅうきゅう吸い付いてきますよ」
「ゃん!…言う、なぁ…ッ…」
まだ1本しか入っていない指は食いちぎられそうなほどに締め付けられ、ルルーシュは強い快感をどうにか散らそうと身を捩っている。けれどその動きは僕の指を更に深く咥え込む結果になり、腰がびくびくと跳ねていた。これが無意識なんだから…相当性質が悪いな…指を中でくにくにと曲げるだけでルルーシュの前がゆるりと立ち上がってくる。あぁ…そんなに善がってくれてるの?でもこのままはまずいな…一応聞いてみるだけ聞いてみて…
「陛下…」
「ぁ…んぅ?」
「ごむ…ありますか?」
「……机…の…引き出し…」
「………」
「…なに…?」
「この部屋でして欲しかったんですか?」
「ば!」
「失言でしたね。少々お待ちを」
「〜〜〜〜〜〜」
そっと額に唇を当てて教えてくれた引き出しを探ってみる。すると…本当にあった…しかも潤滑油用のジェルらしきものも一緒に入ってる…
ルルーシュ?もしかして本当にココで僕に犯されたかった?
目的の物と一緒に必要不可欠なジェルもありがたく使わせてもらうべく取り出すと、待ちくたびれたと言わんばかりに不機嫌そうな顔をしている主の元へ戻る。機嫌をとるのに顔中へキスを落とすと、不意に唇へ指を押し当てて止められルルーシュから口付けを施してくれた。愛されてるなぁ…
口付けを堪能した後にその華奢な躯をソファの上へうつ伏せにさせるとルルーシュが慌て出した。
「はわぁ!?」
「腰を高く上げてもらえますか?」
「や…やだ…こんな格好…」
「そうですか?私はとても好きですけど…」
「………」
「それにこのままするとソファーが汚れますよ?咲世子に掃除を頼むの、嫌でしょう?」
「……いや…だ…」
「では我慢してください」
さらりとそう言ってしまえば恨めしそうな瞳が肩越しに覗いた。それににこやかな笑顔を向けるとジェルを指に取ってぐぐっと蕾の中へと埋め込むと途端に跳ねる腰が更に高く上がる。次いでくぐもった声を漏らしたのを聞いて緩く立ち上がり始めた前にごむを被せる。ソファーにぶちまける訳にはいかないものね?
ルルーシュの中は相変わらずきゅうきゅうと締め付けるが、一定のリズムで抜き差しを繰り返せばそれに合わせて緩めては締め付けてと変化してきた。
「あっ…ぁ…すざっ…く…ッ…」
「駄目ですよ。まだ充分慣らせていない」
「ゃあッ…も…イっちゃう…」
…どうしてこう僕の理性を呆気なく壊してしまえる事をいえるんだ、君は…
「…泣いて痛がっても止めて差し上げられませんよ?」
「…いいから……して…」
「…お望みのままに…」
寛げたフロントから自らの欲望を取り出すと指を抜き去った蕾に押し当てる。待ち望んだかのようにひくん、と震えたのが分かった。
「ッあぁぁぁああぁぁあ!!!」
一気に貫くと高い嬌声と共にびくんっと仰け反った首筋にキスを落としやわやわと胎動し始めた内壁の感触を味わう。絡み付いてくる襞は僕の肉棒を美味しそうに食み、蕾は離すまいと喰らいついてくる。眩暈が起きそうなくらいに気持ちいい…
白い布の裾から丸出しになった下半身がとても厭らしい…躯を喰らいつくして犯すのが僕だとしたらルルーシュは視覚と聴覚を犯す役を担ってるんじゃないかってくらいに妖艶な格好になっている。上体はほぼ乱れてないのに反して下肢は一糸も纏わず僕の欲望に喰らいついてるんだもの。しっとりと汗ばんで手に吸い付く桃肉を撫で上げると肩がぴくりと跳ねた。次いで内壁がきゅきゅぅっと吸い付いてくる。
あぁ…駄目だ…もう限界…
「あん…ん…っんぅ」
「陛下…」
「すざく…?」
「お叱りは…後ほど…」
「え?…ッあぁ!あっあぁっあ!ぁん!!」
あまりの快感に動き出したい欲望が渦巻く。その衝動に駆られるがまま突き上げると貪欲に食いつく内壁がたまらなく気持ちいい…必死に膝掛けへしがみ付くルルーシュの上げる嬌声が更に僕の劣情を煽る。ふと視線を上げると窓ガラスに映りこむルルーシュが見えた。
あぁ…そんな…酔いしれた顔して啼いてくれているの?
「あんっ!ぅあ!すざッ!くぅん!」
「なん…でしょう?」
「も!だめぇッイく…ん!イっちゃうぅ!」
「はい…私もッ…イきます…ッ」
「あっあぁっだしってッあぁんおく…にぃッ」
「おおせの…ままに…ッ」
「ッひああぁぁぁんッ!!!」
「ん…っく…ぅ…」
ふと目を開くと天井が見える。
…あれ?書類…は?
ぼんやりと焦点が定まらないでいるとひょいっと見慣れた顔が視界に入ってきた。
「おはようございます、陛下」
「ん?すざく?」
「椅子ごとひっくり返りそうでしたのでソファーに運ばせていただきました。」
そう言って微笑む顔を見たあと自分の状態を見下ろすと確かにソファーに横になっていた。しかもスザクの…ナイトオブゼロのマントを掛け布代わりに…くそっ…失態だ。ここ2・3日寝てなかっただけなのに…
「すまない、迷惑をかけた」
「いいえ」
のそりと上体を起こすとスザクが目の前に膝まづきブーツを履かせてくれる。…寝るには確かに窮屈だものな。
それにしても…さっきまでの夢とシンクロしてしまうのがなんだか居た堪れないな。まぁ…とりあえず…
「褒めてつかわす」
「……ありがたきお言葉」
ん?なんか笑いを含んでなかったか?じろりと訝しそうに見返したがにこにことした笑顔を返すだけだったので放っておくことにした。なんだ?気持ち悪い…
「陛下」
「…なんだ?」
椅子に腰掛けながら鷹揚に返事を返せば何かを手に取り俺からよく見えるようにソレを突き出してきた。そのブツを確認した途端、俺の全身の血が一気に下がっていく。なぜならソレは…
「欲求不満でしたらどこででもお付き合いしますよ?」
「ッ!!!!!!」
ソレは…引き出しに入ってるはずの…ジェルだった…
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