仕返し



性格の悪いカカシ注意!それと、隠さずに微エロ(あくまで当サイト比。)がありますので、苦手な方はご注意下さい!!!
あー…突貫工事な上、いつも通り中身はあんまりありません。…無理はなさらずー…。



「これでよしっと!」
バレンタインは完全にカカシにやられた。
引っかかる自分も情けないとは思うには思ったが。…やっぱりカカシには絶対にし返してやりたい!
だからといって、任務に響いたり、子どもたちに影響が出たりするようなことはできないから、カカシの頭を虹色に染めるとかは 却下だ。そもそもホワイトデーとはかけ離れてしまうし、いくらなんでも子どもっぽすぎる。
いろいろ考えた結果、一番シンプルな方法で仕返しすることにした。
…お返しとして、甘いモノ山盛り用意したのだ。
クッキーに飴にマシュマロにチョコに…それにケーキも。もちろん全部は無理だろうから、残ったら自分でちょっとずつ 食べるつもりだが、それにしてもちょっと買いすぎた。
最初は…ただ、ちょっとした意趣返しに甘みの強そうなお菓子を買うつもりだった。カカシは甘い物が苦手で、 見るだけでちょっと嫌そうな顔をするから、これならきっとまた文句を言うだろう。でも、お返しだから食えといえば、 ちょっとだけ困らせることが出来るかもしれない。
そう思っていただけだったのに…。
折角だからと木の葉デパートまで出向き、いざ、品物を選ぶとなると、そこら中に並んでいる品物はどれもキレイで食欲を そそる甘い匂いが漂っていた。それで、試食を進められて片っ端から味見をしたらどれも美味しくて、ついつい買い過ぎてしまったのだ。
気が付いたら両手に下がった紙袋の数が凄いことになっていて、正直自分でも焦った。金額的にも結構なものになったし、持って帰るのも一苦労だった。
家に帰って後悔とともに、袋の中身をどんどん並べてみたら、案の定お菓子だけなのに小山のようになってしまった。 しかも普段買う駄菓子とちがって、どれもこれもキレイな箱に入っていて、可愛らしいが場所をとる。
…流石にどうしようかと思った。ここまでする予定じゃなかったし、よくよく見れば明らかに自分の好みで買い物をしてしまっていた ことに気付いたからだ。
大分落ち込んだが、…これは返って良かったんじゃないだろうかと気が付いた。
普通に甘い物ちょこっとだけなら、カカシは返って喜ぶだけで終わるかもしれない。あれだけ愛がどうとか言ってたし。
でも、逆にこれだけの量が差し出されれば俺の怒りも少しは理解できるんじゃないだろうか?
結局その考えは大分的を得ているように思えたので、俺はちゃぶ台にいっぱいのお菓子の前で、ちょっとだけカカシの反応を期待しながらその帰りを待つことにした。
今日は7班の任務だけだから、そんなに遅くならないはずだ。
「どんな顔、するかな…?」
色とりどりの箱を弄びながら、カカシが早く帰ってくればイイと思った。
*****
「ただいま。…何、これ?」
案の定、帰ってくるなり不愉快そうに眉をしかめたカカシに、嫌みったらしくにやりと笑ってお菓子の箱を突きつけてやった。
「お返しだ!全部!」
流石に驚くだろうと思ったのに、何を勘違いしたのか、刺すような殺気がカカシから放たれた。
「ふうん?…アンタまたこんなに貰ったの?」
「そんなわけないだろ!これ全部アンタのだからな!お望みどおりたっぷり用意したんだから受け取れ!」
折角買ってきたのにあの時のように散らかされたらたまらない。ちゃぶ台にしがみ付くようにして、伸ばされた手から庇った。
が、それ以上カカシが俺の買ってきたお菓子の山にちょっかいをかけることはなかった。
「そ。ちゃんと覚えてたのね。ならいい。…風呂入ってくるからソレちょっと寄せて待ってなさいよ。飯食えないでしょ?」
「へ?」
殺気が霧散し、驚いて顔を上げたら、ちょっと汚れたベストを脱ぎ捨てたカカシが風呂場へ向かう所だった。
飯!そういえば今日の晩飯どうしよう!仕返しに夢中になってて忘れてた…!
