俺になるモノ(適当)


沢山食べないといけない。
だってこれはいつかは俺になるモノなんだから。
「ほーら。こっちも」
「わ、わかってるよ!」
「イルカは野菜が苦手だねぇ?おっきくなれなかったら困るでしょ?」
したり顔で言う言葉に言い返せない。
だってカカシとはあんまり年が違わないのに、カカシの方がもう大分大きい。
それなのに俺ばっかりほそっこくて弱くてまだ下忍だ。
「うぅー…!」
悔しくてガツガツ野菜を平らげたら、慌てたようにカカシがなでてくれた。
「ああもう!そんな風に食べちゃダメでしょ?…ほら。あーん」
子ども扱いに溜息が出る。でも…ちょっと嬉しい。久しぶりにこんな風に一緒の食事ができたから。
「…あーん」
口を開けた途端放り込まれるのは、カカシが丁寧に仕上げた煮物で、なんでも手早くそつなくこなすカカシが作ったものらしく、とても美味しい。
「はやく、大きくなってね?」
いずれ俺になるものをせっせと口の中に運びながら、カカシが笑う。
言われなくても!そう啖呵を切りたい所だったけど。
…カカシの目が切なげに俺を見つめていたから、ちょっとだけ躊躇した。
そんな顔されたら、俺まで苦しくなる。
「大きくなる。いつか…カカシがびっくりするくらいにな!」
そう言ったらちょっと驚いた顔をして、カカシが笑った。
「…そうね?楽しみにしてる」
穏やかで、でも少しだけ苦しそうにすら見えたその笑顔を、今でも覚えている。
*****
優しい記憶。…その真実なんて知りたくなかった。
「ん。立派に育ったねぇ?」
「どこ見て言ってやがる…!」
股間に嬉しそうに頬ずりしながら…ついでに言うと俺の脚を高々と抱え上げて、そそり立ったものを俺に突きつけた男の言うセリフがこれだ。
昔は確かに俺より大きかったけど女の子みたいに可愛かったのに、あっという間に育って、それからあっという間に…その強引さで嵐みたいに俺の心まで奪っていった。今からきっと、体まで…全部奪われてしまうんだろう。
…まあその前からカカシのことは…うん。だからまあいいっていえばいいんだけどな?
だけど釈然としないモノがあるのは事実だ。
「育ったとか…なんだよもう…!」
「だぁーってね?イルカが大きくならないとできないでしょ?だから必死だったのよー?」
そんなことを言われて、両親亡き後料理本片手に奮闘してくれたカカシに向けていた感謝の気持ちは、流石に大分目減りした。
その代わりにそんなコトのために必死だったって所が可愛いなんて思っちゃってるわけだけど。
「ばーか!」
「馬鹿でいいよ。…だってイルカがすきなのってその馬鹿だもんねぇ?」
「わー!?自分で言うな!」
「ふふふ…!」
恥ずかしい格好を強いられて、恥ずかしいことを言いながら笑う幼馴染を見上げて、なんでこんなに幸せなんだろうな?…ようするにこんなに長くずっと俺ばっかりみてたコイツが悪いってコトにしときたいんだけど。
今は。
「…続き…シテ…?」
「…っ!…もうなんてこというの…っ!」
「ひぅ…っ!」
口では文句ばっかり言いながら手際がいいのはいつものことだ。
…とはいえいきなり突き立てられた楔に、一瞬呼吸が止まった。
散々弄り回されたとはいえそんなものを受け入れるのは初めてで、痛みすら感じられないくらいの衝撃に目がちかちかする。
「あーも…!ゆっくりしてあげたかったのに…!」
「やぁ…っ!そんな…んっあっ…!」
「だーめ!もうお仕置き!…訳がわかんなくなるくらい気持ちよくしてあげるから、俺だけ見ててよ」
自信たっぷりな物言いに腹が立つ前に、その必死さに笑いがこみ上げてきた。
腹の中に埋め込まれた熱の大きさが苦しいけれど、我慢できない。
「ぷっ…!あはは…っ」
「ちょっともう!なにわらってんの!…締まる…っ!」
「んっ!…見てるよ。…お前だけだ」
手の中にある銀色も、その中身の一生懸命でいい加減な所も全部。…もう全部俺のモノだから。
「もうほんっと…!…イルカ…!」
余裕のない表情で縋りつくように俺を貪る…俺の男を抱きしめてやった。
「やさしくしろよ…?」
「…がんばるけど無理だと思う。…だからねぇ…がんばってね?」
にやりと唇を吊り上げたカカシに、宣言どおりソレはもう散々鳴かされて、俺もカカシだけを見てた。
だからまあ…大きく育ったから得られる気持ちよさは、俺から意識を奪うほどに激しかったってことだけは言えるかもしれない。
*****
「できたよー?」
「んあ?うー?…ってぇ!?」
「あらら?急に起きたらダメでしょ!」
「うぅー…あれ?カカシ…?」
俺の顔を覗き込むカカシは、慌ててるみたいなのに幸せそうで、側から美味そうな匂いがして思わず空腹を訴える腹を押さえた。
「ご飯にしよ?」
「…うん」
いずれ俺になるモノ。それをせっせと食べさせ続けてくれたカカシのせいで、俺はすっかりカカシ色に染まってしまったのかもしれない。
一口食べて、じんわりと広がる優しい味に頬が弛んだ。
俺もある意味食べられちゃったんだから、俺もいつかカカシになるモノで、カカシが与えたモノが俺になってカカシになって…つながっていって。
「何か、凄いな」
「え!そんなに!…う、うん!イルカがそういうならもっと凄いことしようと思ってたんだけど…!」
「ちがう!この馬鹿!」
呟いたら脂下がったカカシが変なことを言い出したのでとりあえず殴っておいた。
痛そうにしながらそれでもにやにやしっぱなしのカカシの頭を強請られるままになでて、それから…俺もカカシも一緒になって飯を食べた。
いずれ俺とカカシになるモノを全部綺麗に平らげて、それからくっ付いて眠った。
俺とカカシと…俺たちになるモノ。…この幸せな輪がずぅーっと先まで続けばいいのに。
「ん…イルカ…」
傍らで俺を抱きしめるカカシを、俺も抱きしめて。
「カカシ」
とりあえずは…ひそやかに呼び合えることの幸せをかみ締めるコトにした。


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適当ー!
なんかこう秋なので色々しっとりとか目指してみたんですが失敗!うふふ!←笑って誤魔化す。
ではではー!なにかしらつっこみだのご感想だの御気軽にどうぞー!

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