隠し事



性格の悪いカカシ注意!それと、隠さずに微エロ(あくまで当サイト比。)がありますので、苦手な方はご注意下さい!!!
いつも通り中身はあんまりありません。…無理は禁物。



「あれ。それ…イルカ、まだ持って帰ってないのか?」
同僚に見咎められるのも無理はない。机の下にぎゅうぎゅうに押し込まれた紙袋からは、隠しようが無いくらい 山盛りのラッピングされた箱がはみ出している。
色とりどりのそれは、小さいものから大きいものまで、さまざまだが、中身は皆チョコレートだ。
…それも、バレンタインの。
「あー…ちょっとな。」
愛想笑いで誤魔化しながら、さらにぎゅうぎゅう押し込んでみたが、量が多すぎてやはりはみ出てしまう。
コレのせいで指導案の作成も、テストの採点もなにもかも、窮屈な思いをしている。
…だが、コレを持ち帰るわけには行かない。
なぜなら、あのわがままで自分勝手で嫉妬深い男が、こんなものを貰うことなど許さないだろうからだ。
イベントが近づいてきてから、それとなく様子を伺っても特にバレンタインにチョコを貰うなとかそういうことは言われていない。
だが…ソレはもしかしなくても、貰わないのが当然だと考えているせいではないだろうか?
そう思ったら、チョコの扱いに慎重にならざるを得なかった。
幸いカカシは里外任務だったから、今まで何とか誤魔化しきれているが、早く何とかしなくてはいずれ見つかってしまうだろう。
俺のことに関しては鼻の効くカカシを、やり過ごすのは至難の業だ。
ロッカーの中なんかじゃすぐにばれるだろうし、アカデミーにもいつ迎えに来るかわからない。特に任務明けなんかは危険だ。
俺への態度も強引なものになるし、自分以外のものが俺に近づくのさえ嫌がるのだ。
「はぁ…。」
机に顎を乗せるようにして、ため息をつきながら、こうなったら三代目にでも預かってもらおうかと考えていた。
「なにやってんの?」
気配もなく背後から肩に手がかけられた。 同時に聞こえた不満げな声は…!コレは間違いなく…!
すばやく振り返った先には、やはりカカシが立っていた。
…しかも、任務帰りに直接きたって言うのが丸分かりなぴりぴりしたどこか飢えた様子で…。 「アンタ帰って来たなら報告を…!」
とにかく報告書が先だ。コレは受付職員としては譲れない。
それに落ち着かせるためにっていうのと、時間稼ぎしたいっていうのもある。
今にも俺を攫うんじゃないかというくらい、切羽詰った空気をまとったカカシをたしなめたが、軽くあしらわれた。
「仲間に任せた。たらたらやってないで帰るよ。」
強引に腕を引かれ、引き起こそうとしている。
このままでは机から引き剥がされそうだ。
…見つかってしまう!
「俺は!まだ仕事中だ!」
事実、まだ僅かだが仕事が残っている。…今日でなくてもいいんだが、この際コレを利用しない手はない。
そう思って書類を見せ付けるように机を叩いて見せたが、カカシは不満げに、腕を掴む力を強めた。
「ウソツキ。…就業時間すぎてるでしょ?」
苛立ちを隠そうともしないその顔からして、恐らく限界が近いんだろう。
こういう顔をしてるときは、大抵朝まで離してもらえない。…この上更にチョコが見つかったら、火に油を注ぐようなものだ。
…落ち着け俺!相手は冷静じゃない。最後まで誤魔化すんだ!
そう心に決めて、腹に息をためた。
「すぐ片付けてるから、外で待ってろって!」
腕を振り払って、視線を合わせて睨み返す。
「ふーん?そういう態度取るんだ。」
案の定やたらえらそうなカカシは、殺気をにじませながら睨みつけてきた。
周囲の温度が一気に下がり、同僚たちが怯えた顔で遠まきにしている。
…どうしてコイツは迷惑ばっかりかけるんだ!この俺様め!
「アンタ一体何…!」
椅子を蹴って立ち上がり、周りの目も気にせず殴りつけてやろうとしたが、冷たい声がソレをさえぎった。
「…その隠してるのナニ?」
「っ!コレは、別に…」
ヤバイ!見つかった…!?
とっさに立ち上がってしまったせいで、はみ出した袋からチョコの入った箱が覗いている。
カカシは里の行事に疎い所もあるが、チョコの意味を知らないとは思えない。
なにせ任務が入った時も面倒な目に合わなくていいとかつぶやいてたくらいだ。十中八九、この事態に腹を立てているだろう。
…だが、ココで退いてたまるか!