米だけはある。でもそれ以外はどうだったか買い物に夢中になってて考えていなかった。
流石に焦って冷蔵庫を確認しに行こうとしたら、脱衣所からカカシが話しかけてきた。…非常にえらそうな口調。
「ああそうだ。今日の夕飯、玄関においてあるから。さっさと用意しといて。」
「え!?あ!ホントだ!」
言い方はいつも通り感じ悪いが、確かに玄関には折り詰めと酒まで一緒に置いてある。
美味そうな匂いに、忘れていた空腹感が急に激しくなってきた。
ぎゅうぎゅうとなる腹を押さえていると、うんざりしたような声がさらに投げつけられた。
「風呂から出てくるまでに片付けときなさいよ?」
まるで散らかした子どもに対する様な口調。
…確かに半分くらいは多分やりかえされるだろうと思ってたが、どうしてココまで俺様なんだ!それに折角のお返しを無碍に扱われたのも腹が立つ。
「これはお前の…!」
言い返そうとしたら、わざわざ半裸で脱衣所から出てきたカカシに、からかわれた。
「だから、飯食ったら貰うから。アンタだって泥だらけの俺に食われたくないでしょ?」
「ばっ!なっ!?」
頬をなでる手が、唇をたどる手が…あからさまにその意図を示していてうろたえた。
どうして全部そっち方面につなげるんだコイツは!
カカシは俺が真っ赤になって固まってる内に、くすくすわらいながらまた風呂場に戻っていった。
「じゃ。」
なんていいながら。
「なんなんだよ!」
結局カカシのペースで進んでいる気がする。
仕返しのはずがちゃっかりいいようにされそうだ。
「くっそー!…絶対全部食わせてやる!」
買ってきたお菓子を紙袋に戻しながら、風呂上りのカカシを絶対にお菓子攻めにしてやると決めた。
*****
風呂上りのカカシと弁当を無言で食った。
カカシはいつもやたら高そうな食い物を買ってくるので、もったいないし、腹が立ってても、美味いものは美味い。
食後のお茶まで無言で済ませると、カカシがボソッと言った。
「どう?」
答えてやるのも業腹だったが、何故か穏やかに微笑んでいるカカシに文句を言う気になれず、ただ一言だけ返した。
「…美味かった。」
調子が狂う。さっきあれほど俺様だったくせに、急にこんな…!
何を言っていいかわからなくて、ちゃぶ台の上の湯のみを睨んでいたら、カカシがニヤッと笑った。その表情に馬鹿にされたように感じてむっとした。やっぱりコイツ懲りてない!
またどんなえらそうなことを言い出すのかと思っていたら、くすくす笑って湯飲みを弄んでいる。
「そ?ま、いいんじゃない?気に入ったんなら。」
…その余裕の表情がまだ何か隠していそうでいらっっときたが、その前に気になっていたことを片付けてしまうことにした。
「そういえばどうしてそんなに泥だらけに…?」
おかしいとは思っていたんだ。普段なら帰るなり抱きついてくるのに、ソレもなくベストを脱ぎ始めた。それに脱いだベストだけじゃなくてアンダーまで泥がこびりついていたし、玄関に行ったときに見たサンダルも結構な汚れ具合だった。
上忍の任務の時は、そんな汚れをつけてくるコトは珍しい。多分子どもたちがらみで何かあったんだろうとは思うが、気になっていたのだ。
普段ならさっさと答えるカカシは、今回に限ってちょっと歯切れ悪く話し出した。
「あー…今日任務が庭掃除だったんだけどね。…ナルトとサスケがじゃれあったせいで泥かぶったのよ。昨日雨だったじゃない?どっちが多くむしれるかとかって話がこじれたらしくて。…草むしりながら取っ組み合い始めたくせに、人に泥かけて汚したらそれみてげらげら笑うし。ま、罰として腕立て伏せさせたけどねー。俺とサクラで。」
話し出したら途中から急に饒舌になったカカシは、その口調からしてまだ不満そうだ。しかも、呆れるような口調で話している割には その表情が楽しげで…。
