誕生日プレゼント



性格の悪いカカシ注意!それと、隠さずに微エロ(あくまで当サイト比。)がありますので、苦手な方はご注意下さい!!!
いつも通り中身はない!!!そしてまたも無駄に長め…orz。くれぐれもご無理はなさらずー…。



誕生日なんてどうでも良かった。正直気にも留めてこなかったってのが実情だ。
でも、イルカからだから。…もらえる物なら貰っておくのが当たり前だし?
今年もこそこそ何を用意しようか悩んでるみたいだけど、どうせまた照れちゃってぶっきらぼうに投げよこすだけになるだろうから。
まあ、そういう顔もそそるけど、折角のチャンスなら…しっかりモノにしたい。
しかも今年のイルカの誕生日には、不本意ながらしてやられてる。…当然、やり返すに決まってる。
元々モノなんかいらない。欲しいのは…イルカだけだから。
だから、策を弄してでもその口から欲しい言葉を引き出すつもりだ。
「ねぇ。もうすぐ俺の誕生日なんだけど。」
食事が済んで暢気にお茶なんかすすってたイルカの背中に張り付いて、耳元に吹き込んでやった。
「はいはい。分かってるって。…何か、欲しいものありますか…?」
俺の声と吐息に一瞬ひくっと体を反応させたが、すぐに表情をとり作った。
でも、めんどくさそうな振りして、ホッとしたのも分かってる。
だって、散々悩んでいたから。
何を欲しがるか、俺に隠れてこそこそアスマや紅なんかに聞きに言って、当然、俺の性格をいい意味でも悪い意味でも熟知している二人から、ある意味適切でろくでもないアドバイスしか受けられなくて落ち込んでいたから。
…プレゼントならイルカ、そう言われて。
ま、そうやって俺のことを考えてるイルカを見るのは楽しかったけど…そろそろ、別の物も欲しい。
だから、誤魔化そうとして逆に緊張が表に出てるイルカに気付かないフリで、何食わぬ顔で応えてやった。
「んー?…アンタが可愛くおねだりしてくれること。」
「はぁ!?」
その表情を見れば分かる。ヒゲ熊とウワバミに吹き込まれたことを鵜呑みにしてるって。
俺が焦らすと涙目になりながら可愛い顔するくせに、でも意地を張って絶対に欲しいなんていわない。
焦れて焦れて…それから結局俺が仕掛けたら自分だって楽しんでるくせに、毎回拒むんだから理解できない。
まあ今回はソレは一旦置いておく。
俺の言葉に上がった体温が伝わってきて気持ちイイにしても。
「あぁ。当然そっちもするけどね。そうじゃなくて…アンタの欲しいもの、おねだりして見せてよ。」
誕生日の負けは取り返す。
イルカは変なところで鈍いから、これくらいはっきり言わないと分からないだろうと、イルカの神経を逆撫ですることを承知で言ってやった。
ま、案の定気に障ったみたいで顔真っ赤にしてるけど。
「なっ!お前の誕生日だろうが!」
「だから。俺の欲しいもの、くれるんでしょ?」
そう、もうすぐ俺の誕生日。
そういうのにこだわるイルカなら、絶対に俺の条件を飲むはずだ。
「…―っ!」
可愛い顔して困ってる。
…楽しい。イルカが俺を見ている。俺だけを。
目を白黒させて、睨みつける瞳は潤んでいて…これだけ誘っておいて無自覚だ何てホントたち悪い。
背筋をゾクゾクさせるその反応で、今まで良く無事でいたと思う。男の征服欲をココまで刺激するのは、ある意味才能だ。
ま、今更どっかの馬鹿がそんなイルカに気付いても、存在ごと抹消してやるからいいんだけど。
「ねぇ。何が欲しいの?言ってみなさいよ。」
俺は、自分の勝利を確信していた。
だってイルカは相当追い詰められている。
いつもみたいにキャンキャン吼えずに押し黙って、手を所在投げにふらつかせて、困っているのが丸分かりだ。…忍びなのにね?
