薬草つみに4(適当)




これの続き。


「無事に任務完了ですね!」
「そうだな…!薬草の見分け方もちゃんと覚えていたようだ。なかなかやるなあの小僧」
隣でわめく若造などどうでもいい。
今はあの小僧のことが重要だ。
クソガキだと思っていたが、忍としての才は本物のようだな。選別も手馴れていたし、下の者…今回はイルカだが、その配慮もきちんとできていて、なおかつ今後のことまで考えていて、薬草を全て刈り取らないようにする点も完璧だった。
やたらとわが子にちょっかいをかける辺りは気に食わないが、うちの子に害を与えることはなさそうだ。
今のところは、だが。
「じゃ、早速お祝いを…!」
いそいそと懐に手を突っ込んだ男が取り出したのは、クラッカーだった。
ぎょっとして目をむいている間にも、男が懐から次々に食料を取り出していく。最終的にはケーキまで…一体どこから持ってきたんだ?
時空間忍術を得意とするこの男なら、不可能じゃない話だが…こんなところで何をするつもりなんだか。
「待たんか!…里へ帰るまでが任務だ。見ろ。お前の弟子の方がずっとそれを理解しているぞ?」
手際よく荷物をまとめ、一部をイルカにも渡している。どうやら分担して運ぶつもりのようだ。
運ぶ量はたいしたことはないが、運ぶときの注意なども、ここから聞く限りではよくぞそこまで知っていると舌を巻くほどだ。
摘んでまとめるだけで運んでいいのは、持ち帰ってすぐ加工できる場合だけで、移動が長いときは乾燥が必要であることなど、丁寧に説明している。
それを聞くイルカも真剣な顔で…あんな顔、俺だってめったに…!
「カカシ君…!あんなに一生懸命なカカシ君なんて、始めてみました…。いつもは先生って呼んではくれるけど、あんな風に熱心じゃないのに」
「それはお前がちゃらんぽらんな態度を取るせいだろう?見てみろ。アレほどまでに…」
「そうですね…。イルカちゃんに喜んでもらいたいからって、色々がんばってたんですよ。最近。俺とご飯食べようって言っても勉強するからって…!」
いつの間にか野営でもここまで整えないだろうと言うほどに食料が並べられたテーブルの上で泣き崩れられても、鬱陶しいだけだ。
「俺は先に行くぞ。匂いで気付かれないようにしろ」
「俺も行きます!帰ってから今度こそ一緒にご飯食べてもらわないとね!」
なぜそこまで熱心なのか…そもそもこいつは一応火影であったはずなのだが。
即位したばかりで、三代目も決済を補助しているにしろ、こんなにふらふらした男が里長で大丈夫なのか、うちの里は。
「イルカの代にはもう少しましな…」
「あ!カカシ君が!」
「なんだと!?」
慌てて視線をやると、子供たちが跡形も泣く消え去っていた。
一枚の紙切れを残して。
「あらら。逃げられちゃいましたね!」
しれっとした顔で紙切れを拾い上げた男を、今ほど殴りつけてやりたいと思ったことはない。
「イルカは!イルカは無事なのか!?」
突然姿を消したわが子を案じるあまり、思わず身を隠していた茂みから飛び出していた。
「大丈夫みたいですよ?はい」
手渡された紙切れには、「鮮度が落ちる前に加工したい薬草を見つけたので急いで帰ります。」とだけ書かれていた。
「気付かれていたのか…」
一応気配は殺したつもりではあったが、そういえばこいつと話しているときはさほど配慮しなかった。
相手は子供だと油断しすぎていたのかもしれない。時空間忍術をここまで使いこなせるとは、天才と呼ばれるだけあるようだ。
「しょうがないから帰りますか。送ってきますよ!」
「そんな必要はな…っ!?」
ぐにゃりとゆがんだ視界に、そういえばこの男こそ誰よりも時空間忍術を使いこなすのだと改めて思い出した。
高所から飛び降りたときのように内臓が裏返りそうな不快感が俺を襲った。…香ばしい美味そうな匂いと共に。


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子カカイル祭り継続中。
ニーズなさそうですが、後一回くらい続きます(;´∀`)
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