浮気

注意!!!イジメっこカカシ!!!です。
笑って流せる方だけご利用下さい。でもどっちかというと、相変わらず変態というよりサイコさんなカカシです…。


イルカを抱えて、忍犬たちに探らせた家に跳んだ。
入り口で待ち構えたガキは、ナルト達より年上に見えるがぜいぜい16、7歳位だろう。どうもカカシを見て驚いているようだ。イルカが腕の中で暴れるので 下ろしてやると、「あの、これは、その、な?」などとごちゃごちゃと言い訳していたので、まずは立場をはっきりさせておくことにした。
「コレ、俺のだから。勝手に使わないで。用があるときは俺を通して。」
「馬鹿なこというな!!!」
怒鳴るイルカは好きにさせておいて、目の前の辛気臭そうなガキに用件を伝えた。さっさと済ませて帰りたい。
「で、そのいわな?とかってどこにいるの?」
「あ、その…」
「何よ?」
忍服を着てて怯えられたなら中忍以上のはずだが、はっきりしゃべれない中忍なんて実戦でやっていけるのか?俺が疑問に思っていると、 イルカが口を挟んできた。
「やまめ!この人は悪い人じゃないんだ!性格に問題あるけどな!」
「ちょっと!アンタ何勝手に他所の男としゃべってるのよ!」
イルカは油断も隙もない。やはり今後も監視は必要だ。
「元生徒だっていってんだろ!」
イルカはキャンキャン吼えている。可愛いがこのガキが邪魔だ。
「あ、イルカ先生。いいんだ。無理言ってるのは俺のほうだし…イルカ先生のえっと彼氏?」
「かれし…」
「そ、ね。イルカは俺のだし。」
妙に物分りの良いガキに案内されて、呆然としたイルカを担ぎながら家に上がった。小さな家だ。コイツらには他に家族はいないらしい。通された家の中に、 小さな気配が一つ、感じられる。
襖の前でイルカが立ち止まった。振り返って側に立つガキを呼ぶ。
「やまめ。」
「うん。…いわな。イルカ先生と…お客さんだよ。」
「お客さん…?」
か細い声が襖越しに聞こえてきた。思っていたより随分幼い。
「あ、うん。イルカ先生の、その、…」
「と、友達!友達連れてきたんだ!」
「あーよろしくー。」
気のない返事をしながら、慌てるイルカを眺めていると、やまめが襖を開けた。
「あ、…」
その中にいたのは7、8歳位の子どもだった。こちらを…イヤ俺を見るなり目を見開いて襖の陰に隠れてしまった。
「いわなー。この人は妖しい外見だけど、中身は…」
「イヤ!イルカ先生。怖い!」
勝手に人のものに抱きつくとはいい度胸だ。引き剥がしてやろうかと思ったが、流石にただのガキ相手に殺気を出すわけには行かない。
イルカが視線で指示するのに従って、その場は引き下がった。
…だが、その日は結局いわなが泣き付かれて寝てしまったので、わりとすぐ解散になった。
「ふつーの服。だったんだけど…。」
「アンタが怖い顔してるから。」
「別にー。コレが素だし。アンタ以外に笑う必要なんてないでしょ。」
「はぁ…頼むから邪魔はしないで下さいよ!」
そう怒鳴るイルカに、「さあね。」とだけ返して、その日も変な匂いのついたイルカ洗って、抱きしめて眠った。
*****
「つっかれたー…」
下忍たちの他にも、連続して任務を押し付けられて、しかもココにも通って…流石に疲れた。
あのガキは最近やっと泣かなくなったが、それでも妙にこちらを警戒してきて、これ見よがしにイルカに甘えるので不愉快極まりない。
「だったらついてこなけりゃいいでしょうが!…浮気相手にならないくらい子どもだって分かったでしょう。休んでくださいよ…。」
心配そうにイルカが言うが、それに従う気は毛頭ない。
「駄目。浮気は浮気でしょ?だってアンタ俺のモノの癖に勝手に他所の構ってるんだから。」
「な、なにいってんだ!折角人が心配してんのに!」
「でもさ、もういいんじゃない?」
最近、引きずるようにしていたらしい足(カカシの前ではイルカから離れないので確認はしていない)の調子も良くなってきているようだし、 いくら小さくても、アレは女だ。いつとんでもない手段に出るか分からない。