「ねぇ。隠したいようなものってことでしょ?早く見せないと…」
「…俺の貰ったチョコです。沢山あるから持って帰りそこなってただけの。」
脅しに掛かってきたカカシを遮り、平静を装ってやった。
…あえてココはバレンタインとは言わない。どう考えてもバレバレでも言わない。
「ふぅん?ま、申し開きは帰ってからね。それは…」
カカシの殺気に当てられて、同僚たちはいつの間にか逃げ出したようだ。
俺の足元のチョコに向けられる視線は、どんどん鋭さを増している。
…折角生徒や同僚からもらったチョコを台無しにされるのはごめんだ!
「俺のもの勝手に触るな!捨てたりなんか…!」
伸ばされた手から庇うように、とっさに紙袋ごと抱え込んだ。
…このまま三代目の所まで…!
そう思っていたのに…。
「行くよ。」
その言葉を聞いたとき既に、紙袋を抱えた俺ごと運び出された後だった。
「離せー!」
どうしていつもコイツに荷物みたいに担がれなきゃいけないんだ!
そう思ったが、すでにアカデミーの窓から漏れる光は遠く、抗う間もなく自宅まで連れ帰られてしまった。
*****
どうして俺はちゃぶ台の前で正座させられてるんだろうか。
「イルカ。あんたホイホイチョコ貰いすぎ。」
どろどろしたどす黒いチャクラを放ちながら、同じく正座しているカカシは、おもむろに紙袋をさかさまにした。
「あ!なんてことを…!」
どさどさと零れ落ちるチョコに手を伸ばしたが、その手はカカシにつかまれてしまった。
しかも、それはもうものすごく不機嫌な顔で。
「これ、だれから貰ったの?いいなさいよ。全部。」
有無を言わさぬ口調だ。きっとまた浮気の何のと疑ってるんだろう。
その態度には腹が立つが、こっちに後ろ暗いことがない以上、いっそのこと全部話してやろうと開き直った。
「えーっと。これとこれと…こっちの山が生徒に貰ったヤツで、こっちは同僚に、あとは受付中に貰ったやつだから…。」
改めてみると、やっぱり結構な量だ。
渡してくれた時の笑顔とか、おいしいかどうか分からないけどイルカ先生にもって言ってくれたりした記憶が甦る。
何だか思い出すだけで心が温かくなってきた。
それなのに…。
「最悪。」
吐き捨てるように言ったカカシは、俺の貰ったチョコをぞんざいにちゃぶ台から払い落とした。それも、心底嫌そうな表情で。
…流石に頭にきた。
「こういうのは付き合いです!大体あんただって少しはチョコ貰ったでしょうが!」
ダンッとちゃぶ台を叩きながら怒鳴りつけてやった。
任務に行ってても、帰って来たら上げるんだっていってるくのいちたちをみたし、サクラだって俺にくれたぐらいだから カカシにも作っているはずだ。
それなのに、俺ばっかりなんでこんなことされなきゃいけないんだ!
…だが、カカシはそんな俺を鼻で笑った。
「貰う訳ないでしょ?甘いもん嫌いだし、それ以前に他人から貰ったものなんか食べる気がしないね。」
「そんな…っ!」
その言い草に一言、言ってやろうと思ったが…。
「忍なんだから当たり前でしょ?」
「…!そりゃそうだけど…仲間を疑うなんて…!」
正論だ。確かに忍の身でそうホイホイと他人から貰ったものを口にするのはマズイ。
思わず言葉に詰まったが、いやみったらしい口調でとうっとおしそうな顔…こんな態度だと確かに一部は 正論だとしても絶対に従いたくなくなる。
上忍で、しかも元暗部で、さらにビンゴブックにまで載ってるようなカカシなら、警戒しすぎるくらい警戒しても 無理はないかもしれない。そんな境遇であったことのない俺には推し量ることすら出来ないことだってあるだろう。
だが、だからと言って最初っから女性たちの好意を疑って掛かるようなマネをするなんて…!
