アカデミー教師は多忙だ。特に季節ごとの行事は意外と大変なものだ。だが、もちろん大変だからこそやりがいもある。 生徒たちが行事で何かを掴んだり、成長していくのを見るのはやはり楽しい! 中でも今日の夏季合宿は色々手間がかかるが、生徒たちの成長振りが良く分かるので、毎年楽しみにしてる。 合宿と言っても担当が低学年なので、里の近くの山で野宿したり、薬草や食料を自分たちで探す演習をしたり、隠した巻物を探させたりする程度で、 武器やトラップを使うような本格的な演習は行わない。泊まるのも一泊だけだ。 つまり…生徒たちのいたずらやホームシックへの対応型変なくらいで、生きるの死ぬのといったことはほぼ無い。 むしろ今やっているようなスイカ割りなどのお楽しみ企画もあるくらいだ。 昼間散々歩いたのに、夜の涼しさも手伝ってか、生徒たちは楽しそうに挑戦している。 が、毎年当たらなかったり、当たっても割れなかったりするし、うっかり手から棒がすっぽぬけて他の生徒に当たりそうになったりとハプニングも多いので、 教師側としては目が離せない。 「お!もうちょっと右だぞ!」 一応チャクラを読めば何とかなるはずだが、目隠しをして5回ほど回ってからやるので、生徒たちには結構難しいようだ。指示を出したのにふらふらとしていて、 当たりそうにない。 …ちなみに瞳術や忍犬、虫も全部使用禁止!だ。白眼なんか使われた日には勝負にならないからな…。名目としては平衡感覚を保つことと、 上手く味方に指示できるようにするための訓練だが、そもそも指示が間違っていたり、わざと逆の方へ誘導するようなイタズラをしたりと、低学年では ほとんどお遊びで終わる。まあそれも情報の真偽を見抜く訓練といえなくもない。 「ウソだよ!もっと左!!!」 「あっ!そっちだと行きすぎ!!!」 「まだ!ねえ何で真っ直ぐ歩かないの?」 外野が好き勝手に囃し立てる中、スイカを狙っている生徒が思いっきり棒を振り下ろした。 「えい!」 あ、やっぱり外れたな。 「あーあ…もっとよく見ろよ!」 「へたくそー!!!」 そうそう。俺のときも回りは好き勝手言ってたっけなー…。 「目隠ししてるからわかんないよ!」 お、言い返した。なかなか根性あるな!だがそろそろ止めないと収拾がつかなくなりそうだ。俺はこの班を一緒に監督していた同僚教師と生徒たちを止めるよう 目配せしあった。 「あーお前ら。喧嘩するなら中止だぞ?」 目隠しを取って怒っている生徒とはやし立てている生徒の間に入って、ちょっと低い声で言ってやった。いっせいに生徒たちが黙る。 …現金だな…まあ、俺もそうだったからな…。 「イルカ先生の言うとおりだ。ちゃんと指示できなかったのもあるんだからな。」 同僚も一緒に生徒たちに注意する。生徒たちは注意された内容がちゃんと理解できたようだ。はっとした顔をして、目配せしあっている。 「「「「「…ごめんなさい。」」」」」 よし!ちゃんと反省してそうだな!まあ一応後で反省と改善点を話し合わせるんだが、こうやって一応ヒントを投げるのも重要だ。 それにしても…今年の低学年は素直だな…。来年になったらしっかり悪知恵まわすようになるんだろうけど…。 「さ!次は誰だー?」 俺の言葉にまた瞳をキラキラさせ始めた生徒たちを見て、教師の醍醐味をかみ締めた。 ***** 「コレで全員か?」 「あーそうだな。」 同僚と一緒に確認するが、全員挑戦し終わったようだ。スイカ割り…結局全員失敗か…。再挑戦は認めると全員やりたがるので、割れなかった場合は この辺で教師たちが手本を見せることになっている。 「当たんなかったね…。」 「回るとさ、全然どっちかわかんなくなる…。」 「スイカ…食べたかったな…」 生徒たちが残念そうに感想を言い合っている。…うん。いいことだな!どこが悪かったか、これからどうしたらいいかを考えることが進歩につながるんだ! みんながんばれよ! …まあ一応ここらでヒントくらいは出しておかないとな…。 「あれはな、コツもいるけど訓練次第だぞ?ちゃんと忍の修行をすれば必ず当たるようになる!」 チャクラとか、周りの気配とか、大体ちょっと回っただけで真っ直ぐ歩けないようじゃ忍はやっていけない。今後の修行でどんどん身に着けていかないと いけないことを思い知る意味でも、この授業は有効なのだ。 「…ねぇ!じゃあさ!イルカ先生がやってみせてよ!!!」 「そうだよ!」 「ねぇねぇ!!!」 …かっこよく決めたつもりだったが、生徒たちにはいまいち理解できなかったようだ。…コレも毎年のことなんだが。 「あーしょうがねぇな…。」 さっそく苦笑した同僚に目隠しと棒を手渡された。