結婚しよう!

「ね。結婚して?」
幼なじみで…それこそ全てを知られている相手に求婚された。
…どうする俺!?
*****
十八歳の誕生日を、俺は一人で迎えるつもりだった。
父も母も随分前に先立ち、俺も任務が結構忙しくて友人たちと誕生日を祝うほど余裕もなく、恋人なんかいるはずもなくて…。
それでも、唯一一緒に喜んで祝ってくれそうな相手はいた。
でも、あいつは俺よりずっと強くて俺よりもっと忙しくて…俺の誕生日に帰ってこられるか分からない任務を受けて今も里の外にいるはずだ。
寂しいなんて思うほど子どもじゃないつもりだったけど、やっぱりちょっと空しい。
わざわざ任務が入ったことを律儀に告げてくれたあいつが、もしかしたら帰って来るんじゃないかって期待してしまう。ものすごく悔しそうにしてくれてたから。
今までも、あいつはずっと誕生日には一緒にいてくれた。
いなくなった家族の代わりみたいに、お互いに身を寄せ合って過ごしてきた。
まあ、所謂幼馴染ってヤツだ。
最初は隣の家に住んでたあいつの父ちゃんが、俺の親父と知り合いだったのが縁で、そこそこ行き来があった。
飯一緒に食ったり、風呂入ったり、修行見てもらったり…。
その頃から、あいつはちょっと生意気ででも強くて優しかった。
あいつ曰く、俺はその頃から元気でちょっと無鉄砲だったらしいけど。
でも、親父さんが色々あった末に亡くなって、それからしばらくは全然付き合いがなかった。
俺も大好きだったおっちゃんがいなくなって、悲しくて…でも里のエライ人だかなんだかしらないけど、子どもは関係ないことに首突っ込むなって言われて、見張り見たいのがたってて、しばらくカカシの家にいけなかった。
勿論、その変な人たちがいなくなってから俺は速攻カカシに会いに行った。
でも行ってもいないことが多くて…もしかして居留守使われたのかもしれないけど。俺もちっこかったし、そんなことされてもわかんなかっただろうし。…まあ、あいつも俺と一個しか違わないんだけど。
だから、俺は…ずっと、あいつを待ってた。変な人たちに連れてかれたんじゃないかって心配でたまらなかった。
後から知ったけど、そのころからあいつはもう忍で強くて。俺なんか想像もつかない任務に行ってた。
でもそんなの俺にはわからなかったから、母ちゃんに散々駄々を捏ねて困らせちゃったんだ。
カカシを返してって。
母ちゃんがカカシ君も頑張ってるんだからイルカも支えてあげて。待っててあげるのも大事なことよ?って言われてから、ダダを捏ねるのを止めて、飴玉とかチョコとかその頃好きだったメンコとかポストに入れて、手紙も入れて、カカシがいつか帰って来るのを待ってたんだ。
でも、あの災厄の日。家も母ちゃんも父ちゃんも全部燃えたあの日。
一度は連れ戻された避難所から、もう一度抜け出して、家に向かって走った。
里がどんなことになったかって、教えてもらってても、俺の両親がどうなったかって伝えられてても信じられなかったから。
でも、母ちゃんもいなくて父ちゃんもいなくて…待っているための場所も燃えてしまって。
どうしようもなくて、泣くこともできずにぼんやり俺の家だったはずのところに立ちすくんでた。
これからどうしたらいいのかとか、そういうことよりも、世界がぼんやりしていて、このまま自分も消えるんじゃないかと思って、焼け残って落ちてた父ちゃんのクナイを拾って見つめてたら誰かに捕まった。
ぎゅって抱きしめられて、その拍子にクナイはおっこっちゃったんだけど、ソレを拾う前に思いっきり怒鳴られた。
「馬鹿!なにやってんのよ!」
「カカシ…?」
それは、久しぶりに見る幼馴染だった。
俺もでっかくなってたけど、カカシもでっかくなってて驚いた。
でもそれよりも…カカシが無事だったコトにびっくりしてほっとして、忘れてた涙がやっと流れ出して…。
「ほら!しっかりして!」
「無事で良かった…!」
ホッとしたらもうなにがなんだか分からなくなってぎゅうぎゅう抱きしめたら、カカシもぎゅうぎゅう抱きしめ返してくれた。