当然のような顔をしているカカシに腹を立てているのに、上手く言葉が出てこない。
ぼやけた語尾に歯噛みしていると、カカシはチョコを一箱ずつ手に取って、匂いをかいでいる。
「毒とかもそうだけど、変な薬盛られてもマズいしねー。」
カカシは、片っ端から確認するようにチョコを拾って匂いをかいでは、また無造作に放っていく。止めようと思ったが、 その前に気になることがあった。
「変な薬?」
こんなしがない中忍の、しかもアカデミー教師に、わざわざチョコに毒を盛ろうする暇人もいないだろうし、 それ以上に変な薬なんて…?
自白剤だのなんだのを使っても、それほど有益な情報を持っているわけでもないのに、カカシはどうかしたんだろうか?
…妙に思わせぶりな態度も気にかかる。
「はぁ…」
怪訝な顔の俺をちらりと見て、カカシは深く深くため息をついた。
「なんだよ!」
いかにも呆れていますという様子と、えらそうな態度に俺の我慢も限界にきていた。
大体さっきから人のことを馬鹿にしすぎだ!チョコもぞんざいに扱うし!
今は無理でも、後で絶対に散らばったチョコを拾わせてやる!…勿論カカシに!
ギッとカカシをひと睨みして、どうやって言い返してやろうかと身構えたら、カカシが底意地の悪そうな笑みを浮かべた。
「にぶいねぇ…。び・や・く。」
「び…!?」
確かにホレ薬だのなんだのと、怪しいおまじない系もどきの入ったチョコを生徒たちから貰うこともあるが、 ソレは遊びの延長だ。ソレをよりによって仲間に…!?
思わずうろたえてしまったが…カカシの立場なら確かにありうるかもしれない。
「俺のステータス狙いでしょ?あんたも一応忍なんだからソレくらい分かりなさいよ。」
…だからと言って、こうも本人に自信満々に肯定されると、癇に障る。
「うるさい!大体あんたは…」
早速説教を始めることにした。…躾けは速さと正確さが肝心だ!
意気込む俺の目の前に、小さな黒い箱が差し出された。
「はい。俺から」
「へ?あ、チョコ?」
ふたを外すと、中には小さなチョコレートが一粒だけ入っていた。ツヤツヤと輝くソレからは、ココアの香りが漂ってくる。
「あれだけ受け取っといて俺のだけダメってことないでしょ?」
言葉はふてぶてしいが、俺のために用意してくれたのかと思うと…そんなに強く叱れない。
「えっと、俺は準備してないし…。それにもう大分過ぎているし…」
チョコを贈る様な性格をしているとはとても思えなかっただけに、意表をつかれた。
もごもごと言い訳めいたことを口にしてみたが、我ながら歯切れが悪い。嬉しいのに上手く言えなくて内心焦る。
だが…。
「あんたには最初から期待してないよ。」
嫌味でもなくさらっとそんなコトを言われて、頭に血が上った。
「何だと!?」
確かに用意してなかったのは事実だが…その態度は何なんだ!
…今からでも買ってきてたたき付けてやろうか!?
そのまま飛び出そうとした俺の鼻先に、チョコが突きつけられた。
「食べたら?それともチョコ食い過ぎてもう腹一杯?あんたほんとホイホイ貰ってるもんねぇ?」
なんていういやみったらしいセリフとともに。
「わかった!食えばいいんだろ!食えば!」
コレ食い終わったら、コイツの腹がはちきれるくらいチョコかって着てやる!
そう心に決めてチョコに食いついてやった。
…味は悪くない。というか、むしろ美味い。怒りがちょっと静まってしまいそうなくらいに。
思わず顔がほころんでしまった俺に、馬鹿にしたようなセリフが投げつけられた。
「あーあ。あんたホントに忍?」
「まだ何かいいたいのか!?」
いい加減こっちもウンザリだ。さっきから人の神経逆撫ですることばっかり言って、これ以上まだ文句を言うつもりなのか!?
ねちねちしたやり方が思いっきり俺の癇に障ったので、こうなったらとことんまで遣り合ってやろうかと思った時だった。
「ま、いいけど。そろそろだし。」
「何が…?…っ!?」
いきなり激しい眩暈が俺を襲った。反論しようにも座っているのもやっとなほどだ。
「風呂入ってないけど、いいかこの際。ほらいくよ。」
カカシはを当然の様に、ふらつく俺を担ぎ上げた。
…コレは間違いなく一服盛られた。
ふにゃふにゃの体で必死にもがいてみたが、思うように身体を動かせない。
「後で…覚えてろよ!」
「かわいー顔でそんなこと言われてもね?ほら、もう…」
にやにやしながら俺の身体をいたずらにたどるその手を止める力さえもう残っていない。
しかも…俺の身体はろくに言うことを聞かないくせに、そんな刺激にだけは敏感に反応した。
「ッ!んあ…っ!」
自分の口から鼻にかかった声が漏れ、堪えることが出来ないほど体が熱くなってきた。
つまり、コイツは俺に…!
