やはり意味もなく微エロ(あくまで当サイト比)投下しちゃいます。苦手な方はなかったことにする事をお勧めします…。 腰が痛い。原因を作った男がへらへら笑っているのも余計気に障る。 「じゃあ行ってくるねー!帰ったらすぐイチャイチャするから安心して?」 しかもこっちがぐったりしてるってのに、嬉しそうに頬ずりしてさっさと出て行こうとしているのだ。しかも窓から。 しかも勝手なこと言いながら! こいつも一応暗部で強いはずなのに、へらへら笑ってる所しか見たことがない。 …人をバカにしているとしか思えない。何だってこんなヤツに目を付けられちまったんだ俺は! 「ふ、ふざけんな馬鹿やろう…!誰がそんなコト…!」 怒りと共に悔し涙をにじませながら、元凶を睨みつけてやった。 だが…。 「あぁもう!誘わないでよそんな目で見て!我慢してるんだから!」 何がコイツのツボに嵌ったのかしらないが、危険な雰囲気を漂わせたカカシが、すっと顔を近づけてきた。 …相変わらずピントのずれたヤツだ! 「誰が誘うか!っごほげほっ!」 怒鳴りつけて拳で教育的指導してやるつもりだったが、喉の痛みに阻まれてしまった。不覚…!!!っていうか、 コレもコイツのせいじゃねーか!!! 「まあまあ。ゆっくり寝ててよ?無理しちゃだめ。」 イルカの背を撫でながら優しい声で言ってはいるが、そもそもの原因に言われても何の救いにもならない。 「お前が言うなぁ!」 手近にあった髪の毛を引っ張ってやったが、痛そうなそぶりも見せずに、カカシは耳元に吐息と共に囁いた。 「何かあったら俺の犬使ってイイから。ね…?」 「ぎゃあ!」 あからさまに昨日の夜を思わせるその行為に、背筋をぞわっとさせながら思わず奇声を上げてしまった。 しかし、なんてことしやがるんだと怒鳴る暇もなく、ソレをにんまりと満足そうに見ていたカカシは、次いでとばかりに大口を 開けていた俺の口をその薄い唇でふさいだ。 「ん…」 「んんー!!!」 舌を絡めとるように口の中を這いずり回るその熱に、散々昨日むさぼられた身体に篭った熱が、またぶり返してくるようだ。 もがいても吸い付いて追いかけてくるカカシの舌に追い込まれていく…。 結局、息さえもできないほど激しく、一方的に蹂躙され、すっかり抵抗する意思すらなくしたころに、やっと満足したらしい カカシから開放された。 「ふう…ごちそうさま!じゃあイイ子でね!」 こっちの息が整わないうちに、息すら乱さず満足げに唇を舐めとったカカシは、さっさと飛び出して行った。 「くっそー!!!」 悪態をついても、聞こえる範囲にすらもう居ないだろうカカシを思うと、腹が立って仕方ない。腰の痛みは更に酷くなった気がするし、 このままでは日常生活すら間々ならないかもしれない。 それでもカカシの忍犬を頼るのはいやだった。 任務のために日々鍛錬している忍犬に、自分の後始末を押し付けようというカカシが信じられない。 それに…そもそもカカシと一緒に暮らすこと事態、納得しているわけではないのだ。 今までうっかり!そう、うっかり…流されるままにここにいるが、ちょっと冷静になって考えてみると、里長からイルカを 貰ったというのがウソでないならココに居るのも里のためなのかもと思う。 イルカも忍だ。正当な報酬として里が認めたのなら、自分の感情は押さえてしかるべきなのかもしれない。 納得したくないのだとしても。 …だからといってこの現状は受け入れがたい。 腰が痛いっていうか、いくら気持ちイイからって、やりすぎなのもそうだが…。 なにより、あいつの態度はあからさまにイルカの事をバカにしている!!! さっき出掛けに言われた一言にもムカついた。 「くそっ!何がイイ子にしてろだ!…子ども扱いしやがって…っ!」 確かに実力には雲泥の差がある。相手は暗部に入ってるってことは、少なくとも普通の中忍であるイルカより、 ずっと実力があるんだろう。性格はどう考えても問題アリだが。 だからって…軽く見られて嬉しいわけがない。 「ばかやろー!!!」 腹立ち紛れにカカシの出て行った扉目掛けて枕を投げつけたが、腰に走った鈍い痛みのせいで、崩れる様にベッドに倒れこんでしまった。 「うぅぅ…なっさけねぇ…!!!」 ベッドにへたり込みながらも、悔しさで涙が出そうになった。結局今の自分はアイツのおもちゃなんじゃないだろうか。 イライラをぶつける様に、枕を放り投げてみたものの、返って腰へのダメージが大きくて、その痛みでへたりこんでしまう始末。 「うぅぅぅぅ…!!!」 低いうめき声が自分の口から漏れ、そのまま地面に埋まりたいほど落ち込んでいたら、何故か目の前に誰か立っていた。 「わぁ!…どどどどちらさま?」 今までもカカシの知り合いなのか、暗部が突然現れたことがある(しかも何故かカカシはえらそうだった)。しかも、時々奥さん 呼ばわりされて非常に不愉快な思いをしているんだが…。アイツがいないのに暗部が現れたのは初めてだ。 「あのー?カカシなら任務に出て行きましたよ?」 とっさに布団を引き上げて何も着ていない身体を隠し、おそるおそる問いかけた。 軽いカカシを見ていると暗部もそんなに恐ろしいばかりじゃないのかもしれないと思えたが、やっぱりアイツは例外なんだろう。 目の前に立つ暗部は、イルカの神経をぴりぴりと刺激する。 