「それは…その、すみません…。でも…ぷっ!くくっ!」
自分の教育が不十分だったせいだと思いはしたが、その憮然とした表情と、気にしてなさそうなのに結局まだちょっと不満げな所に耐え切れず思わず噴出していた。
…そういわれて見れば、帰ってきたとき頭にまで泥が飛んでいた気がする。
微笑ましいというかなんというか…今度あったら叱ってやらなければならないが、その場面が想像できて思わず頬が緩む。
楽しそうに笑う俺に、今度はカカシの方がむっとした顔をして、俺の頬をつまんできた。
「笑ってもいいけどね?あいつらどうしてあんなにじゃれるの好きなの?」
「引っ張らないで下さいよ!…ライバル心っていうか…兄弟みたいなもんだから。あの二人は。」
あの二人は喧嘩するほど仲がいいの典型だから、きっとこれからもじゃれあいながら育っていくんだろう。その度にカカシがこんな顔をするのかもしれない。
…怒ってるのにまんざらでもなさそうな。こんな顔を。
結局カカシは子どもたちのことが可愛くて仕方ないんだろう。
くすくす笑い続ける俺にため息をついて、カカシがやっと手を離した。
「ふうん?ま、いいけど。」
「…食べ終わりましたね。」
「そーね。」
「俺のお返し!全部食べてもらいますよ!」
まだ不満そうだが今がチャンスだ!
俺は紙袋一杯のお菓子をカカシに押し付けてやった。
「またこんなもの無駄に買って…。」
予想通り馬鹿にしたようなため息交じりの声を聞くことが出来た。
今日は多分思ったより疲れただろうから、情状酌量の余地はある。
…でもせめて一回くらい、カカシのしかめっ面を拝んでやる!
「お・返・し!ですから!さ、全部食べてもらうからな!」
「どれからでもいいの?」
念を押すように袋を押し付けると、カカシは案外すんなりソレを受け取った。
…ちょっと拍子抜けするくらいに。
それでもやっぱり嫌そうな顔で箱を睨んでいる所をみると、甘い物は相当嫌いなんだろう。
もうちょっとだけからかってやりたくて、更にダメ押ししてやった。
「好きなのからどうぞ!」
さあ、どうでる…!?
ちょっとドキドキしながら様子を見ていると、カカシは一番上にあったチョコの箱を無造作に開けた。何を言うんだろうとドキドキしたのに…。
「…。」
カカシは無言で口の中に運んでは、表情ひとつ変えずに飲み下していく。
まるで機械のように。
本当に眉ひとつ動かさない。…美味しいという顔でもないし、まずいという顔もなくて、よっぽど疲れてるのかと心配になった俺は、恐る恐る問いかけた。
「…あの、どうですか…?」
「別に?普通でしょ?」
普通。高かったんだけどな。いや、そうじゃなくて!
「だってそれ…甘いだろ…?」
何でこんなに…意地になって顔に出さないようにしてるだけなのか?
そう思った俺に告げられた言葉は…俺に衝撃を与えた。ソレも、強烈に。
「まあね。毒と一緒でしょ?食えないわけじゃないよ。美味いと思わないだけで。」
「な! 」
「どれが一番日持ちしないの?流石に今日全部食べたら食いすぎだから、もつやつは明日に回すけど。」
その言葉にも、無表情さにも、何より俺が固まってるのに、そんなコトなどどうでもよさそうに機械的に口に運ぶ姿が一番胸に刺さった。これがこの人にとって普通のことで…。
…こうやって、毒も無造作に口に入れてきたんだと思うと耐えられなかった。
「…もういい。後は俺が食う!」
そう叫んでひったくろうとした箱には逃げられた。
甘い物なんか大嫌いなくせに、箱を抱え込んでるのはカカシだ。
「なんでよ?これ、 愛のお返しなんでしょ?全部貰うよ。…ソレで気が済むんならね?」
やっぱり!…コイツは…!