どうやら、イルカの緊張は俺の言葉で限界を迎えたらしい。
「あーもう!…いいんだな!本当に欲しいもの言うぞ!」
「さっさと言いなさいよ。」
金なら正直腐るほどある。使い道なんてろくになかったから。
どうせイルカのことだから最近時々止まるようになった新しい洗濯機が欲しいとか、そんな物程度だろうけど…それでも、イルカに何かを欲しがらせたかった。
俺から見ると、イルカはいつだって我慢ばかりしている。子どもに年寄りに…自分以外の者達のことばかり考えて、自分のことはないがしろにして…それでいつだって笑っている。嬉しそうに。
俺がそれでイラつくっていうのが分からないらしい。
イルカは俺のためだけに笑っていればそれでいい。それなのにどうでもいい奴らのために我慢して、しかも嬉しそうにしてるなんて理解できない。したくない。
イルカは、もっともっと欲しがればいいんだ。…俺が、いるんだから。
…ま、一番欲しがって欲しいモノは当然俺だけどね。
答えを強請る俺に対して、イルカが泣き出しそうな顔で呟いた。
…予想外の言葉を。
「…っ!…ゆ、有給!取って来い!」
「…いいけど。なんで?」
休暇なんてそういえば自発的にとったことなかったかもしれない。入院してることならそれなりにあったけど。
だが、これはひょっとして…。
イルカの答えをニヤニヤしながら待ってやる。
…その時は、まだ自分に分があると思っていた。
「…ア、アンタ無理しすぎなんですよ…。最近だってろくに休みも取らずに、任務7班のと掛け持ちしてるし!ちゃんと休め!…俺も、一応、その、前日から休み取ってあるし…。」
もごもごと口ごもりながら心配そうに俺に説教するイルカは、言外に俺を欲しがっている。
それなら、遠慮なんかすることないだろう?
「りょーかい!じゃ、ご要望どおり俺が欲しいってことね?」
「ばっ!?馬鹿言うな!」
グダグダ文句を言っているイルカに、前払いしてやるコトにした。
「行くよ。」
「…っ!?なにすんだー!?」
いきなり担ぎ上げた体はバタバタと暴れてくれたが、その抵抗すら楽しかった。
寝室にそのまま連れ込んで、朝まで喘がせて、それから…有給申請の式でも飛ばそう。
浮ついた気分に支配されて、イルカを貪ることしか考えられなかった。…イルカの欲しがる物が本当はなんだったのか、気付きもしないで。
*****
ぐったりと横たわる姿が愛おしい。
あれだけ抵抗して見せたくせに、途中から何故か妙に積極的になったイルカを、意識を手放すまで貪ってしまった。
眉間に皺なんか寄せてる寝顔が、さっきまでさせていた行為を反芻させてその気になりそうだ。
今日だってここまでするつもりはなかったが、イルカの痴態に煽られて我慢できなかった。
あんな顔するから。
一応、俺のことを心配してたみたいだが、俺はそんなに柔じゃないことは自分の身体で良く分かっているだろうに。…まあ、イルカは元々心配性だ。
…俺以外にもって所は気に障るが、俺だけを心配してるのなら譲歩してやってもいい。
「…ぅ…っ…」
抱きこんだまま、頬に、唇に触れてその感触を味わう。眠ったままでも感じるのか、吐息交じりの声を零しているのが扇情的だ。全身に俺の匂いが染み付いていて、しばし満足感にひたった。
だが、まだ足りない。…このままもう一度抱いてしまおうか?
本格的にイルカの肌をまさぐり始めた時、イルカが小さく呟いた。
「馬鹿、野郎…!隠し事ばっかり…」
イルカが馬鹿野郎なんて呼ぶのはかなりの高確率で自分のことだろう。
それに、呼び方が…拗ねた様な、僅かに甘えた様な、この呼び方は…確実に自分に対してのものだ。
だが、隠し事…?
