ウワキ疑惑ネタ注意!!!任務先で浮気疑惑な話です(あくまで疑惑)。疑惑でも許せんという方は、読まないことをお勧めします…。 うちのよめに久しぶりに長めの任務が入り、7日も家を空けてしまうので、寂しくて仕方がない。 最近ずっとよめと一緒の生活が続いていた。幸せだった分余計に今、一人の寂しさが身に沁みる…。 よめが側にいないのが悲しい…。早く帰ってこないかな…。 そう思いながらもよめの作っていったうまそうな飯を温めて食べる。 …そう、これも心残りなのだ。よめと一緒に美味い海鮮料理を食べた翌日、あまりの美味さに、嬉しくて、帰宅してからもよめの料理を絶賛したら、 「…じゃあ…ご褒美が、欲しいなー…。」 とよめに強請られたのだ。小首を傾げておずおずと言い出す様がかわいらしく、しかも、そういえばよめから直接何かをねだられるのは初めてだと気付いた ので、喜んで何か買ってやろうとした。だが、 「物は自分で買えるから、イルカ先生からしかもらえないものが欲しいです!」 などと、よめがかわいいことを言うので、早速かわいいよめのおねだりをかなえるべく、好きなものを何でもあげると言ってしまった。 …結果として、俺は、柔軟性について深く考える機会を得て、更に3日ほど動けない身体になったが、よめが大喜びだったので、ちょっとやりすぎを 注意するだけにとどめた。 だが、せっかくの料理上達の機会が失われたのは惜しい。よめも久しぶりの長期任務にしょぼんとしていてかわいそうだったし、俺が動けないでいる間に、 気を遣って沢山飯を作ってくれていたので、今回は言い出せなかったのだ。料理は練習しないと上達しないだろうから、今度の任務前にはちゃんと よめと相談しよう! ああ、それにしても…寂しいな…。それに…不埒な輩でも寄り付いてはいないだろうか、寂しい思いをしていないだろうか…ああ、心配だ…! ***** 俺は今、大事に、大事に、それはもう大事にしている大好きなイルカ先生とはなれて、山奥で野営中だ。何故か急に山賊を捕まえて来いなどという、 しょぼいくせに微妙に長い任務が入り、かわいくておいしいイルカ先生をおいて、こんな所で一人寂しく天幕の中にいる。 …どうも納得がいかない。 今回の任務内容なら、別に俺である必要はなさそうなのに、わざわざ指名でもないのに、しかも、写輪眼が必要なわけでもないのに、俺を使うというのは珍しい。 しかも、単独でなく、何故か暗部まで一緒なのだ。今までも急に任務が入ることがあったが、…あからさまに裏がありそうな感じだ。 こんなことをしそうなのは、ジジイか、ジジイか、ジジイ…つまりジジイ位なのだが、ひょっとするとイルカ先生に好意をもった不届きものが、 俺のいない隙に何か仕掛けてくるのではないかと心配で、忍犬たちをほとんど全員イルカ先生の守りにおいてきた。 忍犬たちには、ジジイなら即返り討ちに、不届き物は抹殺も視野に入れて行動するように良く言い含めてきた。忠実な忍犬たちは、きっとイルカ先生を 守ってくれるはずだ!が、…やっぱり心配だ…。ちゃんとご飯食べてるかな…。前のときみたいにやけ食いしても大丈夫なように一杯飯作ってきたけど …足りなくなったりしてないだろうか…。それに…寂しくて泣いてたりしないかな…。 ああ、それにしてもどうしてこんなに長くイルカ先生とはなれなければいけないのか理解できない!!! …いっそのこと連れてきちゃえばよかったかな…。 そんなことを考えて、鬱々としていると、何故か俺の天幕に何者かが近づいてきた。 「何の用?」 イライラした気分のままに、ちょっときつめの声を掛けると、外の気配が揺らいだ。 「カカシ…先輩」 ***** 朝っぱらから何故か三代目に呼び出された。今日は、せっかくそろそろよめが帰ってきそうだというのに、朝っぱらから不愉快な噂話を聞いてしまい、 とても腹が立っているので、ちょっと三代目にも冷たくしてしまいそうだ。 …それというのも、うちのよめがウワキをしたなどという根も葉もない噂を吹聴して回っている輩がいるというのだ!!!うちのよめがそんなことを するはずがない!!!ひょっとすると、まだこの前の連中の残党がいて、またよめ虐めが始まったのかも…。 うちのよめがあまりにも優秀で料理上手で、しかもやさしくてかわいいから、おろかな輩に目をつけられやすいのかもしれないな…。 発見次第、それ相応の目に合わせたくて、調査したのだが、噂を聞いたものは沢山いるにも関わらず、誰もその姿を覚えていないのだ。 噂の内容も、よめが誰かと一緒に天幕を使って、一晩中出てこなかったとか、そんなあいまいな内容だ。任務上で必要な会議とかだったのかもしれないし、 単に天幕がたりなかったかのかもしれないのに…。 とにかく…どこかにうちのよめを陥れようとしている悪辣な輩がいるのは確かなようだ…。そんな奴らには罰として、現在開発最終段階に入った、 よめ虐め隊撲滅システム搭載の、秘密基地にご招待だ!!! 三代目もうちのよめに良い感情を持っていなかった過去があるから、今回のことでそれが再燃するかもしれないと思うと、うちのよめが不憫でならない…。 イライラした気持ちで、三代目の執務室の扉をノックした。 「失礼します。イルカです。」 「おお、ひさしぶりじゃのう。イルカ。」 …そういえば最近三代目と話してなかったなぁ。