白く染め上げる変態


「もうすぐ…だな…。」
ヤツはヤル気だ。この上もなくヤル気だ。
何せ俺の生徒たちがわざわざヤツの奇行を報告しに来るくらいだ。
…報告からすぐヤツを踏みつけて、これ以上しつこくここで粘るようならホワイトデーはなしだと牽制してやったが、 何だか「てれちゃって…!もうかわいいひとですね…!!!うふふふふふふ…!」とか喜んでたしあの程度じゃ堪えるはずもないだろう。
とにかく、ヤツが何か企んでるのは間違いない。そして、まず間違いなく実行に移すことも…。
俺は必死に迎撃方法を考えたが、中々いい案は浮かばなかった。
まず。仮病。コレを上手く使えばもしかすると…!と思っていたが、先日のひな祭りで偶然風邪を引いたときに、全く効果がないことが実証された。
…体調を崩すのは返って危険だ!あの時だって…結局…!あんなモノ白酒と称して病みあがりの人間に飲ませやがって…!…思い出すのも辛いモノがある…。
だが、まだ諦めるつもりはない。
ヤツとて一応忍…じゃなくてただの変態生物な気もするが、弱点が無いわけじゃない。
今までに何度も負けを期してはいるが、今度こそ…完勝とは行かないまでもせめて一矢報いてみせる!
「絶対に…負けてたまるか!」
決意も新たに、俺は今日も資料を漁るのだった。
*****
アカデミー生と同僚の皆からの情報の結果、ホワイトデーには飴だのマシュマロだのクッキーだのの菓子をお返しするのが一般的で、お返しの中身によって、返事の内容が変わる。…らしい。
…だがしかし、その内容が一定じゃない。聞くヤツによって答えがばらばらであんまり統一性がないのだ。
クッキーが義理で、マシュマロは友達でいましょうで、飴が本命だという説もあれば、マシュマロが本命で、クッキーが友達でいましょうで、飴は嫌いって意味だとか…他にも白いものなら何でもいいという話もあった。そもそも友達でいましょうと義理の差がわからんのでどうしようもない。
しかも、クノイチの先生に聞いてみたら、新たにアクセサリーやバッグが一般的との回答も得られ、結局何がいいのかさっぱりだ。
まあ、あの変態相手にアクセサリーなんぞ贈ったら最後、恐ろしい目に合うのは目に見えてるのでコレはもちとん却下だが。
…菓子…菓子も危険だ。駄犬は変態プレイが好きだ。もっというと、液状のモノだの、溶けるモノだのを俺に塗ったくるのが好きだ。
従って…間違っても液体っぽいモノは与えられない。却下だ。
白いものなら何でもいいって言うのを信じると、アイスだのホワイトチョコだのもいいような気がするが、そのへん明らかに危険だ。他に白い菓子というと、サラダせんべいくらいしかしらない。
雑誌なんかで調べた結果では、時計だの本だの酒だのでもいいらしいんだが、どうやら木の葉では一般的ではないらしい。それに、本の内容で妙なプレイを思いつかれても困るし、酒なんぞ論外だ。…混ぜ物もさることながら、酔っ払ったフリでもされて強引にこられたら…! …何で任務でもないのにこんなにも一生懸命になってるんだろうと自分でも疑問に思うが、下手なモノを贈って被害が拡大したら困る。…やり直しをしろだの、逆に感動したからサービスだの…面倒なことになるのはなんとしても避けたい。
つまり、無難な…義理らしさを感じさせるものか、それとも贈られて気分がよくなって、多少の命令を聞かせられる様な状態に持っていけるものが望ましい。興奮を煽らないことも重要だ。
だが、そんなモノがすぐ思いつくわけがなく、俺はひな祭りからこっち、ずーっと悩んでいるわけなんだが…。だんだん考えすぎて訳が分からなくなってきた。
どっちにしろ変態の…そう言った行為は避けられないだろうし、どうあってもイベントでは興奮しがちな変態相手では、恐らく被害がゼロなどという結果は望めない。
「こうなったら…いっそのこと…!」
そうだ…どうせもともと効果があるかどうかも怪しいのだ。それなら…やるだけやってみた方がすっきりするじゃないか!
