家もわかった。風呂にも入った。下着はもちろん新品だ。 技術面での不安はあるが、そこは気合いで何とかしてみせる!とにかく…。 「夜ばい決行だ!」 ***** …最初に知り合ったときから、気になる人だった。 なにせナルトを引き受けてくれた人だ。経歴も、今まで一人も下忍をとっていないっていうこともあって、心配で心配で…。 どうしても我慢できなくてさりげなく様子を伺ってみたら、ナルトたちの面倒も良く見てくれているし、ナルトたちも懐いてるし、 最初は胡散臭いと思っていたけど、笑顔が優しって事に気付いて…。 それで、つい目で追うようになった。 しかも、気になる意味が違ってきてから気付いたけど、何だかとてもカカシさんに会うことが多かった。アカデミーにいても、 受付にいても、買い物に行っても…ちょっとした偶然にしては頻繁すぎるほどに。 しかも、その時のカカシさんがまたカッコイイのだ。食堂でトレーをとろうとしたら、さりげなく俺の分も取ってくれたり、 疲れたなぁって思ったときにそっと甘いもの差し入れてくれたり…他国に名をとどろかすほどの忍なのに、こういう細かい気配りまで できるなんて感動するに決まってる! まあ…そんなこんなで、気が付いたら、カカシさんに惚れていた。 自分でもこんなに好きなるなんて思っていなかったけど、コレはもう運命だ! そう確信したものの、カカシさんは男。見せてもらった素顔はものすごーくキレイだったけど、でも男。 それでも…俺はどうしてもカカシさんがいい。 問題はカカシさんだ。…カカシさんは俺のことをどう思っているんだろう?上忍だしモテるし、俺は男だし、中忍だし。 …どうやったら好きになってもらえるんだろうか? 悩み苦しんだ俺は、対策を模索した。モテる芸能人なんかの情報をチェックし、俺でも何とかできる方法を探そうと思ったのだ。 しばらく観察した結果…今のままじゃ駄目だと結論した。 モテる人間はそもそも生活事態が俺と違う。部屋とか小物とかそういう身の回りのことから、さりげない誘い文句まで、どこもかしこも 俺にはない要素ばかりだった。 誘い文句は…今のところハードルが高すぎる。カカシさんの前で、今夜空いてる?なんて聞けるわけないし…。 とにかくファッションから変えてみようと、こそこそ本屋でファッション雑誌を立ち読みしていたときのことだった。 「へー!イルカ先生もこういう本読むんですね!」 「彼女、出来たんですかー?教えてくださいよー!」 サクラと、イノだ! こんな所を見られてしまうなんて…! 「あ、あの、そのだな。えーっと…!」 ココで誤魔化すのは難しい。なにせ相手は幼いといえどクノイチ…というかその前に女性だ。 女の人のこういうことに関する嗅覚は想像以上だってこと位知っている。 なら…コレは、逆にチャンスなんじゃないだろうか。 「イルカ先生?」 「どうしたんですか?」 「あ、あのな!俺…!」 ***** あれから、恥を忍んで好きな人ができたと白状し、サクラやイノに縋って男を磨いた。 丁度恋愛に一番興味がある年齢なだけに、我がことの様に熱心になってくれたサクラとイノのお陰で、俺の生活は一変した。 まず、部屋着兼私服を、伸びきったスウェットからGパンとかファッション誌に載ってそうな服に変えた。…俺には良く分からなかったけど、 一緒に買い物に付き合ってくれたサクラとイノはかなり雰囲気が変わったっていってくれた。 高い買い物だったけど、確かに気分も明るくなった気がする。 今までのだらしの無い自分から、一皮向けたんじゃないかと思えるようになった。 それに部屋の模様替え。たんすなんかは気に入ってたから捨てたくなくて相談したら、今は古い家具がはやっているらしく、 そのままにして、代わりに照明を裸電球から和紙で出来たのに代えた。かけっぱなしのちょっと黄ばんだカーテンとか、 古くて擦り切れたベッドカバーとかもちょっとずつ買い替えて、我ながらちょっとお洒落になった気がする。 勿論の忍として、鍛錬も欠かさなかった。 身体を鍛えるっていうのも、仕事の内だし、何より忍として頂点にあるカカシさんにたるんでるって思われたくなかった。 まだあの人には遠く及ばないけど、最近内勤だからってちょっと鈍っていたのが、今回のことで鍛えられた。 ただ…メンズエステとかで毛をそるのは、流石に抵抗があってやっていないけど、サクラとイノもソコまでやら無くて 大丈夫だと思うって言ってくれたから、いいよな? 