銀色毛玉

おめでとうございます?イルカてんてーご降臨祭り2ndのド粗品第1号でございます!!!
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変なものを拾ってしまった。
雨が降っていると言うのに、その生き物はびしょぬれのままピクリとも動かず、ぐったりしていた。
…うちのアパートはペット禁止だが、放って置いたら、弱ってしんでしまうような気がしてついつい家に連れて来てしまった。
なんだろうと手を伸ばしたら、噛み付かれたので生き物であることは確認できた。だが…ずいぶん弱弱しかったので心配だ。
机の上にそっと下ろしてみる。小さい。手の平にのるほどだ。フルフルと震えているので、寒いのかもしれない。慌ててタオルを持ってきた。
まず水気をふき取ってから、新しいタオルでそっとくるんでやる。しばらくモゾモゾやっていたがタオルに埋まるようにして、動かなくなった。 死んでしまったのかと慌てたが、規則正しい寝息がタオルのなかから聞こえてきたので、ひとまずホッとした。
さて、とっさに拾ってしまったが、これからどうしたら良いだろう。
まず何食うんだコイツ。
猫でもないし、犬でもなさそうだ。…ネズミでもないような気がする。
イルカが拾った生き物は、まるで毛玉のようだった。丸くてやたらモサモサと毛深く、目も口もどこにあるのかもわからない。しかも薄汚れた灰色だったので、 噛み付かれるまでは綿ぼこりかとも思った位だ。しかしモゾモゾと動いていたので、慌てて拾ってしまったのだ。
本当は洗ってやりたいが、眠ってしまったようだし、今日の所はもういいか。 イルカはその生き物をなでてから、自分も一眠りすることにした。
*****
朝、イルカが目を覚ますと、腹の辺りがモソモソする。布団をそっとめくると、昨日の毛玉が、器用にパジャマに潜り込んでいた。
ホワホワした温かい生き物が、腹の上にいると和む。これだけ移動できたのだから、もうそこそこ元気になったようだ。
ちょうどいいので、洗ってしまうことにする。
風呂桶にお湯をいれ、石鹸を泡立てたもので擦ってやる。でるわでるわ、汚れたお湯はあっという間に真っ黒になった。
ひょっとして、のみもいるかもしれないと、何度かお湯をかえ、むきになって洗った。毛玉は暴れることもなく、おとなしく洗われていた。
洗い終わった毛玉をドライヤーで乾かして、一仕事終えた達成感とともに毛玉をふと眺めてみると、意外と綺麗な毛色をしていた。
しばし撫でながら毛玉を堪能した。
ふと気付くと、銀色のふわふわがイルカの手に張り付いてぐるぐる鳴いている。
…腹が減ったのかもしれない。
どう考えても獲物を捕れそうにもないので、肉食では無いような気がする。草食の生き物は普通のべつまくなしに食べているものだし。
イルカは朝食に用意しておいた飯と焼き魚と惣菜屋で買った煮物を与えてみた。
一食ぐらいなら、変わった物を食べさせても大丈夫だろう。食べられないなら、最初から口にしないだろうし。
結局謎の毛玉は、意外と良く食べ、腹が一杯になったのか、もそもそとイルカのひざに上がって、眠りこんだ。
「かわいいなぁ…!!!」
*****
「何がよ?」
「へ?」
あれ?あー…夢か。相変わらずふさふさしてるなぁ…。うん。キレイな銀色だ。
「アンタさ、意識飛ばすのはいいけど、かわいいとかってなんなのよ?」
「え?ぁっ…」
…え?アレ?ちょっと待て!なんだコレ?!
「やってる最中にどんな夢みてんだか…?ま、おしおきだね。」
「ちょっ…あぁっ待っ…」
「どこの女?それともアンタのことだから子どもかな?どっちでもいいけど。…意識戻ったんだからいいよね?」
「だから!…んっ!あっ…」
「いいから…俺のことだけ見てなさいよ…」
そういうとカカシは好き勝手にイルカを揺さぶったのだった。
*****
そうか、昔カカシさんを拾ったときの夢だったのか。…まあ俺が拾ったのはちゃんと人間だったけど。
何か動けないと思ったら、俺の上に乗ったカカシさんに抱きこまれている。それにやりすぎで身体がだるい…。
…まつげ長いなぁ…こんなキレイな顔してるのに、どうしてこんな性格なんだろうなぁ。
拾ったときもそうだった。道端にびしょぬれでずたぼろの何かが落ちてたから、ついつい手を伸ばしたら思いっきり殺気向けられて、流石にビビッてたら そのまま動かなくなったから、慌てて持って帰っちゃったんだよなぁ。
