浮気

注意!!!イジメっこカカシ!!!です。
笑って流せる方だけご利用下さい。でもどっちかというと、相変わらず変態というよりサイコさんなカカシです…。
あと、今回、ちょいと浮気疑惑な表現がありますが、浮気は書きません!!!と言うか、書けません…。
それでも嫌だと言う方はご注意下さい…。

任務開けに家へ帰ったのにイルカがいなかった。すぐに探したら、今日も受付所なんかにいたイルカを見つけた。さっさと連れて帰らないと。
「帰るよイルカ。」
そう声を掛けると、受付に座るイルカが俺をキッと睨んできた。
…いつものように不機嫌そうだ。ずっとこういう顔をしていてくれれば、誰もよってこないだろうに、イルカは他のヤツには無駄に笑顔を振りまくから…。
不満に思いながらイルカの腕を掴むと、イルカがそれを振り払った。
「アンタまたですか…。挨拶くらいきちんとする!」
久しぶりのイルカだし、怒鳴る顔を見るのも楽しいが、…不愉快なことに気がついた。
「…アンタ今日どこ行ってた?」
「…アカデミーと受付ですよ。」
俺にばれないとでも思っているのか、なんでもないような顔をしてしれっと言うイルカも、そういえば忍だったのだと思いだした。
だが、詰めが甘い。
「うそつき。」
「なっ!」
イルカが立ち上がって目を吊り上げている。怒っているようだが…いつもなら怒鳴り返している所なのに、この反応…ということは、やはり…。
「アンタから変なにおいがする。誰と一緒にいた?」
「…生徒ですよ。あとは受付であった任務帰りの方と、同僚くらいです。大体アンタはいつもいつも…」
何かを誤魔化そうとするとき、イルカはいつも饒舌になる。言ってることはいつもと一緒だが、絶対に何か後ろ暗いことがあるに違いない。
何せさっきから一度も目が合わない。
「うそつき。浮気はダメでしょ?」
「…っ!誰が浮気だ!!!」
顔を真っ赤にして怒るイルカを見ていたら、もっと別の方法を取るべきだと思った。イルカは頑固だが、口を割らせる方法は何も痛みだけじゃない。 任務から帰ってきたばかりだから、一石二鳥だ。
「もういい。帰る。身体に聞くから。」
「はぁ!?」
「貰ってくよ。仕事、終わってるんでしょ?」
イルカと一緒に受付にいたのに許可を取り、驚いたような顔をしているイルカを肩に担いだ。ばたばたと暴れるので、ひょいと足を持ち上げてやった。
「ちょっ…わっ!」
不安定な姿勢に、怒るよりも先にイルカが抱きついてきた。イルカにくっ付いているのは好きだが、この不愉快な匂いが俺を不機嫌にする。
生徒たちならしょうがないと諦められる。本当はそれもイヤだが、イルカは教師だ。それを取り上げられるくらいなら死ぬ位。
だが、今回はそれと違う話だ。
コレだけしっかり匂いがついているのなら、結構な時間ソイツの側にいたに違いない。一対一で長く同じ空間にいたのなら…。
イライラしながら、そのままカカシの家に攫うように連れてきた。
…イルカは、まだ目を白黒させている。
「…アンタは!仕事中だったのに!」
正気に戻ったイルカが憤懣やるかたない顔で怒鳴りつけてきたが、そんなことはどうでもいい。早くイルカに俺の匂いをつけたい。
「黙って。風呂入るよ。で、じっくり良いわけ聞かせてもらおうか。」
「放せっ!」
どれだけ暴れても、俺が本気を出せば大して効果はないことはイルカも知っているはずなのに、イルカは絶対に諦めない。
「ダメ。無駄。」
暴れるイルカからベストを脱がし、のこりの忍服は、面倒になったので手早くクナイを滑らせて剥がした。そうやってイルカの服を剥くと、 巻物や暗器だけのこして、服は火遁で焼き払った。コレで不愉快な匂いは大分薄くなった。
「なんてことを!備品を無駄にするんじゃない!」
怒鳴られたが、イルカの装備など高が知れている。それよりイルカは自分の身の心配をすべきだ。俺が怒っているのを分かっているくせに、 こうやって常識を振りかざして誤魔化そうとする。
「…黙って。」
自分の服も脱ぎ捨てて、シャワーを頭から浴びる。勿論イルカも抱えたままだ。
「…ッゲホッ!冷たっ!」
