湯煙イルカ計画―よめ、たくらむ 1―

「やったー!!!!!温泉!!!!!」
その日、イルカ先生を迎えに行って、買い物デートを楽しんでいた俺は、イルカ先生の歓声を聞くこととなった。
「特賞!!!ペアで行く!温泉ゆったり二人旅!!!!!当たったー!!!!!!」
イルカ先生はぴょこぴょこ跳ね回って、本当に嬉しそうだ。…かわいい。今度はうさぎさんなイルカ先生もいいかもしれないな…。
尻尾と耳は勿論黒で。衣装は…ショートパンツなんかもいいかもしれない。ベストショートで絶対素肌に!コレだけは譲れない。
…ちょっぴり幸せな計画に思考が持っていかれたが、その前に大事なことを忘れていた。あんまりにもイルカ先生かわいいので、 うっかりよこしまな目でみる奴が出ないよう、イルカ先生には気づかれない様気をつけつつ、しっかり周囲に殺気を振りまいておく。
イルカ先生が、殺気にやられて引きつった笑顔の福引所のおっさんの震える手から、旅行券の入った封筒を受け取った。 福引所のおっさんは、あからさまに早く帰って欲しそうな顔をしているが、イルカ先生が喜んでいるので、その場で話を聞いてみた。
「ほら!コレ!!!行ってみたかったんですよ!!!!!!さっそく休み取らないと!!!!!」
イルカ先生が見せてくれた旅行券の内容をさっと確認する。そこそこ有名な旅館だが、俺がいつも行っているところと比べるとランクが落ちるな …どうもイルカ先生と行くにはランクが低いように思うが…。イルカ先生が行きたがっているのなら、しょうがない。
…温泉プレイは魅力的だ。浴衣姿のイルカ先生は、今までも何度か拝んでいるが、湯煙にかすむイルカ先生の…いやいやこれ以上はここでは危険だ。 うちに帰ってから色々と計画を立てることにしよう。
休みは…任務をクマかウワバミに押し付けよう。
問題は三代目だ。奴は今、大分弱っているからねらい目といえばねらい目なのだが。…イルカ先生は優しいから、じじいの演技に騙されてしまう可能性がある。 リスクを減らすため、休みは俺がまとめてとってこようと決めた。
「そういえば旅行って一緒に行ったことなかったもんなぁ。…楽しい旅行にしましょうね!!!」
 振り返って微笑むイルカ先生の笑顔の輝きに、魅了される。…今回は絶対に失敗しない!
「イルカ先生…嬉しいです…!お休み早速取ってきますね!ご飯はすぐに作りますから。」
さっと忍犬たちに指示を出して、買い物を持って帰らせる。イルカ先生と一緒に帰りたいのは山々だが、さっさと手を打っておかなくては。
「そうか…上忍の方は休み取りにくいから…。」
 イルカ先生も受付をやっているから、その辺のことは承知してくれた。
さあ!まずは邪魔者狩りだ!!!飯はストックしておいた、下ごしらえして冷凍したのがあるのでなんとかなる!
「じゃ、ごめんなさい。すぐ戻りますねー!!!」
笑って手を振っているイルカ先生を何度も振り返りながら、俺は受付所に戻った。
*****
 今日はとってもツイていた。なにしろ憧れの温泉宿に泊まれる宿泊券を福引で当てたのだ!
よめと手をつないでの買い物も、もちろん嬉しかったのだが、それに更に凄いオマケがついてきた。
…よめと一緒になってから、運気が変わったのか、妙にいいこと続きだ。今まで福引は結構何度もやっているが、ティッシュとラップ以外の ものを当てたことがない。さすがうちのよめ!家事は完璧の上、幸運まで持ってきてくれるとは…。まさによめのなかのよめ!!!