自分で回る前に生徒たちが調子に乗って大分ぐるぐるやってくれた。…お前ら…絶対失敗させたいんだな…。 俺一応中忍なんだけどな…。 「頑張れ!イルカ先生!!!」 「あのさ!イルカ先生は先生なんだからさぁ!もっと回しても良かったんじゃないかなぁ?」 「でも…20回も回ったよ?」 好き勝手に回転させておきながら、結構生徒たちは適当なことを言っている、…ここらで中忍の意地を見せてやるか! 「よーし。始めてもイイか?」 余裕綽々で始めの合図を待つ。…もちろんこの程度のこと、下忍だって楽勝だ。…ナルトはちょっとわからんが…。 「「「「「「いいよー!!!」」」」」 生徒たちが一斉に叫んだがそのとき…不穏な気配が背後に走った。 「…ッ!そこだ!!!」 思いっきり怪しい気配に向かって棒を投げつけた。…俺の予想通りなら効果は期待できないが…。 「先生!そっち茂みだよ?!」 「なに?どうしたの?」 「当たってないじゃん!!!」 生徒たちが口々に騒ぐ中、予想通り…ヤツが現れた。 「ああ、イルカ先生のにぎった棒…何か卑猥でいいですね…うふふ…。」 やっぱりか!!!…この合宿のことはこの変態には全く伝えていないし、ヤツにも任務が入っていたし、ハウスと指示しておいたのに…くそっ! 「あ、プールの妖怪だ!」 「ほんとだー!!!」 「水の上歩いてたよね!」 生徒たちは珍獣降臨に大喜びだが、そいつはただの変態だ!!!でも…妖怪は正解かもな…。 「…おい犬。誰がついてきてイイと言った…?」 いつもどおり低い声で脅してやったが…意味無いんだろうな…。 「えーイル…ご主人様の安全のためですよー!!!だってこんなに男ばっかりの中なんて危険です!!!」 「同僚と生徒だろうが!!!」 相変わらず意味の分からんことばかりぬかしやがって!!!大体せめて女性の方を…っていっても生徒だけだが…。とにかく腹が立ったので、 早速変態めがけて手裏剣を投げつけてやった。 「すっげー!!!イルカ先生目隠ししてんのに手裏剣…!!!」 「白髪の妖怪も凄いね!!!全然当たらないよ!!!」 「でも何で全部しまってんのかなぁ…?」 こっちは相当必死だが、生徒たちの反応は楽しそうだ…。そうか、やっぱりヤツは手裏剣も収集してんのか…。 「…もういい!棒。返せ!!!」 変態に改めて脱力した俺は、さっさと棒を取り返してスイカ割りを続行することにした。 …もうコイツの相手はうんざりなんだ…! 「えー?どっちの棒ですか?」 ヤツは下らないシモネタで反抗してきたが、こちらには切り札がある! 「犬!命令だ!聞けないのか!!!」 この一言はまだまだ有効だ!!!…この変態が飽きるまでは…。 「はぁーい…。」 ヤツは一応は塩らしくして、そっと棒を返してきた。いつも通り無駄に俺の手を撫でさすることは忘れなかったが…。 「イルカ先生!すっげー!!!妖怪飼ってるんだ!!!すっげー!!!!」 「イルカ先生カッコイイ!!!言うこと聞いてるよ!」 「でも妖怪は欲しくないかも…。」 「イルカ…早く正気に戻ってくれ…。」 外野はもうめちゃくちゃだが、とにかく手本が優先だ!!! 「てい!!!」 俺は棒をしっかり構えると、スイカめがけて渾身の力で振り下ろした。 「あ、スイカ割れた!!!」 「でも…粉々…。」 「…!妖怪が!!!」 スイカは割れた、だが割れたスイカに変態が!!! 俺は慌てて目隠しをはずし、変態をひっ捕まえた。 「オイ!コレは俺の生徒たちの分だぞ!!!何してやがる!!!」 襟首を掴んで揺さぶったが、口の中にはすでに相当量のスイカが入ってしまったようだ…。 急いでスイカを確認したが、無残にも半分以上食われている…。 口布したまんまでどうやって食ってんだよ!!!こんなに早く!!! 「イルカ先生が割ったスイカ…もったいないです!!!ちゃんと代わりの持ってきましたから!!!」 変態は勝手なことを言うと何故か懐からさっとスイカを取り出した。 「…くっ!って!今どっから出した?!」 確かに生徒のためには…って!!!何でだ!ベストの中にそんな隙間はないだろ?! 「…イルカ…。ぬるくなって粉々なスイカよりいいからさ、な?」 …同僚が全てを諦めたような表情でそういうので、仕方なくスイカを受け取った。 「ちっ…!あーお前たち。ちょっと俺はこれから用事があるから、他の先生たちとスイカ食っててくれ!」 生徒たちへの指示は忘れない。…すまんみんな…!この変態に躾しないといけなくなっちまったんだよ…。 「「「「「はーい!!!」」」」」 「さ、早く行こうな!」 面白い見世物(おそらく俺込み…)に満足したらしい生徒たちは、スイカを求めていい返事を返したし、同僚が天幕まで連れて行ってくれるはずだから 当座は問題ない。 