緊張しながら見上げていたら、面に隠された口から言葉がこぼれた。 「うみの、イルカ。ですね?」 静かに、確認する声からは、何の感情も読み取れない。元々暗部というのはこんなモノなのかもしれないが、身近な暗部がやたらと 自分勝手で傍若無人で自己中心的なカカシなので、思わず驚いてしまった。正直、対応に困る。 「はぁ。そうですが。」 恐る恐る答えながら、もしかしてコレは自分に対する任務でも言付かってきたか、最悪の場合…忍犬の変わりにこの人に面倒を 見られてしまうんじゃないかと真っ青になった。 無表情な…しかも暗部と二人っきり…。でも、きっとそつがない。しかもきっと気配もない。 …相当キツイ。治るものも治らなくなる。 一人想像して恐怖していたら、暗部が急に感情をこめた声で話し出した。 「それも、隊…カカシ先輩がやったんですね…。痛むでしょう?」 「へ!あ、その!…まあ…それなりに…?」 バカ正直に答えてしまってから、その内容に気付き、真っ赤になった。 初対面(多分。面見たことないし、声も聞いたことないし…でもチャクラとか変えられてたら分からない。)の人相手に何を言っち まったんだ俺は! 身もだえして、そのせいで走った痛みに更に呻いていたら、暗部がそっと手の平を差し出してきた。 その上に乗っているのは小さなガラス瓶。透明な液体に満たされているそれが、なんのためのモノなのか図りかねて、 思わず情けない顔を向けてしまった。 「あのー…?」 「これを、カカシ先輩にのませてみて下さい。コレが効けば、腰の痛みも楽になるし、…あのヒトからも開放されるかもしれません。 まあいわゆる…そういう、薬です。」 暗部は薬を差し出したまま、戸惑うイルカに向かって妙に柔らかな口調で言った。 あからさまに怪しい。流石にコレは本物の暗部かどうか疑った方がいいだろう。 だが、言いよどみ方といい、腰の痛みの原因がなくなるって…性欲減退剤とかなんだろうか?確かにカカシの性欲が一時的にでも 押さえられればこの痛みから解放されるのは間違いない。 そっと薬を手にとって良く観察してみたが、イルカにはそれが何なのか分からなかった。 確かにこの状況を何とかしたいという思いはある。だが、コレを使うのも躊躇われる。目の前に居るのは確かに木の葉の暗部に見えるが、 本物なんだろうか? カカシの結界を通り抜けられるのは、同じ部隊の仲間だけだとは聞いていても、イルカは迷った。ウマイ話には裏があるものだ。 …この暗部を信じてもいいんだろうか? 暗部は、薬を手に逡巡するイルカの肩をそっとたたいて、優しげな声で言った。 「アナタに同情してるんです。あの方は…強いですから。それに、自分の考えは曲げない方ですし、苦労なさっているん じゃないかと…。」 心底同情しているような声と、カカシの事を良く知っているような口ぶりに、イルカの心はぐらついた。 ちょっとくらいなら、いいんじゃないか?コレを飲んだってどうせ耐性つけまくってるんだろうから、効くかどうかも分からないし。 その揺らぎを後押しするように、暗部はイルカの手をとって、更に続けた。 「ソレを飲ませれば…アナタは、自由の身だ。」 …今のイルカにとって、そのセリフは抗い難いほど魅力的だった。 ***** 結局イルカは誘惑に負けた。水のようなソレを、濃い目に入れたお茶に混ぜ込んだのだ。 カカシの帰宅はいつも突然で、しかも帰ってくるなり押し倒されることも多いので警戒していたが、たまたま雨に降られたカカシが、 シャワーに直行してくれたので何とか一服盛ることに成功した。 「カカシ、どうだ?なんか、変わったこととかないか?」 お茶を飲み干したカカシに、どんな効果がでるのかどきどきしているのに、返ってきた答えはいつも通り軽すぎるほど軽いものだった。 「えー?別に?心配してくれるイルカのせいでその気になったくらいかな?」 ニヤリと卑猥な笑顔を浮かべたカカシは、そう言い終えるなりイルカを担ぎ上げた。 「ぎゃあ!なにしやがる!」 効果がいつ出るかは聞いていなかったことが悔やまれる。…というか、この分だとおそらく薬は効かなかったんじゃないだろうか…!? 「いったでしょ?帰ったら一杯いちゃいちゃしよーね!って。」 手足をばたつかせるイルカの腰をがっしりとつかんで、ついでのように尻までもみながら、カカシは楽しげに勝手な事を言う。 「了承してねぇ!離せ!」 当然イルカは拒否したがいつもの様に流された。 「まあまあ!最高に気持ちよくなろーね!」 「だから頼んでねぇ!!!」 だが、そう叫んだときには、すでにベッドの上に押し倒された後だった。 「うそだろ…!」 コレでしばらくはそっち方面のことから開放されると期待していただけに、カカシの行動をよりいっそう受け入れ難く感じた。 このままだと前回の二の舞になるのは確実だ。 呆然と覆いかぶさるカカシを見ていると、カカシがスッとイルカの顔を包み込むように手を伸ばしてきた。 「だからそんなにかわいい顔して誘わないでよ?我慢できなくなっちゃうよ?」 眉を寄せていかにも我慢してます!といわんばかりの口調だが、そもそもコイツは…。 「我慢なんかしたことないだろ!」 抗議の声は多分カカシの耳にも届いたはずだが、どうやら脳までは届かなかったようだ。 