愛情いっぽん(適当)



今日も今日とてうちの子…もとい、うちの居候は懐っこくてかわいい。
「つーかーれーたー」
「はいはい」
膝の上に頭を乗せてねそべってごろごろ頭を擦り付けてきている。
任務帰りに洗ってあげたからふわりと漂う石鹸の香りが鼻をくすぐって、なんとなく幸せな気分になる。
最近忙しかったから余計になんだろうが、こうして甘えてこられると寂しかったんだなぁって思うよな。
自分が一番だけど、多分この人も。まあもしかしたら誰でもいいのかもしれなくても、それでも俺を選んでくれた事が嬉しい。
「もっと」
「はいはい」
「ちゃんと顎の下も」
「カカシさんはホントここが好きですねぇ?」
「んー…ふふ。イルカせんせったらえっち」
「なっ!なんですかそりゃ!」
撫でると目を細めるのが嬉しくてついつい触り放題していたら、なんだか不穏な空気が漂ってきた。
えっちって…卑猥なことなんてしたことないぞ!
毎日のように上がりこんでくるこの人に、うっかりその…惚れてしまいはしたけれど。
もしかして、バレてるんだろうか。
薄っすらと冷や汗をかきながら、それでもついついふわふわした頭も撫でてしまった。
生乾きでも腰が強いせいかつんつんと逆立っている。
意外と身が少ないのも毛深い犬を洗ったときみたいで最初は驚いたっけ。最近じゃしょっちゅう洗ってくれと寄って来るからすっかりなれてしまった。
「んー…ねぇ。そろそろいいですか?」
「へ?ああドライヤーですか?でもカカシさん嫌いでしょう?」
顔に風が当たるのが嫌だから、ちゃんとタオルで拭いてくれっていつも言うもんな。
手間は掛かるんだが、気持ち良さそうにしてるのを見るだけで癒される。
この人は本当にきれいな生き物だから。
ただちょっとだけ、しばらく俺で遊ぶことに決めただけなんだろう。
それでもいいから、もうしばらくいついてくれないかなぁと思うのが精々で、引き止めるにしても居心地のいい環境を作ることくらいしか思いつかない。
そろそろ。もしかしてもういなくなってしまうんだろうか。
想像しただけで泣き叫びそうなほど辛い。
この人は俺が笑っているのが好きだといってくれたから、できるだけずっと笑顔でいたいのに。
「んーん。まだかなぁ。でもちょっとならいいよね?」
「へ?」
ちょっとということは、少なくとも出て行く訳じゃないだろう。多分。
その言葉に思わず安堵のあまり脱力して、頭を抱え込まれるまで一瞬のことだった。
「ちゅー、しちゃいましたね?」
「え?えぇ!?」
そうだ。確かに一瞬触れたのはこの人の。
ちょっとまて、それは…どういうことなんだ。
「もっと先のこともしたいんですけど」
にやんと笑う男。見たことのないその艶めいた笑みに腰が重くなった。
い、いやいやいや。先って…なんだ。どうすればいいんだ?
「う、あの!その!好きです!」
まずは告白しなきゃと焦った結果、どうにも締まらない感じになってしまった。
…が、なぜかいきなり爆弾を放り投げた男が、急に身を起こし、ついでにすごい勢いで揺さぶられた。
「うそ!ホント?やった!じゃ、いいよね!」
「え?え?え?あっ!」
…そうしてあれよあれよという間においしく頂かれてしまったのだが、行為の合間に好きだ好きだと囁く男に、どうやら両思いだったらしいことをしったので、細かいことは気にしないことにした。

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適当。
愛情でいっぽんとられた話?
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