よめの結婚式以来だ。俺とよめの結婚式に参加するために無理をしたのか、ちょっと体調を崩していると よめから聞かされていた。よめといっしょに見舞いに行こうと思ったが、 「相当調子が悪そうだから、かえって体調が良くなるまでそっとしておいた方がいいですよ。」 というよめのアドバイスも、もっとももだと思ったので、しばらく顔を見ていなかった。 …顔色がちょっと悪いような気がするが、話に聞いていたよりも元気そうで何よりだ。 「三代目、お呼び出しの…」 「イルカ、カカシのことは知って居るな?」 用件を聞く前に、三代目が切り出した。カカシのこと…うちのよめがどうかしたのだろうか? 「いえ、うちのよめがなにか?」 「奴がどこぞの女と天幕で一晩過ごしたという話はもう聞いておろう?」 女。女性だったのか、それならきっと、噂を流したのはうちのよめに振られた腹いせとかかもしれないな。 …女性はあまり酷い目に合わせたくないので、よめに対する謝罪の意思があれば許してやろう。…でも、もし反省していなければ、やっぱり 撲滅装置の餌食になってもらう!さっさと三代目にも理解してもらおう。 「ですが…!」 任務に出る前だって、あんなにかわいくおねだりしてくれたし、出る前も寂しがってずっとくっついてきたうちのよめが、そんなことをするわけがない。 「これだけ大きな噂になっておるのじゃ!十分証拠になるじゃろう。」 今日の三代目は妙に強気だ。根拠もなく、たかがウワサなのに…これは今日中に説得するのは難しいかもしれない。だが、…負けるもんか! 「…浮気なんてうちのよめがするわけ…」 「だが証拠もあるのじゃぞ。悪いことは言わん…即刻別れるが良かろう。」 だんだん三代目の一方的な発言に腹が立ってきた。こうなったら、今日はもう説得は諦めるしかないのか…。 「のう、イルカ、あんな奴のことなど忘れて、見合いをせんか?気立ての良い娘が沢山居るんじゃ。あのような不貞な奴のことなど、さっさと忘れて しまいなさい。」 「…三代目。」 「おお!イルカ。決心したか?」 得意満面な三代目の顔に、それはそれはものすごく、腹が立った。 「これは俺たちの問題です。夫婦のことは、よめと二人で話し合って決めます。…余計な口出しは…いくら三代目でもご遠慮願います。」 「イ、イルカや…。」 俺の言葉のせいで、三代目の顔色が悪くなっちゃたけど、知るもんか! 「お話がそれだけなら、もう失礼します!……じいちゃんのわからずや!」 三代目まであんなくだらない噂に騙されるなんて!こうなったら、うちのよめを守ってやれるのは俺だけだ!!! 俺は乱暴に扉を閉めると、さっさと部屋を後にした。 ***** 「ただいま…。」 任務自体はそうたいした苦労もなく、早く帰りたかった俺の努力のおかげで、5日ほどで終わった。だが…関係ないことでちょっと疲れたな…。 「おかえりなさい!」 ああ、久しぶりのイルカ先生…!!!相変わらずなんてかわいくておいしそうなんだ…!!! しかも、満面の笑顔で抱きついて来てくれた!…寂しがりやなイルカ先生をこんなに長く一人にしてしまった。またこんなことがあるのなら、 いっそ攫って閉じ込めたい…!それか、イルカ先生をいつでも持って歩けるような術を開発するとか…。 だが、そんなことをすれば、一番悲しむのはこの人だろう…。イルカ先生はなんだかんだいっても生徒たちや、ナルト、それに…悔しいがあのジジイ …三代目のことや、里の全部を大切に思っている。 …もちろん腹は立つが、俺のことを一番大切にしてくれているとわかっているから、イルカ先生へのちょっとしたおしおきと周囲への復讐だけで 耐えていけるのだ。 イルカ先生に抱きしめられ手密着したところから、じんわりとイルカ分が補給されていくのが分かる。染み渡るなー…。疲れているだけに余計に幸せが こみ上げてきた。 「ただいまです。イルカ先生。」 調子に乗ってうなじに吸い付き、ついでにしりを撫で回しつつ、今日の夕飯を何にするか考えてみる。イルカ先生は何がいいのかなー? 「…任務お疲れ様。」 優しく微笑むイルカ先生から、癒しビームが全方位照射されている…!!! 「ありがとうございます!!!」 たった今、俺の夕飯はイルカ先生に決定しました!!!でも、その前に、イルカ先生にご飯をしっかり食べさせなくては!…寂しい思いをさせたせいか、 ちょっと弱ってる様だし、おいしそうにご飯を食べるイルカ先生を見つめて癒されたい。 「すぐに飯作りますね!!!」 ***** よめが疲れ切った様子で帰ってきた。怪我はなかったが、だるそうにしていて、久しぶりに長めの任務だったから…と心配になった。 それに噂がもしかしてよめにも…とやきもきしたが、よめはちゃんといつも通りに飯を作ってくれた。そんな頑張りやさんなよめに、根も葉もない噂の話など したくない…!!!疲れているところにそんな話などして、よめが倒れてしまったら…俺まで一緒に倒れてしまう!!! しかしそんな俺の心配を他所に、よめはその夜に、一晩中しっかり元気であることを証明してくれた。…結果的に翌朝には俺の方がよっぽど顔色が悪く なったが、よめの無事を確認できて良かった!寂しい思いをさせてごめんなさいと謝りながら抱きついてくるよめは最高にかわいらしかったし、 …いつものようによめがくっ付いてくるのが嬉しかったからだ。 …気にしていないつもりだったが、やっぱりよめと離れていた時間が長かったから、変な噂ごときで少し神経質になっていたようだ。 こんなことで疲れてしまうなんて、夫失格だな…。 ちょっと疲れたが、今朝もいつもの様によめと一緒にアカデミーまで行って、そこからよめは上忍待機所に向かった。 だが、校舎に入るなり、同僚たちからまた不愉快な噂を聞いてしまった。 何故か噂の相手が人妻だったとか、いや昔付き合っていた女だったとか…とにかく妙に具体的になっていた。 …こんな噂を帰ってきたばかりのよめの耳には入れたくない!同僚たちには片っ端から余計なことを言わないように、ちょっとした実力行使とともに 口封じをしたが、…心配だ!!! よめに悪意のあるものが悪さをしたら…心配になった俺は仕事もそこそこによめのいるはずの上忍待機所に急いだ。 「だから!俺はそんなことしてないって!!!」 「ホントに?ふーん?でも凄い噂になってるわよ?…で、その変な袋はなによ?…ピンク色…?」 「あ、コレ?コレはほら、…紅!もうすぐ神様からステキなプレゼントが届くから!!!」 早速、よめが酷い目にあっている!!!話しているのは…紅先生か…? 「ちょっと!!!何してるんですか!?」 「え?あの?」 勢い良く扉を開き、よめに変な噂を吹き込もうとしている奴を怒鳴りつけた。…やっぱり紅先生か!…心の復讐手帳にしっかり記録しておこう…。 そんなことよりよめは無事なのか?! 「イルカ先生!!!怖かった!!!」 よめの方を見ると、可哀相に潤んだ目をして俺にがばっと抱きついてきた。よっぽど怖かったのだろう。俺にぴったりくっ付いて離れない。 「紅先生!…うちのよめに手を出すんなら、まず俺と勝負してください!!!」 ここは夫である俺が、事と次第をはっきりさせておかないと!!! 「なんでもないわ!!!その!…そう、カカシが変なじゃなくて、変わった袋持ってるから!!!ちょっとおもしろそうかなーって!それだけよ!!!」 本当にそうなんだろうか?…噂とかいう単語を確かに聞いたが…。 「ね、イルカ先生。先生がきてくれたから、もう大丈夫。…早くかえりましょう?」 優しくけなげなよめが、はかなげな微笑を俺に向ける。…しょうがない。ここはよめに免じて許してやるか…。今のところは…な。 「紅先生…ご存知のように俺はよめに余計な真似をする奴は決して許しませんので…あしからず。」 きっちりでっかい釘を刺し、これ以上変な噂でよめが傷つくことがないように、よめの手を強くしっかり握り締め、急いで家に帰った。 ***** 「イルカ先生。あのね…。」 「辛いなら、何も言わなくていいんです…あることないこと言いまわっている輩がいるようですが、…俺が絶対になんとかしますから。」 よめが辛そうな顔をしているので、俺まで苦しくなってきた。よめを苦しめる輩を早く排除しなければ!!! 「イルカ先生。…今回の任務で…」 意気込む俺に、何故かよめが悲しそうな顔で何かを言いかけた。が。 「あ、式。」 白い鳥が窓辺でこちらを伺っている。…アレは上忍用の…。よめがその白い手で窓を開けると、白い鳥は小さな紙に変わった。 早速よめがその紙に目を通している。 「俺宛、ですね。…ごめんなさいイルカ先生。呼び出しみたい。用事が済んだら急いでかえります!…でも遅くなりそうだから、先に休んでてください。」 よめはさっと印を組んで紙を焼き捨てると、俺の頬に手を伸ばして頬ずりしてからそう言った。寂しそうな顔…。 「でも…。」 あの式からして、呼び出したのは三代目じゃないだろうか…。 ひょっとして三代目がまたよめによからぬことを言うために呼び出したのでは…!それともよめに悪意があるものからの果たし状…!? 「大丈夫ですよ!ね、イルカせんせ。」 よめが俺の手をにぎってそういうので、とりあえずその場は諦めて寝ることにした。後をつけたいと強く思ったが、うちのよめは優秀だし、 俺の気配に非常に敏感なので、きっとすぐに気付かれてしまう。 「気をつけて…。」 「すぐに、帰ってきますから。ご飯、あっためて食べてくださいね!」 俺を心配そうに見つめた後、うちのよめはそう微笑んで、さっと闇に身を翻した。俺は置いてけぼりだ。 …だが、よめが心配だった俺は、よめが呼び出し場所に向かうのを見送ってから、急いでうちの忍犬たちによめを守るように指示した。 …何事もないと良いんだが…ああ、…凄く心配だ…。 …それに、さっき何を言いかけたんだろう。…まさか…うちのよめに限って…。 ***** せっかく久しぶりのイルカ先生を堪能しようと思っていたのに、やたらと変な噂が流れているし、最悪のタイミングで呼び出しだ。 イルカ先生は誤解してないと思うけど、あんな言い方したから、きっと凄く心配してるだろう。おとなしくうちで待っていてくれれば良いけど、 イルカ先生は心配しすぎると無茶をするから…。 そう思って、不安にかられた俺だったが、…忍犬たちが付いてきている。…イルカ先生の愛の賜物だ!!!慌てて何匹かを呼びとめ、 戻ってイルカ先生を守るように命じた。 俺はジジイの呼び出しだから、忍犬たちは要らないが、この隙を狙って、ジジイがイルカ先生の方に何か仕掛けてくるかもしれない…。 あのジジイ…もっと早く息の根を止めておけば…!!! くだらない用事は早く済ませるに限る。