「あ、そういやそうか。ま、いいからいいから!」 にっこり笑ったカカシは暴れるイルカの服を手際よく剥いでいった。 ***** 「あっあっ…!」 何度聞いてもこんな声が自分から出ていると信じたくない。 「気持ちイイ?ココ弱いよねぇ…イルカは。」 イルカの上に覆いかぶさって、にんまりと口の端を吊り上げたカカシは、さっきから熱心にイルカの胸を舐めている。 しかも…その刺激に体をひくつかせるたびに、いちいち嬉しそうに報告してくるのだ。 「ばっ!変なこと言うな!やっ、んんっ!」 くすぐるような吐息が胸元をくすぐり、体が勝手に反応する。やたらフサフサと逆立った髪の毛を引っ張ってやるつもりだったのに、 カカシの器用に動き回る手がイタズラにイルカの腹や腰をたどるので、精々かき混ぜるくらいしか出来ていない。 …熱の篭り始めたソコに気付いたのか、カカシはひょいっとイルカの右足を持ち上げた。 「あ、足もっと開いて?」 カカシは、勝手に人の足を持ち上げているくせに、とっさにそれを閉じようとするイルカにちょっと窓開けて?くらいの 軽い口調で言った。 しかもそう言ったくせに、すでにぐいぐいイルカの足を割り開き、太腿の内側に熱心に舌を這わせている。 「あっ…い、やだぁっ!離せバカ!」 かすれて途切れる声に焦りながら、カカシを蹴りつけようとしたが、カカシに左足の上に乗りかかられてしまった。 しかも、その視線はイルカのモノに向かっている。 「かわいーなー!…あ、ずっと我慢してたの?もう勃ってる。」 先端を嬲るようにしながら、カカシは嬉しそうに笑っている。 「わーわー!あったりまえだ!お前が、そんなふうに触るから…!」 我慢どころか腰が立たずに三日は任務に苦労したのだ。自分で抜こうなどと思えるはずもない。 …卑猥な言葉ばかりつむぐ口をふさごうと、イルカが伸ばした手をつかまれ、甘噛みされてしまった。 「うまいでしょ?俺。あ、でも安心して!これからはイルカだけだから!」 「何がだー!」 自信満々に全然、全く求めていない方向での保証を宣言されて、腹立ち紛れに殴ろうとしたが、カカシの手がぐいぐいとイルカを 攻め立てるので、腰に力が入らない。 「うっゃっ…!」 思わず漏れた声に驚き、自分の口を慌ててふさいだ。 「あー…いちいちかわいいよねぇ。イルカは。とりあえずはこのままヤッて、そのあとは、上に乗ってもらおうかなー?」 うっとりと…だが舐める様な視線でイルカを見たカカシは、今後の予定を勝手に決めたらしい。自分の指を舐めながら にやにやしている。…きっと、イルカにとっては恐ろしい予定を考えているにちがいない。 「や、やらないぞ!そんなこと!」 我ながら説得力のない声だったが、とにかく拒否の意思だけは伝えた。 …そしていつも通り、それがカカシに届くことはなかった…。 「大丈夫大丈夫!気持ちイイだけだから!」 ご機嫌なカカシの指が当然のようにイルカの後ろに滑り込み、狙い済ましたようにイルカのイイところを刺激した。 「あぅっ!な、どこ触ってんだ!」 腹の置くから腰全体に響く刺激に身を震わせながら拒んでも、カカシは気にもしなかった。 「え?イルカの気持ちよくなるところだけど?まあまあ!すぐにもっと気持ちよくするから!」 …いつも通り軽い口調でそんな事を言われて、納得できるわけもなく「だから!頼んでねぇ!」と腕を突っ張って突き放そうとしたが、 すぐにソコを力が入らなくなるまで弄り回されて…。 「じゃあ、もっと、…ね?」 そういって中に入り込んできたカカシの手管に馴らされた身体は従順に快感を拾い上げ…結局明け方近くまで いいようにされてしまった。 ***** 痛い。また腰が。…カカシの強引さに負けてしまった結果だ。 結局あれからすき放題にヤリたおされた。揺さぶられている間中部屋に響いていた荒い息とバカみたいに喘ぐ自分の声と、 カカシの色悪な笑顔だけは覚えている。 最後など気絶してしまったくらいだが、今もカカシの腕の中に抱き込まれて身動きさえとれずにいる。 動けないので睨み付けるくらいしか出来なくて、しかも視界に一杯に広がるカカシの顔が整っていることにも腹が立って思わず 泣き出しそうなくらいだ。 だが、涙が零れ落ちる前に、カカシの瞳がゆっくりと開かれた。 また卑猥な戯言でも聞かされるのかと身構えたが、カカシはにこっと微笑むととんでもない事を言った。 「かわいい…で、あんただれ?」 夕べあれだけ好き放題しておいて、言うに事欠いてアンタ誰だとう…!? 「ふざけるな!」 怒りをこめて、唯一自由になる足でカカシのすねを蹴り飛ばしてやろうとしたが、当然のようによけたカカシは、 さっと布団をめくり上げてしまった。 露になる昨日の情事の痕跡に、カカシが目を見開いて驚いている。自分でも正視し難いのだろう。シーツがべとつくほど、 お互いの精液と汗のしみこんだベッドに、カカシによってそこら中に赤い印を刻まれた自分の体。 いつもならカカシが先に起きて勝手に後始末をされるのだが、昨日は疲れ切ってしまうまでヤッたからなのか、 そのままだったのもあって、べたべたに汚れたお互いの身体からは青臭い匂いが漂っている。 イルカもこんな状態を進んでさらしたくはなかったが、自由にならない身体では隠しようもなく、 身を縮めるくらいしか出来なかった。 