最終決戦 チョコの日9(適当)




これの続き。

 些細な抵抗は無視すると最初から決めていた。何が起こっているか理解できていないらしい男は、散々お預けを食ったせいで乱暴になりがちな愛撫にも素直に喘いでくれている。
 口付けにも稚拙ながら応えてくれて…というか、これはあれだな。良く分からないながら口に入ってきたもの正体を探ってるだけかもしれない。胸を弄っても、だらだらと間断なく白くにごったものを滴らせている性器を弾いても、鼻に抜ける声を上げてすがり付いてくる。
 怖がっている?にしてはいーい顔してるんだけどね。とろっとろの。鼻を横切る古傷も赤く染まって非常にそそる。
 傷を舐めてみたのはそれだけの理由だ。これ見よがしに舌を這わせてやると、少しばかり身を震わせて、食い入るように見つめている。汗とそれからこの男の匂いが、今していることが夢じゃないんだと教えてくれるようで頬が緩んだ。
「おいしいね」
「っん…ッ!え?お、おいしいんですか?」
 …ま、この程度の反応で萎えるくらいなら、こんなに長ったらしく手間隙賭けて頂こうなんて思わない。
 一瞬で正気に戻るって、しかもちょっと興味ありそうな態度だもんねぇ…。美味いものに目が無いのは知ってたけど、まさか自分で自分を食うつもりだとか言い出さないだろうな。いっそ縛ろうか。暴れられたときのために、傷つけずに、だが確実に拘束できる丈夫な縄が用意してある。他に良くなめして、それから古い禁術を仕込んだ皮製の拘束具も。
 どっちも良く似合うはずだ。何しろ時間だけは不本意なことにたっぷりあったから、それはもう丁寧に丁寧に仕上げた。
 選ばせてやろうか、それとも問答無用でってのも悪くない、か。
「ねぇ。どうする?今から持ってくるから選ばせてあげ…」
「やっ!どこいくんですか…?」
 何この反応。どこに行くってそりゃアンタを縛り上げたり拘束したりして恥ずかしい格好にするための道具を取りに行くつもりだったんだけど。
 不安でいっぱいの目に心臓が騒ぐ。それからどこか冷静なままの俺が囁くのも聞こえた。…このまま食っちゃった方がおいしいんじゃないの?これ。
「どこにもいかないよ」
「なら、よかったです!へへ!」
 あーあー。獲物のくせになにをへらへらと笑ってるんだか。
「ねぇ。会話とかしてたら埒が明かないと思うから、口だけはふさいじゃおうかな」
「え?え?なんでですか?カカシさんは俺と話すのキライですか…?」
 小悪魔め!いや、そうじゃないな。この中忍は俺に嫌われるのを恐れているだけだ。それがどういう意味でかは知らないが、少なくとも好意をもたれていることは間違いない。それがどんな方向でも既成事実を縦に捻じ曲げるのは難しくないだろう。そう、既成事実さえあれば。
「ううん。これからいっぱいいろんなことするんだけど、素直に思ったこと言っていいからね?」
「は、はい!」
 なんでそこで真剣な顔しちゃうのか、そして一生懸命頷いちゃうのか…って今更だな。この貞操観念だけはやたらと発達していそうな中忍は、男同士での情事なんてものを理解できないに違いない。現在進行形で突っ込まれそうになってるってのに、抵抗のての字もなければ、終始不思議そうな顔をしている。感じてるのはわかるんだけど、それは薬の作用で隠せないからというよりは、なんだかわからないからこそ素直に反応しているだけなんじゃないだろうか。
「…ま、いっか」
「え?え?あ、あの!俺!がんばりますから!なにをすればいいですか!」
 きりっとした顔と握りこぶしに本人の熱意と本気が窺える。が、これ以上イラナイなことに努力されて、やっと遂げられそうな本懐を邪魔されたくは無い。
「気持ちイイ?」
「ん、え。は…ぃ!うぅ…でもその、なんか変で、ふわふわが、熱い、なんか尻がむずむずする…?う、うごくと、なんか…アッ!」
 えらくあけすけな表現に照れもなければ恥じらいも無い。真剣に己の状態を上司に報告している中忍のそれだ。顔をしかめてはいるが、足をもどかしげのもぞつかせているところをみると、気持ち悪いって訳じゃなさそうだ。
 もう指二本突っ込んであるんだけど。
「そーね。お薬塗っちゃったからね」
 痛みもだけど病気の予防にもなる。多少乱暴にヤっても平気なように、俺の手で調合した。経口のものと合わせても、相乗効果はあっても、体調を崩すことはない。よっぽどじゃなきゃ使うつもりはないが、念のために解毒剤も調合済みだ。
 これからやっとイルカの踊り食いなんだ。美味そうに蕩けた獲物を前にして、舌なめずりして何が悪い。
 誰ともなしに毒づいたものの、本人は薬と聞いて怪訝そうな顔をして、ぶつぶつと薬…薬って…と呟いたかと思うと急に顔色を悪くした。
「えぇ!?俺、どっか悪いんですか!?そ、そんな…!折角カカシさんとここまでこれたのに…!」
「あーうん。大丈夫大丈夫。俺がなんとかするから。ね?」
「そ、そうですか!カカシさんがいうなら大丈夫ですね!へへ!」
 …単純馬鹿中忍でよかった。
 別に治療と言ったわけじゃない。この状態を治せるといっただけだ。それを誤解するのは勝手だが、もし途中で気付いたとしても、全部キッチリ食ってから納得させればいいだけのことだ。
