「任務行くよー。」 カカシが帰ってくるなりそう言い出した。 帰って来たばかりなのに任務なのはちょっと可哀相に思ったが、そんなことより作業中だった俺の文机の上にいきなり 座り込まれたことの方が問題だ。 「あーそーですか。勝手に行って来い!そんでどけろ!」 折角術の勉強を始めたというのに、思いっきりその上に乗られてしまってはどうしようもない。折角俺が苦労して 書き込んだ巻物がくしゃくしゃになってしまっている。苛立ちを隠さずに睨みつけると、カカシは小首をかしげて サラッと突拍子もないことを言った。 「ナニ言ってんの?イルカもだよ?」 「はぁ!?」 任務?俺が?なんで?…コイツと!? いきなりそんな事を言われて驚きのあまりぽかんとした俺を、カカシはひょいっと担ぎ上げた。 「じゃ、いこっか!」 なんていいながら当然のように。 「ふざけんな!放せー!!!」 当然俺は暴れたが、気がつけばすでに家の外に飛び出していた。 「任務っつったって用意がなんにもしてないぞ!せめて戻れ!」 なにせ夕飯を済ませたばかりだ。装備なんてろくなモノを持っていない。せめてベストだけでも持って行かないことにはどうしようもない。 任務の内容が何か知らないが、一応暗部でしかもちょっとエライらしいカカシに振り分けられるものが、軽装でなんとかなるとはとても思えない。 俺は必死になって訴えたが、カカシは視線さえ向けずにさらっと言った。 「いらないよー。イルカは。」 「何だそりゃ!?」 「んー?ま、急ごうか?」 「下ろせー!!!」 俺の叫びは木の葉岩を震わせるくらい大きかったと思うんだが、相変わらずカカシには届かなかった。 そのままスピードを上げたカカシに担がれたまま、俺は目的地まで運ばれてしまったのだった。 …ソレこそ荷物のように…。 ***** 結局。カカシに担がれたまま相当な速度でどこかの町に連れてこられてしまった。 自分で駆けるならまだしも、誰かに担がれたまま移動するのは相当に疲労した。しかもコイツは異常に足が早いから余計に疲れた。 …その上コイツがどこからか取り出した着物に着替えさせられて、今、何故か俺たちは買い物をする羽目になっている。 忍服だと目立ちすぎるというのは良く分かるが、だからといってわざわざこんな…派手な着物に着替えさせられる 意味が分からない。潜入か何かなんだろうか?それに、俺を連れてくるのがまずおかしい。…だって俺は中忍だ。残念ながら普通の。 それに、今いる所の町並みも、何だかやたら派手で飾り物なんかを置いてある店ばかりなのが、俺の不安を駆り立てる。 「なぁ。何でこんな格好しなきゃいけないんだよ!」 不安もあってカカシに単刀直入に聞いてみたが、本人は相変わらず飄々としている。 というか、もしかして何にも考えてないんじゃ無いだろうか。なにしろ俺の質問に返ってきた言葉が酷い。 「任務だしー。それに似合ってるからいいんじゃない?」 「そういう問題かー!!!」 あまりのことに俺が怒っても、カカシは気にせず店を見て回っている。 イライラは確実に俺の神経を尖らせ、思わず怒鳴りつけてやろうとさえ思ったが、もしかしてコレも任務のためかもしれない。 …俺は、とりあえずこの場は堪えることにした。 だが、俺の苦悩を他所に、カカシは方々の店に顔を突っ込んでは俺を呼びつける。 「イルカー!コレ似合うんじゃない?」 「なんだよ?髪紐か?でも、派手だろこれ。赤なんて…。」 「いいじゃない。たまには。おばちゃんこれちょうだい。あと、こっちの青いのも。」 「何個もいらないって!」 「どっちも似合うからいいじゃない。後はこっちのもいいかなー?」 早速小間物屋を物色しだしたカカシは、俺の抗議に耳も貸さず、片っ端から髪紐を勝手に選んでは俺の髪の毛にかざして 色合いを見ている。 「おい!もういいだろ?」 「そうね。他のも見たいし。ねえ、お会計お願い。」 「ちょっと待てって!