こねこのくりすます10(肉食獣のいる生活もしも編)



三つ子が生まれてからどれくらいだたっただろう。
強く逞しい生き物たちは、生まれたときから美しいのだと知った。
そして何よりかわいらしい。
研ぎ澄まされた刃のように鋭く輝く瞳に、俺を映して微笑む。
イルカ君もかわいらしかったが、三つ子たちはまた別のかわいらしさがある。
折角だからとついつい服を増やしすぎてうみのに止められたばかりだ。
服飾を習いに行った時に良く聞いた、飾り甲斐があるという言葉の意味がやっと理解できた気がする。
イルカ君のものはカカシが作りたがるから、三つ子のものを作りすぎてしまっていたというのもあるが、かわいらしく装わせるとキラキラと瞳を輝かせて喜んでくれるせいで、歯止めというものが効かなかった。
カカシは服を作るよりも、作り方を習いたがるから、練習にもちょうどいい。
くりすますというものが良く分からないままだが、プレゼントを気付かれずに寝室に運び込むことに成功したら、揃いの寝巻きも着てもらえたらいい。
ふわふわとした手触りは彼女が掛けてくれた毛布に良く似ていて、どこで作られたか調べて同じものを使うことができた。これで寒い季節でも体を冷やさずに済むだろう。
いつかまたこの子達が増えたら、そのときもそばにいられたらいいんだが。きっとまたかわいらしい愛らしい生き物が生まれてくるにちがいない。
そんなことを思うのは、未来がたしかに存在するものだと信じさせてくれたうみのたちのおかげだ。
カカシを守り、強くいきぬけるように育てることだけを考えて生きてきた。
もう、それは終わったのかもしれないとさえ思うほどに、利発で優しい子に育った。
彼女が待っているところに行けたら、きっと喜んでくれるだろう。
先に行ってしまったことが受け入れられないほど苦しくて何もかもが曖昧になったあの日から、気付けば随分と経ってしまっている。
まだ、来てはいけないと言っていた。…ならばその約束は守らなければならない。
暖かな日差しにまぶたが重くなる。上に張り付いた小さな生き物は、それでもいつのまにか出会った頃よりずっと大きく重くなった。
カカシも、そういえばいつの間にか大きくなっている気がする。
腕も上がった。伴侶も見つけた。…きっとすぐに俺を追い越していくだろう。
安堵と、それから少しの寂しさとが胸を満たす。
彼女だったらどうするだろうという事が気になった。
「「「んなぁ?」」」
「ああ、すまない」
眠り込んでいたはずの三つ子がこちらを見ている。心配そうに。
順番になでると幸せそうに目を細めて、それからまたすぐに寝入ってしまった。
子どもには睡眠が必要だ。
そして決戦を明日に控えた俺も、十分に体力を回復させるべきなんだろう。うみのも酷く心配していた。
サンタサンとやらをきちんとこなせるよう、がんばらなくては。
「おやすみ」
瞳を閉じるとまぶたの奥で彼女が笑ってくれたような気がした。


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肉食こぬこ。
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