それから一緒に今までどこに行ってたんだとか、大丈夫なのかとか、今起こってることとか…とにかく話して話して話しまくった。
…それが俺とカカシの二度目の始まり。
三代目の家に厄介になって、それから下忍になって、自分で部屋借りて住むようになって。…でもずっと、一緒にいた。
任務の合間を縫って下らないことを話したり、相談に乗ってもらったり愚痴聞いたりして、一番近くで家族みたいに。
だから、アイツがいないと落ち着かないっていうのも、ちょっとはしょうがないことだと思う。
今日で18歳…晴れて大人の仲間入りを果たしたわけなんだけど、実感がまるで湧かない。
今日から酒も飲めるし(もう隠れてちょっとだけ舐めたことあったけど。)、カカシが去年から読み始めてものすごく気に入ってるエロ本読める(コレはカカシが貸してくれなかったからまだ挑戦してない。…ケチんぼめ!)し、結婚だってできる(もてないから相手いないけど。)。
だからそろそろ幼馴染からも卒業しなきゃいけないのかもしれない。
そう思うと寂しさで気が遠くなるような気がした。
「俺も、まだまだだな…。」
身体はでっかくなって、中忍にもなって、これから…あいつみたいになるのは無理でも少しでも強くなりたいと思ってるのに、こんなコトで落ち込んでる自分がかっこ悪くていやになる。
こういう日に限って休みで、一人でいると無駄に落ち込みそうだから、とりあえず鍛錬にでも行ってこようと決めた。
*****
天気は凄くよかった。
演習場を借りて身体を動かしたら、ちょっとだけだけど気分も上向いて、これから人生初ってことになってる酒でも飲むか、それともカカシの愛読書でも買って見るかと思って歩いてたら…目の前にいきなり誰かが降って来た。
「ただいま!イルカ!」
カカシだ!
寂しかった俺を慰めるように、凄く嬉しそうに笑ってる。
俺の前に降り立つまで、全然気配に気付かなかった。
「カカシ!帰ってこれたのか!」
ついつい頬が緩むのがわかる。
…酒も、エロ本も、俺の寂しさを埋めてくれないけど、カカシがいてくれる。
それだけで、何だか嬉しくて…いい年した男がナニやってるんだかって思わないでもなかったけど、ちょっと…その、泣きそうになった。
中忍の意地で堪えたけどな!
「当たり前じゃない!今日はイルカの誕生日でしょ?」
こういうコト言ってくれるのもコイツならではだ。
家族…いつかはコイツも俺も新しい家族ができるのかもしれなくても、やっぱり俺の一番の家族はカカシだ。
帰れるかどうか分からないって聞いて、間に合わなくてもいいよって言っちゃったし、きっと無理だと思ってた分、嬉しさが隠しきれなかった。
「なんだよ!無理しなくてもイイっていっただろ?怪我とかしてねぇだろうな?」
こんな憎まれ口を叩いて誤魔化して、でも心配なのは本当だったから全身きっちり観察した。
…見たところ怪我はないみたいに見える。血の匂いもしない。
とりあえずほっと一息ついたら、カカシがニコッと笑ってくれた。
「うん。大丈夫!それよりお祝いしようよ!今日でイルカも大人の仲間入りだし?」
「お祝いなんて…」
大人…そう、確かに今日で俺は一応大人なんだけど…そもそも木の葉の里は下忍になった時点で子どもというより忍として扱われるからあんまりすごいって感じないんだよなー?
祝ってもらえるのは凄く嬉しいんだけど。
「いいじゃん。祝わせてよ。とりあえず俺んち来て?」
煮え切らない俺の態度にも、カカシはウキウキした様子を崩さずに手を握ってくれた。
温かい手。…もうすぐはなさなきゃいけないんだとしても、今は離せないから…。
俺も、こけないようにしてるフリで、その手をぎゅっと握り返した。
*****
「やっぱりお祝いって言ったら酒だよねぇ?」
そう言ったカカシが出してきたのは、酒に疎い俺でも知ってる有名な酒だった。
それも一本や二本じゃなく、それこそ山盛り。
「俺、こんなに飲めるかなぁ…?」
耐性つけるのには飲んどいた方がいいんだろうけど、やっぱりいきなりこんなに沢山はどうなんだろう?