問題は…この変態だ!!! 「オイ…」 生徒たちを見送って振り返ると、変態が嬉しそうに足元に犬座りして待っていた。 「ごちそうさまでした!!!」 満足そうだが…スイカのかけらも見当たらない…。なんなんだ?! 「皮も食ったのか?!…まあいい。帰れ…。」 変態に驚くのももう疲れた。とにかく邪魔者はさっさと片付けたい。俺は面倒ごとをさっさと片付けるために命令した。 「えー?もう先生の天幕に俺のお休みセットも用意しちゃったので無理です!!!」 「なんだと?!」 同僚と同じところで寝るはずだったのに!!!一体なにしやがったんだ!!! 「ちゃんと!見守りますから安心してください!!!」 「出・来・る・かー!!!」 俺の両手を握り締めて瞳をキラキラさせているが、騙されないぞ!その輝きは危険な欲望満載に違いない!!! 「あと!アカデミーの責任者だったかな?ここの偉い人にもちゃんと許可取りましたから!!!」 「…脅したのか…くそっ!いいか!絶対に!…妙なまねするなよ…?」 主任…何されたんだろう…。無事なんだろうな…?こうなったら俺が頑張るしか…!!! 「俺はいつだってイルカ先生のためだけに生きてますから!大丈夫です!!!」 「…頼んでねぇし…全然役にたたねぇし…」 嬉しそうに尻にへばりつく変態の耳を掴んで引きずりながら、俺は自分の天幕の惨状を確かめるべく、急いだ。 ***** 「なんだ?…これは…!!!」 ベッド?!ベッドなのか?!ソレになんだこの妙に高そうなチェスト?!カーペットとかどこから持ってきやがった!!! 「ほら、初めて外でお泊りですから!万全の体制で!!!それに…」 変態がブツブツ言ってるのをスルーしてベッドサイドのチェストの中身を確認し、怪しい小瓶やらなにやらを即回収した。ついでに香炉などの薬物を撒き散らす 可能性のあるものの有無もすばやくチェックし、天幕に貼られていた怪しい札も引っぺがした。 まとめて全部外に持ち出し、すぐに火遁で焼却処分だ!勿論風下から十分に距離をとることも忘れない。…煙に危険な成分が含まれていないとは 言い切れんからな…。 「…後は…ベッドの下とかカーペット裏も怪しいな…天幕の下も確認しないと…」 俺が手早く危険物処理をした後、確認事項を考えていると、変態が燃やしたはずの品々を抱えて足元でニコニコ笑っていた。 「もー!イルカ先生ったら!!!照れてるんですね!!!」 もじもじと犬座りのまま器用に身をよじる変態に対して、猛烈に腹が立ったので、足元で踏まれるのを待っているのを完全無視し、同僚を探す方に 思考を切り替えた。 最悪の場合…今晩は結界張って、生徒たちと一緒に野宿か…? 同僚だと強制排除されるが、いくら変態といえども木の葉の上忍。未来ある生徒たちに妙な真似はしないだろう。……しないと思いたい…! まあ、結界も気休めにしかならんのだが…。いや!でも…生徒たちが術でも使われて眠らされたら…結局は… 「せんせー!!!さっきの妖怪は?」 「妖怪がペットなんてすごーい!!!」 「もう一回みたいよ!!!いつから飼いはじめたの?」 ぼんやりしすぎて生徒たちのところへ来てしまったようだ。期待に満ちたその表情が今は辛い…。 …妖怪は大正解だ…。だがアレはペットでもなければ、別にアレを飼ってもいない!!! 「…あのな…」 どう言おうか思案していると、生徒たちがわっと騒ぎ出した。 「あ!すごーい!!!」 「いつ来たの?」 「ねえねえ!なんて名前の妖怪なの?」 「?!」 背後に…生暖かい感触が…!!!首筋にも何かが…!!!!! 「汗かいてて美味しいですね!ああそれと、妖怪じゃなーいよ。俺はイルカ先生の犬!っていうか、ま。永遠の伴侶かな!!!」 「誰がだ!!!この駄犬が!!!」 「い・る・か・せ・ん・せ!今日は一段とテレやさんですね!!!」 「せんせー!だけんってなに?」 「はんりょって?」 先生好奇心旺盛なのは嬉しいけど…今その知識はいらないぞ!!!それに正しいことが一つも含まれとらん!!! 「あのな…この人は…その、ちょっとアレだから、俺が預かって教育中なんだよ!なんせ俺は教師だからな!!!」 ウソは…ウソは言ってないぞ!!! …教育に悪いことを伏せてるだけだ…!!! 「そう…貴方好みに染まります…!!!」 何だその桃色風味な発言は?!気色悪ぃコト言いやがって!!!大体いつもいつも尻を撫で回すな!!! 「な、なあ、他の先生たち見なかったか?」 変態を引っぺがし、生徒たちに確認を取る。 「えっとね?じょーにーめーれい?とか言ってた。」 「あと、今日はみんな早く寝なさいって。天幕からでたら…えと、きけんだって。」 