ぼんやりと灯る非常灯に照らし出された体は全身に浮かぶ汗によってまるで発光しているように見える。うつ伏せになって高く持ち上げられた腰は差し入れられた手が動くたびにゆらゆらと揺れ、ニールの劣情を煽り続けた。床に頬を擦り付けて啼く様は生唾を飲み込むほど厭らしく、捲れ上がったインナーの下で揺れる胸はその妖艶さに拍車をかけている。服を全く乱していないニールに対して刹那は黒のトップスしか着けておらず、むき出しの太ももがぴくり、ぴくりと小さく痙攣を繰り返していた。
「自分で腰揺らしてるみたいだけど……指三本じゃ物足りない?」
「ぁ……ニールぅ……」
「何がほしいか言ってごらん?」
「ぁんッ……んぅ……っはぁ……」
意地悪くきゅうきゅうと絡み付いていた蜜壷から指を抜き去って口付けで促せばもじもじと腰が揺れる。とろりと伝い流れる蜜に舌を這わせれば刹那の両手が己の桃肉を鷲掴みにした。
「ここに……にぃるの……あつくて……おっきぃの……ほしぃ……」
「ッ……サイコー過ぎるぜ、刹那」
舌っ足らずな言葉でおねだりをする刹那の腰を撫でるとはちきれそうな己を取り出し、じゅくじゅくに熟れた花弁に擦り付ける。押し付けられた熱に刹那の呼吸が更に浅くなるとこぷりと新たに蜜が溢れ出した。それでも擦り付けるだけでいると恨みがましそうな瞳が肩越しに向けられる。
「んっ……ぅ……」
「随分おねだり上手になったじゃん」
「うる……さッ……」
「口の悪さは相変わらずだけど……」
「ゃ……焦らす……なッ」
「はいはい、今くれてやる、よっと」
「ふああぁぁぁぁ!」
軽口を叩きながらぐんっと腰を突き出せば亀頭がずぷんっと潜り込み、仰け反った背中がびくりと跳ねた途端ぷしゅっと音を立てて液が床を濡らす。その光景ににやりと口を吊り上げると痙攣を繰り返す背中に口付けを落とした。
「なに?入れただけでイっちまったのか?潮まで吹いちまって。」
「ぁッ……やぁッ……」
「や、じゃねぇだろ。こんなに淫乱になって。」
「あぁんッ!」
ニールのモノを咥え込んで尚ひくひくと収縮を繰り返す花弁を指先でなぞれば刹那の甲高く甘い声が発せられた。桃尻を掴んだままの指がふるふると震えているのに目をやると体の下に腕を回してぐいっと上体を引き上げる。途端ナカを擦れる位置が変わってしまい刹那の蜜壷がきゅっと引き締まった。一瞬持って行かれそうになりながらも刹那の躯を膝の上に乗せると自重で更に深く抉る感覚にひくりと喉を仰け反らせている。
「はッ……全部……入ったな……」
「ぁッ……ふぅッ……ん……」
「イイか?刹那」
「ん……イィ……熱くて……とけそ……」
「まだ入れただけだぞ?」
これだけでメロメロになられては困ると腰を揺らせばびくりと震える刹那が首を打ち振るう。
「あッ……まだっ……ダメ!」
「んー?」
「イった……とこッ……」
「あぁ、イったとこで感じすぎるって?……上等じゃん……」
「あぁあッ!!」
ニールの手が腰を掴むとぐいっと持ち上げられて勢いつけて下ろされる。びりびりと体中を駆け巡る強過ぎる快感の波に刹那は悶えるばかりだ。正常位と違って縋りつける体は目の前にはなく非常灯に照らされた己の体のみ。ぷるぷると跳ねる胸を抱えるように両腕を躯に回して襲い来る波に何とか耐えて見せようとする。頭の片隅で目の前に鏡がない事を感謝しながらガンガンと攻め立てられる下半身に恍惚とし始めた。
「にぃッ……るっ……きもちぃ……い?」
「あぁッ……サイッコー……」
「ぁ……うれ……しぃ……ッ……」
荒々しく吐き出される呼吸を首に感じながら笑みを零せば、攻め立てる速さがぐんと上がった。悲鳴に近い嬌声を上げればその速さは保たれたまま休む事無く攻め続けてくる。躯の隅々まで余す事無く行き渡った快感に首を振るえば生理的に溢れたであろう涙が飛び散り、内股ががくがくと痙攣を繰り返し始めた。
「あッイくぅ!イっちゃッイっちゃうぅ!!」
「あぁッ……俺も……イくッ……」
「アッだしてっ!いっぱい!出してぇ!」
「刹ッ那ぁ……」
「ひあぁぁぁぁぁっ!!!」