ただ、できたよめを貰うと、不埒な輩が妙なマネをしやしないかと、心配が尽きない…温泉でも邪な輩に張り付かれたりしないよう気をつけておかないと。
不安は常にある…だが、補ってあまりある幸せがあるのだ。よめのためなら何でもできる!こんなことは、恥ずかしくて本人には言えないが、 いつもそう思っている。
 休みは…。俺は今アカデミーもそんなに忙しくないし、受付も交替が効く。しばらくは残業になるかもしれないが、よめとの旅行に比べたら、 そんなものは何てこと無い。
…問題はよめの方だ。上忍でしかも腕の良すぎるうちのよめが、3日間の休みを取る…。もしかすると、途中参加とかになってしまうかも…。
でも、それじゃ意味が無い!…いざとなったら任務振り分け担当を脅してでも休みを取らせてもらおう…。
もしよめが休みを取れないで帰って来たら、しっかり慰めてやらないと…。それから、三代目に直談判もいいかもしれないな。
*****
 休暇申請は基本的には事務方で処理する。それは下忍でも上忍でも同じだ。…だが、俺の任務振り分けとなるとそうも行かない。 特殊な任務や指名任務など、結構面倒なことが多いので、火影である因業じじいの許可が必要になるのだ(時々さっくり無視しているが。)。
今は明日行くことになっている任務がある。…弱っている隙にさっさと片付けておかないと面倒なことになるだろう。
そう考えた俺は、しっかり計画を立ててコトに臨むことにした。
まず、イルカ先生の休暇を申請してから、(コレはすぐに通った、というかサクッとおどしてみた。)そのままイルカ先生の同僚に、イルカ先生の分の 仕事をお願いしてきた(ちょっと顔色が青くなっていた。が。どうでもいい。)。
その足で火影のところへ向かった。
執務室の扉を勢い良く開く。と、一気に100歳くらい老け込んだんじゃないかと思うくらい、枯れ木状態になった三代目が座っていた。
まず、顔色が血の気が引きすぎて妙に茶色い。しわも増えたように見えるし、目の下にも真っ黒な隈が浮いている。元からかなりの年だったが、 今の姿はまるでミイラだ。
…この間のはやっぱり…。と、流石にちょっと哀れに思ったが、同情はしない。自業自得だ。
三代目はゆっくりと顔を上げると、俺の顔を見て、一瞬物凄く引きつった顔をした。だが流石は火影を名乗るだけあり、すぐに平静を装って聞いてきた。
「任務ならもうすでに渡したはずじゃが…。」
じじいは最近俺の顔も見たくないのか、式やら暗部やらを使って任務をよこしてくる。…この状態だと分からないでもないが。
「それ、クマ…っと…アスマが代わっていくことになりましたんで。」
さっきサクッとクマを捕獲して、任務を押し付けておいた。この間の恨みの分もしっかり脅しておいたので、問題ないだろう。
しかし何でアイツのヒゲ妙にテカッてたんだ?まあ、どうでもいいけど。今日のことで少しはうっぷんが晴れたが、やはりこの間のことは許し難い。 奴にもいつかステキなフリフリドレスを着せて、ウワバミに送りつけてやろう…。
勿論ヒゲは全部剃る。剃る前と後で写真を撮って、そこら中にばら撒くのもいいだろう。貸しの分、しっかり色々と楽しませてもらおう。
ウワバミは残念ながらいなかったので、ウワバミへの復讐はまた今度だ。奴の方がクマより狡猾なので、色々と事前準備をしっかりしてからにしないと、 イルカ先生に類が及んだら困るので、今回は後回しだ。
「なんじゃと!?」
あ、三代目が正気に戻った。絶対目ぇ合わそうとしないもんなー。…まだ、ヤル気か?本当は使いたくなかったのだが…。しょうがない。
…おもむろに印を切り、思い出の再現をしてやってみた。
「ぎゃー!!!!!!」
 三代目が白目を向きながらのけぞった。三代目の今の外見だと、ちょっとしたホラー並みの恐ろしさだ。ぎょろぎょろと動く瞳がよりいっそう 不気味さを際立たせる。まさに動くミイラ。…流石にこの格好はこっちも捨て身過ぎるが、見張りの暗部はさっき追っ払ったので、 見ている奴はいないはず。
「じゃ、そういうわけですので、許可印下さい。」
「ひ、卑怯な…!!!ええい。何を企んでおる!」
 目をそらしながら、三代目が怒鳴った。企むなんて失礼な!ちょっと温泉プレイを堪能したいだけなのに!
