恩返し、忘れた頃にやってくる

「うぅっ寒ぃ!」
「うるせー!いい加減黙れ!…寒いのなんて分かってる!」
「寒いよー…!さっさと来るならこねぇかなぁ…」
「夜盗がこっちの予定聞いてくれるわけないだろうが?」
「まあそうだよなぁ…さみー…」
「だから言うなって!余計寒くなるだろ!」
「まあそうなんだけどさ。かれこれ3刻はたってるよな?」
「はぁ…。まあ、情報じゃ確かとっくに出没時間帯なんだけどなぁ?」
「イルカのトラップにひっかからないってことは、出没情報自体がガセなんじゃないか?」
「ソレはないだろ?まあ結構広範囲に仕掛けたけど」
「探索に行って来るしかないか…」
「俺が行くよ。俺が仕掛けたトラップが無事かどうか確かめたいし」
「壊されてたら分かりそうなもんだけど…気をつけていけよ?」
「ああ。…にしてもなんでこんなに…」
「だって、危ないことさせたくないんだもん」
「…これ、夜盗だと思うか?」
「夜盗は通りすがりの忍に抱きついたりしないと思う。…っつーか暗部―!?」
「ええ!?な、何の任務でしょう?俺達は今夜盗討伐任務の遂行中で…」
「それってさぁ、抜け忍がまさってるってやつでしょ?」
「は、はい!」
「あの、任務内容に変更でも…?」
「怪我して欲しくないじゃない」
「はぁ。まあ、怪我は嬉しくないですが…?あ、あの、その前に離して…うわっ!」
「俺だってまだ何にもシテないのに…ねぇ?」
「イ、イルカ…?知り合いか…?」
「いやそんなことは…!任務中です!離してくれー!」
「あ、ターゲットなら捕獲済みだから」
「俺たちの我慢って一体…まあ、これ以上寒い思いするよりましか…」
「待て待て待て!そうじゃないだろ!アンタも…いい加減にしろ!」
「いてっ!…あはは!相変らず」
「お、おい!やっぱり知り合いなんじゃないのか?」
「いや、暗部に知り合いなんて…!…そういや、上官なぐっちまった…!?」
「ま、覚えてないよねー?」
「…イルカ。責任はお前にありそうだからがんばれ。とりあえず帰ろう」
「そう、だな…ターゲット確認してから帰還しよう…」
「そうそう。帰ったらゆっくり…ね?」
「だから何の話なんだー!?」
*****
「昔殴った?俺が?」
「そうよー。中忍のくせに、自分だって傷だらけのくせに…俺が囮になるからって言っただけで怒り出して」
「えーっと…い、一体いつだ…?」
「覚えてないのね。…まあアンタしょっちゅうああいうことやってそうだもんねぇ?」
「うぅっ!」
「長期任務入っちゃって遅れたけど、まあお礼はこれから返すから」
「え?」
「これから宜しくねー?」
「えええええ!?」
「恩返し、覚悟してもらおうっと」


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てきとうこばなしー!
うっかり油断してたら、襲撃的お礼に現れちゃったという話。
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