羽目を外せるのはこういう時だけだっていっても、しょっぱなから酒で失敗するのは怖い。
そうやって不安がってたけど、カカシの一言でちょっとヤル気になった。
「イルカのお父さんもお母さんもお酒にすっごく強かったから、イルカなら大丈夫でしょ?俺も飲むし。」
母ちゃんと父ちゃんも…!…そう聞くと、何だか今日酒を飲むことが先立った両親への手向けになる気がして…。
「…今日は、飲む!」
つぶれるかもしれなくても、両親と同じくらいでっかくなったことを証明できるんならいいかもしれない。
だから俺は…コップを握ってカカシに差し出して、なみなみ注がれた酒を一気に呷った。
「うわ…っ!」
喉がぴりぴりして、頭もちょっとくらっとした。何だか今まで感じたことがない浮遊感。
毒や幻術とも違うこれが、酩酊感ってやつなんだろうか?
驚いたけど、確かに美味しい。コレがすごい酒だからなのか、それとも俺が大人になったって事なんだろうか?
「イイ飲みっぷりだね。」
カカシも嬉しそうにしてて、俺も何だか凄く楽しくなってきた。
「お前も飲め!一緒に飲めるようになったんだし!」
「うん!」
…そうやって、飲んで飲ませて飲み続けて…。
いつからか俺はぐでんぐでんに酔っ払っていた。
口布を外したカカシは小さい頃から綺麗な子どもだったけど、最近ぐっと男らしさを増して、カッコよくなった。
カカシ曰く俺だってでっかくなってるっていうんだけど、カカシみたいにカッコよくなれた感じがしないし、忍としての実力も、それにきっと心も…正直言ってコイツとは比較にならないくらい低い。
…だからいつか置いていかれるんだ。きっと。コイツに。
また一人になったら…そう思うと怖くて寂しくて悲しい。さっきまで凄く楽しかったのに、急に悲しくなってきた。
でも、カカシにはカカシの人生があって、それは今まで苦労してきた分、絶対に幸せになれないとダメだ。
だから、俺にできることは…。
「お前がどこに行ってもなにやってても…俺はお前のことちゃんと待ってるからな!」
…たとえ、コイツに嫁さんが出来て子どももできて…新しい家族が出来ても。
俺はコイツが帰って来るのを里で待ってるだろう。ずっと。いつまでも。
その隣にいるのが俺じゃなくなっても、家族だから。
普段なら口に出さないことを言ってる自覚があるのに止められない。
寂しさと嬉しさとでぐちゃぐちゃになりながら、カカシの手をぎゅっと握った。
何だか口の中にしょっぱい味が広がる。…もしかして俺、泣いてる…?
「うん。待ってて。ずっとずっと…!」
薄れ行く意識の中で、カカシの嬉しそうな声が聞こえた。
「大好き。だから…俺を全部上げるよ。」
*****
眠くて眠くて…でも眠り込もうとすると、体に触れる何かが邪魔をする。
なんだろう?
火照った身体には触れるソレは、冷たくて気持ちイイんだけど、何だか変な感じがして寝付けない。
「んー…?」
折角気持ちよく寝てたのに。
その冷たい何かは体中を這い回って、最初はくすぐったいのと変な感じがするだけだったのに、時々ぬるっとした物が触れて、その後ちりっと痛みが走るようになった。
気持ちイイのと痛いのとで何だかぞわぞわしてきて、ソレがイヤでその何かを止めようと手を伸ばすと、フサフサしたものに触れた。
これは…この感触は…。
「カカシ…?」
「あぁ、起きちゃったの?」
何だか重いと思ったら、カカシが俺の腰の上に座って、俺の胸に顔をうずめて何かもそもそやっていた。
なんだ。カカシのイタズラだったのか。
多分、飲めとか言ったくせに俺が先につぶれちゃったから、意趣返しでもしてるんだろう。カカシは案外子どもっぽいところがあって、カカシを置いて一人で遊んだり、かまってやらないと怒ったりしてた。それはかなりでっかくなってからも続いて、俺がカカシ以外の友達と遊ぶと拗ねられて困ったこともある。
だから今日もソレだろうと思ったんだ。
「なんだよもう。眠いんだから邪魔すんな。カカシも寝ろよ。疲れてるだろ?」
寝ぼけてちょっとふにゃふにゃした口調になっちゃったけど、とにかくこれ以上起きてるのは無理だ。
だって眠い。それにまだ酒のせいかくらくらするからこのまま明日まで寝てしまいたい。
それなのに、カカシの手は止まらなかった。
「寝るよ?…ま、意味は違うけどね。」
「え?なんだよー…?」
良く分からない。寝るんなら寝ればいいのに。
それにどうして服なんか脱ぐんだろう?
