春の陽気の15(適当)



これの続き。 


淡々と三人分食器を片付けてから、はたとそういえばいつの間にか増えているこの食器たちはどうしたらいいんだろうと思い悩み、とりあえず拭いて風呂敷で包んでまとめておいた。
どこで買ったか知らないが、一つはしっかりうちにあるものとそろいの代物だ。
…一つだけ対じゃないのは恐らくぱっちりさんのものかもしれない。
持ち込んだのは大方あの変質者の方だろう。ぱっちりさんならもうちょっと遠慮深い行動を取りそうだもんな。
なんだってこんなややこしいことになるんだろうな。
食器を洗っている間に風呂の支度もすませた。一人暮らしも長くなればこの手の段取りは手馴れたもんだ。
後は風呂に入って寝るだけだってのに、どうしてこうも落ち着かない気分にならなきゃいけないんだろうな。
飯を食って風呂に入って寝る。ようはいつも通りの生活のはずだ。
だがいまや生活に入り込み根を張るように馴染んだ男のおかげで、こうして家に一人でいることに違和感を感じるようになりつつある。
多分ぱっちりさん自身はそんなつもりはないんだろうけど、…二人とももういるのが当たり前になってしまっているせいだろう。
ぱっちりさんの人の良さや優秀さに癒され、それから…あの得体の知れない男にも少しずつ馴らされている気がしてならない。
変わった男だ。
どこまでも自分勝手でありながら、時折妙にこっちを気にした行動を取ることもある。
いや、たまたまそう見えただけか。
意図がつかめない。
それだけのことでここまで消耗するなんて思いもしなかった。
「とりあえず、風呂入るか」
思い悩むのにも飽きた。
それでなくても日々舞い込む雑事に終われているってのに、隣人のおかげで更に苦悩はいや増した。
自分じゃどうしようもできないんだから、この際風呂に入って眠っちまうのが一番だろう。
こんな日に限って気配はない。
…私生活をかき乱されることを望んだわけじゃないが、いっそのこと何も考えられなくしてくれればいいのに。
癒そう思わされること事態が策の内なのか。
「あーくっそ。めんどくせぇ!」
知り合いの上忍の口癖のようだ。
上忍になればこの手の人間が増えて、そのせいで口癖になったのかもしれない。
引っつかんだ着替えを片手に風呂場へ急いだ。
ささやかな安寧を感じられなくなってしまったことに怯えながら。


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例の続き。
苛立ちお風呂タイム。
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