俺は火影邸のジジイの居室に飛び込んだ。 「ふん!礼儀知らずがやっときおったか…。」 えらそうにふんぞり返りやがって!!!このくそじじいがあることないことそこらじゅうに吹き込んだんだな!!!…おかげでイルカ先生が…!!! 「イルカと別れろ。お前のような浮ついた奴に、イルカの側にいる資格はない!!!」 ジジイがこの間とは打って変わって力強く言った。その様子に俺は確信した。…やっぱりコイツが裏だったな。 「話を聞いて居るのか!!!ふてぶてしい…そもそも貴様なんぞに可愛いイルカをやった覚えはないし…。」 くだらない話を延々と続けるジジイにうんざりした。コイツが裏なら話は簡単だ。…抹殺はさすがにまずいかもしれないが、…完膚なきまでに 叩きのめしてやればいい。別に死に掛けのジジイの身体を痛めつける必要はない。二度とこんなことが出来ないようにしてやれば良いだけだ。 「話は、それだけ?」 「な!?…貴様!!!その態度はなんじゃ!!!」 「これ以上くだらない話してる暇ないんですよ。イルカ先生が俺を待ってますから。」 イルカ先生は絶対に俺を信じてくれるはずだ。それにまだいちゃいちゃしたりないのに、このジジイのくだらない企みのせいで、 イルカ先生を堪能しそこなった。…落とし前は絶対につけてやる…!!! 「じゃ、御前失礼。」 黒幕に納得した以上、これ以上ジジイのたわごとに付き合う必要はない。さっさと家にかえらなければ…。ジジイがわめいていたようだが、 急いで家に帰った。 ***** 「ただいま…。」 駿身を使って急いで帰ってきたが、イルカ先生からの返事がない。…流石にもう遅いし、寝ちゃったかな…。あ、ご飯は食べてくれたみたい。 「うー…。」 やっぱり寝ちゃってたみたいだ。…でも何だかうなされている。…眉間によった皺や、ちょっとつらそうな表情に、半開きの口が合わさって …ああ、最高です!!! 「ウワキわゆるしませんよー…そんなことするよめは、…。」 …やっぱりイルカ先生は、噂を気にしていたようだ。…さっきのやり取りも影響してるのかもしれないけど、苦しそうな顔で寝言をいっている。 …疑われてちょっとショックだ…。…これはきっちり話をしておかねば。 「イルカせんせ…」 俺はそっとイルカ先生の肩をなでまわして、起こそうとした。 「うぅー…ウワキなんかしたら、どっかに仕舞ってとじこめちゃわないと…。」 予定変更。そんなにかわいいコトいう人は、食べちゃいます!!! 「ん!?あ、やっ…あ、おかえりなっさ…ちょっ…!あぁっ…」 寝ぼけているイルカ先生とのいちゃいちゃを楽しみながら、俺はこのかわいいイルカ先生を傷つけたジジイに復讐するために、 どうしたら良いかを考えていた。 ***** 昨日はなかなかハードだった…。虐められて慰めて欲しくなったのか、よめの暴走具合が結構な激しさだったので、なんだか太陽が黄色い…。 だがその前に怖い夢を見ていたので、それが現実じゃないことが良く分かってほっとした。 さっきからうちのよめは朝食の準備をしている。…アレだけやっても元気一杯だ。さすがうちのよめ!!! …よめが立ち直ったみたいなのでまあいいことにする。…ちょっと手加減するように、次からは言おう。 腰が痛むせいでおぼつかない足取りになってしまったが、よろよろしながら居間に移動し、よめを呼んだ。 …こういうことがあった以上、話はしておかないといけないだろう。 「カカシさん。ちょっとそこに座りなさい。」 「はーい。」 よめはかわいらしい声で返事をしてくれた。…うん。やっぱりよめがそんなことをするわけがない。というか、コレだけ俺といちゃいちゃしているのに、 他所にまわす余力があったらそれはそれで恐ろしい。とにかく!この間の任務で何があったのかを聞き出さなくては…。 「任務、こないだの。あの時凄く疲れてましたが、何かあったんですか。」 「あー…。ちょっと後輩がね…。任務はたいしたことなかったんですけど、夜遅くまで話し込んじゃって…。」 よめの歯切れが悪い…。何か隠しているのでは…? 「その後輩さんと、何を話してたんですか?」 「…あー…。その。最近のこととか…。イルカ先生のことを話したり…。」 やはりよめの様子がおかしい。…これは絶対に何か隠している…!そんな…まさかうちのよめが…ウワキ?!…これははっきりさせないと…!!! 「…他に好きな人が出来たんですか…?」 そしたらどこかに閉じ込めて仕舞っておかなくては…!!! 「そんなことあるわけないでしょう!誰がそんなこといったの?!三代目?」 「違います。…でも…」 よめが見たこともないくらい苦しそうな顔で言う。よめはいつも笑顔で俺の側にいてくれたのに、今は本当に悲しそうな表情だ…。…心に刺さる。 「ねえイルカ先生。なんでそんなことになってるのかわかんないけど。これだけは信じて。俺はイルカ先生のものです。…イルカ先生も俺のものでしょ…?」 俺の手を握り締めてきたよめの手が、震えている。こんなことは初めてだ!!!…本当にショックだったんだ…!やっぱりウワキなんてありえない!!! きっと、裏に何かあるんだ!!! 「もちろん!!!…ごめんなさい。疑ったりして…。」 よめの顔がぱあっと明るくなった。…この顔を見られるんなら、俺は何だってやれる。