鍛錬するのもいいけど、清潔感が大事だっていうアドバイスにも従って、洗いっぱなしで適当に括ってた髪の毛も、 ちゃんと整えるようにした。 シャンプーとリンスもちょっとだけいいのを買ったし、櫛も前よりは入念に通すようになった。 それに、寝る前にいつも読んでいた忍術書に、恋愛本を付け加えるのも忘れなかった。 サクラたち曰く、こういうことは、本でも何でもいいから恋する気持ちってヤツを学ぶ必要があるんだそうだ。それに、ロマンチックな 環境とかも学んだ方がイイといわれて、二人の蔵書から、恋愛小説を借りて読破した。 …最近の子はすごいモノ読むんだなぁって言うものもあって、驚いたけど、確かにちょっと雰囲気の掴み方が分かった気がする! …実践できるかどうかは自信が持てないけど…。 その後もちょくちょく相談に乗ってもらい、そろそろ実戦に移す時期が着たんじゃないかっていうアドバイスどおりに、意を決して カカシさんを飲み屋に誘うことにした。 受付で誘った時は大分自然に誘えたと思うんだけど、二人っきりになると駄目だった。 緊張が高まりすぎて上手くしゃべれなかったのだ。 それでも、学んだ知識を活かして、さりげなくカカシさんにアタックした。 お店もいつもの居酒屋じゃなくて、雰囲気のある所を選んだし、何気なさを装ってそっと手に触れてみたりしたし、笑顔もいつも より気合を入れて頑張った! それなのに…結局、カカシさんはあんまり態度変わらないし、それならもっと頑張らないとって、緊張しすぎて酒を断り損ねて つぶれるは、その上いつも通り送ってもらっちゃうは…。 まあ、つまり散々な結果に終わったんだけどな…。 「あー…どうしよう…。」 誘う前にもカカシさんに会う度に、俺なりのアピールは欠かさなかった。 いつ町中で出会うか分からないから、身だしなみにも気を使ったし、話題が途切れないように普段は読まないような本とかも読んだ。 でも…最終的にいつも通りの展開になっちゃったから、ソレも意味が無かったのかもしれない。 さすがに落ち込みを隠し切れない。色々一緒に考えてくれたサクラたちにも申し訳ない。己の失態を後悔するあまり、 思わずため息が口を付いた。 「はぁ…」 どういうわけかそういう時に限って、タイミングよく二人がやってきてしまった。 「どうだったの?先生?」 「顔色悪いけど…飲みすぎ?」 口々に心配してくれる二人を見ていると、己の情けなさに涙がこぼれそうだ。 「ちょっとな…失敗しちゃったんだ…。」 …ここまでやってもカカシさんの態度は変わらなかった。 アピールが足りないのかもしれないと、できる限りカカシさんと会える様に予定だって調整したし、笑顔も一番かっこよく見える ように頑張ったのに…。 きっとカカシさんはそもそも男を恋愛対象に入れていないんだろう。 思い悩む俺を、サクラもイノもものすごく心配してくれた。 でも、やっぱり辛くて苦しくて…思わず弱音を吐いてしまったんだ。 「俺、やっぱり無理なのかもな。今までありがとう。もう…あきらめ時…」 「駄目よイルカ先生!」 「そうよ!男でしょ!」 俺の弱音を打ち破るように、サクラが大声で叱ってくれた。しかも、イノも一緒になって。 「そう、だよな。もうちょっと頑張ってればいつか…!」 折れそうだった気持ちがちょっと上向いた。生徒に叱られるってのも情けないけど、うれしかった。空元気も入っていたけど、 もうちょっと頑張ろうと思った俺に、サクラが思案な顔で話しかけてきた。 「…あのね、思うんだけど…今まで何度も誘って嫌がらずに着いてきてくれてるのよね?」 「え、ああ。そうだけど…。」 誘っても嫌そうな顔されたことないし、飲んでるときも優しいし、任務がギリギリだっていうのに一緒に飲んでくれちゃったこともあるし…。 でも、全く俺に対しての反応は変わらない。 …へこむな俺!へこんでる暇あったらもっと自分を磨かないと…!!! 改めて気合を入れた俺の肩を、何故かキラキラした瞳のサクラが掴んできた。そのまま激しく揺さぶられて、目が回る。 「それ!多分待ってるんだと思うんです!イルカ先生から行動してくれるの!」 「頼む…!ちょっと止め…ええ!?」 頭はまだふらついていたが、その言葉に思わず驚きの声を上げてしまった。 