一際強く突き上げられてまた液が噴出す感触と共に最奥に叩きつけられる灼熱に全身が仰け反る。何度か腰を揺らして全てを吐き終えたのだろう、ニールはぐたりと力の抜けた躯をそっと横たえてくれた。傷つけないように萎んだモノをそっと抜き取るとこぽりと小さな音を立てて白濁の液が溢れ出す。刹那はぼんやりとした頭で、その感触を両手で腹を摩りながら感じ入っていた。
「ぁ……ん……いっぱい……」
「……刹那」
うっとりと呟くと額に張り付いた髪を梳きながらニールが唇を重ね合わせてきた。
* * * * *
談話室の長ソファに座ったニールの膝を枕に横たわる。瞳を閉じれば腫れた目元に濡れタオルをあてがってくれた。激しい感情の起伏に疲れたのか刹那が小さくため息をついていると扉が開く音に続いて人が数人入ってくる気配を感じる。その証拠にニールが軽く手を挙げて挨拶をしているらしく、耳を済ませていると風の流れが頬を滑っていった。
「刹那、もう落ち着いたの?」
「フェルトか……すまない、いきなり……」
「うぅん、いいの。」
「それで?どうしたのか聞いてもいい?」
「スメラギ……」
「答えなくてもいいよ?」
「そうだ。言うのが嫌なら無理して答える必要はないぞ?」
「アレルヤにティエリアまで……」
「一応話し合いは済んだからな。」
向かいのソファに座るライルや、背もたれの裏にきたアレルヤとティエリア、すぐ横に立つフェルトとスメラギの気配を感じ、みんなに囲まれている事を感じ取る。そして先ほどしてしまった失態もあって少々気恥ずかしい。それを分かっているのか、ニールの手は相変わらず濡れタオルを押し付けたままだ。おかげでみんなの顔を見る恥ずかしさから逃れられている。だが、彼の悪戯心がいつ表れるかわからないのでその手の上に己の手を重ねて渋々口を開いた。
「その……」
「うん。」
「……嬉しすぎても泣くのだということを……初めて知った……」
ぽつりと呟いた言葉は本人には随分恥ずかしいらしく、タオルからはみ出している耳と頬が僅かに赤くなっているのが分かる。それに各々笑みを深めて刹那に分からないよう目配せをして笑い合った。
「ところでなんでまだパイスーのままなんだ?」
「ダブルオーの整備をするから着替えるのは面倒だと思って。そっちはもう着替えたのか?」
「いんや、せっかくなんでこのままシミュレーションしとこうかと思ってな。」
「それはいい事だ。もっと命中率を上げておいてくれ。」
「はいはい、下手ですいませんね?」
そのやり取りを聞いてニールが軽く目を瞠る。ライルの方は多分まだガンダムでの射撃に慣れていないそれでだとは思うが、その指摘を刹那がするとは思わなかった。しかもライルに『下手』とか言っているらしい。
「お?ということは刹那の命中率は上がったのか?」
「……………」
「黙秘かこら。」
ニールの記憶にある限りは狙撃関係は壊滅的だった刹那だが、少しはマシになってきていたと思う。だが、人に指摘するということはそれなりになったという事だろう、と聞いてみればいつものダンマリで返された。うりうりと頬を突付いて促しても黙秘は続く。それどころか鬱陶しいといわんばかりに手を振り払われた。
「正直に答えておいたらどうだ?」
「え?ティエリアは知ってんのか?」
「そうねぇ……多分艦内の人間のほとんどは知ってるんじゃない?」
「マジですか?」
「え?俺も知らないんだけど?刹那、狙撃が苦手なの?」
「あ?あぁ、俺と一緒に戦ってた時はもう…銃は一切使う事無くナイフオンリーだったからな。」
「へー……そうなんだ。じゃあますます気になるな。どうやって命中率上げたんだよ?」
「………」
断固黙秘を貫こうとしていた刹那だが、横槍が入ってしまった。どうやらここにいるメンバーは人をいじるのが好きな人種だらけらしい。小さく舌打ちをして眉間にもくっきり皺を寄せた。
「……少し……コツを掴んだだけだ。」
「コツねぇ……」
「スメラギ!」
「往生際が悪いぞ、刹那。」
「ティエリアまで!」
「ほぉれ、刹那、素直に言っちまえ〜?」
「……ぅ……」