そんな物に心当たりはなかった。イルカに隠す必要のあることなど、任務上の守秘義務以外にはない。わざわざ言っていないだけで、イルカだってそこは理解しているはずだ。こんな風に寝ぼけて不満を漏らすようなことじゃない。
…ということは、イルカが誤解するような何かを吹き込んだ馬鹿がいるのか…!?
予定、変更だ。
「イルカ。ちょっと起きて。…起きなさいよ!」
抱きしめていた体をそのまま揺さぶってやると、くったりした身体が僅かに身じろぎした。
「んー…う…?え?あ…?」
寝ぼけてとろんとした瞳のイルカを我慢するのは拷問に近い。半開きの唇から除く舌が誘っているように思えてならないし、寝起きの鈍い反応も俺をその気にさせる。すでにその気になっていただけに余計に我慢するのはキツイ。
元々闇雲に性欲に流されるようでは上忍になる所か忍に自体になれない。ただ…イルカだけが…この押さえ切れない欲望を引き出し、普段なら簡単に抑制できるはずの俺を翻弄するから。
だから、いつだって俺はイルカだけは我慢できない。
…だが、さっきのセリフは聞き捨てならない。
「隠し事って、なによ…?」
「は?」
やはりまだ寝ぼけてるようだ。目をしょぼつかせてぽかんとしている。ソレすら誘っているようにしか見えない。
こうなったら…もうこの際我慢するのは止めるコトにした。
「言う気になるまで…ね。」
「わ…!?な…っ!?さっき散々…もう無理だって…!」
慌てて俺の顔を押しのけようとする手をシーツに押し付けて、ばたつかせている足の間に腰を割り込ませた。
イルカから離れる気になれなかったから、まだ後始末はしていない。
俺の吐き出した精でぬかるんだままのソコは、すんなりと俺の欲望を受け入れた。
「ふ…そんなに締めないでよ…っ!」
「あ、あ…っ!」
言葉も紡げずに身を震わせている。寝起きのイルカには、過ぎた刺激だったらしい。
ぎゅうぎゅう締め付けられて、馴染むまで我慢しようとしていたのを邪魔する。あまりの心地よさに、持っていかれるかと思うほどだ。
…もういっそのこと理性が溶けてしまうまで攻め立ててやろう。
そう独り決めして、俺の腕を握り締めて衝撃に耐えているイルカを揺さぶった。
「ぅあ…っあ…んっ!」
驚いた顔で、でも律儀に反応を返す素直な身体。…自分が仕込んだ自覚があるだけに、満足感に勝手に口がほころぶ。
「きもち、イイんでしょ?」
「馬鹿…なんで…!?」
「言いなさいよ。隠し事って?どこで誰にナニ吹き込まれてきたの?」
「あ…っ!な、何のことだ…!?も、やめ…っ!」
力なく抵抗を示す腕は俺を突き放すために動き…どうせ引き離せはしないと分かっていても頭に血が上った。
「止めない。…アンタが吐くまでね。」
「あぁっ!」
これでは応えられないと分かっていても、とめることなどできなかった。
強引な行為にもイルカの身体はしっかり応え、揺さぶって、口づけを落として、うなじに軽く歯を立てて…ソレだけで、すぐに欲望をはじけさせてしまうほどだ。
まだ寝起きだったせいか、疲労しきっていたせいか、何処か呆けたような表情で震えるイルカのその顔を、俺だけが見ることが出来るんだと思うと興奮が治まらない。
…目的も忘れて、結局イルカを散々啼かせてしまった。
*****
頭に血が上っていたとはいえ、流石にちょっとやりすぎた自覚があったから、匂いが落ちるのを惜しみながら全身綺麗に洗ってやった。
…白状させたらまた匂いをつけてやればいいと言い聞かせて。
だが、やはりイルカは押し黙ったままだ。
「ねぇ。さっさと言いなさいよ。」
「気のせいだろ!別に俺は…それか寝ぼけてたんだ!」
ぐったりとベッドに横たわり、どうせ力なんて入らないくせに、口調だけは強く突っぱねてくる。
…そのうろうろと彷徨う視線がウソを付いてると白状してるくせに。
「ウソツキ。…素直に吐くなら今なら許してあげるけど?」