「でね、何かみんなで話してたよ?」 生徒たちは口々に断片的な情報をもたらしてくれたが、大体の事情は分かった。…この変態は相当な被害をもたらしたようだ。まず合流しなくては! 「どこで!!!」 「こっちの先の…川の側だったかな?」 「えー違うよ!あっちだよ!」 「ああ、分かった。ありがとな!!!」 俺は無言で再度俺のケツに張り付いていた変態を排除し、さっさと川辺へ急いだ。 「ハウス!いいか!お前はここで生徒たちを守ってろ!!!」 と怒鳴ることを忘れずに…。 ***** 「オイ!どうなってんだよ!!!」 川辺にたどり着くと、一緒にこの合宿に来ている暗い空気をまとった同僚たちが、車座になってブツブツやっていた。えーっと1、2、3、4、 …全員いるな。俺を入れて全部で5人のはずだから、今のところ変態によって閉じ込められたりと言って被害は無いようだ。 「…おい…?」 とりあえずは、中の一人に話しかけようと肩に手をかけると、そいつはすごい勢いで飛び上がって悲鳴をあげた。…怪談中だった…とか? そんなわけ無いよな…。 「頼む!触らないでくれ!俺はまだ死にたくない!」 良く見れば同じ天幕を使う予定だった同僚だ。先に帰ったときに…あの変態と鉢合わせでもしたのか…!…真っ青だし怯えてし震えてるし… 一体何があったんだ…?! 「…イルカ先生。真に遺憾ですが。…今回は…そのはたけ上忍が…」 不安と怒りで震える俺に、同じくらい顔色の悪い主任が俺に話しかけてきた。怒ると怖いけど…いつもは朗らかで歯切れのいい話し方をするいい人なのに…。 今回だって生徒たちのために忙しい合間を縫ってついてきてくれたんだ!!!ソレをあの変態は…!!! 「…野宿します!ええしますとも!結界張って!」 これ以上みんなに迷惑はかけられない…。だが!!! 変態と一緒に妙にゴージャスな天幕で寝て、大事な何かを失うつもりは毛の先ほども無い!!! 「…頑張ってください…力及ばず…うぅ…。」 主任が!あの教育の鬼の異名を取る主任が泣いている…!!!ほんとに一体何しやがったんだ!!!あの変態は?! 「主任!顔を…顔を上げてください!俺は最後まで諦めません!新人だった俺に、諦めないこと教えてくださったのは…主任じゃないですか!!!」 「イルカ先生!!!」 「イルカー!!!」 「俺たち…!」 「ごめんなぁ…!!!」 しばし抱きついてきたみんなと、感動に浸ったが…問題は全く解決していない。 とにかく…どうやってヤツを退けるか考えなければ…! …即席の職員会議が始まった。生徒たちが心配だが、一応生徒たちの天幕においてきたアレも木の葉の上忍だし、忍犬の気配もあったから大丈夫だと思いたい…。 元々遠くや危険な場所へは行けないように、幻術結界は張ってあるし…。それにアレは一応俺の大事にしてるものは分かっているはずだ。 万が一襲撃などがあっても何とかなるはず…! 「みんな…結界札とか、貸してくれないか…?」 俺も一応持ってきているが、身につけている分は簡易的なものなので、変態には効果が期待できない。天幕のものは変態に回収されてしまっただろうし…。 そう思って全員に聞いたが、返ってきた言葉は否定的だった。 「いいけど。…多分無理だろ…?」 「それよりトラップ張って…」 「あとは…イルカ!そうだお前下着とかで釣ったらどうだ?!」 切羽詰った表情で、同僚たちがいろんな策をだしてくれたが…下着は無理だろう…。 「…あいにくおそらくすでにヤツの手に渡った。…それにそんなに持ってねぇ…。」 今履いてるのも…考えたくないがおそらくヤツの手によって入れ替えられたものだろうし…。 「そうか…」 「むしろ水浴びとかでアレを誘引して、そこに結界とか!」 みんな!すまない…でもそんなことしたら間違いなく勘違いしたヤツによって俺の貞操は失われるだろうな…。 「いや、閉鎖空間にいるのはかえって危険でしょう。彼は常軌を逸している。」 主任…!一体どんな目にあったんですか…?!元戦忍の上忍にここまで言わせるなんて…! 「じゃあ!どうしたら?!」 「ずっと…寝ないで起きてるしかないんじゃないか…?」 「そうか!命令は一応聞くんだよな!!!」 「でも!アレは今回確実にヤル気だぞ!!!ありえんくらい怖かったんだからな!!!」 「いや!でもさ!多分寝込みは狙うけど、起きてたら手が出せなさそうじゃないか?」 「そうだよ!俺はイルカ先生の犬です!って公言してるし!!!」 「「な!イルカ!頑張って命令し続ければいいんだよ!!!」」」 同僚たち全員が一丸となって俺のために色々と考えてくれた結果…結論として俺は寝ないでヤツに命令し続けると言うということに落ち着いた。 …そうだよ!俺は…俺はヤツのご主人様なんだ!!!絶対に負けねぇぞ!!! 出来るだけ時間稼ぎが出来る命令をしてやれば…きっと何とかなるはずだ!!! 「みんな!ありがとな!!!…やってやるぜ!!!」 「イルカ…!」 「頑張ってくれよ…!!!」 「俺!俺お前の代わりにちゃんと生徒たちみてるからな!!!」 「イルカ先生。この札を…!一応並みの上忍クラスなら、しばらく動けなくなるはずです。…彼に効くかどうかわかりませんが…。」 主任が俺に特製の札をくれた。この道のエキスパートである主任の札さえ今は心細く感じるが…俺は負けん!!! …アカデミー教師連合の応援を受けながら、俺は戦場に向かった。…ヤツの潜んでいるであろう天幕に。 ***** 「オイコラ!犬!てめぇここで何しやがった!!!」 俺が気合を入れて腹の底から声を出したと言うのに、変態はしれっと答えた。 「ああ!みんな俺がイルカ先生と一緒にいるのを許可してくれましたよ!!!快く!!!」 「うそつくんじゃねぇ!!!」 ヘラヘラしている変態に向かって思いっきり蹴りを放ったが、やはり簡単にかわされた。 「イルカ先生…蹴るよりなでて欲しいですー!!!むしろ舐めるのもありです!!!」 「…そうかそうか…!そんなに…!!!」 ひどい目に合いたいのか!!!!…なら、思う存分味あわせてやる…!!! …俺はこんなこともあろうかと仕込んでおいた対変態用兵器を取り出した。 「お、おおおおお!!!す、すばらしい!!!!!最高ですよ!!!!!」 「コレ、欲しいだろ?…おい駄犬。…そこで這いつくばって、…そうだな。とりあえず靴の裏でも舐めてもらおうか?」 …変態くさいがコレも作戦の内だ!!!これ以外は…手が無いんだ!!!俺は…俺はめげてなんかいないぞ!!!視界がにじんでるなんて気のせいだ!!! 「コ、コレ…俺のコレクションにもない…!!!」 激しく興奮した変態は、いつもは真っ白な顔をピンク色に染め、俺の手の中の写真を食い入るように見つめながら手を戦慄かせている。 そうか…やっぱり俺の写真集めてやがったのか…。…コレは長期任務に出てた俺のとおちゃんの知り合いが、たまたま持ってきてくれた写真だから、 コイツも回収できなかったんだな…。 それにしても…子供用プールで遊んでるびしょぬれの俺(推定7歳)にここまで反応するとは…まさに変態…!!! 「しかも…靴の裏舐めていいんですか!!!」 しまった!変態には逆効果だったのか…!!! 「待て!気が変わった!…そうだな…。腹が減ったから、今すぐ俺の家から買い置きのカップラーメン持ってこい!」 作戦変更だ!…いくら上忍とはいえここから里までは2時間はかかるはずだ。往復なら相当な時間が稼げるはず! 「あ、カップラーメンですか!それなら…はい!!!」 …何で持ってきてるんだよ?! 「えーっと他にも、コレは…イルカ先生の好きなお饅頭に…こっちはイルカ先生の好きな羊羹に…あと!ちゃんとご飯も作れますよ!!!」 懐から出てくるは出てくるは…コイツの忍服は倉庫にでもつながってるのか?! …とりあえずはコイツにカップラーメン作らせて少しでも時間を…! 「はい、できました!」 あ、美味そうな匂い…って!!!早っ!何でこんなに早いんだよ…。 …薬物添加の可能性があるが…どうすべきなんだ!俺は?! 「食べてくれないんですか?」 …いいか!イルカ!コイツは子犬じゃない。悪魔だ!間違えるな!!! …でも食い物には罪は無いよな?!…いつもコイツは食い物に何か盛ったりはしないし…。 「よこせ。…念のため聞くが…余計なもの入れてねぇだろうな…?俺は!純粋なカップラーメンが食いたいんだ!!!」 「愛情以外はお湯しか入れてません!だいじょぶです!!!」 なんだかやけに必死だな…。写真効果か…! どっちにしろ…ここまできたら食うしかない!!! 俺はやけになってカップラーメンを完食した。…こういう時ってやけに美味く感じるのはなんでなんだろうな…。 コレが…俺の最後の晩餐かもしれんと思うと…。明日からの俺は何か恐ろしい道に踏み込んでいるかもしれないんだ!美味くなくてどうする!!! 俺が開き直ってカップラーメンに舌鼓を打っている間中、変態は俺の方をキラキラした瞳で見つめてきたが、完全にスルーした。 「ふう。ごちそうさま。」 食い終わるや否や変態が俺に詰め寄ってきた。 「ね、せんせ!ご褒美!ソレ欲しいです!!!凄く!とっても!絶対!!!!!!」 食い終わったらもう諦めるしかないかと思ったが…これならまだ勝機はあるな!!! 「誰がコレだけでいいって言ったんだ?犬。」 踏まれて喜ぶ変態は気色悪いが、ガス抜き代わりにちょっと踏んでやった。 