シャワーはまだ水のままだ。腕の中でイルカが身を縮めたが、それにかまわず口づけた。
「ん、ん…!」
冷たい水が少しずつ熱くなっていく。イルカも時折苦しそうな吐息を漏らしているが、まだ開放してやらない。すでにイルカは快感を素直に受け止め、 熱をはらみはじめている。
「んっ!」
ボディソープを適当に手にとって、イルカの身体に塗りつけた。冷たさに驚いたイルカが声を上げたが、すぐに気にならなくなるよう舌を絡ませながら、 腰の辺りを辿ってやると、すぐにおとなしくなった。泡立つ端から流れてしまうが、服を焼き捨て、水をコレだけかぶったので大体匂いは落ちた。 これから俺の匂いをたっぷりつけてやる。
「は、う、」
荒い呼吸が浴室に響いて、イルカの興奮を伝えてくれる。
「イルカ。」
「あ、んた、は…んっ、ちょっと落ち、着け…!」
開放してやった口から、可愛くない言葉を吐息と共に吐き出しながら、イルカが弱弱しく腕を突っ張って離れようとした。
「ダメ。イルカが先に約束破ったんでしょ?今日はお仕置き。」
俺の肩を掴んでいた腕を引き離し。背中に回させた。
「だれ、が!」
強い口調のわりには、すっかり息の上がったイルカはもう立っていられないようだ。怒鳴ったことで崩れ落ちそうになる腰を掴んで、抱きしめた。
「もうこんなになってるくせに。いいから、俺の匂いつけさせなさいよ。」
密着することで、イルカの興奮が後戻りできない状態であることがよく分かる。イルカの膝を割って俺の脚を滑り込ませると、それに刺激されたイルカが、 身をよじった。
「くっ、あっ…」
「気持ちイイの?もっと?」
膝をゆらすたびに、イルカが熱い息を吐く。それに気をよくして後ろにも指を伸ばすと、イルカが怒鳴った。
「放せっ!こ、の馬鹿…」
「ダメ。」
まだ抵抗を諦めないイルカを追い詰めるために、中に突っ込んだ指で思いっきり前立腺を抉ってやった。前も足で刺激してやる。
「あっ…んん!」
イルカがか細い声を上げ、カカシの腹に吐き出したが、すぐにシャワーがそれを流してしまった。それを惜しく思いながら、ぐったりしているイルカを 担ぎ上げた。
「続き、ベッドで。」
「ば、か…」
今度は素直に抱きついてきたイルカを、身体を拭くのもそこそこに、ベッドに運び込んで、いやというほど喘がせて体中に俺の匂いをつけた。
だが…最後までイルカは相手を吐かなかった。
*****
「この!大馬鹿!」
起きるなりイルカの鉄拳が俺の頭に落とされたが、イルカ自身もダメージを受けたようだ。
腰を押さえて倒れこんできた。
「いったいなぁ。大体イルカが悪いでしょ?昨日のは。」
カカシの事をないがしろにしたのはイルカが先だ。それに、ベッドに移動してからのイルカは、素直に喘いで縋ってきて、アレでやりすぎるなと言う方が 無理な相談だ。今だってイルカが自分の方に倒れこんできたから、腰がうずくのに我慢しているくらいだ。
「俺は別に疚しいことはしてません!」
「じゃ、誰と会ってたのよ!」
イルカの頬を掴んで、目を覗き込むと、今日もイルカの目は泳いでいた。
…身の潔白を主張するイルカは、結局昨日それさえも吐かなかったのだ。正当な理由があるなら言える筈だ。怪しすぎるそぶりがそれを否定している。
「だから…それは…」
「任務じゃないよね?アンタの任務は全部チェックしてるし。」
言いよどむイルカに、誤魔化しようがないことを教えてやったが、イルカは違う方に食いついた。
「アンタは!何て真似してるんですか!大体それは禁止…」
「俺は上忍だから、許可されてるの。で、誰なのよ。」
イルカが言わなくても、吐かせる方法はある。…この赤い瞳を使えばいい。
…だがそんなコトはしたくなかった。イルカがそうまでして隠そうとしているのはなぜなのか、イルカの口から聞きたい。
「う…」
「…言って。」
イルカが妙に素直にやらせてくれてのもおかしい。いつものイルカなら、本当にイヤなら術を使ってでも抵抗する。
…どうあっても吐かせる。
だが、そのとき窓をコツコツと叩く音がした。
「あ、」