「なっ!?だから!俺は、べ、別に…!」
イルカの様子は明らかにおかしい。だがこうなったら絶対に白状しないのも経験済みだ。
それなら、搦め手で行くしかない。
「へぇ…なら。いいけど…。」
俺が引くそぶりを見せると、あからさまにホッとした顔をしながら、だが警戒を解かずに俺を胡散臭げに見つめている。
「ナニ、企んでるんだ…!?」
「別にー?アンタのほうこそ、ナニ企んでるの?」
「企んでなんか…!」
「なら、いいでしょ?俺はこれから任務。有給申請とかも済ませてくるから。…あんたは寝てなさいよ。」
逃げ出せないとは思うが、監視に忍犬を置いていけばいい。後は…誰がイルカに余計な真似をしたのかあぶりだすだけだ。
監視はしていたつもりだが、まだまだ甘かった。…イルカがイイ意味でも悪い意味でも注目されていると知っていたのに、油断していたということだろう。
イルカが吐かなくても、そいつらを吐かせるのは簡単だ。
拷問に暗示に幻術に…方法はいくらでも知ってる。
梃子摺りそうなら面倒だが最悪頭の中まで全部覗いてやればいい。それで壊れたらその程度の忍だったってことだ。
それより、有給申請の方が困難かもしれない。何しろ誕生日は目前だ。それに自分の立場が。
名の売れた忍なんてろくでもないものになっている以上、そう簡単には休みを取れないだろう。
…ま、いざとなったらあの狸ジジイを脅すネタの一つや二つあるけどね。
使わなくても三代目のことだ。どちらが里にとって有益なのかぐらい瞬時に判断が着くだろう。俺の機嫌をわざわざ損ねるくらいなら、有給を取るという条件くらい飲むはずだ。…階級的にはただの中忍であるイルカのわがままが発端だったとしても。
これからの算段を済ませ、呼び出した忍犬にイルカの世話を言いつけた。
「俺も!…っつー…!」
案の定無理をしようとして、痛みに唸っているイルカをくれぐれも外に出さないように命じるのも忘れない。
「アンタの分申請してくるから。おとなしくしててよ。」
「なっ!待て!」
ぎゃあぎゃあ喚きながら痛みに呻くイルカを置いて、俺はさっさと片付けに家を出た。
どうせ明日からイルカも休みだ。人に休めというくせに、夏季休暇とかいうのも返上して働いていたイルカが、ちょっと位早めの休みをとっても、誰も文句は言わないだろう。
それよりも、排除すべきものを早く見つけ出さないと。
…やっぱり、外になんか出したくない。碌なコトにならない。
改めてそう思いながら、俺は足を速めた。
*****
有給はある意味予想通り、あっさり取ることができた。
…イルカの根回しがあった可能性も高いが、ジジイが俺を止めるのを面倒くさがっただけだろうな。十中八九。
だが、イルカにちょっかいをかけた連中がいるという俺の予想は、どうやら外れたらしい。
見張りにつけている忍犬たちの口からも、周囲の人間に暗示をかけてまで引き出した情報からも、イルカが第三者に絡まれていたなんて情報は得られなかった。
親切ごかして同僚や受付の忍たちがイルカに余計なコトを言った可能性は捨てきれないが、それにしてはイルカがあそこまで頑ななのがしっくりこない。
事態は振り出しに戻ったが、イルカ本人を問い詰めるのは間に合わなかった。
…今日はもう、誕生日当日だ。
有給は当日とその翌日まで。…つまり、昨日の夜まで俺は任務についていた。そのせいでろくにイルカといられなかったのだ。
祝うためにと用意されたごてごてした食事さえなければ、そのままイルカを襲っていただろう。
だが、一応俺のために用意された物だ。それに、イルカが「何でもねだっていいんっていったのはアンタだろ!おとなしく祝われろ!」などと啖呵を切ってきたので已む無く従うしかなかった。
イルカ曰く誕生日のご馳走とやらより、よっぽど美味そうなもの…何故か妙にはしゃいでいるイルカをちらつかされて、じりじりしながらもくもくと食事を平らげた。