確かに…女性ならそういうこともあるかもしれないけど、カカシさんは男だし…。その辺のコトは、流石にサクラたちに話せるわけ ないから伏せておいたのが仇になった。 「きゃー!そうかも!だって、ココまで一生懸命だと、全然好みじゃないけどその気になるわよねー!!!」 …生徒の好みでありたかったわけじゃないけど、それなりにショックだな…。 盛り上がった二人はきゃあきゃあいいながら喜んでいる。 正直、恋愛話に盛り上がった女性には、ちょっと付いていけないものがある。 …でも、確かにそういう意味の行動が足りなかったのかもしれない。 好きですっていったこともないし、ましてやそういう意味で見てるってことも…。 「ね!イルカ先生!ここは…ちょっと強引に出てみたほうがイイと思うの!」 「そうよ!ほら!コレもあるし!」 「コレ…?」 手渡されたのは桃色の表紙の本だった。 表紙だけだと分かりにくかったので、ちらっと中を見てみると、性行為について詳細に…イラストつきで解説されていた。 つまりこれは…所謂その手の…!? 「お、お、お、お前ら!コレ読んだりは…!?」 狼狽しすぎて本を取り落としそうになったが、とにかくこんなものを持っているというところが問題だ!まだ…早すぎる! 「…読む訳無いですよ!これ男性向けだっていってたし!」 「一応は恋愛指南書なんだっていってましたけど…貸してくれた人がちょっとあれだから流石に…。」 声を上ずらせる俺に、二人は妙に冷めた視線で応えてくれた。 …それにしても、こんな本子どもに貸すなんてどこのどいつだ…!? 「あのな?こういうものは…」 思わず教師魂がうずいてしまい、二人に言聞かせようとしたが、さっさと口を挟まれてしまった。 「そういうの一杯持ってるから上げるって言ってたんです。どうせなら活用したらいいじゃないですか!」 「そうそう!今こそ男らしく!」 「そ、そうかな…そうだよな…!」 確かに経験値が皆無に近い俺に足りないのは、そういう方面のことだったのかもしれない! はやし立てられて舞い上がった俺は、二人に礼を言っていそいそと家に戻った。 懐に大事に本を抱えたまま…。 ***** 「アスマ先生お願いがあります!」 アスマ先生がびっくりした顔をしている。 …まあ、上忍待機所でいきなり土下座されたら誰でも驚くかもしれない。 「どうしたんだよ?イルカ?あー…何か、あったのか?生徒のことか?」 いつも面倒くせぇが口癖なのに、面倒見がイイアスマ先生は、心配そうな顔で俺を見ている。いきなりぶしつけなまねをしたのに、アスマ先生はいい人だなぁ…!今年の上忍師はいい人ばっかりだ! 「お、おい?どうしたんだ?」 感動のあまり、目的を見失いそうになったが、アスマ先生の声で我に返り、慌てて当初の計画を実行することにした。 「あの!…カ、カカカカシさんのっ!ご自宅をご存じないでしょうか!」 「あ、ああまあ知っちゃいるけどな。どうしたんだよ?」 怪訝そうな顔をされるのも無理はない。上忍の住居なんて機密もいい所だ。 カカシさん自身も俺を俺のうちに送ってくれたコトはあっても、一回も家に連れて行ってくれたコトがない。 でも…今だけは…! 「お願いします…!教えてください…!」 床に頭をこすり付けるように懇願する俺に、深い深いため息が投げかけられた。 「めんどくせぇなぁ…」 コレは…やっぱり駄目なんだろうか。…当然といえば当然だけど…。 でも…後はカカシさんの跡をつけるくらいしか思いつかないし、上忍のカカシさんに俺が見つからない保証もない。…どうしたらいいんだ…! 多分思いっきり俺の苦悩が表に出てたんだと思う。もう一度ため息をついたアスマ先生が諦めを込めて言った。 「教えてやる。何か事情があるみたいだしな。…でもな?自己責任だぞ?お前ちゃんと自覚してるか?」 「はっはい!俺…ありがとうございます!」 確かにカカシさんちにいきなり押しかけるわけだから、嫌われてしまうかもしれない。それにもしかすると侵入者として処理される可能性だってある。 でも…俺の気持ちはそんなことで変わらない! 心からの感謝を込めてアスマ先生にお礼を言った。 「もういいから。あー…がんばれよ。何だか知らないけどな。」 「はい!」 こんな時でも俺を励ましてくれるアスマ先生の手を握り締めて感謝した。ちょっと顔色悪かったけど、それでも俺のために教えてくれたのは 感謝してもし足りないくらいだ。 