さっき払った手がまた頬を突付きに来る。逃げるという選択は目に当てられているニールの手によって阻まれてしまっていて、刹那が選べる選択肢はすでに二つしかない。自分で言うか、他人に言われるかだ。心の底から嫌だという思いとともに重いため息を一つ漏らすと腹を括って話す事にする。
「……魔法の言葉を手に入れた……」
「「魔法の言葉ぁ?」」
刹那の口から魔法などという場違い極まりない言葉が出てくるとは思わなかった。その為に双子が同じ調子で素っ頓狂な声を上げる。
「あれか?緊張を解すのに手に鹿の字書いて飲むとか……」
「それどこぞの漫画のネタだよね?」
「所謂おまじないってやつだろ?で?なんだ?その言葉は。」
「…………つ……」
「「え?」」
「……狙い撃つ……」
ぽつりと答えたその言葉は、双子にしてみれば馴染み深い言葉だ。寧ろ、よく使っている言葉。
ぽかんとした顔で互いを見詰め合うとスメラギが苦笑を交えて補足してくれる。
「ロックオンがいなくなった後くらいかな。」
「え?」
「あなたの心を引き継ごうと思ったんでしょうね?刹那は。」
「『狙い撃つ』といって引き金を引き続けていたんだよ。なんとしても戦争を根絶しようとしてね。」
「あれから4年経って戻ってきた刹那の射撃はあの頃より格段に腕を上げている。」
そんな言葉を聞かされてニールはじわりと胸が熱くなったのを感じた。ライルもからかう気が削がれ、寧ろ4年前の子供がその必死さからここまで成長したのかと小さく息を吐いている。
「エクシアのデータにあんたの射撃データが残ってた。」
「え、あ、あぁ……」
「銃の構え方、引き金を引くタイミング、敵の捉え方……全部そのデータから習った。」
つまりは刹那の射撃の腕が上がったのはすべてニールのおかげだということだ。思わず弛んでしまいそうになる口元に手を押し当てて心の中で歓喜に満ちていると向かいのソファで残念でならないというため息とともにライルが仰け反っている。
「なぁんだ……それ、俺にゃ使えねぇじゃん……」
「努力しろということだ。」
「言ってくれるねぇ……」
「なんだったら初代ロックオンに手ほどきしてもらえばどうだ。」
「お兄ちゃんは構わないぞ?」
「そりゃ御免こうむる。」
タオルで視界を覆われている刹那には分からないが、にやにやとした笑顔のニールは少々意地が悪い表情になっている。それをいかにも腹立たしそうに一蹴するとソファから腰を上げた。ずかずかと扉の方まで歩いていくと一度ぐるりと振り返る。
「兄さんに教えを請うなんて絶ッ対イヤだね。」
「……行っちゃった……」
そんなライルの態度にニールはくすくすと笑い声を零している。それを頭の下に当たる太もも越しに感じると刹那が呆れたといわんばかりの声を上げた。
「……わざとか?」
「いいや?昔っからあんな感じ。変わらないなぁ、と思ってね。」
「苛めるのもほどほどにしてね?」
「分かってるよ」
「まぁいい。刹那、目元の赤みが引いてからでいい。イアンがダブルオーで待っているから。」
「あぁ、分かった。」
「無茶しないでね?」
「あぁ。」
各々労いの言葉を掛けつつ従来の任務に戻っていくとまた二人だけの空間になってしまった。刹那の指がニールの手を突付くとそっとタオルごとどけられる。
「そろそろ大丈夫だと思うんだが……」
「そうだな……赤みももうないな。」
「じゃあ格納庫に行く。離してくれ。」
上体を起こした刹那の腰にはニールの腕が絡み付いている。外してほしいという意味を込めて手を重ねるとひょいと膝の上に乗せられた。その行動に驚いているとちゅっと頬にキスを落とされる。
「……ニール?」
「ん?」
「整備にいきたいんだが……」
「うん。」
「離してくれ。」
「頑張ってきた刹那にご褒美のキスが終わったらね?」
ふわりと細められる瞳を凝視しているとそっと頬を撫でられる。ぐっと近づいた顔に反応して瞳を閉じるとキスは唇ではなく額に施された。
そろりと瞳を開いて上目遣いで見上げればしてやったりといった笑みが深められる。小さくため息を零すとニールの首に両腕を回した。
「………ばか……」
「……なんとでも……」
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