確かに手が込んでいて、イルカが俺のために用意したといわれれば、普段ならどうでもいい食事も、楽しいと思わなくもない。
…このままうやむやにするつもりもなかったが。
甘ったるいケーキとやらも一応口にしたが、甘いものが苦手なのを知っているイルカに残りを押し付けた。嬉々として食べていた所を見ると、予想の範囲内だったんだろう。
片付けも俺が手伝って早々に終わらせ、やっと本題に入ることができた。
片づけが終わりに近づくにつれ、イルカがどんどん挙動不審になっていった以上、覚悟はしているはずだ。
「ねぇ。…俺が隠し事してるって言う、証拠は?」
単刀直入にそう切り出した。
「隠し事…なんて、別に…。」
視線を合わせようとしないイルカは、それでも暗い表情をしてるって丸分かりだ。
隠そうとしたって、誤魔化されない。
「そんなに言いたくないなら…もういい。…記憶なんていくらでも覗ける。」
もう今日は誕生日。タイムリミットだ。
自分から白状しないなら、強引な手段に出るのも仕方がないだろう?
触れようとすれば避けて、うつむくイルカにこれ以上我慢なんかできない。
左目を使えば、簡単だ。…できればこんなことしたくなかったのに、イルカが悪い。
俺のチャクラに本気を感じ取ったのか、イルカの手が俺の左目を覆った。
「お前が…あんなこと言うから…!黙ってるつもりだったのに…!」
唐突な叫びは悲しみに満ちていて、俺に触れる手も震えている。
てっきり女関係のことでも疑われていると思っていたが、どう考えてもこれは違う。
可愛く嫉妬してくれる顔ならいくらでも見せて欲しいが、こんなに…苦しそうな顔は見たくない。
「いいから。いいなさいよ。」
イルカにこんな顔をさせる理由を早く知りたい。原因を排除して、早くいつものイルカに触れたい。
「お前、その、目。」
「ああ、これ?」
イルカが覆い隠している瞳は、後悔の象徴だ。自分の過去の愚かさそのもの。
絶大な力の代償に、膨大なチャクラを食いつぶし…そして、いつかは俺から光を奪う可能性も高い。
これを手に入れた経緯を、そういえばイルカには話していない。特に聞かれなかったからというのもあるが、…どうしようもない自分の過去をわざわざ話すのを、無意識に避けていたのかもしれない。
イルカは、相手に能力を評価はしても、うらやんだりひがんだりしないし、疎むこともない。
誰もが恐れるか、へつらうか…特別扱いする俺のことも、簡単馬鹿呼ばわりして、ただの一人の男としてみている。
それは一般人よりずっと物事を冷静に見る傾向にある忍の中にあっても稀有なことだ。
だからこそ、イルカは疎まれ、愛される。…俺にとっては面倒なコトに。
傷つけるヤツや、欲しがるヤツがいないか、いつだって気が気じゃない。
「それ、痛むんだろ…。」
「あー…ま、使い過ぎればね。」
気づかれていないと思っていたが、イルカも忍だ。最近、確かに写輪眼を必要とする任務が多かったから、瞳を庇っているのを見咎められたんだろう。
心配させても意味がないから黙っていたのが裏目に出た。…だが、わざわざ恐らく将来的には失明するかもしれない瞳のことなど、心配性なイルカに話す必要はないはずだ。
「お前、ずっと黙ってただろ?痛そうに時々押さえて、暗い顔して…でも、言いたくないんだってのは分かってた。」
淡々と語るイルカの方が、ずっと痛そうに見える。
これは、元々借り物だ。本当の自分の瞳は随分昔に失った。
…だからいずれこの瞳が光を失っても、それはただ先延ばしにしていた時が来ただけこのと。愚かさの代償に譲り受けたこの瞳で、出来なかったアイツの代わりに里を守れればそれでいい。
だから、こんなに痛がるイルカを見ていたくなんてなかった。こんな顔を見せ付けられるくらいなら、自分を直接傷つけられる方がよっぽどましだ。
