血が恋しくなる。 紅い、紅い、血。 カカシは言い知れない喉の乾きに苛まれていた。 いつの頃からか、満月の夜には、必ず、言い知れない喉の渇きを覚えるようになった。 一つ上の兄は、そんなカカシの変化を楽しむように見ていた。 「カカシ、どうした?ん?」 長い黒髪を頭の天辺に結わいた兄はカカシと違う瞳の色をしている。 黒い瞳、吸い込まれるような黒い穏やかな瞳。 「イルカ兄さん、ごめん、俺、どうか、している・・・」 カカシは流れるような銀色の髪で背徳の左眼を隠した。 紅い義眼の左眼、カカシは幼い頃、交通事故で左眼を失った。 物心がつくかつかないかの幼い頃、カカシは怪我したことより、イルカと離れることの方が辛かったことを覚えている。 俺は、兄さんが、好き、なんだ・・・。 イルカのことを思うと、身体がどうにもならないくらいに熱くなる。 そんなカカシの苦悩を知る由もないはずのイルカは屈託なく微笑む。 どこか、意味ありげな微笑みにカカシは翻弄される。 二段ベッドの下段でカカシは頭から布団を被った。 今宵は、両親がいない満月の夜。 身体が熱く火照ってしょうがない。 上段で眠っているイルカの寝返りの音がカカシの耳に届く。 イルカが自分のすぐ上のベッドで眠っている、それだけで、カカシの胸は高鳴る。 何とか、眠りにつこうとするが、頭は冴えていくばかり・・・。 「眠れないの?カカシ」 不意に声をかけられる。 思ったより近くに感じる吐息。 カカシは瞳を開くと、イルカの顔がすぐ近くにあった。 「・・・が欲しいよね。欲しいでしょう?いいよ、あげるよ、俺の・・・を」 肝心な言葉が聞こえなかった。 イルカはカカシに覆いかぶさるように顔を近づける。 「カカシ、ほら、ここだよ、ここ・・・」 イルカは首筋に纏わりつくぬばたまの髪を掬い上げる。 白い首筋が、月の光りに浮かび上がる。 「あぁ・・・」 カカシは、たまらくなって、イルカの首筋に歯をたてた。 そして、鋭く尖った牙が、イルカの白い首筋にしっかりと埋まった。 息を吸うと、牙からイルカの血が流れ込む。 「カカシ、初めて、だったよね、初めて、俺の血を吸うんだよね。今日から、カカシは俺のものだよ」 艶やかな黒い瞳がカカシを捉えて離さない。 「カカシ、俺たちは、吸血鬼なんだよ。そして、生まれて初めて吸血した者と結ばれる運命を背負っているんだよ。 俺たち・・・。今日から、カカシは、俺の生涯たった一人の伴侶になるんだ」 イルカのうっとりとした表情がカカシの網膜に焼きついた。 それは、始まり。 二人が、二人であるための、始まりだった。 終 ***** kai様コメント→設定のようなssですが、少しでも、お楽しみくださると嬉しいですvvv ********************************************************************************* 相互リンクさせて頂いたkai様のブログから、お言葉に甘えまくって攫ってきたステキ作品です!吸血鬼イルカ最高!!! kai様のサイトには、ステキ作品がありまくりますので、是非是非リンク部屋からGO! でもって、こちらの作品のお持ち帰りは厳禁!ですので、宜しくお願いいたします!あ、でも萌えはお気軽に叫んでいってください! |