「それなら…あれでいいよな…!」
*****
明日は…というか、恐らく変態基準ではあと5分ほどでホワイトデーだ。
いつも通りなら12時きっかりにやってくる可能性が高いので、ソレにあわせて準備もきっちりしてある。…寝室の窓、扉、天井裏など、全てに結界をはり、お返しとなるものも用意し、装備品も前線で戦っていた時と同じくらい厳重に整えた。
…今日に限って任務が入っていたが、そんなもの、変態はものともしないだろう。
カチカチと時刻を刻む時計の針を睨みながら、俺は全身の神経を研ぎ澄まして、気配を探った。
「…あと、10、9、8、7…」
気配はないがきっともうすぐ…!
「3、2、1、…ゼ」
「ハッピーホワイトデー!!!一緒に白く染まりましょう!!!」
…予想通り過ぎて涙が出そうだ。
正に俺の上に舞い降りた変態は、無駄に気合の入った表情で、手に…バナナと飴玉と練乳が山盛り入ったかごを持参している。
…何故か真っ白なバスローブを纏って。
「おい駄犬。降りろ。」
とにかくこの体勢は危険すぎる。ちゃんと身構えていたというのに、どうやったのか俺の上に馬乗りになった変態は、きっちり手に練乳のチューブを握り締めていて、今にも俺にそれを塗りたくりかねない状況だ。
「ああ…まだ乗っかるのは気が早かったですね…!俺からのお返しを…!」
「その前に、俺が先だ。」
何だか分からんが、手に持ってる食品が碌な用途じゃないのは明白だ。
こっちから先手を打つ!
俺の手に握られた包みに気付いた変態が、キラキラと瞳を輝かせて、俺の手をそっと握ってきた。肌蹴たバスローブの隙間からちらちら見える物体からして、こいつはバスローブ一丁でどこかから俺の部屋に直行したらしい。
せめてパンツはいてこい!と叫ぶ間もなく、変態は俺の手にそっと練乳チューブを握らせながら、熱っぽく囁いてきた。
「ああ…!!!イルカ先生も俺にお返しプレイを…!!!」
「プレイ…!?なんだそれは!やらんぞ!…いいか!コレはお返しだ!さっさと受け取れ!!!」
変態のすさまじいまでのヤル気具合に、何だかもう既に負けが決定してるような気がしてきたが、負けるわけにはいかないので、怒りを込めて渡してやった。
「な、なにかなぁ…!!!うふふふふふふ…!!!」
変態がごそごそと袋を開けると、中身をまじまじと見つめている。
「マシュマロサンドクッキーの飴がけだ。」
つまりお返しの定番の複合体な訳だが、コレは相当に甘いだろうと思うくらいたっぷり砂糖をぶちこんでやった。そして、これからが、今回の作戦の肝だ。
「イルカ先生の匂いがする…!!!ああ…いっただきまーす!!!」
「待て。」
「え?」
ぽかんと口を半開きにして、ちょっとヨダレ垂らした間抜け面の変態に、俺は更なる言葉を告げた。
「ソレの意味は…分かるよな…?」
出来るだけ意味深に、ちょっとタメながらゆっくり変態に言聞かせてやる。
恐らくコレだけじゃまだ…。
「はい!俺への愛ですよね…!」
…予想通り、変態は都合のイイように解釈して、渡してやった菓子を握り締めている。
後もう一歩…!ココからが勝負だ!
「…いいか?俺が渡したソレをきっちり良く見て確認して、その意味をちゃんと言い当てられたら…褒めてやる。褒美も考えてやらんでもない。」
出来るだけ勿体つけて、しかも含みのある話し方をしてやった。
これで、ヤツはきっと思い悩むはず…!!!元々バレンタインの意味もろくに理解していなさそうだから、コレを見て正解を出すことが出来るとはとても思えない。
…というか、そもそも正解は存在しないしな。
卑怯だと思わなくもないが、そもそも俺は忍だ。目的のために手段は選ばない!
効果の程は非常に怪しいが…これ以上変態によって新たなる世界の扉を開き続けたら、恐ろしいことになるのは目に見えているからな!せめて僅かなりと抵抗しないと俺の気がすまない!!!
ソレでなくてももう既に…!主任とか同僚が俺のことを悲しそうな目でみるし、受付でもやたら絡まれたり見つめられたりするようになって不愉快極まりないし、時々変に絡んでくるのが来た時は、いつの間にか現れた変態がテイクアウトかましてくれてるからまだマシだが…そもそもの原因がアレだから、感謝できようはずもなく…。
ああ…そういえば、ガキの頃チョコ貰って、悩みに悩んでけっきょくマシュマロにして、あなたじゃこの程度よね。って言われたんだよなぁ…。後で聞いたら、たくさんチョコばら撒いてたらしいって知ってショックだったっけ…。良く考えたらあの頃からあの子はクノイチの素質十分…。って!今は関係なくて!だめだ…変態のあまりの興奮具合に思考がそろそろ現実逃避し始めてる…!気合いを入れないと!