「別に、言いたくないって訳じゃ…言う必要がなかっただけで…」
苦しい。早くこの顔を苦痛から快楽に染めてしまいたい。
この手で捕らえて、押し倒して、そうして抱いてしまえば…そうすればこんな物を見なくて済む。
ソレが分かっていても、自分の体は動いてくれない。
そんなコトをすれば、イルカがもっと苦しむから。
「…聞かなかったんだ。痛みは変わってやれないし、その瞳だけは…お前も大事にしてるって知ってたから。」
語る言葉より、イルカの痛みが俺を傷つける。
「それは…」
「それがお前のじゃないってことだけしか、しかも伝聞推定でしか知らないから、お前に聞くのがいいことかどうかなんて分からない。だから…ずっと黙ってるつもりだったのに…!アンタがなんでもなんていうから…っ!」
涙で掠れた声でそれだけ言い切ると、イルカは俺にしがみ付くように倒れこんできた。
胸元にうずめられたイルカの顔を救い上げると、表情が抜け落ちたように力ない瞳が俺を映している。
「いいよ。別に。そんなことなら。」
知りたいことがそれだけなら。
別に話すまでもないことだと思っていたから黙っていただけなのに、ココまで心配してくれたなんて。
予想通りといえば予想通りだが、ここまで自分が苦しいなんて思わなかった。
いつもなら、俺のことだけを心配するイルカを見るのは心地よかったのに。
…慟哭するイルカを見ていても、苦しいだけだった。
ソレはきっと、苦しんでいるイルカを見たくないから。
「教えて、くれるんですか?その、瞳。」
「いいよ。あんたになら。…ただ、かっこ悪いけどね。」
「…なんでも、なんだろ!…話してくれ。」
やっと少しだけ微笑んで、覚悟を決めた表情に応えるために、俺は自分の過去をイルカに話しはじめた。
*****
全部話し終えることには、結構な時間になっていた。
途中口を挟みたそうにすることもあったけど、何故かひたすら俺の瞳を見つめて堪えるイルカのせいで、痛みよりもイルカへの欲望を堪える方が辛かった。
この傷も、後悔も消えない。…消すつもりもない。
ただ、唯一欲しいと思ったイルカが側にいてくれるから。
…いずれ来るだろう忍としての終わりも怖くない。例えソレが、人としての終わりだったとしても。
「泣かないでよ。」
話し終える直前に、我慢の限界とばかりに涙を零しだしたイルカに、それくらいしかかける言葉が見つからなかった。
でも、この涙は心地いい。同情なんて欲しくなかったけど、これは…この涙は違うから。
「泣くなっていうな!…お前が隠し事なんかするからだ!痛いなら…黙って一人で耐えるんじゃない!俺がいる、意味がないだろ…っ!」
そう言って胸に拳を叩きつけて、イルカは俺のために悲しんでくれる。
「それも、おねだり?」
からかう俺を睨みつけるその真っ直ぐな黒い瞳が好きだ。
この瞳のためになら、きっと何だって出来る。
「…おねだりってコトにしてやる!いいか!まだ見えてるんなら諦めるんじゃない!…俺も一緒にあがくから…!」
「そうね。」
里を守れなくなるコトは、恐怖よりも諦めに近かった。使えない道具になったら、ただ静かに自分でケリをつければイイと思っていた。
その時までイルカを独占できればイイと。
もしも人としての続きがあるのなら…共に歩んでくれるだろうと今は思えるけれど…手に入れる前は、そんなこと、想像もできなかった。
今失うことに恐怖があるとしたら、イルカを写せなくなることだけ。
それも、もう怖くない。
「それでもダメだったら…俺の瞳、1個やるから…!アンタも良く知ってるだろ?俺は頑丈だし、アンタみたいに不摂生してないから良く見えるから。」
そんなコトを言って、笑って見せてくれたから。
「くれるのは…その瞳だけ?」
そういって泣き笑いで濡れた唇を奪い取るようにふさいでやった。