今度絶対お礼をしようと心に決めて、早速手渡されたメモを握り締めて自宅に急いだ。 ***** 「ココだ…!」 地図を確認すると間違いなくこのマンションだ。 ココに来るまで…本当に長かった。 渡された本を、鼻血を噴出しながら読破して、一生懸命勉強した。 すぐに鼻血がでてしまうから、ちょっと…いや、大分身についてるかどうかは自信がないけど、俺もアカデミー教師だ!資料に載っている術を読みながら実際に使ってみることだって出来るんだから、きっと何とかなるはずだ! 正直経験値は心もとない。というか、ほとんど無いといってもいいくらいだ。 でも…だからって他の人相手に練習するなんて、俺には出来ない。 ならばここは…実践あるのみ! 深呼吸をして何とか呼吸を落ち着かせた。 いよいよ突入だ! 「こんばんはー!」 俺が叫びに近い裏返った声で挨拶すると、すぐに玄関の扉が開いた。 「イルカ先生。こんばんは。」 扉を開けたのはやっぱりカカシさんだった。 アスマ先生…ありがとうございます! それにしてもいきなり押しかけたのに、いつも通り穏やかな笑顔で微笑みかけてくれるカカシさんはやっぱり俺には輝いて見える。 思わず見とれてしまってたら、カカシさんに手を引かれた。 「いらっしゃい。ここじゃなんだし。中へどうぞ?お酒もありますよー?」 「はははははっはぃぃ!」 我ながら思いっきり不審な行動をとっちゃたけど、コレはチャンス! 「はいどうぞ。」 「ありがとうございます!」 中に通されて、勧められるままに酒をぐっと煽った。 アルコールが回ってちょっとくらくらしたけど、そのせいでちょっとは腹が据わった。 「どう?おいし?」 相変わらず気配りの出来る人だ…!それに、何だか知らないけどこの部屋ベッドがあるし、カカシさんも額宛とか外しててアンダーだけだし…! この勢いならいける! 「好きです!カカシさん!」 気が付いたら、とっさにカカシさんに飛びついてベッドに押し倒していた。 俺の視線の先には、ちょっと驚いたような顔のカカシさんが俺を見上げている。 わー!わー!今…俺カカシさんを…! 感動と興奮で鼻血が出そうになるのを何とか堪え、毎日寝る前に何度も確認した手順を思い出そうとした。 確か…最初はききききききすから!そんでもって次が…!あと優しく!あとおびえさせないように…! 緊張でガチンガチンに体が強張る中で、必死に手順を反芻していると、カカシさんが笑った。びっくりしてる間に、俺の体がくるんと回って…。 「やっとその気になってくれたみたい?じゃ、早速…」 へ?あれ?なんで俺の上にカカシさんが? 戸惑う俺の口を何かがふさいだ。 「んんーっ!ふぇ…っ?」 視界一杯にカカシさんのキレイな顔が広がって…ああ睫も銀色だぁ…! 熱くて、気持ちイイ。 でも、コレもしかしてキスなんじゃないだろうか? ってことは…えーっと!? 「ああ…かわいいねぇ…。酔っ払ってる何度襲うと思ったか…。家までもって帰ろうと思ったの何度も我慢したんですよー?」 するりと頬をなで上げ、くすくす笑いながらカカシさんが囁く。 俺、かわいいのか!カカシさんに褒められるって、ちょっと嬉しい…じゃなくて! 「あ、あの!」 もしかして、カカシさんは俺のこと…! 言葉は上手くつむげなかったけど、知らず知らずのうちに期待の篭った視線を向けていたらしい。 視線に応える様に柔らかく瞳を細めたカカシさんが、いたずらっぽく笑った。 「好きですよ。据え膳我慢するくらいね?」 「ええええええ!!!」 ってことは…!俺!頑張った甲斐があったってことだよな! カカシさんと…恋人同士ってことだよな!!! 「イルカ先生からもちゅーして?」 「ははははっははい!」 これは…恋人からの初のおねだり…! カカシさんの気が変わらないうちにがんばらないと!確か…機能も本で読んだはずだ!し、舌とか…っ!あと優しく…! 震える手をカカシさんの肩にそっと乗せ、狙いを定める。 「お、お願いしますっ!」 …勢いあまってちょっと鼻をぶつけちゃったけど、無事的に当てることに成功した。 柔らかい唇に、俺と一緒に飲んだ酒の香りが残っていて、何だか感動だ! これで…晴れて…なんていうか、カップル成立!それにファーストキスも…! ありがとう!サクラ!ありがとう!イノ!アスマ先生! 感動をかみ締める俺の頭を、カカシさんがなでてくれた。 