「じゃ、じゃあ!次!次何すればいいですか?!」 …ほんとに必死だな…いつもなら喜んでるはずなのに…今度こそ時間のかかるもんにしなくては!…そうだ! 「…久しぶりに里から離れたからな。ナルトが心配だ。…今すぐナルトの様子を見て来い。」 これならどうやっても里へ行かないと無理なはず!!! 「忍犬くんつけてますから大丈夫ですよ!!!」 ああああああ!!!しまった!コイツ忍犬使いだった!!!いや、まだいける! 「い、犬…だれが他のヤツにやらせていいって言った?…お前が行け!」 コレで…頼む!!!引っかかってくれ!!! 「ああん!イルカ先生ッたら!俺のこと…そこまで信頼してくれてるんですね!!!分かりました!!!今すぐ!!!」 そういうと視界から変態が消えた。 「…助かった…!助かったんだよな…!!!」 やった!コレでとりあえずはだいじょう… 「はい!イルカ先生!証拠の写真です!!!!!」 あ、ナルトだ!良く寝てるなぁ!可愛い…。よしよし!ちゃんと布団かけてるな! って…そうか…。…もう驚くのも疲れたよ…。 「一応聞くが…どうやって…?」 「時空間忍術ですよ?ほら、ナルトは色々あるから、直接飛べるようにしてあります。あ!勿論イルカ先生の寝室にもいつでもはせ参じられるように しっかりしかけが…」 「貴様!勝手になにしてやがる!!!今すぐ解除して来い!!!!」 なんてコトしてやがるんだこの変態は!!!…毎回毎回いつの間にか湧いて出てたのはそれ使ってたのか?! 「ええー!でもイルカ先生のお尻にもしものことがあったら…!」 「そんな可能性はない。絶対に無い。かけらも無い。…お前以外に俺のケツ狙うような変態は居らんと何度言ったら…!!!」 「…はーい。はずしてきまーす…寝室のは…ね…。」 また消えたが、寝室のはってことは…他にもあるんだな…。 ああでも…ちょっとまて。俺もしかして上手いことやったか?!複雑な術式ほどはずすのに時間がかかるはずだ!!! よくやった!俺!!!変態の出現率が下がるかもしれないし、一石二鳥だったかも!!! …さて、喜ぶのはこの辺にしといて、今のうちにこの天幕に仕掛けられた怪しいものを排除しよう! さっそく俺がベッド脇のチェストに手をかけた瞬間… 「イルカ先生!大丈夫ですか!!!」 そうか…すぐ解けるのか…そうかそうか…わかったから俺の上からどけ! 「おい!」 「イルカせんせ…ねぇ…そこの中身に用があるってことは…いいんでしょ…?」 待て待て待て!!!中身に用はあるが無い!!!廃棄したいだけだ!!!その妙にかすれた声は何のつもりだ!!! 「…写真は…いらないんだな…?」 俺が勝手に俺の服を剥ぎ取ろうとしている変態にそういうと、ぴたりと動きが止まった。 「欲しい…!欲しいです!!!でも…イルカ先生も欲しい…!!!」 ヤツは俺の上で端正な顔をゆがめて苦しそうに言っている。…相当切羽詰ってそうだな…だが今この切り札を手放せばヤツの思う壺だ!!! 「とにかくどけろ。…話はそれからだ。」 そう、まずコイツをどかしてから考えよう。 「はい!!!」 ベッドからすばやく降りた変態は、また俺の足元で犬座りして待てのポーズだ。 …札を貼ってみるか?…いや…効果が期待できんな…なにせ俺の結界も新薬もきかないからな…。 「イルカ先生…いいにおい…足舐めたらいいんですか…?」 とろんとした目で俺を見上げる変態はあからさまにヤル気まんまんだ…!どうする?どうすればいい?! そうだ! 「待て!…いいか?今晩ここに一人で留守番できたら、コレをくれてやらんでもない。だが…一歩でも外に出てみろ…コレは焼き捨てる!!!」 「ええー!!!」 「…わかったか?俺はちょっと用があるが、絶対についてくるなよ!」 「はーい…。」 勝った!!!コレで大丈夫だ!!! 俺は急いで同僚たちの下へ向かった。 ***** 「良かったなぁイルカ!!!」 「無事なんだよな…?俺たちと別れてから変わってないよな?新たな茨道を歩み始めたりは…?」 「大丈夫なんだよな?」 変態の出現により、狭い天幕に4人寝ることになってしまったが、…やっぱり落ち着くな!!! 「だから!今日はもう大丈夫だって。でも…すまんがここで寝かせてくれ…。アレは写真があるから絶対に出てこないはずだし、 正直アレの相手で疲れてるんだ…。」 「もちろんいいって!ゆっくり寝ろよ!な?」 「生徒たちは一応巡回終わったし、大丈夫だから!!!」 「主任も…責任感じてたみたいで一応見張りに立ってるし!!!」 「悪い…ありがとな…。」 主任にまで迷惑をかけてしまった…。 だがこれで…とりあえず朝まで大丈夫なはず…! 