…うわさを流してる奴だって…瞬殺だ!!! 「…ちょっと、変な噂が流れてて不安にさせちゃったんですね…。すぐに何とかしますから!!!多分何か仕掛けてくるとしたら、 俺に対してだとは思うんですが、しばらく護衛に俺の忍犬つけますから、気をつけて!!!」 「でも、それじゃ!?」 よめはどうするんだ!? 「…半分は俺が連れて行きますから、大丈夫ですよ!!!」 よめも苦しくて辛い思いをしただろうに、けなげにも俺を慰めてくれた。…俺はなぜこんなにもかわいく、良く出来たうちのよめを虐める人が多いのか と、悲しくなった。 一緒に食べたご飯も、悲しさのあまりちょっぴり涙の味がした。 ***** 今日もいつものようによめ同伴で出勤し、アカデミーの入り口で別れた。…よめはああ言ってくれたが、やはりここは何が何でもよめの敵を 抹殺するのが夫の務め!!! …だが、よめには忍犬をつけられてしまったし、今は勤務中だ。しかし、こういう時に限って、何故か空き時間が多い。 …昼休み前の今なら、上忍待機所へ行ける。容疑者の一人に接触することができるかもしれない。 思い立ったらいてもたってもいられず、上忍待機所に書類を持っていくという雑務をもぎ取り、俺は急いで上忍待機所へ向かった。待ってろよ!ヒゲの容疑者!!! そう思って、勢い込んで上忍待機所にいったのに、 …ヒゲでクマ似の容疑者はいなかった。おかしい…確かに待機だったのを確認したのに…!…逃げたのか? 気合が入っていた分、容疑者の確保に失敗した反動も大きく、流石の俺も落ち込んだ。よめを守ることの出来ない夫なんて…落ち込みのあまり、 真っ直ぐに歩けなくなってしまったようで、よろよろとしながらよめを置いて一人で帰宅した。 そう、コレもショックだった…昼を一緒に食べていたよめにまた急に式が飛んできて、呼び出されてしまったらしいのだ…。 不愉快極まりない!!!ひょっとしてまた三代目のよめ虐めではないかと不安に思うが、よめに力強く、 「大丈夫ですから、お願い。俺に任せて…?」 などとと言われてしまっては、帰るほかないではないか!!! ああ、ものすごーく心配だ…。だが、そこそこ有力な証言を得たので、雑用を兼ねた偵察は無駄ではなかった。…最近ヒゲクマ上忍アスマ容疑者が何かに 怯えていたという情報を上忍待機室にいた人から聞いたのだ。…容疑はますます濃くなった。…とにかく、奴を発見し次第、よめ虐め隊撲滅システム搭載 改造済み秘密基地内に誘い込み、よめ虐め隊ホイホイEXの餌食にしなくては…!!! それにしても…ああ、よめは無理をしていないだろうか…。よめに何もしてやれないなんて…。 寂しくて心配でしょうがないので、忍犬たちと一緒に、よめ虐め隊捕獲用のトラップでも考えて気をまぎらわせよう…。 ***** 俺はあからさまに仕組まれた噂の実行犯を洗い出すべく、忍犬と術を駆使して、前回の任務の同行者を探った。 結果、里には誰もいないということが分かった。これは、明らかに三代目の手による、手の込んだ嫌がらせだろう。 イライラしながら、どうするか考えている俺に、ジジイから再びしつこく呼び出しがかかった。 …心配そうに俺を見つめる大切なイルカ先生を置いて、わざわざジジイのところに行くのはイヤだったのだが、…ジジイに接触することで、 何か解決の糸口が見つかるかもしれないと思い直し、執務室へ向かった。 「おぬしに任務がある。今すぐ向かえ。」 扉を開けるなり、ジジイは切羽詰った表情でそう言った。 「お断りします。じゃ!」 これ以上ジジイの遊びに付き合ってられない。大体職権乱用にも程がある。 「待てい!!!イルカとはもう別れたんじゃろうな!?」 ジジイは明らかに焦っている。…ジジイのほうでも予想外の何かが起こったのか? 「いーえー?何でそんなことする必要があるんですかねー?」 早速挑発してみた。…さて、耄碌ジジイはどう出るかな? 「ええい!!!イルカにはとっておきの見合い相手が居るんじゃ!!!貴様なんぞに邪魔をされてはイルカが…っ!」 あーなるほど。見合いに引っ張り出すために、俺を追い出そうとしたわけか…前回の失敗にまだ懲りてなかったようだな。 「ふーん?で、俺のくだらないウソを流したわけですか…。」 「ウソだという証拠もなかろう!!!言い訳ばかりしおって!!!イルカに貴様はふさわしくないというのが分からんのか!!!」 ああ、ジジイ完全に舞い上がってるな。三代目は何かを誤魔化そうとするとき声がでっかくなるから気をつけてってイルカ先生が言ってくれていた通りだ。 大体目が泳ぎすぎだ。…耄碌してるなー…。 「貴様はこれから任務じゃ!イルカにもそう伝えておく!!!」 「他にも余計なウソくっつけるんでしょ?…ああ、済みません。ちょっと用事を思い出したんで、またの機会に。」 任務なんてどうせでっち上げだろう。もし本当に必要なら、ソレ相応の対応があるハズだ。 「待て!!!!!」 大声で怒鳴るジジイを冷たい一瞥だけ放って、俺はさっさと執務室を後にした。 ***** 「カカシ。見つけたぞ。もう捕まえてある。」 俺の忍犬たちが、暗部服を着た男を引きずってきた。…なるほど、ジジイが焦ってたのはこのせいか。ジジイとの押し問答の前に捕獲されたのに 気付いたんだな。他にも何かあるのかもしれないが…まあいい。