だが、予想に反して、カカシはすぐに嬉しそうな笑顔を浮かべてイルカに抱きついてきた。 「え?あ、これって…ひょっとしてやっちゃった?アンタ好みだもんなー!ラッキー!」 「は!?」 呆然とするイルカに、何故か大喜びしているカカシがぎゅうぎゅうとぐったりしたイルカを抱きしめながら、イルカに頬ずり とともに降るようにキスを落としている。 「ま、責任取るから。ここ俺んちじゃないってことは、アンタのうちだよね?まずは引越しと…」 そんなコトを言いながら、まだうっすらと湿った股間にまで手を伸ばそうとしている。イルカは慌ててカカシの頭を両手で わしづかみにして詰問した。 「な、なんだよ!どうしたんだよ!頭でも打ったのか?カカシ!」 触った感じでは特に打撲した様子もなければ出血した痕跡もない。 ヘラヘラした顔もいつも通りに見える。 だが、取り乱しながら頭を調べているイルカの手を、カカシが掴んだ。 「へ?名前知ってんの?ってことは…あー…記憶操作か?」 「はぁ!?」 記憶操作!?そんな任務をイルカは受けたことがない。一応は暗部をやっているカカシならおかしなことではないのだろうが、 ココまで飄々としているのもどうかしていると思う。 いつも通りマイペースを崩さないカカシは、こちらの混乱など気にも留めず、一人納得してうなずいている。 「ま、いいや。…あはは!知らぬ間にメルヘンゲットって中々イイね?」 本来なら一番狼狽しているはずのカカシは、にこにこと嬉しそうに…まるで宝くじに当たったみたいな喜び方をしながら、 ついでとばかりに掴んだままの指に舌を這わせ始めた。 「ちょっ!なにすんだよ!」 慌てて手を奪い返したが、カカシの顔はにんまりと笑ったままで、しかも手はイルカの後頭部をがっちりと押さえている。 「んー?まずは愛を確かめ合おうかなって!」 「へ?」 間近にせまるその無駄に整った顔は…あからさまにヤル気満々だった。 「その顔も…かわいいなー…。」 「み、耳元で話すんじゃねぇ!」 「あ、耳弱いんだ。」 「喜ぶなー!!!」 …その様子は明らかに今まで通りで、しかももっと悪いことに、カカシのヤル気はいつもより上がっていた。 結果。イルカは…それはもう、散々な目に合ったのだった。 ***** …結局、カカシはまた居ついた。 記憶操作なんかされたら、イルカならぎゃあぎゃあ喚いて驚きそうだが、いつも通りカカシは飄々としている。…いろんな意味で。 もしかしたらイルカが飲ませた薬のせいかと疑ったが、カカシの様子からして効果が全くないので、 本当に記憶操作なのかもしれない。 とにかく…カカシはあまりにも普段どおり過ぎて、あっちの方の勢いも衰える事を知らなかった。 結局、今日も今日とて、ヤりすぎできしむ腰を引きずって任務へ行ってきたのだが。 …うちに帰って来たら、何故か居間が説教部屋になってた。 覆面つけたカカシの前に、正座させられている暗部。そしてカカシから放たれる冷たい気配。 …わー。暗部がつるし上げられてるのって、始めてみた。 などとうっかりのんきに驚いてしまった。 「目を覚ましてください!だってあんな中忍に…!」 面の模様からして、どうやら以前薬をくれた暗部のようだが、言ってる内容が気に障る。だが、その哀願する声は、 本当にカカシを心配しているように聞こえた。 …カカシがソレをどう受け取ったのかはすぐにわかった。 「うるさいなぁ…。そんなに言うなら…消してやろうか?…お前の方を。」 鋭い殺気が真っ直ぐに暗部に向かって放たれ、息が詰まる。 こぇぇええぇぇ!!! 腰が崩れて思わずへたり込んでしまった。普段イルカが怒鳴っても平然としていて、しかもふらふらへらへらしているので、 忍としてのカカシが全然全く想像できなかったが、やはり暗部なだけはある。しかも、妙にえらそうな態度からして、 ひょっとしてカカシは結構えらいのかもしれない。 直接向けられているわけではないイルカですら、脱力してしまったのに、それでも暗部は負けなかった。 「そ、それに、これは火影…」 息を切らしながら、必死に訴えようとする姿に、イルカは共感を覚えた。 この状況は、フェアじゃない。 「おい!カカシ!弱い者いじめしてんじゃねぇよ!」 気が付いたら、カカシの前に飛び出して、背中に暗部を庇っていた。 カカシに殺気を向けられることはもちろん、最悪手を上げられることすら覚悟していたが、嬉しそうに笑み崩れたカカシは、 すっと殺気を消した。 「お帰りー!邪魔だからお前もう帰って。」 のんきにそういって、驚いて棒立ちになっていたイルカの腕を引いて、膝の上に乗せてしまった。 一瞬されるがままになってしまったが、ぐったりした暗部が視界に入ったことで、すぐ正気になった。 「待ちやがれ!この人はお前のこと心配してんじゃないか!」 後ろに振り返って、耳を引っ張ってやったのに、カカシはにこにこわらったまま、イルカの尻を撫で回している。 「ん?でもいらないしね。あんまり邪魔だから消そうかと思ったけどイルカが言うなら我慢しようか?」 「あったりまえだ馬鹿!」 前々から思っていたが、確信に変わった。 …コイツの常識は完全に欠如している。しかも性格がいい加減だ。 「じゃ、お礼に…いちゃいちゃ特濃ね!」 