「がんばったんだねぇ?お返し…」 褒めてくれた!と喜ぶ間もなく、カカシさんからの顔が近づいてきて…。 「んあっえ?やっ…っ!?」 俺のやったのと違う。何だかにゅるにゅるして苦しくて、でも何だか腰の辺りが熱くなってきた。ぞくぞくする感覚が背中を這い上がり、力が抜ける。 くてっとしてしまった俺にカカシさんがまたキスをしてくれた。 「ね?きもちよくなろう?」 「ふぁ、ふぁい…っ!でも、俺も…!」 何だか舌が上手く回らないけど、俺だって一杯勉強したし…! 確かキスの次は、さささささっ触るんだったよな!?体を! ふにゃふにゃして何だか骨がなくなっちゃったみたいなのはどうしてなんだろう?嬉しすぎてキモチよすぎてどうしたらイイのわからない。 でも少しでもカカシさんにも気持ちよくなってもらいたくて、一生懸命手を伸ばしたけど、その手もカカシさんに捕まえられてしまった。 「それはまた今度ね?」 「あ…っ!」 指を這う赤いものに視線を奪われている間に、すっかり下衣を脱がされてしまった。 コレはひょっとしてひょっとしなくても、最後の最後までやっちゃうんだろうか!? いや、ちょっとは俺も期待してたけど!でも、さっきから俺何も出来てない…! 「全部貰う。大事にするね?」 不安と焦りは、カカシさんのその一言で吹き飛んだ。 「あ、あの!俺も!全部下さい…!」 「うん。もちろん。」 カカシさんの言葉も、嬉しそうな笑みも、俺の胸を直撃した。 嬉しくてニコッと笑ったら、俺の身体を撫でまわしていたカカシさんの動きが急に焦ったように早くなった。 「え…?」 「もう、我慢しない。」 ちょっと怖いくらい真剣な顔でそう言われた気がするけど、だんだん追い上げられてそれどころじゃなくなって…。 「あ、…なんで?…そこ…!?」 「うん。だいじょーぶ。」 …びっくるするような所に触られて、びっくりするような目にあったけど、幸せ一杯な時間を過ごすことになった。 ***** 「おはよ。イルカ先生。」 「う…?あ!お、おはようござ、います…。」 流石にカカシさんの顔を真っ直ぐに見れない。 というか、何だか俺の想定外の事態が起こったけど、カカシさんは気持ちよさそうにしてたから深く考えない方がいいんだろうか? 突っ込まれるとは欠片も想像してなかったけど、俺も、気持ちよかったし。 いや、ちょっとショックではあるんだけど。変な声一杯出しちゃったし…。気持ち悪くなかっただろうか?心配だ…。でもカカシさんも一杯 というか、さっきまでずーっと、その、つながってたわけだから…。 「俺もね。そろそろ我慢の限界だったから。イルカ先生にちょっと俺の気持ちも知って欲しくて本とか、サクラに頼んで 渡してもらったんだけど、頑張ってくれたんですね!」 怖い想像はカカシさんのその笑顔で全部吹き飛んだ。 「は!はい!」 そうか…!カカシさんも俺のために…!頑張った甲斐があったよな! 生徒たちに努力は報われるって教えてるけど、やっぱり努力って大事だよな! 「一杯準備してくれたんだもんねぇ?俺も、頑張っちゃいましたよ。」 そうか…だからか。朝までずーっとカカシさんが俺をはなしてくれなかったのはそのせいか。ちょっと…いや、すごく体ががたがただけど、コレで俺の恋は実ったわけだし…! 「俺、幸せです。改めて言わせてください!カカシさん…あなたが好きです!」 「俺も、イルカ先生のことが好きです。ずーっといっしょにいましょうね?」 「はい!」 幸せすぎて涙が出そうな俺の耳に届かないくらい小さく、カカシさんが何かつぶやいてた。 「準備万端整えて、待ってた甲斐があったね…。」 「え?なんですか?」 「ううん?なんでもなーいよ。ご飯、食べよう。ちょっと待っててね?」 「あ、はい…!」 漂ってくるコーヒーの香り…。コレが正に夜明けのコーヒーってやつか! こみ上げる幸せに浸りながら、俺は明日もあさってもカカシさんにもっと好きになってもらえるように頑張ろうと思ったのだった。 ********************************************************************************* アホ中忍を書きたくなったのでそっと置いておきます…。 黒カカシばっかり書いてるなぁ…最近。 あー…一応、ご意見ご感想などがありましたら、お気軽に拍手などからどうぞ…。 |