イルカも気づいたようだ。…コレは俺宛の式。ということは、任務が入ったのかもしれない。
そのタイミングにイラつきながら、窓を開いて鳥を手に取ると、やはり任務だった。
「また、任務ですか…?」
手の中の紙切れを焼き捨てると、心配そうな顔でイルカが問いかけてきた。
心配されるのは好きだ。イルカが俺の事をかなえている印だから。だが、今日はそれにも腹が立つ。
「そんな顔するんなら、さっさと教えてよ。浮気相手。」
俺が忍服を身につけながら、イルカをにらみつけたが、イルカはふいっと顔をそらした。
「だからそんなヤツはいませんって!」
イルカは相変わらず誤魔化すつもりのようだ。
今すぐ抱き潰してでも吐かせたいが…時間がない。
ベッドの上で動けないでいるイルカをぎゅっと抱きしめた。
「…帰ったら覚えててよ…。」
耳元でそれだけ言うと、イルカをおいて部屋を後にした。
*****
護衛がやたら多い大名を殺すだけの下らない任務。面倒だったが、さっさと終わらせて家に急いだ。任務の間中、帰ったらどうしてやろうかと考えていたのだ。
だが、帰ってみたら家にイルカがいない。急な任務の可能性も考えたが、イルカに任務が入る可能性は低いはずだ。
イライラしながら、風呂にでも入ろうかと思っていたが、良く考えればイライラしたときに風呂に入る事を勧めていた張本人がその原因だ。
「くそっ!」
忍犬たちにでも探らせようかと思っていると、扉の前にイルカの気配を感じた。
気配を消して扉が開くのを待つ。
扉を開いたイルカを見ると、いつもの忍服ではなく私服だった。オフホワイトのシャツに、洗いざらしのGパンは、休みの日にイルカが時々着ているものだが、 女に会いに行くにしてはラフすぎる格好だ。
そして、イルカからはあの匂いが…。
その瞬間、俺の怒りは頂点に達した。
「わっ!」
「おかえり。」
殺気が抑えられない。イルカをめちゃめちゃにして、俺の匂いをつけて、それにこのまま閉じ込めよう。外に出したのが間違いだった。 そればかりが頭の中を一杯にする。
イルカを背後から抱きしめて、シャツのボタンをはずしていく。少しずつゆっくりと。…イルカが何をされているか分かるように…。
「ただいま…。」
イルカも俺の気配が変わったのに気がついたんだろう。イルカも忍だ。反射的に全身を緊張させて身構えている。
「ねぇ。アレだけ言ったのに分かってなかったんだ。」
イルカの胸元に手を差し入れ、うなじに口づけを落とす。そのたびに震える身体を、確かに愛しいと思うのに、…イラ立ちがおさまらない。
「これは…」
イルカがもそもそと言い訳しようとしているが、もうどんな言葉も聞きたくない。
「もう…外に出さない。」
いいざま、イルカのうなじに噛み付いた。
「っつ!」
イルカの身体が跳ねた。
「抵抗しても無駄。」
イルカは俺がどんな生き物か知っているはずだ。それでもこんな真似をしたのだから、覚悟は出来ているだろう。
…していなくても別にすることは変わらないが。
イルカのシャツのボタンをすべて外し、Gパンにも手を伸ばしたとき、イルカの頭が思いっきり後ろに突き出された。
イルカの頭突きはもろに俺の頭に決まった。流石に目の前がくらくらする。この間ほとんど無抵抗だったから、油断した。
「いった!…まだ、抵抗するの?」
俺がひるんでいる間に、イルカは身を翻して距離をとっていた。
「それ以上やるなら覚悟は出来てますね…!」
怒りで瞳をキラキラと輝かせて、イルカが俺を睨んでくる。この瞳が見たくて、色々やっていたこともあったっけ…。
イルカのその瞳をみていると、頭が急に冷えていく。
…だが、うやむやにする気はない。
「アンタより俺の方が強いよ?無駄なことは止めて…」
「それでも!俺はアンタの言うなりにはなりません!」
このセリフもいつか聞いた気がする。イルカは頑固だ。こうなったら…死ぬまで抗うだろう。そこがイルカの短所で、長所だ。だからこそ…きっと俺は…。
「…どこ行ってたか、忍犬使えばすぐ分かる。…その前にあんたの口から聞きたい。教えてよ。もうウソはつかないで…。」