「えー別にー。…この間、余計なことしてくれたのはどなたでしたっけねー。」
 さっさと印をくれないだろうか。休暇が取れたら、急いでうちに帰って晩飯を作らないといけないのに。
「くっ。…良いか。今回だけは許してやろう…。今回だけ、今回だけじゃぞ!!!」
しつこく念を押す三代目に、さっさと印を押してもらう。もう目も開けたくないらしく、印の位置がちょっとずれたが、ずれていようと問題ない。許可は許可だ。
「ありがとうございます。これで安心してイルカ先生と温泉に行けます。」
きちんと礼までしてやったのに…。
「お、温泉じゃとー!!!!!!」
 今度は赤黒く変色した三代目を見ることになってしまった。しかし、怒り狂う三代目に邪魔をされては困るので、どうやってとどめを刺そうかと考えていたら、 そのまま気絶してしまったので、後は護衛の暗部連中を呼び戻して預け、大慌てでうちに帰った。
最終的にどんな色になったのか見られなかったのが少し残念だった。
*****
 「遅くなってゴメンナサイ。」
よめがかなしそうに言うので、コレはやっぱり駄目だったかと慰めモードに入ろうとしたのだが。
「でも!お休み取れましたよ!イルカ先生の分も!」
 とても嬉しそうに言うよめに、ほっとするとともに、きっと一生懸命に説得してくれたのだろうと感動した。なにしろ、普段は任務が連続で こようとも少しも疲れを見せない(主に夜)タフなよめが、すこしよろよろしている。…よっぽど頑張ってくれたのだろう。その優しさが嬉しい。
「ごはん。すぐにできますから!」
そう微笑んで、エプロンをいそいそと身に着けるよめ。水色のイルカ模様のエプロンがよめにはよく似合っている。
…この間買ってきていた白いフリフリのはまだ下ろさないようだ。
それはともかくとして、頑張ってきたよめをねぎらわなくては。
「急がなくても大丈夫ですよ。で、いつ休みを取ったんですか?」
「それが、明日からなんです。」
 それを聞いて驚いた。全く引継ぎをしていない。おそらくよめの予定にあわせて取ったのだろうから、ずらすのは無理だろう。…どうしようか…。
「あ、それでーイルカ先生のお仕事は、隣の席の同僚さんが代わってくれるって約束してくれましたよ!!!イルカ先生がいっつも 頑張って働いてるからですね!!!」
「ええ!?そうですか???」
 そんなにアイツに何かしてやったことがあっただろうか…?昨日、あまってたおやつを譲った記憶はあるが…。だが、とにかく、コレで休みの問題は解決した。
 食事が済んだらしっかり旅行の準備をして、今夜は早く休むことにしよう。
よめが帰ってきてからわずか数分でできてしまった、いつもの様にうまい夕食をほおばりながら、俺の頭は明日のことで一杯になった。
*****
「ついたー!!!景色いいですねー!!!!!」
 忍びの足でも3時間ほどかかる所を、1時間ほどでついてしまった。イルカ先生との温泉で舞い上がっていた俺は、手をつないで全力疾走していたらしく、 ちょっとイルカ先生がバテ気味だったが、途中で抱っこに切り替えたのでそれほど問題ないようだ。ホッとした。
 …昨日、邪魔が入らない様にと色々と根回ししておいて良かった。イルカ先生の笑顔がまぶしい。やはり変色老人になどかまけていなくて良かった。
…福引きが無くても温泉には行くつもりだったので、旅行の準備は済んでいた。あとは…決行あるのみ!!!
「イルカ先生。まずは宿に入りませんか?」
 色々確認したいしな。
「そうですねー。荷物置いてから、この辺りのお店でも見て回りましょうか。あ、でも、まず温泉に入ってからですよね!!!」
温泉!そう、ここは温泉なのだ。夢にまで見た湯煙イルカ…。
「そ、そうですね!さ、早く早く!」
「もう、そんなに慌てなくても温泉は逃げませんよ。」
ニコニコと嬉しそうなイルカ先生に、俺もにっこり笑っておいた。

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長いので分けてみました。相変わらずのアホさ加減で失礼します(_ _;)。
後半は急いで作成中。コレで一応3000HIT祝いのようなものにしようかと…。

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