カカシは説教しても堪えていないどころか、あろうことかイルカに代償まで要求してきた。 「ばかやろう!」 怒鳴りつけついでに髪の毛を引っ張ってやったが、嬉しそうに笑うばかりだ。胸の辺りまで不埒な手を伸ばしてきてさえいる。 ソレと対照的に、生まれたばかりの子馬なみにピルピル震えて怯える暗部。 …これは、放っておけない。 「そこに座れ!」 絡みつく腕を振り払い、畳みを叩いて暗部の横に並んで座るよう促したが、カカシは頭をかきながら軽い口調で言った。 「はいはい。じゃ、イルカは俺の上にでも…」 「ふざけんな!座れって言ってんだろ!」 コイツは、どうあってもイルカをからかうつもりらしい。 耳を掴んだまま引きずるように暗部の隣に座らせた。…ぜんぜん堪えた様子はなかったが…。 「あ、あの…」 隣に座らせたとたん、暗部がおそるおそるカカシに話しかけようとした。 「ああ、お前。さっき火影とかいってたよねぇその辺のことも詳しく話してもらおうか…?」 すぐさまカカシが威嚇しはじめたので、畳を叩いておとなしくさせた。 「だから脅すんじゃねぇよ!」 躾けの基本、視線をしっかり合わせて大声で怒るを実践したが、小首をかしげて不思議そうな顔をしたカカシからは、 あさってな言葉が返ってきた。 「えー?後輩に指導してやってるだけだよ?」 …堪忍袋の緒が切れた。 イルカはカカシの前に仁王立ちすると、きっぱりと宣言してやった。 「…これ以上ぐだぐだいうなら…」 「言うなら?」 「お前の大事にしてる例のエロ本…三代目に売りつけるぞ!!!」 三代目はあの手の本が好きだし、カカシは何故か事あるごとに例のエロ本を後生大事に持って歩いているので、 きっと堪えるに違いないと踏んだのだが…。 「えー?まあ各5冊はストックしてあるけど、ソレはちょっとだけ困るかな?」 「お前…あんな本そんなに沢山持っててどうするんだよ…?」 どうやら効果は薄そうだ。…同じ本5冊も持ってる意味がわからない…。 イルカが唖然としている隙に、カカシは勝手にイルカの手をとってキスしてきた。 「恋人との夜を想像してしあわせになってるだけよ?ま、今はイルカとの夜ってことに…」 そんな事を言いながら舌がそっとイルカの指の間を這って…。 …イルカは慌ててソレを振り払った。 「わーわー!なんてこといいやがる!」 イルカがあまりのことに涙目になりながら抗議していたが、別の方向からも抗議の声が上がった。 「隊長…っ!どうしてそこまで!」 「へ?」 暗部だ。さっきまでぐったりしていたのに、今は必死な声でカカシに訴えかけている。っていうか、カカシはこんな性格のくせに 実は隊長なんてご大層なヤツだったのか…!?素直に驚いてしまったが…。 暗部はその後、言ってはいけないセリフを口にしてしまった。 「この…たかが中忍のどこがいいんですか!」 …流石に、ムカッと来た。 「うるさいなぁ…。やっぱり…」 カカシからも殺気が再び噴出したが、イルカは今にも動こうとしていたカカシを止めた。 「待て。カカシ。」 カカシを下がらせ、不穏な空気を漂わせている暗部の前にどっかりと腰を下ろす。 面に隠された瞳を見つめて、ゆっくりと口を開いた。 「アンタさ。俺が気に入らないんだよな?」 「…っ!隊長は…俺たちの憧れなんだ!どうして…こんな中忍風情に!」 「中忍馬鹿にするのも…大概にしとけよ!」 イルカは、ぐだぐだと文句言おうとしていた暗部の脳天に拳を振り下ろし、強烈な一撃を加えてやった。 鈍い音と共に、正確に頭を直撃した拳は、暗部に十分なダメージを与えたようだ。両手で頭を押さえてうずくまっている。 「あ、やっちゃったー。強いねイルカ。」 カカシはその様子を楽しそうに手まで叩いて眺めていて腹が立ったが、その前に問題なのはこの暗部だ。 「な、何でこんな中忍に!」 喚いている内容から反省の色が伺えなかったので、もう一発決めてやった。 「中忍中忍って…うるせぇんだよ!その中忍の攻撃もよけられないくせにバカにすんな!俺たちがいなきゃ上だってちゃんと 動けねぇんだぞ!!!」 思わず…胸倉掴んで啖呵を切ってやった。 実際、中忍が里の内外で果たす役割は、非常に大きい。なぜなら里の管理をはじめ、部隊長任務だのなんだのという、 こまごまとした仕事の多くは、中忍たちが取り仕切っているからだ。 少数精鋭の暗部にしかできない任務があるように、中忍の自分たちにしかできない仕事がある。里は強い忍だけでは 維持できない。 だが、イルカに簡単に殴られたのが納得できないらしい暗部は、頭を押さえながらあからさまに狼狽している。 「な、なんで…!」 イルカとカカシを交互に見ながら取り乱している暗部は、何が起こったのか理解できていないようだ。 イルカがもう一発くれてやるかどうか迷っていたら、カカシが暗部の襟首を掴んで床に落としてしまった。 へたり込んで怯えたようにカカシを見る暗部の身体は、がくがくと震えている。 「だってさぁ。この人、一人ですごい数の敵引き連れて、それでもちゃんと倒してしかも逃げ切ったんだよねー。 …仲間を助けるために。」 イルカの肩を抱いたカカシが何故かちょっと誇らしげに言うのに驚いた。 「イルカはすごーく強いの。惚れちゃうのも分かるでしょ?ま、顔も身体も好みだけどね!」 …嬉しそうに言いながら、ついでとばかりになぜか腰にも手を回してうなじを舐めようとしてきたので跳ね除けてやった。 だが、カカシの言ってることは、惚れたな何のというのを除けば当たり前のことだ。いかにも凄いことをしたように 言うのがわからない。 「あったりまえだ!木の葉の忍びは仲間を見捨てたりなんかしない!」 …カカシに向かって言ったのに、何故か返事は足元から返ってきた。 「そうか…それでですか…。」 何故か急にしょぼくれた暗部は、立ち上がってすごすごと引き下がろうとしている。 「へ?あれ?なんで?」 「ん?イルカの人徳じゃない?」 「なんだそれ!?」 事態が飲み込めないままに、暗部はさっさと、律儀にも玄関から帰ろうとしている。 …暗部なのに全然忍んでないな…? 呆然とソレを見送ろうとしていたら、カカシが暗部を軽い口調で呼び止めた。 「あ、ちょっと待って。コレ、何の薬?」 「え!?何で薬だって分かるんだよ!」 …当然のように薬といった。ってことは、やっぱり記憶障害はこの間の液体のせいだったのか!目を丸くしているイルカに うっとりした視線を向けながら、カカシはしれっと言った。 「俺に術かけるられるのって今は里中探しても三代目とイルカぐらいだから。…イルカって、この手の術苦手そうだし。」 ぽんと肩を叩かれたが、嬉しくない。要するに、術が下手だと言いたいんじゃないか! 事実だってのがより一層悲しい…。 「悪かったな!…確かに幻術とか記憶系とか…」 悔し紛れに悪態をつこうとしたら、途中で殺気混じりの低い声に遮られた。 「だから、さっさと解毒剤よこせ。」 自分に向けられたものでなくても、カカシの声に総毛だった。怖いって言うより、本能的に防衛体制に入ってしまう。 認めたくないが、おちゃらけててもカカシは強いんだと改めて感じた。 「…持って、いないんです。」 「ってことは…三代目かな?」 「…これ以上は言えません。」 「ま、それだけでわかるからいいよ。今回は三代目が噛んでるみたいだから、俺は何もしないでやる。 イルカにも頼まれたしね。ただ…次やるときは覚悟しな。俺は仲間を売るようなヤツは二度と信用しないから。」 「はっはい!」 威圧感溢れる言動と、心酔しきった様子の暗部についつい一歩引いて眺めていたら、わしっと腰を掴まれて、 まるで荷物でも運ぶように担ぎ上げられてしまった。 「じゃ、行こっか!」 なんていわれながら。 「はぇ?ってわぁ!」 「イルカと一緒に夜のデートってことで!」 驚いてもがいたが、マイペース且つご機嫌なカカシがそんなコトで諦めるはずもなく。 …夜の街を荷物よろしく担がれながら、疾走するはめになった。 ***** さっきからとんでもないことに巻き込まれた続けている。 目の前にはすごい勢いでキセルから煙を吐き出している三代目がいて、隣のへらへらしながら、隙あらば俺の身体を触ろうと するカカシと対峙している。…執務室内には必然的に殺伐とした雰囲気が漂っているわけなんだが…。カカシはいつも通りのままだ。 一際深く煙を吸い込んだ三代目がふぅっと煙を吐きだして、キセルをおいた。 コンッと大きな音が響き、緊張が更に高まる。イルカとしてはもう限界なくらいだが、カカシは平然としている。 それをぎろりと睨みつけながら、三代目が口を開いた。 「貴様にイルカをやるなどと!ひとっ言もいっておらんわ!それを…勝手にお前の一存で部下にまで広めおって…!」 「えー?だって大切にするし、もう隅から隅まで俺のだし。」 「たわけー!!!」 完全に喧嘩腰の三代目と、面倒くさそうというより、会話が成立していないカカシ。 現状は最悪といっていいんじゃないだろうか。相変わらずなんでこんなことになったのか、全く事情が飲み込めないが、 とにかく今にもカカシに掴みかかりそうな三代目の血圧が心配で、慌てて止めに入った。 「三代目!落ち着いてください!」 だが、三代目の口ぶりからして、どうやらイルカを貰ったの何のというのは、カカシの一方的な宣言だったらしい。 てっきり里のために売られたんだと思ってたのでびっくりしたが、三代目がここまで怒ったことにも驚いた。 だが、カカシは面倒くさそうにふうっとため息をつくと、腕組みをしながら言った。 「あのさ。イルカが本気で嫌がってたら貰わないよ?」 …一瞬その場を静寂が支配した。 「…ふざけたことを…!」 「なんだそれ!?」 その物言いに、三代目まで一緒になって怒鳴りつけたのに、カカシは当然の様にイルカの腰に腕を絡ませ、顔を覗き込んできた。 ついでとばかりに頬ずりまでして、耳元で甘く囁く。 「だって、イルカだって俺のこと好きでしょ?」 妙に自身たっぷりなその言い方は気に障るが、確かにカカシのことは嫌いじゃない。こんな関係になったことに関しては 色々と思う所はあるものの、なんだかんだ言って流されているのは、カカシが強引なのもあるけど。気持ちイイのもあるけど。 多分きっと…それだけじゃなくて。 「そりゃ…嫌いじゃない…けど。多分。でもな!お前はいちいち俺のこと馬鹿にしすぎなんだよ!」 ちょっと口ごもりながら、でもどうしても言ってやりたかった事を主張した。 その言葉に不思議そうに小首を傾げたカカシの言葉は、いつも通りピントのずれたモノだった。 「バカにしてないよ?イルカは強いしかわいいし、具合はいいし…」 「わー!