普段碌に会話もしない男がいきなり土産を買ってきた時点でおかしいと思うべきだった。 男の癖にと言われようと甘いものは好きだ。 それもこんな暑い日に差し出されたアイスクリームについつい目がくらんでしまった事を、今更ながら後悔した。 …俺はこの男がろくでなしだと知っていたのに。 「ねぇ。おいしい?」 「ひぁ…っ!や、ぁ…!」 表情一つ変えずにこんなことができるあたり、流石元暗部だというべきなんだろうか。 真夏らしい手土産を口にできたのはたった一口だけだった。 後は何を思ったかいきなり人を拘束してきた男が、その中身を全て俺の上と…考えたくも無いが中にまでこぼしたおかげでひどいことになっている。 男と、それから自分の体温でどろどろに溶けたそれは板の間に白い水溜りを作り、とろりとろりと溶けながら体温と理性を奪っていく。 甘くぬるついたそれが皮膚の上を流れる感触に体を引きつらせると、その冷たい欠片ごと中に入り込んだ男の指まで締め付けてしまう。 それをじっくりと観察される方の身にもなってみればいいんだ。 悪態は言葉にすらならずに、嬌声に変わった。 羞恥と冷たさに反してあぶられるような快感が湧き上がり、涙で視界がゆがむ。 無表情なくせに執拗に絡みつくその視線は、まるで愛撫にも似て。 「ああ、気持ちいいんだ?…もっと、欲しい?」 その問いかけにうなずいてしまえるようなら、こんなことになっていないはずだ。 ある日文字通り降って湧いた男が俺の体と住処に居座ってからも、ずっと無言で抵抗し続けてきた。 だってそうだろう? 上忍だからって、「ねぇ。ちょうだい」なんて一言だけでいいようにされるなんて納得できるはずが無い。 …かと言って、おおっぴらに逆らうこともできなかったのは、この男の階級と経歴のせいだ。 恐れられると同時に崇拝までされているこの男に逆らえば、俺だけじゃなく周りにまで被害が及ぶことは、残念ながら分かり切っていた。 付き合っている。…対外的にはそう認識されている。 それだけでわけの分からない暴言や、ささやかな嫌がらせめいた行為に耐えなければならなかった。 そも俺に選択権など与えられていなかったというのに、これほど理不尽なことはない。 かと言って騒ぎ立てても事態が悪化することは目に見えている。 自分の手に入らないものを持っているというだけで、悪意を向ける人間はいくらでもいるから。 だからこそ、意地でもうなづいてなんかやるものか。 歯を食いしばって零れ落ちる吐息さえ押さえ込もうとした。 「意地っ張り」 コレが、欲しいんでしょ? 前をくつろげた男の性器は勢いを増し、こんな状態の俺で興奮できることに驚愕さえ覚える。 …何も言わない。欲しいなんて、こんな状況で俺まで興奮してるなんて、たとえ事実でも認めたくない。 瞳を閉じて男の視線から逃げようとしたのに。 「駄目でしょ?ほら、見て?」 「あっ…!うあぁ!」 うずめられていく楔に深く抉られて、こらえていたはずの声はあっけなく零れた。 湧き上がる屈辱より快感が勝る。そのことを受け入れざるを得なくなってからどのくらい経っただろう。 望むと望まざるとに関わらず抱かれ続けて慣らされて。 快感は…ひたすら耐えるには甘すぎる刺激だ。 「ん。とろっとろできつきつ。声もかわいかったし。…気持ちいいからご褒美上げる」 「ひぅっ!あっぅぁ…っ!はっ…!あぁっ!」 激しく揺さぶられて、いじられ続けていた体が高みまで上り詰めるのはあっという間だった。 「とろっとろでおいしそう…。なのになんでうなずいてくれないの?」 心底不思議そうに問いかける男を殴ってやりたい。 指先さえ古江が繰るほどの快感に飲まれて、体中の力が入らないのでなければ、とっくにその頭に拳をめり込ませていたはずだ。 「ふざけんな…!」 せめて視線だけでも抗う意思を示そうとにらみつけた。 …この男が俺の思考など理解などできないと知っていても黙っていられなかった。 「いい。誰にも渡さないから。…でももっと頑張るからいつか頷いてね?」 こういうときだけその鉄面皮が少しだけ…ほんのごくわずか悲しそうにゆがむのが腹が立つ。 とっくに絆されてるのはこういう所を見せられ続けたせいなのに。 「アンタが…言うまで…」 ああだめだ。意識が。 なぶられ続けているせいでそれでなくても体力が消耗していたってのに無茶をするから。 「…好き。好きなのにどうして?」 意識をればなす瞬間、どうしても言って欲しかった言葉だけは耳に届いた気がした。 だから。 目覚めてもう一度その言葉を聴けたら…今度こそ思いっきり殴って、土下座させて、それから。 それからなら頷いてやってもいいかもしれないと思った。 ********************************************************************************* 適当。 好きならすきって言え!頷いて欲しけりゃ土下座しろ。とかいったら素直にさくさく言うことを聞く上忍になきそうになる中人がいたとか、それで辛抱溜まらず襲う上忍がいたとかいないとか なみに変態さんなアンケート実施中です。お気が向かれましたらご協力をお願いいたします。 ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ! |