「俺達みたいな清く正しいろくでなしに、まともな行動なんて言う方が馬鹿らしいでしょ?」 いきなり人を組み敷いておきながら、その言い草は何だろう。 俺の怒りを見透かしたようなその言葉。 挑発的な視線の奥には確かな欲望が光っている。 手足こそ自由に動かせるが、腰の上に乗った男の重みは俺の身動きを見事なまでに不自由な物している。 舌なめずりした獣に襲い掛かられているに等しいこの状況で、意外と冷静でいられる自分に驚いた。 「で?だからって、俺が大人しくしているとでも?」 …忍だからというよりも、相手が余りに理不尽だと、却って冷静になれるものらしい。 跳ね除けようとした手は予想通りびくともしなかったが、にらみ付けるくらいの事はできる。 それが男を刺激してしまったのだとしても。 「そういう顔されちゃうと、我慢できなくなるんだけど?」 そもそも我慢などしていなかったくせに。 滴るような色気は同性の俺さえも思わず息を飲むほどだったが、大人しく食われてやるつもりはない。 だから、腹を狙った。 一番鍛えられていて、攻撃も予想しているはずのソコをねらって、まず一撃。 よろめくでもなく獣染みた笑みを絶やさない男が、余裕の笑みを浮かべているのを確認してから、今度は目を狙った。 「…くっ…!」 予想通り一瞬だけ本気の殺気をちらつかせた男は、俺の両腕をあっという間にまとめて地に押し付けると、にやりと笑った。 「今、本気だったでしょ?…イルカせんせはやっぱり凄い。俺のことここまで煽るなんて」 いいざま、男は俺の額宛に手をかけ、忍である証をいとも簡単に剥ぎ取った。 しゅるりと音を立てて俺から剥ぎ取られたそれが、俺の腕に巻きつけられたのだと気付くまで一瞬だった。 ぎりっと締め付けられる痛みよりも、狂気じみてうねるチャクラに圧倒される。 どこをどう見ても普段の男と変わらないのに、どうして唐突にここまで。 「何があったんですか」 「んー?なぁんにも?ただアナタが歩いてて、欲しいって思ってるのに、指くわえてみてるだけなのに耐え切れなくなっただけ」 引きずり込まれた埃っぽい資料室は、俺の目的地でもあった。 一体いつから、この男は俺を待っていたのか。 …まあ、丁度良かったんだが。 「俺も、見られてるだけじゃ物足りなくなってましたから」 そう言って誘うように唇を開くと、吸い寄せられるように男が俺に食らいついてきた。 餓えた獣が獲物を貪るように、俺だけを求めて。 縛られて行為に及ばれるのは多少不本意な部分もあるが、一瞬だけ見せた驚きが、歓喜と欲望に彩られていくのを見られただけでも幸運か。 欲しかったのは俺の方だ。 一時の興奮に身を任せただけだとしても、途中で逃げようなんて思わせないほど興奮させてやりたかった。 …俺達みたいな清く正しいろくでなしに、まともな行動なんて言う方が馬鹿らしい。 全ては男の言うとおりだってことだろう。 「アンタって、やっぱりサイコー…!」 興奮しきった瞳に同じ色をしているだろう視線で返し、男を誘った。 これ以上ないほどに交じり合うために。 ********************************************************************************* 適当! こんな感じ?のような本を5月に出そうとしているのです。ニーズがあるといいな! えろすなかんじでもうちょっとてんてーがまっとうですが( ´∀`) |