こんなに買って…」 「いいからいいから。」 カカシは手馴れた様子で会計を済ませている。俺はこういう所に来たことがないからさっぱり勝手が分からないが、 品物を選ぶ速さといい、コイツはきっとこういう店の常連に違いない。…なんだかちょっとイライラした。 どうせ俺は朴念仁だよ! 「はいどうぞ。」 沢山買ったからか、妙に店員の愛想がいい。カカシの方は気にもしていないみたいだけど。 「どーも。イルカ。コレつけてみてよ。」 「はぁ!?」 カカシは包みを開くと、赤い紐だけを取り出し、驚いている俺の髪の毛を勝手に括ってしまった。 「ん。やっぱり似合うね。」 「あのな…。」 確かに今まで付けていたのは木の葉商店街で安売りになってた髪紐だから、見劣りするかもしれないが、 赤はないだろう? 不満を露にする俺と反対に、カカシはにこにことご機嫌だ。 「じゃ、次行ってみようねー。」 「わっ!」 文句を言う暇もなく、俺の手をぐいぐい引くカカシに連れられていかれる羽目になってしまったのだった…。 ***** …コレのどこが任務なんだろう…。 俺の目の前にあるのは買い物袋の山。それも全部カカシが買ったものばかりだ。髪紐からはじまって、髪飾りにかんざし、 それに着もしない着物まで買おうとしたのを必死で止めたのに、カカシが「いいからいいから」と勝手に買い込んで しまった結果だ。 つまりこの町に来てから俺たちは買い物しかしていない。 「お前…これどうするんだよ?任務は?」 流石にこれでは返って目立つんじゃないだろうか。なにせ男二人連れがやたら大量の買い物をしているのだ。しかも買ったのは 俺のものばっかりだから、カカシと俺の関係をどう取られたのか心配だ…。 思わず眉間に皺がよってしまう。 「大丈夫大丈夫!ちゃんと持って帰るから。それに任務もするよー?」 軽い調子でそう返しながら、カカシは品物選びに余念がない。今いる店は宝石を扱っているらしく、店中にキラキラとした石が 並べられている。…正直落ち着かない。値札も恐ろしいものばかりだし、宝石なんか術の媒体に使うとき以外は全く関わりの 無いものだ。 視界に入る値札に恐怖を覚えながら、コレも任務だと耐えていると、カカシはまた何か買ってしまったようだ。 しかもまたフラフラと店を見ようとしている。慌ててカカシの腕を掴んで止めた。 「おい!これ以上いらないだろ!」 流石にこれ以上の買い物は耐えられない。俺のものだけって言うのもイヤだし、金額が恐ろしすぎる。だが、カカシの方は なんだかご満悦だ。 「デートっていいねぇ。やっぱり。」 「何がデートだ!」 あまりにもシミジミと言うものだから、思わず叫んでしまったが、カカシはさっさと次なる店で品物を物色している。 「んー?イルカにはこの琥珀とかも似合いそうかな?それとも…この辺の柘榴石とかも…」 「人の話聞けよ!何で俺を連れてきたんだ!」 デートなんていう単語も俺に大ダメージを与えたが、それ以上にカカシの態度も俺をイラつかせた。 だが、カカシは店先で怒鳴った俺にも全く動じる気配がない。 確かに石はキレイだと思う。だが、それだけだ。カカシなんか手の中の石よりよっぽどキレイな顔してるくせに、 どうしてこんなものを欲しがるのか分からない。 イラつく俺に、カカシはサラッと突拍子もない応えを返してきた。 「必要だからだけど。それに、イルカ切れ起こしたら困るしね。」 「アホかー!!!」 イルカ切れって何だよ! 俺が思わず店先で叫ぶと、お店のおっちゃんが鋭い視線を向けてきたが、カカシは気にも留めなかった。 「んー?じゃ、そろそろ目的地に行こっか。」 そういって俺の腕を掴むと、さっさと店を出て行こうとしている。 「わっ!腕ひっぱんな!」 淡々とした喋り方とは裏腹に、やたらと強引な腕に引きずられるようにして、俺はやたらキラキラした店先を後にした。 ***** やたら機嫌のいいカカシに引きずられるようにして歩く内に、あからさまに空気の違う所まで来てしまった。 白粉の匂いと、女たちの誘う声なんかが辺りの空気を隠微なモノに変えている。そう、ココはもしかしなくても…。 「今回は歓楽街なんだよねー?」 「ココ…なのか…?」 辺りを見回しても健全な店はどこにも見当たらない。特にカカシが俺を連れて行こうとしているのは、どう見ても つれ込み宿にしか見えない。 こんな所、入ったこともない。うすぼんやりとした灯りが漏れていて、何だか凄く胡散臭いというか…二の足を踏んでしまう。 俺が躊躇しているのに、カカシはがっしり腕を掴んだまますたすたとその怪しげな宿に入っていこうとしている。 「こういうトコって、一人じゃ入れないでしょ?」 なんていいながら…。 「男と入るヤツなんかいるわけないだろ!?」 こういうところは…年上のお姉さんとか、そういう大人の雰囲気漂う場所であって、カカシみたいな物好きが集う場所 ではないはずだ!一度も入ったことないから知らないけど! 驚愕と共に訴えた俺に、カカシはサラッと返してきた。 「そうでもないよ?俺もたらしこんだことあるし。」 「え!?」 「もちろん未遂っていうか、入ってすぐ術かけてやっちゃったけどね。」 「あ、そうか。」 確かにコイツはキレイな顔してるし、そういう奴らが引っかかりそうだけど…。なんでだろう。今、ものすごくムカっとした。 自分でも名前のつけられない感情をもてあましていると、カカシが更に俺の腕に絡みつくようにしだれかかってきた。 それだけでもおかしいと思ったのに、カカシはさらに怪しい表情でニヤッと笑うと、耳元に囁いてきた。 「なぁに?嫉妬してくれたの?」 「ば、ばか!そんなわけないだろ!」 婀娜っぽい表情と色を含んだ声に、思わずどもってしまった。 嫉妬?誰に?コイツにか!?いや、そんなはずは…! 「かーわいい!…ま、とにかく入るよー!」 人を混乱の渦に叩き落しておいて、いつも通りカカシは勝手に俺を連れ込もうとしている。…腕だけじゃなく、腰まで掴んで。 「だから掴むな!離せ!」 いくらもがいてもカカシは強引に…しかも鼻歌なんか歌いながら俺をぐいぐいと引っ張って、さっさと受付みたいなものを 済ませてしまった。小さな穴から声が聞こえてきたときは驚いたが、カカシは平然とそこでやり取りして、 そこから鍵が出てきた。…お互い顔が見えないようにするためなのかもしれないが、何だか拷問部屋に似ててちょっと 嫌な感じだった。 俺が怪しいやり取りに引いているうちに、カカシに腕を引かれたまま部屋に案内された。 入るなり、でかい布団が視界に入った。というか、この部屋ほとんど布団しかない。 「なんだよ。ここ…。」 そりゃこういうところなんだからこういうものしかなくていいのかもしれないけど…。どうせならもうちょっと普通の宿がイイ。 いかにもヤルためだけという感じの部屋はやっぱりちょっと…任務なんだろうからしょうがないけど。 それにしても、ちょっと想像してたものとの差が大きすぎてガッカリした。 「じゃ、ちょっと待っててね?手はずどおりだから。」 「へ?」 俺が考え込んでる間に、カカシは何故か印を組んでいる。次の瞬間、建物全体に幻術がかけられたことが分かった。 これから戦闘があるのかもしれない。俺も着物の下になけなしの仕込みはあるけど…心配だ。思わず仕込みのクナイを握り締めた。 「もうちょっとでターゲットが来るから、ソレが持ってるもの奪い取っておしまい。」 俺の不安を読み取ったのか、カカシがこともなげに話す。 今までの状態から言ってかなり疑っていたのだが…任務というのが冗談じゃなかったことだけははっきりした。 「俺は、どうすればいい?」 任務となれば、俺も中忍。すぐに頭が切り替わった。俺にも何かやれることがあるハズだ。 身構えた俺にカカシが何かを探るようにしている。 それから、カカシの口が開かれた。 「あ、来たみたい。