カカシはいつもパジャマなんか着ないのに。
不思議に思ってぼんやりカカシを見てたら、カカシの手がそっと俺に触れた。
それで気付いたんだけど、俺なんで何にも着てないんだ?さっきから凄く熱いから自分で脱いだのかな?それとも寝ちゃう前に服に酒でもぶちまけたんだろうか?
まあ、そんなことくらいで風邪を引くほどやわじゃないからいいけど。
とにかく問題はカカシだ。何だかくすくす笑ってるのに、殺気みたいなのにちょっとちがう変なチャクラも出して…あからさまにおかしい。
「ねぇ。好きだよ。」
「俺も、好きだよ?」
何だもう!今更恥ずかしいことを!
俺だってカカシのこと大好きだ。多分かあちゃんととおちゃんとかと同じで、でもちょっと違う好きだ。
カカシだけは他の誰かとは違う。家族で、友達で、そんで…上手く言えないけど大切だ。
恥ずかしいけど嬉しくて、カカシに向かって手を伸ばしてほっぺたをむにむにひっぱってやった。
あー…酒ってこういうことできるから、皆飲むのかもなぁ?しらふだったらコイツにこんなコト言えない。
でも、何だかカカシの変な様子はどんどん酷くなっていった。
「それ、忘れないでね?」
そういうと、まだ残ってたズボンも脱ぎ捨てて、まっぱだかになった。
ちっさい頃はよく一緒に風呂に入ったけど、流石に俺もカカシもでっかくなったから、最近はずっと一人で入ってる。それに俺、長湯だし。
あれ?でも酒飲んだ後は風呂って入っちゃダメって聞いたけどなぁ…?
カカシは、何をしたいんだろう?
「イルカとずっと一緒にいたい。誰にも渡したくない。だから…」
なんだ。カカシもよっぱらってるんだな。
ああでも、ソレは分かる。俺も…カカシがどっかの誰かのものになるのがいやだから。
例え、ソレがカカシの幸せでも。
心の底から祝福できるくらい大人になれるのはいつなんだろう。こんなに苦しいのにどうして我慢しなきゃいけないんだろう?
「カカシー…どこにいっても絶対俺のトコに戻って来いよ?」
せめてコレだけは許して欲しい。
ずっと一緒にいたのに、他の誰かに持ってかれるだけでも辛いのに、何もなかったコトになっちゃうなんて耐えられない。
…あー…なんか女々しいなぁ…。
こんなにぐずぐずするのって、コレも酒のせいだろうか?
にじんだ涙もそのままに、鼻水をすすりながらカカシの腕をぎゅっとつかんだら、カカシが凄く嬉しそうに笑った。
「うん!俺の全部はイルカのものだから、イルカのところに戻ってくる。」
「ホントか!」
嬉しい。さっきまで凄く胸が痛くて苦しかったのに、今は痛みの代わりにドキドキしてる。カカシが約束してくれたから。だから絶対に大丈夫。
だって、カカシは俺との約束を絶対に守ってくれるから。
でも、カカシの言葉はそれで終わりじゃなかった。
「…ねぇ。だから約束しよう?イルカも、俺に全部頂戴。ずっと一緒にいて?」
「する!そうだ!俺のやる!」
あんまり意味は分からなかったけど、カカシが俺と一緒にいてくれるって所に俺は飛びついた。
俺は…まだまだ経験の低い中忍だけど、カカシのためなら何だって頑張れる。カカシも俺に全部くれるって言ったから、ソレが当然みたいな気がするし。
それに…カカシ欲しいっていうなら全部やるくらいなんでもない。
俺のめちゃくちゃな返事でも、カカシはちゃんと分かったみたいだ。
「うん。全部貰うから。」
そういって、ふわふわしてる内にカカシの頭が俺の頭にぶつかって、一緒に口もぶつかって、酔っ払ってるのが楽しいと思ってたら、ぬるっとして、びっくりした。
口に何か入って来た!
