「んっ…ふ、ぅ…!」 「ね、声出してよ?」 どんなに強請っても、この人が首を縦に振ることがないと知っていて囁く。 その声にすら感じるのか、身を震わせて耐える顔がたまらなくそそるからだ。 「おね、が、ですからも…」 「ヤダ。足らない」 こっちのおねだりも聞いてもらえないんだから、俺だって聞かなくていいよね? そんな言い訳を聞いたら、この人は顔を真っ赤にして怒るだろう。 ま、今は正気じゃないからかわいい顔で泣いてくれるだけだろうけどね。 ぬるぬると己の吐き出した白いモノにまみれた性器が、嬲られ続けて赤く充血した粘膜を出入りする。 最高の眺めだ。 粗相をしているのと変わらないほど自分が存分にこの人の中に吐き出したものを溢れさせ、ドロドロに汚されていく愛しい体にぞくぞくする。 この人の中を一杯にして、こうして喘がせているのは自分なのだ。 そう実感できるこの瞬間が好きだ。 どろどろに汚して俺の匂いでいっぱいになった体を、いや、そのすべてを、支配している錯覚に浸ることができるから。 快感に抗うことをやめた体は、ぐちゅぐちゅと音を立てるそこで、俺を熱く包み込み締め付けてくれる。 「や、ぁ…っ!く…っ!」 そのくせツレナイのが玉に瑕だけど。 その手を俺の背に回して欲しいのに、いつだって何かを堪えるように…痛みでもやり過ごすかのように、シーツを握り締めたままだでいる。 どうせ俺に触れてくれないのならと、無理やり縛ったこともあったが、その時も調子に乗って噛ませた猿轡がギリギリ音を立てるほど噛み締めて耐え、その後も俺には無言の怒りだけよこしただけだった。 そう…詰ってもくれないのだ。この人は。 確かに思いは告げたはずなのに。 ここは木の葉だ。上忍に逆らうのなんのと騒ぐ馬鹿がいても、そっちの方が懲罰対象になる。 …確かに、この人は頷いてくれたのに。 それでもこの人は、俺に言葉所か傷一つ残してもくれない。 この人が縋るシーツすら憎らしくて、いっそ術でもかけてしまおうかと思う。 我を忘れてこの人が俺に縋ってくれたなら、それだけでいいと思えるのに。 そう…たとえそこに情がなかったとしても。 「好き。もっと壊れるくらいめちゃくちゃにしたら、その手で俺に触れてくれるのかなぁ…?」 こうして抱かせてくれるだけで、満足できればいいのに、果てのない欲望は毒よりもずっと俺を狂わせる。 もはや体を支えることすら敵わない程責め立てた後だ。恋敵にすら思えたシーツの上に力なく落ちた手では、俺に縋ることすらできないだろう。 それでも、その手が俺を求めてくれないことを、こんなにも苦しく思っている。 …どうかしてる。この人に惚れたときからずっと、俺はもう取り返しがつかないほど狂ってしまったんろう。 この人に飢えて、つれない態度もくれない愛の言葉も、すべてが耐え難くてその体を壊れそうになるほど攻め立ててしまうのは、きっとそのせいだ。 「あんた、肌そんなに白くて、綺麗なのに」 「え?」 あれほど望んだ手が俺の頬にゆっくりとなぞるように触れた。 「傷つけたりなんかしない。…俺のモノに」 愛おしい人が笑っている。その瞳に確かな欲望を宿して。 ぼんやりと濁った瞳は、意識が飛びかかっているのだと教えてくれる。 ならば、これは。 「ウソ…!」 あれほど悩んだというのに、簡単に舞い上がる自分に笑えてくる。 独占欲。 そうか、シーツなんかよりずっと俺は大事にされてたってことか。 「っあ!や、大き…!」 甲高い声が上がって、自分が今だかつてない程興奮していることに気がついた。 「んー?でも、煽る方が悪いよね?」 縋って痕を残して、それからそれが己の所有の証となることを教えてやりたい。 …ま、この人頑固だから難しいだろうねぇ? 代わりに俺がたくさんつけてあげればいいか。…今は。 「いぁ…!や、あ、あ…!」 甘く掠れたか細い声、縋らない手、俺を欲しがる体。 全部俺のだ。 「ねぇ。好き。愛してる」 応えの代わりに反応する体を貫きながら、お互いにこの愛に溺れてどこまでも沈んでいけたらいいのにと思った。 ********************************************************************************* ペーパー再録。 |