わー!三代目の前で何てこと言いやがる!」 両手で口をふさいでも、カカシは楽しそうに笑うばかりで慌てふためいている自分が馬鹿らしくなりそうだ。 その様子を見ていた三代目が、青筋を立てたまま低い声でイルカに話しかけてきた。 「…イルカよ…。こやつの相手では大変じゃろう?穏便に引き剥がすつもりじゃったが、すぐに罰として任務を…」 「え?」 思わず口をぽかんと開けたまま間抜けな顔をしてしまった。 「なんで?いいじゃん別に。ねえ?イルカ?」 「こら!…どうしてですか?」 相変わらずのカカシの態度に正気に返り、一応注意してから三代目に聞き返した。 「こやつは忍としての規律を乱した。報酬に同胞を望むなど言語道断!今すぐ…」 怒りをこめた声で恫喝しようとした三代目の言葉は、底意地の悪い笑みを浮かべたカカシに遮られた。 「愛されてるねぇ?イルカ。でも、その同胞に薬使わせるのってどうなの?」 「非常手段じゃ!ワシの呼び出しを無視しおって!」 「任務関係じゃないんだったら、いいかなーって。」 「貴様がそんな態度じゃから…!」 「イルカに言えばいいでしょ?」 「え?俺?」 言い争う…というか、怒り狂う三代目とそれを軽くいなすカカシをぼんやりと眺めていたイルカは、急に話題を降られて焦った。 だが、イルカよりも三代目の反応の方が大きかった。 「…うっ!」 顔色を青く変えて言葉を詰まらせた三代目に、カカシは躊躇いもせず追い討ちをかけた。 「イルカがもしいやだーって言ったら困るから、薬なんか使ったんだよねー?三代目は。」 「しよ、証拠はないじゃろう!」 「んー?その態度が証拠じゃない?」 三代目が激しく狼狽し、しどろもどろになっているところを見ると、普段はいい加減な感じのするカカシの言っていることの方が 正しい様な気がしてきた。 「三代目…まさか…!」 思わず冷たい視線を向けると、三代目は身振り手振りを交えてイルカを説得にかかってきた。 「…イルカは優しい子じゃ。お前のようなヤツにもほだされかねん…。じゃからワシは目を覚まさせてやろうと…」 イルカのことを心配しているのはわかる。だが…それでもしてはいけないことはある。 第一…自分はいつまでも子どもな訳じゃない! 「三代目。…俺はコイツの所有物にはなりません。」 自分でも驚くほど静かな声だった。 真っ直ぐに視線を向けると、ぱあっと顔を輝かせた三代目が勢い良く立ち上がっていそいそと書類を取り出している。きっと任務依頼書だ 「おお!そうかそうか!では今すぐ…」 任務依頼書を突きつけようとしている三代目の言葉を、イルカは視線でだまらせ、続けた。 「でも!コイツの記憶を弄るなんてのは最低だ!…任務でもないのに記憶を奪うなんて…!」 「うぅ…!」 俺の言葉にしょんぼりと肩を落としてしまった三代目には申し訳ないと思ったが、やっぱりコレだけは言っておきたかった。でも…。 「それよりも、俺が良く中身も確かめないで飲ませちまったからいけないんだけど…!」 自分が一番だめなんだと、良く分かった。里の仲間だからとか、カカシのことをよくしってそうだからとか… そんなことを言い訳にして、酷い目にあわせてしまった。 …コイツがやりたい放題してるのはやっぱりムカつくけど、イルカのやったことの方がよっぽど…きっと悪いことだ。 「イ、イルカや…じゃが…!」 落ち込むイルカを慰めようとしてくれた三代目に、真っ直ぐな視線で答えた。 「だから、俺はコイツがイヤになったらあの家出て行きますから。三代目は…時々愚痴、聞いてやってください。」 自分の情けなさを誤魔化すように鼻傷をかきながら、三代目に笑いかけた。 優しい瞳でイルカを見つめる三代目はいつだってイルカの事を心配してくれた。でも、きっと今回のことで、 三代目のことも傷つけてしまった。 でも、自分はもう子どもじゃない。 カカシのやり方も大いに問題なのは確かだから、コレが終わったら制裁を加えるつもりだが、その前に謝らないといけない。 自分の思考に沈んでいたら、三代目が静かな声で言った。 「…そうか…そうじゃな…。あい分かった。…カカシ!勝手なマネをすればいつでもワシが相手になるぞ! …コレも、くれてやる。」 「あ、解毒剤!?」 「どーも。」 三代目から投げつけられたその小瓶の中身をカカシは躊躇いなく飲み干した。 「効果は、いつごろ…?」 最初に飲んだ薬が効いたのも結構時間が経ってからだったので、一応聞いてみた。…ちょっと気になることもある。 「それは…。」 …三代目が答える前に、イルカの視界が反転した。 「じゃ、用事済んだし!持って返っていいよね!」 来た時と同じようにイルカを肩に担いだカカシは、三代目が許可を出す前に、すでに窓を開けている。 「わぁ!待ちやがれ!!!」 「お、お主は何をやっとるんじゃ!!!」 二人の怒声が重なって響く。だが、カカシはにこやかで…とても軽い挨拶をひとつして、地面を蹴った。 「じゃあね!」 ***** 三代目が怒り狂う声がかすかに聞こえたと思ったら、あっという間に自宅…というか、カカシの家に逆戻りしていた。 三代目にはあとでお詫びするとして…それよりなにより気になっていたことがあるのだ。 ご機嫌な顔でイルカをベッドの上に落としてベストに手をかけているカカシの耳を引っ張って、不機嫌さを隠さずに聞いてやった。 