「意味…意味ですか…!!!」
うつむいて何やら考え込んでいるらしい変態は、何故かピルピル震えている。
…悩みすぎて脳がショートしたんだろうか?
「分かるまでホワイトデーはナシだ。今日は帰れ。」
出来るだけ冷たくあしらってやったら、変態が小さな声でつぶやくように返事をしてきた。
「分かりました…。」
おお!予想以上に効果抜群だ!
正直こんなに分かりにくい手だと効果もないかと思っていたんだが…。中々いい感じだ!
コレで今回は変態プレイから逃れられる…!!!
そう思って機嫌よく変態を追い出そうとした時のことだった。
「え?あ?」
「イルカ先生…!!!こんなにも俺のことを愛していてくれたんですね…!!!」
「はぁ!?一体何のことだ!!!」
「だって…ふわふわ真っ白のマシュマロはイルカ先生のおしりで、クッキーは俺にこうやってぎゅっとはさまれたいって言う…複数プレイのご要望で…!飴はもうべったりくっついて離れたくないって言う…!!!」
「なんだそりゃあ!!!」
やはり…変態の脳みそはありえない回答を導き出したようだ。
勿論すぐさま却下した。
「はずれだ!正解は…」
「それとも!マシュマロで柔らかく包み込むようなプレイを表現しつつ、クッキーでハードな愛を!!!飴は絡め取って離さないっていう…!!!いや、むしろ複雑に絡み合って永遠に離れない俺たちの愛を表現してるんですね…!!!」
「黙れ!!!どれもこれも大はずれだ!」
…駄目だコイツ!どうしたら…!?
俺がはずれだと宣言しているのに、勝手に盛り上がった変態は与えた菓子を嘗め回している。
その、興奮しきって異様にギラついた視線が向けられているのは…俺の股間…!!!
ヤバイ!何だか知らないが変なつぼを刺激してしまったようだ。
バリバリと噛み砕かれるクッキーと飴から甘い匂いが漂ってきているにもかかわらず、変態はうっとりと目を細め、自分の指すらも嘗め回している。ひとかけらも残さないとでも言うように…。
「イルカ先生の愛…!すっごくおいしかったです!!!俺、頑張ってお返しします…!!!だから今日は…この!俺からの愛を全身で受け取ってください!!!」
「くっ!誰がそんなものいるか!!!はなせー!!!」
がばっとのしかかってきた変態を押し返しつつ、次なる手を模索していたら、ぽたぽたと何かの液体が頬にかけられた。
「美味しく全身余すことなく白く…!!!」
「冷てっ!おいこら!何しやがる!…甘い?」
陶酔しきった表情の変態が、ついにその手に握られた練乳チューブを俺に向けたらしい。
べたべたする感触と、甘ったるい匂いが今後の展開を予想させ、思わず身震いした。
「ああ…白いものにまみれたイルカ先生…!!!ステキです!!!んー?でも、自分のじゃないとちょっといやかなー?でもこれから真っ白に染まりますもんね!!!勿論お・れ・の・で!!!」
「正解してないだろ!降りろ!」
「ああ、そうですね!肌に直接の方が映えますよね!!!」
「人の話を聞きやがれー!!!」
駄目だ!これじゃこのまま…!
意を決して最終手段、踏んでやらないを言う前に、俺の口は変態にふさがれていた。
「んんっ!」
「ん…!ああもう…我慢できません!!!」
「ひっ!?」
もがもがやってる間に、俺の忍服も装備もさっさと取り外され、一応仕込んでおいた拘束用の札もトラップもきっちり変態の手によって燃やされてしまった。
だからどうしてこんなに服をぬがせるのが早いんだ!!!