カカシが近い。ものすごく近い。
ぴったりくっ付いてきたのに驚いて、押し返そうとした手を片手で掴れて、モガモガやってるうちに足の間にもカカシの手が入ってきて変なところを触られた。
「んんっ!?」
なに?なんだ?何が起こってるんだ!?
「なぁんにも教えなかったもんね?誰も近づけさせなかったし、誰のも触れさせなかった…。」
やっと開放された口は空気を取り込むのでやっとで、呟くように歌うようにカカシが言った。でもその内容がさっぱり頭に入ってこない。
分かったのは、ただカカシが凄く嬉しそうで楽しそうだってこと位で…。
「カカシ…?」
「大丈夫。優しくする。」
何を優しくするつもりなんだろう?
大体にして、この状況そのものが俺に優しくない。
約束は嬉しかったけど、眠くて気持ちよかったのに邪魔されて、今はなんか…そういえば、これってもしかして…キス!?
「ひゃう!」
驚いて叫びだす前に変な声が出た。
カカシが変なところを触ったのだ。普通自分でもあんまり触ったりしない所。
足の間の奥まった所にあるそこは、人に触らせるような所じゃない。いくらカカシにだって。
「ここも、痛くないようにするから。」
それなのに…カカシはよく分からない事を言って、そのままその指を奥に進めた。
「うー…!止めろ!やだ!」
入るわけないと思ったのに、変なぬるっとした感触と一緒に強烈な異物感が走った。
お腹が気持ち悪い。なんでそんなところに!
腹が立って押し返したのに、カカシはその手にまでキスしてきた。
「止めない。…だって約束でしょ?」
「やくそく…?」
一緒にいるって…でもこんなの聞いてない!
それに、コレってもしかしなくても…セックスってやつだと思う。
でも!俺、女じゃないし!出来るって聞いたことあるけどウソだと思ってたのに!
約束…約束なら破っちゃダメなんだよな?でもこんなのって…!
そうやって、約束って単語に驚いて固まった隙に、カカシはさっさと自分のしたいようにした。
ぎゅうぎゅう指押し込んでくるし、腹とか胸とか舐めるし…ソレが気持ちイイのが怖くなって泣き出したらそれから何度もキスしてくるし。
「な、んで…っ!ヤダ!もう止める!」
「だーめ。…約束破ったらダメでしょ?」
俺がこんなにぐちゃぐちゃになってるのに、カカシは涼しい顔で俺にわかんないことをしてくる。
「うぅー…っ!でも、何でこんなことするんだ!」
「コレ見て、わかんない?」
そう言って、癇癪を起こした俺の手に、ちょっと苦しそうに、ふ、と息を吐いたカカシが熱い何かを握らせた。
視線をソコに向けると、カカシの…その、大事な所がすごい勢いで勃ち上がっていた。
子どものころから知ってるけど、こんなになってる所は見たことなかったし、そもそも最近のことはわからない。…でも、こんなにでっかいのはおかしい。コイツ任務先でナニ食ってるんだ!?