「ワン!」 おお!犬だ。何でこんなトコに? …ん?どっかで見たことが…!変態の忍犬か!!! 「…忍犬?何か里であったのかな?」 「でも伝令じゃなさそうだよな?」 「かわいいなー!」 不思議そうに同僚たちが言っている。そりゃそうだ。伝令っていうより監視だ!きっと…! 「これ…アレの…」 俺が震える声でそういうと一斉に悲鳴が上がった。 「ひぃ!俺はなにもしてない!なにもしてないぞ!!!」 「イルカに触ったりしないし!イルカと視線合わせたりしないし!」 「むしろ近づかないぞ!!!」 …それじゃいじめだろ…。 「オイ!お前の主人に伝えろ!俺の邪魔をすればコレを燃やす!!!」 俺が強い口調で言うと、忍犬が尻尾を腹に巻き込んで悲しそうな目で見上げてきた。…そんな目で見ても…ほだされたりせんぞ!!! 「なあイルカ…コイツ…かわいそうじゃねぇ?」 「別にさ、いるくらいだったらいいだろ?」 「かわいいしさ。」 うぅ…俺だって犬好きなんだよ…!でもこいつはアレの… 「俺たちになんかしたらイルカに頼むからさ!」 「朝まで置いといてやろうぜ…?」 「見てるだけっぽいしさ!」 「ちっ!…いいか!俺の同僚たちに傷一つでもつけてみろ!写真は焼き捨てるからな!!!」 犬は俺の言葉を理解したらしく、嬉しそうに尻尾を振っている。 …犬は無害だ。…いいんだ。これで…。 「眠いから寝る。…犬。お前はそこからこっちには入るなよ…」 俺はとにかく疲れていたので、それ以上意識を保つことが出来なかった。 ***** 「イルカせんせー!!!お留守番ちゃんと出来ましたよ!!!だからご褒美!!!」 目が覚めると同時に俺の上で犬座りしている変態と目があった。重いと思ったらコレか…。 …そうか…今晩の解釈は0時までだったか…。…駄犬め!!! 「降りろ。…それに俺に勝手に忍犬つけるとはどういう了見だ…?!」 「だって!イルカ先生が他の男と…しかも2人も同時に…!!!」 変態…そう…コレは変態なんだよな…。もう腹を立てても無駄なんだ…。 「そうか…貴様の脳は腐ってることが良く分かった。だが約束違反だな。」 「だってだって!…イルカ先生に何かあったら俺…しんじゃう…!!!」 そうかそうか…って!しんじゃう?なんだそれは?大体… 「何も無いに決まってるだろうが!」 「だってー…魅力的なイルカ先生のお尻が目の前にあったら俺ならきっと…我慢できません!」 変態が涙目になりながら熱く語っている。正直鬱陶しい。しかも…あつかましく俺を抱きしめてきた。…太ももの辺りにあたってるものの正体は精神衛生に よくないので、考えないことにする。 「…いいか。今すぐ降りろ。…この夏季合宿で俺の命令を全て守って、俺の邪魔をせず、同僚にも手を出さず、…俺が指示を出すまでは。あの天幕から絶対に 出ないと約束するなら…コレをやる。守れるか?」 もう…いい。つかれた…。…この条件で今回は切り抜けよう…。 「ああ…放置プレイですね…!!!我慢した先にある感動と官能にみちた時間…!!!」 さっと降りた駄犬が、うっとりとわけの分からないことを言っている…何かもうどうでもよくなってきたな…。 「イルカ…ソレ?!」 「今なんとかする。…おい犬。…ハウスだ。絶対に出てくるなよ?」 「はーい!!!」 相変わらずいい返事をすると、変態はまたかき消すようにしていなくなった。 …妙に素直だな。まあいい…もう今日はアレについては考えないことにしよう…。 「な、なんなんだよ?!」 「大丈夫だ…夏季合宿中はな…。」 「イルカ…」 「大丈夫だ!!!俺は…ぜってーまけねぇ!!!」 俺が変態への戦いに負けないことを誓っていると、同僚たちも応援してくれた。 「頑張れイルカ!大丈夫だ!お前なら変態にだってなれる!!!」 「応援するぞ!でも手助けは期待するな!」 「犬にはビーフジャーキーだぞ!」 寝ぼけてるせいか全員ちょっとピントがずれてたが…。 ***** その後、俺はあの変態に餌だけ忍犬を使って与え、それ以外は放置した。 …撤収作業が終わるまで…。 「撤収ほとんど終わったぞ!」 「あとは…アレ…だけだな…。」 そうだ…変態が潜む天幕…。あの写真への異常な執着具合から言って、そのまま燃やしても今回ばかりは出てこない気がする…。流石にソレは…。 俺はおそるおそる妙にゴージャスに変えられた天幕の入り口に向かって、大声で怒鳴った。 「おい!犬!いいか!今なら出てきていいが…うちに帰るまでが合宿だ!絶対に命令を守れよ!!!」 「はーい!!!ああ…久しぶりのイルカ先生…より一層芳しいです!!!」 速攻湧いて出た変態に、早速厳命した。 「アカデミー生の前に姿を現すな。