大体イルカの時間と感心を奪っていると言うだけで、十分許しがたい。
だというのに、イルカは熱心にガキと会話して、怯えていると慰めて…まるで自分の子どものように大切にしているのだ。
…ガキでなければ…殺しているかもしれない。
「ま・だ・で・す!まあ…確かに良くなっては来てますけど…。」
「なら」
「だから、まだだって言ってるでしょうが!…アンタのおかげもありそうですから、正直付き合ってもらえるのはありがたいです。でも体調崩したら 困りますから、アンタはもういいんですよ?」
「駄目。こそこそ会わせるくらいなら、アンタの方を止める。」
「…もういいです。」
強情なイルカ。記憶を弄ってでも止めようと思った位だが、それは何故か躊躇われた。
「いいですか。子ども相手にへんな真似しないように。」
「別にー…。」
「頼みましたからね!」
*****
さっきまでイルカが例のガキを相手にしていたが、今はおやつを取りに行っている。いつも通り遠巻きにこちらを伺っているガキをうざったく思いながら、 今日も縁側を眺めている。
イルカに邪険に追払われても従わないつもりだったのに、イルカがガキの面倒を見ているようになどと言い出したので、しぶしぶ従ったのだ。
…なにせ、従わなければ俺がガキの分のおやつとやらを用意しなければならず、…ガキとイルカを二人っきりにすることになるのだ。
イライラしながら待っていると、ガキが話しかけてきた。
「アナタはイルカ先生が好きなのね。」
「アンタには関係ないでしょ。でも勝手に触らないで。アレは俺のだから。」
急にしゃべったと思えば、ガキは妙に真剣な顔をしている。だから女は油断できない。ガキでも、だ。
出来るだけ面倒くさそうに話してやったが、今日に限って怯える風でもなく、淡々と話しを続ける。
「大切なのね。」
「うるさいなぁ。大切って言うかイルカがいないと生きていけないから。俺。」
コレは事実だ。イルカに何かあったら、俺も相手を殺して…死ぬだろう。イルカなしで生きている自分など想像すら出来ない。
俺の言葉を聞いたガキは、嬉しそうに微笑んだ。
今まで恐怖にこわばった顔や、無表情にこちらを見ている姿しか見たことがなかったのが、笑った顔を見ると普通のガキだ。
「私も、お兄ちゃんのこと大好き。アナタみたいにはなれないけど、私もがんばってみようかな。」
「そーして。そんでイルカを早く俺に返して。」
立ち直ってくれるならそっちの方がありがたい。イルカは途中で諦めないだろうから。
「ありがとう。」
「…別に。」
礼を言われても、俺は何もしていない。
…イルカを貸し出したことに礼を言われるのなら、この程度では到底足りない。
「いわな!おやつ、持って来たぞ!」
「イルカ。」
相変わらず楽しそうだが、俺に向かっての笑顔でないのにイラつくことも変わりはない。
「イルカ先生。私はもう大丈夫!まだ、ホントは怖いけど、あなたとイルカ先生は怖くないから…頑張れる!」
ガキがいきなりそう言ったので、イルカは面食らったようだ。
「ふーん。あっそ。」
俺はイルカが帰ってくるならそれ以外には興味がなかったので、適当に返したが、イルカ涙をこぼさんばかりに喜びの表情を浮かべている。
「そっか!良かったな!でも無理するなよ?いつでも俺を…」
感動したイルカがガキに触ろうとしたので、さっさと引っつかんで肩に担いだ。
「もう返してくれるってことね。」
「はぁ!?アンタ何言って…」
イルカが涙を流しながら怒ると言う器用な真似をしているが、それに構わずさっさと縁側から家を出た。
「じゃ、もう俺のイルカにちょっかいかけないでね。」
「頑張ってねー!銀髪さん!ちょっと怖いけどイルカ先生の次位に好きだったわ!ありがとう!!!」
塀の上に跳んだところで、ガキがスッキリした表情で叫んできた。元気そうだからコレならイルカも納得するだろう。
「生意気。ま、いいや。」
「放せ!勝手なことばっかり!」
「行くよ。」
やっと取り戻したイルカを抱いて、一気に跳んだ。