「さあ…白く白く…染まりましょうね!!!」
練乳チューブを握り締めた変態を前に、俺はどうやっても逃げられないのだと思い知らされることになった。
*****
「離せ!あっ…!塗る…なっ!」
「白いイルカ先生―!とろとろねっとり…!!!サイコーです!!!」
「アホかー!!!やぁ…なんだってこんな…っ!」
ベッドはべとべとで、俺もべたべたで、変態に至っては自ら練乳を塗りたくっているので、庭にでも放置したらありんこまみれになりそうな状態だ。甘ったるい匂いが部屋中に広がり、鼻がすっかりおかしくなってしまった。
しかも…つかみかかった手もぬるぬると滑る上に、その隙に変態がどこからともなく取り出した真っ白いリボンで両手首を縛られてしまったので、非常に抵抗がし辛い。
…このままべたべたにされるだけなら、バレンタインの時と似たようなものだと己に言聞かせることも出来るが、変態はカゴにもう二つ、変なモノを入れていた。
今も枕元に置かれているカゴの中身は、どれも普通ならおいしく食べるためのものだが、変態は確実に違う目的で持参しているに決まっている。
…バナナの用途は間違いなくとんでもない事だと想像が付くが、なぜ飴玉があるのかが怖すぎる…!薬入りかもしくは口移しでどうのとか、そう言った用途以外に思いつかないが、変態の脳内には俺の想像を絶する変態行為が詰まっているのだ。
…一瞬たりとも油断は出来ない。
俺は、くちゅくちゅと音を立てて擦りあわされているモノや、焦らすように俺の尻を撫で回す変態の手から視線を逸らし、とにかくあの不穏な物体だけでも何とかすべく、手を打ってみることにした。
「おい!変態!…そのかごの中身は…」
「ああ…早く入れたいなぁ…!」
今、ものすごくいいタイミングでとんでもない言葉を聞いたような…!?
…俺の話聞いてなかっただけだよな!?そうだよな!?い、入れる!?入れる気なのか!?…もしかして…飴も!?
かごに入っている飴玉は丸くて白くてたくさんあって…一瞬恐ろしい想像で頭が一杯になったが、このままぼーっとしていても危険が増すばかりだ。とにかく実行される前に打てる手は打っておかなくてはならない。
こうなったら…!
「ていっ!」
「あ…!」
俺は枕元のカゴにぎっちり詰まっていた練乳を1個抜き出し、変態に向かってぎゅっと搾り出してやった。トロっととした液体が変態の顔にかかり、つぅっと変態の頬を伝い落ちていく。
「イルカ先生の…白い…!} どうやら、狙い通りだ!
変態が恍惚とした表情を浮かべ、手で塗り広げている。…動きを封じられた!
俺はその機を見逃さず、手早くバナナを手に取ることにも成功した!
皮ごとだろうがなんだろうが、とにかく急いでかぶりついた。適当に食いちぎった皮を散らかしながら、それはもうがつがつと。
…入れられない形状にしてしまえば、とりあえず何とかなるはずだ!
幸い何故かバナナは一個しか入っていなかったので、俺の決死の食いっぷりに、あっというまに皮だけになった。
だが、夢中になってバナナを食って、ホッと一息ついたとたん、変態が俺の口にかぶりついてきた。
まだ口の中にあるバナナをと俺の舌に絡みつくように、変態の舌がぬるぬると這い回る。
「んっんん…っ!」
「はぁっ…!焦らしすぎちゃったんですね…!!!そんなに俺のが欲しいんだ…!!!今日のイルカ先生はミステリアスで大胆で…!!!もうメロメロです!!!」
「んぐっ!な、何の話だ!?」
何とか残りのバナナを飲み下し、目を白黒させながら問い詰めたが、変態は幸せ一杯の表情で甘えたように擦り寄ってきた。
「だってぇ…!俺のバナナが欲しくてそんなに荒々しくむさぼってみせてくれたんですよね…!!!お菓子でもお誘いしてくれたし…!!!」
「さ、誘ってねぇー!!!大体貴様のはバナナじゃないだろう!!!」
そんな可愛げのあるモノじゃないし、それに…やっぱり入れる気だったのか!?
俺が何とか逃れられたことに極僅かに安堵し、飴玉の存在に恐怖した瞬間。
変態は俺に向かって赤黒い凶器を見せ付けてきた。
「お待ちかねの俺は…ほうら今すぐ!!!」
「ひ…っ!」
白い液体まみれのそれは、非常に元気がよさそうだ。…この場合欠片も嬉しくないことに。
その手に握られた握られた練乳チューブがどこに向かなんて、想像もしたくない。
「あ、あ、…っ!!!」
…案の定ソコに搾り出されたものは…練乳だった。どろっとしたものが注ぎ込まれ、変態の手で温められていたとはいえ、体温よりずっと低いそれにぞわっとする感覚が広がる。
「たっぷり飲み込んでくださいねー!後で俺のもたっぷり…!!!」
「あ…っんあっ…なっ!にっしやがる…っ!」
しかも当然のように変態の指も突っ込まれて、押し広げようとする動きににちゃにちゃという水音が響き、耳からまで犯されるようだ。 ばたつかせる足が変態の身体に擦れてぬるぬるとすべり、それに煽られるように変態も動きを加速させた。
もうめちゃくちゃだ…!