カカシは多少悪いと思っているのか、それとも俺の気が済むようにしてれば文句はないだろうといいたいのか…!?
言いたいことがありすぎて、もう何を言ったらいいか分からない。
「…っ!だから!もういいって言ってるだろ!…俺は毒なんか我慢して食わせたくない! 」
とにかくこれ以上こんな顔で食べさせたくなくて、箱を奪おうとするのに、こんな時にも無駄に上忍なこの男は、すばやい身のこなしを見せつけ、俺程度では指すら触れられない。
悔しい。でももうこれ以上は絶対に食わせてやりたくない!
「何が?ナニ怒ってんの?」
「もういい…。 よこせ!俺が食うから!」
戸惑うカカシは、俺がどうして怒ってるのか本当に分からないんだろう。
プレゼントにあんな言われ方したのも…元々仕返しのつもりだったとはいえ嫌だった。
でもなにより、毒を気軽に食べてるんだろうかとか、俺のためにきっとコイツはとんでもないことも我慢して受け入れて見せるんだろうかと思い始めたら、耐え切れなかった。
箱が奪えないことに涙が出てきて、うつむきながら叫ぶような言葉をぶつけたら、いきなりぐいっと引き寄せられた。
「そんな顔して何がもういいなのよ?こっち向きなさいよ!」
「 馬鹿野郎…! 俺は…!」
こんな時に焦ったような顔されても嬉しくない。仕返しなんか考えなきゃ良かった。
「あーもう!なんで泣いてんのよ!」
「 俺は…馬鹿だ…! 」
なんでもない様な顔してこうやって…俺のことばっかり気にして。
でも俺にとっては…!
頭がぐちゃぐちゃになって、涙が止まらない。
声を殺してしゃくりあげる俺をカカシがぎゅっと抱きしめてきた。
「はぁ…。アンタはどうしてそう下らないことで無駄なこと考えるの?いいじゃない別に。 」
「よくない! 俺は確かに仕返ししようと思ったけど…!」
風呂上りで温かい腕に騙されたくない。欠片もどうでもよくなんかないし無駄じゃない。
大事な相手にそんな目に合ってほしいなんて思うわけがないのに…!
考え方が違いすぎてその差が苦しい。きっとコイツは俺の心配なんてどうでもいいと思ってて、前にも散々心配かけるなって言ってあるのに、きっと簡単にあきらめる。
自分のことを。
…俺が大事に思ってることなんか考えもしないで。
それが悔しいのか悲しいのか…ぐちゃぐちゃになって、訳が分からなくなって、でもいつもの様にぎゅうぎゅう抱きつかれて、その腕に馴らされてしまって突き放せない自分が情けなくて。
言葉さえ出せずに、ただ必死で零れ落ちる涙を止めようとしていた。
その口に、そっと何かが押し付けられるまでは。
「…ならさ、それ、口の中入れて。 」
「え?コレ…? 」
さっきカカシが開けた箱…奪い取れなかった箱の中身だ。
カカシがバレンタインによこしたものほどではないにしろ、高級で、有名な店のチョコ。
体温で溶けはじめているソレを、カカシはぐいぐいと口に押し付けてくる。
自分の意図が分からないながらも、奪い取ろうとしていたからだろうかと思いながら、口の中に入れた。…意味がわかってないならとも思ったけど、こっちのことを少しは考えてくれたのがうれしかったから。
そのとたん、カカオと僅かに酒の香りがして、口の中に甘くほろ苦いチョコの味が広がった。流石に高いだけあって美味い。
だが、飲み込もうとする前にカカシにくいっと顔を近づけられた。
「そ。…それで、俺にキスして?」
「 んぐっ!?」
…思わずのみ込んでしまった。
なんてコトいいやがるんだコイツは!
