先輩―予想外の告白―


CP祭部屋でカカチてんてーが言ってた、演習場の件がコレだったりしますが、完全にサイヤマなので最初っから、こっちに上げてみました。 苦手な方はご利用をお止め下さい…!!!

「ヤマト隊長…。」
サイがこんな風に僕に声を掛けてくるのは珍しいな。どうしたんだろう?…まだ根の者と接触しているのは分かってる。いつ裏切るのかわかったもんじゃない この子のことを、まだ完全に信用したわけじゃない。
裏を警戒しながら、僕はサイに向き直った。
相変わらずうっすら笑ったままで、感情が読み取れない。同じ暗部にいたけど、僕には先輩と…イルカさんがいてくれた。それに他の仲間も。
この子は、そういう経験が無いからしょうがないんだろうけど、やっぱり警戒せざるを得ない。ナルトは先輩と違う意味でめちゃくちゃな性格してるけど、 サイとは仲がいいみたいだからどうだろうね?
いつかはこの子も変わるのかもしれない。
サイは、そんな風に考えていた僕に向かってにっこり笑った。
「アナタが好きです。突っ込ませて下さい。」
「は!?」
僕の耳がおかしくなったんだろうか。今何だか信じられない言葉を聞いちゃった気がする。…やっぱり疲れてるのかなぁ…先輩にこき使われて、 ナルトも一生懸命なのはいいんだけどね…。
僕が驚きを通り越して、遠くに意識を飛ばしていると、サイは不思議そうに小首をかしげて本を取り出している。どこで手に入れたんだか知らないけど 、<必ず落とす!マル秘テクニック>なんていかがわしい本、参考にする方が間違ってると思うんだけどな。
それ以前に僕にそんなコト言うのが一番おかしいよね?
「おかしいなぁこの本には告白するときは、率直に自分の思いを伝えましょうって…」
「まず、前提からして間違ってるよ。サイ。…好きっていうのは、友人とか仲間に対するものじゃないかな?それに、せめて好きだっていうなら、 サクラとか、イノちゃん?だっけ。同い年の女の子がいっぱいいるだろ?」
こういうところも正直苦手なんだよね。僕が最初に先輩にあったときって、多分こんな感じだったから。
あそこにいることが普通で、外があるなんて考えても見なかったから、周りのことが分かるまで苦労したっけ…。
まあ、だからって、ココまでとんでもないことはしなかったと思うんだけど。
どうしようかな…一応、僕も今は隊長なんだし、もうちょっとまともな道を教えた方がいいのか…それともコレも作戦なのか?
僕が取るべく対応を悩んでいると言うのに、例の薄笑いを浮かべたまま顎に手をやって小首を傾げたサイが、不思議そうな顔をしている。
「ナルトが好きなのはサスケでしょう?サクラは…僕の好みじゃないです。イノって娘も。」
まあサクラが好みじゃないってのは分かるけどね。自分の子と殴る女の子はちょっとなぁ…。イルカさんは男だけどそんなことしないしね。
これは…作戦じゃなさそうかな?
ということは、一応一般的な常識ってものを教えてあげないといけないのか…?
「あー…じゃ、念のために聞くけど、僕のどこが好きなの?ちょっと冷静に考えてみなさい。僕は男で、君より大分年上で、 それになにより上司なんだけど。」
好きっていわれても、多分本を読んでなんか勘違いしたんだろうから、冷静に理屈を説明してあげれば何とか分かる様になってくれるはずだよね。 いざとなったら先輩直伝の恐怖による支配で…。
悩みながら僕がサイの返事を待っていると、しばらく考える様子を見せたサイは、手をぽんと叩いた。
「目がパッチリしてて、黒目がちな所です。」
きっぱりと言い切るサイは、相変わらずいつもの見せ掛けの笑顔を浮かべている。
まあ、若い内は外見から入ることが多いよね…。…意外性No.1はナルトだけで十分だよ…。いや、異常性No.1か…?
あ、今僕うまいこと言ったかも。
現実から自分の思考がそれていることを自覚しつつ、僕はついついままぬるい笑みを浮かべた。