多分大丈夫なはずだけど、一応敵がいないか確かめといてねー。」 「分かった。」 スッと天井裏に消えたカカシの気配は、すぐに分からなくなった。他の人間の気配を探ってみたが何も感じられない。 冷や汗が背中を伝う。カカシは無事だろうか。緊張で心臓がバクバクと音を立てているのが分かる。 だが、そんな不安な時間は長く続かなかった。 「ただいまー。取ってきたからもういいよー。」 「無事か!良かった…!」 出て行ったときと変わらず飄々とした様子でカカシは戻ってきた。時間にして恐らく数分。…自分としては凄く長く感じたが、 やっぱりコイツは暗部で優秀な忍なんだなと思った。 気が抜けた分ガクッときたがココでとどまっていてもしょうがない。 「もう、いいんだろ?逃げよう。」 立ち上がって出て行こうとした俺に、カカシの不思議そうな声が届いた。 「え?なんで?疑われるじゃない。」 「はぁ!?」 思わず聞き返した俺をココに連れられてきたときみたいに担ぎ上げられて、どさっと落とされた。…やたらでかい布団の上に。 「アリバイ作り…協力してね?」 俺の上にのしかかったカカシが、にんまりと色悪な笑みを浮かべている。 「ナニ言ってんだー!!!」 「まーまー。」 当然俺はカカシを押し返して暴れたが、カカシは俺の拳も蹴りもひょいひょいとよけて、ついでの様に帯をほどいてしまった。 はだけた着物から露になった素肌を隠すように掻き合せても、足の間にカカシが入り込んでいるのであまり意味がない。 しかも、調子に乗って胸元に手を滑り込ませようとしてきた。 「こらっ!止めろ!第一その取ってきたってモノは…!?」 慌てて引っつかんで止めながら、事情の説明を要求したが、カカシは手も止めずにかるーく返してきた。 …余計なことまでついでに。 「ん?忍犬に持たせたよー。…抵抗されるのって燃えるね。」 こともなげにそういうカカシの瞳は、あからさまに欲望の光を宿していて…。 「嬉しそうに言ってんじゃねぇ!」 食いつかれそうなその視線にゾクリとしたものが走る。 焦っているのに、それでも視線に縫いとめられた様に動くことができなくて。 「じゃ、いいよね?」 ソレを勝手に肯定ととったのか、気がつけば強引に腰を持ち上げられ、うつぶせにされていた。 「いい訳あるか!」 「まあまあ。そんな声だされてもその気になるだけよー?」 カカシは、口調だけは淡々と…だが着実に俺の動きを封じ込めてくる。両腕は既にまとめてつかまれて布団に押し付けられて るし、足の間にはカカシの膝が入り込んでいる。 はっきり言って非常に状態は悪い。背中に感じる体温も俺を焦らせる。 「あっ!」 身構える間もなくいきなりうなじに湿った感触が走った。 「かわいー…。ねえ。今日は服脱がないでいってみようか!」 身じろぎする俺にカカシがとんでもない事を言いだした。 「な、何言ってんだー!?」 「いいじゃん。似合ってるよ?」 「そういう問題か!」 「暴れると足見えちゃうよー?中も。」 「わー!そういうコトいうなー!!!」 「見ちゃおうかな。」 俺が喚いている間に、やたらしっかり俺の様子を観察していたカカシがぼそっと何か言ったかと思うと、 いきなり裾を捲り上げられた。 「わぁっ!?」 「コレ邪魔だから脱いじゃおうねー。」 間髪入れずに下着も脱がされ、やたら足元がすーすーする。自分の体制のマズさに背筋をぞわっとするものが走った。 「イイ格好…。全部見えるね。」 「あ…っ!」 調子に乗ったカカシの吐息をうなじに感じながら、俺にもう逃げ場が無い事を改めて悟った。 ***** 「ふ、うっ…!んん!くっ!あっ!」 背後から獣の姿勢のまま貫かれてそのまま何度カカシを受け入れただろう。口からこぼれるのは与えられる熱にかすれた 嬌声ばかり。思考も大方霞んでしまっている。 それなのに、カカシは一向に行為を止める気配がない。 「あー…気持ちイイ…」 一際深く突き込まれてその激しさに息が詰まる。