目を白黒させてたら、次のチョコをまた押し付けられた。
「 飲んじゃ駄目でしょ?…ほら、早く。 」
「…っ! 」
誘うように甘い声で、でもちょっと焦ったような声に騙されるように、気が付いたらチョコを口に含んでいた。
「こっち、むいて?」
その視線と顔が、何をさせたいのか分かってしまうのが悔しい。
せめてその余裕の表情を崩してやりたくて、口の中にチョコを含んだまま唇に食いついてやった。
「 …んっ…!」
滑り込んできた舌が、絡みつくようにして俺の舌ごとチョコを味わう。
チョコとカカシと、甘いのはどっちだったのか分からなくなるくらい執拗に。
「ふ…っ!」
やっと開放された時には、チョコの味も分からなくなるくらいになっていた。
息が上がっている俺に、カカシが舌なめずりしながら余裕ぶった声で囁く。
「ま、 おいしいかもね。こうやって食べるんなら。」
俺は、そのくすくす笑いを壊してやりたくて…。
「 …いいから黙れ。」
チョコをもう1個自分で口に放り込んで、カカシの顔を引き寄せて自分からキスしてやった。
「!ん…。」
カカシは一瞬驚いたような顔をした。それに勢いづいて、舌を絡ませながらチョコを口の中に押し込んでやる。…甘い甘いチョコを。
「んんっ!」
…結局すぐに調子付いた舌に主導権を奪い返されてしまったが。
チョコが溶けてなくなるまでカカシに口内を蹂躙されても、興奮したその顔と、むさぼるような舌にちょっとだけ勝った様な気になれた。
もっと思い知ればいい。…どれだけ自分が大事に思われてるのか!
こんな恥ずかしいマネが出来るのはどうしてか、ちょっとでも考えて見ればイイんだ!
「 随分積極的だねぇ?ま、いいけど。」
「 俺は…アンタになんか盛ったりしない!それに…!」
余裕ぶった顔を少しでも崩してやりたくて、もう一個口に入れようととしたチョコは、途中で止められた。
「そんなの知ってる。アンタはそういうのできないでしょ?」
「だから…! 」
やっぱり分かってない!そういう意味じゃない!
言葉が足りなくて言いたいことがまとまらなくて顔をゆがませたら、いらだった表情のカカシに押し倒されていた。
「ああもういいから。アンタは俺に縋って鳴いてればいい。 」
「なっ!?…あっ!んあっ!」
抗議の声をあげる前に、口づけで兆し始めていたソコを服の上から擦り上げられた。
「そうやって…ね? 」
こぼれる声にニヤリと笑ったカカシが、当然のように服を脱がせ始める。
素肌に触れる手が、気持ちイイ。
手のあとを追った熱の篭ったため息に卑猥な笑みは更に深くなった。
「ばっかやろう…!」
「甘いのはアンタだけでイイ。」
憎まれ口を叩きながら、二人とも引き寄せられるようにもう一度キスを交わした。
*****
寝室にも行かずに座布団の上で切羽詰った表情のカカシにのしかかられてから、どれくらい立っただろう?
せわしなく服を脱がしあって、自分からもカカシに手を伸ばして…それでもまだ、足りない。
「…入れるよ?もう我慢できない。」
だから、そんなコトを言うカカシを押し返した。
「待…て…。」
「焦らさないで。」
ギラついたその目が、カカシの体を押しとどめようとする俺を食いつかんばかりに見つめる。もっと、満たしたい。満たしてやりたい。
「…俺が。」
俺の様子に気おされたのか、カカシは素直に従った。
それでも、俺の行動を予想できていなかったらしい。
さっきとは逆に下に敷かれたカカシの中心に、俺もゆっくりと腰を落とすと、目を見開いて俺を見ている。
その顔を見つめて、じわじわと肉の杭を飲み込ませていく苦しさに耐えた。
「っ…は…っ…んん…っ」
こんなことをやるのは初めてだ。
いつもカカシがするのと違って少しずつ入り込んでくるから、入り込んでくるものの感触をよりはっきり感じられる。幸いカカシが熱心にいじくってくれたせいで、痛みはそれほどないが、怖くないといえばウソになる。
いつもこんなだっただろうか?脈打つ熱を身の内に取り込んで、喘いで、射精して。
身体は確かに快感を拾うのに、ソレに溺れない。
「ナニ?どうしたのよ?」
半分ほど飲み込んだところで、やっとカカシがかすれた声で問いかけてきた。
…驚いた顔をしてるくせに、太腿をスルっとなでたりするから油断できない。
「いいから黙ってろ…っ!んぅっ!…っ!」
「はっ…!気持ちイ…。」
カカシのこんな顔は始めてみたかもしれない。いつも入れられる時は自分の方がいっぱいいっぱいだから、こんなにまじまじと見たことがなかった。
快感に耐えるように眉をよせ、僅かに開かれた口から吐き出される声が熱を帯びている。
それだけで、自分が溶けてしまうんじゃないかと思った。
「くっ…んんっ…!」
その顔に…覚悟を決めて、一気に腰を落とした。
上に乗せられたコトはある。でも自分から乗ったコトはない。
ずるんと入り込んでくる衝撃に耐えて、でも流石にすぐは動けなくて固まっていたら、カカシが腰を突き上げてきた。
「もっと…入れて…っ!」
がっしりとつかまれた腕に逃れようもなく、カカシの腰を押さえ込んでも動きは止まらなかった。
「やっ!待っ…ぅんっ!」
このままじゃ結局いつも通りだ。今日だけは…!