「もう、いいかなー?…イルカ先生…!俺の白い愛!たっぷり受け取ってください!!!」
「あぁぁ!」
ソレは躊躇いなく一気に入り込んできた。
ヌルついた液体を纏った変態のモノが、中に満たされた甘く白い液体を押し出し、あふれ出したものが滴り落ちるのがわかる。
「美味しいです…!イルカ先生…!」
「知るか…っ!も、うごくなぁ…!んあっ!」
腹の中で質量を増す熱い肉棒も、とろとろと太腿を伝う甘い液体も、突き上げる動きがもたらす快感に飲まれてしまいそうだ。
俺はもうこんなこと知りたくないのに!
「ああ、イルカ先生のももう出そうですね…!俺も…一緒に!」
「うぁっ!あぁっ!」
すっかり勃ち上がってたものを擦り上げられ、激しく腰を使う変態に無理やり高みまで押し上げられていく。
「ああ…っ!」
「くっ…!」
呻くような声が同時に部屋に響き、腹の中と上に新たに白い液体が踊る。
全身ネットリした液体にまみれ、力なく横たわる俺に変態は嬉しそうに微笑んでいる。
「サイコーです…!!!ああでも…俺の愛はまだまだこんなもんじゃありませんから!」
「もう、いらん…っ!十分だ…!」
「がんばりますねー!!!」
俺の言葉に全く聞く耳を持たないというか、興奮冷めやらぬ様子の変態は、その後も暴走を続けた。
…グリグリと中を抉るソレは、何度吐き出しても勢いが治まらず、確かにたっぷりと何もかもを真っ白に染め上げた。そう…俺の頭の中すらも。
*****
「飴…いまからでも…!」
俺は目が覚めるなり、口に飴を咥えて俺の足の間でブツブツ言ってる変態を目にするはめになった。
何でこんな目に合うんだろうな…。
全身ネットリと液体にまみれ、匂いもきっと凄いことになっているんだろう。…もう分かりもしないが。
当面の課題は目前に迫った危機を、もっとも労力の少ない方法で解決することだろう。
じわじわと口の中の飴を、いまだ違和感の残る下半身に近寄せてきた変態の頭を引っつかみ、口元に引き寄せる。
「腹減った。飴。よこせ。」
「はい!今すぐ!」
変態は輝くような笑顔で躊躇うことなく口移しで飴を押し込んできた。
その舌と甘い飴を同時に味わいながら、湧き上がる敗北感に力が抜けていくのを感じる。
変態の舌使いが上手いのせいでは断じてない!…ハズだ!
…負け戦だ。完膚なきまでの。
だがあんな所にこんなもの押し込まれるより、まだこっちの方がマシなはずだ。
そうだよな…そのはずだよな…!?
力は抜けきってどうしようもない状態だが、調子にのって手を滑らせ始めた変態の耳を引っ張って引き剥がし、コレだけは言ってやることにした。
「来年からは…バレンタインもホワイトデーもいらん。風呂に入る。ベッド片付けとけ。」
「ええ!?そんな…まだ色々…!!!」
「いいか。絶対にだ。」
「…イルカ先生…!俺の愛の激しさに驚いて照れてるんですね…!でも、安心してください俺の愛はまだ溢れるほどありますから!!!」
…もう何だかどうでもよくなってきた。
溢れ返ってるのは性欲なのは明白だ。
何もかもをさらけ出した変態の、あれだけやってもまだ元気な股間は、爽やかな朝を台無しにするには十分すぎるほど反り返ってその存在を誇示している。
…悲しいことに見慣れてしまったその光景に今更何の感慨も湧かない。
「愛だか何だか知らないが…ソレはしまえ。風呂はいる。」
「はぁい!お供します!」
「片付けもな。あと飯も。終わったら寝る。」
「はぁい!」
もはや何かが吹っ切れた俺は、風呂場に連れて行かれながら、当座の心配だけを片付けることにした。
来年の心配は、寝てからする。…そう、まだ来年がある!俺は…来年こそ絶対に勝ってやる!!!…休んでから。
甘い香りとやたらご機嫌な変態に包まれて、俺はただひたすらに早く眠ることだけを考えたのだった。


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お腹一杯になるくらいうっとおしい変態さんプレイをそっと置いておきます…。
やりすぎた…!?
…ご意見ご感想などがございましたらお気軽に拍手などから…どうぞ…。でも石はなげんとってー!!!

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