「ま、せいぜい後悔してもらおうかな。」
睨みつけても、えらそうに俺をベッドに運んでいくカカシはご機嫌だ。
…終わったら絶対なぐる!
熱くしびれていく身体をもてあましながら、そう決意した。
*****
「い…あっ!…んっ!」
まともな言葉すらつむげないでただひたすらに喘ぐ。
足の間に入り込んだカカシを見上げても、生理的な涙でにじんだ視界ではどんな顔をしてるのかすら読み取れない。
「かわいー顔しちゃって。きもちいいんでしょ?」
カカシは激しく突き上げながら、嬉しそうな声で囁く。
興奮でかすれたその声と執拗な責めに、元々碌に動けなかったからだから、すっかり力が抜けてしまった。
「…んあっ!あ、あ、ああっ…!」
「チョコなんかどうでもイイと思ってたけど、やっぱり駄目。」
「チョ…コ…?んっ!」
噛み付く様に口付けられ、嬲るように暴れまわるその舌に意識が飛びそうになる。だが、カカシの言葉が気になった。
チョコ…。そういえばわざわざ任務で外すくらいだから本当にどうでもいいというか、うっとおしかったんだろうにどうして ココまで…。
まとまらない思考で、そんなコトを思った。
「とりあえず、生徒は大目に見てあげる。同僚ってやつらも。…でも、あんなの、贈ってくる奴らは終ってから片付けて くるから。」
あんなの?あんなのってなんだ?
カカシのやけにイラついた言葉がひっかかったが、すぐにそれも押し寄せる快感に流されてしまった。
*****
とりあえず殴った。
「なんてことしやがる!」
布団の中ですっかり抜けてしまった腰を庇いながらってトコが情けないが、コレは譲れない。
だが、やはりカカシは怒鳴りつけてもどこ吹く風だ。
「トロトロのあんたもたまにはいいけどやっぱりいつもの方がいいね。」
殴るだけでうずくまってしまった俺を、背後から抱きこむようにしがみ付いたカカシは、くすくす笑いながら耳を食んできた。
まだ昨日の名残がくすぶっているようだ。普段より余計鋭い感覚に震えが走ったが、何とか堪え、抗議を続けることに成功した。
「…っ!なにがだ!…いつも?なんだよそれ!」
いつも…?いつもって…?それにトロトロとか…!何でコイツはこういうことだけ言葉が達者なんだ!
殴るにしてもこれ以上無理に動いたら俺の方がダメージが大きい。喚くくらいしか出来ない自分に歯噛みしながら、 ご馳走を平らげたばかりの猫みたいにご機嫌なカカシをにらみつけた。
…しれっととんでもない返事が返ってきたが。
「アンタは暴れてる方が楽しいし、かわいい。ぎゃあぎゃあ喚いてるくせに、感じやすくてとろけてるとこ…」
「わー!?なんてこと言い出すんだ!!!」
ぺらぺらと良く喋る口をとっさにふさいでやったが、ろくでもないことを聞いてしまった。
どうしてコイツはこういう破廉恥な発言を…!!!愛読書が18禁ってトコからして問題だが、俺は…最中のことなんて そんなにしっかり覚えてないけど絶対にかわいいなんてコトは…!!!
口をふさぎながら昨夜の自分のことを思い出して青くなったり赤くなったりしてたら、ぬるっとする感触が走った。
「…っ!?」
カカシが口をふさいだ手を舐めたのだ。
味わうようにねっとりと赤くしめったものが指を這う。…まだカカシがその気だということを示すように。
「チョコ、上げたんだから、ホワイトデーはイルカが何かよこしてね。…ま、俺は薬効かないけど。」
「ふっ!ふざけんなぁー!」
すっかりヤル気のカカシを怒鳴りつけながら、絶対にホワイトデーには仕返しをしてやろうと思ったのだった。

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バレンタインものを書き直してみましたがやはり微妙…。エロもぬるめで。
ホワイトデーネタをふってしまったので、自分の首を締めた感じ?
枳実様〜!!!…いつも通りなアレ感じでございますが、なにか ご要望ご意見ご感想などがありましたら、お気軽に拍手などからどうぞ…。

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