慌てて手を引こうとしたのに、カカシはその上から握りこんできて離せない。
とても直視できずに視線をそらしたら、俺のも勝手に元気になってて…もう訳が分からない。
「これ!どうして…!?」
「イルカが欲しいから。そういう意味で。イルカもそうでしょ?だってホラ…もうこんなだよ?」
そう言ってカカシが俺のと一緒に自分のも握った。
どっちもどくどく脈打ってて、熱くて、硬い。
その熱が握ってる俺の手に、全身に広がって、頭まで沸騰しそうだ。
「あ…!」
「触られてるだけでイきそうだけど、…やっぱりこっちで出させて。」
そういってカカシがさっきから弄られてぐちゃぐちゃになってた所に触れてたと思ったら、俺の足を軽々と担ぎ上げて…気がついたら突っ込まれていた。さっき見たカカシのアレを。
「あぁぁっ!」
悲鳴じみた声をあげる俺を、カカシは満足げな顔で見下ろしている。
「好き。誰にも渡さないよ?…もう、コレで離れられないでしょ?」
何がどうなってるのか分からないのに、何だかカカシのほっとした顔を見てたら、コレでいいような気がしてきた。
でもやっぱり変な格好させられてるのと、腹を中から押し広げられるのが苦しくて、はぁはぁと息を吐いていたら、カカシが低く呻いた。
「ごめん。我慢できない。」
「やぅ…っ!ちょ…っ待っ……!」
中を一杯にしているものが、出て行ってすぐにまた入ってくる。
苦しいのに時々それが掠める所が気持ちイイ。
もっとソコをこすって欲しくて腰を揺らしたら、カカシが気付いてくれて自分で動くよりもっと気持ちよくなった。
「あっ…あっ…あっ!」
ぴったりくっついてるのがはずかしくて、でも気持ち良くて、だんだん頭の中が白くなっていく。
コレは分かる。多分もう自分の限界が近い。
「や…も、でちゃう…!」
「ん。俺も…!」
カカシのかすれた声で腰を震わせて達してしまって、それから多分カカシも出したんだと思う。腹に熱いのが出されたのが分かった。
中も外もぐちゃぐちゃになって、でも嬉しくて、それから凄く恥ずかしくなった。
きっと夢だ。変な夢。…酒に弱いのかもしれないな。俺。
「イルカ…?」
「寝る…。」
さっきと違って、気持ちよすぎて意識がずぶずぶ飲み込まれていく。
…今度こそ俺は眠りの世界に旅立った。
*****
やっちゃった。とんでもないことを。
俺が寝てるベッドのシーツのはぐちゃぐちゃになってて、何だかべたべたしてて、俺もべたべたしてて、それになによりすっぱだかだ。
しかも、正面から俺を抱きこんでぺったりくっついてるのは…カカシだ。
慌てて顔を上げるとすぐそばにカカシの顔があって、それに顔がカっと熱くなった。
挙句余裕タップリな笑みを浮かべて…。
「ね。結婚して?」
と来たもんだ。
…もしかしなくても昨日のは夢じゃなかったのか!?
今思えば計画的犯行。
誘う時も誘われた後も、手際があまりにもよすぎる。
カカシは最初から今日俺にこういうコトをするつもりだったに違いない。
カカシには、小さい頃から今までの俺のことを…昨日よりよってあんなコトとまでしちゃったから、ソレこそ全部丸ごと知られている。
でも…。
「聞いといて何だけど、逃がすつもりないから。」
そう言って、ぎゅっと手を握って、小さい時と同じようにちょっとだけ…多分ずっと側にいた俺にしか分からないくらいかすかに不安そうな顔をするカカシに、心臓がドキドキして止まらない。
どうする俺!?
…まあ、答えなんて決まってるのかもしれないけど。
だって、俺はコイツに勝てたことなんかないんだから。

こくんとうなずいた俺に、カカシが笑ってくれた。…子どもの頃と変わらない、ものすごく嬉しそうで綺麗で…無邪気な笑顔で。

*****
誕生日に結婚するのはそんなに珍しくないけど、誕生日に丸ごと全部貰われちゃったのは珍しいと思う。
それから俺はカカシのことを聞かれたら、せめてもの意趣返しにこう言うコトにしている。
「恋人は…誕生日プレゼントに貰ったんです。」って。


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イル誕その1!…出遅れがちな物のこれからやらかしたい!
…カカシ視点はいりますか…?いらないかなぁ…。
シリーズモノはどれにすべか?
まあとにかく祝いまくる所存!…多分!
ご意見ご感想などがございましたらお気軽に拍手などからどうぞ!



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