コイツに色々聞けば分かることだ。 「どこにいた?」 「北の森じゃ、ちゃんと任務が終わってから捕獲したぞ。他の同行者にも許可はとってある。」 さすが俺の忍犬!後で美味しい骨付き肉をやらないとな。 「じゃ、さっさと吐かせようかね。」 早速男を担ぎ、最近行っていなかった俺の家の地下牢につないだ。 「おい。寝たふりはもういい。さっさと吐け。…一応お前は元部下だしな。さっさと吐けば適当な所で許してやってもいい…。 俺のやり方は良く分かってるだろう…?」 面を引っ剥いでそういってやると、観念したのか、後輩は閉じていた目を開いた。 「あの!!!済みません!!!ごめんなさい!!!勘弁してください!!!俺には奥さんと子どもと犬とグッピーが待ってるんです!!!」 相変わらずだなぁコイツ。この前の任務であったときもこんな感じだった。奥さんと子どもと犬とグッピーについてやたら熱く語っていた。 …なんで暗部に入っちゃったんだろうコイツ? 「いいから、さっさと吐け。…ジジ…いや、三代目は何て言ってお前たちをおどしたのよ?」 自慢じゃないが、俺はそこそこ部下受けは良かった。…それに俺の恐ろしさを知っているこいつらが、ここまでする理由が分からない。 「言えません!!!」 案の定さっさと吐けば楽になれるものを、必死に拒む。…しょうがないか。 「ふーん?そんなに…俺と遊びたいわけ?」 俺は依怙地な部下を素直にさせるべく、早速愛用の洗濯ばさみを持ってきた。くだらなく見えるが、特性のコレをチャクラでしっかり固定したあと、 ゆっくりと引っ張ると恐ろしく痛い。ちぎれる寸前まで引っ張ってまた緩ませることを繰り返し、時々チャクラの固定をランダムに緩めて、どれが 外れるか分からない恐怖を味わわせたりもした。 勿論一箇所ではなく、全身の皮膚をコレではさむのだ。特に二の腕や大腿部の内側に、鼻、ついでに耳なんかも結構効く。目蓋なんかもお勧めだ。 地味に苦しいこの拷問は、意外と拷問慣れした奴にも良く効いた。 …ちょっと部下がオイタをしたときなどには、この罰則ですぐに更生したものだ。 ちなみに鏡で洗濯ばさみだらけの格好を見せてやるのも結構有効だ。暗部にくるような奴らは、自尊心の強いのが多いから、己の格好の酷さに 耐えられないことが多い。 …たまに新しい世界に目覚めちゃうのもいたが…。 後は鼻めがねと油性マジックだな。あ、股間に白鳥つきチュチュも要るかなー…? 「さて、どうして欲しい?」 両手一杯にステキな道具を持った俺に、部下はついに観念した。…コイツは一番この罰則を受けているからな。 「三代目がー…。脅すんですよー…。正体かくして噂ながせって…。断ったら暗部服にフリルをつける!もちろん色はピンクじゃ!!!そして面は 乙女チックなデザインのプラスティック製に変更じゃ!!!って言われて…。そんな格好したら、奥さんに逃げられちゃうじゃないですか!!! いっつも暗部服カッコいいって言ってくれてるのに…!」 律儀なのか何なのか、声色まで真似て必死で言い募る。…アホだな。でも、奥さんに配慮した点は評価してやってもいい。 「しょうがないな…。」 「ああ!!!ありがとうございます!!!」 「洗濯ばさみと鼻眼鏡だけで勘弁してやる。…写真は撮るけどね。あ、あと、またこんなことに加担したら、奥さんと子どもと犬とグッピーに 漏れなく写真を配るから!!!」 「ええええええ!!!!!!グッピーにも!?」 相変わらず驚くところが違うなぁ…。術はそこそこだし、任務だと結構やれるんだけど…やっぱり叩きなおす必要がありそうだ。 「じゃ、始めよっか…お・し・お・き!」 さっさと済ませて、イルカ先生を安心させてあげないとね!!! ***** あの後、奥さん思いな所を情状酌量して、おしおきは適当な所で切り上げてやった。 …むしゃくしゃした分は、ヒゲクマに復讐して溜飲を下げた。ウワバミは嬉々として俺のプレゼントを抱えていった。 …ま、頑張れヒゲ。いけにえってのも中々貴重な経験だぞ? さて、後は証言をアイツにさせてもいいのだが、ソレだとピンク暗部が出来てしまうようだし、他にも心当たりがあったので、早速式を飛したら、 やはりすぐに返事があった。コレで問題は解決だ!あのジジイに吠え面かかせてやれる!!! さて、ちょっとスッキリしたところで、晩飯何にしようかな? ***** よめがやっと帰ってきた!三代目に虐められているんじゃないかとか、よめ虐め隊の襲撃にあっているのでは…とか、激しく心配していたが、 無事でよかった!!! ちょっとスッキリした顔をしているところを見ると、いいことでもあったのかもしれない。ホッとした! 「今日はキムチ鍋です!!!」 よめは疲れているにもかかわらず、ご飯支度をしてくれるようだ。 …しまった!!!せっかくのチャンスだったのに晩飯作っとけば良かった!!!いや、まだ挽回のチャンスが…! 「今からだと大変だから、食いにいきましょう!」 一楽はまだ開いている!と慌ててそう言ったが、よめは手を休めずに俺にやさしく笑いかけた。 「あ、大丈夫ですよ!!!それに、ちょっと今日はお客様が来るんです。…勝手に約束しちゃったんですけど、いいですか…?」 あ、かわいい。…じゃなくて、そういうことなら仕方ないな。でもせめて少しでも手伝いたい! 「大丈夫!…手伝いは?」 