「ちょっと、また?」 「あー…バレンタインですから」 笑顔で何てことないように言う恋人が憎い。 ああもうかわいい顔して!何個もらっちゃったのこの人は! きれいにラッピングされた箱が無造作に詰め込まれた紙袋を見るたびに、俺なんかよりこの人のほうがモテると確信する。 「これとかこれとかこれとか…絶対本命でしょ!」 「アカデミーで貰ったやつが殆どなんですけど。それに流石に本命は貰いませんよ!あなたがいるのに!」 こういう台詞をさらっと吐くから天然たらしはタチが悪い。 「ならこれとかこれとか…これはなによ!」 「あ、それは紅先生と、ヒナタと、あとそっちはアンコさんです」 …チッお礼目当てか。ならまあいい。日向の子も本命はうちのナルトだしね。 それにしても結構量がある。 明らかに本命っぽいのははじいたけど、それ以外にも混じってるかもしれないし、入念にチェックしないとね。 俺が怒ってるのが分かってるせいか、仕方がないとばかりにスルーされてるのも腹立つんだけど! ま、変なもの食われるよりいいからそこらへんは譲歩した。 「あ、これ」 「え?それですか。でもそれは生徒の…」 「媚薬入り。あけて見る?」 「え!?」 「毎年出てくるんだからいい加減警戒してよ…」 アカデミー生の方が意外と油断できないんだよねー…。 下手に調薬習いたてとかだと真剣に丁寧に余計なものまで入れて、とんでもない興奮剤入のを贈りつけてきたりする。 本人はおまじない程度の気でいるから余計たちが悪い。 「あ…!ホントだ。気づかなかった…!」 生徒だとガードが薄いこの人も問題だ。 毒殺する気で来られたらどうするんだって何度も喧嘩したのに、どうも未だに自分が狙われやすいって自覚が薄い。 「だーかーらー!アナタはかわいくてモテるんだから油断しちゃ駄目って言ってるでしょ?」 「だからそれはありえませんて!ちょっとタチ悪い悪戯だけでそんな…」 もー我慢できない。 毎年毎年同じことで喧嘩になるんだから、今年こそ伝家の宝刀抜くしかないでしょ。 「じゃ、これなら?俺の恋人だから狙われるの。上忍で里の稼ぎ頭潰したらおもしろいって思う奴もいるし、その恋人とうまくいかなくなっちゃえって連中がいてもおかしくないでしょ?」 最初の頃はいえなかった。だってそんなのばれて捨てられたら生きていけないし。 でも今は絶対にソレはないって言えるから…一か八かの賭けに出ることにした。 「あー!なるほど!」 こんなにあっさり納得されるのも辛いんだけどね…。これで警戒してくれるならそれでいい。 「そっちの媚薬は知りませんよ。アンタに本気なんだろうから、しっかりばっちり断ってきてください」 「はは!まあもう断ってあるんですが…」 「え!?」 あんなに子ども大好きなのに。たまに俺より好きでしょって詰りたくなるくらいなのに…どうして? 「そりゃそうでしょ。俺にはあなたがいますから」 極上の笑顔で小さなチョコレートを差し出してくれた恋人に抱きついて、やっぱりこの人には適わないと思ったのだった。 ********************************************************************************* 手玉に取られる上忍。 ではではー!ご意見、ご感想などお気軽にどうぞー! |