それを見て、サイがわずかに驚いた顔をして、また本に視線を落とした。
「思い出し笑いですか…。この本によると好きモノの証拠だと…」
「な、何てこと言うんだい!?」
好きモノ!?この年齢の子どもが使う言葉じゃないよ!…いったい根ではどんな教育してるんだろう…!?これじゃ、潜入任務もままならないじゃないか!
その前に!人としてどうなんだよ!
遠い目をして放心していると、サイがスッと距離をつめて僕の肩に手を置いて、顔を近づけてきた。
「大丈夫ですよ。好きモノでも。」
「はあ!?」
僕の顔を見上げながらさりげなく手まで握り締めてきたサイは、にっこり笑って…嬉しそうだ。それ、もしかして本気で言ってるのかな!?
「好きモノの方が色々と楽しめるってこの本に。それに僕まだ若いですから。」
「…。」
開いた口がふさがらないってこういう事を言うんだな…。淡々と話すサイは、本気なのかちがうのか読みきれない。先輩とイルカさんに付き合ってて、 非常識な相手には免疫があると思っていたんだけど…。僕にはもうどう答えたらいいのか分からないよ…。
こういう時に限って先輩もナルトもいないしね…。 僕のこと置いてったってことは、多分イルカさんの作ったご飯食べにいってるんだろうな…。
「あ、そうか。実力行使も有効だって書いてあったか。」
僕がちょっと悲しくなっていると、いつもの作り物のような笑顔で一人納得したサイは、僕の腕を掴んだ。
「え、え!?」
そうしてサイの顔がアップになって…。唇に何か触れたと思ったら、中に舌まで入ってきた。
「んむ!」
僕はとっさに木遁でサイを捕らえて、引き剥がした。口を袖口で力いっぱい拭っても、まだ妙な感触が残ってる感じがする。…僕にそういう系統の任務は、 先輩が向いてないからって持ってこなかったから、こういうの初めてだ。…なんで、こんな子どもに…!
それに、僕の術で吊り下げられても、サイは表情も崩さない。…舐められたもんだ。 僕はこれでも暗部生活長いんだ!先輩には及ばなくても…それなりに自信があるんだぞ!
…いくらなんでも予想仕切れなかったから、油断したけど、次は無い!
「…こういうのがお好きなんですか?」
「だから、僕は君のことがそういう意味で好きじゃないんだよ!」
その前にいきなりキスするって…しかもあんな…!女性相手でも駄目だろう!
「そうですか。なら、これから猛アタックしたいと思います。」
僕の術にとらわれていることなどたいしたことではないとばかりに、サイは淡々と決意表明してくれた。
下らない。
「無理に決まってるから、あきらめた方がいいよ。」
突っ込まれるとか…冗談じゃない!やっぱり、これもダンゾウからの命令なのか…?
「でも、好きなので。」
いつもは糸みたいに細められた目をしているサイが、目を開いた。
そして…いつもの無表情と同じに見えて、全く違う瞳をしたサイは、そう宣言すると、僕の木遁を振り払って、もう一度目の前に降り立った。
「…っ!」
術、確かにそこまで強固にかけてなかったけど、こんなに簡単に解かれるなんて!
…逃げよう。何だか分からないがこの場は体制を整えて出直すべきだ。こんな事態は想定してないし、どこまで本気かなにかの冗談か… ひょっとして先輩のいじめ…!?
「ヤマト隊長には僕の事を好きになってもらいますので、宜しくお願いします。…では、失礼します。」
僕はさっと身を翻して木立の間に消えていくサイを呆然と見送るしかできなかった。
「なんなんだよ…!」

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なんでだろう?サイヤマが出来ちゃったのは?
取り合えず置いておいて見ます。チャレンジ精神旺盛で、好奇心ぬこころされちゃった方は、 速やかに記憶から消去する事をお勧めします。

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