よめが心配で言ったが、コレもにこやかに返された。 「大丈夫ですよー!!!そうだ!いい報告があるんです!!!犯人締め上げときましたよ!!!」 ああ!だからヒゲの容疑者がいなかったのか!!!流石うちのよめ!!!と思ったが。 「俺の昔の部下が、ちょっと悪い爺さんに騙されて、間違った情報を流しちゃったんです…心配させてごめんなさい…。でも!ちゃんと解決しました から!!!そのお礼も兼ねて食事です!!!」 ヒゲ…いやアスマ先生じゃなかったのか…。悪いことをしてしまった。…疑ってしまったお詫びに、またどこかでクマグッズを探してこよう。 ちょっと後悔している間に玄関でベルがなった。お客様が来たようだ。 「あ、来たみたい!済みません、ちょっと手が離せなくって、代わりに出てもらっても良いですか?」 「はーい!いらっしゃい!!!」 急いで扉を開けると、小柄でかわいらしい活発そうな女性と、ちょっと挙動不審だが、まじめそうな男性がセットで立っていた。 …女性の方は受付でも見ない顔だ。でも男性の方は知ってる。確か中忍で、俺と同じく内勤で、蔵書部の配属だったはずだ。 不思議な組み合わせに、ちょっと怪訝な顔をしつつ、案内をしようとしたら、黄色い声が上がった。 「キャー!ホント!先輩見る目有るわー!!!可愛い!!!私のダーリンには負けるけど!!!」 女性にかわいい呼ばわりされた。…ちょっと凹む。だがそれよりも連れの男性の顔色が悪い…。大丈夫かな? 「ちょっと!!!イルカ先生に余計なこと言わないでくれる!?イルカ先生にかわいいって言っていいのは俺だけ!!!」 よめがかわいいことを言ってくれている。…よめの方が俺なんかよりずっとかわいいのに、嫉妬してくれてるのかな…。ちょっと嬉しい。 「あの、どうぞ。」 ちょっとテレながら、お客様に改めて部屋にあがるように勧めた。 「おっじゃましまーす!!!先輩の愛の巣ですねー!!!」 「あのー。お、お邪魔します…。」 女性は最初のテンションのままで、男性の方も暗い顔のまま、恐る恐る部屋に上がってきた。 「さ、出来ましたよー!!!特製キムチ鍋!!!」 「やったー!!!キムチ鍋大好きなんですよー!!!うちのダーリン!!!ね!」 そういいながら、男性の肩を引き寄せて抱きついている。あ、うらやましいな。今度うちのよめにもやってもらいたい。 …それにしてもこの二人夫婦だったのか。テンションというかキャラクターが違いすぎて意外だ。 「あの!はい!」 でも男性の方は何だか緊張している。よめが上忍だから緊張してるのかな?きれいな顔はしっかり顔布で覆ってくれているし、 他に緊張する理由ってなんだろう? 「はいはい。じゃ、一杯食べてね。奥さんには大分お世話になったから。」 よめがまず俺によそってくれようとしたので、慌ててお客様に回した。 「あ、ソレイルカ先生用だったのにー。」 「お客様が先です!」 夫として、こういうことはちゃんとたしなめておかないと。 「…はい。ごめんなさい。」 よめもすぐに分かってくれた。嬉しさにお客様の前であることを忘れて、ついついよめの頭をなでてしまった。 それを見ていた女性の方が、嬉しそうに言った。 「せんぱーい!ホントだったんですね!!!驚いちゃう!!!」 「あ!待て!」 「あのね!こないだ任務に行ったらひっさしぶりにカカシ先輩にあって、何だかみんなで押しかけたら、一人がのろけだして…それで私も ついついのろけ聞いてもらっちゃたんです!!!私のダーリンのこ・と・で! 最初は、ほらカカシ先輩ってあんなだから、適当な返事しかしてくれなかったんですけど、先輩はどうなんですかってきいたらもう、しゃべるしゃべる! 結局5日間ぶっ通しで語り明かしちゃって、徹夜しちゃったんですよねー!ホントはーイルカ先生に怒られるから言うなって言われてたんですけど。 変なうわさ流す馬鹿がいたから、ダーリンにも誤解されちゃったら困るし!」 すごい勢いで言っている内容を整理すると、…この間の任務でよめがノロケまくった、というのが事の真相だったようだ。恥ずかしいと思う以前に …気が抜けた。 「あの、その、えーっと…」 あ、旦那さんの方が何かいいたそうにしてる。が、それをさえぎり奥さんの方がマシンガントークを再会した。凄いな。どうやったらこんなにいっぺんに 話せるんだろう…。ちょっと感心した。 「だいたいー!あの時って、私とカカシ先輩と、他にも暗部が何人もいたんですよ!!!何で二人っきりってことになったのかわかんないわ! …でも、多分カカシ先輩がイルカさんを傷つけるような奴、許さないから、きっと今頃血祭りね!!!」 確かにうちのよめは敵に容赦しないが、いくらなんでも血祭りはないだろう。…半殺しくらいでとどめているはずだ。ちょっと反論を試みようとしたが、 さっきからタイミングをうかがっていたらしい旦那さんの方に先を越された。 「暗部だったんだ…アカネ…。」 あ、この人アカネさんっていうのか。そういえば…暗部!?顔見せてていいのか?!そう思って慌てる俺を尻目に、夫婦漫才がテンポ良く展開された。 「そ、だからーウワキしたらヤッちゃうから☆宜しくね!」 「…うん。それは絶対ないから、大丈夫。」 「もうばかばか!かっこいんだからー!!!」 ああ!流石に首はまずいんじゃないか?顔色が…。 「うぐっ!」 「あ。」 