もごもごと口の中でしばらく怒鳴っていたが、ソレを黙らせるように舌を絡ませ、服の上からイルカ自身を刺激してやれば、素直な身体はすぐに熱を帯び始める。
「…っ…アンタなぁ…っ!」
早く俺に溺れさせたい。怒ってる顔も好きだけど、快楽に溺れて俺を求める姿を焼き付けたい。
「いいでしょ?誕生日だし。…アンタを、ちょうだい?」
誘う言葉に、照れるか怒鳴るか殴られるか…覚悟は決めてあったのに。
「最初っから…それだけ言えばよかっただろ!」
イルカは自分から俺を押し倒してきた。
照れてながら、ぶっきらぼうに…いつもいつも俺のために何かするときに見せるその可愛い表情で。
「上等。じゃ、早速もらうね。」
「…っ!」
抱き上げた愛おしい存在を抱えて、躊躇いなく寝室まで移動した。
もう、一瞬だって待てない。
湧き上がる物を押さえつける理由もない。
欲しいのも、欲しがっているのも、与えてくれるのも、全部イルカなのだから。
*****
何かに急き立てられるように慌しく服を脱ぎすてて、脱がせあって…そうして性急に互いを求めた。
キス一つするのにも奪い合うように激しく、絡み合う舌をまるで火傷しそうに熱く感じた。
馬鹿みたいに急いで体を繋げて、痛むくせに欲しがるイルカに勢いを止められないまま、ただ激しく交じり合った。
一度達して、少しだけ落ち着いたと思ったのに。
「アンタが、馬鹿ばっかりするから…ずっとちゃんと、俺がアンタのこと見ててやる。だから、勝手に悩む前にさっさと俺に言え。もう隠すな。」
「アンタってホント、漢前だよねぇ。実力はともかくとして。」
無鉄砲で真っ直ぐなお人よし。そういう所も気に入ってるが、どっちかって言うと心配なのはこっちだ。
程ほどに強くてもそれでも中忍だ。そのくせ、すぐに体を張って仲間を守るから。
…俺以外のためになんて、絶対に怪我なんてさせないつもりだ。
閉じ込めるのは…多少無理があるとは分かっているが、これからもソレを譲るつもりはない。最終手段は、いつだって取れるようにしてある。 …今度こそ逃げられないように。
いつでもできる。だから、今はやらないけれど。
「うるさい!…実力はあっても馬鹿ばっかりやってるあんたに言われなくない!」
イルカはつらつらと思考に沈む俺を怒鳴りつけ、力ない拳を叩きつけてきた。
…まだイったばかりで息も整わない内に、怒鳴りながら顔を赤く染める姿に、ついうっかりその気になって。
「そうねぇ?ま、どっちでもいいけど。…まだ、足りない。」
掬い取った足に舌を這わせて、嬌声と罵声を同時に上げるイルカを楽しんだ。
…誕生日が終わっても。
*****
終わった後に殴られて、それから意識を失ったイルカの体を洗ってから寝床を整えてやり、一緒に眠って、それからまた起きたばかりのイルカに殴られた。
すっかり体力を使い果たしたその拳に威力はあろうはずもなく、その抵抗が返って俺を煽るコトに気付かないのかブツブツ文句を言い続けるイルカが、結局何度同じ目に合ったのかっていうのは、まあ愚問だ。
「でもま、負けは取り返したかな?」
イルカの悔しそうな顔をたっぷり見ることが出来たから。…その、覚悟と痛みも。
「覚えてろ…っ!」
何度目かのそのセリフとともに意識を手放したイルカを抱きしめて、幸せな眠りにつくことにした。
来年の誕生日プレゼントにも、同じ物をねだろうかと思いながら。


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一応間に合ったー!!!
カカ誕だってばよ!!!…微妙すぎるけどね!!!←だめじゃん。
枳実様〜!!!相変らずの出来ではございますが…ご要望ご意見ご感想などがありましたら、お気軽に拍手などからどうぞ…。


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