…アレが失敗だった。良く考えるまでも無く、さっさと医療班呼ぶなり、病院に引きずってくなりすればよかったんだ。 ずたぼろのマントめくったら暗部服着てたし、急にぐったり倒れこむからついつい…。
連れて帰ったら連れて帰ったで、服着替えさせて客用布団に寝かせてみたものの、全然動かないから心配してたら、朝になったら勝手に俺のベッドに入り込んで 俺の上で寝てるし、何にもしゃべらないからドキドキしながらとりあえず風呂を勧めてみたら、一緒に連れ込まれて頭とか洗わされるし、飯食わせたらそのまま がつがつ食うし…。
朝起きたら腹の上にべったり見知らぬ男が張り付いてるってのはなかなか出来ない経験だった。おそるおそる風呂につれてっても、風呂の椅子に腰掛けて視線で 洗えって訴えてくるし、飯作ってる間中じーっと見てるから、なんだろうなぁと思ったら、また視線だけで空腹を訴えてきたんだよなぁ…。
3日たってもしゃべらないから、もしかして喉でもやられてるかと思って、どうしようかと悩んでたら…最初の言葉がヤラセテだった…。
アンタのコト気に入ったから。今日から俺のね。なんて言われて、びっくりして反論しそこなったら、じゃ、そういうことで。とか言われて、 あれよあれよと押し倒されてしっかり致されてしまった。…これもでっかい敗因だな…。
…そのままなし崩しに居ついちゃってもう大分立つ…。
それから、気がついたらうちから任務にでて、うちに帰ってくるようになって、なんだかいつの間にか火影様にも知られちゃってるみたいだし、大変じゃろうが 頑張れとか応援されちゃうし、だんだん逃げ場がなくなってきてるような…。
…良く考えると…どうしてこんなに面倒みてるんだろう…?
「もう寝なさいよ…。アンタ体力無いんだから。」
ずいぶん勝手なことを言ってるが、大体さっき気絶したのだって、何度も何度もやりすぎたこいつのせいなのに!!!俺の体力は中忍の標準くらいだ!!!
「あのですね!大体誰のせいだと…」
「ん?うるさいなぁ…」
「んんーっ!」
なにするんだ!…ひょっとして?…もう無理だって!!!
「…そんな顔しなーいの。流石にもう無理でしょ?かわいい顔して誘うのやめてよね…。」
「な?!」
「それとももっと頑張る?」
「…お断りします…」
結局いつもの様にカカシさんのペースだ。…なんかくやしいな…。
「余計なこと考えてないの。拾っちゃたんだから諦めなきゃ。」
カカシさんは楽しそうに笑って、また瞳を閉じてしまった。相変わらずつやつやしたさわり心地のいい銀髪がもそもそと額に当たってくすぐったい。
…自分が拾っちゃったからなぁ…餌もやっちゃったし…それにうっかり反論しそこなったのもな…。そうか…!この毛並みと気まぐれなトコに負けたのかな。
それでも釈然としないものを感じるが、くっ付いて一緒に寝てくれる手のかかるこの生き物が気に入ってしまった自分がいる。
「まあ、しょうがない…よな。」
「そうそう。」
起きてたのか…。当事者の癖にずいぶんな態度だな。…まあいいけど、もう今更捨てる気なんて無いし。
「手放す気ないんだから。あんたもそうでしょ…?」
眠そうに勝手なことを言うこの獣は自分勝手で、態度がでかくて、毛並みが良くて、…けっこうかわいい。態度でかいくせに俺の言葉を強請ったりするところとか もきゅんと来るし、意外とスキンシップが好きだったりするところもいい。
なんだ…なんだかんだ言って結局俺は、この人のことが好きだったのか。
…そういやいくら上忍相手でも、死ぬ気で抵抗したらなんとかできたはずだもんな。きれいな顔に見とれてたってのもあるけど。…何か結構必死だったし。
「…そうですね。」
納得したら眠くなってきた。
腹の上に乗っている重くて毛並みのいい生き物をなでているうちに俺の意識は眠りに落ちていった。


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取り合えずお祭だぜ2ndド粗品第1号です!
無理に読んだ方は、早急に記憶から消去することをお勧めします。
ああ…それにしても、よくこんなところに気がつきましたね。
努力の対価が、こんな粗品ですみませんです…。

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