…意地になって仕返しのように締め付け、ゆるゆると腰を動かしてやった。
「あっ!ちょっっとナニすんの…!」
カカシの顔をみると、慌ててるくせに、堪えるような…でも蕩けた表情で快感を追っている。
こんな顔、してたんだ。
もっと見たい。もっと欲しい。
…気が付いたら、勝手に腰が動いていた。
カカシが甘く呻く声に誘われるように締め付けては落とし、腰をひねって追い上げて…自分でも止められなかった。
「あ、あ、あぁっ!」
声を堪えようとさえ思わなかった。
ただ欲しいという衝動に身を任せ、激しく腰を動かし、震える手でカカシの肌をたどる。
「もっと。」
そうつぶやいた瞬間、自分の奥でカカシがはじけたのが分かった。熱いほとばしりに満たされて、力が抜ける。
何よりその瞬間みせた表情に、しびれる様な快感が走った。
「持ってかれた…!」
「はっ…あ、ん…っ!」
不満げな顔のカカシを見て、勝ったと思ったが、どうやら自分も引きずられたらしい。
倒れ込んだ腹に伝う熱液がくちゅりと音を立てている。
もう、無理だ。動けない。
そう思っていたのに。
「次は、俺が…!」
悔しそうにそうつぶやいたカカシに腰をつかまれて下に敷かれてしまった。
「まだ、待っ…!ああっ!」
イったばかりなのに抜かずにそんなことをされて、身体を震わせることしか出来ない。
「待てるわけないでしょ!」
…だがカカシが制止の言葉を待つはずもなく。
そのまま激しく突き上げるカカシのもたらす快楽に流された。
*****
あれだけ用意したお菓子よりも、俺にイかされてしまったことのほうがショックだった様だ。ちょっと釈然としないが、ある意味勝てた。…のかもしれない。
それに、確かに身体はきついが、こんな顔が見られるならたまには…こんなのもいい。
俺の上にのっかってひっついたまま、まだ不満げなカカシを見ながら、そう思った。
「あーくそっ!イかされちゃったじゃない…!どうしたのよ急に!」
「な、なんでもな…」
…仕返しのつもりが、途中からカカシを溺れさせたくなったなんて言えるわけがない。
もごもごと口の中で話してたら、怒ったような口調で怒鳴りつけられた。
「次は、俺がやるからね。」
宣言というよりは命令のような口調に、折角の気分に水を注された。
「何でそんなコトにこだわるんだ!」
「アンタのイく顔みたいからに決まってるでしょ!」
「な!それなら俺だって…!」
「へぇ?」
「う…っ!」
…顔が熱い。言ってしまったコトはもう取り返せないけど、なかったことにしたい。
自分からこんなこというようになるなんて…思ってもみなかったのに!
こっちが羞恥で叫びだしそうになってるのに、カカシは嬉しそうにニヤニヤしながら抱きついてくる。しかも、偉そうに…!
