はぴばれ!5(適当)


「はやくいれたい」
「うぅっや、抜け!いたく、はないけど、っうー…!」
「ん。我慢して?ちゃんと気持ちよくするから」
 気持ちよくとかそういうのはもういいから、とにかくつっこまれた異物を抜いて欲しい。同意したとは言いがたい状況だが、きちんと拒めた訳でもない。優柔不断と言われたらその通りだが、こんな状況に陥ることを考えたことなんてあるわけないだろうが。俺は普通の中忍だ。潜入任務の経験がないとは言わないが、色の任務なんか受けたこともない。なにせすぐに鼻血吹くからな!今だって気を抜くと危ない。興奮に頬を染めた同性の、同じモノをぶら下げて…いや、ぶら下がってはいないな。もはや。
とにかく、そんな状態だってのに、鼻の奥がツンとしてもっと言うなら頭が沸騰しそうだ。
この人みたいな色男じゃないし、色気なんてあるわけもないし、そっち方面の任務の適正も同僚からなにから方々から全力で否定されたような普通の男なんだよ。
 それが尻に指なんか突っ込まれて冷静でいられるもんか、アンタでも分かるだろう。
「いらねぇよ!抜けって!」
 蹴り上げた足は易々と捕らえられ、担ぎ上げられてしまった。頭を狙った拳も器用によけられる。こっちが身体を動かせば動かすほど、異物の存在をありありと感じて辛い。報告書を書いているときに綺麗で長い指だなと思ったことがあったが、そんなもんケツの中で感じたいとは一切思ったことがない。
 ないが、現在進行形でそれが埋め込まれている。しかもそんなところを見せ付けられている。随分乱暴な真似をされているはずなのに、その指は強引なのに繊細で痛みを感じない。ふちが引っ張られてひりひりするのに、内臓直接触られて痛みがないってのはどういうことなんだ。
 刃で貫かれれば灼熱感と共に激しく痛む。背中をざっくりやられた時だって一瞬息が止まりそうに痛んだ。まあすぐに戦闘に入って、興奮してればまぎれるから全部片がつくまで痛みそっちのけで動いちまったけどな。今まで、そっちの経験なら何度もしてきた。うっかり内臓が出たくらいじゃ医療忍がいればさっさと塞いでくれて、ついでにすぐに戦って来いって放り出されるからな。特に若い中忍なんてそれが仕事みたいなもんだったさ。戦場での駒は、質はともかくとして動ける数は多い方がいい。そうやって上手く生き残ったやつしかやっていけない。…痛みなら、耐えられるはずだったんだ。
 痛くないのに変な声が出て怖いと泣いたら、流石にこの男も許してくれるんじゃないだろうか。組み敷いたゴツイ男が涙目で訴えてきたら、勃つもんも勃たないだろう。多分。
「ここ、かな?」
 触ったことのないおもちゃを弄るこどもは、きっとこんな顔をしてるんだろう。好奇心と興奮に頬を染めた男は、ついでに欲までその瞳にちらつかせていて、涙もひっこんだ。
 その、衝撃のせいで。
「ッく!っー!な、にすんだ!」
 あれこれされるうちにその気になっていた不徳の息子が、達してしまったのかと思った。
 いつもと違って強制的に搾り出されたような強すぎる刺激に息が詰まる。
「みつけた」
 …何をだと、聞かなくても分かってしまった。何する気だかも。
「や、う!こら!やめ!ろ!」
「うん。あとちょっとね?ちゃんと準備しないと。でもま、俺もそろそろ限界だし」
 限界と言うには涼しい顔で淡々と人の尻を弄ってくれる。いっそ意識を手放してしまいたい。その間に何があっても知らぬ存ぜぬで通せるのなら。
 まあ世の中そう上手くはいかないに決まってるんだよな。中途半端に頑丈な体と神経が、そんなことをさせてくれそうにもなかった。
 弄られて喚いて、その内声も枯れて荒い吐息ばかりになった頃、どうやら男の言う準備とやらができてしまったらしかった。
「入れる、よ?」
「ッう、ッ!」
 入れるというからにはその規格外にでかく見えるモノをぶち込むつもりだと分かって、一気にパニックに陥った。叫ぼうが喚こうが、誰も助けちゃくれない。そんなのは経験済みだ。むしろ騒げば騒ぐほど敵が集まるから、囮や捨て駒にするにはもってこいだ。
 慣れっこになっていたそんなことを思い出して、叫びだしたいのに声を殺した。
「…その顔、たまんない」
 そう言って、男は舌なめずりするついでになのか、頬をぺろりと犬のように舐めた。濡れた感触は舐められたせいだけじゃなくて、多分みっともなくも涙を堪え切れなかったせいだろう。
「うあ!ぅ、んっ!」
 嘘だろう?全部夢だよな?そう叫んで喚いて泣いたら、全部なかったことにならないだろうか。この恐ろしいほどの違和感と共に感じている確かな快感も。
 緩やかに揺さぶられて、ズルズルと飲み込まされるそれが脈打っているのを感じさせられて、受け入れさせられているモノがなんなのかを突きつけてくる。
「くっ、や、あ、うぅー!」