イルカを抱きしめながらそういうと、イルカの緊張が解けていくのが分かった。
「…はぁ…しょうがねぇなぁ…。」
ため息をつきながらイルカの方から、ぎゅっとカカシを抱きしめ返してくれた。
「あー…俺も悪かったし、全部話します。」

*****
何だかわからないが、イルカが急に白状する気になったので、気が変わらない内に吐かせたかったのだが…。
「…明日。一緒に着いてきてください。その時説明します。」
等と言われ、勿論口を割らせようとしたが思いっきり拒否された。
…なんだかイルカが妙に優しいので多めに見てやったが、明日納得できる答えが出なければ絶対にイルカを閉じ込めようと決め、その日はイルカを 腕の中に閉じ込めて寝た。
「おはようございます。コレに着替えてください。」
「…なに?コレ。」
イルカが差し出したのは、カカシの私服だ。正確に言うと、イルカが選んだカカシの服。
普段は、特殊な任務でもなければ忍服以外は着ないし、いつ呼び出されるか分からないので、忍服以外の服などほとんど持っていなかった。
せいぜい寝巻き代わりの浴衣か、喪服と暗部装束くらいだ。
だが、イルカと生活するようになった時、イルカに「私服は絶対必要です!普通の店言ったら目立つし、なんでパジャマとかまともな服持ってないんですか! 今日はアンタの服買いますから、財布よこしなさい!」などといわれて着もしない服を山ほど買わされたのだ。
…パジャマだけはイルカからプレゼントされたが、それを「なぁに。おねだり?」と聞いて殴られた。
釈然としないながらも、言われた通りに白いカッターシャツと黒いコットンパンツに着替えた。
暗器を仕込みにくいし、写輪眼も隠しにくいので私服は好きではないが、イルカが選んだ服だしと、一応着替え終わると、台所で食事を用意していたらしい イルカが覗きに来た。
「やっぱり…!」
「なによ?」
着方自体は任務できることもあるし、間違ってはいないはずだが、何かあるんだろうか?
「似合うと思ったんですよ!何か腹立つけど、アンタやっぱりカッコいいんですね…。」
イルカが楽しそうにしている。…何を隠しているのか知らないが、こういう視線もいいかもしれない。
「着替えたよ。…早く話しなさいよ。」
「あー…うぅ。分かりましたよ!」
****
話し終わって、イルカはむくれている。
「ちょっと…怒りたいのはこっちなんだけど!」
「こうなるの分かってたから、話すのやだったんだよ!」
イルカが話で分かったのは、例によって俺に隠れてまた他所のヤツにかまっているということだった。
ありがちな話だが、任務に出始めた兄をみて心配していた妹が、兄を迎えに行って、殺気だった忍びに足を折られた。で、ソイツはイルカが ぼこぼこにしたそうだが(イルカならやるだろうが、中忍の癖にどうしてそう手が早いんだと説教した。怪我でもされたら困る。)、 その妹はそのせいで引きこもりがちになってしまったと言うわけだ。しかもその兄とやらはイルカの元生徒。
その妹は引きこもるし、足の治りも悪いとかで、心配していた兄から相談を受け、こうしてコソコソ通っていたらしい。
八方美人なイルカを、外に出しておくと自分の取り分が減ることがはっきりしたので、さっきから出すの出さないのともめているのだ。
「だから!やまめが待ってるんです!俺は行きます!」
「ダメ!どうしてアンタの元生徒だからって、アンタがわざわざ休み返上していかなきゃならないのよ!」
「あーもう!アンタとは会話が成立しません!」
「だから、アンタが行く必要ないでしょ!」
さっきからイルカは意地を張っているが、そんな理由なら専門の機関に任せたらいい。その自己管理の出来ない忍失格の馬鹿は処分されたんだから イルカはもう関係ない。
「アイツは…助けに来てくれたイルカ先生なら大丈夫かもって…。…最近やまめが帰ってきても怯えるんだって…忍服、着てるだけでですよ? 見捨てるなんて、出来るわけないでしょう!」
「それでこんな下らないボランティアを?」
「…あのなぁ!俺の生徒だったんだ!そうじゃなくても…同じ里の仲間が困ってんだから助けんの当たり前だろ!!!」