「…お前ホントは記憶消えてなかっただろ?」 「ばれた?」 しれっと返すカカシは、悪いなんて欠片も思っていないに違いない。 「…やっぱりか!さっき俺のこと覚えてたからおかしいと思ったんだよ!」 こっちが右往左往していたのを、楽しんでいたというより、…きっとどうでもよかったから言わなかったんじゃないかと 思い始めた。 …コイツの行動は要するに自己中心的で、目的を達成できるならほかの事はほんっとーにどうでもいいんだろう。 コレまでの行動を見ていてソレを痛感した。 現に、今も目を吊り上げているイルカを眺めながら、懲りずにベストを脱がそうとしている。その手を掴んではがそうと しているのに、カカシはついでのように言った。 「んー?最初は効いてたよ。でも怒ってるイルカ見てたら思い出したんだよねー?ねえ、ちょっと腰上げて?脱がせにくいよ。」 「何だよそれ!あと、脱ぐ必要なんかないだろ!」 ベストを必死に押さえていたら、先にズボンを脱がされてしまった。 「かーわいいいなー!って思ったら。ね?」 イルカのズボンを放り投げながら、カカシはあっけらかんとしている。そしてその手は休まずイルカの服を脱がそうと…。 「だれがだ!馬鹿にすんな!」 怒鳴りつけてズボンを取り返そうとしたが、気が付いたら手首を掴まれてる上に、すっかりその気のカカシの顔が 視界一杯に広がっていた。 「いいじゃん。早くイチャイチャしよ?」 「確実に一部はお前のせいなんだからな?その性格を…」 膝でカカシの身体を押し返しながら説教してやろうと思ったんだが、カカシが諦める気配は見られない。 「まあまあ!話はあとで!」 「待て!ちゃんと聞きやがれ!」 どんどん行為を進めようとしているの押しとどめようと吼えたら、珍しくカカシが引いた。 「ん?いいけど。」 「まず、…変なもん飲ませたのは俺だ。悪かった。…ごめん。」 「別にいいよー!じゃ、続き!」 謝ったのにサラッと流されてむっとしたが、その前に言うことがまだある。 「待てって!…お前、何でさっきあんなに部下の人脅かしたんだ?…どっちかっていうと、 お前に変な薬飲ませた俺の方が…。」 「あーいうこと。しちゃ駄目って分からないようなやつは俺の隊にはいらない。いざって時に使えないから。」 イルカの言葉を遮るようにそう言ったカカシは、見たことがないくらい冷たい目をしていた。感情を感じさせない瞳は、 いつもの軽さからは想像できなかった。 「…だからって…!」 納得できずに言い返そうとしたイルカの言葉を打ち切るように、冷たい声が続ける。 「警告はしたけど、今頃話は行ってるだろうから、…他の奴らにそれなりな目に合わされてるかもねぇ?」 …それは、制裁が加えられるということではないだろうか? 「と、止めないと!」 「あー無理。かな?…あそこはそういうところだから。」 「でも…」 「まあ、暗部じゃなくても一緒でしょ?裏切ったらそこでおしまい。でも、別に物理的に殴ったりする訳じゃないし、 単に今後は信用されなくなるってだけ。」 コイツがここまで物事にこだわらなくなったのは、そうある必要のある所にいるからなのかもしれない。 まあ、絶対にもともとの性格もいい加減なんだと思うけど…。 それに…。 「なら、俺もだ。…お前にあんなもの飲ませて…」 後悔でしょぼくれるイルカに、カカシはいつもの軽い口調でとんでもない要求をしてきた。 「あ、じゃあお詫びに…いちゃいちゃ特濃で!」 止まっていた手も宣言と共に動き出し、隙だらけだったイルカは、ベストどころかアンダーまで脱がされてしまった。 「お前がそんなんだから性欲減退剤盛ろうとおもっちゃったんだよ!」 怒りと驚きをこめて怒鳴りつけたら、何故かカカシはぽんと手のひらを叩いた。 「ああ、なるほど。そうだよねー!イルカって記憶消そうとか考えないもんね。」 「あったりまえだ!」 …でも、納得するところが違う気がする…。 どこまでもピントのずれたカカシに疑問を投げかける前に、カカシがぎゅうぎゅうと抱きついてきた。 「そういうトコも、好き!」 「馬鹿抱きつくな!あぶねぇだろが!」 カカシはこっちが締め付けられて苦しいというのに、耳元でひとしきり笑ってた後、急に色を含んだ声で囁いた。 「…じゃ、いちゃいちゃしよーね?」 「んんーっ!!!」 呼吸を奪われるほど激しいキスを受けながら…。 こうやって振り回されてるのもちょっと楽しいと思ってる当たり、俺も末期なのかもしれないと思った。 ********************************************************************************* ちゃっかりカカシと流され無自覚天然イルカを追加??? リク内容→傍若無人俺様カカッさんに少々ウンザリのイルカがある暗部から「自由になれるよ」 ともらった薬。でもイルカに薬を飲まされたカカシはイルカの事を忘れて 暗部キャラや薬をイルカに渡した理由などはおまかせで!でも最後はいちゃいちゃで! …達成できた気がしねぇ…!!!!ごめんなさい…!!! …むらさきばる様〜!!!ちょっとアレなできなのですが、ご意見ご要望がございましたらお気軽に投げつけてやってください! |