 正直に言うと、そのとき何を考えていたのかなんて碌に覚えていない。それくらいショックだった。何が起こってるのかもわからないまま、ただ怖くてたまらなくて、ボロボロ泣いていたんだと思う。
「泣かないで」
 そういって、なだめるように唇を重ねてきたから。
「うー…!むりにきまってんだろうが!やだ、もうやだ止めろ抜け!」
「痛い?」
「…ったくない。けど」
「え?」
「いたくないっていってんだ!痛くないのが、なんか、その、怖いんだよ!抜け!」
「かわいー」
「頭煮えてんですか!うあ!」
 ほにゃりと笑み崩れた割には、男の行動は凶悪だった。いきなり深く突きこまれて、殴るにも殴れない。
「あーうん。そうかも。もうなんか全身から色々でちゃいそうですよ?」
「は?ふざけたこといってねぇで!終わりだ終わり!」
「や。それは無理でしょ。これ、どうするの?」
 敏感な先端をつつくように触れてくる指を、先走りが汚している。…誰のって、俺のか。
「ッ!」
「ちょっとでちゃった?」
「あ、うそ、だろ」
「…とりあえず一回」
「とりあえずってなんだそりゃあ!」
 一回ってのは何のことなのか、とりあえずってのはどういう意味なのか、何を言いたいのか、聞きたいことは山ほどあったが問い詰めることはできなかった。
 我慢できないと小声で呟いた男に、めちゃくちゃにされたからだ。
「ごちそうさまでした」
 満足げにそう言った男に毛繕いでもするように口付けられて、もういい加減にしろと叫ぶこともできなくて、そのまま眠りに落ちたのは、多分俺のせいじゃないと思う。
*****
 痛い。ケツよりも腰とか関節が全体的に悲鳴を上げている。そりゃそうか。普段しない体制でガンガン好き勝手に腰使われたらこうなるよな!はは!は、はぁ…。
 張本人はといえば、一応神妙な面…というよりキラキラつやつやですといった風情のまま、しっかり俺の傍に張り付いている。だが一目で大丈夫じゃないのは見て分かるからか、気遣いの仕方が変だ。
「いたいとこ、ある?」
「…しりが変です」
「そ?がんばっちゃったからね」
「さ、さわるんじゃねぇ!そんなとこ!」
「大事にしますから。ここだけじゃなくてぜーんぶ丸ごとね」
 輝くようなまぶしい笑顔の割りにはその手には怪しげな薬瓶らしきものが握られていて、容赦なくあらぬところにソレを塗りこめられた。しかもたっぷり。
「うぅぅぅぅ…!」
「威嚇してるみたいでかわいー」
「アンタホントに大丈夫ですか?頭打ったとか?それともなんか変な毒とか術とか!」
 この期に及んでこの男を心配する自分が滑稽なのは承知の上だ。普段より数段明るく数百倍突拍子もない行動をためらわずに取るこの男を、放ってなんておけないだろう?
「大丈夫じゃないよ。ずっと大丈夫じゃなかったけど、あなたがいてくれれば大丈夫な気がするんです。ね、だめ?」
 挙句、この台詞だ。そんなの、そんな顔で、そんな目で言われたら、拒むことなんかできないだろ。
「そ、そういうきき方はズルイだろ!」
「うん。そうね」
 大丈夫じゃないとか言いながらすりすりと顔を摺り寄せてくるから、そろそろ頬が擦り切れそうだ。
「…ああもう!いいか!次からは手加減しなさい!仕事にいけないほどやるな!歩けねぇだろうが!」
「次も、いいの?」
 ぽかんとした顔で聞くのはどういうことなのか、後できっちり問い詰めてやりたい。
 ああ耳鳴りがする。多分俺の顔は今だかつてないほど真っ赤に染まっているだろう。
「…聞くな」
「ね、俺のコト好きですか?」
「聞くなっつってんでしょうが!いやそれはそれで…いいか!耳かっぽじってよーく聞きやがれ!」
 もうしらん。どうなろうが知ったことか。元々細かいことを考えるのは苦手なんだ。もう返事を知っているのか、頬を緩ませたまま男が応える。
「はい」
「アンタが、好きだ」
 言った瞬間心臓が破裂するかと思ったのに、緩やかに撒きつく腕がゆっくりと背を撫でてくる。なだめるように、それから、多分俺を決して逃がさないように。
「俺も、好き。ずーっとね」
 我が物顔で唇を盗んで言った男は、真っ赤になって唸ることしかできないのをいいことに、ぎゅうぎゅうと俺を抱き込んで、ホワイトデーのお返しも楽しみにしててくださいねと、とても激しい淫行に励んだ後とは思えないほどにさわやかに笑った。

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適当。
ばれんたいん5。しめやかにぶっ倒れたり色々仕事やらなにやらにおわれておりますが、あになるすごかったのでソレが一番の理由かもしれない。カカイルけっこんした!したよ!

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