*****
早速ベッドの上にイルカを落として抱きついたら、思いっきり殴られた。
「アンタね!まだいわなと話してたのに…」
「…貸し出し期限はもう終わり。あのガキも納得済みだからいいでしょ?」
イルカの時間を十分すぎる分けてやったんだから、よくやったと褒めて欲しい位だ。
やっと取り戻せたのに、これ以上余計なことはさせたくない。
「いいわけあるか!大体やまめにもまだ何の説明もしてないのに!」
目を三角にして怒鳴っているイルカを触りながら、じっとイルカの瞳を見つめた。そっと顔を近づけた。
「…ずっと放っとかれたんだよねー。アレのせいで。」
「アレとはなんですか!アレとは!アンタイイ年して…!」
まだぐちぐちいっているイルカに、切り札を出すことにした。
「終わったら好きなだけかまってくれるんでしょ?」
「あー…それは…」
うろたえて、視線を泳がせ出したイルカは、おそらく本気で忘れていたんだろう。俺は約束を守ったんだから、今度はイルカに守ってもらう番だ。
「取り合えず何してもらおうかなー?」
イルカの腹の上から顔を見上げると、イルカが悔しそうな顔をしている。自分の言動を後悔していても前言撤回は出来ないから、相当葛藤しているようだ。
「ぅぅ…お手柔らかに…。」
悔しそうな顔をしたイルカに、「どうしようかなー?」とだけ返したのは、意趣返しもあるが、これだけお預けされたんだから我慢できないだろうと言う 確信があったからだが…。
結局イルカをガタガタにしてしまったので、やっぱり正解だったようだ。
*****
「アンタいわなに何したんですか?」
イルカと飯を食ってたら、不審そうな顔をしたイルカにそう聞かれた。
「別に何も。」
実際に全く心当たりはないし、もっと言うなら興味もない。
「アンタのおかげだって言ってるんですよね。一体なんでなんだ?」
しきりに不思議がるイルカがこっちをみない。
「ガキの話は良いから、もっと構ってよ。」
「なんで!」
怒るイルカの顔を撫でながら、不満そうな顔を見せてやった。
「約束破るの?」
「何の約束ですか!」
本気で不思議そうな顔をしているイルカに、ニヤニヤしながら言ってやった。
「好きなだけ構ってくれるんでしょ?別に期限切ってなかったし。」
「なっ!」
「今日はー…とりあえず、飯食ったらいちゃいちゃで。」
「どうしてそんなコト…」
「約束破るの?」
「くっ!」
「じゃ、早く食べてね。」
憤懣やるかたない顔をしたイルカを楽しみながら、しばらくはコレでイルカを独占しようと決めた。
「何ニヤニヤしてるんですか!」
イルカは急に立ち上がると、目を吊り上げて箸をテーブルに叩き付けた。怒っているイルカの瞳には俺だけが映っている。とにかくもう2度と、絶対に他所には やらないようにしようと思いながら俺も立ち上がった。
「んー。大好き。」
イルカに口づけを落とすと、イルカが真っ赤になって下を向いた。
「うー…しょうがねぇ…でも!今日だけですよ!」
可愛いイルカ。今日はどうやって楽しもうか?
「…どうしようかなー?」
とりあえず今は真っ赤な顔を楽しむことに決めて、イルカをからかってみた。
「全くもう!アンタほんとにしょうがないなぁ」
呆れたような顔で微笑むイルカの唇をもう一度掠め取る。
更に顔を真っ赤にして、口をぱくぱくさせているイルカを見つめながら、俺はこれからのイルカ独り占め計画を思ったのだった。

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後編!間に合いました!!!
中身の出来は…アレですが…。
枳実様ー!!!訂正・追加などありましたら拍手とかでも良いのでコメントプリーズですー!!!
あと…またカカチ視点ですみませぬ…。次あたりイルカ先生苦労話編とかどうでしょう?
他にご希望がありましたらお気軽にどうぞ!!!

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