俺に触るな。同僚にも触るな。もっというと話すな。最低1里は離れて移動しろ。」 「変わったプレイですね!!!」 何でもいい。邪魔さえしなければな。 「変わってようが特殊だろうがなんだろうがかまわん。…破ればどうなるか…」 「あ!あ!待ってください!燃やさないでー!!!」 あ、消えた。ふう…一応離れたようだな。…最初からこういっとけば良かったのか?でもなぁ… 「イルカ。お前凄いな。」 「ちょっと尊敬するよ。」 「ほんとほんと!」 「イルカ先生。…頑張ってくださいね…!!!」 一様に感心のまなざしを向けられながら、俺は変態の天幕の後始末をした。 家具はどうしようもないが、他の里の備品は回収して、変態グッズは焼却処分した。 …出てくる仕掛けの量にぞっとしたので、自宅もしっかり調査することにし、さっさと生徒たちを連れて帰ることした。 ***** 変態は約束を守り、なんとか里まで無事帰還することが出来た。…コレからが勝負だ!!! 同僚たちから心配されながらも俺は自宅に戻った。玄関に荷物を下ろし、ため息をつく。 「流石に…疲れたな…。」 「お疲れですね!」 …来たか…予想通りだな…。 「犬。コレが欲しいんだな?」 「はい!」 奪い取ったりしない所は評価してやろう。…まだ写真はあるしな…。 「くれてやるからもう帰れ。」 ぽいっと写真を放ってやると、まさに犬のようにひらりと舞い、写真は一瞬にしてヤツの懐に消えた。 「ああ…イルカ先生…なんてかわいらしい…!!!」 変態も極まると懐にも目ができるんだろうか…。腹をなでながら異常に嬉しそうにしている。…とにかく!今日はもうコイツの相手をしたくない。 「ソレ、やったんだからさっさと帰れ…。」 「うふふふふふ…!」 俺の言葉など聞こえていないかのように変態が気色悪い笑い声を上げている。 「おい!帰れよ!!!」 変態の不気味な笑いに耐え切れず、俺が排除に動こうとしたとき、ヤツが豹変した。 「早速お礼をしなくっちゃ!!!ご奉仕しますね!!!」 しまった!興奮しきってやがる!!! 「どけ!いらん!」 「もー照れちゃって!…大丈夫ですよーここには邪魔者はいませんから!!!」 気がつけば壁際に追い詰められて、変態にのしかかられていた。ベストはどこかに放られてしまったし、ズボンのチャックにも変態の魔の手が伸びている…! ヤバイ!ヤバすぎる!!!そうだ…時間稼ぎに!!! 「コレでも食らえ!」 「あ…」 早く!早く逃げないと! 「うぅ…」 いくら主任の札を使っても…コイツのは演技か変態的な喜びに浸ってるだけだから危険だ!!! 何か…何かないか?!コイツを止められるもの…?!夏季合宿用に用意してきたものはコイツに全部回収されちまったし…! 俺はズボンを着直しながら必死で変態を押しのけようとした。 「くそっ!…って?アレ?」 軽く押しただけなのに…気がつくと変態は頭から後ろに倒れ、動かなくなっていた。 札が効いてるのか?とにかくヤツの腕を引っつかんで絡んでいた足を、引き摺り下ろした。 それでも微動だにしない。というか腕を持ち上げても力が全然入ってないようだ。 そっとヤツに触れてみるとチャクラがほとんど感じられない。 「チャクラ切れ…?」 そうか!術一杯使わせたから!!!札を解こうとしたのがとどめになったんだな! よし!コレならしばらく身の安全は確保されたぞ!!! 「ぅうー…イルカ先生…動けません…しゃ、写真…み・せ・て…」 呻く変態を担ぎ、台所にひいた一応ヤツ専用になっている布団に押し込んだ。ついでに写真も回収した。 「犬。俺はもう休む。勝手な真似した罰として、この写真は預かっておく。…そこから出たら…」 「はい!寝てます!動けません!」 「よし。」 俺は…ついに勝ったんだ!!! 俺は変態を置いてやっと帰り着いた寝室に入り、いつもの様に気休めの鍵(チャクラに反応するものなど含め5つ)と結界(三代目直伝)と 魔よけのお守り(木の葉神社で貰ってきた)を下げた。 ふぅ…やっと休めるな…。もう疲れた…。…アイツがへたれている内に次の策を講じなければ…! 俺は明日からの対策に憂鬱になりながらも、やっと帰ってきた我が家で眠りについたのだった。 ********************************************************************************* 天使が舞い降りたので…!!! 祭一発目で変態さん…。微妙だな…。 相変わらずですので…無理に読んだ方は、早急に記憶から消去することをお勧めします。 余力があればまだ書きたいですが…予定が…(TT)…!でも気分だけでもお祭で…!!! |