「でも駄目。俺が見たいから。」
なんていいやがったんだ!
「なんだよそれ!」
元々はちょっと驚いた顔を見たかっただけなのに。なんで…居間でことに及んだ挙句になんてこと言い合ってるんだ俺は!?
睨みつける俺に、いつの間に取ったのか、お菓子の箱を見せて付けてきた。
「お返しの分はちゃんと返さないとね?」
「あれは…!俺が食う!だからそんなのはナシだ!」
この口調といい怪しく輝く瞳といい、返されるのは色事関係出だろう。
あんな量の分やりかえされたら俺の身体がもたない!
ひったくろうとした箱はやっぱりよけられてしまった。
「駄目。しっかり全部貰う。勿論アンタもね。」
「散々やったくせに!」
自分勝手な俺様男は嬉しそうに箱を手にとって、色悪な笑みをにじませる。
抗議の声も当然のように言い返された。
「あんなに煽られたんだから当然でしょ?」
「あ、煽ってなんか…!」
確かに…その、ちょっとは…!でもあんなことする羽目になったのはカカシが…!
「かわいい顔してあんなに腰振っといてそんなコト言うの?分からせてあげようか?身体に。」
ため息をつきながら僅かに怒気をにじませて、さっきまでただ触れていただけの手が、にわかに本気をにじませた動きを始めた。
「離せ!」
当然止めようと思った。
でも…。
「壊しちゃいそうになるから止めてよ。もう。」
そんなコトを言うから。
「…壊せばいい。」
思わず、そういっていた。
「ナニ言ってんの…!?」
今日何度目かの驚いたカカシの顔。やっぱり何度見ても楽しい。もっとこういう顔を見たい。いつもみたいに淡々としてるんじゃなくて、もっと素直に笑ってるところとか、驚いている所とか、俺の前で見せない所を知りたい。
ぽかんとしたカカシの鼻をぎゅっとつまんで、啖呵を切ってやった。
「壊せるもんならな!俺は頑丈だからそんなに簡単に壊れたりしないし、薬なんか盛らなくてもアンタは俺に…」
「馬鹿なこと言って…知らないよ?」
俺の言葉を遮って、うっすらと怒りのようなものをまとわせながら、カカシが俺を強引にベッドに押し付ける。
真剣で、ちょっと悔しそうで、それに欲情をあらわにしたその表情に気圧されそうになったが、それでも言い返すのは止めなかった。
「馬鹿はどっちだ!…んっ!」
「…ふ…っ!…もう今日は止めとこうと思ったのに…!」
強引に唇をむさぼったくせに、カカシは不満げな顔をしている。
押し付けられる熱ももう引っ込みが付かないことをあからさまに知らせてきて、…ちょっとだけ、かわいいと思った。
「今更だ。…お返し、受け取ってくれるんだろ?」
なだめるように手を背中に回すと、カカシは予想外に真剣な顔をしていた。
「貰う。もちろん全部。」
「なら、好きにすればいい。」
真っ直ぐな視線と、欲望にかすれた声が、確かに俺に満足感を感じさせてくれた。
その視線に答えるように、俺もカカシを見据えた。…真っ直ぐに。
とたん、カカシがうんざりしたような声で文句を言った。
「誘うの上手くなっちゃって…他のヤツまで誘わないでよ?」
「馬鹿!…アンタだけに決まってるだろ!」
「上等。」
にやりと笑ったカカシは、やり込められてもやっぱりカカシだった。
…強引で、わがままで、意地っ張りの。
むしろ意地になったのか、普段より数段しつこくその手管で俺を翻弄した。
そんなわけで、ホワイトデーの仕返しはできたんだかできなかったんだか微妙なんだけど…。
でも、カカシの驚いた顔を見られたから、イイことにしておいた。


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ホワイトデー滑り込みセーフ!?
い、いちゃいちゃにもってけてるのか微妙…?ぎゃふんといってるか…?
枳実様〜!!!…いつも通りすぎてもうなんだかなぁな感じではございますが、なにか ご要望ご意見ご感想などがありましたら、お気軽に拍手などからどうぞ…。

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