もう限界だ。 「もうだめ。もう無理。離せ…っ!」 情けないなんてことさえ考えられなかった。これ以上されたら頭がおかしくなる。 ぐすぐすと鼻を鳴らしながら、カカシに訴えた。 それなのに…。カカシは既に身体を支える力さえ失ってくず折れる俺の腕を引いた。そのままの膝の上に抱き寄せられて、 一際深く入り込むそれに息が詰まった。 「…っ!!!」 出してしまったかと思った。ソレくらい衝撃が強かったのだ。 「ん?まだ大丈夫でしょ?」 カカシは俺の足の間を覗き込んでそういうと、執拗に腰を揺さぶってきた。こっちは一杯一杯だっていうのに、 くすくす笑いながら…。 気持ちよすぎて苦しい。はあはあと馬鹿みたいに荒い息をしてたら、カカシがイタズラする様に、耳を齧ってきた。 「やぁ!なんで、もうやだ…!」 散々煽られた身体には、吹き込まれる息すら感じすぎて辛い。それでもついでのように胸まで弄られて、 生暖かいものが頬を伝った。 「泣いちゃった…?ほんっとに煽るの上手いよねぇ。イルカは…っ!」 「煽ってなんか…っ!」 くすくす笑いながら好き勝手しているカカシには、俺の抵抗が甘えている様にでも見えてるんだろうか? 「しかも…ココもっ、最高!」 「あぁんっ!」 ろくでもない事を言われたことに抗議する前に、ぐっと突き上げられて目の前が火花が散ったみたいに真っ白になった。 「やっぱり、いい声…。」 悦に入ったようなカカシの声に、怒りを感じる余裕すらなく、俺の意識は深く沈んでいった。 ***** 「普段と違う所でっていいね!」 「馬鹿、やろー…っ!!!うっ、くっ…っ!」 痛いし、腰の感覚もないし、しかもまだカカシが俺の身体をいじってるしで、目覚めは最悪だ。 カカシは馬鹿みたいににこにこして異常に機嫌がイイのがまた腹が立つ。…後で絶対殴ってやる! 俺が固く決意した途端、目の前に黒装束が降り立った。…暗部だ! 「隊長。今ターゲットがここを出ました。例のモノも到着したそうです。」 たいちょう?たいちょうって…隊長!?コイツが!?今の今まで任務だって言うのにヤりたい方題してたこいつが!? それに…いつからこの人見てたんだ!? 俺が慌てて肌蹴た着物を掻き合わせているっていうのに、カカシは乱れた格好のまま、妙にえらそうにしている。 しかも…サラッととんでもない事を言った。 「あ、そ。俺はイルカが動けないみたいだからもうちょっとゆっくりしてくねー。」 「では…失礼致します。ごゆっくり…。」 カカシがひらひらと手を振って、暗部を見送っている。 任務だっていうのに、緊張感など欠片もない。 それに…こんなトコ見られた…!!! 「おーまーえーはー!!!ぐっげほげほっ!」 「水飲む?で、ちょっと落ち着いてから出よーね。次どこ行く?」 「帰るに決まってるだろ!それにあの人に俺…!」 相当にみっともない姿を見られてしまった。カカシは平気そうにしているが、人並みの羞恥心がある俺にとっては、 こんな所を見られるのは叫びだしそうなくらい恥ずかしい。 それに耐えかねてぎゅうぎゅう布団を握り締めていると、カカシがぽんと肩を叩いてきた。 「まあまあ。たまにはいいよね。こういうのも。」 「お前だけだろうが!!!」 思いっきり叫ぶ俺を嬉しそうに眺めているカカシに、絶対に説教してやると心に決めながら、きっとまた効果がないんだろう という予感に悲しくなった俺なのだった。 ********************************************************************************* 勢いだけで毒暗部。…そしてうっかり続くかもしれません…。 この後、そのまま言葉巧みに丸め込まれて温泉に出かける編が増えるかもしれませんが、 生暖かく見守ってやってください…。 ご意見ご感想などがございましたらお気軽に拍手などからどうぞ…。 |