先輩‐冷めない熱‐

最近僕は任務でもミスしてばかりいる。
小さなもので何とか自分でフォーローできてるっていっても、今までずっと暗部としての任務をこなしてきたのに、 ココまで調子が悪くなったコトは無かった。
落ち込んでても仕方ないけど、やっぱり気分が上向いてくれない。
あれだけイルカさんと接触しちゃったのに、先輩がまだ復讐にやってきてないからソレも恐ろしい。
でも、なにより…多分僕の言った言葉の意味をわかっていないイルカさんに、心配そうな顔をされるのがいやだった。
だから僕は、一人演習場に篭って修行することにした。
…ナルトに、サイを誘わせて。
ナルトをたきつけたのは僕だけど、正直、ごねたり交わしたりするんじゃないかと思っていた。
でも、サイはナルトの「修行しようぜ!」っていう誘いに案外すんなりうなずいてちゃんと付いていった。それも、どこか楽しそうに。
普段なら解散後も僕に構ってくるっていうか…その、キスとかしてくるんだけど、今日はそれもなかったし…。
誘われてちゃんと付いていったことに、確かにほっとしてるのに、なんだか複雑な気分だ。
でも、自分でも持て余している感情も、きっと修行し始めればすっきりするだろう。
今までだって、集中したい時は修行で何とかしてきたんだ。
でも…コトはそう上手くいかなかった。
*****
「なんで…僕は…!」
静かな演習場に僕の声が響き渡った。焦りに情けなく途切れた惨めな声。
いつも邪魔しに来るサイがいない分、修行に集中できるはずなのに、やっぱりうまくいかなかった。
…しかも、気が散る理由が、サイを思い出すからなんて、どうしてなんだ!?
チャクラを練っても、ふっと脳裏をよぎるあの子の顔のせいで、上手く術がコントロールできない。
暴発したり、逆にチャクラを込めすぎて演習場の一角をふっとばちゃったり…。任務の時より酷い状態だ。
任務じゃない分集中力がおちてるのかもしれないけど、今までこんなこと無かったのに…。
僕を抱きしめてた時の真剣な表情と声が勝手に繰り返されれて、それがどうしても消えてくれない。
あの子はまだ子どもなのに、僕の感情に巻き込んだのは絶対に失敗だった。
寂しいからって…なんてことをしてしまったんだろう。子どものころにありがちな、ちょっとした熱病みたいな思いに、 僕はつけ込んでしまった。
…だからきっといつかあの子だって気付く。ソレは早い方に越したこと無いはずだ。
今日だって同年代のナルトと楽しそうにしてた。あれが本来のサイの姿なんだろう。
「やっぱり、同年代の子といっしょにいさせないと…。僕なんかにどうして…。」
こんな状態じゃ修行にならない。僕は、暗部失格だ。
落ち込んでもしょうがないのは分かってても、どうしても…。
「さっきから、どうしたんですか?集中できないみたいですね?」
「え…っ!?」
驚いて振り返った先にいたのは、サイだった。
肩に乗せられた手が、妙に熱く感じられる。
いくら気配を消されてるって言っても、こんなに近づかれるまで気付かなかったなんて…!?
「当て馬ですか。ナルトは。そんなに僕の気を引きたい?それともコレが嫉妬ってやつですか?」
「な!なにをいってるんだい!?」
大体それならサクラの方だろう!
訳のわからない言葉はともかくとして、サイから放たれる殺気交じりのチャクラが恐ろしい。敵なら、何とかできる。でもこの子は僕の部下だ。どうしたらいいか分からなくて、僕は視線をそらすことしか出来なかった。
そんな僕の顎を掴んだサイが、ぐいっと自分の方に僕の顔を引き寄せた。
「これが、怒り。かな。…たまには感情に流されてみるのもイイかもしれない。」
…怖い。ぞくっとしてとっさに距離をとった。さっき腹立ち紛れに大技連発したからチャクラもヤバイ。
僕は、とっさに兵糧丸を口にしようとした。
でも…、ソレはすばやく伸ばされたサイの手によって、あっさり阻まれてしまった。
つかまれた腕が熱い。真っ直ぐに向けられる怒りの視線が怖い。先輩に比べたらたいしたこと無いはずなのに…!
「させません。どうせのむなら…。」
「んっー!!!」
「こっちにしてください。」
サイに…変なもの飲まされた!なんだ!?
サイに気おされてぼんやりしてたけど、慌てて距離をとった。
薬を吐き出さないと…!コレは一体なんなんだ…!?
でも、吐く前に答えは分かった。眩暈とそれにざわざわとしたこの感じ…間違いなく、媚薬だ。
この手の薬を使われたのは初めてじゃない。暗部にいたら一度や二度じゃなく、それなりにこういう目に合うことはある。先輩なんて特に容姿が整ってたから、何度も盛られそうになっていた。実力も耐性もあるから、大抵は盛られる前に避けるし、飲んでもたいしたこと無い。それは、先輩ほどじゃなくても僕だって同じはずだったけど…。
生憎コレは耐性がないモノみたいで、既に結構マズイ状態に…!
「なんてことを…!」
コレはもしかして新薬の実験台か…!?前に一回やったことあるけど、死ぬかと思った。
先輩が怒って止めてくれなかったらどうなってたか…!
勝手に息が上がって苦しい。そしてサイはそれを楽しそうに見ている。
「大事なものはちゃんと捕まえておかないと駄目だって、ナルトも言ってましたから。ソレ、結構効くでしょう?僕が作ったんです。」