 これまで払った精神的犠牲を思えばこの程度のこと、なんとでもなる。
「足、肩にのせられる?」
「え?はい!とりゃあ!…どうです!」
 どうだ!とばかりにイイ笑顔だ。褒めて褒めてと言いたげな態度にため息をつくことはもう諦めた。今日は説教もしてやらない。呆れている余裕すらもったいない。
「うん。そうじゃない。両足揃えてのっけてどうするの。はい開いてー?」
「うお!あ、あの!これじゃ丸見えです!ちょっとまった!あっその!やましいことを考えてたわけじゃ…あるんですけど!う、うぅ…静まれ…静まれ息子…!」
 一転して顔を真っ赤に染めた中忍は、今になってやっと自身の状態に気づいたらしい。必死になって股間を両手で隠したまま深呼吸している。面白い光景をゆっくり眺めているのも悪くは無いが、恐らくこれからもこんな事態は繰り返されることだろう。
 ならばさっさとやってしまうに限る。
「お尻、痛い?」
 指をぐるりと回すと薬と俺の努力の賜物か、赤くぬかるんだそこが誘うように緩んでくちゅりと音を立てた。今なら俺のを突っ込んでも切れたりはしないだろう。多分だけど。
「痛く、ないです。なんか…アッ!そこ、駄目!で、でちゃうんでそこは…!なん、だ、これ…!?」
「ん。出してもいいけど、初めてだしどうだろうね?」
「はじめて…は、はじめて…!?」
 おや?この反応。もしかしてやっと気付いちゃった?
 俺と何をしているか。
 でももう手遅れだよ。駄目っていっても後戻りは許さない。理解してしまえばこの中忍の倫理観なら手に入れたも同然だろう。どこまでもどこまでも予想外すぎるから、ある意味油断はできないが。
「そ。俺の、入れてからいっぱいさっきのところこすってあげるからがんばってね?」
「え、や、やめ…ッ!い、あッ!」
 急にもがき始めたからこの様子だと抵抗されるかもしれない。ゆっくりやるより一気に行った方がいいと思ったのも本当だが、もう俺の我慢が限界だったのも本当だ。
 指に名残惜しげに絡み付いてくる肉を引き剥がすように引き抜いて、押し当てて一気に貫いた。
侵入者に抵抗するようにとっさに体に力を入れたようだが、それは随分と遅かった。さすがにちょっと痛いけど、薬と指とでたっぷり緩ませたソコはむしろキュウキュウ締め付けてきて十分に気持ちイイ。それになによりも途方も無い達成感がある。
 これで、この男は俺のモノだ。やっと。
「ね、俺はこのままでも気持ちイイけど、ちょっと緩めてくれたらもっと気持ちよくなるよ?俺もだけど」
 きつく締まるソコを宥めるようにゆるやかに出し入れする。感じさせるためというより、今何をしているのかを思い知らせるために。
 恐ろしいのかそれとも驚いているのか、不規則に全身を引きつらせて涙を零した中忍の唇を盗むのは簡単だった。無防備にされるがままになっている。
「あ、うそだ。なんで?」
「何でって言っても、好きだって何度も言ったし、チョコレート、受け取ってくれたでしょ?」
 普通なら何言ってやがるとぶん殴られるような理由だが、この変なところで異常な義理堅さを見せる男なら騙せると踏んだ。それはある意味当たりだったようだが。
「あー!そ、そうだ!ケーキ!ケーキが!もったいねぇ!冷蔵庫!ぁんッ!」
「そっちなの…影分身にしまわせるから」
「すごくうまいんで、その、あ、あとで、一緒に食べましょうね?」
 なんでそこで照れるのか。そしてキメ顔らしきものを見せるのかは分からない。
 アンタ今、男に足開いて突っ込まれてるんだけど。それにいやいやいうくせに、しっかり勃起してるし。
 とりあえずは行為自体を嫌がってるわけじゃなさそうだ。それならココで中断することもないだろう。
「後でね?」
 そこからは我ながら余裕の無さすぎたかもしれない。速攻で印を組み、影分身にケーキをしまわせる。心配そうに冷蔵庫を見つめる中忍がそれを見届けてから、すぐに分身を消し、何故かおお!とか感嘆符を飛ばしている中忍の腰をがっつりつかんで、それから。
「え、あっあっぁっ!」
「あとで、いろいろ、ね?」
 そう。お仕置きとかお仕置きとかお仕置きとかも含めて、この中忍には色々叩き込んでやらなきゃいけないことがたくさんある。
 でも、いまは。
 ヤりたおすしかないでしょ。こうなったら。
 一度吐き出して、そのときにはいつの間にか達してしまっていたらしい中忍が誤りながらべそべそ泣いていて、それでも止まることなどできなくて、後から後から湧いて出る情欲に任せるまま、抱きしめたからだがぐったりとして意識を手放しても、お構いなしにそのまま腰を振っていた。
そう、待望のバレンタインという日が終わる寸前まで。

 


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適当。
バレンタインその9。もうちょいねちっこくしたかったようなそうでもないような。
はながかゆいです。すぎかふんがほろびますように。

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