「ちょっと!!!イルカ先生の前でなにやってくれてんのよ!いちゃつくんなら他所でやってよ!!!」 よめが止めに入ってくれたが、コメントがおかしい!その前に旦那さん顔色緑色だ!とにかく意識の確認だけでもしなくては! 「あの、だいじょうぶですか?!」 「あ、げほっ。大丈夫です。…いつものことですから…。」 旦那さんの耐える様子に、何かデジャブを覚えたが、それよりも…よめを全力で受け止めるその姿勢は確かにカッコいい。…俺も見習おう。 男は器が大きくないといけないな!!! 「あ、ごめーん!大丈夫?ダーリン!!!」 「うん。」 気遣いしあう夫婦の姿に、俺もよめにくっ付きたくなった。そっとよめに寄り添うと、嬉しそうによめも俺にもたれかかってきた。幸せだ!!! その後、旦那さんの方がパワフルな奥さんのせいで何度か気絶の危機にみまわれたが、美味しいよめのキムチ鍋をみんなで楽しんだ。なべの後は お酒も飲んで、散々大騒ぎした後、結局奥さんの方がいろいろあってぐったりした旦那さんを担いで帰って行った。 玉には大人数での食事もいいなと思いながら見送っていると、よめがそっと寄ってきて気まずそうに言った。 「イルカ先生。ごめんなさい。誤解を解くのにちょっと協力してもらったんだけど。…そのお礼にどうしてもイルカ先生を見たいっていうから…。 疲れちゃいましたか?」 よめのために働いてくれた人をもてなすのは当たり前だ!それに同じような境遇にある人に男の生き様を見せてもらったので、十分楽しかった。 早くよめの心配を解消してあげなくては!!! 「大丈夫!!!楽しかったから!!!」 「ありがとう。イルカ先生。…大好き。」 その晩は、そんなかわいいことを言うよめと、くっついて過ごそうとして、他のところまでくっつくはめになった。 ***** 悪い爺さんとやらを退治したかったが、よめがすでに天誅を下したそうなので、今回は見送ることにした。 …せっかく疑いがはれたので、三代目にも頼んで罰を下してもらおうと思っていたので残念だ…。 まあ、とにかく。よめがウワキをすることは金輪際ないと実感できた。せっかくの機会だから、よめにもうみの家直伝とラップ倉庫と 対嫁虐め隊用の秘密基地を教えておこう。両方いっぺんに回るのは大変だから今日は倉庫の方にしよう。 幸い今日はお休みだし、ゆっくりレクチャーできる! 朝食が済んですぐ、早速よめをつれだそうと決めた。 「今からちょっと出かけましょう。付いてきて。」 「はい!でもどこへ行くんですか?」 よめがちょっと不思議そうな顔をしている。説明するのもいいが、現物を見せた方が早いだろう。…うみの家のよめとして、是非知っておいて貰いたい。 ちょっとドキドキしながら、よめの手を引いて里のはずれの隠し通路を歩いていく。ここは結界とトラップだらけだが、俺と一緒なら引っかからない。 「こんなところがあったんですね…見たことない術式…それにトラップも…。」 よめが結界などを見て驚いている。…何せうみの家直伝トラップ倉庫は秘中の秘。暗部にいたよめにも知られていないのは当然だが、 不思議がる様子がかわいいし、これからこの秘密を共有できると思うと嬉しくて仕方がない。 「着いた…!」 一際大きな扉の前に立ち、印を組む。…後でよめにも教えようと思っていたら、しっかり写輪眼を使っていたので大丈夫だろう。 「さ、ここです。」 「これは、…すごい…!」 よめが驚くのも無理はない。大掛かりなものから小さいものまでさまざまなトラップがひしめくこの倉庫は、今では俺以外誰も知らない。 …これからよめにだけ教えるのだ!!! 「これ、使ったことある…。イルカ先生が作ってたんですね…!」 「あ、ソレ。破壊力の割には美しくないんですよね!」 あ、しまった、トラップ語りをする前に、重要なことがあったんだった。 「ここは、うみの家直伝とラップ倉庫です。…これからちょこっとずつ覚えていって下さい。大変ですけど…うちのよめさんですからね。」 「イルカ先生…!!!」 瞳を潤ませたよめに抱きしめられた。思わずにやけてしまったが、ちゃんと言っておかないとな。 「あと、一応言っておきます。コレを見ても分かるように…俺はトラップが得意です…。浮気したら…酷いですよ…?」 笑いながら冗談めかして言ってみた。…よめがそんなことをするわけがないと知っていても、あんなにかわいらしい人といっしょだったと思うと ちょっと腹が立ったのは事実だ。他に男たちもいたらしいし、一生懸命しゃべるよめに惚れてしまったかもしれない。 …これ以上うかつなマネをして欲しくない。 「大丈夫です!!!絶対!!!」 耳元でそういいながら嬉しそうな顔をしてすがり付いてくるよめを見るにつけ、ああ、俺っていいよめ貰ったなぁと幸せに浸ったのだった。 ********************************************************************************* 長い。…しかもなんかストーリーが練りきれてない…。←いつものこと。 いつの間にやらちょこっと直ってても気にしないで下さい…orz。 三代目の最後はまた今度で…。 あと、いちゃいちゃ追加希望などのリクエストがありましたら、5000HIT祝いにしますので、適当に拍手等からお知らせ下さい…。 |