サイが調合したのか…!それなら効くかどうか分からないけどこのままじゃ…せめて解毒剤を飲まないと…!
動けないと思ったのか、サイがことさらゆっくりと距離をつめてくる。
ここにいたら確実に…!
僕は、薬が回るリスクを承知の上で走りだした。
「逃げるんですか?…追いかけっこは嫌いじゃないですけどね。」
「っ!」
追いかけてくるサイのチャクラと気配の禍々しさに、口の中で悲鳴にならない声を押し殺した。
…捕まったら、終わりだ。
「生憎こんなこと位で…君に捕まったりしないよ!」
余裕の笑みを浮かべるサイの隙を突いて幻術をかけた。僕はいくらへろへろだからって、実戦で術を外したりしなかった。サイにすぐ破られるだろうけど、距離は稼げる。
暗部の意地で逃げ切ってやる!
「っ!」
すぐに効果が現れ、ぼんやりしているサイから、僕は全力で逃げ出した。
*****
「ここまで、くれば…」
暗部専用演習場の中でも、特殊な植物が生い茂るここには、木遁使いの僕ぐらいしかこれないはずだ。あの先輩だって面倒くさいって行って避けるくらいのここに、サイが追ってこれるとは思えない。 そもそも足取りを誤魔化すためになけなしのチャクラで木分身を里に走らせてるし…。僕の部屋まで行った所でトラップも強化してあるから大丈夫なはずだ。
それでも一応身を隠すように、木の洞の中に身体を押し込んだ。
自はぁはぁ響く自分の呼吸にうんざりしながら、兵糧丸と解毒剤を噛み砕いた。
「チャクラは、戻ったか。…でも…」
やっぱり解毒剤の方の効果はいまいちだ。走ってる最中に体がしびれるような感覚が広がって焦ったけど、そっちがちょっとマシに なったくらいで、肝心の興奮を抑えるほうの効果は殆どなかった。むしろ走ったせいもあるんだろうけど、興奮しきったソレが 痛いくらい張り詰めてるのが分かる。
「くそっ!」
こうなったら、自分で何とかするしかない。
こんな所で間抜けな格好晒すのは、危険だし、自分にも羞恥心ってものがある。
だからってこのまま放っておいても散るような気配はなさそうだし、ここで野宿するのも気が進まない。任務とかきたら困るし…。
意を決して、僕は自分のズボンの前をくつろげた。
すっかり薬にやられきって猛るソレが飛び出してきた。相当効果が強いものみたいだ。
もう既に先走りをもらし始めているソレをそっと握り込む。
「んっ…!」
触れるだけで腰が震える。でも、苦しい。
苦しい時はいつもイルカさんのことを思えば楽に慣れたのに、今そんなコトを考えたらイルカさんを汚す様でできない。
それなのに、やっぱりサイのことばっかり思い浮かんでしまう。
それが怖いのに、サイを思うだけで擦り上げる動きは速さを増した。
頬に伝う生暖かい感触は…涙だろうか。僕は泣いてるのか…?
自分でも混乱して何が何だか分からない。任務で食らっときはこんなんじゃなかった。確かに興奮したけど、 そこそこ冷静なままで、ただちょっと面倒だなって思いながら機械的にこすって出して…。
でも、今は何だか全身が火にあぶられてるみたいに熱い。
「あっ…くっ…サ…ぅっ!」
気が付いたら自分でも何を言ってるのかわからない声で呻きながら、射精していた。
放出の余韻にがくがくと体が震える。
それでも、出したのに治まらない熱がまだ僕の中にくすぶったままだ。
どうしたらいいのか分からなくなってる僕の手を、誰かがつかんだ。
「僕の名前ですよね…?今の。熱烈だなぁ。うれしいです。」
「サ…イ…?え?…なんで…?」
涙でにじんで良く分からないけど、僕の手に触れる柔らかく手冷たい感触は…サイの唇みたいだ。
ひんやりして気持ちイイ。
でも、コレは駄目だ。これ以上は…!こんな子どもを襲うわけには行かない!
僕は僅かに残る理性をかき集めて、サイから手を引き離そうとした。
力なくのろのろと動く自分の体に苛立つ。今動くのは相当キツイ。すぐに追いつかれてしまうかもしれない。それに、 サイは洞の入り口をふさぐように立っていて、逃げ場がない。
「駄目だ。…帰りなさい。僕は…!」
今更と思いながら、露になったソレを覆うように身体を丸めたら、ソレを咎めるようにサイが覆いかぶさってきた。
「イイから…流されてください。僕が…気持ちよくしてあげますから。」
そのまま口をふさがれ、ネットリと僕を味わうように入り込んだ舌が我が物顔で暴れまわった。
「あっ…も…っ!」
「もっと。そういう顔見せてください…。」
興奮したサイの声に僕の頭が白く染まっていく。ただ考えるのは出したいってことだけになって…。
そして、暴れ狂う熱に煽られるままに、僕は理性を飛ばした。


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狼が獲物を狩る編。
あー…その…流石にコレでエ○のニーズは無いような気がするのでこの辺で止めてみましたが…?如何なんでしょうかねぇ…?
ご意見次第で考えようかと…。
…年下の狼暴走編にて失礼致しました…。
そんでもって、うっかり読んで気分を害された方は、すぐさま記憶から消去されることをお勧めします…。

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