それは同感だが、それがイルカである必然性は全くない。そんなことより…
「俺の相手のが大事でしょ?記憶消しちゃえば良いじゃない。イルカに出来ないなら俺がやるよ。」
そんなに弱いんなら記憶を消してやった方がいい。もちろん自己管理の出来ない馬鹿が一番のクズだが、忍の里に産まれてその程度のことで病んでしまう ようならどうせ忍にはなれない。今後ずっと里の忍全てを恐れて生きていくより、忘れさせた方がいいだろう。
…だがその提案はイルカに却下された。
「それはダメです。」
真っ直ぐに俺を見つめてイルカが言い切った。この瞳をしたときのイルカは…とても厄介だ。
「なんでよ?」
イルカが通ったからって良くなるとは限らない。ソイツ立ち直る保証もない。…つまり無期限でイルカを貸し出すことになるのだ。到底同意できない。
「こういうことは自分で乗り越えないと!いつか忍になるかもしれないんですよ?」
イルカは真剣に言っているのが分かるが、そんな夢物語を信じられるほど、平和な生き方はしてきていない。忍の世界では弱いヤツから死ぬのだ。
「キレイごとでしょ?そんなのどっちが幸せかわかんないじゃない。それにそんなに弱いヤツは忍に向かないよ。良いじゃない俺に任せときなよ。 今すぐキレイさっぱり消してくるから。」
消して思い出すことの出来ないようにする術なら知っている。別に人格を弄るわけでも、精神を壊すわけでもないのに、どうしてここまで 抵抗するのか分からない。
俺の腕を信じていないわけじゃなさそうだが…。
「…俺は、絶対にあの子が乗り越えられると信じています。あんたは別に付き合わなくても良いです。頼んでないし。」
こうなったら絶対にイルカは引かない。無駄に頑固で無駄に真っ直ぐで…余所見ばかりしている。
「行くよ。浮気相手の顔も見ないでのこのこ引き下がるつもりないしね。」
それなら強制的に自分の方を向かせるまでだ。どうせこの件から手を引かせても、余所見するのに変わらないなら、監視すればいい。 別に閉じ込めるのはこの部屋じゃなくても、俺の腕でもできる。他所の奴らに見られるのは業腹だが、絶対にその女と二人っきりなど許さない。
決意をこめて抱きしめると、イルカは呆れたようにため息をついた。
「…アンタは…。」
「それに、アンタはダメ。帰って。今さっさと片付けてくるから。忍犬に追わせたから家も分かってる。」
駄目元でついでに要求してみた。コレを許す位ならと、イルカは妥協するはずだ。
「勝手なマネを…!」
案の定イルカが怒り出したが、逃がさないよう腕の力を強めた。
「いいじゃない。今までの浮気は…多めに見てあげても良いけど、これから公認で浮気しようなんてダメに決まってるでしょ?」
「だから浮気じゃないに決まってるだろ!!!」
怒鳴るイルカににらまれるのは結構楽しい。これから不愉快なことが待っているのだから、今イルカの視線を独り占めする権利はあるはずだ。
「ダメ。俺のための時間、勝手に分けちゃって…そんなの許せるわけないでしょ。」
ちょっと殺気も出して、イルカが早く諦められるようにしてやった。するとイルカは俺の襟首を掴むと、不機嫌そうに眉間に皺を寄せながら、叫んだ。
「わかりました!終わったら好きなだけかまってあげますから!…今日は帰ってください。」
今イルカがすごい事を言った気がする。
「…好きなだけ?」
確かにそう言った。
「…うぅ…はい!」
イルカも一瞬しまった!と言う顔をしたが、イルカの性格なら絶対に後には引かないはず。…言質が取れている以上、イルカは必ず約束を守る。
「分かった。さっさと言って片付けてこよう。行くよ!」
「うー…やっぱついてくんのか…。」

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無駄に長くなったので、分けてみました。
枳実様ー!!!…出来は微妙ですが、何かありましたらお知らせ下さい…。

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